広報紙 生活者ネットすぎなみ134号発行しました 2024.11.15

第4回定例会一般質問と答弁 2024.11.21 そね文子

Q1 精神障がいの人は毎日9時から5時という就労形態が難しい状況にあると聞いている。法定雇用率によらない多様な雇用形態で就労が可能になればより多くの精神障がい者が就労により社会参加できると考えるが区の見解を問う。

また、本年4月には障がい者の地域生活や就労支援の強化により、障がい者の希望する生活を実現させるため改正障がい者総合支援法が施行されている。障がい特性により長時間勤務が困難な人で、週10時間以上20時間未満で働く重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者を雇用した場合、特例的な取り扱いとして企業の法定雇用率の算定の際に0.5人としてカウントできることになった。この改正によって区内の障がい者の就労はどのような変化があったか。

A1(保健福祉部長)障がい特性によりフルタイム勤務が難しい人にとっては短時間の雇用形態があることで就労の機会が増えると考える。本年4月より10時間以上20時間未満の短時間労働者が法定雇用率に算定されることから、ワークサポート杉並での新しい取り組みとして、週2日程度の通所を通じて働くための基礎能力や専門的な技能を習得できる「重度障がい者スタートアッププログラム事業」を開始した。事業開始の4月から9月までの間に9名が利用し、そのうち就労移行支援事業と短時間就労にそれぞれ1名が進んだ。このように短時間就労の障がい者が法的雇用率に算定されることを受け、民間企業への雇用が増えていくものと考える。

 

Q2 区の就労支援センターで障がい者の就労支援を連携して担うことによって、杉並区では丁寧な就労支援が行われているが、障がい者の就労支援について就労支援センターの取り組みや課題を問う。

A2 (産業振興センター所長)就労支援センターでは若者就労支援コーナーすぎJOBとジョブトレーニングコーナーすぎトレと連携して、臨床心理士による心としごとのそうだんをおこなっている。より丁寧な面談等で正確なアセスメントを行うとともに、個々の状況に応じてワークサポート杉並につなげるなど利用者に寄り添った就労支援を行っている。課題としては、特にジョブとレニングコーナーすぎトレいおいて、通常の訓練期間である6か月では次のステップに移行することができない利用者が多いことがあげられる。個々のニーズや状況に応じて支援期間の延長をしながら伴走型の支援に努めている。

Q3 ワークサポート杉並やジョブトレーニングコーナーすぎトレでは本人に寄り添った支援が行われている。このような支援についてどのような周知を行っているのか。ワークサポート杉並やジョブトレーニングコーナーすぎトレにサポートを受けたい人が多くいると予想されるが、待機はでていないのか。今後受けられる数の拡大などは検討しているのか状況を問う。

A3(保健福祉部長)ワークサポート杉並ではホームページ、区内障がい者施設やハローワークへのチラシ配布のほか、特別支援学校を訪問して周知を行っている。すぎトレでは広報すぎなみへの定期的な掲載、公式ホームページ、フェイスブック、エックスなどで案内するとともに、就労関係機関や区内高校、大学、専門学校にチラシを配布している。

ワークサポート杉並の利用状況は、各事業の利用枠に余裕があり待機者は出ていない。利用登録の定員はないのでいつでも登録ができる。すぎトレについても待機者はない。今後利用者が増えた場合には、必要に応じて職員を増員するなど対応していく。

Q4 先日「超短時間雇用モデルと地域でのインクルーシブな働き方」という勉強会に参加した。超短時間モデルではマッチングを担う部門が企業で困っていることを聞き、その業務を切り出しマッチングを行うが、雇用者と労働者はともにウィンウィンとなるのが重要とのことだ。人出不足で困っている企業や商店と、短い時間しか働けない障がい者が社会参加をして地域で喜ばれ、対価も得られる。この取り組みについて区の認識を問う。

A4(保健福祉部長)現在ワークサポート杉並の支援により、飲食店で一つの調理工程に特化した就労をしている人がいる。この人は超短時間雇用ではないが、障が特性より一つの工程に集中して働くことが得意な人もいるため、業務の切り出しによるマッチングという考え方は、雇用者、障がい者双方に有益となるケースがあると考える。今後のワークサポート杉並の新たな就労先の開拓にあたっては超短時間雇用も含めて取り組んでいく。

Q5 児童養護施設に入所している子どもが高校で不登校になり、就労も難しいことから卒業と同時に生活保護を受けることになるという話を聞いた。施設退所前にすぎトレやワークサポートの情報が児童養護施設に伝わり、就労のためのサポートを受けるなど何か対処ができたのではないか。

A5(子ども家庭部長)各児童養護施設においては児童自立支援専門員を配置し、子どもたちの自立に向けて就労や進学、一人暮らしなどに向けた支援が行われている。しかし、虐待など入所に至った経緯によっては心のケアや継続した医療などが必要な子どももいて、自立につながったあとも地域における引き続きの支援が必要である。こうしたことから区では、施設を退所した社会的養護経験者など支援が必要な若者を対象に、相互交流や情報の提供、相談や助言などを行う「社会的養護自立支援拠点事業」を来年度から準備を進め、令和8年11月の区立児童相談所開設に合わせて実施する予定だ。今後こうした事業を通じて個別の状況に応じてすぎトレやワークサポートを活用するなど必要な支援につなげていく。

Q6ワークサポート杉並では働いている人々が集まる交流会などの余暇活動がありとても良いと思うがどのような活動なのか。

A6(保健福祉部長)障がい者本人や家族向けの交流会のほか、月1回ワクサポ広場を開催し、週初期後の不安や悩みの解消やビジネスマナーの再学習、仲間とのレクレーションなど、働く障がい者の余暇の充実を図っている。

Q7 公募プロポーザルでひきこもり当事者や家族の相談事業と居場所事業を行う事業者の募集が行われているが、来年4月1日から 開始予定と聞いている。このような居場所と就労支援の連携は必須だと考えるが、居場所の目的と就労支援の連携について見解を問う。

A7(保健福祉部長)居場所事業の目的は、当事者に安心できる場を提供しそこでの活動や懇談を通じて自己肯定感や生きる意欲を高め、社会とつながることができるようになることです。居場所と就労支援との連携は、社会との接点の少ない引きこもりの人が直ちに「就労による自立」を目指すことは難しく、まずは本人が安心していられる居場所を提供したうえで、社会や他者とつながる機会を提供することが必要だと考える。そのうえで就労を希望する人にはウェルファーム杉並にある就労支援センターなどの相談機関と連携し、まずはボランティアや短時間就労などの社会体験の場を提供するなど、段階を踏みながらきめ細やかな支援を行っていく。

Q8 ウェルファーム杉並ではひきこもり家族会と当事者がそれぞれ月1回居場所を開いているが、家族会や当事者と就労支援との連携や情報提供はどうなっているか問う。

A8(保健福祉部長)引きこもりの家族会や当事者が直接就労支援窓口と連携することはないが、区と家族会や当事者会トンの間で実施している懇談会の中で各種相談機関が実施している取り組みの情報提供を行っていて、求めがある場合には就労に関する情報提供もしていく。

区議会第4回定例会 一般質問 2024 11.21 そね文子

私は生活者ネットワークの一員として、

インクルーシブな地域をつくる障がい者の就労支援について、1.「超短時間雇用モデルについて」、2.多様な居場所との連携について一般質問いたします。

インクルーシブな地域をつくる障がい者の就労支援について

国が定めた障害者基本法では、障がいの有無にかかわらず、国民誰もが互いに人格と個性を尊重し、支え合って共生する社会を目指し、障害者の自立と社会参加の支援等を推進するとしています。この理念の下、企業の障害者雇用の法定雇用率は年々引きあげられ、今年は民間企業が2.5%となり、40人以上の従業員がいる企業は1人以上の障がい者を雇うことが義務付けられています。これはもちろん歓迎すべきことですが、しかし、大企業は法定雇用率を達成するために特例子会社をつくり、障がい者はそこに集められて親会社の社員とは別の場所で働くという形が多くとられているという現実もあります。

11月17日に「障害者雇用ビジネス」を取り上げた東京新聞の記事によると、千葉県内で雇用ビジネスを行うある事業者が運営する約30棟のビニールハウスでは、製造業や保険、広告など様々な企業で雇われたという60人の障がい者が野菜づくりに従事していると言います。実際その人たちは雇われている企業とは一切かかわりを持たず、企業の本業とも無縁の農作業に従事しているとの話です。このような障害者雇用ビジネスを行う事業者は昨年11月時点で全国で32社あり利用する企業は1200社を超え、そこで働く障がい者は7300人を超えるということで、事業者にお金だけ払って安易に法定雇用率を満たそうとする企業が、採用から管理までを丸投げし、障がい者にとっては社員になることで高い収入が得られるメリットはあるものの、企業が本来の意味での雇用責任を果たしているとは言えない実態があることも知りました。すべてがこのようであるということではありませんが、国が目指すと言っている共生社会をつくることにはさらに突っ込んだ取り組みが必要な状況があります。

先日、杉並家族会が開いた学習会「超短時間雇用モデルと地域でのインクルーシブな働き方」に参加して、障がい者がその人の強みを活かして、地域で共に働く取り組みを学び、これは真にインクルーシブな地域をつくることに貢献すると思いました。他の議員からも要望が出されているところですが、私からもまず初めに一つ目の項目、超短時間雇用モデルについて、障害者の就労支援の状況と共に伺っていきたいと思います。

  • 厚労省のホームページ、障害者の就労支援対策の状況によると、障害者の18歳から64歳の在宅者数は約480万人で身体が101万3千人、知的が58万人、精神が320万7千人となっています。2023年厚労省の障害者雇用実態調査では5人以上の事業所に雇用されている障害者の数は110万7千人で内訳は身体障害52万6千人、精神障害21万5千人、知的障害27万5千人、発達障害9万1千人となっています。精神障害の内就労者は近年増えているものの9.6%で身体障害の52%、知的障害4%と比べて就労率が低い傾向にあります。家族の方からは障害特性によって毎日9時から5時という就労形態が難しい状況にあるとうかがっており、法定雇用率によらない多様な雇用形態で就労が可能となれば、より多くの障がい者が就労によって社会参加ができると考えます。区の見解をうかがいます。
  • 2024年4月には、障がい者や障がい児の地域生活や就労支援をより強化して、障がい者の希望する生活を実現することを目的に、改正障害者総合支援法が施行されました。障害特性により長時間勤務が困難な人で、一週間の労働時間が10時間以上20時間未満で働く重度身体障がい者、重度知的障がい者、精神障がい者を雇用した場合、特例的な扱いとして、企業の法定雇用率の算定の時に、5人としてカウントできることになりました。

この法改正によって、杉並区内で障がい者の就労については、どのような変化があったかうかがいます。

  • 杉並区では就労支援の取り組みとして2012年、杉並区就労支援センターが開設され、ハローワーク、若者就労支援コーナーすぎJOB、ジョブトレーニングコーナーのすぎトレという3つの部門で、様々な利用者のニーズにきめ細やかに対応してきたと認識しています。障がい者の就労については杉並区障害者雇用支援事業団、ワークサポート杉並が対応することになっていますが、実際には杉並区就労支援センターのすぎJOBで「大人の発達障害」についての講座が継続的に開催されており、それを受講してからしごと相談を受けることで、これまでの生きづらさが発達障害によるものだったと気づきワークサポート杉並につながる人もいることをうかがっています。ジョブトレーニングを受けられる「すぎトレ」の面談からワークサポート杉並につながる人もいるということで、杉並区の就労支援センターは障がい者の就労支援を連携して担うことによって、当事者にとってよりよい就労支援が行われてきていると考えていますが、障害のある方への就労支援について、杉並区就労支援センターの取り組みや課題を伺います。
  • すぎトレのジョブトレーニングは長い期間ひきこもっていた若者の生活リズムを立て直すことから就労体験をするところまでていねいに本人に寄り添った支援が行われています。またワークサポート杉並でも生活リズムを整えること、身だしなみや電話の受け方、軽作業など様々な支援が行われています。2023年に公表された内閣府が行ったこども・若者の生活実態調査から、15歳から64歳の生産年齢人口において推計146万人、50人に一人がひきこもり状態であることがわかりました。このような現状において、杉並区が取り組む支援は本当に求められていると思いますが、周知はどのように行っているのでしょうか、うかがいます。
  • また、サポートを受けたい人が多くいることが予想されますが、あとどのくらいの人数を受けられるのか。待機などは出ていないのか。今後受けられる人数の拡大などは検討しているのか、状況をうかがいます。
  • 先にも述べましたが、ここで先日、杉並家族会が主催した東京大学先端科学技術研究センターの近藤武夫教授の学習会「超短時間雇用モデルと地域でのインクルーシブな働き方」を取り上げたいと思います。

企業は障害者の法定雇用率を満たすためには週20時間以上、障害者手帳を持つ個人を雇用すると1カウントと算定されます。このため長時間働けない障がい者は福祉就労の「就労継続支援B型事業所」を選択せざるをえない状況が生まれます。

長時間安定労働が難しい精神障がい者や難病の人などにとって、毎日朝から夕方まで務めるという既存の日本型雇用は合わない状況がありました。

近藤教授が提唱する「超短時間雇用モデル」は東大の先端研が自治体と連携し、社会福祉法人などが中間支援事業者として企業の開拓や障がい者とのマッチング、採用後のサポートを行うのが特徴です。障がい者にとっては社会参加と所得向上につながりメリットが大きいことから、自治体の関心も高く、現在は川崎市、神戸市、岐阜市、渋谷区、港区、品川区で採用されています。

この超短時間雇用は、採用前に職務内容を明確に定義し、臨機応変に他の仕事をさせることはしない、身だしなみやビジネスマナー、接遇など、職務遂行に本質的に必要でないことは求めない、一週間に15分という超短時間から働ける、同じ職場で共に働くことなどがルールとなっています。

障害特性から人とのコミュニケーションが苦手だったり、Yシャツが着られなかったりする人が、臨機応変に違うことを求められたりせず、雇用主が必要とする決められたことだけを超短時間行うことで、障がい者は安心して働くことができます。一方、企業の側にとって超短時間雇用は、課題となっていることを中間支援の担当者が聞き取り、それを解決するための業務を切り出して、企業の課題解決のために働いてもらうので、企業にも障がい者にもメリットがあるウィンウィンの関係が生まれます。

具体的な事例をあげると、精神障害があり人とのコミュニケーションが苦手、かつ感覚過敏がありTシャツしか着たくないAさんは、週に数時間だけ他の社員と同じ部署で技術文書の翻訳にあたっていて、その部署の課長さんがとても助かっているというケース。また、知的障害のあるGさんは商店街のパン屋さんでパンの整形業務を週1時間担い、おかげで店主にとっては店舗に立ってお客さんと交流したかった希望がかなったというケースが紹介されました。

この超短時間雇用では、障がい者は雇用率の充足のために雇用されるのではなく「特定の業務を果たすことができ、職場を助けてくれる人材」として雇用され、時給は一般の労働者と同じ妥当な賃金が払われます。福祉就労の就労継続支援B型との併用ができるのも大きなメリットとなっています。

先に述べたように、障がい者が分けられた場所で仕事を行うというケースも多い中、このモデルでは同じ場所で障がい者も共に働くため、近所の店舗などで障がい者が働いていることが当たり前のインクルーシブな地域になり、本当の意味での共生社会をつくることだと考えます。障がい者の方は通勤がネックとなっていることもあり、多くが近所での就労を望んでいることからも身近な地域でできる仕事を増やしていくことで選択の幅が広がり、働く機会を得やすくすることにつながると考えます。

この学習会にはワークサポート杉並の職員の方、また障害者生活支援課の係長も参加していましたが、区はこの取り組みをどのように認識しているでしょうか、うかがいます。

ぜひ杉並区でも取り組んでほしいと思いましたが、まずは役所内で関係する部署の障害者支援、生活保護、困窮者支援、産業振興、企画、公民連携、広報などの担当者の方に近藤先生の話を聞く機会を作り、検討していただくことを要望いたします。

多様な居場所との連携について

次に2番目の小項目、就労支援部門と居場所との連携について質問いたします。

  • 私は以前、区内の児童養護施設に入所していた子どもが高校で不登校となり、就労は難しいから卒業と同時に生活保護を受けることになるという話を聞いて、厳しい現実に言葉を失いました。すぎトレやワークサポート杉並の情報が児童養護施設に伝わっていればなにか対処ができたのではないかと思いましたが、区の見解をいます。

先日、すぎトレの事業を受託しているNPO法人育て上げネットの方に、そこが運営する、若者たちの夜の居場所「夜のユースセンター」のこと、また同法人が運営するすぎトレと同じ事業内容のジョブトレについて話を聞く機会がありました。

夜のユースセンターは立川市で毎週土曜日の夜6時から9時にオープンし、生きづらさを抱えてなんらかの支援を受けている若者が支援者からの紹介で参加しています。ジョブトレに参加している若者も参加し、それが良い効果を生んでいるということでした。若者が自分らしく安心して居られる、寄り添い応援してくれる大人がいる、温かい食事が提供されるなどの居場所と就労支援を担う事業者が連携できると、相乗効果が生まれて就労という社会参加の選択肢が増え、就労を継続するためのサポートにもつながることを学びました。

  • ワークサポート杉並では働いている人たちが集まる交流会などの余暇活動が行われているということですが、どのような内容で行われているのかうかがいます。
  • 現在区では、公募プロポーザルでひきこもり当事者や家族の相談事業と居場所事業を行う事業者の募集が行われています。先に国の調査で、15歳から64歳の生産年齢人口において推計146万人、50人に一人がひきこもり状態にあることを述べました。

ひきこもり状態の人の多くが社会に出て何らかの就労経験をし、職場での傷つき体験が深刻なトラウマとなっていること、7割から8割の人が孤独・孤立感を感じていているということから、その人らしく安心して居られる居場所の存在は大きな意味があります。

杉並区で相談や居場所事業が実際に行われるのは来年4月1日からということですが、居場所と就労支援の連携も利用者の選択肢を増やすということから必要だと考えます。この居場所の目的と、就労支援との連携についての区の見解をうかがいます。

ただ、ここで断っておきたいのは、私はひきこもりの人の支援のゴールが就労のみという考え方ではありません。当事者がずっと家にいることに満足しているのであれば、家族がそれを良しと考えられるようになることが一つのゴールであるとも考えます。答えを限定したり急いだりすることなく、当事者の意思に寄り添い、一緒に考えていくという姿勢を持つことが支援の在り方ではないかと考えています。

  • ウェルファーム杉並ではひきこもりの家族会の方が月一回居場所を開いていること、また当事者の会も開かれているということですが、その方たちと就労支援との連携や情報提供はどうなっているか最後に伺います。

どんな障害がある人もひきもこりの人も、その人の尊厳が守られその人の意思が尊重され、共に地域で暮らすことが当たり前のインクルーシブな杉並区をつくるために、私も力を尽くしていくことを申し上げ、質問を終わります。

決算特別委員会 意見開陳 2024.10.15 そね文子

区議会生活者ネットワークを代表し、2023年度杉並区一般会計歳入歳出決算、並びに特別会計歳入歳出決算について意見を述べます。
2023年度は5月に新型コロナ感染症の危険度が5類に引き下げられ、社会活動についても行動制限がなくなりました。ロシアによるウクライナ侵攻から始まった戦争は1年をこえても収束には至らず、さらに10月にはイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃したことに端を発し、イスラエルがガザ地区に大規模な空爆、地上戦を開始し、その紛争も長期化しています。世界の不安定な情勢に加え、円安が固定化し、エネルギーや食糧等の物価高騰は止まらず、区民の生活を圧迫しました。この年、過去最高に暑かった夏が今年はさらに暑い夏となり、だれもが気候危機を実感しています。1月1日に起きた能登半島の地震は復興に時間がかかり、やっと復旧した一部のインフラが9月の集中豪雨によって被害をこうむる事態になってしまいました。このような地震列島で災害が多発するなかで原発の再稼働、ましてや新増設など絶対にしてはなりません。

経済に目を向けると、国が見込んだGDP成長率、実質1.5%、名目2.1%は、実質1%と下回り、名目は5%と見通しを大幅に上回りました。

区政においては1年前倒しで総合計画・実行計画等の見直しが行われ、今年度改定されました。そして基本構想に基づき事業が進められ、前年度に引き続き物価高騰対策としての支援や、新たな課題や緊急性のある課題に対して8回の補正予算が組まれ、対応がなされました。

全体的な区財政の状況は、経常収支比率が80%をわずかに超えて80.7%となりましたが、公債費負担比率などからも健全であることが確認できました。また基金残高の総額は58億2,653万1千円増で過去最高となり、区債残高についても前年度比6億936万5千円増となりましたが、基金と区債のバランスは健全であると判断しました。

私たち区議会生活者ネットワークは、決算認定に当たり、基本構想に基づく総合計画などが推進され、区民福祉の向上が図られたか、人権が守られる施策が進んだか、また持続可能な地球環境を未来に引き継げるかという視点で検討いたしました。

以下、主な課題について、決算特別委員会の質疑を踏まえて意見を述べます。

まず、防災・防犯についてです。

被害がなければ大きくとり上げられることはありませんが、震度5以上の地震は日本各地で起きています。昨夜も23区で震度3の地震があり、いつ起きてもおかしくない首都直下地震等への備えは区でも様々な分野ですすめられていますが、改めて自助・共助・公助の役割を発信し、地域での訓練を活性化させるなど、区民の防災意識の向上に資する取り組みを強化するよう求めます。また、学校防災井戸の修繕がなされたことは重要ですが、井戸水はいざとなれば沸かして飲料水にせざるを得ない場合も想定し、煮沸では取り除けないPFASなどの汚染について区内の防災井戸の水質調査の必要性を指摘しておきます。

次にまちづくり・地域産業についてです。

阿佐ヶ谷駅北東地区ではこれまでのまちづくりの取り組みを振り返り、今後の進め方を考えるための対話の場として、振り返る会やオープンハウスなどが行われ、これまでの溝を埋める努力がされたことは重要です。都市農業に大きな関心を寄せる私たちとしては、食料の供給はもとより、防災面やヒートアイランド対策など多面的な機能を持つ農地を守るため、農業者への支援や区民への農地の必要性への理解促進に取り組んだことを評価します。今後は農業者と区民の交流促進なども行い、多くの区民と共に農地を残す取り組みが行われることを求めます。

次に環境・みどりについてです。

区長をリーダーとした気候危機対策推進本部が設置され、全庁的に取り組みが進むことは、長年環境問題に力を入れて取り組んできたものとして歓迎するところです。他会派の質疑から区役所内で行われる会議でペットボトル飲料を控える取り組みが進んでいることがわかり、それを求めてきた立場として評価します。区民にも理解を広げながら継続していくことを要望します。太陽光発電が広く認知されていることに対して、省エネ対策として優れて有効な太陽熱利用については理解が広がっていないのは残念です。お湯をたくさん使う高齢者施設など効果が高い施設での利用が広がるよう、情報提供に力を入れることを要望します。

次に健康・医療についてです。

新型コロナワクチン接種では、国内で大変な被害が発生し、それに問題意識を持った医療機関や自治体が、市民に対して情報提供を行うようになってきています。ワクチンのデメリットの情報をホームページにわかりやすく掲載し、真に区民が選べるように提示することを要望いたします。HPVワクチンを男子にも助成することを求める質疑が行われました。しかし、効果が期待できるとされる肛門がんの内の扁平上皮癌は非常にまれながんであり、好発年齢は60歳以上、罹患率は100万人に2人という低さであり、予防接種を行う意味があるとは考えられません。また男子の接種によって、女子の子宮頸がんや異形成を防ぐことができたという医学的根拠(エビデンス)はありません。2024年3月14日に行われた厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会の資料「HPVワクチンの男性接種の費用対効果」では、HPVワクチン男性接種について、費用対効果が無いとしています。このことから東京都が税金を投入して補助を行うことは税金の無駄づかいであり、区が男性接種への助成を行っていないことは極めてまっとうな判断で、その姿勢を継続することを求めます。

次に福祉・地域共生についてです。

当該年度4月に「性の多様性が尊重される地域社会を実現するための取組の推進に関する条例」が施行され、「杉並区パートナーシップ制度」が開始されたことや性的マイノリティ専門相談も開始され、誰もが自分らしく安心して暮らせる地域共生社会がさらに進んだことは評価できます。今後は、パートナーシップ制度に事実婚カップルも対象に含めることが必要です。

また、高齢者の在宅生活を支えるしくみについては、独居や高齢者のみ世帯などの増加に伴い、公的な制度だけでは支えきれないことは明らかです。地域でのインフォーマルな取組に光を当て、それを担う地域住民の自発的な活動を区がしっかり支えていくことが必要です。

次に子どもについてです。

私どもが長きに渡り切望してきた子どもの権利条例の制定に向けて動き出したことは大変喜ばしいことです。様々な子どもの声を引き出し、積み上げながら議論が進められてきた「子どもの権利擁護に関する審議会答申」を受け、条例制定を確実に実現させていきたいと思います。また、「子どもの居場所づくり基本方針」の議論がすすみ、今議会に素案が示されました。現在残る児童館が存置され、今後も複合施設を前提としつつも中学校区に1館を整備していくこと、また、中高校生機能優先館の整備強化が示されたことは重要です。より多くの区民や子どもの声を反映させ、子どもの最善の利益が保障される居場所の実現に期待します。

次に学びについてです

インクルーシブ教育を進めるために、学校に作業療法士が入り、障害がある子が教室で過ごしやすくするための先生への支援などについて、これまでも求め、区は事例を研究するとしてきました。全国でも沖縄県や岐阜県飛騨市での取り組み、また岡山県は学童での取り組みが進んでいます。先進事例を研究し、モデル的に導入することを求めます。

当該年度不登校児童生徒の数は1105人と過去最多、前年度比216名増と急増しています。不登校対策として、教室に入りにくい子どものために、すべての小学校に校内別室指導の居場所が設置されました。しっかり予算を付けて、常時開催すること、そこで子どもを見守る人に対し研修を行うよう求めます。また、学校で不登校の子どもの保護者同士がつながり、必要な情報を得られ取り組みを求めます。

校庭を芝生化したところの年間の維持費がトータルで5900万円余かかっていることが明らかになりました。かねてから、芝生の養生期間に校庭を使えない問題やさらに膨大な予算がかかることから見直しを検討するよう求めます。一方人工芝は、海洋汚染になるマイクロプラスチックとなっているなど、課題が多いことから、更新時期には見直すことを求めておきます。

質疑の中でトース土工法について紹介しましたが、常に新しく有効な工法について研究し、取り組みを進めるよう求めます。

次に協働についてです。

公民連携プラットフォームの運用にWebサイトを活用し、様々な、地域活動の発信や交流会がもたれ、住民自治を進める取組みのネットワーク化が進むことに期待します。また協働推進基本方針に基づき、様々な切り口による取組が常に区民が主役で進められるよう求めます。

次に施設マネジメント計画についてです。

当該年度に施設再編整備の取組に対する検証結果が取りまとめられました。これまでの計画の進め方を再考し、計画策定段階から対話を通じて施設利用者や地域住民、運営事業者等の多様な主体と共に考えていくとして、名称も新たな「施設マネジメント計画」が策定されたことは重要です。施設にかかわる人たちが対立ではなく、共に同じ方向を向いて取り組んでいくことを望みます。

次に物価高騰対策についてです。

原油価格や物価高騰等に対して当初見込んだ約8億円に加え、地方創生臨時交付金などを活用し、住民税非課税世帯等物価高騰対策支援給付金の支給等を目的とした補正予算を計6回編成し、区民の暮らしに寄り添った対応がなされたことを評価します。

最後に会計年度任用職員についてです。この間、処遇については一定の改善がなされた点は評価します。今年6月には人事院が非正規公務員の公募試験をせずに再度の採用ができる回数の制限を撤廃すると各省庁に通知しました。このように国に大きな変化があったのは雇用年数の制限に課題があったからであり、区には欠かせない非常勤職員が安心して働ける環境になるよう、区も雇用年限を撤廃するよう求めます。

以上、評価と課題について意見・要望を付して、認定第1号2023年度一般会計決算、認定第2号国民健康保険事業会計、認定第3号介護保険事業会計、認定第4号後期高齢者医療事業会計について認定いたします。

結びにあたり、資料作成にあたられた職員の皆さま、公正公平な議会運営に努められた正副委員長にお礼を申し上げ、区議会生活者ネットワークの意見といたします。

 

第3回定例会一般質問と答弁 2024.9.12 奥田雅子

Q1.今年度からの介護報酬改定について区はどのような認識を持っているのか伺う。

A1.(高齢者担当部長)訪問介護については、国の直近の調査結果で約4割の事業者が赤字となっていることなどから、今後とも国において、介護保険制度の安定的で円滑な運営と持続可能性を確保する観点から、必要な改善・見直しを図っていくべきものと認識している。

Q2.2023年度の訪問介護事業所の閉鎖倒産数と開設数、2024年度8月までの状況について伺う。

A2.(高齢者担当部長)2023年度は廃止が8所、新設が15所で、2024年度は8月末までで廃止及び新設がそれぞれ2所となっている。

Q3.区では必要なヘルパー数を何人と想定しているのか、その数字に見合った体制が図られているのか確認する。

A3.(高齢者担当部長)必要なヘルパーの想定人数は推計していないが、区が指定する事業所については、新規規定及び更新時に必要な人員体制が確保されていることを確認している。

Q4.今後の在宅ケアを持続可能なものにしていくためには訪問介護現場の状況を把握しなければ適正な施策を展開していけないのではないか。区内140以上ある訪問介護事業所の実施把握が必要と考えるが、悉皆調査は行われているのか確認する。

A4.(高齢者担当部長)区では3年毎に介護保険事業計画策定の基礎資料を得るための各種調査を行っており、次回の令和7年度に予定する調査において、これまでと同様に悉皆調査を実施していく考えだ。

Q5.居宅介護支援事業所について、利用者の状況を把握し、その人にあったプランを作成するのは主にケアマネの仕事であるが、訪問介護事業所から断られるケースも増え、代替事業所探しなどの負担が増えているのではないか。居宅介護支援事業所の閉鎖が増えケアマネ不足によりケアマネを複数から選べないといった声も聞こえるが、区はその実態をどのように把握しているか伺う。

A5.(高齢者担当部長)居宅介護支援事業所については、令和6年4月現在121所で、合計354人のケアマネジャーが勤務している状況だ。5年前の令和2年4月と比較して、事業所数は32所減っているものの、ケアマネジャーの人数は6人の減にとどまっている。いずれにしても、総体的にケアマネジャーが不足していることの課題認識を持っているので、引き続き、人材確保・育成に向けた区の取組を鋭意進めていきたい。

Q6.総合事業については各自治体の裁量や工夫がされていると思うが、区として、この総合事業をどのような考えで進めているのか。

また、総合事業の内、介護予防・生活支援サービス事業について、介護予防訪問事業と自立支援訪問事業があり、利用実績も開きがあるが、その二つの事業の違いについて伺う。この間、総合事業を行ってきて、どのような効果が得られたのか、この事業の成果と課題について伺う。

A6.(高齢者担当部長)当区の総合事業は、この間、介護予防訪問・通所事業の短期集中予防サービスを中心に実施しており、例えば、令和3年度からの3年間で、短期集中サービス利用者の約半数が介護保険サービスを利用せずに生活できるようになった実績があることなどから、一定の効果が得られていると受け止めている。

また、介護予防訪問事業と自立支援訪問事業の違いや特徴としては、どちらも対象は要支援1・2の方だが、移動能力や認知機能が低下した方の家事をヘルパーと共に行う介護予防訪問事業に対し、移動能力の低下に伴い家事を代行する自立支援訪問事業の場合は、「いっときお助けサービス」「ほっと一息、介護者ヘルプ」などの介護保険法定外サービスを利用するケースが多いため、実績が少ないものと考えている。

こうした総合事業については、現在、高齢者部門と保健所部門で役割を分担して行っているが、更なる高齢化が進む中で、介護予防と日常生活支援をより効果的に実施することがますます重要になると考えている。そのため、現在、関係部門が連携して、事業の検証と課題の洗い出し、今後の方向性やそのための組織体制のあり方などの検証に着手したところだ。

Q7.総合事業に限らず、介護全般で生活援助を丁寧に行うことは、QOLを維持し、できるだけ機能低下を遅らせるという点でもとても重要だと考える。働く側からすると、生活援助も掃除・洗濯・買い物・調理などハードワークであり、利用者の状態の小さな変化にも対応していくスキルも必要とされるが、報酬は身体介護よりずっと低く設定されている。大手事業所は生活援助を受けないところが多く、その分、小規模事業所にしわ寄せがきているという話も聞く。このような実情に対する区の認識を伺う。

A7.(高齢者担当部長)生活援助サービスについて、大手の事業所は引き受けないことが多いため、小規模事業所にしわ寄せが及んでいるのではないかとのお尋ねだが、現在まで、区にそうした声は寄せられていない。今後、集団指導の場などで改めて確認していきたい。なお、これらの介護報酬については、国において適時適切に必要な改善・見直しを図っていくべきものと考えている。

Q8.地域の中に気軽に立ち寄れて、「ちょっと困っているんだけどどうしたらいい?」といったようなやり取りができる居場所の存在は重要である。地域の人と歌を歌ったり、おしゃべりしたり、会食したりするなどのサロン活動は孤立を防ぎ、お互いに気にし合う関係を身近に作る場でもある。また、出かけられない方には簡単なお手伝いをしに出向くなど、その方の暮らしの支えの一助となる取組みに対して、区はどのように認識しているか、見解を伺う。

地域住民による身の回りのお手伝いなどの生活を支援するサービスを行っている団体について、区はその活動内容を把握しているかどうか伺う。

A8.(高齢者担当部長)共生社会の実現を目指す当区として、そうした地域の自主的な活動が広がることは大変重要と考える。現在、区内では、高井戸地域の「ちょこっと支え合い」や成田地域の「小さなサポートサービス」などの活動が行われており、家庭内での軽作業や買い物等の代行、通院・散歩への同行など、高齢者に対する支援を中心に、地域住民によるサポートを行っていると承知している。

これらの自主的な取組がしっかり根付き、地域全体の生活支援サービスのネットワークに育つよう、当区の公民連携プラットフォームによる支援にも取り組んでいるところだ。

Q9.区では生活支援体制整備事業の実施ということで第1層・第2層協議体が連携して住民主体の生活支援サービスや通いの場などの支え合いによる活動の開発、担い手の養成、多様な活動主体間の交流等を進めるとあるが、この認識は地域の現場で理解され、共有されているのか? 支え合い活動の開発や担い手の養成を実際に達成できている第2層協議体はあるのか伺う。

また、生活支援体制整備事業の中で地域での支え合いの活動をしている団体やグループと具体的な仕組みづくりについて意見交換する場も必要だと考えるが、区の見解を伺う。

A9.(高齢者担当部長)生活支援体制整備事業の第2層協議体について、現在、各協議体の実情に応じて、お手伝いサービスやカフェ・サロン活動のほか、学生やマンション住民との交流を通したつながりづくりに取り組んだり、地域の事業所や団体との情報交換会を開催したり、様々な活動が行われている。こうした実績から、理解・共有は一定程度図られているものと存じるが、未だ道半ばという面は否めないので、ご指摘の支え合い活動をしている団体やグループとの意見交換を行うことを含め、関係者と話し合う機会をもっていきたい。

Q10.区は認知症やその疑いがある家族を支えている世帯について、どのようなことを契機に把握するのか伺う。

A10.(高齢者担当部長)近隣住民や医療機関などからケア24または区に対し、認知症が疑われる方がいる等の情報提供がされるケースが多く、このほか、安心おたっしゃ訪問を通して把握することもある。こうした情報はケア24と区で共有するとともに、情報を基に本人や家族にアプローチして状況把握を行い、必要な支援を図っているところだ。

Q11.10月5日に区主催の「オレンジ・ランプ」の上映会がある。若年性認知症の方の実話に基づく映画で、この間、別の住民団体が2回区内で上映会を行い、いずれも大きな反響があった。映画の中に登場するヘルプカードについては多くの方が関心を示し、どこへ行けばヘルプカードはもらえるのかと何人もの方から聞かれたと主催者から聞いた。地域でも拡げていきたいという要望が出ていると聞いている。例えば「なみすけ」入りの区独自のヘルプカードを作成して、認知症の方に留まらず、外出を促すツールとしてキャンペーンする等、普及してはいかがかと考える。95%の人は助けを求められれば助ける、それに反して5%の人しか助けを求めない、求めることができないと聞いたことがある。このギャップを埋めるツールがヘルプカードである。誰もが助け、助けられる、優しいまち杉並にしていきたい。この度の区の認知症理解の普及啓発月間のチラシのテーマは『「わたしは認知症です」とあんしんして言えるすぎなみに』となっており、同感するものである。ヘルプカード普及についての区の見解を伺う。

A11.(高齢者担当部長)ヘルプカードについては、令和5年度からケア24高井戸及び善福寺において、試験的にカードの配布・活用を行っており、昨年11月には、認知症介護研究・研修東京センターと連携して、全てのケア24職員の理解を深める観点から、「新しい認知症観と希望をかなえるヘルプカードの活用に関する説明会」を開催した。今後はケア24と共に、これまでの取組の振り返りとこれからの取組の方向性などを意見交換していくこととしている。

Q12.厚労省も推進するピアサポーターによる本人支援について調べる中、「公益社団法人認知症の人と家族の会」による2024年3月「認知症診断直後からの本人やその家族へのピアサポート活動について」の実態調査事業報告書を目にする機会があった。ピアサポートとは認知症になった本人が他の認知症の人の話を聞き、お互いの体験を共有することで支え合う取り組みである。認知症と診断されてから実際の支援につながるまでの時間を日本認知症本人ワーキンググループ代表の藤田和子さんは「空白の時間」と表現した。支援のない診断後の期間の平均が1年1か月というデータもあるようである。認知症診断後すばやくピアサポートの場である「集いの場」につながることで、同じ立場の人や支援者などに出会い認知症と向き合う前向きな気持ちになれるとの声も報告書には綴られている。それにはピアサポート活動を地域の中に様々つくること、医療機関などが診断と同時にピアサポート活動情報を本人にわたすこと、さらには情報提供だけでなく、一緒にそこに同行してくれるサポーターの存在も肝になるということで、ピアサポーター養成講座も必要である。杉並区で言えば、チームオレンジがそういう場としてさらにブラッシュアップしていけたらよいのではないかと思うが、改めてピアサポートという視点からの取組を確認していくことも必要と考えるが、見解を伺う。

認知症介護研究・研修東京センターと協定を結んでいる杉並区だからこそ、このピアサポート活動などの事例を参考にしつつ、国の議論に先んじて、地域資源をネットワークし、認知症の方ひとり一人の顔の見える支援体制を構築してほしいと考えるが、区の見解を伺う。

A12.(高齢者担当部長)認知症とその家族に対するピアサポートについては、厚生労働省の「認知症家族教室、認知症家族ピアサポート運営の手引き」において、「チームオレンジは、認知症サポーターのステップアップや認知症の方の支援ニーズに認知症サポーターを繋げる仕組みを構築しているため、今後チームオレンジの取組が進んでいけば、ピアサポート活動においても認知症サポーターの有効活用が期待できる」としているところであり、認知症介護研究・研修東京センターの専門的な助言を得ながら、チームオレンジの関係者と共に、今後の取組を考えていきたい。

Q13.独居でも認知症になっても住み慣れた自宅で最期まで暮らすことができることを当たり前の社会にしたいとの思いは多くの方々が抱いていることだと思う。しかし、今の超高齢者社会に制度が追いついておらず、このままでは、特に低所得の高齢者のみ世帯やひとり世帯の方々を置き去りにしてしまうのではないかと危惧する。区が掲げている保健福祉分野全体を貫く基本理念を絵にかいた餅にしないために、区や事業者、介護・医療機関、区民が一緒に取り組んでいかなくてはならない問題だと考える。この介護の危機をどう乗り越えていくのか、区の考えを伺う。

A13.(高齢者担当部長)議員の基本的な問題意識は、区としても同様に受け止めている。そのため、令和7年度に実施を予定している高齢者実態調査において、独居高齢者をはじめ、高齢者の生活や介護に係る、より的確な実態把握に努め、その結果を今後の取組に反映させていかなければならないと考えている。また、地域包括ケアシステムの推進・強化や、認知症施策を官民一体的に進めるための仕組みづくりも大きな課題だと認識しており、様々な知見を参考に、鋭意取り組んでいきたい。

第3回定例会一般質問と答弁 2024.9.12 そね文子

Q1 今定例会で「ジェンダー平等に関する審議会」の設置が提案され、条例制定などを視野に審議がされることが示された。区が本気でジェンダー平等社会実現を決意したことだと大きな期待を持って受け止めたが、区の認識と決意を伺う。

A1区長)杉並区では「男女共同参画社会を目指す杉並区行動計画」を平成7年に策定し、平成9年には「杉並区男女共同参画都市宣言」を発して、以降の約30年間行動計画を改定しながら男女共同参画社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。この間社会全体としての男女共同参画のありようも大きく変化してきたと考える。2015年の国連サミットで採択されたSDGsのゴールではひとりひとりの人間が、性別にかかわらず平等に責任や権利や機会を分かち合い、あらゆる物事を一緒に決めることができる「ジェンダー平等の達成」が目標に掲げられ、女性男性多様な性も含めて男女共同参画の取り組み範囲は広がってきている。区でも昨年いわゆる「性の多様性条例」を制定し、パートナーシップ制度の運用を開始するなど、男女共同参画の取り組み範囲は「男女」という言葉を超えて広がっている。一方、今年実施した「男女共同参画に関する意識と生活実態調査」の結果においては「社会通念や慣習・しきたりの中で女性と男性が平等になっている」と答えた人が10%しかいないことなど、区のジェンダー平等が実現しているとは言い難い実態がある。先の定例会では「ジェンダー平等に関する新たな視点を示す必要がある」との意見もあった。これらを踏まえ、さらなる推進に一歩を踏み出す機運が醸成されたととらえて、これまでの取り組みを発展させ、「ジェンダー平等が実現した社会」の未来像を描き出すためにも専門的な知見を持つ審議会を設置すべきとの考えに至った。

Q2 施設再編の中で、より駅に近く集いやすい場所に男女平等センターの場所を確保することが必須だと考えるが区の見解は。

A2 区民生活部長)昨年度の男女平等センターの情報資料・交流コーナーの利用者は約2600人であり、地域団体との協同事業の成果もあり令和3年度との比較では1064人増となっている。現在の場所でも工夫と努力により利用者を増やすことはある程度可能と考える。一方駅に近いより利便性の高き場所にあるメリットも理解できるが、施設の移転については区全体の計画の中で考える。

Q3 困難な問題を抱える女性への支援に関する女性支援新法が本年4月から施行された。法に掲げられた理念を、区はどのように取り入れ生かしていこうとするか問う。

A3 保健福祉部長)この法律が制定された背景として、生活困窮、性犯罪被害、孤独、孤立など女性の抱える課題が多様化、複雑化する中で、女性支援の制度的根拠を補導処分、保護更生を目的とする売春防止法に置くことに限界が生じたことにある。新たな法の目的・基本理念には、女性の福祉、人権の尊重や擁護、男女平等が明確に打ち出されており、区もこの人権保障の理念に沿って、当事者の意思を尊重し寄り添った支援の実施や、女性の福祉・男女平等にかかわる関係機関による包括的な支援につなげていく考えだ。

Q4女性支援新法によって自治体の責任も明確化され、基本計画を策定することが努力義務とされた。区では基本計画策定についてどのように取り組むのか。

A4 保健福祉部長)区では困難な問題を抱える女性への相談支援体制の強化に優先的に取り組むこととし、基本計画の策定については今年度中に設置を予定している「(仮称)地域福祉施策推進連絡会」での議論のほか、「(仮称)ジェンダー平等に関する審議会」が設置された場合にはそこでの議論も踏まえ検討していく。

Q5 区ではこれまでも福祉事務所に婦人相談員を置いて対応してきたが、法施行後は名称が女性相談支援員に改められる。その相談員の専門性やスキルを担保するために何をしているのか問う。相談員に求められるのは専門性、相談者との関係性や継続性は大事であることから、配置や異動には配慮が必要と考えるが、どのような体制をとるのか聞く。

A5 (保健福祉部長)女性相談支援員の専門性やスキルを高値ることは重要であり、生活、医療、子育てなどの様々な相談に対応するため都が主催する研修に参加しスキルの向上に努めるなど研鑽を積んでいる。また、母子相談および女性相談を専門に行う職員を福祉事務所各所に配置し、異動者については経験などを考慮している。相談者との関係性や継続性は大事であり、この間各支援者が相談内容と結果を面接記録表に作成し所内すべての支援者で共有している。これは支援員の知識や経験の一助となり、異動による影響を最小限にとどめることにつながっている。

Q6 地方公共団体は支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関、民間団体、その他の関係者により構成される支援調整会議を組織するように努めるとある。会議では情報交換、支援内容に関する協議を行うとされるが、具体的にどのように組織するのか。また会議には当事者の意見が反映されることが必要だがどのようになっているか。

A6 (保健福祉部長)この支援調整会議は個別ケースの支援について協議する会議体ほか、地域における対象者の実態や地域資源の把握、支援体制の検討・評価を行う会議体であること、設置に当たっては既存の会議体を活用できることとなっている。これらを踏まえ、個別ケースについては福祉事務所がこれまで実施している支援検討会議を充実させ、区と民間を含む関係者が支援方針を協議・決定する際に可能な場合には当事者の参画を得るなど、本人の意向を尊重した支援につなげていくための会議体とすることとした。また、地域の支援体制の検討については、学識経験者や地域活動団体を構成員に、地域福祉に関する意見交換を目的とした会議体を新たに設置する。困難な問題を抱える女性の支援についても議論のテーマとし、必要に応じて民間支援団体の参加を求めていく。

Q7 家でDVや虐待があり居場所のない子どもたちがいることを認識し、区ではその支援としてイブニングステイ事業を始めた。あらためてこの事業の目的と進捗状況を問う。

A7 (子ども家庭部長)子ども家庭支援センターが支援している中高生世代の要保護・要支援児童の中には食事が十分に用意されない子や、保護者からの暴言や高い要求に心身ともに疲弊している状況にある子が少なくありません。こうした子どもたちが放課後の時間を安心して過ごし、食事の提供ほか必要に応じて子どもからの相談を受けられる環境を整備するため子どもイブニングステイ事業を開始することとした。今月、公募型プロポーザル方式により選定した民間事業者と委託契約を結びました。今後は様々な背景を持つ子どもへの職員の対応力を高め、子どもが安心して過ごせる居場所にするため、事業者には区が実施する児童虐待対応や子どもの権利擁護に関する研修を受講してもらい施設の改修などの準備をすすめ、来年の1月から運営を開始する。

Q8 義務教育を終える前に生徒全員がデートDVについて知ることが必要だと考え、中学校全校でデートDVの講座を行うことを求めてきた。徐々に進んではいるが取り組みを加速してほしい。教育委員会の考えを伺う。

A8 (教育政策担当部長)デートDVの講座については区長部局で実施しており教育委員会では校長会での周知などに協力してきた。区立中学では「いのちの安全教育」の中で多くの学校がデートDVを取り上げているので引き続き取り組むよう学校を支援していく。

Q9 人権教育として包括的性教育についても助産婦などの専門人材を活用することをさらに進めてほしいがいかがか。

A9(教育政策担当部長)児童生徒の学習については各学校で検討し、必要な内容を専門とする外部人材に協力してもらっている。性に関する指導についても、令和5年度は産婦人科医、助産婦、保健師、大学教員等の外部講師を依頼している学校が12校あった。今後も各学校で外部人材を活用した授業が行えるよう支援していく。

Q10 性暴力やハラスメントが起こりそうなとき、また起こっている場面で、加害者の注意をそらしたり、痴漢を駅員に通報したり、被害者に声をかけたりして被害を防ぐ行動をアクティブ・バイスタンダー(「行動する傍観者」)というが、このようなことを学ぶ機会を作ることに取り組んでもらいたい。区の見解を伺う。

A10(区民生活部長)男女共同参画の分野では、性暴力やハラスメントの防止に関する様々な啓発講座を実施している。今月23日に区役所で実施するハラスメント対策の講座の趣旨は「誰もが被害者にも加害者にもなりうるハラスメント」への理解促進です。重要なテーマの一つと考えているので降雨後も啓発講座の中で取り上げていく。

第3回定例会一般質問 2024.9.12 奥田雅子

区議会生活者ネットワークの奥田雅子です。

「高齢者の在宅生活を支える取組について」質問します。

今年度から杉並区高齢者施策推進計画と共に、そこに包含される第9期介護保険事業計画がスタートしました。杉並区の高齢化率は21%前後を推移していますが、65歳以上の高齢者人口は今後、年々増えると推計されています。高齢者施策推進計画によれば2023年1月1日現在、65歳以上高齢者120,191人のうち高齢者単身世帯は43,444人で高齢者人口の36.1%、高齢夫婦のみ世帯も21,061世帯で35%となっています。また、2040年には単身世帯で約59,000人、高齢夫婦のみ世帯は約57,000人に増加すると見込まれています。そして、約7割の人が在宅生活を送っており、今後、住み慣れた自宅で高齢者の暮らしをどのように支えていくのかが最大の課題だと感じています。

そんな中、今年度からの介護報酬改定では全体では1.59%+になったものの、こと訪問介護の基本報酬はマイナス2.0~2.3%となり、衝撃が走りました。訪問介護事業が黒字だからという理由で、十分な処遇改善加算を付けたから実質アップだと厚労省は説明しました。しかし、処遇改善加算は文字通り、職員の給料アップに対して使うためのお金であり、事業所に直接プラスにはなりません。事業所の経常経費や経営を支えるのは基本報酬であるはずです。しかも、たとえ処遇改善加算をしっかり得たとしてもアップにはならないという試算も出ています。訪問介護で黒字になっている多くはサービス付き高齢者住宅などに併設する訪問介護事業所で、同一建物の中をぐるぐる回れば効率的で一日に多く回れるという利点があります。一方、地域の中を自転車で10分20分と時間をかけて一軒一軒回る事業所は往復の移動時間は事業所負担になるなど、まったく事情は違ってきます。それを同じ枠組みで設定すること自体に無理があると感じています。

コロナ禍で介護の現場は疲弊しきったところに追い打ちをかけるような報酬改定は直ちに撤回すべきだと考えます。でなければ、地域に根差し、コロナ禍で不安や恐怖を覚えながらも、介護を必要としている高齢者のもとに通い続けた比較的小規模な事業所が倒産・撤退を余儀なくされているのではないかととても心配です。国は事業所の大規模化を狙っているようですが、ケア労働は効率で計ってはいけない分野だと思います。ただでさえ、介護従事者の不足が2040年には57万人、東京でいえば約7万6千人不足すると厚労省は推計しているにも関わらず、この改悪はどう考えても納得のいくものではありません。介護従事者が不足すれば、再び家族介護へと回帰していくことは必至で、この間取り組んできたケアラー支援の観点からも看過できない問題です。この危機的状況において、今後増え続ける高齢者が住み慣れた自宅で生活を成り立たせていくためにはどのようなサポートが必要かといった観点から質問していきます。

・先ず、この報酬改定について区はどのような認識を持っているのか伺います。

・昨年の第4回定例会の一般質問でも高齢者施策推進計画について取り上げ、その中では訪問介護事業所の閉鎖、倒産は新規開設の数を上回っていました。2023年度の閉鎖倒産数と開設数、2024年度8月までの状況について伺います。

・杉並区では必要なヘルパー数を何人と想定しているのか、その数字に見合った体制が図られているのか確認します。

現在、訪問介護事業に特化した調査を事業所にご協力いただいて実施しています。戻ってきた回答では、どこも人員不足が課題として挙げられ、依頼を断っている実情がうかがえ、経営的にも厳しい状況が見られました。ケアをやりがいのある仕事として選んでも、賃金が低いために少しでも良い条件の事業所に移り変わる現象も起きており、ホームヘルパーの仕事は継続しても、一つの事業所にいるのは5年未満が44.1%と半数近いという数字もあります。事業所側から見れば雇用の不安定化、厳しい経営状況につながっていることが推察されます。

・区では今後の在宅ケアを持続可能なものにしていくためには訪問介護現場の状況を把握しなければ適正な施策を展開していけないと思います。区内140以上ある訪問介護事業所の実態把握が必要だと考えますが、悉皆調査は行っているのか確認します。

・居宅介護支援事業所についても1点伺います。

利用者の状況を把握し、その人にあったプランを作成するのは主にケアマネジャーの仕事ですが、先も触れたように訪問介護事業所から断られるケースも増え、そのために代替事業所探しなどの負担が増えているのではないかと推察しています。居宅介護支援事業所の閉鎖が増えており、ケアマネ不足によりケアマネを複数から選べないと言った問題も生じているとの声も聞こえますが、区はその実態をどのように把握していますか、お聞きします。

次に、介護予防・日常生活支援総合事業(以下総合事業)について特に訪問事業について伺います。総合事業は2015年の介護保険法改正を受けて2017年より杉並区としてのサービスが開始しました。

・この総合事業については各自治体の裁量や工夫がされていると思いますが、杉並区として、この総合事業をどのような考えで進めているのか伺います。

・介護予防・生活支援サービス事業の中で、介護予防訪問事業と自立支援訪問事業があり、利用実績もだいぶ開きがありますが、その二つの事業の違いや特徴について伺います。

・この間、この総合事業を行ってきて、どのような効果が得られたのか、この事業の成果と課題について伺います。

・総合事業に限らず、介護全般で言えることだと思いますが、生活援助を丁寧に行うことは、その人のQOLを維持し、できるだけ機能低下を遅らせるという点でもとても重要なサービスだと考えています。しかし、働く側からすると、生活援助は掃除・洗濯・買い物・調理などハードワークであり、その利用者の状態の小さな変化にも対応していくなどのスキルも必要とされますが、報酬は身体介護よりずっと低く設定されています。大手の事業所は生活援助はやらないところが多く、その分、小規模にしわ寄せがきているという話も聞きます。このような実情に対する区の認識を伺います。

私は地域の中でちょっとした困りごとをお手伝いするお互い様のたすけあいの活動に参加していますが、介護保険のサービスだけではそのお年寄りの暮らしが成り立っていないケースを多く見ています。介護保険制度が在宅支援を保障するものになっていないのです。私たちのように介護保険では使えない隙間のサポートがなかったら、このお年寄りたちはどうされるのだろうと思います。特に高齢夫婦のみ世帯やひとり暮らしの人は80歳を超えたあたりから日常的な暮らしのサポートが必要になります。認知症を発症していればなおのこと、放っておけない人が地域の中にはたくさん存在していることを認識する必要があります。要介護認定率も80歳を超えるこの時期を境に一気に増えていくこと、その数値が前年よりも増えていることが今年度版の「すぎなみの介護保険」からもわかります。経済的に余裕のある世帯であれば自費のサービスと組み合わせて生活を成り立たせることはできるかもしれません。しかし、そうでなければひとりの人の暮らしをを支えることが容易ではないということを実感しています。私たちのもとにはケア24から紹介されて相談が来るケースが多く、専門的な資格がなくてもできるサポートであれば、ほとんど断ることなく、それも早いときは30分後には依頼主に到着するなど、ケア24や利用者から頼りにされる存在となっています。しかし、いずれ限界は来ると考えており、私たちのようなボランタリーベースの取組が地域の中にいくつもあるのが良いのか、それとも別のしくみが必要なのか、住民を巻き込んだ議論をすることがそろそろ必要ではないかと考えています。

・地域の中に気軽に立ち寄れて、「ちょっと困っているんだけどどうしたらいい?」といったようなやり取りができる居場所の存在は重要です。地域の人と歌を歌ったり、おしゃべりしたり、会食したりするなどのサロン活動は孤立を防ぎ、お互いに気にし合う関係を身近につくる場でもあります。また、外出できない人には簡単なお手伝いをしに出向くなど、その人の暮らしの支えの一助となる取組みに対して、区はどのように認識していますか、見解を伺います。

・区では生活支援体制整備事業の実施ということで第1層・第2層協議体が連携して住民主体の生活支援サービスや通いの場などの支え合いによる活動の開発、担い手の養成、多様な活動主体間の交流等を進めるとありますが、この認識は地域の現場で理解され、共有されているのでしょうか? 支え合い活動の開発や担い手の養成を実際に達成できている第2層協議体はあるのでしょうか伺います。

・また、地域住民による身の回りのお手伝いなどの生活を支援するサービスを行っている団体について、区はその活動内容を把握しているかどうか伺う。

・生活支援体制整備事業の中で地域でのささえあいの活動をしている団体やグループと具体的なしくみづくりについて意見交換する場も必要だと考えますが、区の見解を伺います。

次に、認知症支援策について伺います。

超高齢社会は認知症社会であると言っても過言ではありません。要介護者の要因は認知症が第1位に上がり、介護保険利用者全体の約8割は何らかの認知症があるそうです。しかし、認知症の人にとって一番見守りが必要な初期・中期に相応しいサービスがないという問題があります。介護保険の要介護認定は身体介護重視で認知症に対応できていないという指摘を昨年の一般質問でもさせていただき、高齢者担当部長からの答弁は「超高齢社会に向けては国を挙げて様々論点を整理の上、今後の各種制度等のあり方を議論、検討していくべきものと考えている。その意味で、認知症基本法の施行が大きな契機になることを期待しているところ。区としても新たに策定する高齢者施策推進計画に基づく取組を着実に推進していくことが重要だと考えている」とのことでした。

認知症基本法ができたことで、認知症に対する社会の意識がこれまでのネガティブからポジティブに変わっていくことは歓迎するものです。しかし、高齢者施策推進計画に内包された認知症施策推進計画からはいまひとつ具体的な認知症本人への支援の在り方が見えてこないと感じています。特に新たな取組はないように見受けられ、これまでの実績を見ても対応しきれているとはいいがたい状態だと感じています。

今回、認知症介護研究・研修東京センターの助言により認知症高齢者数の推計値が示されましたが、あくまで推計であり、具体的にどのようにして認知症の人とつながれるのか、医療機関との連携や介護事業所、ケア24、商店などとの連携が重要だと思います。

・区は認知症やその疑いがある家族を支えている世帯について、どのようなことを契機に把握するのか伺う。

・10月5日に区主催の「オレンジ・ランプ」の上映会があります。若年性認知症の方の実話に基づく映画で、この間、別の住民団体が2回区内で上映会を行い、いずれも大きな反響がありました。私も参加しましたが認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子さんが監修されており、上映会後に永田さんからコメントも頂きました。映画の中に登場するヘルプカードについては多くの観客が関心を示し、どこへ行けばヘルプカードはもらえるのかと何人もの人から聞かれたと主催者から聞きました。「助けて」と口で言えなくてもカードを示すことで伝えられる、認知症の人はさりげなく自らカミングアウトできる、そんなヘルプカードを自分の地域でも拡げていきたいという要望が出ていると聞いています。例えば「なみすけ」入の区独自のヘルプカードを作成して、認知症の人に留まらず、外出を促すツールとしてキャンペーンする等、普及してはいかがかと考えます。95%の人は助けを求められれば助ける、ところがそれに反して5%の人しか助けを求めない、求めることができないと聞いたことがあります。「助けて」と口に出して言うのはとても勇気がいることで、このギャップを埋めるツールがヘルプカードです。誰もが助け、助けられる、優しいまち杉並にしていきたいと思います。この度の区の認知症理解の普及啓発月間のチラシのテーマは『「わたしは認知症です」とあんしんして言えるすぎなみに』となっています。同感いたします。ヘルプカード普及についての区の見解を伺います。

・厚労省も推進しているピアサポーターによる本人支援について調べる中、「公益社団法人 認知症の人と家族の会」による2024年3月「認知症診断直後からの本人やその家族へのピアサポート活動について」の実態調査事業報告書を目にする機会がありました。この場合のピアサポートとは、認知症になった本人が他の認知症の人の話を聞き、お互いの体験を共有することで支え合う取り組みです。認知症と診断されてから実際の支援につながるまで、支援のない診断後の期間の平均が約1年1ヵ月というデータがあるそうですが、この時間を日本認知症本人ワーキンググループ代表の藤田和子さんは「空白の時間」と表現しました。素早くピアサポートの場である「集いの場」につながることは、同じ立場の人や支援者などに出会い認知症と向き合う前向きな気持ちになれるとの声も報告書には綴られています。それにはさまざまなピアサポート活動を地域の中につくること、医療機関などが診断と同時にピアサポート活動情報を本人に提供し、さらには情報提供だけでなく、一緒にそこに同行してくれるサポーターの存在も肝になるということで、ピアサポーター養成講座も必要です。杉並区で言えばチームオレンジがそういう場としてさらにブラッシュアップしていけたらよいのではないかと思いますが、改めてピアサポートという視点からの取組を確認していくことも必要ではないかと考えていますがいかがか見解を伺います。

・認知症介護研究・研修東京センターと協定を結んでいる杉並区だからこそ、このピアサポート活動などの事例を参考にしつつ、国の議論に先んじて、地域資源をネットワークし、認知症の方ひとり一人の顔の見える支援体制を構築してほしいと考えますが、区の見解を伺います。

・独居でも認知症になっても住み慣れた自宅で最期まで暮らすことができることを当たり前の社会にしたいとの思いは多くの人が抱いていることだと思いますし、私もその一人です。しかし、今の超高齢社会に制度が追いついておらず、このままでは、特に低所得の高齢者のみ世帯やひとり世帯の人たちを置き去りにしてしまうのではないかと危惧します。区が掲げている保健福祉分野全体を貫く5つの基本理念「人間性の尊重、自立の促進、予防の重視、支え合いの醸成、孤立の防止」を絵に描いた餅にしないために、区や事業者、介護・医療機関、区民が一緒に取り組んでいかなくてはならない課題だと考えています。最後にこの介護の危機をどう乗り越えていくのか、区の考えを伺って、私の一般質問を終わります。

第3回定例会一般質問 そね文子 2024.9.12

区議会生活者ネットワークのそね文子です。

「ジェンダー平等実現に向けた取り組みについて」一般質問します。

2024年、世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数が、日本は146か国中118位と前年より少し改善したものの、相変わらずG7の中では最下位、東アジアの中でも中国や韓国よりも低くなっており、ジェンダー不平等が固定化しているという、残念な状況です。

ジェンダー平等とは、ここであえて言うまでもなく性別に関係なくすべての人々の平等な権利を認めることで、その中にはもちろん男性の権利も含まれています。

しかし現在の日本はこの順位が物語る通り、ジェンダー不平等で性差別的な社会構造にあると言え、そのギャップを埋めるにはあらゆる分野にわたる取り組みとそれを担保する法的なしくみが必要です。生活者ネットワークはかねてよりこのジェンダー平等社会を実現するためのジェンダー主流化を主要政策に掲げてきました。

日本で男女格差をもたらしている源流は、男尊女卑の思想とそれに支えられた「家」制度の下で、歴史的につくられた「男らしさ・女らしさ」を押しつけるジェンダー規範と、それを反映した制度・政策が営々と続けられてきたことにあります。日本の政府は、社会福祉の担い手として家族、特に女性を活用する「日本型福祉社会」を構想し、それを下支えする専業主婦の身分の安定化のために、国民年金においては妻を第3号被保険者とする優遇政策や、所得税における配偶者控除を新設するなどの税制上の優遇措置を行ってきました。このような政策によって、女性は経済的自立を阻まれ、家庭で暴力にさらされても男性から逃れられない、そして男性もその弱みに付け込んで暴力を繰り返すという負のスパイラルをつくり出すという悲劇も生んできました。男は仕事、女は家庭という性別役割分業の意識は長年に渡って内在化され、現在に至るまで存在し続けています。これは人権の侵害であるということを教育の力によって学ぶことでそれを意識化し、変革していくことも必要です。このような共通認識にたち、以下、質問を進めたいと思います。

今述べたような社会にあって、ジェンダー平等を実現するためには、あらゆる政策、事業、組織運営のすべてのプロセスにおいて、ジェンダーの視点に立った対応を行う、ジェンダー主流化の取り組みが求められています。

1.今定例会で「(仮称)ジェンダー平等に関する審議会」の設置が提案され、条例制定などを視野に審議がされることが示されました。これは今述べたような認識にたって、区が本気でジェンダー平等社会の実現を決意したことだと大きな期待を持って受け止めましたが、まず初めに区の認識と決意をうかがいます。

2.ジェンダー平等実現のためには、その認識を広く区民に広げるための拠点となる施設を持つことが必要です。現在の杉並区男女平等推進センターは1997年、荻窪の児童青少年センター「ゆう杉並」と同じ建物の中に設置されて27年になりますが、区民に認知されている割合は2021年の男女共同参画に関する意識と生活実態調査報告書によれば21%で多くの区民がその存在を認識していない状況です。杉並女性団体連絡会は男女平等推進センターをジェンダー平等と多様性実現のための拠点施設として、次のように要望しています。

すなわち、団体育成・グループ作り、ネットワークづくり、地域団体への働きかけ、区民リーダー育成、世界の女性との交流と連帯、居場所づくりを行える出会いと交流の場となること、各種講座・セミナー・実習・研修・講演会などを行う学習の場、資料の収集と提供などを行う情報収集と発信の場、支援の場、相談の場、調査研究の場となることで、いずれも重要で必要な取り組みです。そのための拠点としては現在の立地は便利な場所とは言えず、今後の施設再編の中で、より駅に近く人が集いやすい場所の確保を求めており、それは必須だと考えますが、区の見解をうかがいます。

いま、少子高齢・低成長時代にあって女性の貧困が社会課題となるなか、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が2024年4月から施行されました。以下、女性支援新法と言います。それまでの女性支援が、非行女性の保護更生という差別的な売春防止法を根拠にDV被害者保護等の支援という形で行われていたことからの大きな転換と言えます。困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図り、人権が尊重され女性が安心して、自立して暮らせる社会の実現に寄与するもので、基本理念には男女平等の実現に資すると掲げられています。

私はこの夏、困難を抱える女性の支援のために神戸でオープンした「六甲ウイメンズハウス」の視察に参加しました。長年DV被害女性と子どもへの支援に取り組んできた「認定NPO法人女性と子ども支援センターウイメンズネット・こうべ」(以下ウイメンズネットとします)が、今年6月に開設した住まいですが、ここで、この開設に至るまでの活動についてお話をうかがい、困難を抱える女性への支援として、住まいを用意することがいかに重要か、改めて認識する機会となりました。

また先日は世田谷生活者ネットワークが主催した「女性支援新法のよりよい運用を考える世田谷区民集会」に参加し、城西国際大学福祉総合学部教授の掘千鶴子さんの講演と、一般社団法人Colaboの仁藤夢乃さん、DPI女性障害者ネットワークの村田恵子さん、移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長の山岸素子さん、NPO法人レインボーコミュニティcollabo代表理事の鳩貝啓美さんなど、日ごろから困難な状況にある女性の支援に取り組む団体の方々のお話を聞くことができ、女性支援新法の意義と自治体に託された役割について考える機会となりました。杉並区で女性支援新法が活かされ、困難な状況にある女性の支援が充実されることを願って、以下うかがいます。

3.まず初めに法に掲げられた理念をどのように杉並区として取り入れ活かしていこうとするかについて伺います。

この法は売春防止法体制を脱却し社会福祉に関する法律として位置づけられ、基本理念は「保護更生」から人権尊重・人権擁護、自己決定の尊重へと変わり、困難な問題を抱える女性に対する支援、女性福祉の根拠法として女性福祉を確立するためのものです。また関係機関及び民間団体との協働により、早期からの切れ目のない支援を行うこと、男女平等の実現を目指すことが示されました。

4.これによって自治体の責任も明確化され、基本計画を策定することが努力義務とされましたが、杉並区では基本計画策定については今後どのように取り組んでいくのか考えを伺います。

5.区でもこれまで福祉事務所に婦人相談員を置いて対応してきましたが、その名称は女性相談支援員に改められます。その人たちの専門性やスキルを担保するためには正規職員とすることが求められていますが、どうなっているかうかがいます。相談員に求められるものは何よりも専門性、相談者との関係性や継続性が大事になることから、配置や異動については配慮が必要と考えますが、どのような体制をとろうとしているか区の見解を伺います。

6.次に支援調整会議についてです。地方公共団体は、支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関、民間団体、その他の関係者により構成される会議を組織するよう努め、会議では必要な情報交換、支援内容に関する協議を行うとされていますが、具体的にどのように行おうとしているのか。また、会議には当事者の意見が反映されることも必要だと考えますが、どのようになっているかうかがいます。

視察にうかがったウイメンズネットは設立当初、女性たちが集まって自分たちの色々なことをなんでも安心して話せる場所をつくろうと仲間で話し合い、「女たちの家」を開いたとのことです。そこで電話相談を受けると電話が鳴りやまなかった。私には帰る家がない。家ですごい暴力を受けているなど、6割が夫の暴力の相談だった。安心して相談するためには安心して住める家がなければ、と考えたそうです。これを裏付けるデータとして、内閣府男女共同参画局が行った2023年度の男女間における暴力に関する調査結果でも25.7%の女性が夫からの暴力を経験し、その内の4割が何度も受けたという結果です。

六甲ウイメンズハウスに入居する女性は、自立の意思がある、DV被害者とその子ども、児童養護施設を出た直後の人、外国人、留学生、学生、など様々な困難を抱えた人を対象としています。ハウスの中にはロビー、キッズスペース、コミュニティカフェなどのパブリックエリアがあり、居住者専用のエリアにも学習スペースが設けられていました。幼い子どもを抱え孤立していた母親たちは、キッズスペースで子どもを見ながら同じ境遇の人たちやスタッフと言葉を交わし、仲間を得て本当に喜び、安心することで自分らしさを取り戻していくそうです。入居期限は学生が4年、それ以外の人は3年で、次の住まいに移るステップハウスとなっています。

杉並区では、相談を受けた被害者の支援の際に、一時保護施設やステップハウスなどを運営する民間団体と連携協力することがあると思いますが、営利を目的としない施設運営は経済的にとても厳しい現状があります。区が有効な補助を行ってくださることを要望します。

一般社団法人Colaboでは、困難を抱える若年女性の支援をおこなっています。家でDVや虐待があり、居場所がない子どもたちが新宿歌舞伎町のトー横に集まり、特に若い女性たちが性的搾取、性被害に遭っています。場所的に近い杉並区からも通っている子いてもおかしくありません。Colaboでは新宿にバスを改装した居場所となるカフェを開き、そこで女性たちは無料で食事や飲み物をとることができ、Wi-Fiを使いスマホの充電をし、必要な物品やコスメ、コンドームなどの提供を受けています。夜の街で女性に声をかけてくるのは性搾取を目的とした者、買春者、宿や食事の提供と引き換えに体の関係を求める大人などで、少女たちは危険に取り込まれています。多くの少女が、これまで信用できる大人に出会ったことがなく、一日を生きるのに精いっぱいで自分の困りごとに気づいていなかったり、あきらめ感が強かったり、自暴自棄になっていたり、自分が悪いと思っていたりして、相談や支援につながりにくい現状があります。このような少女たちに対し、コラボの支援を受けたメンバーが「声掛けチーム」としてアウトリーチを担い、「少し前の自分たちと同じような状況にいる子たちに、Colaboにつながってほしい、下心のある大人についていかなくても力になってくれるところがあると知ってほしい」と活動しているそうです。一緒にご飯を食べようと声をかけ、日常を共にすることでお互いを知り、関係性をつくるところから始める伴走支援は本当に必要な活動だと頭がさがる思いです。

7.杉並区でも、このような子どもたちがいることを認識し、その支援として、イブニングステイ事業を今年度から始めたことと思いますが、あらためてこの事業の目的と進捗状況をうかがいます。

8.女性支援新法には教育・啓発について、教育機関との連携も示されており、自己がかけがえのない個人であることについての意識の涵養が謳われています。

これまでも生活者ネットワークは義務教育を終える前に全員がデートDVについて知ることが必要だと考え、中学校全校でのデートDVの講座を行うことを求めてきました。徐々に進んでいますが、もともとの目標が低すぎると思います。取り組みを加速していただきたいと思いますが、教育委員会の考えを伺います。

9.また私たちは性に関する犯罪や搾取、人権侵害が多発する背景には日本の性教育の貧困さがあると考えており、人権教育としての包括的性教育が不可欠であることをこれまで主張してきました。同じことを助産師の方たちも指摘しておられ、包括的性教育を推進するためにもっと自分たちを使ってほしいと提案されています。助産師などの専門人材を活用することをさらに進めてほしいと思いますが、見解をうかがいます。

10.ジェンダー平等についてはすべての区民に理解を広げることが必要です

世田谷区の男女共同参画センターでは「ジェンダー平等実現のためにぼくたちにできること」として男性向けの連続講座がスタートし、1回目はアクティブ・バイスタンダーについてでした。行動する傍観者という直訳ですが、性暴力やハラスメントが起こりそうな時、また起こっている場面に出くわしたときに、加害者の注意をそらしたり、痴漢の場合には駅員に通報したり、被害者に声をかけたりして被害を防ぐ行動をとれる人を増やすものです。杉並区でもこのようなことを学ぶ機会をつくることに取り組んでいただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。

ここでDV加害者更生プログラムについてもひと言述べたいと思います。海外ではDV被害女性が保護されることと同時に、加害者が逮捕された後、更生プログラムを受けることが義務付けられています。このようなプログラムは、実は日本でも行われていますが実践例が少ないのが現状です。DV被害を受けた女性のうち離婚するのは約1割でそれ以外の多くが、子どものことを考えて、または経済不安など様々な理由から、そのまま配偶者のもと留まるという結果があります。加害者更生プログラムは必要不可欠なものだと考えますが、残念ながら日本では普及が進んでいません。

内閣府男女共同参画局では加害者プログラムを、配偶者からの暴力防止に向けた重要な施策であり被害者支援につながるとして推進を掲げ、都道府県などにも取り組むことを推奨しています。東京都でも今年度、加害者更生プログラムを行う団体への補助の公募を行い、4つの団体に補助を行ったことを確認しました。加害者更生プログラムを実施しているNPO法人女性・人権支援センターステップ代表の栗原佳代美さんに話を伺ったところ、加害者は変われる、それは社会からDVをなくすことの有効な手段で、児相、自治体の相談窓口の相談員など多くの人に知ってほしいということでした。ぜひ、杉並区でも今後の取り組みに向けて、学ぶことから始めていただくことを最後に要望いたします。

今回、この質問に取り組んだことで、私自身に内在化したジェンダーや、女性として経験してきた不平等を改めて認識する機会となり、障がいがある人、性的マイノリティ、外国籍の人など困難を抱える人たちの課題も共有しながら、誰にとっても生きやすいジェンダー平等社会を目指すことの意義を再認識することとなりました。今後も継続してこのテーマに取り組んでいくことを申しあげ質問を終わります。

広報紙生活者ネットすぎなみ133号を発行しました 2024.7.15

第2回定例会一般質問と答弁 2024.6.5 そね文子

新型コロナワクチンの副反応被害の事実に基づく検証について

Q1.新型コロナワクチンの国の副反応疑い報告について、全件数、重篤の件数、死亡者数について問う。

A1.(杉並保健所長)4月15日発表の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会検討部会の資料によると医療機関からの副反応疑い報告件数は36,876件、うち重篤8,932件、死亡1,646件。製造販売業者からの報告件数は28,289件、うち重篤は記載なし、死亡は2,114件となっている。

Q2.すべてのワクチンの47年間の救済が認められた数が3,636件でそのうち死亡は158件、それに比べて新型コロナワクチン副反応で救済が認められた数が7,354件、そのうち死亡は593件である。たった3年間で認定数は2倍、死亡は約4倍になっている。この事実について区の見解を問う。

A2.(杉並保健所長)新型コロナワクチンはその他すべての定期予防接種の回数に比べ、当区の令和4年度の実績で見ても約2.6倍と多いことや、これまでの定期接種と異なり、6か月以上のすべての年齢層が対象であったことなどが関係している可能性があると考える。

Q3.新型コロナワクチンの区内の副反応疑い件数、重篤の件数、死亡者数を問う。また予算特別委員会で確認した数から増えていればその数を聞く。

A3.(杉並保健所長)5月31日時点の区民の副反応疑い件数は全体で85件、うち重篤は29件、死亡は8件でした。予算特別委員会で報告した2月13日時点より全体で2件増加し、重篤、死亡者は増えていない。

Q4.区は2024年5月「杉並新型コロナ感染症対応記録」を発行したが、この記録の概要、工夫した点、今後これをどのように生かしていくのか考えを問う。

A4.(杉並保健所長)この記録は国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された令和2年1月から、コロナが5類感染症に移行した令和5年5月までの間の区に、都、区における感染者の動向やコロナ対策に関する取り組みなどをまとめたもので、時系列に記載することでその水位が把握できるよう工夫した。今後新たな感染症等の対応を行う際には、この記録を参考に迅速な意思決定や対応を図っていく。

Q5.区の感染症対応記録にはワクチン副反応被害のこと、救済制度所の申告件数、認定数も掲載してほしかった。報告書はWEB発行なので、改めて副反応のページ追加してもらいたい。

A5.(杉並保健所長)本報告者は5月8日に新型コロナウイルス感染症の位置づけが2類相当から5類になる約3年半の感染状況に応じた区の取り組みについて、感染症予防対策、地域協体制の強化、ワクチン接種体制整備など分野ごとにまとめたものだ。これらの取り組みの結果や効果については言及していないので、接種後の副反応についても掲載する予定はない。

Q6.区で救済制度の申請を人の具体的な症状はどうだったか。

A6. (杉並保健所長)じんましん、アナフィラキシー、肩関節周囲炎、発熱、急性心筋宴などである。

Q7.ワクチン接種が始まった後の第5派から大きな感染の山が見られ、接種が進むほどに感染が広がったことは事実と考えるが区の見解は。

A7. (杉並保健所長)ウィルスが感染性の高い株に変異したことが大きな要因と考える。

Q8.厚労省に報告されている約2.200名の死亡という大きな被害が出ている。この重大な被害を出しているワクチン接種をいったん中止し、検証することが必要だと考えるが区の見解を問う。

A8. (杉並保健所長)ワクチン接種については国が判断すべきことであり、有効性、安全性についても国の責任で検証されるべき事項であると考える。

Q9.2月16日の国会で原口一博議員が新型コロナワクチンに感染、重篤化予防効果はあるのか質問し、厚労省は現在調べているところだと答弁している。区はこれをどのように受け止めるか。新型インフルエンザ等対策推進会議の意見に対する見解も併せて問う。

A9. (杉並保健所長)先に答弁した通り、推進会議の意見を含めワクチンの有効性、安全性については国の責任において検証されるべき事項であると考える。

Q10.平常時にワクチンの治験環境の整備・拡充・数万人単位の大規模臨床試験が必要、薬事認証プロセスの迅速化と基準整備との記載がある。現在日本の製薬会社の工場が次々と建てられ、薬事承認が迅速化され、国民が安全性未確認のワクチン漬けにされていくことを危惧するが区の見解は。

A10. (杉並保健所長)ワクチンの薬事認証は医薬品医療機器等法に基づき実施されており、治験被験者の人権の保護は確保されている。今回の新型コロナの対応を踏まえ、さらに有効な感染症対策を行うため、より迅速に承認を行う制度として緊急承認制度が創設されましたが、ワクチンの治験環境整備等については国の責任において実施されるべき事項である。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画について

Q11.新型インフルエンザ等対策政府行動計画の情報提供・共有・リスクコミュニケーションを見ると、平常時から国が都道府県及び市区町村の福祉部門や教育委員会などと連携して、感染症や公衆衛生について情報提供・共有を行う。また学校教育の現場をはじめ、子どもに対するわかりやすい情報提供・共有を行うとしている。これは自治事務への指示に当たり、自治の侵害ではないか。子どもたちの間により強い同調圧力を生むことを危惧するがいかがか。

A11. (教育委員会事務局次長)当該計画における情報提供等は、これまでと同様に国と地方自治体が連携し感染症に関する情報を共有するものであり、学校現場などに対する国からの指示には当たらないと考える。

Q12. 5月13日の参議院行政監視委員会での議員の質疑の中で、ワクチン担当大臣の「ワクチンにより亡くなった人は誰もいない」との発言が取り上げられ、多くの人が予防接種健康被害救済制度に申請しておりワクチンに起因して亡くなった人がいるのは事実だと述べた。後から振り返ると大臣が誤情報を流していたことになり、多くの国民がこのことを知ることからパブコメに多くの意見が寄せられたと考えるが区の見解を問う。

A12.(危機管理室長)パブリックコメントには約19万件の意見が寄せられたと聞いており、国民の関心が高かったことがうかがえますが、意見の内容は明らかになっておらず、件数が多かった具体的な理由について見解を述べることは困難である。

Q13. 初期時に「偏見・差別などの偽・誤情報への対策として、国はSNS等のプラットホーム事業者が行う取り組みに対して必要な要請や協力等を行う」とある。これは発信されている情報を消すということで、政府に都合が悪い事実が消され、必要な情報が得られなくなること、また政府に都合の悪い発言を恣意的に取り締まることに法的根拠を与えることになると危惧するが区の見解は。

A13. (危機管理室長)不適切で誤った情報が流布されることで国民生活に混乱が生じることのないよう、国が適切に対処することは人権を守る上でも極めて重要だ。しかしこれが恣意的に運用されることはあってはならず、この点を踏まえ国には国民の理解が得られるよう、その時点で得られた科学的知見に基づく確かな情報をいち早く正確に提供することに努めてもらいたいと考える。

Q14. 地方自治法の改正と呼応するように、国が自治体に指示を出し、言論を封殺し、新薬開発のためのモルモットにするような計画に、多くの国民が危機感を持ち連休中にもかかわらず多くのパブリックコメントを寄せた。区としても区民の命を守る立場でこの行動計画に対して他の自治体の首長とタッグを組んで計画改定の見直しを求めてほしいが区の見解は。

A14. (危機管理室長)国に対して行動計画改定の見直しを求めることについては現時点では考えていない。パブリックコメントを踏まえた国の計画改定の動きを注視していく。

多文化共生の推進について

Q15.「多文化共生基本方針」について策定にいたった背景と目的を確認したい。

A15. (文化・スポーツ担当部長)国は、外国人住民の増加や多国籍化などの社会経済環境の変化に対応するため、令和2年に「地域における多文化共生推進プラン」を改訂し、地方公共団体に多文化共生の取り組みを推進するよう求めている。区としてはこれまでもすぎなみ交流協会と連携して外国人相談窓口の設置、子ども日本語教室の実施など外国人支援に取り組んできたが、こうした取り組みをさらに推進し、マイノリティである外国人等を含め誰もがいきいきと暮らし地域社会が活性化できるよう、国の動向も踏まえ区の基本的な考え方tp取り組みの方向性を示す「杉並区多文化共生基本方針」を策定することとした。

Q16.方針策定のために設置した多文化共生推進懇談会に、より広く区民の意見を取り入れるためには公募区民をいれたほうがよかったとかんがえるが、今回そうしなかったのはなぜか。また今後どのように区民の意見を聴こうとしているのか。

A16.  (文化・スポーツ担当部長)同懇談会は在住外国人支援や多文化共生しゃかいについて専門的な見地や当事者の視点から意見や助言を聞く場として設置した。そのため多文化共生等に知見のある学識経験者をはじめ、当事者である在住外国人、地域の事情に明るい町会連合会から推薦された区民等の校正となった。一方広く区民の意見を聞くために、無作為抽出による4千人へのアンケートや多文化共生の推進のとり組む団体へのヒアリングに加え、パブリックコメントとは別に方針案を策定する前段階で広報等を通じて意見を募集する。こうして集まった意見を踏まえて、文化・交流課が主体となり多文化共生基本方針を策定していくが、そのプロセスにおいては組織横断的に会議を開催するなど全庁で共有を図っていく。また人権擁護に取り組む関係各課の連絡会議や子どもの居場所づくりを検討する会議の場も通じて多くの部署と連携していく。

Q.17  5月25日に実施した「聴っくオフ・ミーティング」には区長も参加したとのことだが、どのような人が参加し、どのような話し合いが行われたのか、基本方針を策定するに当たっての区民の声を聞く機会として捉えられているのか、区長の感想と併せて問う。

A.17 (区長)ミーティング参加者は無作為抽出した区民と広報すぎなみを見て応募した人、区内在住の外国人です。ディスカッションでは、外国人から日本で暮らしていくには「こころ」「言葉」「制度」の3つの壁が存在するという話があり、日本人、外国人が地域で共にいきいきと暮らしていくためにはどうしたら良いかアイデアを出し合いました。参加者からは「食をテーマに、誰でも立ち寄れるダイニングを作ったらどうか」「私たちは無意識に偏見を持っていることを常に意識したい」という意見があった。今回のミーティングでいただいた意見は方針の策定に生かしていく。感想だが、私自身が外国で苦労して暮らしてきたことを思い出した。外国人が日本語でワークショップに参加するのがどれだけ大変なことかよくわかります。外国に暮らす中で、その社会が私のことを歓迎していると感じられたときは本当に嬉しかったことも思い出しました。この取り組みを進めていく中では日本人がやさしい日本語を書いたり話したりする練習も必要だと思いました。マイノリティである外国人と地域社会のみなさんと一緒に、人権の尊重を前提に誰もがいきいきと暮らせる杉並をめざして多文化共生の取り組みを進めていく思いを強くした。

Q18. 区では子どもの権利擁護に関して取り組みを進めているところだが、子ども日本語教室においても子どもの権利に沿った運営がなされていくべきと考える。また子どもの権利については子どもが学ぶことはもちろん、そこに関わる大人が学ぶことは更に重要である。子ども日本語教室の運営にかかわる大人が子どもの権利について学習する機会を持つことが必要と考えるが、区の見解は。

A18.(文化・スポーツ担当部長)子どもがかかわる教室である以上、当然ながら子どもの権利に沿った運営となるよう取り組んでいく所存であり、教室に関わる大人が子どもの権利について学習する機会をつくっていく。

Q19. 子ども日本後教室に通う子どもの保護者を対象として相談会が始まっているが、どのような相談があるのか、そこから見えてきた外国人のニーズはどのようなものか。

A19. (文化・スポーツ担当部長)子ども日本語教室では、月に2回保護者を対象に相談会を開催している。相談会では、「子どもが何を勉強しているのかわからない」「学校の手紙が読めない」という困りごとや、「ボランティアや他の保護者と話せてよかった」という交流を求めるこえがあがっており、在住外国人が気軽に相談できる場や交流できる場を欲していることがわかった。

Q20.多文化キッズサロンの場所探しに力を入れていると思うが進捗状況はいかがか。多文化キッズサロンでは、学習支援・相談・交流・居場所などがあげられているが、現在子ども日本語教室で学習支援を行っているボランティアは交流を担う協働のパートナーになると考えるが区の見解は。

A20. (文化・スポーツ担当部長)多文化キッズサロンの実施場所については、施設マネジメント部門とも情報を共有し、民間施設を含め候補地の検討を進めている。子ども日本語教室の運営を支えるボランティアは、日本語の学習支援にとどまらず、区内大学と連携して日本の季節や伝統を学べる行事を企画するなど、地域との交流にも大きな役割を担ってもらっているので、多文化キッズサロンにおいても強力なパートナーになり得ると認識している。

Q21. 外国にルーツのある外国籍や日本語のコミュニケーションが難しい日本国籍の子どもの小中学校の在籍数、国籍などを確認したい。またその子どもが在籍している学校の数を問う。

A21. (教育政策担当部長)外国籍の子どもは本年5月1日現在、区立小学校40校に261名が在籍している。国籍は中国136名、ネパール52名、ベトナム13名その他60名である。区立中学校21校に72名が在籍し、中国26名、ネパール24名、韓国5名その他17名である。外国から帰国し日本語指導が必要な日本国籍の子どもは区立小学校に8名、区立中学校に4名在籍している。

Q22. 子どもへのさまざまな支援が必要だが、どのようなメニューがあるのか。

A22. (教育政策担当部長)支援の方法としては、指導者が学校を訪問して一人当たり120時間実施する日本語指導がある。また、小中学校それぞれの希望者を対象とした子ども日本語教室がある。さらに外国籍の新入生の保護者に対し、入学前に日本語に加え中国語、ハングル、英語、ネパール語で作成した就学手続きの案内を送るとともに、就学先不明の外国籍の子どもの保護者に就学先調査と就学方法の周知を行い、外国籍の児童生徒の就学機会の確保を図っている。その他学校からの申請により、教育委員会からAI翻訳機の貸し出しも行っている。

Q23. 杉並区交流協会に通訳ボランティアを依頼する場合は誰が派遣を頼むのか。通訳ボランティア派遣の周知が必要ではないか。

A23. (教育政策担当部長)学校から交流協会には管理職が依頼する。本制度の周知については交流協会とも連携し、校長会や副校長会などで情報を伝えていきたい。

Q24. 通訳ボランティアの費用は気兼ねなく使えるように確保されているのか。費用の確保、どこからそれを支出するのかを明確化しどの学校でも使いやすくする環境整備が必要だがいかがか。

A24. (教育政策担当部長)保護者面談等で通訳ボランティアの派遣実績があるが、各学校が自校に配当されている学校サポータ予算で対応している。学校サポータ―予算は本来地域の人々が技能や知識、経験を生かしてキャリア教育や防災教育など、子どもたちの学びを豊かに展開することを目的にしているため、今後通訳ボランティアの費用確保を含め必要なときにボランティアが派遣できるように関係課で協議していく。

Q25.保護者に日本の学校を説明することが必要だと考える。多言語でそれを説明する冊子などがあればいいが、区の見解は。

A25. (教育政策担当部長)東京都教育委員会が作成した、日本の学校で楽しく学ぶためのデジタル資料がある。小中学校での授業や日常生活の様子、持ち物や日本の学校の習慣などが動画で紹介され、オンラインで視聴できる。英語、中国語を含め5か国の言語で作成され、日本語の字幕を表示する機能もある。このデジタル資料を活用したい。

Q26. 高校受験や進学に当たって外国ルーツの子どもの支援を行っているボランティアの手の届かないところはどうなっているか。十分なサポート体制をつくってほしいと考える。また、高校受験と進学について多言語で冊子を作り、制度や手続きがわかる情報提供をしてほしいがいかがか。

A26. (教育政策担当部長)進学指導を行うのは学級担任など学校教員の役割だ。日本語指導を必要とする子どもは年々増加しており、日本語指導や子ども日本語教室の指導者と連携しながら情報提供を進めていく。さらに都立高校への入学を希望する子どもたちには、英語、中国語、韓国語、朝鮮語で作られた冊子があり各学校を通して配布している。加えて、先に述べた東京都のデジタル資料には高等学校版もあり、中学生の進学指導も目的の一つとしているので活用していく。

Q27.日本語の取り出し授業の指導者は退職した先生が支援を行うことが多いと聞いたが、日本語教育についてはどうなのか。研修の機会が必要ではないかと考えるが区の見解は。

A27. (教育政策担当部長)令和3年度から大学教授や区の子ども日本語支援総括コーディネーター等の専門家を講師として、年1回指導者向けの研修を実施している。引き続き指導力向上を図るため、学校の長期休業中を中心に研修を実施していく。

Q28. 保育園でも通訳ボランティアが必要になることがあると考えるが実績がない。どのように対処されているのか。外国ルーツの保護者が困っていることはないか。調査と制度の周知が必要だと思うがいかがか。

A28.(子ども家庭部長)保育園での保護者対応ですが、日本語がわからない保護者に対しては入園のしおりや園だよりをひらがなやローマ字で表記したり、漢字にルビを振ったりするなどの対応をしている。保護者が入園の説明等を聞く際には、日本語がわかる家族や知人と一緒に来るほか、いわゆる翻訳アプリを使用するケースが多くなっている。私立保育園においても同じ対応を行っていると聞いている。これまで入園の説明等において言葉が通じないことで困ったという声はあがっていないが、保護者が安心して子どもを保育園に預けられるよう各家庭の事情等を聞きながら対応を行っていく。なお、保育園への調査と通訳ボランティアの周知については保育所等との連絡会を通じて行っていく。