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第4回定例会一般質問と答弁 2017.11.17奥田雅子

<地域共生社会の実現に向けて>

【Q1】 〇対象の属性に関わりなく、複合的な課題に対する分野横断的な福祉政策、地域施策が求められると考えられるが、このような国の法改正の動きに対しての区の認識を伺う。

〇地域共生社会の実現は、一つひとつの事例を積み重ねながら実態を作っていくことが必要である。漠然としている上に画一的な形があるものではないため、より自分の暮らしに引き寄せたわかりやすいものであることが必要である。地域に即した戦略が必要ではないか。行政、地域包括、社協がスクラムを組み、地域住民、地縁団体、市民活動団体と連携しながら地域づくりをすることに対する区の見解を伺う。
〇最後に、地域共生社会の実現に向けた区の意気込みを伺う。

【A1:区長】  最近、私の身近でも、議員ご指摘の高齢者の一人暮らしや老々介護、ダブルケアなどで悩んでいるという声を聴くことが増えた。一方、区内では、助け合いやつながりの重要性に気づき、家事援助や病院の付き添い、サロンのような居場所づくりなどの多様な組織や団体等による助け合いの活動が広がっている。

私は、国が地域共生社会という概念を前面に出した法改正を行ったのは、福祉ニーズの多様化、複雑化に対して、従来の制度ごとのサービス提供では対応しきれなくなっていること、人間関係の希薄化から生じる様々な課題が表面化していることが、背景にあるものと認識している。

このことを踏まえ、区としては分野を横断する包括的な相談支援体制づくりを進めるとともに、多様な主体との協働や区民による支えあいの仕組みづくりを推進することが重要な課題であると考えている。

包括的な相談支援体制づくりの第一歩としては、来年度開設する在宅医療・生活支援センターが、高齢、障害、子どもなど分野ごとの相談機関に対し、分野を超えた関係機関との調整や専門家による助言などを通じて支援する役割を担うことになる。

また、支え合いの仕組みづくりについては、区内で、見守り、移動サービスなどを行っている様々な団体がこれまでに行ってきた、地域に潜む特有の課題の共有や地域での対応策の検討などの取組を、さらに広げていくことから進めていく考えである。

こうした取組を着実に進めることで、地域の事業者や団体、ボランティアの皆さんとともに、区民の様々な課題を解決していける地域共生社会を目指す所存である。

【Q2】〇今回、地域福祉計画の策定が努力義務化とされたことを受け、保険福祉計画と地域福祉計画の関係と定め方について伺う。

〇地域福祉計画は、社会福祉法の改正趣旨を踏まえて策定を行っているのか。また、策定にあたり、参考にした自治体があるか、他自治体の動向について伺う。

〇庁内でも所管を超えて連携することが求められるが、地域共生社会の取組について、どのように議論・共有が行われたのか伺う。

【A2:保健福祉部長】 まず、保健福祉計画との関係等、地域福祉計画策定の考え方であるが 地域福祉計画は、現行計画と同様に、保健福祉計画に包含させる形で案を策定することとし、今回の社会福祉法の改正趣旨を踏まえ、保健・福祉全般に関して共通して取り組む事項を示すものとする考えである。具体的には、実行計画の「地域福祉の充実」の施策を構成する計画事業をはじめ、地域の高齢者の福祉、障害者の福祉、児童の福祉等に関して共通する相談体制の充実や地域福祉活動への参加促進などを定めている。

また、他自治体の動向及び参考にした自治体については、都の調査によると、これまで23区中13区が、今回の法改正の趣旨を踏まえた改定等をしており、検討にあたっては計画の柱となる考え方などを参考にした。

次に、地域共生社会の取組についての庁内での議論・共有については、厚生労働省の地域共生社会に向けた取組を所管する室長を講師に招き、「制度の縦割りを超えた包括的支援体制について」と題した部内の勉強会で、理解を深めたほか、高齢、障害、子どもの各分野の計画改定の作業部会においても、社会福祉法の改正の趣旨等を踏まえた検討を行ってきた。

また、来年度春に開設する在宅医療・生活支援センターで取り扱う困難事例への対応の実務的な検討においても、組織横断的な包括的支援体制のあり方について、議論を深めたところである。

【Q3】 第7期介護保険事業計画は高齢者保健福祉計画と一体的に策定するとなっているが、これまでの介護保険事業計画との違いはどこか。その扱いとなった経緯は。

【A3: 高齢者担当部長】 これまで老人福祉法に基づく老人福祉計画と介護保険法に基づく介護保険事業計画は、保健福祉計画に包含していたが、今回から、改定する保健福祉計画との整合を図りながら高齢者福祉分野の計画として策定することとした。これは、「地域包括ケアシステムを強化するための介護保険法等の一部を改正する法律」により社会福祉法が改正されたことにより、地域福祉計画が各福祉分野の計画の上位的な概念で位置付けられたこと等を踏まえ、高齢者福祉分野の個別計画として策定することとした経緯からである。

【Q4】〇地域福祉計画は、どのような手法で、どのくらいの期間をかけて策定したのか伺う。

〇地域住民や社会福祉事業者などへのアプローチについては、具体的にはどのような形で行われたのか確認する。また、区民の生活実態やニーズを把握するためのアンケート調査のようなことは行ったのか伺う。

【A4:保健福祉部長】地域福祉計画の策定の手法及び期間、事業者等の参画に関して、保健福祉計画の改定の基本方針を本年1月に策定し、それに基づき、地域福祉に関係する部署で構成する作業部会において検討を進めてきた。

検討に当たっては、作業部会の際に、杉並区社会福祉協議会と公益社団法人杉並区成年後見センターから意見聴取を行ったほか、民生児童委員会長協議会などの機会を捉えて、民生児童

委員から現状における課題等を伺ったり、地域で活動している様々な団体から個別に現場での課題をヒアリングするなどして、計画策定の参考にさせていただいた。

また、区民の生活実態やニーズについては、区民意向調査の結果のほか、民生児童委員の活動状況報告等をもとに把握したところである。

【Q5】現在、区が把握している制度の狭間の問題には、どのようなことがあるのか

【A5: 在宅医療・生活支援センター開設準備担当部長】  制度の狭間については、厚生労働省の「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部から出されている資料や議員ご指摘の地域力強化検討会の資料のなかで「公的支援制度の受給要件を満たさない」ケースについて「制度の狭間」と説明している。区においても、障害が疑われているが受給要件を満たさないため障害者手帳を取得しておらず、障害福祉制度等を活用することができないケースや、近隣との関係もなく、家の中にごみをため込み近隣に悪臭や衛生上の問題が発生しているにも関わらず、そのことを問題と認識していないケースも含まれると考えている。

【Q6】〇現在の区の地域割りは、地域区民センターや町会、民生委員、地域包括支援センター、小・中学校などが必ずしも一致していないが、そのことによる弊害はないのか。地域づくりを進めるための圏域の考え方については整理しておく必要があると考えるが、区の見解を伺う。

【A6: 在宅医療・生活支援センター開設準備担当部長】  議員ご指摘の通り、それぞれの担当するエリアは、必ずしも一致していない状況がある。

これは、歴史的な背景やその役割等によって定められてきた経緯もあり、一致させることは難しい面もあるが、これまでも、活動の状況に合わせ、整備を図ってきた。今後も個別具体的に関係者の話を伺いながら、目的や実情に応じて、改善を図っていく。

【Q7】〇さまざまな問題を抱えた方の支援を連携させようとした時、個人情報の保護に配慮することが支援の障壁や妨げになることがあるが、福祉的支援が最優先すべき場合があるため、その当事者の最善の利益を考えた支援を行いやすくするために、個人情報の扱いについて整理しておくことが必要だと考えるが、区の見解を伺う。

【A7: 在宅医療・生活支援センター開設準備担当部長】 支援を行うにあたっては、支援機関が保有する個人情報を機関間で共有することが必要な場合があり、その場合は個人情報保護の観点から、情報の取り扱いに配慮する必要がある。しかし、一方で、議員ご指摘のように、個人情報の保護に慎重を期することにより、現場での支援の障壁や妨げにならないように考慮することが必要である。

個人情報保護に関する法令や条例等の定めを遵守し、業務ごとに想定される個人情報の取り扱いを整理して、支援対象者本人に対する最善の支援が行えるよう、進めていく。

【Q8】 区では、この包括的な支援体制の構築をどのように進めていこうと考えているのか。また、連携していく分野をどこまでを想定しているのか伺う。

【A8: 在宅医療・生活支援センター開設準備担当部長】  障害者地域相談支援事業所である「すまいる」や、ケア24などの地域の相談機関では解決困難な事例などについて、2018年4月に開設する在宅医療・生活支援センターを核として、専門家の助言等を踏まえながら関係機関と連携して支援する、包括的な支援体制を構築する。連携していく分野については、福祉、医療、環境など区民の暮らしを支える全ての分野を想定している。合わせて区全体の相談支援の質を向上させるため、センターが相談事例に関する調査分析や事例検討、研修等を実施することで、包括的支援体制の一層の充実を図る所存である。

【Q9】〇杉並区社会福祉協議会では、小地域の活動が弱いように感じている。区においても社協に対し地域福祉活動計画の策定を促し、区の地域福祉計画を共にすすめるパートナーに位置付けるべきではないかと考える。区として社協に期待する役割について伺う。

〇ボランタリーな市民活動の最初の一歩支援や地域でのサロンや居場所などを提供している活動を継続させる支援が今後ますます求められていく。行政ができない部分を地縁団体だけでない区民が担うことで地域を元気にしていくたまえの支援を検討すべきと考えるが、区の見解を伺う。

【A9: 保健福祉部長】 区としては、既存の様々な地域における活動が広がり、つながりが深まることで、お互いに支えあう仕組みが充実し、「制度の狭間」の課題などへの対応力が高まっていくものと考えている。地域の様々な社会資源とのネットワークを有している社会福祉協議会には、地域における福祉活動の中心的な役割を果たすことを期待している。

また、区との関係については、現在改定中の保健福祉計画に、社会福祉協議会の取組を反映させる予定であり、区と社会福祉協議会が車の両輪となり、地域福祉の増進に取り組んでいく考えである。

なお、地域福祉活動計画についてであるが、現在、社会福祉協議会では、地域共生社会づくりに向けて学識経験者の意見も聴きつつ、計画策定を含め検討していると聞いている。

次に、地域団体の活動に対する支援についてであるが、区においてはNPO支援基金や長寿応援ファンドを活動し、NPOや地域団体による活動の立上げや充実など、主体的な地域活動を支援している。

また、社会福祉協議会においては、高齢者や子育て中の親子が気軽に集えるきずなサロンの運営支援をはじめ、ボランティア活動に関する相談や活動先の紹介を行っているほか、すぎなみ協働プラザでは、NPO等の立上げ支援も行っている。

今後も、これらの様々な取組を総合的に行うことにより、地域団体ならではの活動が活性化していくよう、支援していく。

【Q10】7つの地域区民センター協議会は、それぞれの地域にある地縁団体やNPOなどの市民活動団体との連携・協働を深めつつあると認識している。地域づくりにおいては地域区民センター協議会が役割の一つを担うべきと考えるが、今、力を入れていることや課題となっていること、今後の課題についての区の見解を伺う。

【A10: 区民生活部長】 現在、各地域区民センター協議会では、ふれあいと交流を基本に地域コミュニティ形成を図るとともに、地域課題の解決を図るための講座やイベントなどの実施に取り組んでいる。

そうした中、特に地域で活動するさまざまな団体が相互に意見交換することで、団体間のゆるやかなつながりを育み、連携を強化するための地域懇談会の開催などに、力を注いでいるところである。

次に、今後の課題についてであるが、地域の多様な団体が相互に補完し合い、それぞれの強みを生かしながら地域づくりを進められるよう、これまで取り組んできた様々な団体との協働事業を、より一層充実していくことなどである。

第4定例会一般質問と答弁 2017.11.17そね文子

<インクルーシブ教育を推進するために>

【Q1】 区のインクルーシブ教育に対する考えとともに、どのように取り組んでいくのかについて伺う。

【A1:教育次長】 障害のある子どもたちが、一人ひとりの個性を最大限に発揮し、自立した生活と社会参加ができるように必要な力を育んでいくとの視点に立った教育は、障害のある子どものみならず、全ての子どもにとってわかりやすく有意義な教育につながる。

このように、障害の有無にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し、支えあい、学び合うインクルーシブ教育の推進は、社会全体の重要なテーマであると考える。こうした認識の下、教育委員会では、特別支援教育推進計画に基づき、一人ひとりの教育的ニーズに応じた質の高い教育、就学前からの切れ目のない支援、そして、地域社会とのかかわりという3つの視点からなる種々の取組を総合的に進めている。

【Q2】特別な支援が必要な子どもの就学先を決めるに当たっては、学校と保護者に加え、専門家を交えた話し合いを行う必要があると考えるが、見解を伺う。

【A2:教育次長】 特別な支援が必要な子どもの就学先については、学校職員のほか、医師や心理士、都立特別支援学校職員など、それぞれ専門性を有するメンバーによる教育支援委員会において、子どもの状況や障害特性、保護者の意向等を踏まえた議論を重ね、適切な就学先を決定している。こうした場に、直接の利害関係者である保護者が参画することは適当ではないため、今後とも事前の相談等を通して、保護者の意見・要望を丁寧に伺い、教育支援委員会につなげていく。

【Q3】通常学級に在籍する知的障害児童に対して、教育や心理を学ぶ大学生ボランティアが支援を行っている他区の事例があるが、本区ではいかがか。

【A3:教育次長】 本区においても、主として教員を志す大学生による学生ボランティアが、済美養護学校や特別支援学級における授業補助や学校行事のサポート等を行っている。

2016年度は、14人の学生ボランティアがこれらの活動をしており、今後もこうした取組を拡げてまいりたい。

【Q4】児童の就学先に関する教育委員会の判断が、保護者の意向と異なる場合において、当該児童と同じような状況の児童に対する支援を適切に行っている事例を他の学校とも共有し、広げてもらいたいが、見解を伺う。

【A4:教育次長】 特別な支援が必要な子どもの就学については、保護者の意向等により、教育支援委員会の決定と異なる就学先となる事例もある。

そうした中で、大切なことは、ご指摘のとおり、その子どもが実際の就学先で受けている適切な支援の内容やそのための体制、支援を実施する際の配慮や工夫などを蓄積・共有して次の同様の事例に生かすことと考える。

こうした事例の共有等は、特別支援教育研修や教育支援チームによる各学校の研修等の際に実施しているが、今後、より一層、意を用いてまいりたい。

【Q5】〇家庭、学校及び障害児通所支援事業所や放課後等デイサービス事業所等の支援機関との連携を充実させるために、支援が必要な児童の課題等を話し合う仕組みは、もっと周知され、活用されるべきと考えるが、見解を伺う。

〇障害児通所支援事業所等には、作業療法士や言語療法士など様々な専門家がいるが、学校はこうした外部の専門家の意見を受け止める姿勢を持つべきと考えるが、見解を伺う。

【A5:教育次長】 ご指摘のとおり、特別な支援が必要な子どもに、より適切かつ効果的な教育的支援を行うためには、様々な情報を収集・共有して、多面的・多角的な見地から分析・検討・実施し、さらに振り返りをして次につなげるといった姿勢が欠かせないものと考える。

改めて、各学校にそうした姿勢で、家庭及び支援機関との連携を図るよう、働きかけてまいりたい。

【Q6】〇知的障害特別支援学級にも通学区域を設けているが、在籍する子どもの障害特性などを踏まえた保護者の希望に応じて、指定校以外の通学にも柔軟に対応することが必要と考えるが、見解を伺う。

〇また、学校に不適応となった子どもが、状況によっては転校できる措置をとることも必要であると考えるが、見解を伺う。

【A6:教育次長】 特別支援学級においても、定められた通学区域内の学校に就学することが原則ではあるが、これまでも、個別の事情等に応じて、通学区域外の特別支援学級がある学校に就学することとした事例はある。今後とも個別具体的に判断していく。
また、転校についても、同様に子どもの状況や保護者の意向等を総合的に考慮して適切に判断していくべきものと考える。

【Q7】特別支援学校の子どもと、通常学校に子どもとの交流について、現在の取組状況を伺う。また、交流の状況について、学校同士が意見交換や情報共有を行い、区内全体で交流の質を高めてほしいと考えるが、見解を伺う。

【A7:教育次長】2016年度の実績では、特別支援学級を設置している全校を含む小学校12校、中学校8校が、特別支援学級と通常の学級との交流を実施している。具体的には、年間を通した異学年活動、各教科の授業やクラブ活動等における交流活動のほか、オリンピック・パラリンピック競技種目の体験活動といった共同学習が行われている。

こうした取組事例については、昨年度に策定した「すぎなみ9年カリキュラム 総合的な学び編」にも掲載し、各学校と共有を図っており、今後とも、特別支援学級と通常の学級の交流活動が活発化するよう、働きかけてまいりたい。

【Q8】〇映画「みんなの学校」の舞台となった大阪の小学校が実践するフルインクルージョンについて、教育委員会及び学校はどのように捉えているか伺う。

〇全校の校長が、「みんなの学校」を観て、全員でいかに学校をより一層地域に開いていくか話し合うなどの取組を進めてほしいと考えるが、見解を伺う。

〇保護者や地域の人が、いつ行ってもいい学校であってほしいと考えるが、教育委員会の見解を伺う。

【A8:教育長】 お話にあった「みんなの学校」の舞台となった小学校では、特別支援学級という枠組みを取り払い、障害がある子どもも無い子どもも皆で一緒に学校生活を送るという、いわゆるフルインクルージョンの形態で運営されている。

こうした学校運営は、校長の経営力や教員の指導力はもちろんのこと、学校の規模や地域の理解と支援など、一定の条件が整わなければ実現できないことであり、これを直ちに一般化して、全国的に行うことは容易ではないと考える。本区もまた同様だが、今後とも、特別支援教育を含めた教育の在り方に関する社会的な合意形成を図る中で、こうした学校づくりを進める努力をしてまいりたい。

そうした中、区立学校のPTAの皆様を中心に、「みんなの学校」を鑑賞したり、舞台となった小学校の初代校長の講演会を催すなどの取組が拡がってきていることは素晴らしいことと考える。皆で感じる、皆で考える、皆で話し合う。今後の教育はどうあるべきか、そのために何をなすべきかといった議論の潮流が確かなものとなっている実感がある。

本区がこれまで進めてきた学校支援本部の全校設置や地域運営学校の指定を柱とする開かれた学校づくりも同様に、長年にわたる議論や取組の積み重ねの上に今がある。これまで以上に「開かれた学校づくり」に向けて、また、特別支援教育を含む杉並の教育のあり方についても、教育委員会と学校が、保護者や学校関係者、地域の方々と共につくり上げていくべきものと考える。そのための取組を、今後とも着実に進めてまいりたい。

 


<マイクロプラスチックの海洋汚染への対策について>

【Q1】〇マイクロプラスチックによる海洋汚染について、国等が解決に向けて取り組んでいるが、区はこの問題をどのように認識しているか。

〇区のレジ袋削減に対する取組みは、マイクロプラスチックを増やさないことにもつながると考えるが、見解を伺う。

【A1:区長】 レジ袋やペットボトルなどが、紫外線や海岸の波によって微細に砕かれることで生じるマイクロプラスチックは、化学物質を含有・吸着しやすい性質があり、食物連鎖に取り込まれることから、生態系に及ぼす影響が懸念されている。

議員がご指摘の世界経済フォーラム年次総会、通常ダボス会議において発表された「海洋ごみに関する報告書」では、海に流出するプラスチック由来のごみが世界的に急増していることから、プラスチックのリサイクルを促進し、自然界への流出を防ぐ対策が急務であるとの報告があったと認識している。

昨年のG7伊勢志摩サミットにおける首脳宣言においても、3R(リデュース、リユース、リサイクル)等の取組が、陸を発生源とする海洋ごみ、特にプラスチックの発生抑制と削減に寄与するものとし、海洋ごみに対処していくことが再確認された。

海洋ごみは、日本の海岸にも多く漂着しており、環境省では、こうしたごみや海底ごみに含まれているマイクロプラスチックについても実態調査を進めている。

また、生態系への影響等リスク評価は、現在、国内外において調査研究中とのことだが、マイクロプラスチックを含む海洋ごみについては、予防原則に基づき発生抑制対策を行うことが何より重要なことと考える。

今後も区においては、プラスチック製品であるレジ袋の削減やごみの分別、リサイクル等、身近でできる取組を実施し、持続可能な社会の形成に向けて、環境保全対策を着実に推進してまいりたい。

【Q2】練馬区では大学教授による「プラスチック汚染」をテーマにした講演会が開かれているが、杉並区においてもこのような講演会を開催してはいかがか。

【A2:環境部長】  環境先進都市の実現を目指し、区民一人ひとりの環境配慮行動の推進を目的として設置した環境活動推進センターでは、環境やリサイクルの推進等に関する講座・講演会を開催している。

「プラスチック汚染」については、国が大学と連携して調査研究を行っているところであり、それらの動向も確認しつつ、環境保全や循環型社会の構築等をテーマとした講演会を企画する際の参考にさせていただきたい。

【Q3】 2012年に廃止されたレジ袋削減推進協議会は、レジ袋削減運動に大きな成果を上げてきたと考えるが、区はどのように評価しているか。

【A3:環境部長】  当該協議会は2002年に設立され、区民、事業者、区がともに、レジ袋の削減及びマイバッグ持参率の向上に取組んできた。2004年には、協議会からレジ袋有料化を求める要望書が提出されたことを受け、区はレジ袋有料化モデル検討会を設置し、実証実験を行った結果、有料化はレジ袋の使用を抑制する有効な手段であると判断し、「杉並区レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例」の制定につながった。

条例の施行によって、事業所のレジ袋使用枚数は大幅に減少したが、これは、協議会が推進したレジ袋削減運動に対し、多くの区民や事業者が理解を示し、レジ袋の削減に取り組んだ成果であると考える。

【Q4】〇マイバッグ推進連絡会の構成員である区内学校や消費者団体、環境団体等からアイディアを募り、さらなるレジ袋削減への取組を進めてほしいと考えるが、区の見解を伺う。

〇最近増えている食料品を販売しているドラッグストアについても、レジ袋の使用状況を調査し、レジ袋削減に取組むべきと考えるが見解を伺う。

【A4:環境部長】  マイバッグ推進連絡会では毎年、学校や消費者団体等の方々からマイバッグの普及促進に向けたアイディアを募り、区主催のイベント等に参加して、区民に向けたキャンペーンを行っている。今年度は、コンビニエンスストアにおけるレジ袋の削減を促すため、啓発ポスターを作成し店舗に配布するなどの取組を行っている。

こうしたコンビニエンスストアやご指摘のドラッグストアにおいては、レジ袋の有料化が進まず、使用量の削減に課題がみられる。今般、東京都は、「2020年に向けた実行プラン」において、「2020年にレジ袋の無料配布ゼロ」を掲げ、日本フランチャイズチェーン協会や日本チェーンドラッグストア協会等業界団体、自治体、学識経験者による、レジ袋削減に向けた意見交換会を開催した。区としては、この取組によって、新たな削減方策が検討されることを期待しており、区の取組と合わせ、さらなるレジ袋の削減を推進してまいりたい。

第4回定例会一般質問 2017.11.17そね文子

いのち・平和クラブの一員として、1.インクルーシブ教育を推進するために、2.マイクロプラスチックの海洋汚染への対策について一般質問いたします。

まずはインクルーシブ教育を推進するための質問です。

日本が障がい者権利条約を批准したのは2014年ですが、それに先立つ形で、2012年7月、同条約に規定された「インクルーシブ教育システム」の構築に向けて「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」を発表しました。その中には「インクルーシブ教育システム」とは人間の多様性の尊重等の強化、障がい者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が教育制度一般から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。と記されています。また「基本的な方向性としては、障害のある子どもと障害のない子どもが、できるだけ同じ場で共に学ぶことを目指すべきある。その場合には、それぞれの子どもが、授業内容がわかり学習活動に参加している実感・達成感を持ちながら、充実した時間を過ごしつつ、身に付けていけるかどうか、これが最も本質的な視点であり、そのための環境整備が必要である」としています。

また、インクルーシブ教育システム構築のためには特別支援教育が着実に推進されることが必要とされています。そして、このことは杉並区の特別支援教育推進計画の前文にも記されているところです。

  • そこで先ず、区のインクルーシブ教育についての考え、そしてどのように取り組んでいこうとしているかををうかがいます。

2.区では特別支援教育推進計画に従って、全ての小学校に特別支援教室が設置され、それに伴い待機児も解消され、子どもや保護者の通級の負担が減り、人も手厚く配置され保護者からの歓迎の声も届いており、取り組みが進んでいることを評価しています。また杉並区では区立の済美養護学校や特別支援学級で知的障がい児にきめ細かい教育が行われていると認識しています。しかし、それ故に、子どもの就学相談や検査結果を元に教育委員会が判断したことが子どもにとっては一番いいという考え方が教育委員会や校長にあるのではないか、そしてそれを保護者に押し付けるような力が働くことはないでしょうか。

知的障がいのある子どもを保護者が通常学級に通わせたい、また就学相談では支援学校が適当とされた子どもを支援学級に通わせたいという希望を歓迎せず、子どもや保護者を排除するような対応をとることがあっては残念です。

子どもにとって適正と判断されたところがどんなに良い教育をしていようと、就学前から一緒に育ってきた友達と同じ地域の学校に通わせたい、通常学級の子どもの中に身を置くことで、周りの子どもから学ばせたいという選択はあり、文科省もこれを認めています。どの進学先にするか、それぞれの保護者が我が子のために一生懸命考え選択した結果を尊重し、どのようにすれば受け入れられるのか、その子どもにあった教育を提供できるのか、学校内や保護者、専門家も交えてオープンに話し合い、進めていくという対応を、教育委員会と全ての学校で取っていただきたいと考えますが、区の見解をうかがいます。

  • 先に述べたように、知的障がい児が適正と判断された以外のところで学ぼうとする場合がまさにインクルーシブ教育の実践場面となります。先の決算特別委員会でこのような子どもの数を質問したところ、答えが出てきませんでした。また私はこれまでの議会質問で、知的障がい児の個別指導計画が作られず、週1回2時間学習支援教員による取り出し授業が行われている以外はほとんど支援が受けられていない状況があるという保護者からの訴えを取り上げてきました。世田谷区のある公立小学校では、通常学級に在籍する知的障がい児に、きちんと個別指導計画が作られ、それに基づき必要に応じて、教育や心理などを学ぶ大学生ボランティアが付き、手厚い支援が行われているという話を聞きました。杉並区でも学生ボランティアの制度はありますが、登録人数や実行数が少ないと感じます。このような支援が行われている学校もあるのでしょうか。うかがいます。
  • 教育委員会は通常学級に在籍している知的障がい児の人数を把握するとともに、適切な支援を行っている学校の事例を他の学校とも共有し、広げていっていただきたいと思いますがいかがでしょうか、見解をうかがいます。
  • 東京都の指定を受けている特定の障害児通所支援事業者や放課後等デイサービスの事業所には、そこに通う障がい児のより良い支援のために在籍校とその子の課題を話し合うと、関係機関連携の加算が付くという仕組みがありますが、これが周知されておらず知らない学校もあると聞いています。家庭と学校、支援機関の連携を充実させるこのような仕組みはもっと周知され、活用されるべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

ところで、ある事業所は、そこに通う障がい児が学校でうまくいっていないと聞き、事業所ではうまくいっているので、学校でもよりよい支援をしてもらうために声をかけたところ、事業所からの提案は受けないと言われたという話を聞きました。子どもの最善の利益の観点から見て、このような対応は問題があるのではないでしょうか。注意を喚起したいと思います。

  • このような事業所には作業療法士や言語療法士、心理士など、様々な専門家がいます。学校はオープンにこのような外部の専門家の意見を聞き、子どもを支えている人たちと共に支援をしていこうという姿勢を持つべきと考えますが区の見解をうかがいます。
  • 知的障がい児を対象とした特別支援学級は小学校9校、中学校5校に設置されています。学校ごとにそれぞれの特色があり、保護者は少しでも自分の子どもに合ったところに通わせたいと思うのは当然だと考えます。指定校はあっても保護者の希望に柔軟に対応することが必要だと考えますが、教育委員会の見解を伺います。
  • また、さまざまな理由から学校不適応となった場合、転校も選択肢に入れた対応が速やかにとられているかどうか、併せてうかがいます。
  • 特別支援学校や支援学級の子どもが通常学級の子どもと交流し、「お互いが地域の仲間」という認識をじかに感じられるようにすることが大変重要と考えます。このような取り組みをすべての学校で積極的に行っていただきたいと思いますが、現在はどのような取り組みがされているか。学校どうしの意見交換、情報共有を図り、区内全体で交流の質を高めていっていただきたいと考えますが、区の見解をうかがいます。

10.先の決算特別委員会で井出教育長から、3年前にPTA協議会がインクルーシブ教育を学ぶことをテーマに取り上げ、初めに大阪のある小学校を舞台にした「みんなの学校」という映画を観て、大変共感したというお話がありました。この作品については、多くのPTAが現在も上映会を相次いで開いたり、それを見て熱心に話し合いの場を持ったり、作品の舞台となった学校の校長先生の講演会が開かれたりしていることに希望を感じ、私自身もそこに参加し地域の学校にどうしたら貢献できるかを考えています。9月に東京大学のバリアフリー教育開発研究センターが主催して行われた講演会で、この小学校の現在の校長先生の話を聞くことができました。この大阪にある公立小学校は現在の在籍児童数が299名でそのうち特別支援学級在籍児童数が53名、通常学級10クラス、特別支援学級10クラスとなるところですが、その特別支援教室をすべてとっぱらい、通常学級10クラスで各クラスに先生が複数配置される形をとっているのが大きな特徴です。つまりインクルーシブ教育を実践しているのです。教育委員会はこのような学校のあり方をどうとらえているかうかがいます。

11.PTAや保護者の活動を後押しし、学校のサポーターになりたい、関わりたいという保護者を学校で受け入れる体制を作っていただきたいと思います。この活動を理解するためには全校の校長先生に、まずこの映画を観ていただきたいと思います。そして校長先生同士でどうやって学校をより地域に開いていくか話し合う場を持つなど取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。うかがいます。

12.先ずは、学校が開かれた場所であってほしいと思います。保護者や地域の人がいつ行ってもいい学校であってほしいと考えますが、教育委員会の見解をうかがいます。

2016年7月に相模原市の障がい者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺される事件が起こり社会に大きな衝撃を与えました。経済性や生産性から障がい者は役に立たないという社会の中にある差別がこの事件の背景にあるのではないでしょうか。これを、精神に異常をきたした人物が起こした特異な事件として片づけていいわけがありません。このような事件を2度と起こさないためにも、子どものころから障がい児も健常児も同じ場所で仲間として過ごすことで、互いの存在を自然に認めるようになることが大切だと考えます。自分の中にもある差別に気づき、ともに学ぶことですべての人の存在が認められる共生社会をともにつくっていきたいと思います。

次に大きな項目の2番目、マイクロプラスチックの海洋汚染とレジ袋削減について質問します。

今、マイクロプラスチックの海洋汚染が大きな問題になっています。マイクロプラスチックとは大きさが5ミリ以下の微細なプラスチックのことで、ペットボトル、食品トレー、レジ袋などが紫外線や波の力で壊れて細かくなったものを言います。2016年1月に行われた世界経済フォーラムでも、毎年800万トン以上のプラスチックごみが海に流出しており、このままだと2025年には海の魚3トンに対し、プラスチックごみがその3分の1にあたる1tに、さらに2050年にはプラスチックごみがそれを上回るというレポートが発表されました。また、なんと世界の海水から採取する食用の塩のほぼすべてに、マイクロプラスチックが含まれていることが、複数の研究で判明しています。

海の塩は海水を乾燥させて製造するため、そこに含まれているマイクロプラスチック類がそのまま製品の中に残留するという話です。今年9月6日の東京新聞には、京都大学の田中周平准教授のチームが国内各地のカタクチイワシやマイワシを採取し消化管を調査したところ、その5割強からマイクロプラスチックが見つかったことが掲載されました。マイクロプラスチックは水の中の有害化学物質を吸着する性質があり、化学汚染濃度は海水の5万倍から100万倍にも上り食物連鎖を通して、人体への健康影響も懸念されています。

塩は人の暮らしに欠かせないものであり、日々どんな料理にも使われます。たとえば味噌汁を例にとると、味噌に塩が含まれており、カタクチイワシで作られる煮干しにマイクロプラスチックの有害成分が含まれていると考えると、これは深刻な問題と言わざるを得ません。

この海洋汚染の原因となるプラスチックは、街にポイ捨てされたペットボトル、風に飛ばされたレジ袋などが紫外線によって微細化し、それが雨水と共に川に入り海にたどり着く、またそれよりもっと微細で化粧品や歯磨き粉に含まれるマイクロビーズは下水道でも処理できず海に流れ着きます。この海洋汚染問題が、プラスチックごみを削減することで改善できるとすれば、私たちはすぐにごみになるレジ袋をもらわない、またマイボトルを持って外出しペットボトルをなるべく買わないなど、身近な暮らしの足元を見直す必要があるのではないでしょうか。その観点から質問いたします

  • 先ほど述べた現状において、国や東京都が解決に向けて取り組んでいるところですが、身近な自治体としても取り組みが必要だと考えます。区としてはこの問題をどう認識しているでしょうか、うかがいます。

先ずはこのような事実を知らせる啓発が必要だと考えます。小中学校で行われている環境教育で取り入れる、また小学校の調理実習で味噌汁をつくるときに、この煮干しになるカタクチイワシに日々の私たちの生活から生み出されるマイクロプラスチックの汚染が進んでいることを話題にするなど、先生方にも折を見て子どもに伝える機会をつくっていただきたいと考えます。

  • 大人たちへの啓発も重要です。練馬区は経済課が主催する形で今年11月に東京農工大学農学部教授の高田秀重氏からは「海のプラスチック汚染と私たちの暮らし」、東京理科大学教授の二瓶康雄氏からは「市街地と川のプラスチック汚染」をテーマに講演会が開かれています。杉並区でもそのような講演会を開いていただきたいと考えますが、区の見解をうかがいます。
  • マイクロプラスチックの由来は生産量・使用量の多いレジ袋やペットボトルが多くの割合を占めています。世界ではマイクロプラスチックを増やさない目的でレジ袋の無料配布を禁止している国・地域もあります。杉並区は全国に先駆けてレジ袋削減に取り組み、「レジ袋有料化等の取組の推進に関する条例」を整備するなどにより、大きな成果を上げてきたことを高く評価しています。区では地球温暖化を防ぐためにレジ袋の使用を減らすとしていますが、これはマイクロプラスチックを増やさないことにもつながると考えます。その点に対する区の見解をうかがいます。

 

  • レジ袋条例では対象となる事業所を、前年度のレジ袋使用枚数が20万枚以上の店舗、マイバッグの持参率が60%に満たないところ、食料品を扱っているところと定めています。しかしこの条件を満たすと思われる、大手のドラッグストアが報告書に1件も載っていないのはなぜなのでしょうか。このような店舗もレジ袋削減に取り組む対象とすべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

また、新規に店舗が出来たときにマイバッグ持参率60%以上を達成していたところは、その後報告書に載らないことになるとのことですが、最初に60%をクリアしていても、その後の経過を公表することが、継続してレジ袋削減に取り組むインセンティブになると思いますので、その後も報告をもらい掲載するよう要望いたします。

ところで区は毎年マイバッグ持参率、レジ袋年間使用実績、レジ袋削減の取り組みについてなど細かい調査結果を報告しており、有意な取り組みですが、ここで使われている「マイバッグ持参率」という言葉が気になっています。コンビニでガムを一つ、あるいは飲み物を1本買う時、マイバッグは持っていないけれどレジ袋を断る場合、それはマイバッグ持参率にカウントされるのだろうかという疑問がわきます。このようなケースがマイバッグ持参率にカウントされずどのデータにも反映されないとすれば、実態を把握することになりません。細かいことですが、マイバッグ持参率にレジ袋辞退率とカッコつきで併記するなどわかりやすい表記としていただくよう提案いたします。

  • 以前、区にはレジ袋削減推進協議会があり、この協議会の構成メンバーであったスーパーマーケットが自らレジ袋有料化の実験を行い、その成果を踏まえてレジ袋有料化の条例提案を行うなど、大きな役割を果たしてきたと思いますが、区はその成果をどうとらえているのでしょうか。現在この組織は無くなっています。継続的にレジ袋削減の取り組みを進めるために、このような組織は必要と考えますが、区の見解をうかがいます。

レジ袋削減がこれ以上進まない原因のひとつとなっているのが、コンビニエンスストアの姿勢にあるのではないでしょうか。コンビニ事業者が毎年区に提出している報告によると、ほとんどのコンビニエンスストアは声掛けの徹底を行っているとなっていますが、私は区内のコンビニエンスストアで小さいものを購入した時でも「レジ袋は必要ですか」と声をかけられたことはほとんどありません。レジで会計のときにすかさず「袋は要りません」と言葉に出して意思表示をしないと何も聞かずにレジ袋に商品を入れられそうになります。ぜひ声かけの指導を徹底するようオーナーに申し入れていただきたいと思います。また、これだけ多くの店舗を持つ事業者ですから、地球温暖化やマイクロプラスチックの問題を認識し、レジ袋の有料化によって社会的責任を果たすことを、区からも働きかけていただくよう強く要望いたします。

  • 区には区内の学校や商店会連合会、消費者団体や環境団体からなるマイバッグ推進連絡会があります。マイバッグの推進を図ることの目的はレジ袋削減にあると考えます。この連絡会の主な活動は、区内のイベントで啓発を行うことであり、先日行われた杉並フェスタでは風呂敷の使い方を教えていました。文化としての風呂敷はすばらしいものです。しかしスーパーにマイ風呂敷を持参し、そこで買ったものを風呂敷に包むことは現実的でしょうか。マイバッグ推進連絡会で、この会の目的はレジ袋削減にあることをいま一度確認していただきたいと思います。そして、ここに多く参加している学校の学生に、レジ袋削減に向けての講演会やワークショップを行うとか、コンビニエンスストアにアンケート調査を行うとか、もっとできることを考えてはいかがでしょうか。消費者団体や環境活動グループなどからもアイデアを募り、ぜひ自発的に取り組みを進めていってほしいと思いますが、区の見解をうかがいます。

プラスチックは時の経過と共に微細化が進み0.1ミリ以下にもなっていきますが、決して分解して自然に帰ることはなく、小さく回収不能になったものが海の中に漂い、その量が増え続けていきます。数十年経ってこれはいけないと気付いても、もう環境に出たものを回収することはできないので、できるだけ早く手を打つことが必要です。私どもも使い捨てのプラスチックが環境に及ぼす問題について共に考え、その削減のために行動していくことを申し上げ、私の質問を終わります。

 

第4回定例会一般質問  2017.11.17奥田雅子

いのち・平和クラブの一員として地域共生社会の実現に向けて質問いたします。

1.国の動き

今回私が取り上げる「地域共生社会」という言葉は、2015年9月の厚労省による「新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン」の公表および2016年6月の「ニッポン一億総活躍プラン」の閣議決定の流れの中で出てきました。これらを受けて厚労省が2016年7月に設置した「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」のもとにおかれた地域力強化検討会で、その実現に向けた具体的な検討が行われてきたという経緯があります。「『我が事・丸ごと』地域共生社会実現本部」によると、地域共生社会とは「制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに作っていく社会を目指すもの」としています。そして、今年5月に地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律によって、社会福祉法が改正され、「我が事・丸ごと」の地域福祉推進の理念が規定されるとともに、包括的な支援体制の整備や市町村地域福祉計画の策定が努力義務化されました。

これらの背景には、少子高齢化がすすむ中で、課題が複雑に絡み合い進行してきた社会状況があります。高齢独居や老々介護、高齢の親と働いていない50代独身の子の世帯(いわゆる8050問題)、高齢者と障がい児など両方の介護を抱えるダブルケア、介護や慢性的な病気、精神的な問題を抱える家族の世話をしている若者ヤングケアラー、生活困窮世帯、ごみ屋敷、子どもの貧困・虐待など暮らしを取り巻く問題は複合化、多重化しています。さらに、地域とつながりのない社会的孤立が問題を複雑化させており、従来の制度・分野ごとの「縦割り」では解決できないというところにまで来ているのだととらえています。

介護の社会化が期待されて始まった介護保険制度も17年が経過し、改定の度にケアの縮小や保険料・利用料の負担増が行われ、人々の暮らしを直撃しています。地域での人との関わりが希薄になり、助けてと言えず一人で抱え込んで最悪な事態に至るケースが後を絶ちません。自己責任が言われ、人に迷惑をかけたくない、他者との関係づくりがしにくい、というような不寛容な世の中になったと感じるのは私だけではないと思います。しかし、このような問題に気づき、お互い様のたすけあいが当たり前の地域コミュニティを再構築していこうと動き出している地域住民がたくさんいることも事実です。2025年には団塊の世代が皆75歳以上となり、医療や介護の必要性が今以上に高まることは明らかです。認知症の方がまちの中にあふれているかもしれません。でも、どんな状況になっても大丈夫と言える地域社会をつくっていきたい、という立場から質問します。

 

1-①対象者の属性に関わりなく、複合的な課題に対する分野横断的な福祉政策、

地域施策が求められていると考えられますが、このような国の法改正の動きに対して区の認識を伺います。

2.杉並区保健福祉計画の改定について

現在の杉並区保健福祉計画は杉並区基本構想に掲げる5つの項目の内、「目標4.健康長寿とささえあいのまち」「目標5.人を育み共につながる心豊かなまち」の実現に向けた保健・福祉・医療施策に関する計画で、子どもから高齢者、障がい者、健康増進、食育推進など9つの計画と介護保険事業計画及び子ども・子育て支援事業計画の一部が包含される形となっています。地域福祉計画は保健福祉計画の一施策「地域福祉の充実」に該当するものとされていますが、本来なら保健福祉計画全体を貫く性格のものであると考えます。そこで、保健福祉計画の作りについて2点伺います。

 

2-①今回、地域福祉計画の策定が努力義務化されたことを受け、保健福祉計画と地域福祉計画の関係と定め方について伺います。

2-②同時に策定作業がすすんでいる介護保険事業計画についての確認ですが、第7期介護保険事業計画は高齢者保健福祉計画と一体的に策定するとなっています。これまでの介護保険事業計画との違いはどこか。その扱いとなった経緯について確認します。

3.地域福祉計画について

ここからは、先ほども触れました、改正社会福祉法で努力義務化された地域福祉計画の策定プロセスおよび内容について伺って行きます。

3-①まず、地域福祉計画は社会福祉法の改正趣旨を踏まえて策定を行ったのか、また、策定にあたり、参考にした自治体はあるのか、他の自治体の動向についても伺います。

地域力強化検討会の最終とりまとめでは、策定のプロセスにおいては、狭義の地域福祉計画の担当部局のみならず、計画策定を通して協働のしくみをつくっていくことが重要で、地域住民、専門職、関係する団体等と自分たちの地域のこととして丁寧な議論を重ねていくことが必要であると示されています。私もまさにここが胆だと考えています。誰かが作った計画では「我が事」にはなりえないし、全区的一律的な計画では単なる絵に描いた餅になりかねません。それぞれの「人」を取り巻く問題に適切に対応していくことや、地域の実情を把握し、その特性を考慮することが重要です。だからこそ、最終とりまとめの指摘の通り、地域という現場で暮らし活動する地域住民や専門職、関係団体等の意見や議論の場は必要であり、このことをやる覚悟がなければ「我が事・丸ごと」はできないとさえ考えます。そして、まずは「我が事・丸ごと」地域共生社会づくりの目的や意義を全庁的に共有し、担当部署を超えた庁内連携の合意形成が必要だと思っています。そこで、策定プロセスに関連して3点伺います。

3-②庁内でも所管を超えて連携することが求められていますが、地域共生社会の取組みについて、どのように議論・共有が行われたのか伺います。

3-③地域福祉計画はどのような手法で、どのくらいの期間をかけて策定したのか伺います。

3-④地域住民や社会福祉事業者などへのアプローチについては、具体的にはどのような形で行われたのか確認します。また、区民の生活実態やニーズを把握するためのアンケート調査のようなことは行ったのかお聞きします。

次に地域福祉計画の内容に関連して質問します。

地域福祉計画は多分野の福祉計画の上位計画として整合を図り、総合的に推進していくこととなると認識しています。そして、様々な課題を抱える方々の問題解決には、福祉だけにとどまらない様々な分野の横断的連携が必要であることや、制度の狭間の問題への対応のあり方、「我が事・丸ごと」の地域づくりを進めるための圏域の考え方の整理、全庁的な体制整備などが各福祉分野に共通して取り組むべき事項として挙げられています。そこで4点伺います。

 

3-⑤現在、区が把握している制度の狭間の問題にはどのようなことがあるのかお聞きします。

3-⑥現在の区の地区割りは地域区民センターや町会、民生委員、地域包括ケアセンター、小・中学校など必ずしも一致していませんが、そのことによる 弊害はないのでしょうか。地域づくりを進めるための圏域の考え方については整理しておく必要があると考えますが、区の見解を伺います。

3-⑦さまざまな問題を抱えた方の支援を連携させようとした時、個人情報の保護に配慮するあまり支援の障壁や妨げになることがありますが、福祉的支援が最優先されるべき場合があるため、その当事者の最善の利益を考えた支援を行いやすくするために、個人情報の扱いについて整理しておくことが必要だと考えますが、区の見解を伺います。

「我が事・丸ごと」の地域共生社会を実現していくための大きな柱の一つに市町村による包括的な支援体制の構築があります。最終とりまとめでは次のように示しています。「社会的孤立や制度の狭間、サービスにつながらない課題、将来への不安について、地域全体で支え合うことをめざしていく必要がある。すなわち、分野別、年齢別に縦割りだった支援を当事者中心の「丸ごと」の支援とし、個人やその世帯の地域生活課題を把握し、解決していくことができる包括的な支援体制をつくる。そのために専門職による多職種連携や地域住民等と協働する地域連携が必要である。」と。そして、連携する分野は福祉、医療、教育、環境、都市計画、防犯・防災などまさに人々の暮らしを支えるあらゆる分野が想定されています。

3-⑧区ではこの包括的な支援体制の構築をどのようにすすめて行こうと考えているのか。また、連携していく分野をどこまでを想定しているのか伺います。

4.地域共生社会の実現のための地域づくりについて

地域共生社会の推進には、区レベルの支援体制とより生活に身近な圏域での包括的な支援体制が重層的に存在することが必要です。そこで求められるのは、小中学校区のような身近な圏域で、地域包括支援センターや社会福祉協議会、地域に根差した活動を行うNPOなどが中心となり、住民の主体的な参加と協働によって地域課題を把握し解決を試みる体制づくりであり、その支援を区は責任をもって行う必要があると考えます。

世田谷区では、行政機関であるまちづくりセンターと社会福祉協議会、地域包括支援センターの三者連携により、区内27カ所に身近な地区における相談支援の充実と地区の課題を地区で解決することをめざし仕組みをつくっています。

9月3日に開催された杉並区社会福祉協議会主催のすぎなみ地域福祉フォーラム2017で、大阪府豊中市の社協の取組みについての講演が行われました。身近な圏域に存在するコミュニティソーシャルワーカーが地域の中に入り込み、地域住民と共に地域の課題を解決していく実績を知り、コーディネート力を持った人材の有効性を学びました。豊中市では人口3万人に一人の割合でコミュニティソーシャルワーカーを配置し、2004年から制度の狭間にある課題を丸ごと支える取組みを全国に先駆けて行ってきました。この講演を行った豊中市社協の勝部麗子さんは地域力強化検討会のメンバーでもあり、今回の最終とりまとめにもこの実践がかなり参考にされていると思われます。また、多くの自治体において社会福祉協議会が策定する地域福祉活動計画と市町村の地域福祉計画とを連動させ、車の両輪のようにして地域づくりをすすめており、今後の地域づくりの参考になると感じました。そこで、3点お聞きします。

4-①杉並区社会福祉協議会では、小地域の活動が弱いように感じています。区は、社協に対して地域福祉活動計画の策定を促し、区の地域福祉計画を共 にすすめるパートナーに位置付けるべきではないかと考えます。区として社協に期待する役割について伺がいます

4-②ボランタリーな市民活動の最初の一歩支援や地域でサロンや居場所などを提供している活動を継続させる支援が今後ますます求められていくと考えます。行政ができない部分を地縁団体以外の区民も担うことで地域を元気にしていくための支援を検討すべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

4-7つの地域区民センター協議会は、それぞれの地域にある地縁団体やNPOなどの市民活動団体との連携・協働を深めつつあると認識しています。地域づくりにおいては地域区民センター協議会が役割の一つを担うべきと考えますが、今、力を入れていることや課題となっていること、今後の課題について区の見解をお聞きします。

5.「地域福祉」とはそれぞれの地域において人々が安心して暮らせるよう、地域住民や公私の社会福祉関係者がお互いに協力して地域社会の福祉課題の解決に取り組む考え方であると全国社会福祉協議会では定義づけています。また、月刊福祉9月号の中で同志社大学の永田准教授は住民の主体的な課題解決の力を高め、地域と共に支援すること、地域で解決できない課題や地域が関わることが難しい課題は専門職がしっかり受け止める体制を作っていくことが「地域福祉」だと述べています。人々の暮らしは縦割りではありません。それぞれの「人」を取り巻く問題に対応していくことでその人のニーズが満たされ、どんな状況にあっても誰も社会から排除されない地域社会づくりが必要だと考えます。

少子高齢社会がますますすすみ、区民の行政への期待は増える一方かもしれませんが、限りある財政の中でなんでも行政にやれやれという時代ではなくなっているのも現実です。公・民間・市民セクターが互いの連携と協働により地域に点在する資源を面にすることで地域生活課題を解決したり、新たな機能を生み出すことにつなぎ、地域が活性化していく地域づくりが地域福祉計画だと私はとらえています。特に市民セクターである地域住民の地域づくりへの意識啓発、自分の地域は自分で考えつくっていくと言った住民自治が促進されるような区の支援も必要なのではないでしょうか。今回策定される地域福祉計画を進める中で、次の計画改定も見据えて、区全体、地域課所管の7圏域、中学校区に相当する20の地域包括支援センター、小学校区、そしてさらにご近所という、それぞれのレベルでの地域福祉戦略を地域住民をはじめ関係機関の参加のもとつくっていくことに着手すべきと考えます。

これまで、地域共生社会の実現に向けて、地域福祉計画のあり方や地域づくりなどについて質問してまいりました。最後に2点伺います。

5-①地域共生社会の実現は、ひとつ一つの事例を積み重ねながら実態を作っていくことが必要です。漠然としている上に画一的な形があるものではないため、より自分の暮らしに引き寄せたわかりやすいものであることが必要です。地域に即した戦略が必要ではないでしょうか。行政、地域包括、社協がスクラムを組み、地域住民、地縁団体、NPOなどの市民活動団体と連携しながら地域づくりをすることに対する区の見解をお聞ききします。

5-②最後に地域共生社会の実現に向けた区の意気込みを伺って、私の一般質問を終わります。                     

第1回定例会一般質問 2017.2.16 奥田 雅子

いのち・平和クラブの一員として

1.多様な生きものとともに暮らせるまちづくりについて

2.あまみずの貯留のしくみづくりについて

大きく2つのテーマで質問します。

 最初に、多様な生きものとともに暮らせるまちづくりについて伺います

最近、「ダイバーシティ」つまり「多様性」という言葉をよく耳にします。今回のタイトルの「多様ないきものとともに暮らせるまちづくり」は、「生物多様性のまちづくり」のことです。「生物多様性」の「きほんのき」について昨年、公益財団法人日本自然保護協会理事長の亀山章(かめやまあきら)さんから学ぶ機会がありました。

「生物多様性」は、1980年代に誕生した「バイオロジカル ダイバーシティ」あるいは「バイオダイバーシティ」の翻訳語として使われ、日本で広く知られるようになったのは1992年、リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議、いわゆる地球サミットにおいて気候変動枠組条約と共に生物多様性条約が締結されてからだと言われています。

生物の多様性には、「気候や林や草地、河川や池などといった地形、土壌などの環境に応じた生態系があること」と「それら生態系の中にいろいろな種類の生き物がいること」そして「同じ種類の生き物でも絶滅回避のために様々な個性、遺伝子があること」という3つのレベルがあるそうです。

人類は生物種の絶滅速度をここ数百年で1000倍に加速させていて、今何も対策をとらなければ今後多くの自然環境が失われていくというお話にはショックを受けました。そして、「これまで自然環境は脇に追いやられていたが、人間社会の基盤は自然環境であり、この自然環境の上に人間社会が成り立ち、その上に経済や文化が乗っている、というのがまともな認識である」とのことでした。これには私もまったく同感です。どんなに経済が発展し物質が豊かになったとしても壊れた自然環境では人間は生きにくく、また壊れた自然環境をもとに戻すのは不可能と考えるからです。そこで2点伺います。

①日々区政運営に取り組んでおられる田中区長に、「自然環境」に対する基本的なお考えをうかがいます.

②2点目、杉並区には、様々な切り口から「環境」をテーマに活動している多くの個人や団体の方たちがいらっしゃいます。環境団体として区に登録しているだけでも35団体あり、連絡会をつくり情報の共有や連携しながら活動されています。自発的な市民活動とも連携し、環境行政をさらにすすめていただきたいと考えますが、区の見解をお聞きします。

さて日本では生物多様性条約の締結の年1992年に「種の保存法」が制定され、「生物多様性」の時代が始まったと言われています。そして、2004年には「外来生物法」が、2008年に「生物多様性基本法」が制定されました。この年は、杉並区が「善福寺川『水鳥の棲む水辺』創出事業」に取り組むきっかけとなった年です。当時、この事業は100年かけて実現させていくとして取組が始まったと聞いています。

そこで、「善福寺川『水鳥の住む水辺』創出事業(以下水鳥事業)」について5点伺います。

区が2008年にスタートさせた「水鳥事業」が今年で9年目を迎えています。今後、この事業は生物多様性の保全および持続可能な利用の観点から戦略を持って具体的に進めていくことが必要だという考えに立ち、質問いたします。

③1点目、「水鳥事業」がスタートした経緯をうかがいます。

④2点目として、「水鳥事業」は、これまでどのような取り組みがされてきたのか。また現時点での成果と課題をうかがいます。

⑤先月1月28日に行われた「第9回善福寺川『水鳥の棲む水辺』創出事業シンポジウム」に参加しました。これまで毎年、回を重ねてこられた訳ですが、このシンポジウムの狙いは何か3点目として伺います。

今回のシンポジウムの中で今年1月に行なわれた水鳥一斉調査に277人の参加者があったと報告がありました。地域の人に、身近な環境に関心をもってもらうことは住民主体のまちづくりに必要なことですが、そのためには、まずは自分の地域を知る、興味を持つ観察や調査は欠かせません。先日、庁内の会議室で行われた「小中学生環境サミット発表会」では野鳥観察を行った学校が複数あり、また、トンボやモンシロチョウの育ち方の違い、さざんかにチャドクガがつくことの発見など、子どもたちが観察の結果を生き生きと発表する姿があったと聞きました。私は子育て時代、善福寺公園を庭代わりによく子どもを遊ばせたものでした。善福寺池でカワセミを最初に見た時は感動しましたが、ここにカワセミがいるということは、その餌になる生物がいることだと知り、ただカワセミがいるというだけでない自然の循環について気づくことができました。そういう目で見ると、実は様々な種類の動植物が存在していることがわかり、豊かな気持ちになるとともに街を見る目も変わりました。この経験からもっと多くの子どもたちや地域の人たちと環境に対する関心を共有したいと考え、善福寺池や周辺の生き物調査、川の水質調査などを地域活動の中で提案し、子どもたちもいっしょに調査活動を行ってきました。その活動では、植物や昆虫、野鳥などに詳しい専門家の存在やわかりやすい資料、使いやすい道具などが活動の質を深め、子どもたちの興味や関心を引き出すなど、効果的に作用することを実感しました。

そこで4点目の質問です。

⑥このように地域や学校などで区民が植物や生き物などを十分に観察できる環境を整

えていくことが大事だと考えますが区の考えをうかがいます。

⑦「水鳥事業」についての5点目最後の質問です。

「善福寺川『水鳥の棲む水辺』創出事業シンポジウム」は次回で第10回を迎えます。これまでのシンポジウム事業を市民とともに総括し、次の10年、20年の目標を市民とともに描き、共有して取り組むことが大事だと考えます。そのため今後はシンポジウムという形式にとらわれず、たとえば、区民・区・学識経験者などで、どのような事業を展開することが善福寺川流域や区内の野鳥たちのためになるのかというビジョンと、そこに至るロードマップをワークショップ形式で話し合い、区民全体が共有できる方向を作り出していくことが必要と考えますが、区の見解を伺います。

 

ところで、2008年に制定された生物多様性基本法の第13条では、市区町村が区域内の生物の多様性の保全および持続可能な利用に関する基本的な計画である「生物多様性地域戦略」を定めるよう努めければならないとしています。この「生物多様性地域戦略」ですが、都内でこれを策定している自治体は2015年3月31日現在、千代田区、港区、目黒区、葛飾区、大田区、豊島区、府中市、羽村市、あきる野市、稲城市、町田市の6区・5市となっています。私は、いま述べてきた「水鳥事業」は、言ってみれば、杉並区における生物多様性地域戦略の1つのモデルになるのではないかと考えます。

そこで生物多様性地域戦略について2点伺います。

⑧東京都でも生物多様性基本戦略をつくり、都立公園の生物多様性保全管理計画をワー

クショップ方式などの市民参加で策定し、整備工事を行うことになっています。杉並

区では都立和田堀公園、善福寺公園が該当しており、和田堀公園については現在工事

がはじまったところです。この工事はどのような工事なのか。また、区としてこの工

事をどのように捉えておられるのか伺います。

⑨善福寺公園については2022年から2年かけて生物多様性保全管理計画がつくられる

予定と聞いています。和田堀公園、善福寺公園の生物多様性保全整備工事がおこなわ

れるのをとらえ、「水鳥事業」に取り組む杉並区としても都と連携して生物多様性の地域づくりに取り組むことが必要であると考えます。善福寺公園でみんなの夢水路づくりに取り組む杉並区としても生物多様性地域戦略を策定して具体的な取り組みを進めていくべきと考えますがいかが、お聞きします。

次に2つ目のテーマ「あまみずを貯留するしくみづくり」について4点質問いたします。

あまみずを取り巻く時代の状況としては、2014年4月「あまみずの利用の推進に関する法律」いわゆる「あまみず法」の施行により大きく変化し、「あまみず活用時代」が本格化すると言われました。今回、私はひらがなで「あまみず」といたしました。雨の水を「うすい」と読む場合、下水道法や建築基準法、都市計画法によると「きたない水と書く汚水・廃棄する水と書く廃水-つまり汚水と排水と共に速やかに排除するもの」となっています。一方、あまみず法ではあえて「あまみず」と読ませ、あまみずを天の恵みととらえあまみずの貯留および水洗トイレや散水などの利用を推進するものとして「うすい」とは区別しています。水資源の有効利用を図るとともに河川等への集中的な流出を抑制するという観点から今回の質問も「あまみず」とし、あまみずの貯留に焦点を当てて質問いたします。

現在、東京都は時間降雨50ミリ対策として莫大なお金と膨大な時間をかけて、1年間に100m完成させていく河川改修工事を善福寺川で行っています。このようにコンクリートなどで整備するのを「グレーインフラ」と呼ぶのに対し、「自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりをすすめるもの」と定義し、水とみどりと生き物をキーワードとした「グリーンインフラ」という概念があります。2015年には「グリーンインフラ」という概念が国の施策となりましたが、まだ広く知られてはいないのが現状です。

さて2005年、杉並区を襲ったゲリラ豪雨により、2,000世帯以上の家屋が浸水被害を受けました。それ以降も、豪雨による河川の氾濫が起きています。地球上の水は海や空、陸をゆっくり循環していますが、都市化によって地面はコンクリートで覆われ、降った雨のほとんどが下水管に入り、あっという間に河川に排水され、本来の水循環を壊してしまっているのが原因です。

そこで1点目の質問です。

  • 杉並区も治水を目的とした取り組みを推進してこられたと思いますが、これまでに区が取組んできたあまみずを貯める施策にはどのようなものがあり、これまでどのくらいの量のあまみずを貯める機能をつくってきたのかお聞きします。

いま、都市型洪水を防ぐのに日本建築学会が提唱している「蓄雨」が注目されています。蓄積の蓄に雨と書いて「蓄雨」です。都市型洪水を解決するためには、まちに雨をとどめるしくみである「蓄雨」が必要です。この「蓄雨」には、災害時の生活用水確保の「防災蓄雨」、洪水を和らげるための「治水蓄雨」、自然な水循環をすすめ、ヒートアイランド対策にもなる「環境蓄雨」、日常的に生活用水に使う「利水蓄雨」の4つ視点で、これらを組み合わせて雨を蓄えると大きな効果を発揮するとされています。

あまみずの民間の貯留については、23区内であまみずタンク設置に助成している自治体は区部で13区、市部では14市あります。なかでも注目するのは世田谷区で、あまみずタンクの助成のほかに、今年度から湧水保全重点地区及び豪雨対策モデル地区には雨水(うすい)浸透ますの満額助成を始めたと聞いています。時間降雨100ミリ対策としてグリーンインフラで「世田谷ダム」をつくる構想だそうです。

また、雨が降ると、善福寺川の護岸に開いている2か所の吐き口(はきぐち)から武蔵野市側の汚水交じりのあまみずが流入します。区長から武蔵野市に要望していただいたこともあり、武蔵野市はあまみず貯留槽を市内4か所に設置し、雨天時に杉並区側に流れ込む回数を半減させました。加えて「あまみず利活用条例」を制定し、建物の新築や増改築の際、「あまみず排水計画」を事前に市へ届け出ることが義務化されました。また、雨水(うすい)浸透ます、あまみずタンクへの助成を始め、ほかにも、「水の学校」という市民が、水を汚さない、無駄にしない、あまみずを貯める、浸透させるなど水のことを繰り返し学ぶしくみをつくっています。さらに、現在下水管の増補管埋設計画があることも聞いています。善福寺川の護岸に開いている穴は全部で68か所。そのうちの2か所が武蔵野市からの吐き口、残り66か所が杉並区のあまみずが流出する吐き口です。

②それを考えると、杉並区としても「治水蓄雨」を善福寺川上流域に限定して導入する

など「蓄雨」を推し進めていくことが重要だと考えますが区の考えを伺います。

3点目、

③杉並区は2006年から3年間、あまみずタンクの設置助成を大小合わせて63台に行いましたが、この助成は今はありません。助成をなくした理由について伺います。
最後の質問です。

④杉並区が2013年に改定した環境基本計画の基本目標Ⅲ、「自然環境が保全され様々な生き物が生息できるまちをつくる」の「自然生態系の保全」の項で、区民、事業者の環境配慮行動指針として、「あまみずの活用を心がけます」とあります。あまみず活用を心がけるにはあまみずを貯めなければなりません。あまみずタンク助成がなくなり、区内でのタンクの普及については把握しにくい状況ではありますが、街に雨をとどめる「蓄雨」をすすめる方法としてあまみずタンクの設置は個人レベルで比較的簡単にできる有効策だと考えます。改めて区民や事業者があまみずを貯めて使う、活用する意識を喚起するための情報発信や区民や事業者の実践行動を後押しすることが区の責務だと考えますが区の見解を伺います

これまで生き物やあまみずとともにある暮らしを提案したい思いから質問してまいりました。環境問題は暮らし方の問題でもあることを私たち一人ひとりが気づき実践することが大事であり、区としても様々な部署が意識的に取り組んでほしいと思います。来年度は環境基本計画改定の年と聞いています。現在の基本計画の「はじめに」で区長はこう書いておられます。

“地域で安心して生活できるように、地球温暖化対策の推進、生物多様性の保全、資源の循環利用などの取組みや環境共生型の地域づくりが必要です。そのためには、環境について自ら考え、行動する人を育てる環境教育も重要である。そして環境問題への取組みは区民のみなさんをはじめ事業者やNPOなど多様な関係者と共に持続可能な環境住宅都市の実現に取り組みます。”と。

この姿勢をぜひ次の改定にも引き継いでいただくことをお願いし、また自然環境を活かしたまちづくりをすすめる取組みに私たちもともに尽力していくことを申しあげ、私の一般質問を終わります。

第1回定例会代表質問 2017.2.14そね文子

いのち平和クラブを代表して「平成29年度予算の編成方針とその概要」及び区政の諸課題について質問いたします。

安倍政権は安保関連法制の元、自衛隊を南スーダンに派遣させましたが、そこで大規模な戦闘が起きていたことが問題となっています。これまで何度となく議論されるたびに廃案になってきた共謀罪がテロ等準備罪と名前を変えて国会で審議されようとしています。戦前の治安維持法の復活とされ、個人の思想の自由を奪い監視社会をつくる法案を通すことはあってはならないと考えます。福島第一原発の事故を受け避難区域とされていたところが次々と解除され、年間被ばく限度が1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに緩められたまま帰還が進められ、自主避難者の住宅保障は今年度で打ち切られようとしています。原発事故を無かったことのようにし、原発再稼働を次々と進めることは許されません。沖縄県の辺野古では県民の意思を無視し、米軍の新基地建設が強硬に進められており、反対行動に対し重大な人権侵害が起きています。このような安倍政権の2017年度予算は、防衛関係費が大幅に増額され過去最大の5兆1千億円を超え、社会保障を削減するものとなりました。

社会保障費は3年間で自然増を1.5兆円圧縮する方針が出され2017年度は5000億円の枠内に収められました。高額療養費は一定以上の収入のある70 歳以上の負担額を引き上げ、後期高齢者医療の保険料では、低所得者や扶養家族の保険料の「軽減特例」が見直されました。年金はマイナス改定になる一方で、医療・介護により負担増で高齢者の生活が圧迫されます。喫緊の課題である介護人材の処遇改善は、経験、資格、評価に応じて月額1万円相当引き上げるとしているが、介護職員の月額賃金は他の産業より約10万円も低く実効性のある改善には程遠いものです。

このような国の動向に、暮らしと福祉を守る自治体の役割がさらに重要となっています。杉並区の2017年度の予算がこうした課題に応えるものとなっているかを検討しました。

(1)まずは、新年度の予算編成方針とその概要について、これまでの総括と環境の変化について質問します。

  • 冒頭、10年ビジョンの折り返しの年にあたり、この間の取り組みの一定の成果と、前例のない取り組を困難な壁に直面しながら進めてきたことが率直に語られています。区長のこれまでの総括についてお聞きします。
  • 昨年を振り返り、4月の熊本地震を始め大規模災害が連続しておきた年に、過去の災害からの教訓を十分に生かしながら、減災・防災対策を加速する決意が語られています。区長は、11東北大地震と福島第1原発事故に際し、直ちに南相馬市にかけつけて以来、南相馬市への支援とともに、3.11を忘れない集会を毎年行ってきました。今年はどのような企画を準備しているか確認します。昨年は、宮城県の保育園で子どもたちを守り抜いた園長先生をお招きして貴重な体験をうかがい、多くを学びました。ところが参加者が少なくとても残念で、後で地元の方たちに聞くと、集会を知らなかったことがわかりました。町会や防災団体を通じて周知するよう求めますがいかがでしょうか。
  • 小池都政の誕生は、区政にも少なからぬ影響を与えています。都民ファーストを掲げた小池都政の予算方針に対する区長の評価と、区に与える影響についてお聞きします。特に待機児童解消など子育て環境の充実において、都の予算では、前年度比417億円アップの1,630億円となっているが、区に対する効果はどうか。今後待機児童対策にはどのようなことが期待できるか区長の見解を求めます。
  • 2月1日付朝日新聞で「小池都政が地方と向き合う視点に欠ける」という区長コメントが報道されていましたが、その真意は何だったのでしょうか。うかがいます。

阿佐ヶ谷のまちづくりについてお聞きします。

  • 昨年これまで進めてきた杉並第1小学校の現在地建替え計画に対して、病院の移転建て替え計画が発表され、病院跡地での杉並第1小学校の改築が可能となる見通しが出てきました。これまでの計画で、杉1の早期建替えを期待してきた保護者からは、建て替えが遅れることから異論も出ていると聞きます。今後の阿佐谷地域の子どもの教育環境を第1で検討されてきたことと思われますが、その観点も含め、この機会を生かすことで、阿佐ヶ谷地域の将来のまちづくり像を地域住民と共有し、新たな計画を進めることができるのか、検討の状況や計画の特徴などをお示しください。

次に人口動態などについてお聞きします。

  • 東京都と杉並区の人口増加、未就学児童の増加、女性の就業率のアップ、高齢者の長寿命化について実績が示されています。今後5年、10年先のそれぞれの傾向についてお聞きします。「時代の変化に対応する」「時代の先を見据えた」予算と強調しています。10年前と比べてどのような点が大きく変化していると認識しているのか。
  • また「時代の先を見据えて」10年先はどのような点が大きく変化すると見越したのかお示しください。

次に保育園待機児童対策について質問します。

  • 10年前と比べ大きく変化した点の一つが保育園待機児童とその対策です。4月を前に認可保育園19園を含む2000人を超える定員の確保をめざし、保育園建設は着実に進められてきたと認識しています。その結果4月の待機児童解消の見通しはどうなったか確認します。保育士の確保が心配されてきましたが新設園の保育士の配置の達成状況をお聞きします。
  • 昨年、1次申し込みで認可園を希望した数が約3800人、実際に入園できたのは2000人弱でした。昨年5月の待機児童解消緊急プランの柱に認可保育所を据えたのは、画期的な取り組みでした。新年度予算でも基本的に、認可保育園の増設を計画していますがその数と予定定員数をお聞きします。
  • 昨年4月の緊急プランは、100人規模の認可保育園で対応するために、用地の確保が最優先であったことから区有地を活用する他はありませんでした。公園を利用した地域で、子どもたちの遊び場がどのようになっているか、特に向井公園と久我山東原公園の現状について、そこで遊んできた子どもたちは工事中どのようにしていたのか、お聞きします。公園使用は代替地の確保が条件でしたが、今それはどのように対応されているのか、また今後の方策をどのようにたてているのかお示しください。
  • 待機児の解消は自治体独自で進めるには限界があり、国や都の支援が必要と述べています。今年度で国や都が新たに立てた支援策はどのようなものか。また、現在の課題は何かうかがいます。国、都に対し具体的にどのような財政支援を求め、制度はどのように見直すべきと考えるのかお聞きします。
  • 2005年の保育サービスのあり方検討部会報告に基づき2006年以降10年間で区立保育園10か所が建替えに伴い民営化が進められてきました。今後新たな保育サービスのあり方、方針が必要だと考えますが、区の見解を確認します。小泉政権の三位一体改革により2004年度から公立分のみ国や都道府県負担が一般財源化され、その結果、区負担が全額となった経過があります。現在は認可保育所の、民設・民営であれば国や都から事業者に対し建設費用や運営費の補助金がでており、区の持ち出しは建設費用の1/16となっていますが、区が直営で建替える場合には補助金がでないため、一般財源で賄わなければなりません。そのため、建替えに伴う民営化は財政的な面からも一定、避けて通れない状況にありますが、そのことが周知されていません。区民の理解を得るためにこの点は明確に伝えるべきと思いますが、区の見解をうかがいます。
  • しかし、今後増え続ける民営保育園の保育の質を担保するためには、直営園を維持し続けその経験と質を継承していく体制も必要と考えます。区の見解と保育の質を担保するための体制についてお聞きします。
  • 認可保育園をはじめ4月に開設する保育園や、今後杉並区におけるすべての保育施設の保育の質を担保するための考え方を明文化した「保育の質ガイドライン」を策定し、それに基づく保育園整備をすすめることが必要と考えます。区の見解を求めます
  • 保育に関わる経費の増大に伴い、保育料見直しが打ち出されていますが、その方向性について。また低所得者対策についてもお聞きします。
  • 保育園の需要の高まりは、卒園後の学童クラブの需要の急増につながる状況が顕著になっています。今年の4月に地域によっては、3年生になる子どもが学童に入れず困っているとの声が寄せられています。区は「地域によっては待機児童が出ているが全体は充足している」と答えていますが、この状況では、18年、19年の4月には、全地域の学童クラブに拡大するおそれがあります。現状と区の見通しを確認します。
  • 昨年11月の第1次実施プラン改定では、「学童クラブは学校を基本とし…、小学生の放課後等の居場所の機能を移転した児童館施設や、学童クラブとして活用可能なスペースが小学校に近接する場合はこれらを活用する」となっています。今年の4月に向けた対策とともに、早急に抜本的取り組みを求めますがいかがでしょうか。
  • 成田西児童館が30年度から子ども・子育てプラザになる計画は、そこで行われていた学童クラブが杉2小に移動し、児童館を居場所としていた子どもたちも杉2小内での放課後等居場所事業を利用するとされています。この居場所事業が十分に機能しなければ成田西児童館で遊んでいた子どもたちは居場所が減ることになります。これまでの放課後等居場所事業のモデル実施の取り組みはどうだったのか、児童館の機能を拡充すると言える内容になるのか、今後の見通しはどうかうかがいます。

(3)次にもう一つの大きな変化、急速な高齢化とその備えについてお聞きします。

  • 2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、高齢者人口がピークになる時期が近付いています。「先手を打って課題にチャレンジしていく」姿勢とありますが、急激なこの高齢化の変化に対応してくためには、どのような改革、対策が必要と考えるかお示しください。

日本老年学会、日本老年医学会から「高齢者の定義を75歳以上に見直す」という提案がなされました。確かに、個人差もありますが大半が元気で、仕事についている方も少なくありません。しかし、この新たな定義が、年金支給年齢の引き上げや若い世代の年金未納など年金制度そのものの崩壊をもたらすのではないかと危惧します。また、65歳から75歳までの医療費の削減や介護保険の利用や施設入所を狭める口実になることも懸念されます。そこで年金制度をめぐる国の今後の動向について、区の認識と見解を求めます。

  • この間のもう一つの大きな変化は、所得格差の拡大であり貧困問題です。この点での区長の見解を求めます。地域が抱える課題は、保育園や子どもの安全な居場所問題、高齢者対策に加え、所得格差により子どもから若者、高齢者までより複雑で重層的なものとなっています。きめ細かい支援を行うには、福祉事務所、子ども家庭センター、教育委員会、ケア24、社会福祉協議会やくらしのサポートステーションなどが連携してあたることが必要になっています。世田谷区では、区民センター・地域包括支援センター・社会福祉協議会が地域単位で同じ施設に入り、ワンストップサービスの窓口を開設しています。杉並区においても複雑で重層的な課題に対応するため、7地域にワンストップサービスの窓口を設置してはどうかと考えますが見解を伺います。

(4)ここからは、時代の変化を見据えて、10年ビジョンの加速化を図るために用いたという、5つの視点に沿って伺っていきます。

  • まず、1つ目の視点「首都直下地震等に備えた減災・防災対策の推進」についてです。毎年東京都がおもに職員を対象に行っている都市復興訓練が今年度は杉並区梅里・成田東で実施されましたが、どのような訓練が行われ、区の施策にどのように活かされたのか、あるいは活かしていこうとしているのかお聞きします。
  • 昨年末の糸魚川市の火災は、発生から鎮火まで約30時間もかかり、約4万平方メートル、建物147棟が消失するという大変規模の大きなものでした。同じく木密地域の問題がある杉並区として、今回のこの災害から具体的にどのような教訓を得られたのでしょうか? 木密地域の不燃化が急務であるということですが、そのためには何が必要か、課題はどのようなところにあるのか、区の認識をお聞きします。
  • また狭あい道路解消も急務です。「支障物件の除却に向けた取組を着実にすすめる」とありますが、これまでに住民の理解・協力を得られているのでしょうか? また重点整備路線の整備は時期的な目途が立つものなのか区の考えを伺います。
  • 不燃化や拡幅整備に必要なのは地域住民の理解と協力であり、そのために区民の防災意識の向上が必要だと考えます。昨年5月に実施された「区民意向調査」によると、「震災救援所など町会・自治会の訓練」に参加したのは9%で、約7割の方が何にも「参加していない」と答えています。これまでとはちがった方法での防災訓練の周知が必要だと考えますが区の見解を伺います。

 

(5)次に第2の視点「将来にわたるにぎわいの創出に向けた環境整備と魅力発信について」お聞きします。

  • 「広報すぎなみ」の刷新が打ち出されています。デザイン、レイアウトの工夫は、それなりの専門的な能力や新しい感覚が必要となりますが。どのような方法、どのような力を投入する考えかお聞きします。
  • 外国人観光客を含めた来街者に対しては、SNS活用を含め今後どのような情報発信をしようと考えているか伺います。
  • 東京オリンピックに対しては、大きな期待が寄せられている反面、2020年に向けた工事が、福島復興への資材や人材不足をまねいているとの厳しい批判も出ています。またオリンピック関連建築の膨大な建築費の付けが都民に回されることも危惧されます。小池都知事への評価には天井知らずの五輪予算縮小への都民の期待があると思います。5輪の準備にかける予算はできるだけコンパクトにすべきと思いますが区の見解を求めます。

商店街の活性化についても伺います。

  • 「新・元気を出せ!商店街事業」の拡充は、具体的にどのような工夫がされているのでしょうか。
  • 商店街は、浜田山でもこれまで長年親しまれてきたお店が、後継者がいないため昨年閉店となるなど、にぎわっている商店街でも地元の商店がなくなり、チェーン展開している飲食店などに変わっていく流れが止まりません。その原因の第1が後継者問題です。この点での区の認識と対策をお聞きします。
  • 第2が区内の繁華街の店舗の家賃の高さです。その一方で若い世代が新たに起業する飲食店、介護保険事業、美容院、健康関連事業などのお店も増えています。このような若い起業家を支援する施策、家賃の高い杉並で家賃助成があれば、にぎわいのある杉並で起業しようという意欲を引き出せると考えますが区の対策をうかがいます。

(6)次に第3の視点、「豊かなみどりと持続可能な環境を次世代に継承」について伺います

  • 福島原発で生み出される電気の消費地であった東京は、原発事故を忘れず継続して省エネに取り組むよう、啓発活動を引き続き行っていくべきと考えますが、区の見解と具体的な取り組みを伺います。
  • 再生可能エネルギーを生み出す取り組みとしては、震災救援所に太陽光発電と蓄電池をできる限り設置してきたことを高く評価しています。区民への太陽光発電機器設置助成などは引き続き行っていくべきと考えますが、区の見解をうかがいます。
  • 区立施設の電力に、原発に頼らない新電力(PPS)からの購入を求め、これまでの実績は2億6年万円の削減を実現しています。新年度新たな拡大の予定があればお聞きします。その実績はどの程度見こまれているのか。国は今後廃炉費用の負担を新電力の電力料金にも上乗せする方向ですが、そうなれば影響はどのようなるとに想定しているかお聞きします。
  • 2016年11月4日に「パリ協定」が発効しました。日本はこれに遅れをとり8日に批准しましたが、パリ協定の第一回締約国会議には議決権のないオブザーバー参加となったことは残念です。日本は2030年までに温室効果ガスを13年度比で26%削減する目標を、東京都はそれを上回る30%削減の目標を立てています。杉並区でも国や都の動きを見つつ新たな目標を立てるということでしたが、その進捗状況はどうなっているか、東京都と並ぶ高い目標を設定し取り組んでほしいと考えますが、区の見解を伺います。
  • 建物の省エネ化を進めることは、省エネを推進するうえ大変重要と考えます。杉並区ではこれまでも市民団体と協働で省エネ相談を実施し、市民向けの講演会を開催するなど省エネ建築の啓発に努めてきていると認識しています。2020年には住宅を新築する際には新しい省エネ基準に適合させることが義務化されます。既存住宅を省エネ住宅にリフォームしていくことも重要で、現在は国での助成も行われていますが、区として住宅の省エネ化促進のために取り組んできた成果と今後の考え方や具体的な取り組みについてうかがいます。
  • 2015年4月に都市農業振興基本法が成立し、これまでの都市農地は「市街化すべき」ものから必要不可欠な「あるべきもの」に転換されました。この法に基づき都市農業振興基本計画が税制上の措置などにも留意する形で策定されましたが、実質的にはどのような効果が出ているのか。継続したアグリフェスタの開催、成田西ふれあい農業公園の開設など区の取り組みを評価していますが、今後どのように農地を残していこうとするのかうかがいます。今年度導入した認定農業者制度の取り組みはどうだったのか、今後の展開についても合わせて伺います。
  • 食品ロスについては、飲食店での食べきり運動などを紹介し提案を行ってきましたが、家庭や飲食店を中心に食品をごみにしない取り組みが取り上げられたことをうれしく思います。今後もぜひ協力していきたいと思っていますが「(仮称)杉並もったいない運動」の具体的な内容についてお聞きします。
  • 外環道の大深度地下工事が始まり、地下40メートルに直径16メートルのトンネルが2本つくられ、地中拡幅部は50メートルを超え300mの長さに及ぶ壁が帯水層をせき止めます。善福寺の水と緑への影響など、沿線住民の不安への国と事業者の責任ある説明について区の対応を求めます。また、外環地上部街路(外環の2)が練馬区ではすでに事業化に向けて取り組まれています。沿線住民の立ち退きを迫る外環の2は必要のないことを区として明らかにしてほしいと考えますが区の見解をお聞きします。
  • 西武新宿線の開かずの踏切対策として連続立体交差事業が急がれています。高架になれば大幅な立ち退きと環境道路整備が行われることが、まちづくり協議会などで周知されているのかどうかお聞きします。構造形式は都任せではなく、区の住民に寄添った関わりを求めますが、区の考えをお聞きします。
  • 活力あるみどりの住宅都市を標榜する杉並区として、空き家を増やさない取り組み、空き家を地域資源として活用することは大変重要と考えます。昨年、杉並区空家等対策計画が策定され、空き家に対する施策の方向性が示されたことを評価します。また、居住支援協議会が立ち上がり、住宅要配慮者への取り組みをすすめようとすることにも期待しています。特に高齢者や障がい者の居場所や住まい、子育て支援の拠点などの活用促進に課題となる制度変更も含めモデル事業として積極的に取り組んでほしいと思いますが区の見解を伺います。

 

(7)次に第4の視点、「超高齢社会の進展を見据えた健康づくりと福祉の充実」について伺います

  • 介護保険制度は改定の度にサービスが縮小に向かい介護の社会化が後退しています。特養の入所要件が介護度3以上となり要支援1・2が区の総合事業に移行するなど法や制度の改定に、自治体が規定されてしまうことは理解しますが、自治体として介護サービスをトータルにどのように保障するのか、区の認識を伺います。
  • できるだけ介護保険に頼らないための介護予防を重視することは財政的にも必要です。そのため、元気高齢者の就労機会を支援する取り組みを評価しますが、就労だけでなく多様な社会参加の機会の確保も必要です。住民主体のコミュニティづくりをさらに促進するために、現在行われている活動の発信とともに新たな活動づくりの支援が必要だと考えますが、区の見解をお聞きします。
  • 地域包括ケアシステムの構築に向けて、その人の暮らしを地域で包括的に支えて行くためのネットワークづくりに具体的に取り組んでいることを評価しますが、特に在宅医療と介護の連携推進では自宅に居ながら病院や施設と同様のサービスが受けられるような体制整備が必要です。そのため、現状まだ不足している夜間対応型訪問介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護の拡充をすすめることが急務だと考えます。2017年度は第7期介護保険事業計画策定の年でもあり、今後の区の考え方をお聞きします。
  • 障がい者施策については、親なき後の住み慣れた地域で生活できるよう、住宅支援や施設整備の拡充を進めていることには賛同するものです。昨年障がい者差別解消法が施行され、自治体においてはその責務が実践によって示されることが重要だと考えます。その一つが、移動支援についてです。通所・通学、日中活動への支援が他自治体では認められているのに、杉並区ではできないとの指摘が当事者や団体からなされています。支援がないことで外出が出来ない人を出さないよう、区の対策が求められていると考えますが、移動支援に対する区の方向性と見解を求めます。
  • とりわけ精神障がい者への移動支援が認められないことに対して、当事者や団体からの切実な要望が挙げられています。通所、通学、通院など個々の状況に柔軟に対応すべきと考えますが、区の見解を求めます。
  • さらに精神障がい者は、福祉施策が遅れたことで、知的、身体障がい者に比べ未だ制度が十分とは言えない状況です。こうした中で2011年に区が独自に「心身障がい者福祉手当」を1級に支給したことは高く評価しています。1級・2級の認定は、当事者や関係者によればそれほど大きな違いがあるとはいえず、2級への拡大は待ったなしだと考えます。見直し拡充についての区の見解はいかがでしょうか、お聞きします。

(8)最後に第5の視点「未来を担う子どもたちのための教育・支援の拡充」についてお聞きします。

  • 子どもの貧困対策として、民間との連携や協働による取り組みも視野に入れた効果的な支援策についての検討状況を伺います。また、具体的な課題を把握するためには実態調査も必要と考えますが、区の見解をお聞きします。
  • 不登校の子どもが15年度は小学校で108人、中学校205人という状況でした。一つの小学校や中学校ができるほどの人数が不登校になっているということです。不登校の原因をどのように分析し、改善を図ろうとしているのかうかがいます。
  • これだけの人数の子どもが学校に行けない状態を生み出していることについて、学校のありかたを見直す必要があるのではないかと考えます。来られない子どもを無理やり学校に通わせるというのは論外ですが、義務教育機関として、すべての子どもが安心して通える学校、すべての子どもの居場所となる学校づくりに、保護者や地域の人の手を借りながら、取り組んでほしいと考えますが、教育委員会の考えをうかがいます。
  • 不登校の子どもへの対応を始めとして、重要な役割を担っているスクールソーシャルワーカーが非正規雇用であることについては、これまでも処遇の改善を求めてきました。すぐれた人材が杉並区から他自治体に流失している現状も聞いています。子どもからのSOSには勤務時間に関わらず緊急対応が必要であること、保護者などの信頼を築くには継続性が重要であることから、スクールソーシャルワーカーが十分に力を発揮し、区の子どもたちを力強く支え続けてもらうために、改めて処遇の改善を強く要望いたします。

最後の質問になります。

  • 児童養護施設に入所している子どもと、子どもが施設を退所した後の支援について伺います。杉並区には都内の自治体の中では最も多い5カ所の児童養護施設が民間によって設置されています。施設の子どもは地域の学校に通い、施設も積極的に地域と交流を持つ努力をされていると認識しています。施設には発達に課題があり、特別な支援を必要とする子どもの割合が高いとも聞いています。その子どもたちが施設に居られるのは基本的には18歳までであり、施設を退所した後に孤立することが多いため、家賃補助や奨学金、継続してつながりを持つことや見守りが必要です。児童養護施設は都が管轄するとはいえ、子どもは地域で育つものであり、他自治体ではこれらの支援が行われていますが、杉並区ではこの子どもたちの支援にはどのように取り組んでいるのか。区の考えと今後の具体的な支援についてうかがいます。

高齢化のピークを間近に控え課題が山積する大きな変化の時代に、区には区民のいのちと暮らしを守ることを最優先に取り組んでいただきたいと考えます。私たちも協力し、力を尽くすことを申し上げいのち・平和クラブの代表質問を終わります。

第3回定例会一般質問   2016.11.18 そね文子

いのち平和クラブの一員として、①石けん利用をすすめ、水環境を守る取り組みについて、②使用済み油の回収による資源循環とエネルギーを地産する取り組みについて質問いたします。

まず、石けんの利用がなぜ水環境を守ることになるのか、述べたいと思います。杉並区内には3つの河川、妙正寺川、善福寺川、神田川が流れ、それは中野区で神田川に合流し、やがて隅田川に合流して海に注いでいます。

区内の下水道は合流式のため雨が降って雨水が下水道に流れ込むと、その下水は簡単に、区内の3つの河川に流れ込むようになっています。流れ込んだ下水は処理されることなく川を汚染し、そのまま海に流れ込んでいるのが実態です。

海まで流れ着いた汚水は海底に蓄積したり、海の生物に取り込まれたりし、それが巡り巡って食物連鎖に組み込まれた私たち人間の口に入ることになります。

川や海の生物の生息環境を守ることは、食の安全、人間の健康を守ることにつながるため、家庭排水の中に環境負荷のかかるものを流さないということが大変重要と考えます。

環境や生物・人体に悪影響を及ぼす物質を含む合成洗剤などはなるべく避けたいという考えから、生活者ネットワークは議会で学校施設や区立施設で環境負荷の少ない無添加の石けんの使用を求めてきました。また区内で活動する消費者団体は区施設での洗剤を石けんに切り替えるよう求め、毎年予算要望の際に区長に説明していると聞いています。

石けんは固形、液体、粉末などのタイプがありますが、どれも天然の動植物の油脂にアルカリと水を加えて加熱してつくられたもので、紀元前3000年から使われてきた長い歴史の中で、安全性が確認されています。一方、合成洗剤の歴史は浅く、第2次世界大戦後に急速に普及しました。これは石油から複雑な工程を経て作られ、合成界面活性剤、蛍光増白剤や再汚染防止剤などが配合されています。そして問題なのは、水中での分解がされにくく、環境ホルモン作用、発がん促進作用、皮膚障害・味覚機能の低下・髪へのダメージなどの懸念があり、安全性が確認されていません。合成界面活性剤は水中に存在する個体に吸着する性質があり、魚のエラに吸着すると窒息死させることがわかっています。その点、石けんは、水でうすまると界面活性力を失い、分解されて二酸化炭素と水になり安全なのです。

1970年代後半に琵琶湖をはじめとした全国各地で、生活排水による水質汚濁が問題となり、漁業協同組合や生協、市民団体などが連携して合成洗剤の使用を止め、せっけん利用をすすめ、人体への影響、河川や海などの自然環境を守ろうという「石けん運動」が展開され現在に至っています。生活者ネットワークはそこに参加している全国の団体と連携して活動してきました。このせっけん運動では杉並区でも区長からも毎年メッセージをいただいています。

1-1 そこで、まず初めに区はこの石けん運動についてどのように評価しているか、見解をうかがいます。

杉並区には基本構想に定める区の将来像「支えあいともにつくる安全で活力あるみどりの住宅都市 杉並」の実現に向けた環境分野の計画である環境基本計画があります。この計画は杉並区環境基本条例に基づき、地域の環境を総合的かつ計画的に保全し、地球環境の保全に貢献していくための計画でもあります。

1-2 環境基本計画の「化学物質等の適正管理と水質汚濁を防ぐ取組」の環境配慮行動指針には区民の取り組みとして「洗剤は環境対応タイプを選び、その使用は必要最低限にします」という1文が入っています。区はこれをどのような取り組みによって実現しようとしているかうかがいます。

江戸川区では「洗剤・洗浄剤についてより安全性が高く環境にやさしい石けんの使用を目的とする」とうたわれた石けん使用指針が定められています。杉並区でも石けんを優先的に使うことを促す取組みが求められます。環境基本計画改定の際にはぜひ「石けん」と明記していただきたいと要望します。

1-3 ほとんどの区立施設では食器を洗うための合成洗剤や手洗い用に洗浄剤が備えられています。具体的には区庁舎を始め、小中学校、区立保育園や保育室、子供園、地域区民センター、ゆうゆう館、児童館などがあげられます。まずはそれらの施設で、食器洗い用の洗剤や手洗い用を有害な化学物質を含まないものにすることに取り組んでいただきたいと思います。そこでの洗剤や手洗い用の洗剤の使用が現在どのようになっているのか、また今後どのようにしていくのかについても伺います。

多くの区民が使う区立施設は環境配慮行動を啓発する場にしていただきたいと考えます。ここで1例を紹介したいと思います。小金井市では環境行動指針で「洗剤は極力石けんを使用するとともに、合成洗剤は必要以上に使わないように努める」ことを定めていますが、その内容がこのようなわかりやすいポスターにされて市立施設の給湯室に貼られています。このポスターはせっけん運動をすすめる市民から提案があって市と一緒に作成し、市民が協力して継続的に施設に貼られているということです。ぜひ、このような事例も今後、参考にしていただきたいと思います。

また石けんの原料についても述べたいと思います。先に述べたように石けんの原料は油ですが、飲食店等から回収された使用済み油を精製しリサイクルして石けんが作られています。環境のことを考えて作られた、できるだけ環境負荷の少ないものを選んで買うグリーン購入という考え方があり、区でもグリーン購入法に基づいた物品の調達方針が立てられていますが、石けんの購入にもこの考え方を適用してほしいと思います。区の施設では率先してそのような商品を購入いただきたいと考えますが、区の見解を伺います。

東京都では、化学物質による子どもへの影響を防ぐために独自のガイドラインを策定し、子どもたちが安心して生活できる社会の実現を目指しており、化学物質が人に与える影響は、大人より成長期の子どもにおいて大きいとの考えが示されています。予防原則に則り、有害な化学物質が含まれているものはできるだけとらないようにすることは重要なことです。このような観点から、学校の手洗い場、家庭科室での石けんの利用を望みますが教育委員会の見解をうかがいます。

2015年3月の予算特別委員会で学校での手洗い用の洗浄剤使用について調査を行っていただいたところ、PRTR法に規定されている有害化学物質が入った合成洗剤がすべての学校で使われていました。PRTR法とは人の健康や生態系に有害なおそれがあるなどの性状を有する化学物質の規制を目的としてつくられ、環境や人の健康に影響を及ぼすとして国が有害であると指定した化学物質について、事業者がその排出量を1年ごとに集約し公表することを義務づけるという法律です。なぜその有害化学物質が入った合成洗剤が使われるにいたったかを聞いたところ、国立衛生研究所の講師から、ネットに入れた固形石けん、また石けん台の固形石けんは微生物の繁殖の可能性があるという指摘があって、教育委員会から液体に変えるよう通知が出され、それを契機に合成洗剤に変わったと思われる。今回は抽出調査だったので、今後、全校調査を行い検証する必要があるという答弁をいただいています。

その後の調査の結果はどうであったのか、どのように検証が行われ、それに対してどのように対応されたのかを伺います。

東京都の教育委員会が、都内全自治体における公立学校給食の実施状況等について毎年調査を実施しています。この調査の中に食器具類の洗浄剤等使用状況の項目があります。厨房において合成洗剤か石けんか、またはその併用かが調査項目として取り入れられています。子どもたちの口に入る可能性から見ても、水環境に与える負荷の点からも、また、厨房で作業に当たる調理員の健康を守る意味でも、石けん使用が望ましいことは先ほど来述べてきたとおりです。2015年度の報告書には、杉並区内の小中学校すべて合成洗剤使用となっています。二十三区の港区、大田区、世田谷区、中野区では小中学校の一〇〇%で石けんが使用されています。以前、世田谷区に給食調理室で石けんが導入された経緯を聞きに行きました。そこでは、調理員の手荒れや健康影響への不安から石けんを望む声があり、数回の試行と説明会をへて導入がなされたということでした。職員の手荒れは石けんが導入された後に改善が見られたということです。杉並区でも給食で使う食器の洗浄に石けんの使用を望みますが教育委員会の見解を伺います。

この項の最後です。杉並区では学校給食で出た使用済みの油は回収業者が処理していますが、この油は家畜の飼料や燃料などのほか、石けんにもリサイクルされています。このような作られ方をした石けんを使うことで初めてリサイクルの循環が完成されます。廃食油が石けんに生まれ変わることを学ぶことも環境教育として重要と考えますが、教育委員会の見解をうかがいます。

次に、大きな項目の2つ目、廃食油の回収についてうかがいます。

日本国内で消費される食用油は年間約200万トンで、このうち廃棄されているのは約40万トン。飲食店や食品関係企業などからまとまって廃棄される業務用の廃食油と各家庭から少量ずつ捨てられている廃食油の量はほぼ半々の20万トンずつと推計されています。飲食店などからの20万トンは専門の回収業者にゆだねられ、約80%が回収されていますが、家庭から出る残り半分の廃食用油の回収率は極めて低く、そのほとんどが生活排水と一緒に下水に流されたり、紙に含ませて捨てられています。河川に流される油は水質汚濁や配管のつまりの原因となっています。環境省が出している「生活排水読本」には、小さじ一杯、5ミリリットルの油が垂れ流されたとき、これを魚が住める水質に戻すには風呂おけ5杯分1500リットルの水が必要だと書かれています。

数年前、地域行事で料理を作った際に出た廃食用油の処分を任される機会があり、可燃ごみにしたくないので回収拠点を探し数か所に電話をかけ、自転車で20分ほどかかる福祉作業所に持って行ったことがありました。こんなに大変な思いをして回収先を探さなければならない状況で、多くの方はどうしているのだろうと疑問に思いました。そこで、どのぐらいの需要があるのか確かめるため、区役所隣にある生活者ネットワークの事務所で廃食用油の回収拠点を始めることにしました。2014年4月にスタートし、2年2か月で約800リットルを回収しました。これは、1300万人が暮らす東京を、各家庭から使用済みの油が排出される油田に見立て、その油を回収して燃料にするプロジェクトに参加し、年会費を払って回収をお願いする形で取り組んだものです。

回収を始めてみると、未使用なまま10年以上経過し、捨てるに捨てられず押し入れに眠っていた贈答品の油を持ってくる人が多かったのには驚きました。近隣の方はもとより、自転車に乗って10数分かかるところをホームページで見つけたと言って持ってきてくださったり、電車を使って持って来られる方もいて、回収拠点の設置は区民に求められていることを確信しました。

23区では、渋谷区、葛飾区、豊島区、練馬区などが廃食油の回収を行っています。以前視察に行った練馬区では、区独自でプラントを備え、回収した油をバイオディーゼル燃料、通称BDFという軽油の代替になる燃料に精製し、その燃料で区の清掃車2台を走らせ、環境学習にも利用しているとの話を伺いました。豊島区では回収した油を無添加のリサイクルせっけんに加工し、区庁舎をはじめとする区立施設の手洗い用石けんとして利用し区内で循環させています。このように、使用済みの食用油は石けんや動物の飼料、燃料に生まれ変わるものなのです。この燃料はトラックを走らせたり、発電機を動かし電気を生みだします。ちなみに住民22万人の渋谷区は、区立施設18か所で拠点回収を行い、年間の回収量は2700リットル、回収にかかる費用は年間20万円弱ということです。葛飾区は、住民が約44万人、回収拠点は21か所、年間の回収量は7000リットルで年間の回収費用は21万円とのことです。さらに葛飾区では精製されたBDFを庁有車に使う取り組みも始め1年が経過したところです。車は100%BDFで走らせていますが、不具合はまったく起きていないということです。杉並区でも回収拠点を設ければ相当量の回収が見込めると考えます。

そこで質問です。杉並区には環境先進都市の実現を目指し、区民一人一人の環境配慮行動を推進し、環境情報や環境活動の場とするとして環境活動推進センターが設置されています。ここは、環境や省エネ、リサイクルに関する総合的な拠点とされています。杉並区でも、環境活動推進センターを第一に、お願いできる区立施設いくつかで使用済み油の回収を実験的にスタートしていただきたいと思いますが、区の考えを伺います。

また、葛飾区ではホームページで民間団体が行う廃油の回収拠点を紹介し、区民にそこにも廃油を出すよう促していました。先ほど生活者ネットワークの事務所が回収拠点になったことを述べましたが、区内には他にも民間団体が回収拠点となっているところがあります。このような区民の自発的な活動を杉並区でもホームページで広報し、廃油の回収を促進することを要望します。

最後の質問です。先ほどからリサイクルされたものを使うことの重要性について述べてきましたが、区が屋外のイベントで発電機を利用するときはBDFを使うことにも取り組んでいただきたいと思います。杉並フェスタなど、様々な屋外のイベントが行われていますが、発電機を使う際には一部であってもBDFを試していただきたいと思います。このBDFは大気汚染の原因となる硫黄酸化物はゼロ、呼吸器官障害の原因といわれる黒煙は軽油の半分以下、純地産地消の地球にやさしいクリーンなエネルギーです。イベントで油の回収を行い、BDFや石けんへのリサイクルのことをパネル展示し環境意識の啓発を行っていただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。

環境への配慮は緊急性の点で、ともすると後回しにされがちです。しかし、子どもや孫、その先に続く世代に対して今の大人が行わなければならない大変重要な課題です。杉並区環境条例には、区はすべての施策を環境の保全に配慮して行うとともに、区民及び事業者の理解と協力を得るよう努めなければならないと定められています。今回の提案や要望に対して、区には少しのことからでもまずは試しに始めてみるという姿勢をもって取り組んでいただくよう要望し、質問を終わります。

一般質問と答弁 2016.5.31 奥田雅子

【Q】 ●この20年余りの間に、阪神淡路大震災、新潟県中部地震、東日本大震災、そして今回の熊本地震と大きな規模の地震災害が発生しています。震災対策は、待ったなしの課題であり、田中区長は「首都直下地震は必ず起こる」との認識を示され、震災対策を積極的に進めています。改めて、熊本地震を含め過去の地震災害から何を学び、活かしていこうとされるのか伺います。

【A】   我が国は、地理的条件から世界の中で、自然災害に見舞われる割合は非常に高く、被害も甚大です。区の喫緊の課題である首都直下地震への対策に、災害の教訓から学び活かしていくことは大切であると強く思います。熊本地震からは、震災救援所の代替施設や物流対策の複線化など、どのような災害が発生した場合にも対応できるような、第二・第三の策を備える事が大切であると改めて感じました。

阪神淡路大震災では、翌日に現場に赴き目の当たりした状況は、鮮明に今でも記憶しています。大都市直下の地震により、多くのビルや住宅が倒壊し、その後の電気火災等による延焼により大きな被害をもたらしました。

東日本大震災では、地震発生後の津波、原子力発電所事故により広域で被害が発生しました。発災直後は、通信手段も途絶え、混乱が生じており、こうした時にこそ「助ける事のできる自治体が被災地に対して迅速に支援の手を差し伸べる」基礎自治体間の水平的支援が有効な手段となりました。この経験から、迅速な支援を躊躇せず行えるように法律改正を求め、全国からの要請となり、災害対策基本法の改正に結びつきました。

その後、自治体スクラム支援会議において、相互支援の条例を同時に制定し、災害時の関係強化を図っています。

この災害の教訓から「3.11を忘れない」を合言葉に、減災の視点に立ち防災対策を積極的に進めてきました。災害に備えることで、いざ発生した時の被害を最小限に留める事ができ、その後の応急対策にかかるコストを抑え、復旧復興のスピードアップにも繋がると考えています。

今年度は、首都直下地震で最も人的物的被害が想定される、電気火災対策としての感震ブレーカーの設置支援や、狭あい道路拡幅整備、物資の受援計画を策定します。震災対策を直実に、スピード感を持って進め、全力で取り組んでいきます。

【Q】 ●区の震災救援所の収容人数は。また、震災救援所に来る人はどのくらいを想定しているのか。さらに、帰宅困難者の想定人数とその対策について伺う。

  • 震災救援所で物資がいきわたらない人が多数発生すると思われるが、炊き出しなどは多様な主体が多用な場所で実施できるように、また物資の配布にコンビニとの協定を締結するなどの必要があると思うが、見解を伺う。
  • 震災救援所運営連絡会を「目的意識をもって主体的に活動する組織」として機能させることや、既に主体的な取り組みがなされている団体の活動を伝播させていくための工夫や支援が必要と考えるが、見解を伺う。
  • 震災救援所に女性リーダーを増やすことが必要である。そのための育成や研修会が必要と考えるがいかがか。

【A】   震災救援所の収容人員は9万4千人で、避難生活者数は、最大で約11万5千人です。約2万1千人上回りますが、補助・代替施設の22か所で、収容可能と考えます。

区内の帰宅困難者は、最大約9万3千人と見込まれる中、行き場のない帰宅困難者は、約1万8千人と想定されています。現在、区立施設や民間事業者の施設を一時滞在施設として9箇所指定しており、備蓄品の購入助成を行っています。

被災された方々への食糧や生活物資の配布、情報提供の拠点が震災救援所です。コンビニでの配布は、利便性がある反面、欠品などが生じた際には、混乱を招く恐れがあるので、今後の検討課題です。なお、物資を震災救援所で受け取ることが困難な要配慮者等の方々へは、ボランティア等の力を借りて個別に配布していきます。

震災救援所運営訓練では、年1回以上、連絡会が主体となって企画・立案して、中学生レスキューによる安否確認など、地域の特性にあった訓練を実施しています。訓練内容は、毎年5月に開催される会長・所長会の中で、重点訓練項目を提示する際に、特徴的・先進的に取り組んでいる活動事例を紹介する等、救援所の運営を後押ししていきます。

女性リーダーを増やすために、女性の視点を取り入れた震災救援所運営管理標準マニュアルを改定し、参加促進に努めています。今後も養成講座を開催するなど、多くの女性にリーダーとして参加してもらうよう工夫していきます。

【Q】 ●エコノミークラス症候群に対してどのような対策をお考えか伺う。

【A】   エコノミークラス症候群は、前兆が外見から判断できない上、発症すると突然死をもたらす非常に恐ろしい疾患です。現在も、熊本県の被災地から被害の情報がきていますが、区も、各震災救援所に配布している「避難者の健康管理マニュアル」の中で、適度な水分補給と運動をすることを周知すると定めているほか、ラジオ体操を取り入れた対策の実例を紹介して、エコノミークラス症候群の注意喚起をしています。

また災害時には、区災害対策本部医療救護部の保健師や医療ボランティアによる震災救援所の巡回を通して予防活動を行うなど、エコノミークラス症候群対策に力を入れていきます。

【Q】 ●震災救援所での避難生活においてもプライバシーの確保が大事である。保管スペースなどの問題もあると思うが、プライバシーを確保するため、テントの活用をすすめるべきと考えるがいかがか。

  • 熊本地震直後に内閣府が避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを公表した。また、国交省も3月にマンホールトイレのガイドラインを作っているが、これを受けて今後、区はトイレの確保量の対策をどのように考えていくのか伺う。

【A】   震災救援所となる体育館では、プライバシー保護と犯罪抑止の観点から立つと人から見え、座ると人から見えなくなる高さのダンボール間仕切りを採用しています。保管場所や経費の点でも体育館の中でのテント使用は考えていません。また、屋外での使用に関しても、校庭は物資の受け入れ、ペットの飼育場、トイレの設置等様々な活用が想定されているので、テントの使用は考えていませんが、熊本地震の検証を注視していきます。

現在、各震災救援所に、国基準の避難者75人に1基の目安を上回るマンホールトイレ10台、ペール缶トイレ3台、簡易トイレ20台を備蓄しています。平成26年度から備蓄を始めた不織布毛布のダンボール箱は、簡易トイレに転用が可能で、1救援所あたり40台追加の設置可能です。今後も学校改築の際に、敷地内にマンホールトイレを新たに5台から10台設置していきます。

【Q】 ●防災公園の桃井原っぱ公園や柏の宮公園などにあるかまどベンチやかまどスツール及び災害時トイレは、当区においては大災害が発生した時にだけ使う道具だが、周辺地域の人がそれらの道具を普段から使っていくことがそもそも訓練になると考える。当区においても、かまどベンチ、かまどスツールなどが設置されている公園で、防災会や町会、学校などが行事で使えるしくみを整えていくべきと考えるが区の考えを伺う。

  • 現在は4か所の公園に設置されているかまどベンチやかまどスツールだが、今後、必要になるであろう場所を選定して配置していくことが必要だと考えるが区の考えを伺う。

【A】   桃井原っぱ公園や柏の宮公園では、公園の計画づくりを区民とともに行う中で、災害時にかまどベンチ、かまどスツールを活用するため設置しました。災害時の際の性能への支障のない範囲で、普段の訓練で活用できるよう対応します。

近年、大規模な公園整備の際には、防災機能の向上の観点から、かまどベンチ、かまどスツールを設置してきました。また現在、整備を進めている都市計画下高井戸公園でも設置予定です。      規模の小さい公園をはじめ既存公園では、公園改修時などを捉え、防災に関する区民要望に合わせて、かまどベンチ、かまどスツールの設置を進めていきたいです。

【Q】 ●東京都公園協会と区との協定について、その目的、主な内容と協定で期待することは何か伺う。

【A】   本年3月30日に東京都公園協会との間で、大規模災害発生時に都立和田堀公園、善福寺緑地において避難者の安全確保及び支援等を迅速かつ的確に行うことを目的に「災害時の避難場所等における連携・協力体制に関する協定」を締結しました。主な内容は、協会が発災時に区と連携して行う被災者支援や平常時からの連携体制、近隣住民を含めた防災訓練や意見交換会の推進に関することです。本協定により、区と協会との連携・協力体制がより強固なものになり、平常時における防災訓練や防災意見交換会の実施で、地域の防災力の向上が期待できると考えます。

【Q】 ●区立施設防災井戸や民間で「生活用水井戸」としての登録は何か所あるのか。

  • 震災用井戸の役割は何か。また、いざという時にどのように機能するのか。

【A】   平成27年度末現在、登録井戸は、区立小・中学校65か所、区立施設35か所、民間の井戸が355か所、防災兼農業用井戸が9か所です。

活用方法は、停電時にも利用可能なことから生活用水として、トイレの水洗水や洗濯等に利用します。

【Q】 ●災害時に必要なものとして乳幼児の粉ミルクがあるが、粉ミルクにはお湯や哺乳瓶が必要となる。そのまま飲ませられる液体ミルクが注目されてきているが、国は乳幼児用に液体ミルクを認めていない。区は液体ミルクについてどのような認識か伺う。

【A】   液体ミルクは、厚生労働省令で国内での製造・販売が認められていないため、備蓄品としては考えていません。今後、法令等が改正された際には、備蓄品の入替えの機会を捉え、検討、見直しをします。

第2回定例会一般質問 2016.5.31 奥田雅子

いのち・平和クラブの一員として、

直下地震で生き延びるための備えについて、具体的には

1.熊本地震から区が得たもの

2.震災救援所の運営について

3.エコノミークラス症候群の回避について

4.公園の機能を使いこなすために

5.震災用井戸の活用について

6.液体ミルクの導入について

以上6つの項目に沿って質問してまいります。

熊本が、2回もの震度7の激しい揺れに見舞われてからひと月半が経ちました。地震によって亡くなられた49人および関連死が疑われる20人の方々のご冥福をお祈りするとともに行方不明おひとりの方が早くご家族の元に戻れることをお祈りいたします。

最初の地震発生以降震度1以上の余震回数は1500回を超え、5/25の熊本県の発表では一連の地震で被害を受けた住宅は10万棟を超えたとのこと。未だ避難生活を強いられている方は9000人近くおられ、一日も早い復興を願うばかりです。

東京でも、30年以内に70%の確率で直下地震が発生すると2013年末に内閣府が発表しました。この20年あまりの間に起きた震度7クラスの大地震は、阪神淡路大震災、中越、中越沖地震、東日本大震災、そして熊本地震があります。私たちはこれらの地震から学び、生き延びていくには行政ばかりを頼るのではなく市民が積極的に自助・共助の備えにかかわっていく必要があると考え、その視点で質問いたします。

最初の質問です。

1-1.)田中区長は「首都直下地震は必ず起こる」との認識を示され、待ったなしの課題として、これまで区の施設の耐震化などを着実に進めてこられました。今年度予算編成の重点分野においても「減災対策等の充実による地域の安全・安心の拡大」を打ち出しておられます。この間、数年ごとに起きている大地震の度に区は自らの対策について検証を重ねてこられたと思いますが、今回の熊本地震も含め、改めてこれまでの地震災害から何を学び、活かしていこうとされるのか伺います。

次に2.震災救援所運営について4点お聞きします。

杉並区では大震災に備え、各小中学校65ヶ所に震災救援所を設置することを定め、その運営は防災会、PTA、学校、区などのメンバーにより構成される震災救援所運営連絡会が担うこととしています。その震災救援所は倒壊などにより自宅で生活ができなくなった人の受入れ場所としていますが、実際のところはどうでしょうか。熊本地震では自宅が全壊していない人も頻発する余震が怖いという理由で避難所に避難していました。そして避難所に入ったとしても、続く余震で建物の中に居られない多くの人が、自動車やテントの中で暮らすことを選択していました。

一方、運営はというと各震災救援所運営連絡会では、いざという時のために救援所の円滑な運営を行うためのマニュアルづくりや防災訓練を実施しています。しかし、想定通りにいかないのが大規模災害です。避難所運営において臨機応変な対応ができるようにするには、おおぜいの地域住民が主体的にかかわっていく意識を平時から醸成していくことがとても重要だと考えます。

1-2-1.)そこで、当区の震災救援所の収容人数と、実際に震災救援所に来る人はどのくらいと想定されているのか、また、帰宅困難者の想定はどのくらいで、その対策はどのようになっているのか、お聞きします。

1-2-2.)2点目として救援物資の供給体制についてです。震災救援所マニュアルではでは救援所に来た人に名前や年齢などを書いてもらい、避難者人数を災害対策本部に報告して救援物資を要望するという流れになっています。具体的には、発災後1日目は震災救援所で備蓄しているアルファ―米やクラッカーなどでしのぎ、2日目以降は都からの救援物資が搬入され、4日目ごろから炊き出しを始め、炊き出しの材料や救援物資の供給を「行政が行う」ことになっています。しかし、実際には物資がいきわたらない人が大ぜい発生することやまたその逆に物資を余らせるようなこともあろうかと思います。そこで、もっと柔軟な考え方のもと、炊き出しなどは多様な主体が多様な場所で実施できるように、物資の配付を例えばコンビニとの新たな協定によって対応していくことも必要だと考えますが、区の見解を伺います。

1-2-3.)被災者の避難状況の確認や物資の配付などにおけるきめ細かな対応には、町内会や商店会、PTA、民生委員などの地域組織が頼りとなります。日頃から防災に関心がある地域住民やすでに自主的に防災訓練や災害時の研究を行っている地域の活動団体を巻き込んで、地域組織と協力関係を作っておくことが大事だと考えます。東京都が認定する共助のしくみとして「防災隣組」の事業があり、杉並区内の町会や防災会、震災救援所運営連絡会、大型マンションでの管理組合防災会など7つの組織が認定を受けています。これらの事例を共有していくことも必要ではないでしょうか。

そこで、3点目の質問として、震災救援所運営連絡会を「目的意識をもって主体的に活動する組織」として機能させることや、すでに主体的な取組みをしている団体の活動を伝播させていくための工夫、支援が必要と考えますが、区の考えを伺います。

1-2-4.)4点目は生活者ネットワークがかねてより主張してきた女性の視点からの質問です。救援所の運営はリーダーの力量に左右されるとこれまで起きた大震災のたびに言われてきました。区が毎年行っている防災リーダー養成講座の役割は大きいと考えますが、特にここで指摘しておきたいのは、震災救援所に女性リーダーを増やすことの重要さです。この間、高齢者、障がい者、女性、子ども、外国人など災害弱者に対する配慮が重視されるようになってきたと思いますが、熊本地震の避難所においてもまだ十分ではなかったと聞いています。女性がリーダーとして震災救援所を運営するにあたって、管理・企画立案、リーダーシップの取り方などの研修も重要だと考えます。目的意識的に女性リーダーを増やすこと、そのための育成や研修が必要と考えますが、いかがか区の考えを伺います。

次に3つ目の項目

3.エコノミークラス症候群の回避について 3点お聞きします。

当区では学校や公共施設の耐震化は進んでいるとはいえ、先に述べたとおり余震が怖くて半壊、一部損壊であっても避難所生活を送る人がかなりおおぜいになります。過去の大震災でも問題とされたエコノミークラス症候群はトイレが汚い、数が少なく長時間並ばなければならない、行くまでが大変、男女別の不備などの理由でトイレに行く回数を減らすために水分を控えたり、また、車中泊により足を伸ばして寝られない状況であったりすることで起きる身体の症状で、命の危険を伴います。せっかく地震で助かった命を避難生活で落とすことがあってはならないと考えます。

1-3-1.)そこで、区はエコノミークラス症候群に対してどのような対策をお考えか、1点目として伺います。

1-3-2.)2点目。震災救援所では、家族ごとに段ボールのパーテーションで仕切りがされればまだよい方で、プライバシーはないに等しいような暮らしを強いられることになりますが、プライバシーの保護は人の尊厳にかかわる問題です。その点、キャンプ用のテントはプライバシーの確保に適していることに加え、足を伸ばして寝られるということで、熊本地震でもテントの活躍が目立っていました。保管スペースの問題もあるとは思いますが、震災救援所でのテントの活用を進めるべきと考えます。区の見解を伺います。

また、避難所を学校だけに頼るのではなく、発災直後の段階からテント村として大規模公園などを活用することを検討し、公園を利用する計画を入れていただきたいことを要望しておきます。

1-3-3.)3点目として、エコノミークラス症候群を回避するためのトイレ対策の重要性についてです。阪神淡路大震災では健康被害や衛生環境の悪化、精神的ストレスを引き起こすトイレの問題が浮き彫りとなり、大震災が起きるたびに災害時のトイレの確保は重大な課題と捉えられるようになりました。

熊本地震の直後に内閣府が「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を公表しましたが、国交省もそれ以前の3月に「マンホールトイレのガイドライン」をつくっています。避難生活を支援する行政が取り組むべき事項の内、トイレの確保と管理に関して指針を示したものですが、これまでの大震災における課題を踏まえたトイレの確保・管理に関する基本的な考え方がわかりやすく示されていると感じました。利用する人の状態によってトイレのあり方も変わってくるため、ニーズに対応した備えも重要です。このガイドラインを受けて今後、区はトイレの確保量の対策をどのように考えていくのか、お聞きします。

次に

4 震災時における公園の機能を使いこなすことについて3点の質問をいたします。

防災公園の桃井原っぱ公園や柏の宮公園などにあるベンチやいすの座面を外すとかまどになるかまどベンチやかまどスツール、災害時トイレは当区においては大災害が発生した時に使う道具として設置されており、平時に使うことはないとしています。しかし、周辺地域の人がそれらの道具の存在を知っていること、普段から使っていくことが訓練という意味では重要ではないかと考えます。豊島区に住民が平素から使っているかまどベンチやかまどスツールがあると聞き、見てきました。池袋の繁華街から少し離れた住宅街にある公園や児童遊園にかまどベンチ、かまどスツール、調理台一体型の炊事場、井戸などを設置し、普段から町会などが使いこなしていました。

1-4-1.)当区においても、かまどベンチ、かまどスツールなどが設置されている公園で、防災会や町会、学校などが行事で使えるようにするべきと考えますが区のお考えを伺います。かまどスツールは一度使うと熱で表面の塗装が剥げてしまうつくりになっています。豊島区の担当者は「剥げてもいいんです。いざという時に地域の方が使える環境をつくるのが自分たちの仕事です」とおっしゃったのが印象的でした。ぜひ、前向きな答弁を期待します。

1-4-2.)2点目、現在は、桃井はらっぱ公園、柏の宮公園のほか三井の森公園、西荻窪平和児童遊園の4か所の公園に設置されているかまどベンチやかまどスツールですが、今後たとえば、出火の危険性が高いと予想される地域の外側で、設置が有効と判断される公園に配置していくことが必要だと考えますが区の考えを伺います。

1-4-3.)3点目は、今年3月の予算特別委員会で、災害時における東京都公園協会と

杉並区との連携・協力体制について質問しました。都立公園と連携していくとの答弁

をいただきましたが、まだ具体的に決まっていない時期でしたので改めて、財)東京

都公園協会と杉並区との協定について伺います。この協定の目的、主な内容、この

協定で期待されることは何か伺います。

なお、要望を2点申し添えておきます。

ひとつは、地域の小学校のPTAなどが行う地域活動として、都立公園の中にある災

害用の道具であるかまどベンチや災害時トイレを、使ってみようという企画を立てた場

合のことについてです。都立公園のサービスセンターがその受け皿になっています

が、区としてこのような区民の動きを把握することも必要かと思います。また、せっかく

備えてある都の設備を区民が積極的に使う機会を得られるよう区からも情報発信して

いただけると良いと思いましたので、東京都公園協会との協定に基づいてしっかり実

態をつくっていってほしいと要望いたします。

もう一つの要望は、都立公園、区立公園、公共施設や駅前広場に植えられている樹木についてです。東京都が災害時の火災による危険性が高いとしている地域に、燃えやすい樹木であるあけぼのすぎ(メタセコイヤ)やヒマラヤスギなどが植えられています。特にヒマラヤスギはものすごい勢いで燃える樹木だと聞きます。しかし緑の保全という観点から言えば、伐ってしまうのではなく、延焼を防ぐ装置(放水銃)の設置の検討が必要ではないでしょうか。蚕糸の森公園には放水銃が5基、樹木スプリンクラーが25基設置されています。他にも井草の森公園や馬橋公園などにも防火装置が備えてあります。これらの装置は防災公園や一時避難所、広域避難所、都立公園などすべてに対策がとられていないため、大きな避難所周辺や震災救援所となる学校や区役所周辺の植栽についても必要な対策を検討していただきたいと要望いたします。

次に5つ目の項目、

5.震災時の井戸の活用について2点質問いたします。

地域の中の「震災時の井戸協力の家」の情報が杉並区防災マップにも載っていません。個人情報の観点からそういうことになっているのでしょうか。震災時の井戸の活用について区民にはあまり知られていない状況ですが、実際水道がストップした際に生活用水として井戸は役立つと思われ、改めて地域防災における位置づけを確認する必要があると感じています。

1-5-1.)まず、区立施設防災井戸や民間で「生活用水井戸」としての登録は現在何か所あるのか、伺います。

1-5-2.)これらの震災用井戸の役割はなにか。また、いざという時にどのように機能するのか、お聞きします。

6つ目の項目の質問です。

6.液体ミルクの導入について伺います。

1-6.)災害時において必要度の順位が高いものとして乳幼児用の粉ミルクがあげられますが、粉ミルクは消毒・調乳するためのお湯や哺乳瓶などが必要となります。それに対して、そのままで飲ませられる、常温で保存がきく液体ミルクがあれば災害時にどんなに助かるでしょうか。東日本大震災ではフィンランド在住の日本人女性らが14000個の液体ミルクを被災地に送り、先ごろの熊本地震でも国会議員のグループが緊急輸入し注目を集めました。4年前、当議会生活者ネットワークが国の動向を注視して区としても液体ミルクを災害時の備品に入れるよう要望しておりますが、現在もまだ、国は乳幼児用の食品を「粉乳」と限定しており、液体ミルクは認められていません。したがって、国内での製造・販売もされていないため、個人輸入などで手に入れるしかない状況です。ただ、ここへ来て国での議論が始まったようで期待したいところです。区は液体ミルクについてどのような認識を持っておられるかお聞きします。

質問の最後に、「事前復興」の考え方について述べておきたいと思います。「事前復興」とは、近い将来、大震災で壊滅的な被害がわかっているのであれば、それを前提に事前に復興まちづくり計画を作り、まちづくりを今から進めるというものです。市民・専門家・行政の日常的な交流・学習・シミュレーション活動の実践をもとに、発災する前に復興を視野に入れて計画を立てることになります。自助・共助・公助の連携で、事前から事後へと連続する「災害総合対策機能」を確立していくことが必要だと考えます。ぜひとも事前復興という観点から地域住民主体の復興計画づくりをすすめていかれることを要望し、私の一般質問を終わります。

代表質問と答弁 2016.2.12 そね文子

【Q】 ●区長は、成人式の祝辞で「戦後、選挙権が一部の高額納税者から男女全ての国民に拡大したこと、戦争体験の中からつかんだ平和の尊さを考えてほしい」と新成人に訴え感銘を与えた。参院選の争点に憲法改定がすえられ、戦後の在り方が大きく変わろうとしている今、立憲主義と憲法の意義について区長の見解を伺う。

【A】   憲法は国家権力から個人の基本的人権を守るために存在する一国の最高規範であり、国の形を示すものです。そして、政府の統治が最高規範である憲法に基づき行われることが立憲主義であり、このことは国民の中にしっかりと根付いていると考えます。

【Q】 ●戦後70年を超え戦争体験者の風化が進む中、杉並区の平和施策についての区長の見解と取り組みを伺う。

【A】   高齢化により戦時中の状況を知る方が減りつつある中で、空襲、疎開、戦時中の生活など戦争の実態に迫る証言を区民から広く集め、貴重な資料として後世に語り継ぐことが重要です。区では戦後70年事業として、戦争戦災証言記録集を今年度内に発行します。また、被爆者の方による、小中学校における出前授業を実施し、悲惨な戦争戦災体験を風化させず、若い世代に語り継いでいきます。

【Q】 ●辺野古新基地建設をめぐり沖縄県を国が訴え、戦後憲法が規定した地方自治が問われている。自治体と国の対等な在り方について区長の見解を伺う。

【A】   地方自治体の役割は、常に住民の視点に立って、地域の課題解決を図り、不断に住民福祉の向上を図っていくことです。一方国の役割は、外交、安全保障、司法など国家としての存立に関わる責務を果たしていくことです。
私は、地方自治体と国がそれぞれに本来の役割をしっかりと担いながら相互に協力し、互いに胸襟を開き言うべきことは言うなど、対等・協力の立場に立って社会をより良い方向へと推し進めていく姿こそ、地方自治体と国のあるべき関係だと考えます。

【Q】 ●震災直後に南相馬市にかけつけ、友好自治体とスクラム支援会議を立ち上げ、災害支援の自治体の在り方について国に提言し、支援を継続して来た取り組みについて、総括と今後の課題を伺う。
●3.11の教訓から、自治体に課せられた課題について、区長の見解と課題、新年度の予算における具体的取り組みを伺う。

【A】   ほぼ5年にわたる南相馬市への支援を総括すると、第一に、基礎自治体間の水平的で迅速な支援が、大規模災害時には極めて有効と認識できたこと。この基礎自治体による支援は、発災直後の自治体スクラム支援会議の創設や災害時における相互支援条例の制定へつながりました。また、自治体スクラム支援会議の活動実績が、遠隔地への相互支援の推進などを内容とする、二度にわたる災害対策基本法の改正のきっかけとなりました。今後は、残された課題の災害救助法の改正に向けた取り組みを進めます。
第二に、遠隔地との相互支援は、予め相互の防災施策上の特徴や課題を理解した上で、各自治体の実情も踏まえた対策を準備しておくことが重要だと認識したこと。そのため、只今審議中の平成28年度予算に、受援計画策定に係る費用を盛り込み、検討を進めます。

【Q】 ●過半数の人が、原発に頼らない社会とエネルギーの在り方について望んでいる実態もある。太陽光発電など再生可能エネルギーの普及に引き続き区の積極的な取り組みを求めるがどうか。

【A】   東日本大震災の経験を踏まえ、災害につよく環境にやさしいまちづくりを進めていくうえで、再生可能エネルギーの普及は欠かせないものです。このため区では、学校や体育館など区立施設の改築にあたっては、太陽光発電機器を設置してきました。今後も改築時には、施設の状況に応じて対応します。
また、現在すべての震災救援所への太陽光発電機器等の設置を計画的に進めています。さらには、家庭用機器への設置助成を行い、この間の実績は23区トツプレベルになっています。引き続き再生可能エネルギーの普及に積極的に取り組んでいきます。

【Q】 ●PPSからの電力購入をさらに進めるとともに、更なる財政削減効果があげられるように、4月から実施される家庭用電力の自由化を機に、さらなる拡大を求めるが如何か。また、太陽光などの再生可能エネルギーを電源とする事業者を支えるためにも、そのような事業者から購入するよう求めるがどうか。

【A】   これまで小中学校などへの新電力の導入により財政削減効果をあげてきました。4月からの電力全面自由化では、全ての施設で様々な電力会社から電気の購入が可能となります。電力各社は、多彩な料金プランやサービスを提供していますが、区の施設に適した電気料金と契約形態、供給の安定性などに加え、再生可能エネルギーを電源とする事業者についても、比較検討の対象とすることで、経費の削減に努めつつ環境対策の推進にも配慮していきます。

【Q】 ●日本は2030年までに温室効果ガスを13年度比で26%削減する目標を掲げ、東京都はそれを上回る目標を打ち出している。これを受け、杉並区では温暖化防止に向けてどう取り組んでいくのか。CO2削減目標を設定しなおすべきと考えるが如何か。

【A】   昨年末、2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」が採択され、我が国は二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量を、2030年までに2013年度比で26%削減すると表明しました。国は、この目標を着実に達成するため「地球温暖化対策計画」を早期に策定するとしています。また東京都は、現在策定中の「東京都環境基本計画」の中間のまとめで、都内の温室効果ガス排出量を2030年までに2000年比で30%程度削減する方向性を盛り込んでいます。
区としても、こうした国や都の計画策定の動向を踏まえ、住宅都市としての特性に基づく新たな目標値を設定し、地球温暖化対策に取り組んでいきます。

【Q】 ●区立施設再編整備計画を進めるに当たり、新施設建設の際の省エネ基準の設定はどうなっているのか。高い基準を設けるべきと考えるが、区の見解を伺う。

【A】   現在「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の基準に基づいて施設の建設を行っています。高い基準を設けるべきとのことですが、建設コストと省エネ効果のバランスを考慮した上で、施設ごとに適切な省エネ対策に努めていきます。

【Q】 ●本庁舎では節電に取り組み、大きな成果を挙げているが、それに比べて学校や他の区立施設での削減は進んでいないようだ。区民サービスのための施設であるが、目標をもって節電に努めていただきたいが如何か。

【A】   区では「杉並区環境・省エネ対策実施プラン」を策定し、電力などのエネルギー使用量の削減の目標を掲げ取り組んでいます。本庁舎では、空調温度の適切な設定や熱源設備の更新などで、節電の成果をあげてきました。
また、そのほかの区立施設や学校では、高齢者、障害者、幼児など利用者の状況に応じて、区民サービスの維持・向上を図りつつ、目標を定め節電に取り組んでいるところです。今後とも、各施設で区民サービスに影響を与えないよう節電に取り組み、設備の更新時を捉えて省エネ化を進め、節電に努めます。

【Q】 ●施設再編整備の第1の柱に保育園待機児童ゼロを据えたことは評価しているが、0歳児をはじめ、依然として厳しい現状について区の認識と新年度における待機児童数の見通しについて伺う。
●田中区政になって、待機児童解消に向けた取り組みとして保育園増設による保育定員を拡充してきたことを評価する。これまでの取り組みについての総括と、今後の待機児童解消に向けた計画とその決意を伺う。

【A】   平成28年4月の保育所入所の一時利用申込者数は、出生数の増加や保育所入所を希望する方の割合の高まりを受け、過去最高の3,801人となりました。特に、0歳児では145人、1歳児で252人の大幅増加となり、平成28年4月の段階では、乳児を中心に、待機児童の解消に至らない状況です。
積極的に社会進出している女性が自分の選んだ仕事を続けながら、安心して子どもを産み育てられる社会環境を整備することは、人口減少社会に立ち向かう基礎的自治体として、最も重要な責務の一つであると考え、待機児童対策に全力で取り組んできました。
先ずは平成29年4月に向けて待機児童ゼロを達成することはもちろんのこと、当面保育ニーズは高止まりするとの認識の下、今後も手綱を緩めることなく計画的に施設の整備を進めていく決意です。

【Q】 ●区は、新たに多子世帯への保育料等負担軽減を行い、区独自の対策として、対象者の年収区分を国の2倍程度に引き上げるが、対象範囲を広げる目的と拡充による対象者の状況について伺う。
●また、すべての多子世帯への支援とはならず、対象とならない世帯からの不満が予想される。対象者数の把握状況とその対策について伺う。

【A】   現在、区内認可保育所に在籍している児童のうち、第3子以降は200人程ですが、今回、国が少子化対策の一環として打ち出した、保育料の無償化の対象となる年収360万円未満の多子世帯に該当するのは、そのうちの1割にも満たない程度に留まります。
そこで、少子化対策としての実効性を高めるため、平成28年4月2日以降に第3子が生まれた世帯を対象に、保育料の階層区分で中位にあたる国基準の約2倍程度の年収区分まで引き上げ、第3子以降の保育料を無料にすることにしました。
また、従来から区独自に行っている認可外保育施設等の在園児への補助金も同様の取り扱いをすることで、対象者はあわせて、初年度は約30人程度、4年後には約160人程度増えると見込んでいます。
この支援策は、総合戦略策定に向けて行った区民アンケート結果などをもとに、第3子を希望している方の背中を押すことを目的とするもので、対象を既に第3子以降の子どものいる世帯ではなく、これから第3子以降が生まれる世帯に限定しています。

【Q】 ●「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」少子化対策に向けた区の決意を伺う。

【A】   杉並区の末長い発展のためには、区外からの転入に頼らず、区自らが人口を維持・増加させる力を育てることが急務であると常々考えてきました。
区の子育て世代の現状を見ると、合計特殊出生率は0.99と東京都や全国平均と比べると低位にありますが、「杉並区まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定に向けた区民アンケート結果では、「希望する子どもの数」の平均は2.27人でした。そして、子どもを持つ場合の条件としては、「地域の保育サービスが整うこと」を挙げる人が最も多いという結果でした。こうしたことから、若い世代に対して、子育て支援を中心としつつ、結婚、就労、住宅などの支援に、民間事業者との連携を図りながら総合的に取り組むことを総合戦略の中で打ち出しました。28年度予算案の中にも、待機児童対策をはじめ、多子世帯に対する区独自の支援策やゆりかご事業の拡充など、妊娠期からの切れ目のない子育て支援の充実を盛り込みました。
今後も、将来にわたって持続可能な活力ある杉並区の実現に向け、若い世代が区に住み続け、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを進めていきます。

【Q】 ●特養待機者の解消に向けた取り組みの実績と、待機者の現状、その解消に向けた特養増設の計画はどうなっているのか。

【A】   特養整備は区政の最重要課題の一つであり、区長就任以来、積極的に取り組んできました。昨年度は、3か所の増・開設で161人の定員増を行い、計1,538床まで整備を進めましたが、急速な高齢化の進展の中、現在も約1,260人の方々が入所を希望しており、その内、約770人は優先度の高い方です。
高齢者の介護のため、家族が仕事をやめざるを得ない状況が発生するなど、特養待機者の解消は、喫緊の課題と捉え、スピード感を持って対応していく必要があります。
そのため、地域包括ケアシステムの構築に向けた本格的な取り組みを加速し、在宅生活の限界点を上げていくとともに、施設整備も、施設再編整備計画により生み出した区有地の活用をはじめ、国公有地の活用や南伊豆町との自治体間連携による区域外整備など多様な手法を用いて、総合計画に掲げる33年度末の目標数値である2,307床を確実に達成できるよう、全力で取り組みます。

【Q】 ●施設再編整備に児童館事業の拡充を求め、放課後の安全な居場所づくりを第3の柱に据えるよう求めてきた。計画の中に盛り込まれた取り組みと、今度の姿勢を確認する。

【A】   児童館の再編は、近年の利用状況の変化を踏まえ、学童クラブの小学校内への移転整備や、小学生の放課後等居場所事業の小学校内での実施などを進めています。この取り組みは、学童クラブの需要増に対応しつつ、児童の安全確保を図るなど「安全な居場所づくり」という視点からも、子どもたちの健全育成環境の充実につながるものと確信しており、今後も計画的に進めていきます。
また、これまで児童館が培ってきた地域との連携による伝統行事、多世代交流事業などを通じた地域づくりについても、児童館施設を活用して整備する「子ども・子育てプラザ」において、しっかりと継承していきます。
こうした取り組みを通じ、地域の中で多くの方に見守られながら、安全・安心に子どもたちが過ごし、成長していける居場所、環境づくりを着実に進めていきます。

【Q】 ●あんさんぶる荻窪と荻窪税務署との財政交換に至る過程で、区長が荻窪税務署の建替え計画を把握したのはいつか伺う。また、その建替えに区として待ったをかける要望書を国に提出した目的は何か伺う。当時は特別養護老人ホーム建設の具体的な方向は出ていなかったが、この段階ではどのような利用を考えていたのか、荻窪駅北東地域の再開発計画が現実にあったのかなど、その関連があれば伺う。
●その後、数年間事態が進まなかったのはなぜか。建替えを延期していた国からの問い合わせがいつあり、それに対して区はどのように対応したのか伺う。また、あんさんぶる荻窪との財産交換という手法を思いついたのはいつか、その理由とあわせて伺う。

【A】   区長就任時点で、既に国は、平成23年度から荻窪税務署の建替工事に着手すべく準備を進めており、平成22年10月に財務省から現地建替えの工事費予算を概算要求した旨の情報が入りました。
建替工事休止の要望理由ですが、老朽化した荻窪税務署を杉並税務署と一体的な建替えを行い、駅周辺に移転して税務行政の集約化を図れれば、跡地となる大規模用地を区が一体的に活用できる可能性が生じるため、国と協議したいと思ったからです。当時は新しい基本構想の検討を開始する時期であり、荻窪のまちづくりへの寄与という観点からも、拙速な現地建替えは避けるべきと判断し、要望書を提出しました。
その後、区では民間ビルの活用など様々な手法を検討しましたが、翌年の東日本大震災や建替えを巡って二転三転した方南町住宅問題への対応などに追われたこともあり、残念ながら基本構想、総合計画の策定までに国への具体的な提案を行うには至りませんでした。
なお直接の関連はありませんが、区が国へ要望書を出した同年12月、荻窪駅北口の東地域では、荻窪駅北口東地区市街地再開発準備組合が解散の決定をしたようです。
荻窪税務署用地の利用は、先ほど述べたとおり、跡地となる大規模用地を区が一体的に活用できれば様々な行政需要への対応が可能になると思いました。具体的な活用方法は、特養や保育園、まちづくりなどを想定していました。
区では、具体的な提案ができなかった後も、国に対して区民サービスの向上、税務行政の効率化につながるような建替えの可能性を共に模索してもらいたいと伝えていましたが、平成25年7月、国から首都直下地震の発生危機が高まる中で、耐震上の課題がある荻窪税務署の建替えをこれ以上先延ばしにすることはできないとの回答がありました。
この時、区では施設再編整備計画(素案)の中間のまとめを検討している最中であり、区の喫緊の課題である特養ホーム整備のための大規模用地の確保と荻窪税務署の区民サービスの向上につながる効率的・効果的な建替えという二つの課題を同時に解決する方策として、この財産交換の提案を行いました。

【Q】 ●国家公務員宿舎跡地だけで特別養護老人ホーム建設は可能であり、あんさんぶる荻窪との交換はしなくてもできたという意見があるが、それは可能であったのか伺う。また、6,000㎡を超す区内の広大な用地の取得は、区内では他にもあったという意見があるが実態はどうか伺う。
●国との財産交換の交渉に入った過程で、議会に対する説明をいつどのように行ってきたか伺う。また、地元住民に対する説明をどのように進めてきたのか確認する。

【A】   当該用地は、当初から国が自ら活用する財産として位置づけられており、区への活用照会の対象からは除外されています。仮に活用することができたとしても、その広さ・形状は国の計画次第となりますし、この大規模用地を一体的に取得・活用できることが、将来にわたって区の貴重な財産となり、大きな意義があります。従って当該用地を確実に活用し、区民福祉の更なる向上を図るためには、財産交換が唯一の手段です。
また、議会や区民への説明は、麻生財務大臣と財産交換の協議を進めることを合意した直後の平成25年第4回定例会で経過を説明し、さらに平成26年1月の「区立施設再編整備計画(案)」を策定したタイミングでも説明しました。
また、地域への説明は、素案および案の公表後に、主に荻窪地域の住民を対象とした地域説明会を旧若杉小学校で開催するとともに、荻窪地区町会連合会や荻窪地域区民センター協議会、桃井第二小学校評議員会の方などに対し、個別に計画素案および計画案についての説明を行う中で、国との財産交換についての説明もあわせて行ってきました。
次に区内で6,000㎡を超える用地取得の可能性ですが、国家公務員宿舎の跡地として、方南町住宅と高円寺住宅の跡地が6,000㎡を超えています。しかし、方南町住宅は、東日本大震災後の国の方針変更により最終的に廃止となったことを受け、地元住民の要望をかなえるよう、区が国に働きかけ、ファミリー向けの集合住宅や集会室、広場等を整備することになりました。また、高円寺住宅も周辺が木密地域で、かつ防災性を備えた馬橋公園の隣地であることから、公園の拡張用地として取得したい旨、国に要望しています。
従って、区が6,000㎡を超える用地を活用できる可能性は、財産交換による荻窪税務署等用地の取得以外にはありません。

【Q】 ●相談窓口に行きつかない生活困窮者への対応として、アウトリーチが必要だと考えるが、区の見解を伺う。
●生活困窮者は、税金や保険料の滞納など複合的な問題を抱えることが多く、分野を超えた様々な機関との横断的な連携によって問題解決を図ることが必要だと考えるが、区の見解を伺う。

【A】   昨年4月に生活自立相談窓口「くらしのサポートステーション」を開設し、生活困窮者を対象として、生活全般にわたる総合相談により包括的・継続的な支援を行っています。
複合的な問題を抱える生活困窮者を早期に把握し、支援につなげていくためには、必要に応じて訪問支援等のアウトリーチを行うことは重要なことです。このため28年度からは相談員を1名増員するなど支援体制の強化を図り、アウトリーチによる相談を充実していきます。
また、関係部署と連携を密にすることで、より多くの生活困窮者を早期に発見し、適切な支援につなげられます。これまでも税や国保など各種窓口との連携に努めてきましたが、今後も関係部署・機関が参加する「自立支援調整会議」をはじめ、職員説明会や各分野の支援事業の活用など、横断的な連携・協力体制のもと効果的な自立支援に取り組んでいきます。
【Q】 ●住宅扶助費の削減や単身世帯の床面積別基準額の明確化による転宅指導によって、個々の状況にどのような変化があったか。
●高齢者二人世帯などは、転宅が必ずしも良いことではないと思われるが、その場合にどのような配慮を行っているのか。
●当事者の現状に寄り添った対応を求めるが、区の見解は。

【A】   今回の改定により単身者の場合では、狭小住宅から広い住宅に転居した例や風呂付等に転宅できたなど、住環境の改善が図られる一方、二人世帯については転宅先が見つかりにくいなどのケースもありますが、生活の維持に支障が生じないよう、必要な経過措置等を講じています。また、高齢者や車椅子使用の障害者などへは、世帯員の状況、当該地域の住宅事情により、特別基準額を適用するなどの配慮をしています。
今回の改定により基準額を超過する世帯に対しては、担当のケースワーカーが個別に説明し、改定の主旨を理解していただきながら対応しています。今後も受給者の生活状況を的確に把握し、個々の事情に応じた配慮を行い、受給者の良好な住環境の確保に努めていきます。

【Q】 ●区が子どもの貧困の連鎖を断ち切るために、様々な施策を行っていると認識しているが、具体的な目標をもって取り組むことも必要だと考える。区は、どのような目標をもって施策を進めようとしているのか伺う。
●子どもの貧困を家庭だけの問題にせず、社会全体で支援していこうという市民レベルの無料学習支援や子ども食堂などの実践が広がっている。区民への情報提供や活動を後押し、支援する取り組みが求められていると考えるが、区の見解を伺う。

【A】   国は、子どもの貧困対策を推進することで、貧困の連鎖により子ども達の将来が閉ざされることなく、全ての子ども達が夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指しており、区も同様の認識で取り組んでいます。
区では、生活困窮者自立支援法に基づく子どもの学習支援事業として「中3勉強会&アドバンス」をあんさんぶる荻窪で実施していますが、区内各地域で支援の輪を広げていくことが必要です。今後は、民間団体による子どもの居場所づくり・学習支援などの活動が、より多くの地域で展開できるよう、民間との連携・協働による取り組みも視野に入れながら、効果的な支援策の検討を進めていきます。

【Q】 ●新年度に「寡婦(寡夫)控除のみなし適用」を実施するにあたり、対象を保育料等とした考え方について確認します。

【A】   今回の寡婦控除のみなし適用は、公営住宅法施行令の改正などの環境の変化があったことから、ひとり親家庭への子育て支援とひとり親家庭間の格差の解消の観点から実施するものです。
区が適用の判断を行うことが可能で、児童を対象とした使用料等、保護者が複数年度にわたり継続的な負担を伴うものを対象とすることを基本的考えにおき、精査した結果、保育料等を適用対象としました。
【Q】 ●「在宅医療・介護連携の推進」「認知症施策の推進」「生活支援サービスの体制整備」は充実すべき施策とされている。2016年度に区が進めていくそれぞれの基本的な方向を伺う。

【A】   「在宅医療・介護連携の推進」は、今年度から開始した「在宅医療地域ケア会議」をさらに発展させ、在宅医療に携わる医療と介護を中心とした多職種連携の強化により、在宅療養生活支援を一層充実させていきます。
次に「認知症施策の推進」は、今年度作成した認知症のクリティカルパスやケアパスの普及とともに、認知症初期集中支援チームの本格実施を通して認知症の方や家族の方の安心につなげていきます。
最後に「生活支援サービスの体制整備」ですが、地域包括支援センター(ケア24)によるケア24単位の生活支援体制整備をさらに進めるために、高齢者の生活支援に向けた地域の資源のネットワークを強化していきます。
以上の施策をこれまで以上に積極的に推進させて、地域包括ケアシステムを構築していきます。

【Q】 ●生活支援サービスの体制整備に伴う協議体の形成及び生活支援コーディネーターの設置に向け実施した生活支援ネットワーク連絡会では、どのような意見が出され、区としてどのような課題を認識されたか伺う。

【A】   この連絡会は、地域で主に高齢者の生活支援サービスを実施している多様な団体の方が参加しています。参加者からは、こうした情報交換や交流の場を通して、高齢者の孤立や生活上の課題を共有し、様々な生活支援サービスの資源が身近なところでコーディネートされることが重要であるという意見をいただきました。
こうした意見を踏まえ、高齢者の身近なところに多様なニーズに沿った生活支援サービスがあることだけでなく、信頼できるコーディネートの仕組みこそが課題であるとわかりました。そのため、ケア24を単位とした生活支援体制整備を進めていく上で、次年度は協議体の設置と生活支援コーディネーターの配置をしっかり進めていきます。

【Q】 ●高まる介護需要に対応して良質なサービスを安定的に提供していくためには、介護従事者の負担軽減支援策も大事だが、そのほか介護事業の現場の課題を分析し、その課題解決のために区がすべきこと、事業者がすべきこと、また利用者や地域がすべきことを明らかにし、効果的な支援策をうっていくことが必要だと考えるのが区の見解を伺う。

【A】   これまでも介護保険運営協議会や介護保険サービス事業者の会などを通じて、介護保険に関わる様々な方と広く意見交換を行いながら、課題の把握やそれぞれの役割について確認してきました。そうした中、高まる介護ニーズに対応するため、介護従事者の負担軽減策を講じることが区としてさらに重要な役割になったと認識し、今回、介護イノベーションの支援に着手する予定です。今度も地域包括ケアシステムの構築を進めていく中で、区民・事業者・行政の役割分担を明確にしながら、介護を必要とする人が適切かつ良質な介護サービスを受けられるよう努めていきます。

【Q】 ●親なき後も障がい者が住み慣れた地域で生活できるようにするための重度のグループホームなどの障がい者施設の整備にあたり、具体的な方向とそれを支える体制整備について伺う。

【A】   施設入所や入院から地域生活への移行を進める中、受け皿となるグループホーム等の住まいの確保がより一層重要になっていますので、引き続き障がい者の重度化、高齢化にも対応できるグループホームの整備を進めていきます。
また、既存のグループホームにも重度障がい者の受入れが可能となるような仕組みの検討を進めるほか、地域におけるグループホーム相互をネットワーク化することで、支援の質の向上を図っていきます。

【Q】 ●性的少数者の生存権、人権を保障するために、今後どのような取り組みを考えているか伺う。

【A】   性的少数者に関しては、様々な差別や偏見により、生きづらさを抱えている状況があり、人権問題のひとつとして捉えています。
区の男女共同参画行動計画においても、性的少数者に対する理解の促進のための啓発の取り組みを明記しており、男女平等推進センターの広報紙等による区民に向けての啓発や職員に向けた研修等による啓発による取り組みを今後も引き続き進めていきます。また、男女平等推進センターの総合相談においても、性的少数者からの相談を受けられる体制にしています。

【Q】 ●農に親しむ成田西ふれあい農業公園の開園に先立ち、緑地保全モデル地区のワークショップが行われたが、農地の保全のためにはもっと区民の農業者の思いを聞き、区民と農業者の交流の場をもっと設けることが必要だと思うが、今後の農地保全の取り組みの方向と区の決意を伺う。

【A】   杉並区に残されている屋敷林や農地といった民有地のみどりは、長い年月をかけて守り育てられてきた区民共有の財産です。そのため、区では緑地保全方針を策定し、現在、区民参画のワークショップを行い、保全策に取り組んでいるところです。このワークショップには、農地・屋敷林所有者も参加し、農地・屋敷林の役割や維持管理の大変さなど、生の声を聞いています。
この方針では、貴重なみどりの喪失に歯止めをかけたいという思いのもと、4つの方向性から重点的にその保全に取り組むことを掲げています。
農地保全における1つ目は、農業体験農園の運営支援や営農支援補助制度など、保全につながる制度の活用や充実を図ること、2つ目として「農の風景育成地区制度」の導入検討や今年開園する農業公園など、農地が保全できるまちづくりに取り組むこと、3つ目として(仮称)みどりの支援隊など地域のマンパワーを活用することです。そして4つ目に農協や他の自治体と共同で取り組んでいるアグリフェスタのような農地保全のためのPRや企画を行うことです。
こうした取り組みを進め、区民と農業者との交流機会を増やし、屋敷林、農地の持つ機能や効用について、その大切さを周辺に住む方にも理解していただき、杉並の原風景の核ともいえる、屋敷林、農地を後世に引き継いでいけるよう展開してきます。

【Q】 ●空家対策についてお聞きします。昨今、地域で「空き家」について問題になっています。区でも昨年、杉並区空家等対策協議会を設置して、総合的な空家対策に取り組むため、空家等対策計画をまとめていると聞いています。1月に素案が審議されたと聞いていますが、どのような対策を検討しているのか、行政書士や司法書士などの力を借りた調査や取り組みが必要と思うがどうか。

【A】   現在、空家等対策協議会において、司法書士、弁護士や一級建築士をはじめとする多くの専門家の力をお借りして、杉並区らしい空家等対策計画になるよう審議しています。建物が空家になる前の状態から、空家化した状態、管理不全の状態、さらに除去後の跡地の状態までの空家の各段階に応じて、「空家等の発生の抑制と適正な管理」、「空家の利活用の促進」、「管理不全な空家等への対応」について、多面的な対策が必要と認識しており、具体的な対策について論議しています。
このような総合的な空家対策を進めるためには、幅広い知識や情報が不可欠であるため、各種専門化団体など多様な主体と連携し、空家対策を進めていきます。

【Q】 ●無作為抽出による区民や、区内の高校、大学等の若者と区長の懇談会を実施するとのことであるが、方針にこれをいれたのはなぜか伺う。
●小学生や中学生と区長の懇談の場も設けるべきと思うがいかがか。

【A】   区長就任以来、地域イベントや区民団体の会合等に出向き、多くの方と胸襟を開いて語り合い、また区政に対してのご意見を聴いてきました。しかしこれまで以上に、幅広い区民のご意見を直接伺っていきたいと考え、無作為抽出による対話の場を設けることにしました。
また、次世代を担う若者たちも、社会や身近な区政に対して様々な意見を持っていると思いますので、区内の高校・大学に通う若者を対象に考えました。これらの取り組みによって、より一層幅広い区民の声を区政運営に活かしていきたいです。
小学生や中学生との懇談の場については、例えば井荻小学校の児童から提案を受けた「みんなの夢水路」や、中学生小笠原自然体験交流をはじめとして、様々な事業やイベントに参加した子どもたちと触れ合う中で、様々な声を聴いています。今後もそういった機会を捉え、子どもたちの夢や思いに耳を傾けていきたいと思います。

【Q】 ●開校から1年を迎える施設一体型小中一貫教育校の杉並和泉学園をどのように評価しているか
●高円寺地域の小中一貫教育校の建設については様々な意見があるが、杉並和泉学園の開校までの取り組みを、高円寺の新しい学校に生かしていくことが重要であると考えるが、見解を伺う。
●今後の施設一体型小中一貫教育校の計画化に当たっては、杉並和泉学園の検証を踏まえるとともに、地域の環境や関係者の意見を聞きながら、慎重に進めるべきであると考えるが、見解を伺う。

【A】   区内初の小中一貫教育校として昨年4月に開校した杉並和泉学園の評価ですが、平成22年に「新泉・和泉地区小中一貫教育校設置計画」を策定した背景には、新泉小学校及び和泉中学校における児童・生徒の減少がありました。その課題を解決するために、保護者や学校関係者、地域の方と一体となって計画の具体化を進めて以来、5年を経て開校した杉並和泉学園は、まだ1年ではありますが、地域と共に様々な教育活動に取り組む中で、学校全体が活性化してきています。このことが最大の成果と受け止めており、引き続き、こうした潮流をより確かなものにしていかねばならないと考えています。そのためには、児童・生徒の多様な交流機会の拡充や、小学部と中学部の教職員同士の一層の連帯促進等を図る必要があります。これらの取り組みやそのプロセスを通して得た成果や反省点は、高円寺地域の新しい学校づくりにしっかりと活かしていきたいです。
なお、今後の小中一貫教育校の計画化ですが「杉並区立小中学校新しい学校づくり推進基本方針」に基づき、関係する保護者や地域の方等の幅広い意見を聴きながら総合的な視点で検討していくべきと考えます。

【Q】 ●農家での小学生のイモ掘りや収穫体験などの取り組みを今後さらに多くの学校に広げていただきたいと考えるが、区の見解を伺う。

【A】   自然と触れ合うことを通して、勤労することの意義や命の尊さを理解し、収穫の喜びを感じ取ることのできる農業体験は、教育的に価値の高い取り組みです。市街地化が進み、畑で作物を育てる機会が少ない本区では、こうした活動を意図的・計画的に行っていく必要があります。
これまでも小学校では、生活科や理科、総合的な学習の時間において、校内のほか、近隣の農園や都立農芸高校等の協力を得て、野菜の栽培や米作りなどを実施しています。中学校においても、技術・家庭において、作物の計画的な管理方法について学び、栽培から収穫までの作業体験を行っています。また、移動教室やフレンドシップスクールにおいて、現地の人とのかかわりをもちながら、農作業体験を実施しています。
今後もこうした体験活動を通して、土に触れる喜びや自然の恵みに感謝する心を育み、子どもたちに豊かな人間性を涵養していきたいです。

【Q】 ●待機児童解消に向けて今後も手綱と緩めることなく取り組むという決意はよくわかったが、具体的にどう進めるのか、もう少し詳しくお示しいただきたい。

【A】   先ずは3月までに、最新の保育所申込み状況や未就学人口の推移などから、平成29年4月時点での保育需要の見込み数と、その重要を満たすために必要とされる確保策を、歳児や地域のバランスなども考えて具体的に算出し、それを踏まえて29年4月に待機児童ゼロを何としても実現するため、必要な措置を講じつつ整備を進めます。