Q1 精神障がいの人は毎日9時から5時という就労形態が難しい状況にあると聞いている。法定雇用率によらない多様な雇用形態で就労が可能になればより多くの精神障がい者が就労により社会参加できると考えるが区の見解を問う。
また、本年4月には障がい者の地域生活や就労支援の強化により、障がい者の希望する生活を実現させるため改正障がい者総合支援法が施行されている。障がい特性により長時間勤務が困難な人で、週10時間以上20時間未満で働く重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者を雇用した場合、特例的な取り扱いとして企業の法定雇用率の算定の際に0.5人としてカウントできることになった。この改正によって区内の障がい者の就労はどのような変化があったか。
A1(保健福祉部長)障がい特性によりフルタイム勤務が難しい人にとっては短時間の雇用形態があることで就労の機会が増えると考える。本年4月より10時間以上20時間未満の短時間労働者が法定雇用率に算定されることから、ワークサポート杉並での新しい取り組みとして、週2日程度の通所を通じて働くための基礎能力や専門的な技能を習得できる「重度障がい者スタートアッププログラム事業」を開始した。事業開始の4月から9月までの間に9名が利用し、そのうち就労移行支援事業と短時間就労にそれぞれ1名が進んだ。このように短時間就労の障がい者が法的雇用率に算定されることを受け、民間企業への雇用が増えていくものと考える。
Q2 区の就労支援センターで障がい者の就労支援を連携して担うことによって、杉並区では丁寧な就労支援が行われているが、障がい者の就労支援について就労支援センターの取り組みや課題を問う。
A2 (産業振興センター所長)就労支援センターでは若者就労支援コーナーすぎJOBとジョブトレーニングコーナーすぎトレと連携して、臨床心理士による心としごとのそうだんをおこなっている。より丁寧な面談等で正確なアセスメントを行うとともに、個々の状況に応じてワークサポート杉並につなげるなど利用者に寄り添った就労支援を行っている。課題としては、特にジョブとレニングコーナーすぎトレいおいて、通常の訓練期間である6か月では次のステップに移行することができない利用者が多いことがあげられる。個々のニーズや状況に応じて支援期間の延長をしながら伴走型の支援に努めている。
Q3 ワークサポート杉並やジョブトレーニングコーナーすぎトレでは本人に寄り添った支援が行われている。このような支援についてどのような周知を行っているのか。ワークサポート杉並やジョブトレーニングコーナーすぎトレにサポートを受けたい人が多くいると予想されるが、待機はでていないのか。今後受けられる数の拡大などは検討しているのか状況を問う。
A3(保健福祉部長)ワークサポート杉並ではホームページ、区内障がい者施設やハローワークへのチラシ配布のほか、特別支援学校を訪問して周知を行っている。すぎトレでは広報すぎなみへの定期的な掲載、公式ホームページ、フェイスブック、エックスなどで案内するとともに、就労関係機関や区内高校、大学、専門学校にチラシを配布している。
ワークサポート杉並の利用状況は、各事業の利用枠に余裕があり待機者は出ていない。利用登録の定員はないのでいつでも登録ができる。すぎトレについても待機者はない。今後利用者が増えた場合には、必要に応じて職員を増員するなど対応していく。
Q4 先日「超短時間雇用モデルと地域でのインクルーシブな働き方」という勉強会に参加した。超短時間モデルではマッチングを担う部門が企業で困っていることを聞き、その業務を切り出しマッチングを行うが、雇用者と労働者はともにウィンウィンとなるのが重要とのことだ。人出不足で困っている企業や商店と、短い時間しか働けない障がい者が社会参加をして地域で喜ばれ、対価も得られる。この取り組みについて区の認識を問う。
A4(保健福祉部長)現在ワークサポート杉並の支援により、飲食店で一つの調理工程に特化した就労をしている人がいる。この人は超短時間雇用ではないが、障が特性より一つの工程に集中して働くことが得意な人もいるため、業務の切り出しによるマッチングという考え方は、雇用者、障がい者双方に有益となるケースがあると考える。今後のワークサポート杉並の新たな就労先の開拓にあたっては超短時間雇用も含めて取り組んでいく。
Q5 児童養護施設に入所している子どもが高校で不登校になり、就労も難しいことから卒業と同時に生活保護を受けることになるという話を聞いた。施設退所前にすぎトレやワークサポートの情報が児童養護施設に伝わり、就労のためのサポートを受けるなど何か対処ができたのではないか。
A5(子ども家庭部長)各児童養護施設においては児童自立支援専門員を配置し、子どもたちの自立に向けて就労や進学、一人暮らしなどに向けた支援が行われている。しかし、虐待など入所に至った経緯によっては心のケアや継続した医療などが必要な子どももいて、自立につながったあとも地域における引き続きの支援が必要である。こうしたことから区では、施設を退所した社会的養護経験者など支援が必要な若者を対象に、相互交流や情報の提供、相談や助言などを行う「社会的養護自立支援拠点事業」を来年度から準備を進め、令和8年11月の区立児童相談所開設に合わせて実施する予定だ。今後こうした事業を通じて個別の状況に応じてすぎトレやワークサポートを活用するなど必要な支援につなげていく。
Q6ワークサポート杉並では働いている人々が集まる交流会などの余暇活動がありとても良いと思うがどのような活動なのか。
A6(保健福祉部長)障がい者本人や家族向けの交流会のほか、月1回ワクサポ広場を開催し、週初期後の不安や悩みの解消やビジネスマナーの再学習、仲間とのレクレーションなど、働く障がい者の余暇の充実を図っている。
Q7 公募プロポーザルでひきこもり当事者や家族の相談事業と居場所事業を行う事業者の募集が行われているが、来年4月1日から 開始予定と聞いている。このような居場所と就労支援の連携は必須だと考えるが、居場所の目的と就労支援の連携について見解を問う。
A7(保健福祉部長)居場所事業の目的は、当事者に安心できる場を提供しそこでの活動や懇談を通じて自己肯定感や生きる意欲を高め、社会とつながることができるようになることです。居場所と就労支援との連携は、社会との接点の少ない引きこもりの人が直ちに「就労による自立」を目指すことは難しく、まずは本人が安心していられる居場所を提供したうえで、社会や他者とつながる機会を提供することが必要だと考える。そのうえで就労を希望する人にはウェルファーム杉並にある就労支援センターなどの相談機関と連携し、まずはボランティアや短時間就労などの社会体験の場を提供するなど、段階を踏みながらきめ細やかな支援を行っていく。
Q8 ウェルファーム杉並ではひきこもり家族会と当事者がそれぞれ月1回居場所を開いているが、家族会や当事者と就労支援との連携や情報提供はどうなっているか問う。
A8(保健福祉部長)引きこもりの家族会や当事者が直接就労支援窓口と連携することはないが、区と家族会や当事者会トンの間で実施している懇談会の中で各種相談機関が実施している取り組みの情報提供を行っていて、求めがある場合には就労に関する情報提供もしていく。