いのち・平和クラブの一員として、
1. 地域包括ケアシステムの構築と介護保険制度改定について
2. 環境活動の推進について質問します。
まず、最初に「地域包括ケアシステムの構築と介護保険制度改定について」です。
2000年に介護の社会化という期待を担って導入された介護保険制度は、それ以降、3年ごとの制度改定がなされてきました。私はこの間の法改正を法の本来の趣旨から言って後退したと考えています。その意味で好ましいと思えません。そのため「改正」と呼ぶ気持ちになれず、あえて「改定」と言わせていただきます。
昨年2014年6月、地域における創意工夫をこらした、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築と地域包括ケアシステムの構築を目的に制定された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備に関する法律」に基づき、2015年に介護保険法も改定されました。この改定では、地域包括ケアシステムの構築と低所得者の保険料軽減の充実を掲げる一方で、保険料上昇をできる限り抑えるため、所得や資産のある人の利用者負担の見直しが示されました。
そもそも、地域包括ケアシステムのめざすところは、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた自宅や地域で暮らし続けられるように、「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」の5つのサービスが一体的に受けられる支援体制をつくることにありました。そのために、国は在宅医療や訪問看護の充実など、介護と医療との連携強化や、24時間対応型定期巡回・随時対応サービス等の創設による在宅サービスの強化など、介護サービスの充実、健康寿命を延ばすための介護予防に向けた取り組み、見守りや配食、買い物などの生活支援サービスの推進、そしてサービス付高齢者向け住宅など高齢者の住まいの整備などを進めてきています。杉並区においても第5期介護保険計画からそれらの充実に取り組んでこられたと認識しています。
さらに2015年度から2017年度の第6期杉並区介護保険事業計画では、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を見据えて、杉並区においても単身高齢者世帯や高齢者のみ世帯の増加にともなって、医療や介護を必要とする高齢者がますます増加する状況に対し、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを本格化していく必要があるとしています。
これまでの区の取り組みと、第6期2年目に入る来年度に向けた施策の方向性を伺いたく、質問いたします。
<1>
少しさかのぼりますが、2013年10月1日号の広報すぎなみによれば、地域包括ケアシステムについて「暮らしやすい住まいで医療や介護を受けられる環境をつくり、住民同士が見守り等により相互にささえあい、高齢者が住み慣れた地域で、さいごまで自分らしい暮らしを続けることが出来る仕組みのこと」とイラスト入りでわかりやすく説明されています。おそらくは「地域包括ケアシステム」という文言が広く区民に示されたのは、この時が初めてではなかったでしょうか。
1-1-1.2年を経過する中で、この地域包括ケアシステムについて、杉並区はどのような取組みをされてきたのか最初に伺います。
<2>次に、新たな地域支援事業に関して2点お聞きします。
1-2-1.1点目として
今回の介護保険制度改定のなかで、大きな変化の一つは、これまでの要支援1・2が従来の国レベルの一律給付から、介護保険料を財源としながらも自治体レベルでの裁量に任される「地域支援事業」に移行し、拡充されたことだと考えています。自治体として、今回の改定をどのように受け止めているかお聞きします。
1-2-2.2点目は、
今回示された新しい介護予防・日常生活支援総合事業、包括的支援事業、任意事業という3本の柱からなる「新地域支援事業」の意義は、介護保険制度の一部改定という意味合いを超えた「まったく新しい地域づくりの一大変革」とも言われているようですが、そのめざすところは何か、また、どのように地域づくりを行っていくのか区の見解を伺います。
<3>次に、介護予防・日常生活支援総合事業について4点伺います。
1-3-1.「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」としての新たなしくみの目的、考え方について区はどのように捉えておいでか伺います。
1-3-2.2点目は少し細かい話になりますが、利用者が介護予防給付から介護予防・生活支援サービス事業に「移行」する場合、該当者が混乱なく、きちんと理解できるようなスムーズな手続きがされることを望みますが、当時者にとっては、どのような変更になるのでしょうか。新たな手続きなどが必要となるのでしょうか。今後2016年度以降の予定について区民への周知の仕方も含め伺います。
1-3-3.3点目として、訪問型サービスや通所型サービスなどのサービス類型の多様化について、各自治体での裁量が活かされる取り組みになっていますが杉並区としては、どのような計画を立てているのか、また、その際の検討事項をどのように整理されているのかお聞きします。
1-3-4.また、国が提示しているサービスの類型において、多様なサービスには住民主体による支援の訪問型・通所型サービスBというものや配食や見守りのような生活支援サービスがあり、杉並区ではその計画は次期第7期介護保険計画に反映させていくと理解しています。しかし、住民主体の地域づくりには時間もかかることから、サービスBの導入に向けて、第6期中に準備していく必要があると思います。4つ目の質問として、区の見解をお聞きします。
<4>次に、生活支援体制整備事業について6点伺います。
地域支援事業に位置づくもう一つの事業「包括的支援事業」には4つの事業が挙げられています。その一つである「生活支援サービス体制整備事業」については、生活支援コーディネーターの配置および協議体の設置が制度化されています。この生活支援コーディネーターは、まさに「新しい地域づくり」のカギとなるものと理解しています。
1-4-1.まず一つ目、生活支援コーディネーター的な機能を担うものとして、各ケア24に地域包括ケア推進員を配置していますが、現在の状況やその期待するものは何か、伺います。
1-4-2.2つ目として、協議体形成をめざして、区全域を想定した第1層レベ
ルでの準備会をすすめていると聞いておりますが、その目的や活動について区
はどのように捉えておいでなのか伺います。
1-4-3.3つ目、現在、区内3ブロックで、(仮称)生活支援ネットワーク連
絡会が開催されていますが、連絡会を通して見えてきたことは何か、伺います。
1-4-4.また、3ブロック単位であると1.5層の捉えになるかと思いますが、国では中学校区を想定した第2層の協議体設置を提唱しています。私も次の段階として第2層が重要と考えており、最終的には20の地域包括支援センター単位が望ましいと考えています。20という地域分けはほぼ中学校区に相当し、いわゆる歩いて行かれる範囲です。このぐらいだと地域状況や人の関係性も把握できます。サービス体制を完結することは当初は無理としても、それは隣接地域との連携で可能であるわけで、住民サイドに立っての視点が必要かと思います。地域事情もあり一律にするのが難しいのであれば、できるところから始めるということもあるのではないでしょうか。最終的な到達点をどのレベルとイメージしているのか区の見解をお聞きします。
1-4-5.1層と2層の協議体との関係づくりも重要と考えますが、区はどのように体制づくりを進めていくのかお聞きします。
1-4-6.6つ目です。今年度各ブロック1回ずつの(仮称)生活支援ネットワ
ーク連絡会の集まりを持ったわけですが、今後の生活支援サービスの体制につ
いて、来年度以降の構想はどのように考えているのか、お聞きします。
<5>この項目最後の質問です。在宅医療・介護連携と認知症施策について伺います。
1-5-1.生活支援サービス体制整備事業以外の包括的支援事業として、「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症施策推進事業」がありますが、病気を抱えても自宅等の住み慣れた生活の場で療養し、自分らしい生活を続けられるためには、地域における医療・介護の連携が不可欠であり、その体制整備が重要な課題だと考えています。また、認知症への早期対応や地域の理解などケア24を中心に対策が進んでいると思いますが、それぞれの進捗状況、課題について伺います。
これまで行政が推進すべき施策・制度について述べてきましたが、その根底として今、そして今後求められるのは、住民による地域づくりだと思います。
先程、「まったく新しい地域づくりの一大変革」と申し上げましたが、それは、地域包括ケアシステムを地域の住民同士による“ささえあい”によって作り上げるべきではないのか、と考えるからであり、であれば自分たちのまちは自分たちでつくる、という住民の意識変革が必要です。近頃よく言われる「自助」「互助」「共助」「公助」の、互助の部分に住民自らが参加していくことが求められる時代になってきています。
さわやか福祉財団の理事長清水肇子さんは財団の機関紙で、「新しい制度の作り方でリスクを負うのは住民である。それも、住民がどのくらい参加するかで自分たちの制度の質が決まるのだから、議論の過程に住民不在はあり得ない。だからこそ協議体や生活コーディネーターに住民主体という柱が当然に必要なのである。」と述べておられます。私もその通りだと考えます。
私はこれまで、自分たちが必要としていて、既にあるけれど何か違う、私たちだったらこうするというしくみを自ら生み出し、地域に根差した市民事業を実際に運営する活動に関わってきました。キーワードは「参加」と「自治」です。区民の活動が推進されるために惜しみない支援や情報提供をお願いし、次の質問に移ります。
2つ目の項目、環境活動の推進についてです。
環境問題は地球温暖化やごみ問題、大気汚染、土や水の汚染、生物多様性の喪失、エネルギー問題など多岐にわたりますが、いずれも人間が活動することによって、地球上の自然環境に影響を与えているという意味で根っこは共通しています。また、自然は私たち人間の命をはぐくみ、恵みをもたらす一方で、自然災害など命を脅かすものにもなります。そのことを常に肝に銘じながら、自然環境と共生し、子どもや孫の代、そのもっと先まで持続可能な暮らしをつないでいかなくてはなりません。そのためには環境問題を自分の問題としてとらえ、問題解決に向けて行動する人を増やしていく取り組みは今の時代にはとても重要なテーマだと考えています。そのような問題意識から質問をしてまいります。
<1>環境活動推進センターは、環境問題の解決に向けて行動する活動の発信基地のひとつだと思います。高井戸の地で定着し、区民に愛着をもって利用されるセンターとなってほしいと考えます。そこでまず、最初に環境活動推進センターについて2点質問いたします。
2-1-1.昨年12月から環境情報館の機能の一部が、あんさんぶる荻窪からリサイクルひろば高井戸の3・4階部分に環境活動推進センターとなって移転し約1年が経ちます。移転前と比べ利用状況はどのようになっているのか伺います。また、この利用状況について区はどのように総括をし、課題は何ととらえておいでか。
今後、拠点としての機能をどのように盛り込んでいこうとしているのか、併せて伺います。
2-1-2.2点目。環境活動推進センターという名称が他の○○推進センターと
いった施設と似ていて覚えにくい、親しみが感じられないという声が聞かれま
す。たとえば区民からの公募や環境団体からの提案などで環境活動推進センタ
ーに愛称をつけることを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。区のお
考えをお聞きかせください。
<2>次に環境団体連絡会について質問します。
2-2-1.現在、区に登録している環境活動団体が集まり、年に4回環境団体連
絡会が持たれていますが、この連絡会が環境団体の活動の活性化につながるな
どの実りあるものとなっているのか気になるところです。この連絡会のねらい
は何か。
また、連絡会に所属する団体の分野、その数、連絡会への参加状況を伺います。
さらに、議題出しなど連絡会運営についても、区として考える課題について伺
います。
<3>次は環境活動を共有化する場について伺います。
2-3-1.杉並区の総合計画では持続可能な環境にやさしい住宅都市づくりの施策において、地域での環境美化・自然環境保全に向けた取り組みや環境教育・環境学習などに区民、事業者、地域団体、環境NPOが参加しており、今後も幅広い区民等の参加をすすめる必要があるとしています。環境活動推進センターは区の環境政策を推し進めていくための重要な機能をもっており、このセンターという場や発信される情報が区民に活用され、環境活動の活性化につながることを私は期待しています。以前行っていた環境博覧会のように、環境をテーマとした区民、事業者、区が一体となって考える場、共有化する「場」が必要だと考えますが区の認識を伺います。
2-3-2.まずは、来年の高井戸センターまつりと環境活動推進センターの事業と連携した取り組みを提案したいと思いますが、区の見解を伺います。
また、高井戸の地域は、清掃工場、高井戸地域区民センターそして環境活動推進センターが集中してあります。今建て替え中の清掃工場が完成した暁には、地域区民センターと環境活動推進センター、そして清掃工場が連携して、環境を一つのキーワードにした「まつり」の開催を提案したいと思いますが、区の見解を伺います。
区民、事業者と共に環境問題に取り組むことで、区の進めようとする環境政策への理解が広がり、ひいては環境活動推進センターの知名度も上がり、環境団体の活動促進、交流にも寄与できるのではないかと考えます。
以上、地域包括ケアシステムも環境問題も自分の暮らしのことを人任せにせず、自分で考え行動する人を増やすことが、持続可能な社会をつくっていくことに繋がると考えます。区民のやる気を引き出し、それを後押しする役割を区に発揮していただくよう期待して私の質問を終わります。