Q1)日本栄養士会災害支援チームが「災害時における乳幼児の栄養支援の手引き」を紹介し、区は有益だとの認識を示したが、その後区の施策において何が検討されたのか。救援所では授乳スペースは必須となったか。
A1 危機管理室長)「災害時における乳幼児の栄養支援の手引き」に関する検討状況と震災救援所の授乳スペースに関するお尋ねだが、手引きの中で紹介している液体ミルクについては9月から備蓄を開始したところだ。
また、震災救援所の授乳スペースに関しては、新たに「要配慮者テント」や「ワンタッチ式テント」の配備を進めるなど環境を整えたところだ。
Q2)授乳を支援するという観点から、震災救援所運営連絡会のメンバーの研修や訓練、マニュアルの見直しなどが必要だと考えるが、乳幼児栄養支援の実現に向けて区はどのように取り組んでいくのか。
A2 危機管理室長)震災救援所運営標準マニュアルでは、物資等配給時での女性への配慮については記載しているが、「授乳を支援する」との表記はないので、今後液体ミルクの取り扱いや要配慮者テントの設置等と合わせてマニュアルの見直しを行う。また昨年度、各震災救援所には要配慮者対策や授乳スペース確保のための施設の区割りを重点項目として依頼しているが、見直し後のマニュアルを踏まえた研修や訓練の実施についても、震災救援所会長・所長会などて働きかけていく。
Q3)災害時の妊産婦の栄養摂取について区はどのように考えているのか確認する。
A3 子ども家庭部長)妊産婦については妊娠経過に伴う心身の変化に応じた栄養や水分が必要であり、多くのエネルギーのほかビタミン、ミネラル等の摂取も重要だと認識している。区としては妊産婦と乳幼児が災害時要配慮者であり、きめ細やかな配慮が必要との考えのもと、震災救援所運営標準マニュアルに記載し、状況やニーズに応じて支援していく。
Q4) 災害時の乳幼児親子の支援には助産師との連携が欠かせない。そのため平時からの地域の助産師との連携が重要と考えるが、区ではどのような連携があるか。また災害対策の母子支援の検討に助産師や保健師からの情報提供や意見聴取の機会を設けることは可能か。
A4 子ども家庭部長)平時には区が実施している産後ケア事業において、妊産婦と乳幼児へのきめ細やかな支援があるほか、ゆりかご面接、すこやか赤ちゃん訪問などで、出産に向けての準備や乳幼児の発育・発達の相談や授乳指導などその専門性を生かした支援を連携しながら行っている。また現在妊産婦・乳幼児の避難所について杉並区災害時要配慮者対策連絡協議会の意見を聞きながら検討を行っている。今後の検討にあたって助産師等からの意見聴取の機会を設けることも考えていきたい。
Q5) 液体ミルクの備蓄は検討するとの答弁を得ているが、杉並区では液体ミルクの配布についてはどのようにしていくのか。
A5 危機管理室長)液体ミルクは温度管理が可能な防災課サーバー室のほか、高井戸災害備蓄倉庫、井草災害備蓄倉庫に大型冷蔵庫を設置して備蓄するが、今後備蓄場所は増やす計画だ。配布方法については液体ミルクを必要とする乳幼児が避難する震災救援所に救援隊本隊が搬送し配布することを想定している。
Q6)粉ミルクや液体ミルクの備蓄の消費期限が近づいたものを保育園やパパママ教室で一律配布することはWHOの国際基準に違反となるのではないか。
A6 危機管理室長)賞味期限が近づいた粉ミルクについては区内の保育園で有効活用しており、このことがWHOの国際基準違反には当たらないことは確認している。液体ミルクについては今後賞味期限が近づくものが出てくるが、納入を年5回程度に分けて行う事で期限の近づく備蓄を少量に抑えるとともに、乳児院への寄贈など有効活用策を検討していく。
Q7)災害時の乳幼児の栄養・授乳については内閣府ガイドラインで示されたリーフレットや、乳幼児支援団体のオンライン相談があるが、区はこれらを積極的に活用してほしい。区が妊婦や乳幼児がいる家庭向けに作成している冊子「災害の備え」にこれらの取り組み内容を反映させて普及させてはどうか。
A7 子ども家庭部長)災害時に安心して授乳できるようにするためには、妊産婦や乳幼児の心身の状況やニーズに合った栄養支援や、衛生面に配慮した環境整備に加えて平時からの情報提供が重要と認識している。区作成の冊子「災害の備え」に内閣府ガイドラインで示されたリーフレットや乳幼児支援団体オンライン相談等のアクセス先を掲載するなど、積極的な情報提供に努めていく。
Q8)内閣府ガイドラインには、地域防災計画や避難所運営マニュアル、庁内の防災・危機管理と男女共同参画、福祉部局等との連携地域防災リーダーの育成等について、女性の視点から取り組みを進め、地域の災害対応力強化するようにとされている。防災はあらゆる区民の事情に対応していかなければならないが、区においては防災の庁内横断的な連携をどのようにイメージし取り組んでいくのか。
A8 危機管理室長)防災における女性の視点については、防災会議委員への女性の登用、地域防災計画や震災救援所運営標準マニュアルへ女性への配慮を記載するなど取り組んできた。女性の視点については防災部門だけの対応は困難であり、男女共同参画や福祉部門との連携は必要不可欠と認識している。組織横断的な課題に対しては関係所管との連携を一層深め、協議・検討していく。
Q2-1)東京・生活者ネットワークが実施した「女性の安全・安心自治体調査」の結果を区はどのように受け止めたのか。
A2-1 区民生活部長)本年6月に公表された調査結果は、事前学習会や視察、ヒアリングなどを経て、都内23区25市の48自治体からの回答をさまざまな角度から分析・評価したもの。その中で杉並区は総合ランキングで11位で比較的高い評価だったと受け止めている。その一方で性暴力対策取り組みへの評価が低いとされ、詳細な分析が必要だと考える。
Q2-2)自治体のセクハラ対策は指針を作り職員に周知することが求められている。区ではセクハラ等の防止に関する規定や具体的なハラスメントの内容を示した取扱基準があるがそれらを職員にどのように浸透させているのか。セクハラ防止の研修について、対象や頻度、内容について問う。
A2-2 総務部長)セクハラ防止の職員研修については、平成30年度には管理職、31年度には係長、防止担当者を対象に1回ずつ実施。専門家を講師に招き、ハラスメント全般の知識や具体事例を通した解決方法を学んでいる。その他、メンタルヘルスや管理職昇任前の研修にも組み込みセクハラ防止の意識づけを行っている。区のセクハラ防止に関する指針や規定、基準の周知は各職場に配置した防止担当者が行っているが、今後とも周知徹底を図り職員に浸透させていく。
Q2-3,4)職員の相談窓口は、セクハラ被害当事者の視点がなければ相談しづらい。また、相談、その後の調査、救済の際には誤ったジェンダー観や、セクハラはコミュニケーションとして矮小化するような価値観があってはならない。相談しやすい窓口となるにはハラスメントについて人権意識を伴う専門性が求められるがどのように工夫して取り組んでいるのか。
A2-3,4 総務部長)区では身近な相談先として各職場にセクハラ等防止担当者を配置しており、必要に応じてより専門的な対応のために産業医4名と人事や男女共同参画担当の職員で構成する11名のセクハラ等相談員を配置している。職員からの相談には防止担当者と相談員が連携して対応し、相談者の意向により当事者双方や関係者からの聞き取りを行い、解決に取り組んでいる。
Q2-5,6)この3年間の職場内でのセクハラの相談件数を問う。当区はセクハラについて職員への実態調査を実施していない。相談ができずに我慢している人が多いという現実がある中で、セクハラのない働きやすい職場環境づくりためにみ、周辺の人の証言も含めて実態調査が必要だ。相談がなければセクハラがないわけではない。他自治体の例などを参考にアンケート調査を行ってはどうか。
A2-5,6 総務部長)各職場の防止担当者から相談員に上がってきた件数は平成29年度が3件、30年度が1件、令和元年度が2件です。セクハラの防止や適切な対応のためにはその実態を把握することが必要なので、今後他自治体の取り組み事例などを参考に実態把握を行っていく。
Q2-7,8)人権侵害であるセクハラの防止に向けて、区民への啓発活動が必要だが区の取り組みを問う。今年6月のパワハラ防止法制定と合わせ、男女雇用機会均等法のセクハラ防止対策も強化されたが、事業者に向けた区の対応を問う。
A2-7,8 区民生活部長)区民に対する啓発については、国が設定している男女共同参画週間及び女性に対する暴力をなくす運動期間に合わせ、毎年6月と11月に区役所ロビーでパネル展示や図書類の紹介を行っている。また、男女平等推進センターや区の広報・ホームページで適宜啓発活動を実施している。
事業者への対応としては男女雇用機会均等法の改正を見据え、昨年8月に東京都労働相談情報センターと、区内中小事業者を対象としたハラスメント対策及び労働時間管理等に関するセミナーを開催したほか、産業振興センターにおいて国が作成した法改正に関連するチラシやパンフレットを配布している。
Q2-9,10)区はデートDV啓発のためのカードやミニリーフレットを作成しているがどのように周知・配布を行っているのか。区の実施しているデートDVの出前講座の内容および受講者の反応を問う。
A2-9,10 区民生活部長)デートDVについては主に10代、20代の若者が被害者となっているため、カードやリーフレットは中学校、高校、大学など教育機関のほか、児童青少年センター及び体育施設に広く配布している。また出前講座は高等学校を対象に年2校程度実施している。内容は座学のほか、生徒自身にデートDVを体験するロールプレイ等を行っている。受講した生徒からは「理解が深まった」「相手を尊重する大切さを痛感した」「デートDVをしない、されないよう気をつけたい」などの感想があった。
Q2-11)デートDVは行けないことと生徒の意識の中にきちんと落とし込むことが重要だ。教育活動の中にも生かしてほしいが教育委員会の見解を問う。
A2-11 教育政策担当部長)学校では「自分の大切さと共に他の人の大切さを認める」という人権尊重の理念に基づき、保健体育や家庭科、道徳教育において男女相互の理解や共に協力し尊重しあうことの大切さについて指導してきました。さらに次年度からは、保健体育の教科書にDVという言葉が示され一層指導内容が明確になる。
今年度は中学校でも出前講座を実施するので、取り組み状況を中学校間で共有しさまざまな機会をとらえて生徒を被害者にも加害者にもしないという視点で取り組みを広げ、生徒の心を育んでいきたい。
Q2-12) 男女平等政策を進めるためにはジェンダー主流化が重要なポイントと考えるがいかがか。
A2-12 区民生活部長)「ジェンダー主流化」は1997年の国連経済社会理事会において定義付けられたもので、すべての政策的課題において①男女間の格差を明らかにする ②その格差を縮める、もしくは解消するための戦略を策定する ③戦略を実行するための資源を投入する ④戦略の実施状況をモニタリングし必要な見直しを行う という4つのステップで取り組むことと理解している。本区における男女共同参画の取り組み方針についてはこの考え方のほか、来年度以降に男女共同参画行動計画の次期改定を図る中で、各方面からの意見を聞きながら検討していく。