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第2回定例会一般質問「ケアラー支援について」質問と答弁 2022.5.25 奥田雅子

【Q1】 厚労省が策定した「市町村・地域包括支援センターによる家族介護者支援マニュアル」にある具体的な取り組み手法や事例が参考になるとともに、現在の区のケアラー支援となる事業の検証や不足している部分などの課題の抽出にもこのマニュアルは有効だと考える。このマニュアルを区はどのように活用したのか伺う。

このマニュアルに示されている「相談・支援フロー」を機能させることが最初の入り口としてとても重要だと考える。ステップ1から4までを機能させることで、ケアラー支援が適切に組み立てられると思うが、区の認識を伺う。

【A1-高齢者担当部長】 区では、地域包括支援センター、ケア24に当該マニュアルの周知を図り、各ケア24では要介護者はもちろんのこと、在宅で介護を行うご家族等に対する支援も重要なものと捉え、個別相談や支援に活用している。

マニュアルに示されている相談・支援フローが機能することで、家族介護者への適切な支援につながることから、ケア24ではステップ1初期相談からアセスメントシート等を活用し、家族介護者の相談内容を客観的に評価、分析し、ステップ2の緊急性の判断やステップ3の支援方法の検討、決定を行っている。

また、ステップ4の「地域支援ネットワークへのつなぎ」では、地域ケア会議を開催するなど関係機関で連携し、地域で高齢者や家族介護者を支えることができるよう取り組んでいる。

【Q2】 レスパイトケアとしてショートステイサービスがあり、それに助けられたというケースもある一方で、条件があって使いにくい、経済的な負担になるなどの課題も指摘された。緊急ショートステイは対象となる条件があるため、ケアラーの休息という使い方とは少し違う。ケアラーがゆったりと休息できるという視点からミドルステイや要件を緩和して、使いやすくしていくことも必要ではないか、区の見解を伺う。

【A2-高齢者担当部長】 介護保険のショートステイは、介護者が病気などで介護できない場合のほか介護者の休息いわゆる「レスパイトケア」もその目的の一つとしており、連続で利用できる日数は原則30日までとなっている。なお、ショートステイは「要介護者が在宅生活を継続する」ために必要なサービスであることから、区としては30日を超えるミドルステイ等の希望があった場合、まずは数か月入所できる介護老人保健施設の情報提供を行っていく。

また、緊急ショートステイは、介護者の休息を目的としてはいないが、今後もさまざまな場面で介護者のニーズを把握し、ケアラーの休息にどのようなサービスが必要か研究していく。

【Q3】 「ほっと一息 介護者ヘルプ」は、ケアラー支援の観点からするともっと多くのケアラーに利用してほしいので制度の周知を徹底すること、利用できる上限枠も拡充してほしいと考えるが区の認識を伺う。

「ほっと一息 介護者ヘルプ」や「認知症高齢者家族やすらぎ支援」「介護者の心の相談」はよい仕組みだと評価しているが、利用者の少ないのが残念。もっと周知していくと同時に、利用者あるいは未利用者からのアンケートを実施する等して、課題があれば見直すことも必要ではないか、区の見解を伺う。

【A3-高齢者担当部長】 介護している家族の休息を目的として「ほっと一息 介護者ヘルプ」や「認知症高齢者家族やすらぎ支援」などの家族介護支援サービスを実施しているが、サービスの上限枠の拡充などについては利用者の実情を把握するとともに、今年度実施する高齢者実態調査の結果を踏まえ検討する。

また、区広報やホームページで周知するほか、ケア24やケアマネージャーからサービスが必要な家族に情報が適切に届くように努めていく。

【Q4】 区は小学生にも一定数のケアラーがいるという調査結果をどのように受け止めたか。中学生に引き続き、区内小学校で対象になった学校はあったのか。

厚労省の調査でも、「相談したことがない」との回答が5~6割あり、特に「学校の先生、スクールソーシャルワーカーなど、本来相談すべき相手に相談していない」という回答を学校関係者は重く受け止めなければならない。ほかにも「誰かに相談するほどの悩みではない」「相談しても状況が変わるとは思えない」との回答を認識しておく必要があり、それを前提にした対策を立てることが必要だと考えるが、区の認識、見解を伺う。

【A4-教育政策担当部長】 この調査については、杉並区でも対象になった小学校はあった。教育委員会では、小学生にも一定数のヤングケアラーが存在するという結果を受け止め、教職員への理解啓発を継続するとともに、適切にサポートしていくことが重要であると再認識した。

引き続き、生活指導主任会や養護教諭研究会、スクールカウンセラー連絡会等で、チラシ等を活用してヤングケアラーの理解に関する研修を進めていく。さらに、児童・生徒に対して、家庭や家族のことであっても、困ったことがあった際には学校に相談できることを児童・生徒に周知し、それに応えるべく相談体制の充実を図っていく。

【Q5】 国は、ヤングケアラーの実態調査や、福祉・介護・医療・教育等の関係機関職員への研修を実施する地方自治体への財政支援のほか、関係機関と支援団体とのパイプ役となる「ヤングケアラー・コーディネーター」の配置、ピアサポート等を行う団体への支援、ヤングケアラー同士が悩み等を共有し合うオンラインサロンの設置運営・支援等への財政支援など、支援体制強化に向けて予算化を行っており、どれも今後必要となる仕組みである。この予算を有効に活用すべきと思うが、区の見解を伺う。

 

【A5-子ども家庭部長】 ヤングケアラーへの支援を強化するためには、これまでの学校や子ども家庭支援センターに加え、潜在的なヤングケアラーの発見が可能な高齢者部門、障害者部門等との組織横断的な取り組みが重要と捉え、昨年度末から関係各課で構成する検討組織を設置する準備を進めている。

今後、介護保険事業者や障害福祉サービス事業等へ、ヤングケアラーの認識を深めるための効果的な周知方法や、支援につなげる方策、区の実情を把握する実態調査の実施等の検討を進め、その中で、補助金等の活用についてもしっかりと検討を進めていく。

【Q6】 「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル」が策定された。学校関係者や保健、福祉、医療分野、地域、ヤングケアラー当事者とその家族向けが一つにまとまったマニュアルとなっており、各関係機関と共有していただきたいが、マニュアルの活用について区の見解を伺う。

【A6-子ども家庭部長】 ヤングケアラーへの支援においては、さまざまな機関による気づきや発見が非常に重要なことから、まずは関係機関がヤングケアラーに関する認識を深める取り組みを実施していく。

また、支援マニュアルの共有についても、その一助となることから、その活用を検討していく。

【Q7】 ヤングケアラーはやがて年代も移っていくが、その時々の支援が重要であり、最初の入り口である相談にいかにつなげる、つながるためには、周囲の理解だけでなく、ヤングケアラー自身が「つらい」、「助けて」と発信してよいと思える仕組みを作らなければならない。組織を超えて連携して具体的に動くときだと考えるが、区の見解を伺う。

【A7-区長】 先ほど議員から、国の調査結果では小年生の6.5%が「世話をしている家族がいる」という話があった。その子どもたちは「自分の時間がとれない、勉強する時間がない」と回答している一方、1日7時間以上世話をしている子どもの35.6%は「特に大変さは感じていない」とも回答していると聞いている。この調査結果から、ヤングケアラーが非常に厳しい状況にあることを改めて認識したところだが、特に私が気になっている課題は、多くの子どもが、自身がヤングケアラーであることを自覚していない状況にあることだ。そのため、さまざまな関係機関がヤングケアラーの存在に気づき、支援につなげていくことが大変重要と考えている。加えて、子ども自身が安心して相談できる仕組みも大事であるし、ケアが必要な家庭が複合的な課題を抱えている場合は、関係機関が連携し、支援する必要があると考えている。

こうした複数の所管にまたがる具体的課題を解決していくためには、かねてより私は、役所内の縦割り意識を変革し、スピード感をもって、組織を超えた連携をしていくことが不可欠だと感じている。

ヤングケアラーへの支援は、まさに組織横断的な課題であるので、子ども、教育、高齢者、障害者の各部門が所管の範囲を超え、積極的に課題に立ち向かっていくための具体的な動きをしていくことが必要と考えている。

議員ご指摘のように、課題解決に向け具体的に動いていくときだと捉えているので、組織横断的な検討を進め、効果的なヤングケアラーへの支援策を構築してまいりたいと考えている。

第2回定例会一般質問 奥田雅子  2022.5.25

いのち・平和クラブの一員として通告に従い、ケアラー支援について質問します。

私は、この間、ケアラー支援について何度か取り上げてきましたが、改めてケアラーとは何か確認すると、日本ケアラー連盟の定義では、ケアラーとはこころやからだに不調のある人の「介護」「看病」「療育」「世話」「気遣い」など、ケアの必要な家族や近親者、友人、知人などを無償でケアする人のこととなっています。現在の日本の介護者の約7割は家族が担っている状況です。

昨今では、ヤングケアラーという言葉がメディアでも頻繁に取り上げられ、注目を集めていますが、ヤングケアラーに限らず、少子高齢社会はすすみ、家族形態の変化、共働き世帯の増加、貧困格差の拡大、地域コミュニティのつながりの希薄化などから、ケアラー自身は心身の健康を損ねていたり、経済的に苦しんでいたり、精神的に追い詰められていたり、孤独を感じ、社会的に孤立していたり、理解と支援を求めていたりといった厳しい状況にあります。ケアラー支援がないと社会に様々な深刻な問題が生じると言われています。例えば、医療費や介護費用の増加、労働力不足、税や社会保険料負担者の減少、少子化のさらなる進行など、社会活力の低下は計り知れません。また、ヤングケアラーに至っては進学ができない、望む仕事に就けない、人生の見通しが持てない、将来に不安を抱えた子どもや若者が増えるなど、健やかな成長を保障できず、社会的にもその損失は大きいものとなります。

私が2018の一般質問でケアラー支援について取り上げた際、区は高齢者から障害者、子ども分野などで介護者支援について幅広く議論を深めていく必要があるとの認識を示されました。また、この間、厚労省が文科省と連携してヤングケアラー実態調査を行い、その結果から、ヤングケアラー支援に対する対策が打ち出され、集中的な取組が加速しています。区でもヤングケアラーについての理解を深め、共通認識のもと今後の対応について取り組むと今年の予算特別委員会でも答弁を受けたところです。

ケアが必要な人のための法制度は介護保険法をはじめ高齢者虐待防止法、障害者総合支援法などありますが、ケアラーを支援する法制度はありません。介護保険制度は「介護の社会化」として、画期的でありましたが、基本的に要介護者を対象としています。家族介護者支援事業も介護者交流会や介護用品支給など「介護しやすくする」ための支援にとどまっており、ケアラーの生活や人生を支援するという目的はこれまでは、どこにも明記されてきませんでした。しかし、2018年3月に厚労省が策定した「市町村・地域包括支援センターによる 家族介護者支援マニュアル」の副題に「介護者本人の人生の支援」が入り、画期的であったため、同年の一般質問でも取り上げました。マニュアル策定間もない時でもありましたが、区も介護者の望む人生を支援するという視点は重要との認識を示し、その具体化が新たな課題だとの答弁でした。

そこで、伺います。

①このマニュアルにある具体的な取組手法や事例が参考になるとともに、現在の区のケアラー支援となる事業の検証や不足している部分などの課題の抽出にもこのマニュアルは有効だと考えます。市区町村介護行政及び地域包括支援センターの担当者向けに作成されたこのマニュアルを区はどのように活用したのか、その活用状況について伺います。

②このマニュアルに示されている「相談・支援フロー」を機能させることが最初の入り口としてとても重要だと考えています。ステップ1から4まであり、ステップ1が初期相談・相談受付で、まずはケアラー自身が自己チェックすることで、自分が置かれている状況を自身が客観的に把握します。ステップ2で専門職等のアセスメントの実施により、緊急性や深刻度の判断や学業や生活と介護・ケアの状況把握を行うスクリーニングをし、ステップ3で、課題を明確化し、利用できるサービス、社会資源の活用方法、連携方法を検討し、支援方法を決定する、ステップ4で関係機関、地域の支援ネットワークへつないだり、サービスや支援提供の調整、予防的視点からの関与・対応・支援をする、というように、ステップ1から4までを機能させることで、ケアラー支援が適切に組み立てられると思うのですが、区の認識はどうか、伺います。

生活者ネットワークでは2020年11~12月にケアラー調査を、2021年10~11月に社会資源調査を実施しました。ケアラー調査では都内23の事例から様々な課題が浮き彫りとなり、ケアラーの実態が見えてきました。多くの場合、自治体のサービスを利用しているものの、それだけでは十分ではない心の叫びとも言える声をたくさん聞くことができました。この調査を通して、ケアラー支援は家族全体を見る必要があることを改めて確認することとなりました。

介護保険事業計画策定時には高齢者の実態調査が行われ、介護者の状況について聞く設問もありますが、介護者が主体ではありません。生活者ネットワークが行ったケアラー調査はケアラー本人を主人公とする調査であり、たっぷりと時間をかけて対面でヒアリングをしたことで、より具体的な実態が分かりました。ケア対象も高齢者だけでなく、病気、障がいのある家族、さらに、ヤングケアやダブルケアなど多様化、複合化していることも確認できました。一律の制度だけではカバーしきれない課題、分野横断的に取り組まなくてはならない理由がここにあると思っています。

また、介護が一部の限られた家族に負担が行くことで、その人が倒れたら介護そのものが行き詰まるという不安と恐怖を抱きながら暮らしていることが多くのケアラー当事者の共通している悩みでした。冒頭で述べたように、ケアラーが置かれている状況を改善していくためには、ケアは家族がメインであって、介護サービスがそれを助けるものという発想から、ケアの社会化を基軸に家族はあくまでサポート的役割という仕組みでないと、少子化核家族化、超高齢社会での生活は成り立たなくなるのではないか、私はそこを大変心配しています。そして、ケアされる人もケアする人も人としての尊厳が守られ幸せな人生を送れるよう、ケアラー支援を総括的に法で定めるため、ケアラー支援法やケアラー支援条例の検討を課題としてとらえる必要があると考えています。

ここで、調査を通してケアラー自身から発せられたニーズの中からいくつか提案したいと思います。

③まず、レスパイトケアとしてショートステイサービスがありますが、それに助けられたというケースもある一方で、条件に合わず使いにくい、経済的な負担になるなどの課題も指摘されました。緊急ショートステイは対象となる条件があるため、ケアラーの休息という使い方とは少し違うようにも思います。ケアラーがゆったりと休息できるという視点からミドルステイや要件を緩和して、使いやすくしていくことも必要ではないかと思いますが、区の見解を伺います。

④杉並区には「ほっと一息 介護者ヘルプ」のサービスがありますが、利用できるのは年間最大24時間分です。良い制度なので、私はご家族を介護している方には利用をすすめていますが、この間の実績では対象となる約2000世帯に対して、実際に利用しているのは約700世帯で月平均2時間の利用と伺いました。ケアラー支援の観点からするともっと多くのケアラーに利用してほしいので制度の周知を徹底すること、利用できる上限枠も拡充してほしいと考えますが区の見解を伺います。

⑤区の介護者支援である「ほっと一息、介護者ヘルプ」や「認知症高齢者家族やすらぎ支援」「介護者の心の相談」は良いしくみだと評価していますが、やはり利用者が少ないのが残念に思います。もっと周知していくことと同時に、利用者あるいは未利用者からのアンケートを実施する等して、課題があれば見直すことも必要ではないでしょうか。区の見解を伺います。

*私どもが調査したケアラーからは子育て応援券のように、体のメンテナンスのために整体院や健康診断、リフレッシュのための体操やヨガなどで使えるケアラー応援券があったらよいとか、睡眠不足や腰痛、精神的不安などケアラー特有の健康状態をチェックしたり相談できる区民検診があったらよいという声がありました。当事者ならではの発想だと思いましたので、今後の検討を要望しておきます。

次にヤングケアラー支援についていくつか伺います。

厚労省は2020年度の中2および高2を対象にしたヤングケアラー調査に続き、2021年12月には全国大学3年生及び20歳以上の一般男女を対象に、さらに2022年1月には小学6年生および公立小学校350校程度の教員に対して、ヤングケアラー調査を行いました。世話をしている家族が「いる」と答えたのは小学6年生が6.5%、中学2年生が5.7%、高校2年生が4.1%、大学3年生が6.2%という結果でした。その関係性では兄弟・姉妹や父母が多く、中学生以上では祖父母も少なくありませんでした。厚労省はおつかいやきょうだいの遊び相手など、お手伝いの範囲内で家族の世話をしている子どもも含まれているだろうとしつつも、小学生にも一定数のケアラーがいることが明らかとなりました。

⑥区はこの結果をどのように受け止めましたか。中学生に引き続き、区内小学校で対象になった学校はあったのか、お聞きします。

今年の2月にヤングケアラー当事者だった経験からヤングケアラーを支援する団体を立ち上げ活動している宮崎成悟さんのお話を聞く機会がありました。改めて高齢者介護の枠だけに収まらないヤングケアラーの厳しい現実を知りました。特に、行政の調査の項目は高齢者の家族の介護の視点からの設問が多いため、例えば、統合失調症やうつ病、高次脳機能障害の親のケアや障がいのあるきょうだいのケアなどは見過ごされがちだということでした。

昔も、介護を担う子ども・若者は存在していました。下の子の面倒をみたり、家族の手伝いをするのは当たり前でした。それは今も変わってはいないと思いますが、現在は家族の孤立化、人口構造、家族形態の変化があり、核家族化、専業主婦の減などにより、子どもがケア者としてあてにされ、過重なケアやそれに伴う責任までも負わされている現実があります。サポートの必要な、孤立したヤングケアラーが増えてきたということだと思います。

⑦厚労省の調査でも「相談したことがない」との回答が5~6割あり、特に「学校の先生、スクールソーシャルワーカーなど、本来相談すべき相手に相談していない」という回答には学校関係者も受け止めなければならないと思います。 他にも「誰かに相談するほどの悩みではない」「相談しても状況が変わるとは思えない」との回答が多いということを認識しておく必要があり、それを前提にした対策を立てることが必要だと考えますが、区の認識、見解を伺います。

⑧国は、ヤングケアラーの実態調査や、福祉・介護・医療・教育等の関係機関職員がヤングケアラーについて学ぶための研修を実施する地方自治体への財政支援のほか、関係機関と民間支援団体等とのパイプ役となる「ヤングケアラー・コーディネーター」の配置、ピアサポート等を行う団体への支援、ヤングケアラー同士が悩みや経験を共有し合うオンラインサロンの設置運営・支援等への財政支援など、ヤングケアラー支援体制の強化に向けて様々、予算化を行っています。どれも今後必要となるしくみであります。

区は、この予算を有効に活用すべきと思いますが、いかがか伺います。

⑨今年2月に厚労省の子ども・子育て支援推進調査研究事業として「多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアル」が策定されました。学校関係者や保健・福祉・医療分野の方、地域の方、ヤングケアラー当事者やその家族向けが一つにまとまったマニュアルとなっています。各関係機関との共有をしてほしいと考えますが、このマニュアルの活用について区の見解を伺います。

⑩ヤングケアラーはやがて18歳以上となり若者ケアラーと年代も移っていきます。そのため、その時々の支援にきちんとつながるということが重要であり、その最初の入り口である相談にいかにつなげるか、つながるかだと思います。周りの大人や同級生、地域の人の理解もそうですが、ヤングケアラー自身が「人に知られたくない」と感じることなく、「辛い!助けて!」と発信していいんだと思えるようなしくみをつくっていかなくてはならないと思います。例えば夜間等にも対応できるLINE相談や相談支援機関に元ヤングケアラーを配置する、介護と学業や就業の両立をプランニングできるコーディネーターを育成・配置する等の検討も必要ではないでしょうか。そして、その検討の場にはヤングケアラー経験者にも参加してもらい、一緒に考えることが重要だと思います。庁内組織を超えて、連携して具体的に動く時だと考えますが、区の見解を伺います。

ここ1~2年の間に国がヤングケアラー支援策をにわかに進め出した感がありますが、そのきっかけは埼玉県が行ったヤングケアラー実態調査だったと思います。埼玉県では国に先んじて調査を行い、ケアラー支援条例を制定して実行計画を策定、取り組みを進めています。これにならって北海道や三重県、岡山県などの地方都市で条例の制定が広がっており、生活者ネットワークのケアラー調査も、都内各自治体でのケアラー支援条例づくりを目標とした活動の一環でした。条例を定めることで、区の施策体系の中でバラバラにある支援メニューをまとめ、ケアラー支援という大きな目的のもとに実行計画が立てやすくなり、きめの細かい施策が可能になると私たちは考えています。

高齢社会はだれもがケアラーになりうる時代です。介護に行き詰って悲惨な事件を起こしたり、人生の希望を失ったりするケアラーが一人もいない自治体とするため、杉並区でもケアラー支援条例の検討がされることを求め、私の一般質問を終わります。

第1回定例会予算特別委員会意見開陳 2022.3.15そね文子

いのち・平和クラブを代表して、2022年度杉並区一般会計予算並びに各特別会計予算及び関連諸議案について意見を述べます。

2月24日のロシアによるウクライナ侵攻は世界規模での軍事的緊張を高め、ウクライナの原発が軍事攻撃の標的となったことは、改めて原発の危険性を認識することになりました。安部元首相をはじめ核保有や軍事力の強化を求める声がありますが、目指すべきはウクライナへの軍事支援ではなく、外交による課題解決です。

2年以上に渡るコロナ過は生活困窮による虐待・DV、子ども・若者や女性の自殺の増加と経済格差の拡大を招き、ウクライナ侵攻が原油や生活必需品の値上げに拍車をかけ、区民生活にもさらなる影響を与えることはあきらかです。

先の見えない不安定な社会状況の中、杉並区では新たな基本構想「みどり豊かな住まいのみやこ」が目指すべきまちの姿として描かれました。区は新基本構想の始まる2022年度を「新ビジョンスタート予算~希望に満ちた杉並の100年へ~」と名づけ、新型コロナウイルスで疲弊した区民の暮らしを支え、将来に希望を持てる社会をつくる重要な年と位置付けました。

私どもいのち・平和クラブは、住民に一番身近な基礎自治体の役割である区民福祉をいかに支え向上させるか、長引くコロナ禍での疲弊や物価上昇、昨今の気候危機から区民の命と財産を守り、子どもたちが将来に希望を持てる予算となっているかを検討いたしました。

以下、区政経営計画書の「主要事業の概要」に沿って、予算特別委員会の質疑も踏まえ、評価する点と要望を付して意見を述べます。

第一に区財政と区政運営について

予算編成方針で打ちだされた「新自由主義的な行革概念からの脱却」に関する質疑を通じて、その意図する方向は理解できました。前区長の職員削減、財政削減ありきで進められた11年間の区政運営の結果起きた職員の年齢構成のゆがみや、区債一括返還の問題点を質し、必要な職員の新規採用をはじめとする改善策を確認できました。さらにコロナ禍に国が機敏に対応できない現状に、基礎自治体の役割を果たし、基金と起債のバランスをとった区政運営を確認しました。

施設再編整備計画に関してその背景をあらためて確認しました。区立施設の老朽化に対し、杉並区では用地確保が難しく、需要の拡大や区民ニーズの変化に対応するには、施設の再編や複合化で事業の継続をはかる以外ないことを確認しました。

第二に区民生活と職員体制についてです。

・区が交流協会と教育委員会の連携を支援し、日本語ボランティアの養成を行い、在住外国人の児童生徒を対象に日本語学習支援を行う新しい事業を始めることを評価します。緊迫した国際情勢下にあって、市民同士の草の根交流の価値を実感します。新たな外国人児童生徒の日本語学習教室が安心できる居場所となって子ども同士やその保護者と日本人ボランティアとのつながりをつくり、充実した支援となるよう期待します。

・マイナンバーカード普及のために約2兆円にのぼる膨大な税金を投入したのは、税金の無駄遣いそのものです。カードの所持にはリスクがあり、任意であることを絶えず周知するよう求めます。

今後、区の個人情報保護条例が国の規定に合わせ骨抜きにされることを危惧します。区は、区民の個人情報保護を担う責任から、国に対する意見を表明していただきたいと思います。

・会計年度任用職員について、国の動きに合わせ、育児休業のほか、介護休暇や介護時間の取得、引き続き在職期間1年以上の要件が廃止されることになりました。区独自に、常勤同様に組合休暇がとれるようになり、有給の病気休暇5日が15日に引き上げられるなど、23区でも高い水準になったことが確認できました。更新年限は区の裁量とされており、期限を設けていない自治体もあります。年限撤廃と処遇の一層の改善を強く要望しておきます。

第三に保健福祉についてです。

・ICTの積極的導入により、さらに医療と介護の連携がすすんでいることを評価します。「住み慣れた自宅で最期まで暮らしたい」願いをかなえられる在宅医療の充実に期待します。

・住民による地域での支え合いの取組がすすめられています。それらの活動について区も把握し、新たな協働のしくみにも位置づけ、持続可能な事業運営を支援していくよう要望します。

・3回目のワクチン接種については各国の状況を見る限り、必ずしも感染拡大を抑えるのに成功しているわけではありません。区には、保健所体制を強化しつつ感染防止策を引きつづき講ずるよう求めます。

・3月、5~11歳児の新型コロナワクチン接種が始まりましたが、オミクロン株へのエビデンスが十分でないことや、重症化がほとんどない小児にワクチン接種をすることへの疑問などから厚労省は「努力義務」とはしませんでした。そのことを含め、区内で起きている副反応の状況や重篤な副反応や死亡に対し救済が実際には認められない状況など、区民にわかりやすく情報提供することを引き続き求めます。

第四に子ども家庭支援について

・保育園の待機児童を引き続きゼロにしてきたことは評価し、担当課の努力には敬意を表します。会派としては、国が財政をしめつけ、自治体が保育園を民営化せざるを得ない事情は理解します。私立保育園の保育の質を区立保育園同様に保つために直営の維持を求めてきました。質疑で、中核園となる直営園を一定数残す区の方向を再確認するとともに、障がい児指定園を直営で運営することを確認しました。認可を希望する人がすべて入園できるようにするとの区の姿勢に対し、定員割れを起こしている園から不安視する声もありますが、区が保育園整備にあたり、人口動態の推移や特に働く女性の状況を見極めて計画する姿勢を確認できました。

・児童館で行われている学童クラブや放課後の居場所事業、乳幼児親子の居場所の需要が大幅に増え、緊急対応が迫られました。新たに増やすための国の補助はわずかで、用地の確保が難しいことから、乳幼児親子の居場所を子ども子育てプラザに、学童クラブと放課後の居場所を学校内に移すことにした経過を再確認しました。子ども・子育てプラザには、学校に通えない子どもが通えるスペースを求め、その実績も確認できました。また、中高生の居場所はゆう杉を中心に、あらたに拡充する方針を確認しました。

・学童クラブや放課後の居場所が学校内に移った後の校庭や体育館、音楽室などの利用がしやすくなるように、教育委員会・学校と学童クラブ担当部局との調整をはかり工夫することを求めます。また保育の質を保障するために、今後も直営学童クラブを残すことを確認しました。

・桃三小エリアにおける児童館再編に対し、PTAや学童クラブ父母会から要望された日曜日の校庭開放が、学校支援本部の協力により実現することを評価します。

・厚生労働省が児童福祉法を改正し、保護児童の「18歳上限」が撤廃されます。5年後の児童相談所設置に向けて、児童養護施設や里親、都との連携による支援策を強め、積極的に取り組む区の姿勢を確認しました。

・子どもにかかわる施策の推進では、子どもの意見表明権を保障し、子ども目線を前提に事業がすすめられることを期待します。

・医療的ケア児支援が拡充されることを評価します。障がい児のいる家庭の声を丁寧に聞き、引き続き必要な支援が受けられるよう要望します。

第五に都市整備についてです。

・補助227号線について、純情商店街がなくなるのかと不安視する住民がある中で、様々な立場の住民がまちづくりについて、議論し進めていくことが大切であり、住民の意思を超えて進めることはしないとの区長の姿勢を確認しました。

・首都直下型地震などで火災危険度の高い地域の狭隘道路の解消に向け、職員が地域に入り戸別に要請を行うなどの努力を重ねていることは認識しています。ただ、住民の中に狭隘道路解消の必要性が浸透しているとは言えない状況があります。様々な機会を通して、理解促進に努めるよう要望します。

・2月28日東京地方裁判所は、外環工事で被害を受けた調布市の住民が申し立てた仮処分について、「具体的な再発防止策が示されていない」などとして国と東日本高速道路などに一部区間の工事の中止を命じる決定をしました。しかし事業者は、地下のトンネル工事は止めても、地上での地盤改良に向けた家屋解体工事などは進める姿勢です。大泉側では2月25日から工事は再開されています。事業者がこの判決を真摯に受け止め、再発防止対策が住民の安心できるものとなるまで工事を止めることを、区からも求めるよう要望します。

・「水鳥の棲む」水辺創出で計画しているイベントの企画内容にはこれまで、水辺創出事業にかかわってきた区民や環境団体などの意見も聞きながら組み立てていただくことを求めておきます。

第六に環境施策についてです。

・区が廃食用油を有効な資源としてとらえ、回収拠点を地域区民センターに拡大することは、これまで求めてきたことであり、高く評価します。より一層の周知啓発を図られるよう要望します。

・区役所本庁舎で再生可能エネルギーの導入、学校給食などから出る生ごみのたい肥化やバイオガスにリサイクルする取り組み、また、本庁舎の自動販売機設置の競争入札の際にペットボトル飲料を除くことを条件にするなど、環境対策に多角的に取り組むことを評価し、確実な実行を期待します。

・清掃職員は退職不補充で減らし、可燃、不燃の収集で清掃車の多くを民間の雇上車両と派遣職員を使い、資源ごみ粗大ごみを民間に委託している現状があります。区の清掃職員を被災地に派遣した経験から、直営の必要性がわかりました。今進められている清掃の組織改正の中で今後直営を一定数残すことを検討するよう求めます。

第七に教育についてです。

・学校施設に10キロワットの太陽光発電と蓄電池を設置する費用が2500万円に上ることが示されましたが、世間の相場とかけ離れた高額の費用には疑問が残ります。区民の理解が得られる説明がなされることを引き続き求めます。

・文科省の放射線副読本とともに資源エネルギー庁と復興庁が作成した「放射線汚染水は飲んでも大丈夫」とするイラスト付きのチラシが、直接学校に送られました。教育委員会は学校長の判断として責任を回避しています。これまで原発を安全なエネルギーとして、教育を通して子どもたちに植え付けてきた責任は小さくありません。この反省に立ち、区教委の判断で学校での使用を中止するよう改めて求めるものです。

・屋外で行う体育の授業ではマスクを外すよう指導することになっていますが、マスクを着けたまま行っている学校が多く、保護者から心配の声が届いています。屋外での体育の授業ではマスクを外す指導を徹底していただくよう改めて求めます。

・学校間でオンライン授業の取り組みに格差が生じていることが明らかになりました。学習支援に取り組む民間団体からも、コロナ過で教育格差が拡大している実感があるとの声を聞いていましたので、早急にその差をなくす取り組みを求めておきます。

・ロシアのウクライナへの軍事侵攻に、子どももたちが映像を目にして不安や恐怖を募らせています。子どもの不安によりそい戦争は間違いだときちんと語ることが大人の責任です。学校で、先生が子どもの疑問に答え、情報を共有し、平和を考える教育の機会としていただきたいと思います。また、核と戦争、平和への関心が高まっている今、広島訪問を実現し、各学校で経験を共有できるよう期待します。

以上の理由から2022年度一般会計予算及び各特別会計予算について賛成いたします。

次に予算関連議案について意見を述べます

・議案第4号 杉並区職員定数条例の一部を改正する条例について

技術系職員に女性が多くなり、産休・育休取得の際の代替職員の不足などが現場から訴えられていました。前区長の1000人職員削減方針の下で、いびつ化した年齢構成により、係長級含む幹部職員が不足し、23区ではトップの再任用職員数となっている現状です。質疑の中で経験者採用など、必要な職員確保や新規採用を引き続き行うことを確認しました。また定員管理方針では職員の超過勤務削減や行政需要に応えるために、今後10年で2年ごとに定年が1歳ずつ引上げられます。退職者が出ない年も新規採用に努める区の方針を確認しました。現場職員の声に向き合い必要な人員体制をとるよう求めておきます。

・議案第5号 杉並区行政財産使用料条例の一部を改正する条例についてです。

区立公園や区庁舎に設置する公衆電話や電柱などの使用料改定は、固定資産税評価額の改定ごとにおこなわれています。非常時には携帯がつながらないことも想定し、必要な公衆電話を、区立施設には可能な限り設置するよう求め議案に賛成します。

・議案第6号杉並区立杉並会館条例の一部を改正する条例は

上荻会議室などの用地にコミュニティふらっとを整備することに伴い、ゆうゆう上荻窪館を一時移転するために、杉並会館の集会室としては廃止するものです。高齢者のゆうゆう館利用を引き続き保障すること、区民に変更の周知徹底を求め、議案に賛成します。

・議案第7号事務手数料条例の一部改正ついてです。

長期優良住宅認定にあたり、必要な公開空地の最低面積が大きいことから区内のマンション建設では利用実績がほとんどないことがわかりました。手数料の改定理由は確認できたので議案に賛成します

・議案第8号杉並区「特別区道」道路占用料等徴収条例等の一部を改正する条例について

区道占用料や公園施設の使用料及び公園占用料は、固定資産税評価額を基礎に算定し、その評価替えごとに占用料や使用料を改定していること、また、公園施設の使用料として、移動販売車を対象に加えることを確認し議案に賛成します。

・議案第22号杉並区学校教育職員の給与に関する条例の一部を改正する条例は都の教員特殊勤務手当の改定に準じて杉並区費の学校教育職員の特殊勤務手当を改定するものであり賛成します。

・議案第24号国民健康保険料の一部改定についてです。

質疑ではコロナ感染の医療費が国保会計から出されることから、区長会としてそれを保険料に転嫁させないために保険料率を97.3%から94%に抑える激変緩和を決定し、その結果、一人当たりの保険料が1万22円になるところをほぼ半額に抑えられたことがわかりました。国保は、非正規や年金生活者など、収入が低い方が多くを占めており、値上げは厳しいものがあります。そのため、国の公的資金の投入がなければ解決できず、23区の力だけでは対応できません。国や都に対し協力を強く求めることを要望し、議案には賛成します。

その他議案第12号についても賛成します。

最後に、新型コロナウイルスの対応に追われる中、資料作成にご尽力いただいた職員の皆様に感謝を申し上げ、いのち・平和クラブの意見開陳といたします。

 

第1回定例会 一般質問と答弁  2022.2.15  そね文子

Q1-1 国がHPVワクチンの積極勧奨再開を決めたが、区民の健康といのちを守る基礎自治体として、また重篤な被害者が出て長く寄り添ってきた自治体として、二度とこのような被害を出さないという決意をもって対応されることを望むが改めて区長の見解を聞く。

A1-1 区長)区はこれまで区民の命と健康を守ることを第一に施策を進めてきた。HPVワクチン接種に関しても平成25年3月に議会でワクチン接種健康被害症例の指摘を受けた後、同年6月には国に先駆けて独自の救済制度を策定するなど健康被害にあった人への迅速な対応に努めた。また、私自らも健康被害にあった関係者に直接会い話を聞くなど、区として常に区民に寄り添った姿勢を取ってきた。予防接種は基本的に健康な人が免疫をつけるために受けるものであり、健康被害が出ないように可能な限り安全に実施されるべきだと考える。このため予防接種法に基づいた実施方法を遵守することは当然のことながら、ワクチンの有用性と副反応について客観的かつ分かりやすく伝え、対象者が接種するかどうか納得して選択できるよう周知に努めるとともに、万が一健康被害が発生した際には、健康被害にあった人に親身に寄り添い、健康被害救済制度につなげるなど安全かつ適切な実施に努めていく所存だ。

Q1-2 区は一昨年12月に接種対象者の小学6年生から高校1年生までに個別情報提供を行ったが、この時は積極勧奨が控えられていることがよくわかる通知であった。今年度はどのように情報提供したのか。

A1-2 杉並保健所長)接種制度に関する周知については、今年度はホームページに積極的勧奨が差し控えられていること、接種対象年齢の人は希望すれば接しできる旨を周知している。

Q1-3 区はこれまで独自のリーフレットを作成し、保健所に予診票をとりにきた接種希望者にしっかりと副反応のことなどを伝えたのちに予診票を渡していたと認識している。現在はその体制が維持されているのか確認する。また、来年度以降も独自の情報提供を丁寧に行うことを求めるがいかがか。

A1-3 杉並保健所長)現在も予診票を受け取りに来た接種希望者に予診票と併せて区で作成したリーフレットを渡し、効果や副反応、相談窓口などについて説明している。来年度もこの体制を継続し、ワクチンの情報提供に努めていく。

Q1-4 厚労省は自治体宛てに相談支援体制・医療体制等の維持確保について通知を出し、この相談体制の中には学校との連携、学校で被害者が出た場合の学習面での相談支援を行うことも示されているが、学校と連携した相談体制について同のように考えているのか問う。

A1-4 杉並保健所長) 接種後に機能性身体症状などが出現し登校や学習面で影響がみられる際には、学校での学習面での支援や医療機関などへの受信・相談の勧奨など衛生部局と教育部局の連携した対応が必要だと考える。

Q1-5 学校との連携体制が整うまでは早急に接種勧奨をすべきではないと考えるが区の考えはどうか。

A1-5 杉並保健所長) 当区においては日頃より感染対策をはじめとして保健所と教育委員会は連携がとれており、接種勧奨を行える環境であると認識している。

Q1-6 昨年度からワクチンの接種対象者への個別の情報提供が始まり、その後接種者数はどのように変化したのか、実績を問う。

A1-6 杉並保健所長)HPVワクチン接種者数は、個別の情報提供をした令和2年度は376名、ホームページによる情報提供をした令和3年度は12月末時点で895名だ。

Q1-7 副反応報告書についてはどうなっているか、報告数と重篤とされた数について問う。

A1-7 杉並保健所長)HPVワクチン接種が定期接種化された平成25年4月以降、副反応報告書の提出はない。

Q1-8 積極的勧奨が控えられている間にワクチンを受ける機会を逃した人を対象にキャッチアップ接種の対応がとられることになったが、その対象者への情報提供はどのようになるのか。

A1-8 杉並保健所長)キャッチアップ接種対象者への具体的な周知方法については追って国から示される予定である。周知方法が明らかになった際には適切に対応していく。

Q1-9 HPV感染症は性感染症で、性交渉前に打たなければ効果がないとされている。そのことは情報提供されるべきと考えるがいかがか。

A1-9 杉並保健所長)区で作成しているリーフレットにHPVは性交渉によって感染すること、HPV既感染者には有効性が低いことから初回性交渉前に接種することが推奨されていることを掲載している。

Q1-10 子宮頸がん検診の受診率を高めることが重要だが、受診率について直近3年間の数字はどうなっているか。

A1-10 杉並保健所長)子宮頸がん検診の受診率は平成30年度17,1%、令和元年度15,7%、令和2年度13,9%となっている。

Q2-1 厚労省の新型コロナワクチン副反応部会の資料を見ると今すぐ接種を中止すべきではないかと考えるが、この数字を区は把握しどのように考えるのか見解を聞く。

A2-1 新型コロナウイルス対策担当部長)第75回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の資料及び議事録等の内容については確認しているが、当区を含む個々の副反応疑い報告は国の審議会で評価されており、区が独自に数値を評価し接種の中止を判断するものではないと考える。

Q2-2 ほとんど重症化が見られない子どもにワクチンを打つことで、かえって重症化することがあってはならないと考えるが区の見解を問う。

A2-2 新型コロナウイルス対策担当部長)新型コロナワクチンを接種した人が変異株に感染すると重症化するのではないかとの指摘だが、厚労省はそのような事例の報告は臨床試験でもワクチンの実用化後でも認識されていないと説明している。

Q2-3 国の審査結果、医療費の救済が認定されているのはアナフィキラシーか急性アレルギーのみで、心筋炎が多いと言われているにもかかわらず一切認定されていないが、区はこの結果をどう考えているか問う。

A2-3 新型コロナウイルス対策担当部長)心筋炎が国の制度で救済認定されていないとの指摘だが、予防接種法に基づく国の救済制度の認定に当たっては、予防接種・感染症・医療・法律の専門家で構成される国の審議会において接種との因果関係が判断される。厳正に審査が行われていると認識しており、審査結果について区が独自の判断をするものではないと考える。

Q2-4 治験段階は人体実験中だということを医療従事者から聞いたが、そのような認識でいいか区の見解を問う。

A2-4 新型コロナウイルス対策担当部長)現在ワクチンの安全性や有効性についての治験は終了しており、効果の持続性等を確認するために臨床試験の一部が継続されている。使用されるワクチンはすでに承認されたものであり、接種を受けることで試験に参加するわけではないと認識している。試験は薬事法に基づく医療品の臨床試験の実施の基準(GCP)ルールに従って実施され、人の対しての安全性、有効性を確認するために不可欠なものであり、人体実験との認識はない。

Q2-5 5歳から11歳までの子どもでは感染者が発症する確率に比べ、ワクチン接種の副反応出現率のほうが高い。このことから接種は許されないと考えるが区の見解を問う。

A2-5 新型コロナウイルス対策担当部長)小児用ワクチンの副反応について現時点で得られている情報からは安全性に重大な懸念は認められないと厚労省は判断しており、感染しても症状が出にくくなる効果が期待されることから小児へのワクチン接種が決定されたことであり、予防接種法に従い区は小児へのワクチン接種を実施しいていく。

Q2-6 区内のコロナ感染による重症者は、9歳以下、10代、20代はゼロ、30代が1名となっている、30代の1名は回復したのか。

A2-6 新型コロナウイルス対策担当部長)同患者は感染確認後約1か月で検査陰性になり病状は回復している。

Q2-7 文教委員会で小中学校におけるコロナ感染者数、症状の有無等について人数を示してもらったが現在までの状況を確認したい。

A2-7 新型コロナウイルス対策担当部長)今年に入ってから2月14日までに小学校では1,199人、中学校では234人の感染が確認された。そのうち発熱やのどの痛み等症状のあったものは小学校964人で全体の80.4%、中学校では197人で80,2%だ。なお全体的に症状は軽症で、重症化の報告は受けていない。

Q2-8 昨年10月の決算特別委員会で区内の副反応状況の報告があったが、現在の重篤、死亡例について件数と年齢を問う。

A2-8 新型コロナウイルス対策担当部長)国から都を通じ区に連絡があった予防接種後副反応疑い報告書からの累計で、2月7日現在死亡例は8件、男性が2名で60代90代がそれぞれ1例、女性は6名で70代1例80代3例90代2例となっていて10月からの増はない。また、重い症例は累計18人で男性が8人、10代20代30代40代80代90代で各1例、50代が2例となっている。

女性は10人で20代90代がそれぞれ1例、30代70代がそれぞれ2例、50代が4例で総数では10月の報告から男性が3人、女性が1人の増となっている。

 

Q2-9 現在起こっている深刻な副反応の状況を知らせるとともに、区内の副反応の状況もホームページで公表してほしいがいかがか。

A2-9 新型コロナウイルス対策担当部長)区が独自に評価することのない区内の副反応については公表を行う考えはない。

Q2-10 区からのお知らせに、副反応報告は30,714人、重篤が6,370人、救済の認定を受けた症状はアナフィラキシーと急性アレルギー反応のみ115人で、副反応報告のあった人の約0.4%であることがわかるような記載をしてもらいたいがいかがか。

A2-10 新型コロナウイルス対策担当部長)副反応報告等の件数など国の救済制度に関する情報提供は区のホームページに厚労省のリンクを貼っている。

Q2-11 PCR検査で陽性の人に感染力があるとは言えないのか、との質問に、厚労省がPCR検査の陽性判定はウイルスの感染症の証明ではない、陽性者と感染者は異なる、発症して初めて感染が成立する、と答えた。これはこの通りだと考えていいか、区の見解を問う。

A2-11 新型コロナウイルス対策担当部長)PCR検査は検体中にウイルスの遺伝子の有無を確認する検査で、感染性のある生きたウイルスか感染性のない死んだウイルスかの判別はできない。これによりPCR検査陽性者すべてに感染性があるわけではない。感染の成立とは病原体が体の中に侵入した場合をいう。この際発症し免疫を獲得するという生体反応が生じるが、無症状でも免疫を獲得する場合もある。

無症状のPCR陽性者の感染性については確認されている。検査の限界からすべてのPCR陽性者に感染性があるとは言い切れないが、現在の検査技術上、感度や汎用性の面から感染の有無を調べる方法として基準になるのはPCR検査である。

Q2-12 PCR検査陽性者の中には無症状で他人に感染させない人が大量に含まれており、感染者とは違うということであれば、PCR陽性者を感染者数として毎日発表しているのは過剰に国民を恐れさせている。医療現場がひっ迫する中、また濃厚接触者とされた無症状の検査陽性者が何日も仕事を休み、外出できなくなっていることが無用に社会活動を滞らせていると考えるが区の見解はどうか。

A2-12 新型コロナウイルス対策担当部長)感染対策と社会活動のバランスをとることの重要性は指摘されているところですが、感染対策の面から言えば、無症状のPCR陽性者に対して感染可能期間外出を自粛してもらうことは必要だと考える。

また現状を踏まえた感染対策は効果・効率の面からも肝要だと考える。しかし、新型コロナウイルは変異を繰り返していて今後強毒化する可能性も否定できない。海外ではオミクロン株が変異した複数の変異株が確認されており、現状においては現行の対策を継続することが妥当と考える。

 

第1回定例会一般質問 2022.2.15 そね文子

私は、いのち・平和クラブの一員として

1.HPVワクチン積極勧奨を再開することへの懸念について

2. 新型コロナワクチンを子どもに接種することの疑問について質問いたします。

まずはHPVワクチンについてです。

2013年6月、安全性に課題があるとされ、定期接種になってからわずか2か月後に積極的勧奨が中止されていたHPVワクチン、いわゆる子宮頸がんワクチンですが、2021年11月12日に行われた厚労省のワクチン副反応検討部会で積極的勧奨再開が決定されました。この日の検討部会の後に今も副反応の被害に苦しむ女性たちが記者会見を行った一部の声を紹介したいと思います。

彼女は今から4年前の高校1年生の夏に歩けなくなり、高校3年間障害を抱えながら過ごしました。その時両親に宛てた手紙に「治療法がきっと見つかると信じている」ととても前向きに書いてあったこと、けれど実際は4年前の症状と変わらないまま今も生活していることを語りました。今すぐにでも痛みのない、障がいのない生活を望んでいる彼女にとって4年はとても長い月日であったこと。高校生なりに頑張って活動し、厚労大臣から直接「被害者に寄り添っていきたいという言葉を聞いた時には「やっと助けてもらえる」と心から嬉しく思ったこと。でもそれから寄り添ってもらっている、助かったと思ったことは一度もなかったこと。HPVワクチンの積極的勧奨再開が決定したということを聞いて、あらためて私たち被害者のことを心から見ていないなと実感しましたと涙ながらに語りました。多くの被害者が今でも継続した痛みや体の不調で普通の生活が送れないでいることを決して忘れてはいけないと思います。

国の動きを受けて、私どもいのち・平和クラブは12月7日に区内在住の被害者家族と共に区長と面会し、積極勧奨再開にあたっての慎重な対応を求める要請書を提出しました。その際には被害者の話に耳を傾け、また保健所長、保健予防課長も同席され一緒に話を聞いていただいたことには感謝しています。被害者は現在就職活動中ですが、体調不良を理解してもらうため企業(会社)にHPVワクチンの副反応被害のことを話すと、企業が拒絶反応を示すことが繰り返されたそうです。被害者がここでも2次被害、3次被害に遭うことを改めて認識しました。ご家族は河北病院が最初に丁寧に副反応症状を診てくれ、その後も別の症状でかかるときは配慮をしてくれていることから、理解がある病院として区から紹介していただきたいことなど具体的な話をされました。区長は、このような情報を保健所から医師会に文書で伝えること、被害者が出た自治体の保健所として、このケースを引き継いでいくことなどを指示され、心強く思いました。

区長に要請した内容は、被害がでた自治体としてこれまでの慎重な姿勢を維持し、接種対象者に丁寧な説明を行い、被害を生まないための対策をとることです。

HPVワクチンの副反応に対しての治療法は確立していないこと。今のワクチンの薬液は多数の副反応報告が相次いで、いったん積極勧奨が中止されたときとまったく変わらないこと。全国に84か所もの協力医療機関を指定しなければならない被害を前提としているワクチンだということ。これまで多くの被害者が出て、現在も130人が国と製薬会社を相手に薬害の裁判が継続していることを伝わるようにしていただきたいということです。

それでは、以下質問いたします。

  • 国が積極勧奨再開を決めましたが、区民の健康といのちを守る基礎自治体として、また重篤な被害者が出て、その方に長く寄り添ってきた自治体として、2度とこのような被害を出さないという決意をもって対応されることを望みますが、改めて区長の見解をお聞きします。

厚労省の副反応検討部会の11月12日の議事録を確認すると、安全性が確認されたから安心して接種を受けられるということではないことが、議論からわかります。

一部抜粋して紹介します。

副反応や相談が増えたときには協力医療機関を増やすことはその時点でまた考えるという解釈でよろしいか。

もし再開した場合には、ほかの定期接種とは別に安全性の再評価をしていく、そういう方向を考えられたらどうか。

HPVワクチンは現在3か月に1回の審議となっているが、積極勧奨がもし再開された場合は、しばらくの間、もう少し頻度を多くして間隔を短くするのがいいのでは。

などです。このように積極勧奨が再開された際に副反応が多数でることを予測し、他の定期接種とは別に再評価することや検討期間を頻繁にすること、協力医療機関の研修を強化することの議論が繰り返されたのです。

  • 2020年10月、厚労省が積極勧奨にならないように個別にHPVワクチンの情報提供をするようにとの通知を出したことを受けて、区は12月にHPVワクチン接種対象の小学6年生から高校1年生までに個別にはがきで情報提供を行いました。この時は、積極勧奨が控えられていることがよくわかる通知となっていました。今年度はどのように情報提供をされたのか確認します。
  • 2022年4月から積極勧奨が再開されることになります。厚労省の資料から導きだした数字で見ると、副作用被害救済制度における、障害年金の対象となる障害、それは日常生活が著しく制限される程度の障害とされますが、その認定数が、他の定期接種ワクチンの死亡及び障害の認定数の約15倍となっており、さらに定期接種になってからの数字で比較するとその頻度は約31倍となっています。副反応の症状は、頭痛、全身疼痛(光過敏、音過敏、嗅覚障害)、激しい生理痛、脱力、筋力低下、不随意運動、歩行障害、重度の倦怠感、集中力低下、学習障害、記憶障害、発熱、月経異常、過呼吸、睡眠障害など、全身に及ぶ多様な症状が一人の患者に重層的に表れるという特徴があります。その治療法は確立しておらず、被害者は現在も副反応症状に苦しんでいます。副反応として専門的な治療を行っている医療機関は全国でもわずかであり、そうした医療機関への遠距離入通院は患者に重い負担となっていますし、そもそも適切な治療を受けられていない人も少なくありません。そしてこの通院に新型コロナがさらなる追い打ちをかけて、県をまたいでの受診が出来なくなるなど十分な治療が受けられない状況が生まれています。副反応は日常生活や就学に重大な影響を及ぼし、10代前半で接種した被害者の女性たちは通信制高校への転校、進学や将来の目標を断念といった深刻な被害を受けてきました。そして社会に出る年齢となった今、副反応は就労の重大な障害となっています。

区はこれまで区独自の「リーフレットを作成し、保健所に予診票をとりにきた接種希望者にしっかりと副反応のことなどを伝えたのちに予診票を渡していたと認識しています。現在はその体制が維持されているのか確認します。また来年度以降も、区のこれまでの被害状況を踏まえ、独自の情報提供を丁寧に行うことを求めますが、いかがか伺います。

  • 昨年11月の積極的勧奨決定の動きを受けて、12月28日、厚労省は自治体宛てにHPVワクチン接種を進めるにあたっての相談支援体制・医療体制等の維持確保についてという通知をだしました。その3ページ目には相談支援体制・医療体制が十分整備される前に定期接種が性急に行われることがないようにという記載があり、全体をとおして相談支援体制を整えてから実情に応じて勧奨を行うようにということが示されています。この相談支援体制の中には学校との連携、学校が、被害者が出た場合の学習面での相談支援を行うことも示されています。

相談支援体制については学校にも副反応被害の情報を共有し、協力体制をつくることが求められています。

  • そこで、学校と連携した相談支援体制についてどのように考えているのか伺います。
  • 合わせて、体制が整うまでは早急に接種勧奨をすべきではないと考えますが、区の考えをうかがいます。
  • 昨年度からワクチンの接種対象者への個別の情報提供が始まり、その後接種者数はどのように変化したのか。実績を伺います。
  • 合わせて副反応報告についてはどうなっているのか、報告数と重篤とされた報告数についてうかがいます。
  • 積極的勧奨が控えられている間にワクチンを受ける機会を逃した人を対象にキャッチアップ接種の対応がとられることになりました。その対象者への情報提供は具体的にどのようになるのかうかがいます。
  • HPV感染症は性感染症で、性交渉前に打たなければ効果がないとされています。そのことは情報提供されるべきと考えますが、区の見解をうかがいます。
  • さて、子宮頸がんはたとえワクチンがきいたとしても、ハイリスクと言われる15種類の型うちの2種類、または4種類にしか対応していないもので、その対応範囲は50%から70%とされています。それに対して検診はがんになる前の高度異形成も見つけることができ、早期に発見すれば非常に予後がよく生存率は高くなります。100%検診で防ぐことができますので、検診受診率を高めることの方が重要です。そこで、検診受診率について、直近3年間の数字をうかがいます。

今後も子宮頸がんを予防するにはワクチンよりも検診がもっとも有効であることを周知徹底していただくよう要望します。また検診率を高めるためには若い女性でも受けやすいような検診方法を確立することが何より必要であることを、この機会に述べておきます。

  • 2013年3月、区議会で、区内で被害が出た事実を明らかにした時に、区は独自の救済制度をつくって被害者の救済をすると発表しました。その後どのように救済が行われたのか。また、この制度は、現在はどのようになっているのか確認します。

先日の記者会見にたった被害者は、積極勧奨が再開され、自分と同じような被害者を出したくないという強い気持ちはあるが、コロナで十分な治療が受けられなくなっていることに加えて、接種が始まり被害者が増えるともっと治療が受けられなくなるのは困るという気持ちも正直あると言われたことに、どれだけ治療が困難なことかと胸が痛みました。被害を増やさないための対応を強く求め、次の質問に移ります。

〇新型コロナワクチンを子どもに接種することの疑問について、質問いたします。

新型コロナウイルス感染症が大きな問題だとされ様々な対応がとられています。現場でご苦労されている医療従事者はじめ、エッセンシャルワーカーの方々に敬意と感謝を申し上げます。

そして、感染により苦しんでいる方々の一日も早い回復をお祈り申し上げます。

現在、新型コロナ感染拡大を抑えるために国や自治体が3回目のワクチン接種を進め、世界では4回目接種がすでに行われ、新たに促す国があることが報じられています。私自身は、新型コロナワクチン接種については多くの疑問がぬぐえないでいます。80%の国民がワクチンを受けたにも関わらず、感染者の50%以上はワクチン接種者ということです。それで本当にワクチンは効果があったのかと思うのですが、国は納得できる説明をせず3回目接種を進めるばかりという印象をもっています。

今年1月21日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の資料によると新型コロナワクチン接種後の死亡報告が1444人とされています。大変多い数字だと思います。これは国民が知るべき事実だと思いますが、大手メディアからはこのような情報が上がってきません。21年10月には13歳の中学生がワクチン接種の4時間後に心肺停止で亡くなったことに大きな衝撃を受けましたが、大手メディアでは一切報道されませんでした。

またPCR検査陽性者の数がイコール感染者数として取り上げられ、死者数とともに報道されることには大きな疑問を感じていることから、PCR検査のあり方についてもいくつか質問にとりあげます。

私は3月には5歳から11歳のワクチン接種が始まることにたいへん危機感を持っています。先の補正予算14号で5歳から11歳までのワクチン接種会場の経費が計上されましたが、私としてはその年代の子どもにワクチンを接種することについてはとうてい賛成できないことから退席させていただきました。その年代の接種については2月10日に行われた厚労省の専門部会において努力義務としないことが決まったことは当然のことと受け止めています。区は努力義務とならなかったことを受け、それに沿った対応をとる必要があると考えるものです。

5歳から11歳の子どもにワクチン接種が始まる前に杉並区における感染者の状況及びワクチンによる副反応の状況を確認したい、また区は事実を公開し、区民が子どもに接種する前に正しい情報を得て考えられるようにしてほしいと切に願って以下質問いたします。

まずは2022年1月21日に行われた厚労省のワクチン副反応検討部会の資料より日本全体の副反応報告について見てみると、2022年1月2日までの数字は2億84万7千188回接種され、副反応報告は30,714人、重篤が6,370人となっています。

一方、これまでの日本国内でのコロナ感染について、健康な19歳までの子どもが死亡した例はありません。10歳未満は0、10代では4人が死亡していますが、3人は基礎疾患があった方、そして一人は交通事故で死亡した後検査で陽性だった方ということです。一方新型コロナワクチン接種後に死亡した子どもや若者の数は10代が5人、20代が27人です。新型コロナウイルス感染で子どもや若者はほとんどが軽症といわれていますが、ワクチンによる副反応の重篤が、10代は387人、20代は713人となっています。20代までで重篤とされた症状を見てみると、歩行障害、意識障害、呼吸障害、排尿障害、小腸炎、視力低下、複合性局所疼痛症候群、脳炎などが未回復、後遺症とされているもの等があり大変さが想像されます。資料からこの数字をひろいあげながら、この1,100名の若い人たちの、その後の長い人生がどうなるのかと思うと、今すぐ中止すべきではないかと思わずにいられません。この数字を区は把握しどのように考えるのか、見解をお聞きします。

  • 大阪大学の荒瀬尚教授の研究グループが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者由来の抗体を解析した結果、新型コロナに感染すると、感染を防御する中和抗体のほか、感染性を高める抗体(感染増強抗体)も産生されていることを発見したことを発表しています。多くの専門家が新型コロナワクチン接種によっても感染増強抗体ができ、特に変異株の感染では重症化することに警鐘を鳴らしています。ほとんど重症化が見られない子どもにワクチンを打つことで、かえって重症化することがあってはならないと考えますが、区の見解をうかがいます。
  • これだけの死亡者が出ていますが、ファイザー製ワクチンの全年代の死亡者1372人の因果関係の項目を見ると、因果関係が否定できないものはゼロ、因果関係が認められないもの9人、情報不足によりワクチンとの因果関係が評価できないものが1363人となっています。厚労省の報告では接種後2日目に亡くなっている人が最多で大部分が2日以内に亡くなっているのに因果関係は評価不能というのは普通に考えると理解できません。医療関係者に評価不能とされている理由を質問すると、特例承認されて接種が行われているが、まだ治験中なので因果関係を証明できる人はいないということです。厚労省の疾病・障害認定審査会感染症・予防接種審査分科会の審議結果を見ると新型コロナワクチン接種後で医療費の救済が認定されているのはわずか115人で死亡した方の救済はゼロです。認定された疾病名はアナフィラキシーか急性アレルギー反応のみです。これだけ心筋炎が多いと言われているにも関わらず、それは一切認定されていません。区はこの結果をどのように考えるか、うかがいます。
  • 新型コロナワクチンは特例承認されている状態で、ファイザー製ワクチンの治験が終わるのは2023年5月です。

治験段階というのはデータを集める時期のことで、つまり今は人体実験中ということだと医療関係者からうかがいました。現在1444人の死亡が報告されても、接種が止まらないのもそのためでしょうか。そのような認識で良いのか、区の見解をうかがいます。

  • 1月26日に開催された厚生科学審議会、予防接種・ワクチン分科会で参考人として参加した森内博之長崎大学病院小児科教授が出された資料の中に、すでに5歳から11歳の接種が始まっているアメリカ疾病予防管理センターCDCの資料が提示されました。それによると、5歳から11歳の子どもに870万回接種が行われ、新型コロナワクチン接種後の副反応のデータを送信できるシステムV-safeに副反応として届けられたものを見てみると、一回目接種後に42,504人、2回目接種後に29,899人から報告がありました。その症状の内訳を見ると、正常な日常生活に支障をきたしたのが1回目で4%の2295人、2回目では7.4%にあたる2,212人、合計4.507人となっています。医療を必要としたのが1回目1,2%、510人、2回目1.1%の328人、合計838人です。入院が必要になったのは1回目、0,02%で8人、2回目は0,02%の6人で合計14人に上ります。日本の5歳から11歳までの人数は724万3千人なので、仮にその6割が2回接種したとすると、接種回数は約870万回になるので、参考になる数字だと考えます。これらの被害は新型コロナ感染による症状に比べて出現率が高く、重大な問題と考えますが、区の見解をうかがいます

ここからは区内の状況について質問いたします。

  • 区内のコロナウイルス感染による重症者は、9歳以下、10代、20代はゼロ、30代が1名となっています。30代の1名の方は回復されたのでしょうか、うかがいます。
  • 以前に文教委員会で教育委員会から小中学校におけるコロナ感染者数、そのうち無症状、軽症、中等症の人数を出していただきました。今年に入ってからの状況がどうだったのか確認します。
  • 2021年10月の決算特別委員会で杉並区内の副反応報告について伺ったところ、入院や障害が残る恐れがあるなどとした症状の重い報告が14例、男性5人、女性9人、死亡例が8例、男性2人、女性6人ということで、その数の多さに大変驚きました。現在の報告は重篤何人、死亡何人となっているのか。また重篤、死亡、それぞれの年齢について答えられる範囲でうかがいます。
  • 区のホームページでは、保健予防課と教育委員会からの保護者に宛てたお知らせが見られます。お知らせの一番最初に、この予防接種は任意であることが強調されていて、会派として要望してきたことが反映されていると認識しています。副反応についての記述は軽いと思われるもののみであり、詳しくは「厚生労働省副反応Q&A」で検索するようにとされています。厚労省の該当ページの動画やQ&Aを確認しましたが、こちらもワクチンの効果は高いとされ、発熱、腕の赤みやかゆみ、などの説明がされているだけで、死亡者の数や重篤な副反応報告については、一切説明がありません。厚労省の副反応検討部会で提出されている資料から、現在起こっている深刻な副反応の状況を知らせることも必要だと考えますが、いかがでしょうか。また区内の副反応の状況も今後接種を考える参考になるので、ぜひホームページで公表していただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。
  • 区からのお知らせの中に「接種後、重い障害等が残った場合の保障制度などはありますか」という問いに対して「予防接種法に基づく予防接種を受けた方に健康被害が生じた場合、申請によりその健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは給付があります」と書かれています。しかし、これは問題ではないでしょうか。先に述べた通り、死亡者が1444人も出ているにも関わらず、因果関係を認められたものはなく、一人も救済されていません。副反応報告は30,714人、重篤が6,370人、救済のための認定をうけた症状はアナフィラキシーと急性アレルギー反応のみの115人で副反応報告があった人のうちの約0.4%、ということがわかる記載にしていただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。
  • ここでPCR検査についても質問したいと思います。

私はある大学教授の勉強会でPCR検査とは、ウイルスのゲノムの一部分を確かめているもの。また、そのゲノムの一部分を数十億倍に増幅し、そのものが存在するかを確かめる検査であり、PCR検査で陽性が出たからといって、それが必ずしも感染しているかどうかは分からないということ。PCR検査の本来の用途は、症状がある患者がそのウイルスを持っているかどうかを確かめるものとの話を聞きました。そこで2020年10月の決算特別委員会でそのことを確認すると、保健予防課長は新型コロナウイルスにおけるPCR検査につきましては、ウイルスの遺伝子が存在するということは言えるものの、そのウイルスに感染性があるか、またその被験者の方にほかの人への感染性があるかということは分からない、と答弁しました。

国会でも2020年12月、参議院議員やながせ裕文氏の「PCR検査で陽性の人に感染力があるとは言えないということでしょうか」との質問に厚労省の佐藤総括審議官が「PCR検査の陽性判定はウイルスの感染性の証明ではない」と答えています。私自身も厚労省に確認したく、同じ質問をすると、同様の答えがありました。そして、陽性者と感染者は違うこと、発症して初めて感染が成立すると答えました。これはその通りだと考えてよろしいか、区の見解を確認します。

  • PCR検査の陽性者の中には無症状で他人に感染させない人が大量に含まれており、感染者とは違うということであれば、PCR陽性者を感染者数として毎日発表しているのは、過剰に国民を恐れさせていると指摘するものです。医療現場がひっ迫する中、また、濃厚接触者とされた無症状のPCR検査陽性者が何日も仕事を休み外出できなくなっていること、PCR検査結果が陰性であっても同様の対応であることが無用に社会活動を滞らせているものと考えますが、区の見解を伺います。
  • オミクロン株がピークアウトした沖縄県で専門家会議の座長の琉球大学教授藤田次郎氏のインタビューが報道されていました。それによるとインフルエンザの致死率は0.1%、オミクロン株の致死率は0.02%。沖縄では残念ながら9人が亡くなられたが、そのうちの7名は90歳以上の方。基礎疾患のある方も重症化しやすいとのことです。インフルエンザより致死率が低いのであれば、検査方法をインフルエンザと同程度の、症状のある人への抗原検査と抗体検査のみに改めるなど、現実にそくした対策をとることが求められると考えますが、区の見解をうかがいます。

私はHPVワクチン薬害被害者に深くかかわり、人生を奪われた少女たちを見てきました。彼女たちは持病があったわけでも何か治療のために薬を飲んだわけでもなく、もともとは健康な子どもたちでした。コロナワクチンの副反応被害でも同じことが言えると思います。将来が長く健康な子どもや若者たちに被害を出さないために、今後もこの問題に取り組んでいくことを申し上げ、一般質問を終わります。

再質問

5-2先ほど述べた通り、2月10日に行われた厚労省の専門部会では5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種は努力義務とはしないとされました。この結果を受けて区はそれに沿ったお知らせを保護者に送ることになると思います。ワクチン接種を努力義務としないことがはっきりわかるお知らせとすることを求めますがいかがでしょうか。またその他の年代に入れたクーポン券や予診票の同封もすべきではないと考えますが、区の見解を伺います。

 

 

第3回定例会一般質問と答弁 2021.11.16奥田雅子

Q1 生物多様性に関わる国や都の改定議論のポイントはどのようなところにあると考えているか、区の認識を伺う。

A1(環境部長)国では我が国の生物多様性と生態系が人口減少や気候変動により大きな影響を受けることになるとの長期的視点と、短期的にも新型コロナウイルス感染症による社会・経済の変容、気候変動対策の加速度的な強化が進むとの認識が示された。その上で、生物多様性により得られる様々な恩恵を利用できる取り組みの強化という視点、人口減少や気候変動等の対応に、生物多様性への対応を関連させ、社会・経済のあり方を変えるとする視点、自然に配慮したライフスタイルへの変革にも繋げるといった視点から議論されたものと認識している。

都の戦略改定においても、人と自然の関係の希薄化や自然の価値などに対する認識不足を要因とする課題を整理した上で、国の議論の視点を踏まえた将来像の考え方が検討されているものと認識している。

Q2 新たな実行計画のみどりの質を高める項目の中で2024年度にみどりの基本計画の改定が予定されているが、この基本計画には施策11のグリーンインフラを活用した都市環境の整備の全体にわたる事業が盛り込まれると考えてよいか。

A2(土木担当部長)改定を予定しているみどりの基本計画は「みどり豊かな 住まいのみやこ」を実現するための部門計画として関連する計画と整合を図り、みどりに関する施策を推進するためのものである。幅広い視点から様々な事業を体系化していくが、実行計画案の「施策11グリーンインフラを活用した都市環境の形成」に含まれる事業については、みどりの基本計画の骨格をなすものと考えている。

Q3 自然環境調査報告書や、河川生物調査報告書にあるデータや分析、今後の取り組みの提言をどのように施策に生かしていくのか問う。

A3(環境部長)報告書では生物の生育拠点の保全や、外来種の拡大防止、保全活動を支える区民の育成と普及啓発等が今後の取り組みへの提言として示されている。区ではこれを踏まえ、生物多様性に配慮した公園整備や、外来種への対応等環境保全の取り組みのほか、データを活用した区民向けの講座の実施等による人材育成などに生かしているところだ。引き続きより多くの区民に関心や理解を深めてもらえるよう、提案等を施策に生かす工夫に努めていく。

Q4 区は2008年より「善福寺川水鳥の棲む水辺創出事業」に取り組み、2009年11月に同事業の基本方針、2014年2月に行動方針を策定している。この事業の目的について確認する。「行動方針」とはどういう位置づけにあるのか。「行動方針」を立てて8年を迎えようとしているが、その達成度合いと今後どのような道筋があるのか伺う。

A4(土木担当部長)本事業の目的だが、善福寺川において水鳥に着目し、区民とともに多様な動植物が生息・生育・繁殖できる潤いと安らぎのある水辺環境を再生・創出することを目的とする。次に行動方針について、事業のコンセプトである「区民がつくる、カワセミの棲む自然豊かな水辺」を実現させる具体的な取り組みを定めており、環境基本計画など関連する計画と整合を図りつつ、善福寺川「水鳥の棲む水辺」創出事業基本方針のもとに位置付けたものだ。達成度については、定量的に表すことが難しい項目もあるが、シンポジウムや水鳥一斉調査の開催、区民活動への支援、ハード面では雨水浸透ます設置、遅野井川親水施設の整備を進めてきた。

引き続き都の河川整備に伴う親水施設等の整備、合流式下水道の改善などを進めるとともに、関係機関や区民と連携・協力して本方針に定める「潤いと安らぎのある水辺環境の再生・創出」に取り組んでいく。

Q5 区は遅野井川親水施設づくりをどのように評価し、今後の行動方針にどう生かしていくのか。

A5(土木担当部長)本施設は井荻小学校の子どもたちが、学校の中を流れる善福寺川に関心を持ち、清掃活動など様々な活動を行い、もっと親しみやすい水辺を作りたいとの強い思いがあったからこそ実現した事業だ。施設の構想や設計の段階から地域の人々に参加してもらい、完成後も管理の一部を地域の団体に協力してもらうことで、地域により親しまれ、愛される施設になったもので成功事例の一つと考えている。

今後も行動方針に定める取り組みを進める中でこのような貴重な経験を活かし、区内を流れる川に関する区民の関心を高め、区民と行政が協働して多様な動植物が生息・生育・繁殖できる環境づくりに努めていく。

Q6 区・区民、さらに事業者も含め、共通の認識を持ち、ともに課題解決に取り組む意味でも、目的や目標設定を明確にした生物多様性地域戦略の策定はとても意義のあることだが、区は策定についてどのように考えているのか。

区としても他自治体の地域戦略を参考にしながら、杉並区のイメージを作っているのではないかと思うがどうか。

生物多様性地域戦略の策定には、様々な分野に携わる人々及び区民からの意見やアイデアが出せる機会を確保することが必要と考える。そして生物多様性の保全が自分にとって必要なことと理解する人が増えれば、生きた地域戦略になると思うがいかがか。また、区としては専門家の力を借りながら全庁的な議論を進めていくことが必要だと考えるが、区の見解は。

A6(環境部長)生物多様性への対応は基本構想審議会からも意見をもらっていて、取り組むべき重要な課題と認識している。戦略の策定に当たっては。自然環境やみどりの保全にとどまらず、幅広い視点からのアプローチが必要であると考えており、今後他自治体の取り組み等も参考としながら多角的な視点から研究していく。また、研究・検討に当たっては区民や専門家の意見も募っていく考えだ。

第4回定例会一般質問 2021.11.16 奥田雅子

いのち・平和クラブの一員として、生物多様性の観点からまちをつくる取組みについて質問します。

杉並区がこれまで、環境分野に限らず行政の各分野において生物多様性に配慮した取り組みをすすめてこられたことは承知しているところです。それは望ましいあり方である一方、地球規模で俯瞰したときの多様な生物が生息することの意義や価値、またそれが私たちの暮らしにどうつながっているのか、大きな絵として全体像が見えてこないもどかしさも感じています。このたび「みどり豊かな住まいのみやこ」を掲げた新基本構想が策定されたのを機に、杉並区が改めて生物多様性に光を当てていただきたいとの思いから質問します。

生物多様性の保全について国際条約が 締結された1993年、日本もこれを批准し、国が最初に生物多様性国家戦略を策定したのが1995年。それから四半世紀が経過しましたが、地球規模ですすむ生物多様性と生態系の劣化は日本も例外なくレッドリストに掲載される絶滅危惧種も増え続けています。

この原因として、開発など人間活動による危機、里山などの手入れ不足による自然の質の低下、外来種の持ち込みによる生態系のかく乱、地球環境の変化があると言われています。これらは、SDGsの持続可能な開発目標とも重なります。SDGs17の目標の15番目には陸の豊かさも守ろうがあり、陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転並びに生物多様性損失の阻止をはかるとされており、生物多様性の保全の必要性はもはや疑う余地がありません。

国の生物多様性国家戦略はこれまで4回の見直しが行われました。そして2020年1月から2021年6月までの全9回にわたり次期生物多様性国家戦略研究会が開催され、2021年7月30日、目指すべき2050年の自然共生社会の姿と2030年までに取り組むべき事項について整理した提言として報告書がまとめられました。

この報告書では生物多様性条約の戦略計画に掲げられた2050年「自然との共生」ビジョンの達成に向けた道筋として、①点目に生存基盤となる多様で健全な生態系を保全・再生し、②点目に自然を活用した解決策や生態系を基盤とするアプローチの考え方を社会的課題への対処に全体的に取り入れながら自然の恵みを持続可能な形で積極的に活用すること、さらに③点目に生物多様性を主流化し、社会・経済・暮らしのあり方を自然共生に向けた社会変革が必要となるという3つのポイントが掲げられています。

 

一方、東京都も生物多様性地域戦略の位置づけとなっている「緑施策の新展開~生物多様性の保全に向けた基本戦略~」の改定に向けて2019年12月から検討会が開催されており、今年8月には都民、企業、市民団体、大学、関係自治体などからの意見募集にあたり、東京都における生物多様性の現状と課題、目指すべき将来像案などを整理したゼロドラフトを作成しています。

  • これらの生物多様性に関わる国や東京都の改定議論のポイントはどのようなところにあると考えているか、区の認識を伺います。
  • 杉並区の新たな実行計画のみどりの質を高める項目の中で2024年度にみどりの基本計画の改定が予定されていますが、この基本計画には施策11のグリーンインフラを活用した都市環境の整備の全体にわたる事業が盛り込まれると考えてよいのか伺います。
  • 杉並区では自然環境調査を定期的に行っており、1985年に第1次調査が開始されて以降、現在第6次調査まで行われています。専門家からは日本で一番長く調査をしている自治体だと評価されており、毎回発行される報告書からは、多くの動植物の存在や変遷が分かる貴重なデータを知ることができ、また、それ以前の1982年から河川の生物調査も定期的に行われており、今年の3月には第8次河川生物調査報告書が発行されています。いずれも、市街化がすすんだ杉並区にあって、一定の自然環境が残されていることを裏付けるものでありますが、なかなか、区民からは見えづらく、自分の住むまちの自然環境がどのような状況にあるのか、その価値が実感できないのは残念なことだと思っています。区は、これらのデータや分析、今後の取組みの提言をどのように施策に生かしているのか伺います。
  • 区は2008年より「善福寺川『水鳥の棲む水辺』創出事業」に取組み、2009年11月に同事業の基本方針、2014年2月に同行動方針を策定しています。この事業の目的について確認します。
  • あまり耳慣れない「行動方針」ですが、その「行動方針」というものはどういう位置づけにあるものなのか、「行動方針」を立てて8年を迎えようとしていますが、その達成度合いと今後、どのような道筋があるのか伺っておきます。

この「善福寺川『水鳥の棲む水辺』創出事業」につながる取組みとして、2018年7月に完成した遅野井川親水施設があります。この親水施設が誕生したきっかけは2014年7月に井荻小の5・6年生が区長のもとに訪れ、善福寺川の清掃活動を通して、もっと川をきれいにして、親しみやすい水辺をつくりたいという思いを伝えたことでした。当時は「みんなの夢水路」と言われていましたが、子どもを含む地域住民等が設計・整備に参画し、完成後も市民による管理がされ、大勢に親しまれる水辺環境の創出が実現しました。そして、単に、設計や整備に提案するだけでなく、埋土種子の採取や小学生による種苗植え付けなども行い、約40種類の地域性種苗等により遺伝的な地域生態系環境の再生に挑戦したことが素晴らしく、生物多様性地域戦略の実践の一つとして語れる事例だと思っています。

  • 区はこの遅野井川親水施設づくりをどのように評価し、今後の行動方針にどう活かしていくのか考えを伺います。

この間、私は生物多様性地域戦略の策定について質問に取り上げてきましたが、2017年第1回定例会の一般質問をした時は策定した自治体は6区5市でした。それが、今年7月には12区14市と多くの自治体がこの間、策定を行っているようです。計画の形態は生物多様性地域戦略として個別に計画している自治体、環境基本計画や緑の基本計画の中に包含している自治体と様々でありますが、地球環境の危機的状況に対して計画の重要性から、杉並区も策定に着手すべきであると考えています。基本構想の議論の中でも生物多様性地域戦略の策定についての意見があり、提言書にもそのことが掲載されていると認識しています。

私が、生物多様性の保全が何より重要と思うのは、人間社会の基盤は自然環境であり、その上に経済や文化がのっているという認識があるからです。私たちの暮らしが自然環境に密接にかかわり、生き物や自然の恵みから私たちの命は守られているといっても過言ではありません。生物多様性によって得られる自然の恵みを専門用語では生態系サービスといい、4つのサービスに分けられています。1つは供給サービスというもので食料、水、燃料、木材、医薬品、衣類など私たちの衣食住に必要なものを供給する役割、2つ目は調整サービスといって、大気や水をきれいにし、気候を調整し、自然災害を防ぐ役割、3つ目は文化的サービスで野外レクリエーションや行楽、俳句を詠むなどの人間生活を豊かにする役割、そして、最後の4つ目は基盤サービスで植物の光合成、昆虫や微生物が土をつくる土壌形成、水循環など、先に挙げた1から3のサービスの基盤となるものだということです。生態系を無視した開発や経済活動、人間の生活様式が今、迫っている気候危機の問題やプラスチック海洋汚染の問題、新型コロナウイルス感染症の発生にもつながっています。常に生態系のことを前提に物事をすすめていく重要性を改めてこのことからも認識するところです。また、生物多様性を環境という一面だけでとらえることは不十分であり、まちづくり、都市整備や産業振興、文化交流など全庁的にこの問題に取り組んでいくことが必要だと思います。

生物多様性について学習するたびに、その思いは強くなり、基本構想並の議論が必要だと思うようになりました。

今年のすぎなみエコ路地フェスタのトークショーで、東京大学総合研究博物館の須田真一さんによる「風景が変わると生き物はどうかわるのか」というテーマで生物多様性に関するお話を聞きました。石神井公園での研究についてのお話でしたが、種の多様性を支えるのは生態系と風景・景観の広がりをなすランドスケープの多様性であるということで、種多様性の高かった時代と低下した時代の関係を把握することは生物多様性保全・再生にとって有益な情報となるということでした。そういう意味では杉並区が持つ長年にわたる調査データの蓄積はとても重要な情報資源になると理解しました。

また、人は暮らしが安定しないと環境に目が向かないとの指摘は、先日の選挙で関心のある政策を聞いた世論調査で環境と答えた人が悲しいほどに少なかったこととつながりました。地球環境がちょっと怪しくなってきたと感じていても、日々の目の前の課題が優先され、環境問題は後回しになっているということなのでしょうか。環境問題はひとり頑張っても成果につながらないため、どう取り組んでよいのかわかりにくいという面もあるかもしれません。しかし、今、若者が環境問題に敏感になっているのは、自分たちの将来が危ういということに気付いたからであり、地球温暖化による気温上昇や干ばつ、自然災害が身近な問題となり、食料生産の危機が略奪や紛争を起こし、海面上昇で住む場所を追われる、得体のしれないウイルスが発生するなど、これまで映画の世界のようなことが現実になりつつあります。そのような問題に対して、私たち大人も危機感をもって、きちんと向き合わなければならないと思います。

そこで伺います。

  • 区・区民、さらには事業者も含め、共通の認識を持ち、共に課題解決に取り組む意味でも、目的や目標設定を明確にした生物多様性地域戦略の策定はとても意義あることだと思いますが、区は策定についてどのように考えているのかお聞きします。

須田真一さんから、目黒区の生物多様性地域戦略が参考になると聞き、調べてみました。2014年3月の策定ですが、その策定過程がとても丁寧だと感じました。2年近くかけて専門家をはじめ、区民、商店街関係者、小学校長、環境活動団体など、その地域の特性をとらえたメンバーによる策定検討委員会で策定していて、策定過程で小学生を含む様々な区民イベントをはさみながら、計画づくりへの参加を保障し、中間まとめや素案に対する区民意見募集も2度にわたり行われていました。寄せられた意見数も中間まとめに422人620件、48団体83件、素案では94人162件、17団体23件が寄せられており、区民の関心が向けられていることがうかがえました。また、短期目標に対する指標評価もわかりやすい形で公表されているなど、参考にしたい取組が多くありました。

杉並区にも様々な切り口で活動している環境団体が多く存在しているので、その方々の経験や知識を活かすこともできるのではないかと考えています。

  • 今や、目黒区以外にもいろいろな自治体が策定をしており、区としても他自治体の地域戦略を参考にしながら、杉並区のイメージをつくっているのではないかと思いますがどうでしょうか。
  • 新たな基本構想で掲げた「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現は、生物多様性の主流化を進めていくこととつなげていくべきだと考えています。区としての生物多様性地域戦略の策定をする場合には、区民が自分事としてとらえられるようになることが重要であり、そのためには様々な分野に携わる方々の意見やアイデア、そこに暮らす多様な区民の意見を出せる機会を確保することが必要だと考えています。そして、生物多様性の保全が自分にとって必要なことと理解する人が増えれば、生きた地域戦略になると思いますがいかがでしょうか。また、区としても専門家の力を借りながら全庁的な議論を進めていくことが必要だと考えますが区の見解を伺い、私の質問を終わります。

プラスチック削減とゼロカーボンを同時に目指す ~一般質問と答弁

Q1 今年6月に成立したプラスチック資源循環促進法について、区はこの法律をどのようにとらえているか。

A1 この法律は製品プラスチックを含めたすべてのプラスチックについて設計・製造・販売・提供・排出・回収・リサイクルの各段階において資源循環等の取り組みを促進することによる持続可能な経済の健全な発展を進めることを目的としており、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みにも寄与する点からも意義があるものと認識している。

Q2 プラスチック資源循環促進法では、容器包装プラスチックに加えて製品プラスチックも自治体が回収しリサイクルするとあるが、製品プラスチックは金属や他の素材と一体化しているものが多くリサイクルが難しい。区はこの一括リサイクルにどのように取り組んでいくのか。

現在23区で容器包装プラスチックのリサイクルを行っているのは12区で、11区が可燃ごみとして燃やしている。また全国を見てもリサイクルを行っている自治体は7割程度といわれている。この新法によってすべての自治体が容器包装プラスチックをリサイクルし、さらに製品プラスチックの一括回収が進むのか。

A2  新法では市区町村の一括回収について努力義務として定めており、今後進むべき方向であると認識している。しかしすべての自治体が一括回収に取り組むためにはリサイクルの中間処理や最終処分を担う事業者の確保、プラスチック製品を製造、販売する事業者等でリサイクル費用の一部を負担する仕組みづくり、また各自治体の収集運搬にかかる体制作り等様々な課題があると考える。

そのため、製品プラスチックの資源化についてはまずは収集・運搬や中間処理等の現状を十分に調査したうえで資源化についての取り組みを検討し、可能なところから進めていく。その際は現在小型家電もしくは不燃ごみとして収集している金属と一体化した製品についても検討していく。

Q3 昨年1月に杉並区の容器包装プラスチックを処理する中間処理施設と材料リサイクルされている工場を見学した。中国への輸出ができなくなり国内の処理が追い付かない事、再生される製品のニーズがそれほど多くないことから、リサイクルする総量を減らすことが一番重要であり急務と考えるが、区の見解は?杉並区の環境基本計画の中にも温暖化対策と連動してプラスチック削減の計画を示すことが必要だと考えるがいかがか。

A3 ご指摘の通りバーゼル条約等の制約による急激な輸出環境の変化により国内のプラスチックにかかる資源循環システムについては整備の途上にあるものと思う。プラスチックは製造あるいは焼却の際に、さらには再資源化の際にも多くのCO2を排出するので、地球温暖化対策の観点からごみとして排出される総量を減らすことは重要であり、このことは基本構想審議会等からも意見をもらっている。

またプラスチック削減の推進は、製造業者や小売業者だけでなく、生活習慣の見直し等区民による取り組みも重要で、計画等の策定に当たっては、再資源化の取り組みに加え区として取り組むべき削減に向けた施策についても検討していく。

Q4 これまで容器包装プラスチックのリサイクルは自治体が収集、選別、圧縮、保管、生産者が再商品化を担い経費の負担は自治体が8割、生産者が2割という大変不公平な現状があった。この新法によって負担割合に変化があるのか。

また生産者が責任をもって収集・運搬・選別・保管・再商品化までを行い、その価格は商品に含めることによって受益者である生産者と消費者が負担する、拡大生産者責任が進むのか。

新法には製造事業者や小売事業者が自主回収しリサイクルすることを可能にする措置が盛り込まれた。これは拡大生産者責任の上からも、また上質な高度リサイクルができる点からも歓迎されるべきことだが、具体的に同のように進められるのか。

A4 容器包装リサイクル法では自治体に分別収集、事業者にリサイクルが義務付けられ、現在区が役8割、事業者が2割の負担となっている。

新法では自治体に対し分別収集及び再商品化への努力義務が課され、再商品化は容器包装リサイクル法に定める指定法人に委託し、再商品化計画は国の認定を受けるものとされている。

一方生産者に対しては、環境配慮設計指針を示し、指針に適合した製品を国が認定する仕組みを設けるとともに、製造事業者、販売事業者が製品等を自主回収し再資源化する計画に対し、国が認定した場合には廃棄物処理法の事業者への許可が不要になる制度が規定された。しかし事業者に対しては容器包装リサイクル法のような再資源化の義務付けでないことから、拡大生産者責任を進めるためにも、今後の国の補助制度の整備や事業者の自主的な取り組みを促す仕組みづくりが重要になってくる。今後政令等が示され、自治体の負担割合を含めて法に基づく取り組みの詳細が明らかになってくるものと考える。

Q5 自治体が容器包装プラスチックと合わせて製品プラスチックを回収することになれば全く形態の違う製品プラスチックを中間処理する工場の設備投資は避けられない。このような工場の設備投資のための国からの補助はどうなっているか。

A5 重量があり不純物の増加が想定されるプラスチックの選別・梱包等の中間処理に対応するためには追加の設備投資が必要になるが、現在のところくにからの補助金等は示されていない。

Q6 ゼロエミッション東京戦略で都が行おうとしているプラスチックの削減には、市区町村の取り組みと連動して行い必要があると思うが現在どのような協力体制があるのか。

A6 東京都とは会議体やメール等で必要な情報交換を行っている。区が目指すプラスチック削減は都と方向性を一にしているので、今後取り組みを進める中で都の取り組みを紹介するほか、協力できる事業があれば連携を図っていく。

Q7 区で行われる会議でペットボトル飲料の配布を行わないように求めたところ、各所管に代替えの方法を求めていくということだったが、この取り組みがどの程度進んだのか。

A7 区では各課、職員向けにプラスチック削減の観点から庁内通知やアンケート、庁内ネットワーク等でマイボトルの活用等の周知を図っている。アンケート結果からは新型コロナ感染症防止や衛生上の理由からペットボトルを使用した会議が多くあったことから今後も使用削減にむけ、一層の周知を図っていく。

Q8 冷水器の横にマイボトルへ給水くださいという案内の設置を要望したがどう進められているか。マイボトルへ給水可能な機器の区施設への設置はまだ多く見かけない。今後新しい施設建設等の際には設置を進めてほしい。

A8 現在庁内において、マイボトルへの給水可能な給水器の近辺にマイボトルへの給水勧奨の掲示を貼りだし周知を図っている。マイボトル用給水器については本庁舎への試行的な設置を検討しており、引き続きマイボトルの普及によるプラスチック削減に努めていく。

Q9 区立施設に入っている事業者に使い捨てのストローやその他の製品を出さないように働きかけることについてどのような成果があったのか。自販機の中にペットボトル飲料を入れない自治体や民間施設もある。これについても検討してほしいが区の考えは。

A9 区立施設使用業者や自動販売機設置業者に対してワンウェイプラスチックの使用抑制、ペットボトル飲料を紙や缶飲料に切り替える依頼を行ったところ、カップを紙製にする等可能な範囲で対応している業者やストローの代替品を検討するという事業者もあった。一方で、コロナ禍で営業が厳しい、衛生面の配慮や代替品が見当たらない、缶飲料の開封が困難な障害者の利用があるなどの理由により対応は困難との返答も多くあった。

先般、プラスチックの資源循環の促進等に関する法律が制定されたことから、プラスチック製のストローやスプーンなどは有料化等により削減することが事業者に求められている。

ペットボトルについても製造事業者による取り組み進むことを期待し、区としても事業者に働きかけを行っていく。

Q10 プラスチック問題については清掃の情報紙「ごみパックン」などで分かりやすく取り上げられてきたがこれを目にする区民が少ない。区広報に環境の特集としてプラスチック問題を取り上げてはどうか。

A10 プラスチック問題に関して区ではレジ袋有料化の動きを踏まえたマイバッグ促進や、海洋プラスチックごみ、マイバッグ持参率の高い事業者の周知等、ワンウェイプラスチックの削減を目指して広報している。今後も広報、ホームページ等を通じた周知に努め、全世帯に配布しているごみ収集カレンダーの活用等、区民に届く情報提供に工夫を図っていく。

第2回定例会一般質問 質問と答弁 2021.6.2 奥田雅子

ひとり親支援について

Q.1-①昨年度、ひとり親家庭実態調査が実施された。前回の実態調査報告書では、調査結果のまとめの中で今後の課題についての記載があった。どのような課題があり、それは解決されたのか伺う。また、今回の実態調査では、コロナ禍の状況にあって、5年前の調査との違いが見えてきたのではないかと思う。区はこの調査により、どのようなことを新たな課題として認識したのか伺う。

A.1-①まず、2015年度に実施した実態調査で出された課題だが、住まいの確保や就労支援・子どもの学習支援の充実のほか、離婚後の支援である養育費確保や面会交流への理解促進などがあり、これらの課題に対しては、現在も引き続き取り組みをすすめている。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、今回の実態調査からは顕著な傾向は見受けられなかったが、報道等により、ひとり親家庭が影響を受けていることを認識している。今回の調査における新たな課題については、前回同様、ひとり親家庭が抱える課題としては、経済的なものが多く、その要因の一つとなるのが、養育費の不払いであり、その対策として今年度より養育費確保支援事業を開始している。また、子育てや家事に困難を感じている父子家庭の割合が増えており、母子家庭に加え、こうした父子家庭も相談しやすくなるような工夫をしていく必要があると考えている。(子ども家庭部長)

Q.1-②国の子育て世帯生活支援特別給付金の支給が始まっているが、ひとり親家庭を対象とした給付金の支給件数を確認する。

 

A.1-②本給付金の対象はひとり親世帯とそれ以外の住民税非課税の子育て世帯とに分かれるが、質問のひとり親世帯の直近の支給実績は2021年4月分の児童扶養手当受給者1501世帯、児童数は2058名となっている。(子ども家庭部長)

Q.1-③本来使える制度やサービスが使えていない人がいないようにしなければならないが、ひとり親への情報提供はどのように行っているのか伺う。

A.1-③区では、ひとり親家庭に対する支援サービスの内容をまとめた「ひとり親家庭のしおり」を作成しており、ひとり親の方が利用される相談や戸籍の届け出を行う区の窓口のほか、区内の医療機関や就労支援センター、くらしのサポートステーションなどで配布している。また、区の広報やホームページのほか、東京都のひとり親家庭向けポータルサイトなどにも必要な情報を掲載し、広く周知することに努めている。(子ども家庭部長)

Q.1-④相談に訪れた方にとっては、その家庭にあった制度やサービスをカスタマイズしてもらえるような寄り添い型の相談ができると心強いと考えるが、現状どのように対応しているのか確認する。

A.1-④ひとり親家庭の相談は、ひとり親になった事由一つをとっても、離別・未婚・死別と背景が異なり、さらに子どもの年齢や経済状況・生活状況も様々である。そうしたご本人やご家族の状況を、ひとり親家庭支援担当の相談員が丁寧に聞き取りながら支援し、必要に応じて手続きの同行なども行っており、今後も相談者の気持ちに寄り添いながら、共に考え必要な支援を提供していく。(子ども家庭部長)

Q.1-⑤今年度から開始された養育費確保支援事業は、離婚相手との取り決めがあっても養育費が支払われない場合のひとり親家庭の救済制度だが、区は周知方法含めどのようにすすめようとしているのか伺う。

A.1-⑤本事業の周知については、事業を開始した4月1日の広報及びホームページによる周知に加え、チラシを作成し、区窓口のほか公正証書を作成する公証役場、民間のひとり親家庭支援団体、養育費に関する相談を受ける東京都のひとり親家庭支援センターや養育費相談支援センターにも送付し、周知の協力をお願いした。これまでのところ申請の実績はないが、引き続き周知に努め養育費の確保につなげていく。(子ども家庭部長)

Q.1-⑥相談したいことが明確ではなく、相談先を選ぶことが難しい方も多いと思う。区が発行する「ひとり親家庭のしおり」の最初に、ここにさえ相談すれば、その先を導いてくれるという案内が書いてあるとよいと思うがいかがか。

A.1-⑥このしおりでは「各種相談」というページに相談機関ごとに相談内容等を記載しているが、ご指摘の通り、何を相談したらよいのか整理できない方もいらっしゃると思うので、そうした方も相談できる窓口がわかるよう、次回作成する時には工夫していく。(子ども家庭部長)

Q.1-⑦ひとり親家庭への聞き取りと同時に、地域で支援活動を行っている団体や個人からも現場が持つ情報や抱える課題について共有する機会が必要であると考えるが、区の見解を伺う。

A.1-⑦ひとり親家庭が抱える悩みや課題については、日々の窓口や電話での相談のほか、「ひとり親家庭実態調査」を通して定期的に把握しているところではあるが、地域で実際に支援に携わっている方々からのご意見は貴重であると考えているため、そのご意見もしっかりと受け止めながら実態の把握に努めていく。(子ども家庭部長)

ヤングケアラー支援について

Q.2-①厚生労働省の調査で対象となった杉並区内の中学校はあったのか。また、今回の調査を区はどのように受け止めたか。

A.2-①厚生労働省が実施した調査には本区の区立中学校も調査対象校として抽出されていた。教育委員会としては全国の中学校2年生の5.7%が世話をする家族がいるという結果から、ヤングケアラーが一定数いることが分かった。(教育政策担当部長)

Q.2-②ヤングケアラーの問題は家族の問題とせず、社会全体の問題として取り組むことが重要と考えるが、そもそも自分がヤングケアラーだと自覚していることもが少ない実態がある。誰かが気づいて声をかけ、支援につなげることが重要だと考えるが、区ではどのように実態を把握し対応しているのか確認する。

A.2-②ヤングケアラーの実態把握と対応については、学校等で支援が必要な子どもを把握した場合、子ども家庭支援センターと情報共有を図り、双方で連携して見守り支援を行っている。その上で、子ども家庭支援センターのケースワーカーが家庭を訪問するなどして子どもやその家族の相談支援を行うとともに、家庭の状況に応じて必要なサービス等につなげている。(子ども家庭部長)

Q.2-③子どもに関わる全ての職員がヤングケアラーの実態について認識し、理解することが早期発見、早期解決には欠かせないと考えるが、福祉や教育分野での研修にヤングケアラーの視点が盛り込まれているか確認する。

A.2-③子どもに関わる大人がヤングケアラーへの理解を深め、支援の必要な児童・生徒を早期発見し、関係機関と適切な連携を図る必要があることから、子ども家庭支援センターで実施している要保護児童対策地域協議会の構成員向け研修やスクールカウンセラー連絡会でヤングケアラーを取り上げ、周知に努めている。加えて今年度は管理職や養護教諭、生活指導主任等を対象にヤングケアラーの理解、他機関との連携方法等の研修を行っていく。(教育政策担当部長)

 

Q.2-④本年5月、厚生労働省と文部科学省のプロジェクトチームによる報告書がまとめられた。その検討内容を確認する。また、区は、その報告書をどのように受け止めたか伺う。

A.2-④このプロジェクトチームは支援を必要としているヤングケアラーを早期に発見し、必要な支援につなげるための方策を検討するために設置されたものである。まとめられた報告書には、福祉・介護・医療・教育等の関係機関や支援団体等がしっかりと連携し、ヤングケアラーの早期発見・支援につなげるための取組みが記載されており、今後の施策を展開するにあたり、参考とすべき内容が含まれているものと受け止めている。(子ども家庭部長)

Q.2-⑤子ども家庭支援センターのリーフレットやゆうラインの案内で、具体的な相談内容に家族のケアを担っている子ども(ヤングケアラー)の相談といった項目を足す工夫があっても良いと思うが区の見解を伺う。

A.2-⑤子ども家庭支援センターのリーフレット等への具体的な相談内容の記載については、ヤングケアラーが相談につながることは重要であると考えているため、より子どもにわかりやすい表現で案内するなどの工夫をしていく。(子ども家庭部長)

Q.2-⑥この間ひとつの家庭が複合的かつ複雑な問題を抱えるケースが増えており、区でも在宅医療・生活支援センターを中心により横連携の支援体制を強化しているが、ヤングケアラーの問題についても改めて意識を高めていくことが必要だと考える。子どもの未来を奪うヤングケアラーの問題に対し区の考えを伺う。

A.2-⑥ヤングケアラーは子どもでありながら、本来大人が担う家事や家族の世話などを介護者として日常的に行っている。そのため、睡眠不足や疲労から勉強する時間がとれず、学力の低下や欠席の増加など学業への影響が懸念される。また、自由時間が少ないため部活動に参加できない、友人と遊ぶ時間がとれないことから、孤立や精神的な不安定さを招くなど、成長していく上での影響も危惧される。こうしたことから、家族へのケアに係る負担を軽減または解消することが必要だが、ヤングケアラーの問題は家庭内のデリケートな問題であることから、本人が家族の状況を知られたくない、本人に自覚がないなどの状況により、潜在化しやすくなってしまうという難しさをもっていると認識している。

そのため、ヤングケアラーについての認知度を高め、子どもに関わる教育等の関係機関や地域が、子どもの発するサインに気づき、早期に発見することが非常に重要である。また、周りの気づきだけでなく、ヤングケアラー自身が相談できるようにすることも重要であり、子どもの声を受け止める体制や子どもの声を代弁するしくみの構築についても大切であると考えている。

全ての子どもがその家庭環境に左右されることなく、将来の選択ができるよう、地域全体で子どもを見守る環境を整え、必要な支援につなげることで、子どもたちの未来への歩みをしっかりと支えていく。(区長)

第2回定例会一般質問  2021.6.02奥田雅子

いのち・平和クラブの一員として

1. ひとり親支援について

2.ヤングケアラー支援について

一般質問します。

 

先ず、ひとり親支援について

2013年に成立した「子どもの貧困対策の推進に関する法律」は、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることなく、健やかに育成される環境の整備と教育の機会均等を総合的に推進することを目的としています。しかし、厚生労働省による2019年の国民生活基礎調査によれば、子どもの貧困率は13.5%で7人に1人が貧困状態となっており、母子世帯の86.7%が苦しいと応えています。もとから困難な状況を抱えていたひとり親、特に母子世帯にコロナ禍は容赦なくさらなる困難を強いた形となっています。母子世帯の多くは正規雇用より非正規やパート労働が多いため、コロナ禍による就労制限で収入減となる一方、子どもは一斉休校や登校制限、様々な体験活動中止等により、学校での給食や学び、友達との遊び、地域の人たちとのかかわりが制限され、子どもの健康や学習、発達にも影響が及んでいます。学校や地域、友達が担ってきた役割も親が引き受けなければならず、ひとり親の負担はますます増えています。2008年のリーマンショックを超える経済不況になるとも言われており、中長期的な対策が必要だと考えます。

コロナ禍によってひとり親世帯が困窮する現状に問題意識を持ったひとり親支援団体やジェンダー政策の専門家、研究者らによって発足した「シングルマザー調査プロジェクト」が昨年7月に行ったWEBによる大規模調査では1800人から切実な声が寄せられました。さらに、その回答者の中から4つの要件に当てはまる世帯、つまり①母子世帯②公的年金を受けていない③生活保護を受けていない④児童扶養手当を受けている、という東京在住252人、東京以外287人に毎月同じ方に同じアンケートをするパネル調査を行っています。それによれば、今年2021年2月の状況は東京在住の252人の約30.6%が主食のコメなどの食糧が買えないことがよくあった、時々あったと回答。肉や魚、野菜に至っては約半数が買えていませんでした。体重が減った小学生は多いときで10%を超えました。子どもの服や靴では59%、子どもの玩具・文具・学用品は46.5%が買えないことがよくあった・時々あったと回答しています。また、子どもたちの状況では、学校の学習についていけない小学生は3割を超え、学校に行きたくない、行かなくなったが2割を超え、習い事ができない小学生は約6割に上っています。区内の子ども食堂も集まって食事ができにくくなり、お弁当や食材の配布を行っているところもあると聞いています。要望は日を追うごとに増えているようで、杉並区でも困窮する家庭は確実に存在しています。

そこで、質問します。

  • 2020年度、ひとり親家庭実態調査が実施されました。前回の実態調査報告書では調査結果のまとめの中で今後の課題についての記載がありました。どのような課題があり、それは解決されたのか。また、今回の実態調査では、コロナ禍での状況にあって、5年前の調査との違いが見えてきたのではないかと思います。区はこの調査により、どのようなことを新たな課題として認識したのか伺います。
  • 国は子育て世帯生活支援特別給付金として児童1人当たり5万円を支給することとしましたが、杉並区のひとり親対象の給付は何件か伺います。
  • 杉並区の調査では悩みや困りごとの解決方法として区の窓口に相談すると答えた人は1%で、インターネットやSNS、親族や友人に相談すると回答した約40%前後と比べ少ない結果となっています。また、何もしないというのも21.7%あり、時間がないとか最初からあきらめてしまう人がいるようです。本来、使える制度やサービスが使えていない人がいないようにしなければなりませんが、ひとり親への情報提供はどのように行っているのでしょうか、伺います。
  • コロナ対応として臨時的な措置もあり、さらに手続きすることが増えたりもしています。HPでも常に最新の情報が掲載はされていますが、通常の制度も含めて、相談に訪れた方に対しては、その家庭にあった制度やサービスをカスタマイズしてもらえるような寄添い型の相談ができると当事者にとっては心強いと考えますが、現状どのように対応をしているのか確認します。
  • 2021年度からひとり親家庭を対象として新たに養育費立替補償契約費用助成と公正証書作成費用助成が予算化されました。離婚相手との取り決めがあっても養育費が支払われない場合の救済制度ですが、周知方法含め区はどのように進めようとしているのか伺います。
  • 区は毎年ひとり親家庭のしおりを発行しています。非常に多くの情報が盛り込まれています。例えば、ページを開くと各種相談が5ページにわたって一覧表が掲載されていますが、自分が相談したいことが明確になっている人はここだという相談先を選ぶことができるかもしれませんが、そういう人は少ないのではないでしょうか。活用せずに放置してしまうのではと心配です。最初に出てくる「子ども家庭部管理課、福祉事務所」がワンストップ的な相談窓口となるのか。そうだとすれば「相談先がわからないという場合は、まずはここにご相談ください」のように、ここにさえ相談すれば、その先を導いてくれるという案内がしおりの最初に書いてあるとよいと思いましたがいかがでしょうか。
  • 生活者ネットワークの関連団体が昨年11月から今年の2月にかけて、都内で子ども食堂や子育て支援、食料支援、居場所、民生委員、無料学習塾等の支援活動をしている30の団体や個人を対象に聞き取り調査を実施しました。調査報告書では現場だからこそ見える様々な課題がつづられていました。制度からこぼれてしまう家庭の支援や目の前の家庭の課題に気長に寄り添い、信頼関係を築き、行政機関や他の団体とつなぎながら解決に導く取組みは、ボランタリーな地域住民によるたすけあいの地域づくりであり、大事にしたい取組みだと感じました。区はひとり親家庭への聞き取りと同時に、地域で支援活動を行っている団体や個人からも現場が持つ情報や抱える課題について共有する機会をつくり、区からは見えていない困難な家庭の把握にも努めることが必要だと考えますが、区の見解をお聞きします。

 

次に、2つ目の項目、ヤングケアラーについて質問します。

私は2018年第3回定例会の一般質問でケアラー支援について質問を行い、ヤングケアラーについても取り上げました。当時は杉並区でもケアラーという言葉は一般的ではありませんでしたが、区も介護者支援の重要性の認識には変わりはなく、今後も総力をあげて取り組んでいくとの答弁がありました。今日は改めてヤングケアラーについて質問してまいります。

2020年3月に埼玉県ケアラー支援条例ができ、条例に基づくケアラー支援計画策定にあたり、実態調査が実施されました。その後さらに、厚生労働省が昨年の12月から公立中学2年生と公立高校全日制の2年生を対象に、全国初のヤングケアラー調査を実施しました。それぞれの調査からその実態が明らかになり、その内容に衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。それらの結果を受け、ヤングケアラーを特集した新聞や報道番組が増え、子どもたちが置かれている困難な状況を多くの市民が見聞きすることで「ヤングケアラー」という言葉の認識が広がり、理解も進んできたと感じています。

家族の中にケアを必要とする人がいた場合、多かれ少なかれ家族のケア負担が発生します。世帯人数が減り、共稼ぎやひとり親の家庭も増える中、子どもや未成年の若者たちがケアの担い手となることがあります。このような子どもや若者はケアの経験を通して多くのことを学ぶという点では悪いことではありません。しかし、担っている役割や責任が年齢に不釣り合いであったり、長期間に及んだ場合など、自らの心身の発達や学校生活、将来への大きな影響を受けることがあるため、ヤングケアラーに陥らなくて済むような、様々なサポート体制を整備していくことが必要です。

 

  • 厚労省の調査で対象となった杉並区内の中学校はあったのか。また、今回の調査結果を区はどのように受け止めたか伺います。

 

今年4月12日に厚労省が発表した調査結果によれば、約1万3千人から回答があり、大人の代わりに家事や介護といった家族の世話を担う子ども、いわゆる「ヤングケアラー」が中学2年で5.7%、17人に一人、高校2年で4.1%、24人に一人いることが明らかになりました。これを文部科学省の統計に当てはめると中学2年で約5万5千人、高校2年で約4万2千人のヤングケアラーがいるということになります。ケアに費やす時間は中学生では平均4時間、高校生で3.8時間。なんと7時間以上という子どもも10%いました。これはとてもショックであり、これでは勉学や部活、友達づきあいもままならないし、子どもらしい遊びや休息の時間も楽しい時間も持つことができないわけで、到底看過できない問題です。

2018年の一般質問では、杉並区でもヤングケアラーというケースもあったが、十分な把握ができているわけでもないことがわかりました。当時の答弁は、今後、学校現場にかかわる者への研修に「家族のケア」という視点を示し、各学校が的確な実態把握のもと保護者や関係機関と連携した対応ができるように支援していくというものでした。

2019年11月から2020年1月にかけて、江戸川区の生活者ネットワークの仲間が教育・医療・福祉の現場で働く方々との協力で「ケアを担う子どもや若者たちに関する調査」を行いました。報告書によれば、ケアを担う子どもや若者がいたと答えた人はヤングケアラーという言葉を知っている割合も多かった一方、ヤングケアラーという言葉を知らない人はケアを担う子どもや若者がいない、わからないと答えた人が多かったという結果が出ていました。つまり、ヤングケアラーはいるものだと意識しているかいないかで、把握の度合いも違ってくるということだと思います。この調査にかかわった人の職業はケースワーカー、障がい者福祉関連、保健師、ケアマネ、訪問介護員、看護師、スクールソーシャルワーカー(SSW)、コミュニティソーシャルワーカー(CSW)など医療・介護・教育・福祉分野と多岐にわたっており、ヤングケアラーに接する可能性のある職種はすべてふくまれていました。そしてそれぞれの関係性の中で連携しながら解決しようとしている様子が見てとれました。中には対応に苦慮して何もできなかったという場合もあり、なかなか一筋縄では解決できない問題でもあると改めて認識しました。

 

  • ヤングケアラーの問題は家庭の問題とせず、社会全体の問題として取り組むことが重要だと考えます。杉並区でもヤングケアラーが存在しているという想定のもと、支援策を検討するためには実態把握が欠かせませんが、様々な調査からもなかなか本人が自ら発信できないケースが多いことがわかっています。厚労省調査でも60%以上が世話について相談しておらず、そもそも自分がヤングケアラーだと自覚している子どもも少ない実態が明らかになりました。誰かが気づいて声をかけ、支援につなげることが重要だと考えますが、杉並区ではどのように実態を把握し、対応しているのか確認します。
  • 子どもに関わる全ての職員がヤングケアラーの実態について認識し、理解することが、早期発見、早期対応には欠かせないと考えます。福祉や教育分野などでの研修にヤングケアラーの視点が盛り込まれるようになっているのか確認します。
  • 今年3月に厚労省と文科省が合同で「ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム」をつくり支援策の検討を行い、5月に報告書がまとめられました。その検討内容はどのようなものだったのか確認します。また、その報告書を区ではどのように受け止めたのか伺います。
  • 鳥取県が今年4月から県内の児童相談所などにヤングケアラー相談窓口を設置、神戸市は6月からこども・若者ケアラーの相談窓口を設置するようです。「ヤングケアラー支援」を見える化することで、当事者や支援者、気になっている地域住民が相談しやすくなり、情報もそこに集中するようになると考えます。たとえば、子ども家庭支援センターのリーフレットやゆうラインの案内で、具体的な相談内容に家族のケアを担っている子ども(ヤングケアラー)の相談といった項目を足す工夫があってもよいのかと思います。今後、リーフレットの改定などの際に検討してはいかがか区の見解を伺います。
  • 今後、介護保険制度の限界から、高齢者などの介護は再び家族の負担が増える方向に向かうのではないかと危惧します。また、コロナ禍で経済状況が悪化し、それが引き金となって、心身不調となる親のケア等、ヤングケアラーにならざるを得ない状況が今後、ますます増えるのではないかと懸念します。この間、一つの家庭が複合的かつ複雑な問題を抱えるケースが増えており、杉並区でも在宅医療・生活支援センターを中心に横連携の支援体制を強化してきていると承知していますが、このヤングケアラーの問題についても改めて意識を高めていくことが必要だと考えます。子どもの未来を奪うヤングケアラーの問題に対し、区の考えを最後にお聞きします。

 

今回、ひとり親支援とヤングケアラー支援について質問してきました。2つのテーマは決して別々の問題ではなく、根底ではつながっている問題だと思います。地域の中に潜在している課題を敏感にキャッチし、困っている家庭や子どもたちの支援に尽力して頂くよう求め、私の一般質問を終わります。