第4回定例会一般質問と答弁 2022.11.18そね文子

コロナ禍での生活が子どもに与える影響と対策について

【Q1】 区は、子どものコロナ禍での生活をどう捉え、苦しい状況にある子どもたちの支援をどのように行っているのか、うかがう。

【A1 (区長)】 コロナ禍での子どもたちは、自粛生活や生活様式の変化の中で、家庭での生活を窮屈に感じていたり、学校で思いどおりの活動ができないことでストレスを感じていたりするほか、保護者がコロナ感染の不安から、保育園や学校の登園・登校を制限することもあるなど、コロナ前とは大きく異なる環境で生活している状況にあると考えている。

区では、苦しい状況にある子どもたちへの支援として、子どもと家庭の総合相談窓口「ゆうライン」で、悩みや不安を抱えている子どもたちの相談を受け付けるほか、児童精神科医による「子どものこころの相談」の実施、また、関係機関から情報提供があった子どもについては、要保護・要支援児童として継続的な支援をしているが、決して十分ではないと認識している。

今後は、苦しい状況にある子どもたちが、より相談しやすい環境を整備することや、家にも学校にも居場所のない子どもが、安心して自分の時間を過ごすことのできる環境の提供、また、ヤングケアラーのように、姿が見えにくく苦しい状況にある子どもの発見の感度を高めていくなど、子どもへの支援策の充実を図ることが非常に重要であると考えている。

【Q2】 マスク着用に対する教育委員会の考え方をうかがう。

また、区の作成したガイドラインにあるマスク着用の考え方について、学校や保護者に周知することが必要だと思うが、どのように行われているか。HPに掲載されている教育長からのメッセージを保護者に出すなど、より積極的な対応を求めるが、教育委員会の考え方をうかがう。

【A2 (教育長)】 教育委員会では、区立学校における感染症対策に関する考え方や、感染者が出た場合の具体的な対応方法を共通認識するために、「杉並区学校感染症対策と学校運営に関するガイドライン」を策定し、これに沿って、教育活動を極力止めることなく、学校運営が円滑に進むよう取り組んできた。

マスク着用の取り扱いもこの中で定めており、国からの通知に基づき必要な改定も行っている。現在は、屋外において人との距離が確保できる場合など、具体的には登下校や体育の授業などの場面ではマスクを着用する必要はないことを定め、これを適正に運用していくことが必要であると考えている。

特に夏の時期は、熱中症などを発生させないよう、ガイドラインに沿って、マスクを外す指導をためらわずに行うよう、学校に働きかけた。ただし、さまざまな理由によりマスクを外すことのできない児童生徒に対しては、適切な配慮と対応を行うよう指導している。

今後もさまざまな機会を捉え、適切なマスク着用の取り扱いについて、児童生徒、保護者や学校に対し、周知を進めていく。

【Q3】 政府が5月に示したマスク着用の判断基準が書かれたポスターは厚労省のHPからダウンロードできるので、これを区立施設に掲示するなど広く周知する等、区民への周知について区の考えをうかがう。

【A3 (杉並保健所長)】 新型コロナウイルス感染症の基本的な対策として、マスクの着用は極めて重要であり、会話をする際などにはマスクを着用していただくよう区民にお願いしている。一方、マスク着用が長期化する中で表情が見えにくくなることによる影響を懸念する声があり、国において本年5月にマスク着用についての考え方が明確化された。

現在、区教育委員会のHPにおいて、子どものマスク着用についてのポスターを掲載しているが、今後、区のHPにおいても、大人向けの屋外・屋内でのマスク着用についてのポスターを掲載するなど、マスク着用の考え方について、関連する各部署と連携して区民への周知に努めていく。

【Q4】 国立市のある学校で、みんなの顔が見えるよう椅子を輪に並べ、話はせずにマスクをとるニコニコタイムを設けている。小学校1年生などの入学直後にこのような時間を設けてはいかがか。マスクを外しやすくするひとつのステップとして、校長会などで情報提供していただきたいと思うが、考えをうかがう。

椅子を輪にして座ったときに、少しのお話ができること、そのようなことをぜひ試みてほしいと思うがいかがか。

マスクを着けることが当たり前となり、今やマスクをとるのが恥ずかしいと感じるようになってしまった子どもの状況には配慮しつつ、教育委員会にはぜひコロナ前の日常を取り戻すため、先頭に立って子どもや保護者に働きかけてほしいと思うが、考えをうかがう。

【A4 (教育政策担当部長)】 コロナ禍によりマスクを着用することは日常となっているが、円滑なコミュニケーションを図るためには、相手の顔を見ながらやりとりすることが大切と考える。そのためには、感染の状況やさまざまな考え方はあるものの、学校では、ガイドラインに基づいて可能な場面でマスクを外すよう指導することが必要だ。

議員ご指摘の取り組みついては、たとえば、体育の授業でマスクを外し、互いの動きのよさを声に出して伝え合ったり、励まし合ったりする活動を通して、広げていく。

また、顔を見られることが恥ずかしいという理由や、感染に対する不安からマスクを外せない子どももいる。教育委員会としては、そうした子どもたちの気もちによりそい、スクールカウンセラーをはじめとする心理職の支援等を活用しながら、マスクを外すことについての理解・啓発に努めていく。

【Q5】 区教委における黙食についての考え方をうかがう。

給食の時間に子どもがしゃべっただけで厳しく注意を受ける状況が3年間も続き、注意を受けた子どもだけでなく、すべての子どもが閉塞感を感じることは想像に難くない。一刻も早く黙食をやめていただきたいと思うが、考えをうかがう。

【A5 (教育次長)】 食事中の会話については、完全に禁止するものではないが、各学校の教室内での児童生徒の座席間隔は約60㎝と十分な身体的的距離が保てない環境となっている。このため、マスクを外した状態での会話による飛沫感染を防止する観点から、区のガイドラインでは、給食の際は児童生徒が対面する喫食形式を避け、食事中は会話を控えること、食後はすぐにマスクを着用することとしている。そして、各学校においては、このガイドラインを踏まえ、感染状況に応じて、児童生徒に対し必要な指導を行うこととなる。

教育委員会としては、このガイドラインの内容は、児童生徒本人に限らず、その家族への感染を避ける目的もあることから、新型コロナウイルス感染者数が増加しつつあり、季節性インフルエンザとの同時流行も見据えた対応が求められる状況下においては、現在の方針を継続することで、学校における感染拡大を防止し、学校教育活動の継続に努めていく必要があると考えている。

不登校の子どもの支援について

【Q6】 昨年度の区立小中学校における不登校児童生徒数と、全校児童生徒に占める割合をうかがう。

区では、その増加の原因をどのように分析しているかうかがう。

【A6 (教育政策担当部長)】 昨年度の本区の不登校児童性数は、小学生267名、中学生437名、合わせて704名となっており、全児童生徒の2.51%となっている。

不登校児童生徒数が増加している背景には、コロナ禍による学校での教育活動が制限されたこと、友人や仲間との関わりが不足したこと、学びの選択肢が広がったこと等、多様な要因があると認識している。

【Q7】 すべての保護者に、不登校は誰にでも起こりうること、もしそうなったときに相談できる窓口などについて周知してほしいとの要望がある。区教委の見解をうかがう。

すべての教員が不登校に関する知識を学ぶ必要があると考えるが、研修などは行われているのか、行われているのならどのような内容かうかがう。

世田谷区では、不登校、行き渋りの対応についての冊子が作られ、HPでも見られるようになっている。このような冊子を杉並区でも作り、先生や保護者に渡せれば、大きな助けになる。作成を検討してほしいが、考えをうかがう。

【A7 (教育政策担当部長)】 不登校は問題行動ではなく、児童生徒が置かれた状況や環境によってどの子もなり得るということを、今後いっそう理解啓発していくことが重要と認識している。

教育委員会では、HPにおける相談窓口の紹介や、区教育相談パンフレットの配布等を行っているが、周知の方法については今後も工夫していく。

また、教職員の研修としては、職種や経験年次に応じて、不登校児童生徒が生じない魅力ある学校づくりについてや、区内関係機関との連携のしかたなどのテーマを設定して、不登校への理解を深めている。

さらに、児童生徒の不登校状態への理解に関する冊子については、世田谷区作成の冊子や東京都作成の『児童生徒を支援するためのガイドブック』などを参考に、今後、作成に向けて検討していく。

【Q8】 不登校の子どもが急増する状況で、すべての学校で別室登校を認めることを徹底してほしいと考えるが、教育委員会ではどのように取り組もうとしているのかうかがう。

【A8 (教育政策担当部長)】 不登校児童生徒が増加する中で、別室での登校も含めて、児童生徒一人ひとりの思いや状況をていねいに確認しながら対応すべきものと認識している。

不登校児童生徒の居場所づくりに向けて、地域人材と連携した取り組みや、教職員による組織的な取組等を進めているが、学校では人的な課題や場所の確保に関する課題等もある。さまざまな学校の状況に応じながら、改めてすべての学校へ周知していく。

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