第4定例会一般質問と答弁 2017.11.17そね文子

<インクルーシブ教育を推進するために>

【Q1】 区のインクルーシブ教育に対する考えとともに、どのように取り組んでいくのかについて伺う。

【A1:教育次長】 障害のある子どもたちが、一人ひとりの個性を最大限に発揮し、自立した生活と社会参加ができるように必要な力を育んでいくとの視点に立った教育は、障害のある子どものみならず、全ての子どもにとってわかりやすく有意義な教育につながる。

このように、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支えあい、学び合うインクルーシブ教育の推進は、社会全体の重要なテーマであると考える。こうした認識の下、教育委員会では、特別支援教育推進計画に基づき、一人ひとりの教育的ニーズに応じた質の高い教育、就学前からの切れ目のない支援、そして、地域社会とのかかわりという3つの視点からなる種々の取組を総合的に進めている。

【Q2】特別な支援が必要な子どもの就学先を決めるに当たっては、学校と保護者に加え、専門家を交えた話し合いを行う必要があると考えるが、見解を伺う。

【A2:教育次長】 特別な支援が必要な子どもの就学先については、学校職員のほか、医師や心理士、都立特別支援学校職員など、それぞれ専門性を有するメンバーによる教育支援委員会において、子どもの状況や障害特性、保護者の意向等を踏まえた議論を重ね、適切な就学先を決定している。こうした場に、直接の利害関係者である保護者が参画することは適当ではないため、今後とも事前の相談等を通して、保護者の意見・要望を丁寧に伺い、教育支援委員会につなげていく。

【Q3】通常学級に在籍する知的障害児童に対して、教育や心理を学ぶ大学生ボランティアが支援を行っている他区の事例があるが、本区ではいかがか。

【A3:教育次長】 本区においても、主として教員を志す大学生による学生ボランティアが、済美養護学校や特別支援学級における授業補助や学校行事のサポート等を行っている。

2016年度は、14人の学生ボランティアがこれらの活動をしており、今後もこうした取組を拡げてまいりたい。

【Q4】児童の就学先に関する教育委員会の判断が、保護者の意向と異なる場合において、当該児童と同じような状況の児童に対する支援を適切に行っている事例を他の学校とも共有し、広げてもらいたいが、見解を伺う。

【A4:教育次長】 特別な支援が必要な子どもの就学については、保護者の意向等により、教育支援委員会の決定と異なる就学先となる事例もある。

そうした中で、大切なことは、ご指摘のとおり、その子どもが実際の就学先で受けている適切な支援の内容やそのための体制、支援を実施する際の配慮や工夫などを蓄積・共有して次の同様の事例に生かすことと考える。

こうした事例の共有等は、特別支援教育研修や教育支援チームによる各学校の研修等の際に実施しているが、今後、より一層、意を用いてまいりたい。

【Q5】〇家庭、学校及び障害児通所支援事業所や放課後等デイサービス事業所等の支援機関との連携を充実させるために、支援が必要な児童の課題等を話し合う仕組みは、もっと周知され、活用されるべきと考えるが、見解を伺う。

〇障害児通所支援事業所等には、作業療法士や言語療法士など様々な専門家がいるが、学校はこうした外部の専門家の意見を受け止める姿勢を持つべきと考えるが、見解を伺う。

【A5:教育次長】 ご指摘のとおり、特別な支援が必要な子どもに、より適切かつ効果的な教育的支援を行うためには、様々な情報を収集・共有して、多面的・多角的な見地から分析・検討・実施し、さらに振り返りをして次につなげるといった姿勢が欠かせないものと考える。

改めて、各学校にそうした姿勢で、家庭及び支援機関との連携を図るよう、働きかけてまいりたい。

【Q6】〇知的障害特別支援学級にも通学区域を設けているが、在籍する子どもの障害特性などを踏まえた保護者の希望に応じて、指定校以外の通学にも柔軟に対応することが必要と考えるが、見解を伺う。

〇また、学校に不適応となった子どもが、状況によっては転校できる措置をとることも必要であると考えるが、見解を伺う。

【A6:教育次長】 特別支援学級においても、定められた通学区域内の学校に就学することが原則ではあるが、これまでも、個別の事情等に応じて、通学区域外の特別支援学級がある学校に就学することとした事例はある。今後とも個別具体的に判断していく。
また、転校についても、同様に子どもの状況や保護者の意向等を総合的に考慮して適切に判断していくべきものと考える。

【Q7】特別支援学校の子どもと、通常学校に子どもとの交流について、現在の取組状況を伺う。また、交流の状況について、学校同士が意見交換や情報共有を行い、区内全体で交流の質を高めてほしいと考えるが、見解を伺う。

【A7:教育次長】2016年度の実績では、特別支援学級を設置している全校を含む小学校12校、中学校8校が、特別支援学級と通常の学級との交流を実施している。具体的には、年間を通した異学年活動、各教科の授業やクラブ活動等における交流活動のほか、オリンピック・パラリンピック競技種目の体験活動といった共同学習が行われている。

こうした取組事例については、昨年度に策定した「すぎなみ9年カリキュラム 総合的な学び編」にも掲載し、各学校と共有を図っており、今後とも、特別支援学級と通常の学級の交流活動が活発化するよう、働きかけてまいりたい。

【Q8】〇映画「みんなの学校」の舞台となった大阪の小学校が実践するフルインクルージョンについて、教育委員会及び学校はどのように捉えているか伺う。

〇全校の校長が、「みんなの学校」を観て、全員でいかに学校をより一層地域に開いていくか話し合うなどの取組を進めてほしいと考えるが、見解を伺う。

〇保護者や地域の人が、いつ行ってもいい学校であってほしいと考えるが、教育委員会の見解を伺う。

【A8:教育長】 お話にあった「みんなの学校」の舞台となった小学校では、特別支援学級という枠組みを取り払い、障害がある子どもも無い子どもも皆で一緒に学校生活を送るという、いわゆるフルインクルージョンの形態で運営されている。

こうした学校運営は、校長の経営力や教員の指導力はもちろんのこと、学校の規模や地域の理解と支援など、一定の条件が整わなければ実現できないことであり、これを直ちに一般化して、全国的に行うことは容易ではないと考える。本区もまた同様だが、今後とも、特別支援教育を含めた教育の在り方に関する社会的な合意形成を図る中で、こうした学校づくりを進める努力をしてまいりたい。

そうした中、区立学校のPTAの皆様を中心に、「みんなの学校」を鑑賞したり、舞台となった小学校の初代校長の講演会を催すなどの取組が拡がってきていることは素晴らしいことと考える。皆で感じる、皆で考える、皆で話し合う。今後の教育はどうあるべきか、そのために何をなすべきかといった議論の潮流が確かなものとなっている実感がある。

本区がこれまで進めてきた学校支援本部の全校設置や地域運営学校の指定を柱とする開かれた学校づくりも同様に、長年にわたる議論や取組の積み重ねの上に今がある。これまで以上に「開かれた学校づくり」に向けて、また、特別支援教育を含む杉並の教育のあり方についても、教育委員会と学校が、保護者や学校関係者、地域の方々と共につくり上げていくべきものと考える。そのための取組を、今後とも着実に進めてまいりたい。

 


<マイクロプラスチックの海洋汚染への対策について>

【Q1】〇マイクロプラスチックによる海洋汚染について、国等が解決に向けて取り組んでいるが、区はこの問題をどのように認識しているか。

〇区のレジ袋削減に対する取組みは、マイクロプラスチックを増やさないことにもつながると考えるが、見解を伺う。

【A1:区長】 レジ袋やペットボトルなどが、紫外線や海岸の波によって微細に砕かれることで生じるマイクロプラスチックは、化学物質を含有・吸着しやすい性質があり、食物連鎖に取り込まれることから、生態系に及ぼす影響が懸念されている。

議員がご指摘の世界経済フォーラム年次総会、通常ダボス会議において発表された「海洋ごみに関する報告書」では、海に流出するプラスチック由来のごみが世界的に急増していることから、プラスチックのリサイクルを促進し、自然界への流出を防ぐ対策が急務であるとの報告があったと認識している。

昨年のG7伊勢志摩サミットにおける首脳宣言においても、3R(リデュース、リユース、リサイクル)等の取組が、陸を発生源とする海洋ごみ、特にプラスチックの発生抑制と削減に寄与するものとし、海洋ごみに対処していくことが再確認された。

海洋ごみは、日本の海岸にも多く漂着しており、環境省では、こうしたごみや海底ごみに含まれているマイクロプラスチックについても実態調査を進めている。

また、生態系への影響等リスク評価は、現在、国内外において調査研究中とのことだが、マイクロプラスチックを含む海洋ごみについては、予防原則に基づき発生抑制対策を行うことが何より重要なことと考える。

今後も区においては、プラスチック製品であるレジ袋の削減やごみの分別、リサイクル等、身近でできる取組を実施し、持続可能な社会の形成に向けて、環境保全対策を着実に推進してまいりたい。

【Q2】練馬区では大学教授による「プラスチック汚染」をテーマにした講演会が開かれているが、杉並区においてもこのような講演会を開催してはいかがか。

【A2:環境部長】  環境先進都市の実現を目指し、区民一人ひとりの環境配慮行動の推進を目的として設置した環境活動推進センターでは、環境やリサイクルの推進等に関する講座・講演会を開催している。

「プラスチック汚染」については、国が大学と連携して調査研究を行っているところであり、それらの動向も確認しつつ、環境保全や循環型社会の構築等をテーマとした講演会を企画する際の参考にさせていただきたい。

【Q3】 2012年に廃止されたレジ袋削減推進協議会は、レジ袋削減運動に大きな成果を上げてきたと考えるが、区はどのように評価しているか。

【A3:環境部長】  当該協議会は2002年に設立され、区民、事業者、区がともに、レジ袋の削減及びマイバッグ持参率の向上に取組んできた。2004年には、協議会からレジ袋有料化を求める要望書が提出されたことを受け、区はレジ袋有料化モデル検討会を設置し、実証実験を行った結果、有料化はレジ袋の使用を抑制する有効な手段であると判断し、「杉並区レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例」の制定につながった。

条例の施行によって、事業所のレジ袋使用枚数は大幅に減少したが、これは、協議会が推進したレジ袋削減運動に対し、多くの区民や事業者が理解を示し、レジ袋の削減に取り組んだ成果であると考える。

【Q4】〇マイバッグ推進連絡会の構成員である区内学校や消費者団体、環境団体等からアイディアを募り、さらなるレジ袋削減への取組を進めてほしいと考えるが、区の見解を伺う。

〇最近増えている食料品を販売しているドラッグストアについても、レジ袋の使用状況を調査し、レジ袋削減に取組むべきと考えるが見解を伺う。

【A4:環境部長】  マイバッグ推進連絡会では毎年、学校や消費者団体等の方々からマイバッグの普及促進に向けたアイディアを募り、区主催のイベント等に参加して、区民に向けたキャンペーンを行っている。今年度は、コンビニエンスストアにおけるレジ袋の削減を促すため、啓発ポスターを作成し店舗に配布するなどの取組を行っている。

こうしたコンビニエンスストアやご指摘のドラッグストアにおいては、レジ袋の有料化が進まず、使用量の削減に課題がみられる。今般、東京都は、「2020年に向けた実行プラン」において、「2020年にレジ袋の無料配布ゼロ」を掲げ、日本フランチャイズチェーン協会や日本チェーンドラッグストア協会等業界団体、自治体、学識経験者による、レジ袋削減に向けた意見交換会を開催した。区としては、この取組によって、新たな削減方策が検討されることを期待しており、区の取組と合わせ、さらなるレジ袋の削減を推進してまいりたい。

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