第1回定例会代表質問 2020.2.13そね文子

私はいのち・平和クラブを代表して、田中良区長の2020年度予算の編成方針とその概要及び関連する区政の諸課題について質問いたします。まずは、今年の内外の政治と経済の主な動向について見ておきます。

2019年10月の消費税10%実施により、消費の落ち込みは前年同月比で5.1%を記録し、2014年4月の消費税3%増による前年同月比4.6%の落ち込みをさらに拡大させました。安倍政権における過去最大の消費の落ち込みです。理由は、2014年と比べ世界経済の不透明性による不安、また10%と言えば消費税が計算しやすい増税の顕著性による心理的ショックと言われています。その結果、軽減税率やキャッシュレス還元等の景気対策は所得の低い高齢者などにはが使えない仕組みとなっており、新たな格差を生んでいます。オリンピック特需がかろうじて景気の下支えをしていますが、オリンピック後の景気の悪化が懸念されます。

国際的には米中の経済摩擦の悪化や、イギリスのEU離脱、米朝関係や日韓関係の厳しさ、新型肺炎の世界的拡大が経済の先行きを危うくしています。また、年明けのトランプ政権によるイランの革命防衛隊司令官の殺害は、イランの報復攻撃を招き中東の戦争危機を一層強めました。こうした折に、安倍首相が自衛隊を中東に強行派兵したことに対し、国内では一層の危機をもたらすものと反対の声があがりました。こうした国の政治・経済の不安定な状況の下で、基礎自治体における平和と市民の安心・安全を守る役割はますます重要となっています。日韓関係が悪化している今だからこそ、杉並区は交流自治体の韓国瑞草区との関係を大切にし、足元からの平和を確かなものにするよう求めるものです。

さらに2020年は、差し迫る重大課題に自治体での取り組みが問われています。世界的な規模でおこっている温暖化によって、異常気象下の風水害や森林火災で多大な被害が発生しています。日本国内や杉並区内においても、これまでを上回る風水害のおそれが高まり、とりわけ治水対策が求められています。私達会派は昨年、滋賀県の嘉田前知事が進めた流域治水対策について学ぶ機会がありました。嘉田前知事は、人命を守ることを優先し、床上浸水のような生活再建が難しくなる事態を避けるために河川改修とともに、氾濫した場合に備えた住宅のかさ上げなどを進めてきました。今後、自治体の本旨である住民の命や財産を守るための注目すべき視点だと感じました。

安倍政権は辺野古新基地建設反対を掲げて当選した翁長前県知事の当選後も工事を強行し、昨年9月過去最高の得票で玉城県知事を当選させた沖縄の民意を無視して、基地建設の土砂搬入工事を加速しています。これに屈せず住民の意思に従い、辺野古基地建設を阻む沖縄の県民一体の闘いは、地方自治を守る取り組みであり、全国の自治体が連携しなければなりません。杉並の上空も米軍の横田基地の管制のもとにおかれていることから、かつて杉森中学校への米軍ヘリ不時着という事態を経験しました。この事態を繰り返さないためには、全国知事会の日米地位協定改定を求める決議に応え、自治体から国に要請や意見書を出すなど、自治を確立する取り組みが求められています。

こうした情勢下での2020年度の予算に対し以下質問します

1.まずは昨年の区政に関してです。

 私どもの会派は昨年6月、エクレシア南伊豆を視察しました。入所している区内の知人にもお会いし、元気な様子を拝見しました。また、これまで子どもたちの磯観察などに携わってこられた大野さんや、南伊豆でのくらしの体験を受け入れている松本元副町長ご夫妻のお話をうかがい、地域の人と交流するすばらしさを体験いたしました。

  • エクレシア南伊豆は現在、40名の区民が利用され、区民には杉並を感じてもられるような日本フィルの出張公演なども行われていました。区域外特養には杉並から遠いことなどから否定的な意見もありましたが、実現できた意義と今後の課題は何か、お聞きします。
  • 先日も特養を希望する方の相談がありました。90歳をこえても歩けることから要介護3にはならず、それでも一人暮らしが不安で見守りが必要な方でした。制度では要介護3が原則とされている中で、エクレシアの現状と、また今後の区の特養待機者対策を合わせてお答えください。

次に保育園の待機児ゼロについてうかがいます。 

  • 2年連続の待機児童ゼロを達成したことに甘んじず、引き続き「希望するすべての子どもが認可保育所に入所できる環境整備」を進める姿勢は評価します。また、施設整備と共に、車の両輪として保育の質の確保についても力を入れて取り組んできたものと認識していますが、今後さらに保育の質を高めるためにどのように取り組んでいくのか区の考えをお聞きします。
  • 今年の4月には、民営保育施設が200を超えるという状況の中で、すべての保育施設の保育の質の維持向上を図っていくためには直営保育園の果たす役割は重要と考えます。4月には直営園は31園となりますが、その役割を果たすにはぎりぎりの数だと考えます。今ある直営園はそのまま残すべきと考えますが区の見解をうかがいます。

区立小中学校体育館の空調設備の設置についてうかがいます。

  • 毎年の猛暑に、子どもの教育環境を整えるため、すべての小中学校の体育館にエアコン設置を決め素早く対応していることは評価しています。しかし一方で、気密性の低い体育館で猛暑の中エアコンを使えば室外機からは熱風が吐き出され、ヒートアイランド現象を加速させ、温暖化にも拍車をかけます。これに配慮し適正にエアコンを使う運用が何よりも大事です。これまで学校で、エアコンが動いている教室で窓が開けっぱなしにされていたり、温めすぎ、冷やしすぎなど不適切な運用を目にしてきました。教師へのエアコンの適正運用の徹底と子どもへの省エネ教育をどのように進めるのか、区の見解をうかがいます。

次に「区政運営に臨む基本姿勢」について質問してまいります。

  • 2020年度は新たな基本構想に着手することになりますが、これまでの基本構想10年の成果と課題をどのようにとらえているのか。また、その成果と課題、さらに新たな取組みを新基本構想策定につなげ、次の10年の杉並区のありたい姿をどう描いていくのか区長の考えを伺います。
  • この1月からパリ協定が発効し、世界では温暖化を気候危機ととらえ対策を強める取組みが広がっています。しかし、日本では、昨年12月のCOP25で経済産業大臣が石炭火力発電所を選択肢として残すと発言し不名誉な化石賞を受けたことに象徴されるように、本気で取り組む姿勢が見えません。プラスチックの海洋汚染問題についても同様に、世界で大きな動きとなっている中、取り組みが弱すぎると言わざるをえない状況です。これらの問題は私たちの暮らしを根底から覆すもので、未来にわたってこの地球環境をより良いものにして引き継いでいくためにはどうしたらいいのか、今の私たちに突き付けられている重大な課題です。区民一人ひとりの行動が重要となることから、区は環境優先の考え方を新基本構想の根底に置き、策定に臨んでいただきたいと考えます。区が保育緊急事態宣言を出して一丸となって待機児を解消したように、気候危機に対しても区が旗振り役となって取り組みを進めてほしいと思いますが、区の考えを伺います。
  • また、住んで心地よい杉並にさらにしていくために、あらゆるまちづくり政策に昨今注目されているグリーンインフラの考え方を取り入れることを求めますが、区の見解を伺います。
  • 区長は一人ひとりの区民の力こそが区のかけがえのない財産であり、誇りだとし、区民とともに明るく希望にあふれた杉並を築いていくと述べられており、強く共感するところです。次の基本構想はNPOなども含む幅広い区民とともに策定に取り組むべきであり、その上でともに基本構想を推進していくパートナーとして位置づけるべきと考えますが、区の見解をお聞きします。
  • また、この区民の中には、社会の一員として共に生きる子どもも参加し意見を述べる場をつくるべきと考えますが、合わせて伺います。
  • 次に商店会の補助金不正受給問題について、うかがいます。関わった商店会からは取り消した補助金及び法定利息等について、その全額が区に返還されたと報告されています。ハロー西荻やおわら風の舞は多くの区民に楽しまれてきた中で、西荻商店会の皆さんが厳しい返還要求に即時に誠実に対応し、区民への信頼回復に努められました。また当該の商店会は新体制のもとで商店会の新たな発展をめざしています。商店会の努力に応え、西荻の風物詩ともなっていた祭りの復活に向けた区の支援が期待されます。西荻商店会で、新年度以降ハロー西荻とおわら風の舞を実施する準備があるのかお聞きします。実施する場合、これまで同様東京都と区が補助金を出すことができるのかを確認します。

3.ここからは20年度の予算編成方針の基本的な考え方について質問いたします。

まずは、都市計画道路の整備についてです。

  • 戦後まもなく計画された都市計画道路のなかには、その後住宅が立ち並び大規模な立ち退きを要するため、必要性の有無から検討すべき道路も少なくありません。そこに住み続けている人々の暮らしを奪う計画には賛同しがたいものもあります。基礎自治体として区は、そこに住む区民の意向を尊重しながら進め、都や国に対しては強引に進めることがないよう求めるべきと考えますが見解をうかがいます。

認可保育所の施設整備についてうかがいます。

  • 乳幼児期の外遊びは子どもの健全な育ちにとても重要な要素だと認識しています。この度、区は認可保育所に対する園庭確保支援としての助成制度を創設するとありますが、具体的にはどういうものなのか。土地の確保が物理的にも経済的にも厳しい状況にある杉並区において、実際に園庭確保がどの程度すすむと想定しているのか、区の見解をお聞きします。

学童クラブの施設整備についてうかがいます。

  • 保育園の待機児童問題が学童クラブ待機児童につながっています。4月の学童クラブ待機児童解消に向けて、これまで待機児童が多かった地域ではどのような対策を講じていくのかお聞きします。
  • 児童館の遊戯室を育成室に転用するだけの対策では不十分であり、抜本的な学童クラブ待機児童対策に踏み出す必要に迫られています。浜田山児童館や堀内南児童館を学童クラブ専用館にするなど対策を講じていますが、人数が大規模になるクラブの保育の質をどう継承するのか、うかがいます。

次に、会計年度任用職員制度導入についてうかがいます。

先日1月20日の朝日新聞報道に、「待遇改善?非正規公務員の困惑」との見出しで、非正規公務員の新制度がかならずしも国の狙い通りに年収が上がらず、下がるケースもあることが吹田市の例で紹介されていました。吹田市では4月に新制度を導入した後、毎年6月と12月にボーナスを支給する案ですが、6月のボーナスは前年の11月から4月までの勤務が対象で、最初のボーナスとなる6月分は、4月の勤務だけが対象で満額の3割程度との内容でした。4月から3月までが任用期間となる非正規職員には1年ごとの採用という建前の中で、雇用が継続すればよいが、更新が終わって、再度雇用される際は同じ問題が起こることになります。

  • 区においては、新制度移行に伴い、これまで継続して働いてきた非正規職員のボーナスは具体的にどのようになるのか、確認します。また、更新期間を超えて、新たに他の部署に変わった際はどのような取り扱いになるのか、新規採用はどのような扱いとなるのか、確認します。
  • 区の職員の4割に近い非正規職員の力なくしては行政運営が成り立たない現状です。現在の人数に加え、今後どの程度の人数を必要とするのか、確認します。
  • 人的資源を失わないためにも5年を雇止めとする任用の在り方を改めるべきと考えますが区の見解をお聞きします。

4.ここからは基本構想の5つの目標についてうかがっていきます。

まずは1つ目の目標「災害に強く安全・安心に暮らせるまち」についてです。

  • 3.11当日セシオン杉並のホールで毎年3.11を忘れない集会を開催し継続して福島の現実と向き合ってきたことは高く評価しています。今年はどのような目的でどのような企画を検討しているのかうかがいます。
  • 毎年優れた企画でありながら、区民の参加が少なく残念です。事前の周知に工夫を要すると思いますが、区の考えをお聞きします。
  • 発災直後3日間を乗り切るためには自助力、互助・共助力を高めていくことが重要です。ライフラインの寸断を想定した訓練を広く地域住民に呼び掛け、自分事としてとらえ備えていくことが必要だと考えます。そのためにも、防災計画の見直しにあたっては、様々な立場の地域住民の参加が必要不可欠と考えますが区の見解はいかがでしょうか。
  • 区内全域道路の危険ブロック塀の解消のための助成制度については我が会派から要望したことでもあり歓迎するところです。危険ブロック塀はどの程度の箇所を想定しているのか、またどのように助成制度を周知し、実施していくのか、確認します

ここからは「暮らしやすく快適で魅力あるまち」についてです。

  • まちづくりについては、自動車優先ではなく、高齢者やベビーカー、車いすの方も通行しやすく、環境にやさしい自転車が安全に走れることも重要です。交通の便利さだけを追求するのではなく、誰にとっても歩きやすくやさしい道路、通りたくなる魅力あるものにしていくためには様々な区民の声を聴きながら、ともにつくっていくことが重要と考えますが区の見解をお聞きします。
  • 京王線連続立体交差事業は、沿線住民から開かずの踏切早期解消のために、地下化が求められながら東京都が高架計画を決定し進めてきたため、未だ3分の1の買収ができず、今後何年かかるか見通しも立っていません。西武新宿線の連続立体交差事業は、中野―野方間が地下化で順調に工事も進みつつあるのに対し、上井草駅から西が高架で決定されました。井荻―下井草方向も高架化の動きが出てきました。この間の調査で地下方式と高架方式の費用はほとんど変わらず、立ち退きや騒音被害のない地下方式が優れており工期も短いことが明らかです。区として改めて井荻―下井草区間の地下化を求めるべきと思いますが、見解をうかがいます。
  • 杉四小跡地を活用したホームステイ・ホームビジット支援事業で杉並の魅力を来街者に伝えることが示されました。この案には賛成するところですが、具体的には杉四小をどのように使ってその事業を行おうとするのかうかがいます。
  • 平和首長会議総会への出席と中学生の広島訪問について、杉並区は田中区政になり平和首長会議に参加するようになったことを私どもは大変嬉しく思っています。被曝75周年の節目の年に、田中区長が総会に参加されることは意義深いものと考えます。被曝75周年にむけた区長のお考えをお聞きします。
  • 会派の中から毎年広島を訪問し、韓国人慰霊式典や全体の式典に参加し、また改修前、改修後の平和記念資料館を視察してきました。諸外国からの若い世代や小学生のお子さんを連れた家族が多く訪れています。私達も毎年訪れることで新たな学びもあり、現地に赴くことの大切さを感じています。今年の中学生の広島訪問についてその規模と記念式典参加や、平和記念資料館見学などの予定があるのかお聞きします。

次は「みどり豊かな環境にやさしいまち」についてです。

  • 森林環境譲与税による基金の設置が提案されています。戦後の拡大造林政策によって、山の上まで植えられた杉やひのきの放置人工林が土砂災害や花粉症などを引き起こしています。豊かな水源の森が都市に住む私たちに飲み水を供給しCO2削減にも寄与していることから、杉並区民にとっても豊かな森を守ることは必要です。この税金を活用して、手を入れにくい山の尾根筋や急斜面を豊かな広葉樹の森に戻すこと、区民がその活動に参加し、大人から子どもまでが森の大切さを学ぶ機会を継続的に持つことを改めて提案いたしますが、区の見解をうかがいます。
  • これまでも食品ロスやプラゴミの削減、廃油の資源回収など提案し、実現もしていただきました。今回はそれらをさらに進めゴミをゼロにする「ゼロ・ウェイストすぎなみ」の取り組みを開始するという高い目標を掲げられたことをまず評価したいと思います。具体的にどのようにすすめていくのか伺います。

先日、杉並区の容器包装プラスチックが収集された後に運ばれる中間処理施設、さらにそこで選別圧縮されたものが商品としてリサイクルされている千葉県富津市にある工場を視察させていただきました。多くの区民が努力して分別していることがわかりましたが、最終処理の工場の周りには自治体から持ち込まれた多くの溶リプラが山積みされ、処理しきれないでたまっていることが容易に見て取れました。これまで輸入を受け入れていた中国がそれをやめた影響が大きいと聞きました。

  • プラスチック製容器包装のリサイクル問題を解決するためには行政や区民の努力だけでなく、そもそも製品を生み出す企業がゴミになるものをつくらない、リサイクルしやすいものをつくるという拡大生産者責任を求める法改正が必要だと思いました。自治体の負担も大変大きいことから、区はそれを求めてきていますが、世界が大きくプラスチックごみ削減に動き出している今、改めて法改正を強く求めるべきと考えますが区の見解をうかがいます。私たちも共に取り組んでいきたいと思います。
  • 旧あんさんぶる荻窪の屋上庭園について、この度地域開放が出来るようになったことが判りました。公園の少ない地域にできたことは重要です。国との協議の結果、どのような内容になったのか。地域の方々の意見はどのように反映されたのでしょうか。今後の管理の方法等住民参加や課題について確認します。

次は「健康長寿と支えあいのまち」についてです。

障がい者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられよう、緊急時の相談を行うコーディネーターの配置と一時的な障がい者の受け入れ体制の整備、円滑に地域の支援機関につなぐなど、障がい者の地域生活を支える体制を整えていくことが示されています。

  • これまで障がい当事者や家族・団体から、一時的な受け入れ施設が必要だとの要望が多く寄せられ、区がこれに踏み出すことは大変意義のあることだと受け止めています。この施策を進めていくためには、当事者や家族・団体との協議が最も必要だと考えますが、区の見解を伺います。
  • コーディネータ―配置や一時的な受け入れの整備など、それぞれの具体策をお示しください。

移動支援についてもうかがいます。これまで当事者や団体などから要望が強く、私どもの会派も様々な機会を通して要望してきました。すでに区は移動支援事業の見直しを進めています。

  • いつ見直し案が示されるのか、現在どのような状況にあるのか確認します。
  • 利用の制限や、年間を通した柔軟な利用時間などが具体的な内容としてあげられています。どのような内容が見直しの対象とされているのか、お聞きします。
  • 必要な人が必要な量を使える内容にするために、利用者目線での見直しが必要です。そのためにも障がい当事者や団体などとの協議が必要と考えますが、いかがでしょうか、お聞きします。

最後に「人を育み共につながる心豊かなまち」についてうかがいます

  • これまで区長は、教育環境の整備を自らの役割とし、就任早々教室へのエアコン導入を進めて評価を得てきました。また教育委員会の独立性・中立性を支え、行政による教育支配を排してきました。今回打ち出された「学校就業時間外の管理権限を区長部局に移す方向」はどのような目的で行われるのか、またどのような体制を考えているのか。教育委員会との連携、教育委員会の独立性はどのように担保されるのか確認しておきます。

杉並区がめざす「人を育み共につながる心豊かなまち」とは、障がい者、高齢者、子ども、外国人、性的マイノリティの方々など、様々な立場の人たちを誰一人取り残さない多様性を受け入れる共生社会をつくることだと考えます。

日本が批准した障害者権利条約24条は障害者が他の者と平等に、自己の生活する地域社会において初等中等教育の機会を与えられることを確保しなければならないとしています。

しかし中央教育審議会は、共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のために特別で支援教育を進めるとしており、インクルーシブ教育が特別支援教育で実現されるかのように表現されています。これは条約の趣旨に反していると考えています。区でも特別支援教育推進計画の中で、障害の有無にかかわらず、誰もが人格と個性を尊重しあい、互いの多様性を認め合う共生社会の形成に向け、特別支援教育を推進していくとしていますが、国の考え方と同じです。ただ一方で区は、特別支援教育の視点による学校・学級運営は、障害のある児童・生徒のみならず、すべての児童・生徒にとってわかりやすい授業の実践や、教育環境の整備につながるとも述べていることは重要です。すべての学校をその視点でつくり変え、特別な支援を必要とする子どもが通える場所にしていくこと、それは同時に不登校や様々な困難を抱えた子どもたちにとっても通いやすい場所になることであり、これを強く進めてほしいと考えています。

真の共生社会を目指すには障害がある子もない子も同じ場所で共に学ぶことが必要だと考えますが、区教委の見解をうかがい、以上でいのち・平和クラブの代表質問を終わります。

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