2008 2/19
【Q】食の安全を脅かす一連の事件を契機に国や都も消費者行政の一元化など生活者、消費者重視の方向性が打ち出されている。食の安全をめぐる国、都の動きを区としてどう捉えているのか。
今回のような命に関わる事件が起きた場合、区はどのように対応し、情報はどのように流れるのか。関連部署への伝達方法と区民、事業者への伝達方法、また、情報弱者への対応はいかがか。
【A】今回の事件を受け、国は消費者行政推進会議の設置を前倒しして消費者行政の一元化の検討を進め、都も食中毒専用のネットワーク構築を目指すなど消費者重視の姿勢を打ち出していることは、食の安全を確保する上でも重要なことと受け止めている。
区は、今回の事件では区民の安全を第一に考え、直ちに区ホームページで注意喚起するとともに、各所管を通じて関係施設に通知した。また、情報機器を使わない区民のために、今回は直近の広報や事業者向けチラシでも周知したが、今後の周知方法については検討する必要があると考えている。
なお、区民から保健所への問い合わせが少なかったとの指摘があったが、今後食中毒などの際に気軽に相談できる窓口として「食の安全110番」といった区民に分かりやすい名称を用いて周知していきたい。
【Q】食品表示偽装問題における区の取り組みが見えないという声が寄せられているが、区としてどのような取り組みがなされたのか。
【A】区では、監視指導計画の基本方針の一つに食品表示の適正化を掲げており、重点的に監視指導を行なっている。昨年1月には、区内菓子製造業の一斉監視指導をおこない、77軒の立入調査を行なった。また、6月の食肉偽装問題の際には、食肉の消費期限や原産地表示等の確認に重点を置いて監視指導を行なうとともに、給食納入業者を中心に収去検査を行なっている。また、事業者講習会や定例意見交換会においても、適正表示の周知を図っている。
【Q】冷凍餃子の被害者の多くは、保健所ではなく、製造者・販売者に問合せをしたと聞いているが、保健所が普段から区民と関わる場を広げ、身近な存在となることが重要と考えるがいかがか。
【A】保健所の事業内容が区民に周知され、気軽に相談できることが重要と考え、メタボリックシンドローム対策としてのウエストサイズ物語キャンペーンや健康都市杉並を目指すファロ開催など様々な事業を行なっている。食品衛生に関しても、一般区民対象の街頭相談会や食の安全を考える討論会等を開催するとともに消費者・事業者との定例意見交換会、消費者センターの事業や母子検診の機会を捉え、食品衛生知識の普及に努めている。
【Q】区民からの問合せ、区内での被害状況等どのような影響があったのか。
【A】区民からは、広く輸入食品の安全性に関する相談等も含めこれまでに43件の相談・苦情が寄せられた。内、5件7名で当該製品による健康被害の届出があったが、いずれも有機リン中毒が疑われる事例ではなかった。
【Q】保健所に違反食品や苦情食品等が持ち込まれた場合、再発防止に向けどのような対策がとられるのか。
【A】区は、被害を訴える区民に真摯に対応し、慎重に事実確認を行い、必要に応じて、現場調査や区衛生試験所等検査機関による検査を行なっている。
また、持ち込まれた食品の製造・販売過程を調査し、原因を究明し、再発防止に向けた改善指導を行なっている。なお、調査が他自治体に及ぶ場合は、調査依頼を行なうなど連携を図りながら必要な対応を行なっている。
【Q】毎年区は、食品衛生監視指導計画を策定しているが、その評価と公表はどのようにされているのか、また、計画にあるリスクコミュニケーションは、どのように実施されているのか。
【A】計画は、食品衛生法に基づき案の段階での公表と意見募集が義務付けられている。また、計画に基づく実施結果は、翌年6月頃に公表している。お尋ねのリスクコミュニケーションは、食品危害に関する正確な情報を関係者が信頼関係の中で共有し、お互いに意思疎通を図っていくことだが、現在、隔月で実施している定例意見交換会の他、食の安全に関する討論会、消費者センター事業への参加、母子検診での衛生講話など様々な機会を通じて、消費者、事業者等と意見・情報の交換を行い、それぞれの取り組みに反映させているところである。
【Q】食品がいつ、どこで、誰によって、どのように作られたのかという情報が必要であることが、この事件でも明らかになった。トレーサビリティ(生産履歴情報)が保障されるような指導を食品衛生監視指導計画に盛り込むことが必要と考えるがいかがか。
【A】食品の原産地や製造場所などが正しく表示され、万が一の場合、製造者や販売者の責任を問えるようにすることは、区民が安全安心な食品を選択する上で重要。監視指導計画においても、食品表示の適正化を基本方針の一つに掲げ、食品製造業者および販売業者に対し、製造基準等とともに、適正な表示の遵守を指導する。
【Q】食品の安全情報を消費者に伝えていくことが重要と考えるが、保健所と消費者センターは、どのように連携していくのか。
【A】食品の衛生監視を担う保健所と消費者の総合的な相談窓口である消費者センターとの連携は、区民の食の安全を図る上で大変重要である。現在も、それぞれが実施する区民対象の事業に際しては相互に職員が出向き、区民への情報提供や意見交換を行なうなどして活発に交流を図っている。また、3月には、食の安全・安心セミナーを協働で開催する予定である。「食の安全110番」の運営に当たっても、保健所と消費者センターとが十分に連携して対応していきたいと考える。
【Q】どういう食べ物を選ぶのか、ということは「食育」が重要になってくる。食育推進計画を策定予定と聞くが、食育は、栄養指導やバランスのよい食生活に止まらずフードマイレージから見えてきた環境問題、農業問題、消費者問題でもあり、これらの視点を盛り込むべきと考えるがいかがか。
【A】健全な食生活を実践することができる人間を育てる「食育」の推進には食がもたらす環境への問題、食糧の需給に関わる農業問題や食の選択に関わる消費者の問題も重要な視点である。
平成21年度策定予定の食育推進計画には、これらの視点も盛り込み、食生活の実態や課題を十分に把握した上で、杉並らしい食育推進計画となるよう十分な検討を行なっていく。
【Q】平成9年に杉並保健所と5つの保健センターの体制になったが、そのねらい、機能、役割分担はどのようにされているか伺う。
【A】少子高齢化の進展など、社会環境が大きく変化したことから、国は戦後制定された保健所法を根本的に改正し、平成6年、新たに地域保健法を施行した。本法の目的は、保健所を専門技術的拠点、保健センターを地域の健康づくりの拠点として市町村に設置することで、住民ニーズに応えようという趣旨である。杉並区は、保健所設置自治体であるため、保健所と保健センターを一体的に運営し、地域保健の強化を図ることとした。具体的には、3つの保健所を1ヵ所に統合し、保健所と保険相談所を5つの保健センターとし、区の健康づくりの拠点として整備し、今に至っている。
【Q】高齢者の健康維持・介護予防は大きい課題であり、高齢者の健康維持活動を企画するゆうゆう館も出現してきている。こうしたゆうゆう館の健康づくり事業と保険センターの連携を図ることは有効だと考えるがいかがか。
【A】ゆうゆう館の健康づくり事業には、現在でも、保険センターの専門職員が講師として参画するなどゆうゆう館との連携を図っている。
これまで保健センターで実施してきた健康づくり事業のノウハウをゆうゆう館での事業に活かし、地域での健康づくりを推進していくためにも、ゆうゆう館との一層の連携を図っていく必要があると考えている。
【Q】健康づくり推進員制度の役割・選出方法・人数、今後期待されることについて伺う。
【A】推進員は、町会・自治会からの推薦と公募から構成され、現在186名の推進員が活動している。
健康づくり推進員は、地域における健康づくりのリーダーとして、地域住民へ健康情報の提供、健康なまちづくりに向けての学習会や地域団体との交流会の開催、健康づくり地区会活動の企画運営等の活動を行なっている。
なお、現制度発足後、相当年度が経過し、周辺状況の変化もあるため、推進員組織の構成や役割などを抜本的に見直し、地域のニーズに的確に応えられ、かつ、成果の上がる制度となるよう、現在、鋭意検討を進めている。
【Q】保険センターの調理実習・講堂などは一般に貸し出されていないが、その理由はなぜか。健康づくりに励む地域団体に開放すべきと考えるが、いかがか。
【A】これらの施設はその設置目的に沿った使用を前提にしており、目的外利用施設とは規定していなかった。しかし、地域で健康づくりを始めようとする様々な団体の活動の場の確保が課題となっている。こうしたことから、今後は健康づくりなどを目的に地域で活動する団体などの施設の使用については施設の利用状況などを踏まえながら、弾力的に対応できるよう検討していく。