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第2回定例会 一般質問と答弁 2023.6.2 奥田雅子

認知症の人が暮らしやすい地域づくりについて

【Q1】 〇認知症だから無理と最初から決めつけて、本人の人権が侵害されていないか。医療の前に専門職が人権の視点を持つことが先という基本が全国のトレンドになりつつある。認知症施策の継続、積み上げを担保し、本人のみならず、家族や働く人の人権にも目を向けた条例をつくる自治体も増えてきている。広島県広島市、岩手県矢巾町(やはばちょう)、長野県上田市豊殿(ほうでん)地区や和歌山県御坊市、鳥取県鳥取市、世田谷区などの動きは参考になる。このような認知症施策をめぐる全国の動向に対する区の認識、それらを受けて自治体としての責務をどう受け止めているかうかがう。

〇国の認知症施策大綱でも示しているように、これまでの認知症になったらもうおしまい、といった絶望感から脱却し、これからは発想を変えるべきで、「自分事」、「本人視点」、「可能性重視」、「ともに」、「希望」をキーワードに認知症の新しい常識・文化を醸成することで、本人の存在不安が緩和され、状態が安定し、力を発揮し、支え手としても活躍できるようになる。その結果、家族や社会の負担も軽減していき、一人暮らしでも地域でつながりを持ち自分らしく暮らし続けられるようにしていく時代に突入したという認識を持っているが、このように、認知症観の転換期と言われているが、区の捉えについてうかがう。

〇まずは区役所の中から認知症に対して新しい常識に転換していかなければならないし、それに合わせた制度の見直しも必要ではないか。区の展望をうかがう。

【A1 区長】 国は2019年6月に認知症施策大綱を公表し、その中で、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会をめざすという新しい認知症観を示すとともに、共生と予防を車の両輪として、施策を推進することとしている。また、現在、超党派の議員連盟により、認知症基本法の制定を図る動きもある。こうした動きに前後して、愛知県大府(おおぶ)市を皮切りに、いわゆる認知症条例を制定する自治体が増えていることも承知している。

当区においては、これらの動向を参考に、国の大綱をふまえて、新しい認知症観のもとで大切にすべき認知症本人やその家族の視点を重視しつつ、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく生活を続けられるよう、区民に身近な基礎自治体として、認知症施策を総合的に推進する責務があると考えている。

こうした認識に立って、今年度中に策定を予定する(仮称)高齢者施策推進計画の中で、2040年問題も視野に入れた施策・事業の見直し等を図り、区を挙げて新しい認知症観に基づいた取り組みをしっかりすすめていく。

【Q2】  今年度、新規事業として「認知症介護研究・研修東京センター」との連携が予算化された。このような認知症の転換期と言われる状況に対応してのことと考えるが、連携の意図、協力内容など具体的にうかがう。

【A2 高齢者担当部長】  本年3月に締結した協定書では、東京センターの実践的な研究等をふまえて、区の認知症施策にかかわる各種事業の充実に向けて連携・協働することとしている。今年度はこの協定に基づき、6月に実施する講演会への講師派遣や(仮称)高齢者施策推進計画の策定にあたっての専門的な助言をいただくことなどを予定している。

【Q3】  区が把握している認知症の人の数と、推計する数はどのくらいか。

【A3 高齢者担当部長】 本年4月時点で区が把握している認知症高齢者数は9,859人で、65歳以上の人口に占める割合は8.21%となる。

今後の推計人数については、認知症介護研究・研修東京センターの助言を得て算出することにしており、その結果を(仮称)高齢者施策推進計画の策定等に行かしていく予定だ。

【Q4】 現在の杉並区高齢者保健福祉計画では、施策1の高齢者の地域包括ケアの推進の中に認知症対策があり、①普及啓発や本人発信の支援 ②認知症の予防 ③認知症の早期発見・早期対応に向けた体制・連携強化 ④介護者の支援の充実 ⑤認知症バリアフリーの推進(共生の仕組みづくり) ⑥若年性認知症の方への支援・社会参加支援の6つの柱が立てられている。この6つの柱にそって施策や事業が展開されているが、次の改定に向けてこの間の取り組みをどのように総括し、今後の取り組みの「方向性をどのように考えているのかうかがう。

【A4 高齢者担当部長】 高齢者保健福祉計画の総括については、今年の夏ごろを目途に行い、それらをもとに、新たに策定する計画の施策体系やその方向性をとりまとめることにしている。

【Q5】 認知症サポーター養成講座は認知症の人とかかわる機会が多いことが想定される小売業・金融機関・公共交通機関・公共施設・消費生活相談・警察などの職員向けに実施する必要がある。区内で実施されている機関はどのようなところかうかがう。

【A5 高齢者担当部長】 認知症サポーター養成講座の受講状況は、事業を開始した2007年以降、一般区民や町会・自治会、民生委員、学校関係に加え、ご指摘にあった金融機関やスーパーマーケット、公共機関にも参加いただいており、今後も各機関等に積極的な受講を促していきたいと考えている。

【Q6】 子どもや学生向けの養成講座の実施や高齢者との交流などを通じて、子ども・若者の認知症の人への理解を深めることも必要だが、学校ではどのように取り組んでいるのかうかがう。

【A6 教育政策担当】  教育委員会では、希望する小学校において、認知症サポーター小学生養成講座を実施している。この講座では、認知症の症状や予防についての話を聞いたり、ロールプレイを通して認知症の方がたに接するときの心構えを学んだりしている。

また、高齢者との交流活動としては、伝承遊びのゲストティーチャーとして学校に招いたり、絵手紙の交換を行ったりしている小学校や中学校もある。

教育委員会では、認知症サポーター養成講座の実施を学校に呼びかけたり、高齢者との交流活動をしている学校の取り組みを他校に紹介したりするなどして、子どもたちの認知症への理解に努めていく。

【Q7】 〇地域の個々の活動を面でとらえネットワーク化する取り組みとして、現在、ケア24を中心に進められている生活支援体制整備事業第2層協議体の活動が、まさに地域の支え合いによる生活支援の体制の具現化であるとして期待している。区はこの第2層協議体を、今後どのように発展させていこうと考えているのか、その展望をうかがう。

〇区は基本構想の基本的理念で「誰一人差別されず、取り残されない社会」をつくるとうたっている。超超高齢社会に向かい、もはや行政だけでは立ち行かない現実があるとき、地域の力を合わせてセーフティネットを張り巡らせていく必要がある。その場合、地域住民の自発的活動が杉並区の支え合いの一員として参画し、その活動が持続発展していくよう区としても何らかの支援が必要だと考える。住民自治への投資と考え、自由度のある予算配分もふくめ、今後検討が必要と考えるが、区の見解をうかがう。

【A7 高齢者担当部長】 生活支援体制整備事業における第2層協議体の今後の展望については、区としてもこの取り組みを通して、住民同士が支え合って地域の生活課題を解決する地域づくりを進めていくことが重要と考えている。今後は、現在の57の協議体ごとの活動はもとより、地域の実情等に応じて複数の協議体による連携した活動を支援したり、これらの実践的な活動を適切に周知して、参加者を広げることにつなげたりしながら、より一層、各協議体の活動を地域にしっかりと根付かせていきたいと考えている。

なお、住民自治へ投資する観点からの予算配分については、この第2層協議体をはじめ、地域住民の自発的活動を助長するための事案はさまざまあるが、引き続き適切な予算措置を図っていく。

【Q8】 区ではもの忘れ予防検診を70歳になる区民を対象に2021年度より実施している。認知症に関する正しい知識の普及啓発を行うとともに、認知症の前段階である軽度認知障害の方を早期に発見し、その後の適切なフォローを行うことで認知症の発症や進行を遅らせることを目的としているとあるが、受診者の数はどのくらいで、フォローの対象となるのは何%くらいか。具体的にどのようなフォローがされているのか。また、この事業の効果をどのように区はとらえているのかうかがう。

【A8 高齢者担当部長】 2022年度は5,080人の対象者に受診を勧奨し、その2.4%にあたる120人が受診した。その結果、フォローの対象者数は受診者の12%となる14人となり、それぞれの状況に応じて専門医療機関等につないでいる。

こうしたもの忘れ予防検診は、認知症の前段階にある方を早期に発見し治療につなげることにより、発症や進行を遅らせることに寄与しているものと受け止めている。

【Q9】 認知症初期集中支援チームについて、現在、何チームあり、具体的にはどのような取組がなされているのかうかがう。

【A9 高齢者担当部長】 現在この認知症初期集中支援チームは、区内を東・西・南に分けた3ブロックごとに各1チームを設置している。各チームは、それぞれ認知症専門医と医療・福祉の専門職で構成されており、ケア24を通じて支援対象とした、認知症が疑われる方の自宅訪問による生活状況や認知機能等の確認を経て、援助方針を決定の上、その方針に基づき、継続的な医療・介護サービスの利用や生活環境の改善に向けた支援等を実施している。

【Q10】 区は、認知症の相談にあたる認知症サポート医やケア24スタッフをはじめとする医療や福祉の専門職に向け「認知症対応サポートブック」を発行している。相談に来た人の不安に対して、最初に「大丈夫!」と言ってあげることで、本人や家族が不安になり隠そうとしたり、孤立してしまうような絶望感を持たなくてもすむような、認知症に対する新しい常識を意識した内容になっているか、うかがう。

【A10 高齢者担当部長】 認知症対応サポートブックは、高齢者の介護・医療に携わる関係者が認知症の早期発見・早期対応につなげることができるよう作成・配布しているものである。現在の内容は新しい認知症観を強く意識した内容とはなっていないので、議員のご指摘は次回の改訂を図る際の参考とさせていただく。

【Q11】 家族や介護者の支援メニューはさまざまあり、どれも必要なサービスだと考えるが、実績を見たとき、必ずしも多いとは言えないものもある。知られていないのか、使い勝手の問題なのか介護当事者も交えた検証が必要ではないか。区の見解をうかがう。

【A11 高齢者担当部長】 現在の家族介護者支援事業としては、「ほっと一息、安心ヘルプ」「緊急ショートステイ」「徘徊高齢者探索システム」などがある。これらの事業については区が3年ごとに行っている高齢者実態調査を通じて、一定のニーズがあることを把握しているが、改めて機会をとらえて介護当事者の意見をうかがい、必要な改善・見直しにつなげてまいりたい。

【Q12】 ケアマネ不足が言われる中、ケアラーアセスメントのような介護者支援もふくめたきめ細やかなケアプランの作成が定着しているのか心配するところだが、現状はどうか、区の認識をうかがう。

【A12 高齢者担当部長】 ケア24などでケアプランを作成する際には、介護者の方の希望や意向を聴いたうえで、きめ細やかな内容となるよう努めていると承知しているが、改めてケア24センター長会などの機会に、そうした対応が徹底されるよう促していく。

【Q13】 もの忘れが気になりだした方向けの「認知症あんしんガイドブック」にはさまざまな情報が盛り込まれており、よくできているとは思うが、当事者目線で点検すると改善の余地もあるように感じる。そのため、ガイドブックの改定の際には認知症本人や家族の声を聴きながら作成に活かしていただきたいが、いかがか。

【A13 高齢者担当部長】 本年3月に改訂した認知症ケアパスは、認知症の本人やその家族の意見も取り入れながら作成しているが、より一層当事者の視点を大切にして、見やすくわかりやすい内容となるよう、今後の改訂の際にも工夫・改善に努めていく。

【Q14】 認知症になっても自分のやりたいことができ、心豊かに安心して社会参加していける環境を整える必要があり、そのためには本人が意見を出せる場への参加は欠かせない。さまざまな場面ごとに課題解決するためのアクションミーティングをしくみづくりが必要だと考えるが、区の見解をうかがう。

【A14 高齢者担当部長】  現在行っている本人やその家族が参加する「認知症カフェ」のように、今後も新しい認知症観に基づく本人参加の取組みを促進することは重要と考えている。こうした認識に立って、今後どのような場面で、いかに進めていくかについて、さまざまな関係者の意見を聴いてまいりたい。

【Q15】 町会・自治会を始め、地域でのささえあいの機運を高めるためには、地域住民の参加も不可欠である。認知症に対する新しい常識に頭を切り替えて、地域社会の認識を変えていく必要があるのではないか。その一つのしかけとして、その地域ごとの高齢化率や認知症の人数等のデータを地域住民と共有し、自分事として考えるきっかけを区として投げかけてみてはどうかと考えるが、区の見解をうかがう。

【A15 高齢者担当部長】 ご指摘のようなデータの共有や意見交換の機会は意義あることと考える。まずは、生活支援体制整備事業における第2層の協議体において、取り組んでみたいと考える。

【Q16】 〇今年度、認知症の本人やその家族のニーズに合わせた支援ができるよう、地域ごとに「チームオレンジ」の育成に予算がついたが、そのチームオレンジの取組みについて、どこに位置づき、構成メンバーは誰で、どのような活動をしているのか、また区としてどのような活動をイメージしているのか具体的にうかがう。

〇現在も高齢者を見守るしくみは民生委員やたすけあいネットワークや成年後見人等あるが、このチームオレンジとはどのようにすみ分け、連携を考えているのかうかがう。また、認知症で一人暮らしが今後増えていく中で、居住支援の充実も課題になっていると考えるが、それぞれの役割の明確化について、区はどのように考えているのかうかがう。

〇今後チームオレンジの数を増やしていく必要がある。どのようにはたらきかけていくのか区の見解をうかがう。

【A16 高齢者担当部長】 現在チームオレンジは8チームが組織されており、ケア24の20カ所すべてに設置するよう、段階的に取り組んでいく予定。各チームは、当該地域に住む認知症サポーターのうち、ステップアップ講座を修了したメンバーで構成し、交流活動やイベントの実施などを通して、認知症本人とその家族を支援している。

こうしたチームオレンジの活動は、民生委員やたすけあいネットワークによる安全・安否確認を主として見守り、成年後見人等による経済面でのサポートを軸とした支援と異なり、協働参画的な性格が強いものと考える。

なお、ご指摘の居住支援をふくめ、さらなる連携をどのように図っていくかは、今後の課題の一つと受けとめており、各機関の関係者と意見交換を進めていく。

【Q17】 認知症介護研究・研修東京センターより、「希望をかなえるヘルプカード」が提唱されている。自分が行きたいところややりたいことを名刺大のカードに書いて持ち歩き、困ったときにそれを見せて支援を求めるためのツールだ。最近では「私は認知症です」というカードを選ぶ人が30%になってきたそうで、本人発信ができる社会に変わりつつあると感じた。区も「助けられ上手になろう」とこの間発信してきており、このヘルプカードもそのツールの一つになり得ると考える。また、認知症になってから使い始めるというより、その前から使い方をイメージしておくことも必要だと考えるため、認知症サポーター養成講座やおたっしゃ訪問、高齢者向けの送付物に同封する等して、区としてもこのヘルプカードの普及を進めてはと考えるがいかがか。

【A17 高齢者担当部長】  認知症介護研究・研修東京センターが提唱するヘルプカードについては、現在ケア24高井戸で試験的に活用しており、今後同センターと連携して、杉並版のヘルプカードの作成に取り組むことにしている。その動きに合わせて、ご指摘のような普及啓発の取組みも考えていく。

【Q18】 高齢者在宅支援課に若年性認知症相談窓口が設置され、認知症支援コーディネーターが相談を受けていると認識している。この間の相談件数はどのようになっているか確認する。また、計画に記載されている、若年性認知症の実態把握とともに切れ目のない支援体制の構築状況についてもうかがう。

【A18 高齢者担当部長】  区は2020年度から若年性認知症相談窓口を設置し、相談件数は2020年度13件、2021年度13件、2022年度5件となっている。

また、若年性認知症の実態把握については、介護保険認定者数の中から対象者の実数を把握しており、ケア24や医療機関からの相談をもとに、月1回、東京都若年性認知症総合相談センターの医師をスーパーバイザーとして招いた個別支援会議を実施し、その結果をふまえて、障害福祉サービスや介護保険サービスにつなげるなど、」切れ目ない支援を図っている。

第2回定例会一般質問と答弁 2023.6.2 そね文子

Q1 区はこれまで被害者に継続して関わってきた経験を踏まえ、決して区内から被害者を出さない決意で事業に取り組んでほしいが区の見解を確認する。

A1(区長)予防接種は基本的に健康な人が免疫をつけるために受けるものであり、健康被害が出ないように可能な限り安全に実施すべきと考える。区はこれまで区民の命と健康を守ることを第一に予防接種事業を進めていて、HPVワクチン接種についても、平成25年3月の区議会においてワクチン接種後の健康被害例の指摘を受けた際も、同年6月に国に先駆けて独自の救済制度を策定するなど健康被害にあった人に寄り添った対応に努めてきた。

引き続き予防接種法に基づいた実施方法を遵守することはもちろん、ワクチンの有用性と副反応について客観的に分かりやすく伝え、接種対象者が納得して接種するかどうかを選択できるよう周知していく。また万が一健康被害が発生した際は、被害にあった人に寄り添い、健康被害救済法制度につなげるなど、安全で適切な実施に努めていく。

Q2 2022年2月一般質問で情報提供の方法についてきいたところ、保健所に予診票を受け取りに来た接種希望者に、予診票と併せて区で作成したリーフレットを渡し効果や副反応、相談窓口についてリーフレットに沿って説明し、22年度以降もこの体制を継続するとの答弁があった。現在もこの体制は維持されているのか。

A2(杉並保健所長)現在は接種対象者に予診票を送付する際、効果や副反応、健康被害救済制度について記載したリーフレットを同封し、正確な情報提供に努めている。

Q3 2023年4月からシルガード9が定期接種に追加された。その際の案内はどうだったか。

A3(杉並保健所長)これまで予診票を送付し3回の接種履歴が確認出きていない人及び新たに予診票を送る人に対して、2023年以降はシルガード9も接種できること、効果、副反応、健康被害救済制度について記載した案内をこの3月に送付した。

Q4 シルガード9は従来のワクチンと比較してさらに重篤な副反応被害の報告頻度がたかくなっていることを、区のホームページにわかりやすく掲載できないか。

A4(杉並保健所長)厚生労働省のHPVワクチンの有用性や副反応など予防接種の情報が掲載されているので、区のホームページにはそのリンクを貼ることで周知を図っている。

Q5 2022年度の区内のワクチン接種者数、副反応報告数、区の相談窓口に寄せられたHPVワクチンに関する相談内容について差支えない範囲で教えてほしい。

A5(杉並保健所長)2022年度の区内のHPVワクチン接種者数は2064人、副反応報告、相談はない。

Q6 副反応に対する優れた専門家医師の経験を区の医師会に情報共有し、医療機関での診察に役立ててほしいが区の見解は。

A6(杉並保健所長)区と医師会は定期的に連絡会を開催して意見交換し、議論を重ねてきている。ワクチンの有用性や副反応についても情報共有を行っていく。

Q7 2022年に接種勧奨が再開されてから一般医療機関から協力医療機関に送られる患者は急増している。副反応被害が増えていることを表していると考えるが区の見解は。

A7(杉並保健所長)接種勧奨が再開され接種者が増えることに伴い、ワクチン接種後に生じた症状を診察する協力医療機関の受信者が増加することは想定の範囲内と考える。

Q8 2022年HPVワクチン接種の勧奨が再開されるにあたり、厚生労働省は学校での相談体制も整えてから行うようにとの通知を出したが、教育委員会では養護教諭への情報提供をしたのか。

A8(教育次長)ワクチン接種後の副反応により児童生徒の投稿や学習面に影響がみられる際には、学習面や受診、相談の体制が必要になることから学校と教育委員会、保健所が連絡を取り合いながら対応するとともに、養護教諭に児童生徒や保護者からの相談に活用できる情報を提供している。また昨年4月の勧奨再開時には、ワクチン接種に関する国の健康相談支援サイト「スマート保健相談室」の周知も行った。

Q9 シルガード9が追加されたことについて養護教諭などの情報提供は、教育委員会で行ったのか。

A9(教育次長)現時点ではシルガード9が追加されたという情報提供は行っていないが、今後必要な情報共有は行っていく。

Q10 被害者が出た他自治体では、裁判を支援する団体が作った厚労省のデータに基づくパンフレットを保健所の窓口や養護教諭に配っているところもある。区でも取り組んでほしい。

A10(杉並保健所長)保健所窓口や養護教諭に配布するパンフレットは、接種対象者が接種するかどうか納得して選択できるよう、メリット、デメリットを正確かつ客観的に示したものが適切であると考えるので配布は考えていない。

Q11 子宮頸がん検診を受けやすくし、受診率を上げることこそ一番に取り組まなければならないことと考えるが区の見解は。

A11(杉並保健所長)子宮頸がんは罹患初期には自覚症状がほとんどなく、自分で気づくことは困難だ。

このため、ワクチン接種に加え、子宮頸がん検診を受けやすい環境を整え受診率を高めることが重要だ。

これまでも新規対象者の20歳の人を対象に無料クーポン券を配布し、各種広報媒体でPRを行ってきた。

また40歳以上の国保特定健診対象者には、申し込み手続き不要の受診券シールを送付している。本年からはこれに加え、国民健康保険加入者の罹患率が急増する30歳代の人にも送付することとし、さらなる受診勧奨に努めている。

Q12 キャッチアップ接種について、ガーダシルとサーバリックスはハイリスクのHPVのうち2つの型を予防するとされているが、すでに感染している人には予防効果はないと明記されている。また、年齢が高くなるほど有効性は下がる。このことはHPなどで情報提供して検診を勧めてほしい。

A12(杉並保健所長)2022年8月にキャッチアップ接種対象者に予診票を送付した際、初回性交渉前の年齢層に接種することが勧奨されていること、20歳以降は定期的に子宮頸がん検診を受けることが重要であることを記載したリーフレットを同封した。今後このリーフレットをHPに掲載するなど、キャッチアップ接種対象者への情報提供に努めていく。

Q13 区は男子への接種を決してすすめるべきでないと考えるが区の見解は。

A13(杉並保健所長)国はHPVワクチンを男子に対しても定期予防接種として位置づけることの是非について、今後検討することとし科学的知見の収集を国立感染症研究所に依頼した。区は国の科学的知見の収集状況や議論を注視していく。

 

第2回定例会一般質問 2023.6.2 そね文子

HPV(子宮けいがん)ワクチン接種について

  • 定期接種にシルガード9が追加されたことの懸念について
  • HPV(子宮けいがん)ワクチンを男子に接種することの疑問について

昨年区長が交代し、また多くの新人議員の皆さんが入られたので、今回は私がHPV(子宮頸がん)ワクチンの副反応被害に継続して取り組むことになったところから話しを始めたいと思います。杉並区内で2011年11月、中学1年生がワクチンを受け、大変重篤な状態になり、中学校にも通えなくなり、高校、大学も通信制に行くなど、人生が大きく変わってしまった、その被害者に会ったことです。その中学生はワクチン接種直後から腕がしびれその被害について2013年3月に議会で行った質問が新聞報道され、全国から同じ状態で苦しむ家族からの声が届き、全国の被害者家族会が立ち上がりました。

さて、2013年6月、このワクチン接種後に副反応被害が相次いでいることを受け、安全性に課題があることから子宮頸がんワクチンは積極的にお勧めしないという措置がとられていましたが、2022年4月から積極的なお勧めが再開されました。また、積極的なお勧めが中止されていた期間に接種を受けそびれた年代の人たちにキャッチアップ接種としてワクチン接種を勧めるための措置もとられることになりました。

〇区は決して区内から被害者を出さない決意で事業に取り組んでいただきたいが、区の見解を確認します。

〇区では重篤な被害者が出て以降、HPVワクチン接種にあたっては慎重な対応と正確な情報提供に努めてこられたと認識している。区は2022年2月に私が一般質問で情報提供の方法について聞いたところ、保健所に予診票を受け取りに来た接種希望者に、予診票と併せて区で作成したリーフレットを渡し、効果や副反応、相談窓口などについてリーフレットに沿って説明しており、22年度以降もこの体制を継続して情報提供に努めるとの答弁があった。現在もこの体制は維持されているのか。

2023年、今年の4月からは新たにHPVワクチン、シルガード9が定期接種として受けられることになりました。しかし、シルガード9の安全性にも疑問があります。

シルガード9とはこれまでのHPVワクチン(ガーダシル)の成分を約2倍に増量したものです。これまでのワクチンは15種類あると言われる発がん型ウイルスのうち2つの型にしか対応していませんでした。それがシルガード9はそれに5つの型をプラスして7つの型に対応するものになっています。そして免疫増強剤の量も2.2倍になっています。

そもそもこれまで接種されてきたHPVワクチンは、その他の定期接種の平均と比べて重篤とされる副反応報告が8.8倍にも上るもので極めて副反応疑いの頻度が高いワクチンです。厚労省の詳細版パンフレットを見ると、従来型のHPVワクチンの重篤副反応疑い報告は接種1万人あたり約5人なのに対して、シルガード9は約7人と明記されています。厚労省もさらに副反応のリスクが高いことを知りながら接種を勧めようとしているのです。ここで質問いたします。

〇2023年4月からシルガード9が定期接種に追加された。その際にお知らせはどの ようにされたのかうかがう。

〇厚労省のホームページやパンフレットは若い女性に子宮頸がんが増えているという事を強調していますが、国立がん研究センターの資料を見てもそのような事実は見て取れません。先ほど述べたようにシルガード9は従来のワクチンと比較してさらに重篤な副反応被害の報告頻度が高くなっていることを、区のHPに分かり易く掲載していただきたいと思いますがいかがでしょうか、うかがいます。

〇2022年度・2023年度の区内のワクチン接種者数、副反応報告数、区の相談窓口に寄せられたHPVワクチンに関する相談数、差し支えない範囲での相談内容についてうかがいます。

〇昨年4月からHPVワクチン接種のお勧めが再開されるにあたり、厚労省は学校での相談体制も整えてから行うようにという通知を出していました。この通知を受けて区教委では養護教諭への情報提供などしていただくと良いと思いましたが、実際はどのような対応がとられたのでしょうかうかがいます。

 

〇シルガード9が追加されたことを受け、養護教諭などへの追加の情報提供が必要だと思いますが、区教委ではどのように取り組まれているのかうかがいます。

〇被害者が出た他自治体では、裁判を支援する団体が作った厚労省のデータに基づくパンフレットを保健所の窓口や、養護教諭に配りおいてもらっているところもあります。杉並区でも取り組んでほしいと考えますが、いかがかうかがいます。

〇医師会への情報提供についても伺います。

5月18日、HPVワクチン薬害の裁判があり傍聴した。その日は医師で信州大学名 誉教授、専門は神経内科学で多くの神経難病について病態解明、診断基準作成、治療法研究に従事されてきた池田修一医師が専門家としての証人尋問に立たれました。池田医師はこれまで200名以上の副反応被害者を診察してきていますが、このことに関わった経緯は子宮頸がんワクチンの副反応について「ワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究」にとり組んでほしいと厚労省から依頼を受けたことからはじまりました。池田医師がHPVワクチン副反応の特徴としたのが、一人の患者に多様な症状が同時に出現する。時期によって症状の組み合わせが変化するということです。そしてCRPS(複合性局所疼痛症候群)、起立性調節障害、高次脳機能障害の病態を併せ持ったような症候群という結論に達したということです。接種後の病態が共通し、特異性があること、海外の国々においては環境や生活習慣、民族など様々な違いがあってもHPVワクチン接種後の患者に共通の病態が出現していることから心理的要因では説明できない。また信州大学では2013年から積極勧奨が控えられ、接種者が減ると、このような患者も減ったことにも言及されました。そして、厚労省の副反応部会は早い段階で免疫反応の可能性を否定し、接種後の痛みや痛みへの恐怖心が惹起する「心身の反応」と結論付けたことを、とうてい科学的データに基づく議論とは言えないと批判しました。厚労省が「心身の反応」と結論付けたことで多くの患者が2次的被害を被ることになった、そう決められたら一般の医師は、あなたは心身の反応だから精神科に行ってと言いい、被害者は一般の医師の診療を受けられなくなり精神科をたらいまわしにされる結果となりました。患者からの話では、1回目、2回目に接種を受けたときから体調が悪くなったという自覚が本人にはあったのに、医師や保護者にその知識がなく、3回受けないと意味がない、無料で受けられる期間が終わってしまうと言って3回目まで受けさせ、それがさらに被害を悪化させたということでした。

〇このような話は厚労省の医師用のリーフレットにも載っていませんが、多くの患者を診てきた優れた専門家医師の経験を区は医師会に情報共有し、区内医療機関での診察に役立てていただきたいと思いますが区の見解をうかがいます。

〇実際に2022年、積極勧奨が再開されてから、一般医師から協力医療機関に送られる患者の数は急増しています。明らかに副反応被害が増えていることを表していると考えますが、区の見解を伺います。

〇ワクチンを打ってもそれですべての子宮頸がんを防げるわけではないため、検診を受けることが促されています。検診は子宮頸がんを減らすために有効な手段として科学的に証明されています。検診を受けやすくし、その受診 率を上げることこそ一番に取り組まなければならないことだと考えますが、区の見解をうかがいます。また、検診受診率を上げるために産婦人科医ではなく、女性看護師による検診が受けられるようにする工夫などもしていただきたいと思いますが、これから区が具体的に取り組もうとすることがあれば併せてお聞かせいただきたいと思います。

〇最後にキャッチアップ接種についてもうかがいます。○○の情報提供、特化してされるべき、HPに掲載していた だきたいがいかがか。

(2)次に、このHPVワクチンを男子に打とうとすることの疑問について質問します。

隣の中野区では小学6年生から高校1年生の男子のHPVワクチン接種に対し、この8月から全額公費助成を行うことが決まっています。対象となるワクチンは現在男性に対して認可されている4価ワクチンのガーダシルです。

海外では男子への接種を勧めている国がありますが、そこでは女子と同じように被害が出ており、裁判も行われている状況があります。

どうして他の自治体でもほとんど例がないことを中野区が行ったのか疑問に思い議会での審議を見てみました。

そこで保健福祉部長の答弁に目を疑いました。HPV感染は性感染症ですから女子に移さないために男子にも接種を行うという視点からの話ですが、保健予防課長はなぜ区でこの施策を進める必要があるかを問われて、「子宮頸がんの罹患率を年齢別で見ますと、20代から40代の子育て世代に非常に発生率が高い。死亡率も高い。そういう事情があります。中略 単に子宮頸がんを区全体で減らすというだけの考えとゆうよりは、やはりお母さんを守るということ」というふうに述べています。

〇ここで確認したいのですが、20代から40代の罹患率が高いという傾向はあると認識しています。しかし20代から40代の子宮頸がんによる死亡率が高いということについては事実とことなると考えます。国立がん研究センターの統計を見ると、子宮頸がんによる死亡率が高くなるのは50代以降で、8割を占めています。決して20代から40代の死亡率は高くはありません。これは間違った情報を元に施策が進められていることを懸念します。この認識に対する区の見解をうかがいます。

〇さらに中野区での議論を見てみると、ワクチンの供給について確認する質問に保健予防課長が国のワクチン分科会での話を引用し、女性は今後9価ワクチン、これはシルガード9のことですが、それに流れる可能性が高いから、4価ワクチンは空くから、そこに男子を入れたいという考え方だったのではと答えています。これはまるで製薬会社の在庫処分に付き合わされているような話で、このような考えで決して税金を使っていただきたくないと思いました。杉並区では重篤な被害者が出たことから学び、このワクチンの危険性について何度も質疑をし、認識も深まっているかと思います。しかし隣の中野区で、このワクチンを強力に進めたい議員の要望があり、危険性やデメリットを認識しないままに他の議員が賛同し、区が男子への接種を勧める事態に至ったことには危機感を抱きました。杉並区は男子への接種を進めるべきではないと考えますが、区の見解をうかがいます。

 

 

第2回定例会 一般質問 2023.6.2 奥田雅子

認知症の人が暮らしやすい地域づくりについて

目前に迫る超超高齢化社会を見据え、2019年6月に「認知症施策推進大綱」が国の認知症施策推進関係閣僚会議で取りまとめられました。それを受けて、私は折に触れて区の認知症対策について質問に取り上げてきました。

国はその後の議論を経て、今国会で認知症基本法が成立かといった局面を迎えています。

法の趣旨は急速な高齢化に伴い認知症の人が増加している現状に対し、認知症の予防等を推進しながら、認知症の人が尊厳を保持しつつ社会の一員として尊重される共生社会の実現を図るというものです。

区も認知症介護研究・研修東京センター(以下東京センター)との協定をすすめ、認知症対策をより一層充実したものにしていこうと取り組まれていると認識しています。現在、次期高齢者保健福祉計画の改定の議論が進められており、東京センターの助言が計画に活かされていくことを期待しているところです。

そのような中、先日、東京センターの永田久美子さんに現在の全国の動きや変わる認知症観についてお話を伺い、意見交換の場を持ちました。

国の動きとともに、認知症施策をめぐる全国の動向として言えることは、現在、非常に重要な転換期であるということでした。それは認知症観の転換であり、以前にも紹介した「認知症とともに生きる希望宣言」にあるように本人発信、本人参画、認知症バリアフリー、地域共生社会へとこれまでの認知症に対する古い常識を新しい常識に変えていくというものです。どこで暮らしていても人権が守られる生活の保障ができているかという視点から、区の認知症施策について伺っていきます。

Q1. 認知症だから無理と最初から決めつけて、本人の人権が侵害されていないか。医療の前に専門職が人権の視点を持つことが先という基本が全国のトレンドになりつつあります。認知症施策の継続、積み上げを担保し、本人のみならず、家族や働く人の人権にも目を向けた条例をつくる自治体も増えてきています。また、広島県広島市、岩手県矢巾町(やはばちょう)、長野県上田市豊殿(ほうでん)地区や和歌山県御坊市、鳥取県鳥取市、世田谷区などの動きは参考になります。このような認知症施策を巡る全国の動向に対する区の認識、それらを受けて自治体としての責務をどう受け止めているか伺います。

Q2. 国の大綱でも示されているように、これまでの認知症になったらもうおしまいといった絶望感から脱却し、これからは発想を変えるべきです。つまり、「自分事」、「本人視点」、「可能性重視」、「ともに」、「希望」をキーワードに認知症の新しい常識・文化を醸成することで、本人の存在不安が緩和され、状態が安定し、力を発揮し、支え手としても活躍できるようになる。その結果、家族や社会の負担も軽減していき、一人暮らしでも地域でつながりを持ち自分らしく暮らし続けられるようにしていく時代に突入したという認識を私は持ちました。

このように、認知症観の転換期と言われていますが、区の認識はどうか、新しい認知症観について、区の捉えについて伺います。

Q.3 今年度、新規事業として「東京センター」との連携が予算化されました。このような認知症の転換期と言われる状況に対応してのことと考えますが、連携の意図、協定内容など具体的にお示しください。

Q.4 区が把握している認知症の人の数と、推計する数はどのくらいか伺います。

現在の杉並区高齢者保健福祉計画では施策1の高齢者の地域包括ケアの推進の中に高齢者の認知症対策があり、①普及啓発や本人発信の支援②認知症の予防③認知症の早期発見・早期対応に向けた体制・連携強化④介護者の支援の充実⑤認知症バリアフリーの推進(共生の仕組みづくり)⑥若年性認知症の方への支援・社会参加支援の6つの柱が立てられています。

Q5. この6つの柱に沿って、施策や事業が展開されていますが、次の改定に向けてこの間の取組をどのように総括し、今後の取組の方向性はどのように考えているのかお聞きします。

ここからは、先ほど挙げた高齢者保健福祉計画の6つの柱に沿って、区の事業について伺っていきます。 まず、1つ目の柱、「普及啓発や本人発信の支援」について

Q6. 認知症サポーター養成講座は認知症の人と関わる機会が多いことが想定される小売業・金融機関・公共交通機関・公共施設・消費生活相談・警察などの職員向けに実施する必要があります。区内で実施されている機関はどのようなところか、すべて教えてください。

Q7. また、子どもや学生向けの養成講座の実施や高齢者との交流などを通じて、子ども・若者の認知症の人への理解を深めることも必要ですが、学校ではどのように取り組んでいるのか伺います。

2つ目の柱の「予防」について

杉並区には区が主催する認知症予防教室や講演会の開催などの啓発事業の他、地域住民の自発的な活動が沢山あります。運動・スポーツ、学びの場や農作業、地域の居場所でのサロン活動等の高齢者の社会参加の場の提供は、社会的孤立を防ぎ、役割の発揮や高齢者の生きがいにもつながり、なによりも地域活動に参加することが介護や認知症予防になるため、今後、ますます重要になってくると考えます。地域の個々の活動を面でとらえネットワーク化する取組みとして、現在、ケア24を中心に進められている生活支援体制整備事業第2層協議体の活動がまさに地域の支え合いによる生活支援の体制の具現化として私は期待しています、そこが実際に何をするかが重要だと考えています。

Q8. 区はこの第2層協議体を今後、どのように発展させていこうと考えているのか、その展望を伺います。

Q9. 区は基本構想の基本的理念で「誰一人差別されず、取り残されない社会」をつくると謳っています。超超高齢社会に向かい、もはや行政事業だけでは立ち行かない現実がある時、地域の力を合わせてセーフティネットを張り巡らせていく必要があります。その場合、地域住民の自発的活動が杉並区の地域の支え合いの一員として参画し、その活動が持続発展していくよう区としても何等かの支援が必要だと考えています。住民自治への投資と考え、自由度のある予算配分も含め今後、検討が必要だと考えますが、区の見解を伺います。

次に3つ目の柱「認知症の早期発見・早期対応に向けた体制・連携強化」について

Q10. 区ではもの忘れ予防検診を70歳になる区民を対象に2021年度より実施しています。認知症に関する正しい知識の普及啓発を行うとともに、認知症の前段階である軽度認知障害の方を早期に発見し、その後の適切なフォローを行うことで認知症の発症や進行を遅らせることを目的としているとありますが、受診者の数はどのくらいで、フォローの対象となるのは何%くらいか。具体的にどのようなフォローがされるのか。また、この事業の効果をどのように区はとらえているのか伺います。

Q11. 認知症初期集中支援チームについて、現在、何チームあり、どのような取組がなされているのか具体的に説明をお願いします。

Q12. 区は、認知症の相談にあたる認知症サポート医やケア24スタッフをはじめとする医療や福祉の専門職に向け 「認知症対応サポートブック」を発行しています。相談に来た人の不安に対して、最初に「大丈夫!」と言ってあげることで、本人や家族が不安になり隠そうとしたり、孤立してしまうような絶望感を持たなくて済むような、認知症に対する新しい常識を意識した内容になっているか、区の見解を伺います。

次に4つ目の柱「介護者の支援の充実」について

Q13. 家族や介護者の支援メニューは様々あり、どれも必要なサービスだと考えますが、実績を見た時、必ずしも多いとは言えないものもあります。知られていないのか、使い勝手の問題なのか介護当事者も交えた検証が必要ではないでしょうか。区の見解を伺います。

生活者ネットワークではケアラー支援の重要性をこの間の重点政策とし、議会質問でも折々取り上げてきました。ケアラーにとって必要な支援は多様であるため、ひとり一人のニーズを丁寧に聞き取り支援内容を計画するケアラーアセスメントの重要性を訴えた1年前の私の質問では、厚労省が作成した家族介護者支援マニュアルに沿って、ケアラー支援プランを作成しているとの答弁でした。

Q14. ケアマネ不足が言われる中、ケアラーアセスメントのような介護者支援も含めたきめ細やかなケアプランの作成が定着しているのか心配するところですが、現状はどうか、区の認識を伺います。

Q15. もの忘れが気になりだした方向けの「認知症あんしんガイドブック」には様々な情報が盛り込まれており、よくできているとは思いますが、当事者目線で点検すると改善の余地もあるように感じます。そのため、ガイドブックの改定の際には認知症本人や家族の声を聴きながら作成に活かしていただきたいと思いますがどうか、区の見解を伺います。

次に5つ目の柱「認知症バリアフリーの推進(共生のしくみづくり)」について

身体障がい者などに対応したバリアフリー化は一定程度すすみましたが、認知症のバリアフリーは置いて行かれたままになっています。認知症の人にとってのバリアはどんなことかを本人やその家族等から直接声を聴く姿勢が重要だと考えます。買い物や通院、銀行、郵便局、移動、公共施設等生活のあらゆる場面で認知症の人にとってはバリアだらけだという認識を私たちは持つべきです。

昨今、よく聴く事例では、スーパーなどで万引き疑いをかけられ、すぐさま警察沙汰になって家族は見張っておくようにとか施設に入れるようにと警察から言われ、本人も家族も傷ついてしまう。結果、認知症の人は外出を制限されて自由を奪われてしまうということが起きているということです。もちろん自由と安全のバランスの中で対応することが重要でありますが、一方的に認知症本人の気持ちを無視してしまうことは逆効果にもなりかねないため、寄り添える体制が必要となると考えます。

Q16. 認知症になっても自分のやりたいことができ、心豊かに安心して社会参加していける環境を整える必要があり、そのためには本人が意見を出せる場への参加は欠かせません。様々な場面ごとに課題解決するためのアクションミーティングの仕組みづくりが必要だと考えますが、区の見解を伺います。

Q17. 一方、町会・自治会を始め、地域でのささえあいの機運を高めるためには、地域住民の参加も不可欠です。認知症に対する新しい常識に頭を切り替えて、地域社会の認識を変えていく必要があると思っています。その一つのしかけとして、その地域ごとの高齢化率や認知症の人数等のデーターを地域住民と共有し、自分事として考えるきっかけを区として投げかけてみてはどうかと考えますが、区の見解をお聞きします。

Q18. 今年度、認知症の本人やその家族のニーズに合わせた支援ができるよう、地域ごとに「チームオレンジ」の育成に予算がつきましが、そのチームオレンジの取り組み状況について伺います。どこに位置づき、構成メンバーは誰で、どのような活動をしているのか、また、区としてどのような活動をイメージしているのか具体的に伺います。

Q19. 現在も高齢者を見守るしくみは民生委員やたすけあいネットワークや成年後見人等ありますが、このチームオレンジとはどのようにすみ分け、または、連携を考えているのか伺います。また、認知症で一人暮らしが今後増えていく中で、居住支援の充実も課題になっていると考えますが、それぞれの役割の明確化について区はどのように考えているのか見解を伺う。

Q20. また、今後チームオレンジの数を増やしていく必要がありますが、どのようにはたらきかけていくのか伺います。

Q21. 東京センターより、「希望をかなえるヘルプカード」が提唱されています。自分が行きたい所ややりたいことを名刺大のカードに書いて持ち歩き、困った時にそれを見せて支援を求めるためのツールです。最近では「私は認知症です」というカードを選ぶ人が30%になってきたそうで、本人発信ができる社会に変わりつつあると感じました。区も「助けられ上手になろう」とこの間発信してきており、このヘルプカードもそのツールの一つになり得ると考えます。また、認知症になってから使い始めるというより、その前から使い方をイメージしておくことも必要だと考えるため、認知症サポーター養成講座やおたっしゃ訪問、高齢者向けの送付物に同封する等して、区としてもこのヘルプカードの普及をすすめてはどうかと考えますがいかがか伺います。

最後6つ目の柱「若年性認知症の方への支援・社会参加支援」について

Q22. 高齢者在宅支援課に若年性認知症相談窓口が設置され、認知症支援コーディネーターが相談を受けていると認識しています。この間の相談件数はどのようになっているか確認するとともに、計画に記載がある、若年性認知症の実態把握と共に切れ目のない支援体制の構築状況についても伺います。

今回、認知症対策について、認知症の古い常識・文化を新しい常識・文化へと変えていくことが重要であるという視点から縷々質問してきました。古い認知症観のままで悪循環に陥り、苦労している人が非常に多い現状があります。絶望の悪循環から希望の良循環に変えることで互いに楽になる。新しい認知症観を「地域のあたりまえ」に若者や子どもも含め浸透させていく必要があります。普段からのつきあいの中で”変化があっても、これからもよろしくね“と言い合える地域づくりが必要であり、認知症になっても希望をもって住み慣れた地域で暮らし続けられる杉並区にしていきたいと私は思っています。

最後に認知症本人たちが29回も書き直して言葉を紡いだ「認知症と共に生きる希望宣言」の本人たちの思いを紹介します。

私たちは、認知症と共に暮らしています。

日々いろんなことが起き、不安や心配はつきませんが、

色々な可能性があることも見えてきました。

一度きりしかない自分の人生をあきらめないで、

希望をもって自分らしく暮らし続けたい。

次に続く人たちが、暗いトンネルに迷い込まずにもっと楽に、いい人生を送ってほしい。

私たちは、自分たちの体験と意思をもとに

「認知症と共に生きる希望宣言」をします。

この宣言をスタートに、自分も希望をもって暮らしていこうという人、

そしてより良い社会を一緒につくっていこうという

人の輪が広がることを願っています。 と綴っています。

この宣言をきっかけに自らの言葉で体験や希望をリアルに伝え、常識を変える本人が全国で急増中とのことです。認知症を自然体でオープンにできる環境づくりは暮らしやすい地域にもなります。今後の超超高齢社会の進展に伴い、認知症はありふれた状態になり、一人暮らしの認知症も増えていき、今まで体験したことのなり世界が始まっています。

Q23. まずは区役所の中から認知症に対して新しい常識に転換していかなければならないし、それに合わせた制度の見直しも必要になってくるでしょう。最後に区の今後の展望をお聞きし質問を終わります。

第1回定例会 予算特別委員会意見開陳 2023.3.14 そね文子

いのち・平和クラブを代表して、2023年度杉並区一般会計予算並びに各特別会計予算及び関連諸議案について意見を述べます。

昨年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻で始まった戦争は1年たった現在も出口が見えず、世界規模での軍事的緊張、エネルギーの高騰など大きな影響を与えています。

国内に目を向けると、岸田政権は国会の議論を経ずに、原発の60年超え運転延長や建て替え容認の方針に転換し、防衛費を5年間で43兆円とすることを閣議決定しました。こうした国民の声を聴かず、いっそう軍事的緊張を高め、いのちを脅かす姿勢は決して許されず、批判の声も強まっています。

3年以上にわたるコロナ禍は、生活困窮と経済格差の拡大を招き、ウクライナ侵攻や円安が原油や生活必需品の値上げに拍車をかけ、区民生活に大きな影響を与えています。

こうした先の見えない不安定な社会状況の中、私どもいのち・平和クラブは、住民に一番身近な基礎自治体の役割である区民福祉をいかに支え向上させるか、長引くコロナ禍での疲弊や物価上昇、昨今の気候危機から区民の命と財産を守り、子どもたちが将来に希望を持てる予算となっているかに注目しました。

情報公開と対話を重視し、気候危機などの重点課題を区民参加で進めることを表明する岸本新区長の予算案に対し、予算編成方針および区政経営計画書の主要事業の概要に沿って、予算特別委員会の質疑も踏まえ、評価する点および要望する点など、意見を述べます。

第1に、区財政と区政運営についてです。

ウクライナ戦争の長期化によるエネルギー危機、海外景気の下振れや金融資本市場の変動など、今後の不透明な経済状況と、ふるさと納税をはじめとする不合理な制度による歳入減が見込まれる中、特別区特有の待機児童対策などの緊急を要する課題や、首都直下型地震などの大規模災害への備えに多くの財源が必要となっています。これに対応するために財政の健全さを保ち、必要なサービスを継続的に提供できる財政運営が求められています。本予算案は、2022年に始まる総合計画に定めた「財政健全化と持続可能な財政運営を確保するための基本的な考え方」に基づき編成され、安定した区政運営を実現できるものと確認しました。

歳入の款で、2022年度以降の40年間の、区立施設の再編整備計画で、必要な財源が確保できるのかを確認しました。特に向こう10年間は改築時期が集中するために財源確保が厳しい時期となります。中でも多額の経費を要する学校改築にあたり、改築の平準化、長寿命化を図りつつ、日常的に予算の確保、コストの削減に向けた施設維持管理の適正化など、多角的な取り組みが必要とされ、全ての区立施設を総合的にマネジメントすることの必要性が国から示されました。地方自治法で住民の福祉を増進する目的で規定された公共施設は、コストの削減だけを重視した進め方ではその役割を果たせないおそれがあります。財源確保のための不要施設の売却や民間との連携が、住民サービスの削減にならぬよう慎重に進めること、また民営化や指定管理の導入がサービスの質を下げるものにならぬようにしっかり検証することを求めます。

第2に、区民生活についてです。

指定管理者制度について、様々な立場の方にアンケートを行ったことを確認しました。私どもには特に区民センターなどへの指定管理者制度導入により、区民サービスの向上が図られたという声がある一方で、活動場所としての使いにくさ等の声が届いています。区はこうした声を把握していないとのことでしたが、アンケート調査だけでなく、生の声も吸い上げ、検証に活かしていただく様求めておきます。また、アンケートの集計結果をぜひ共有させていただくよう要望します。

震災救援所の居住性確保に向けて、これまで求めてきた段ボールベッドの導入の準備が進んでいることやトイレの配置の考え方が確認できました。段ボールベッドの発災時の調達についても事業者と確認していることがわかりました。今後、震災救援所における配置計画や訓練を通して、非常時においても混乱がないようさらなる準備をすすめていただきたいと思います。また、女性の視点から備蓄品を選定する場合は、多様な世代や立場にも配慮し、幅広く意見を聴くよう求めておきます。

第3に、保健福祉についてです。

一つの家庭で複雑で複合的な生活課題を抱えるケースが増える中、区が縦割りから分野横断的な取組の転換を重視し、在宅医療・生活支援センターを中心に、地域における支え合いのしくみづくりの推進や区民を支える包括的支援体制の強化をすすめて来たことを評価します。家族丸ごとの支援がさらにすすむためには、国がすすめている重層的支援体制整備事業に取り組むことも必要であり、今後に期待します。答弁からも行政が地域住民や社会資源と一体的にすすめていく姿勢が確認できました。住民自治を生み育てる視点、ネットワーク型のまちづくりを意識的にすすめていただくよう要望します。

第4に、子ども家庭支援について。

「子どもの権利に関する条例」の制定に向けては2年間かけて、子どもの意見や思いを丁寧に取り入れていく区の姿勢を確認しました。子どもは権利の主体であり、親の所有物でも付属物でもないことを大人こそが理解しなければなりません。子ども自身が主体的に考え、決定に参画していくことを大人がサポートする体制をしっかりつくって臨んでいただくよう要望します。

また、子どもの貧困やヤングケアラーの実態調査は対策を打つ上で必要不可欠な取組です。全体的な傾向把握だけでなく、個々の実態に即した支援につながるよう、支援団体や当事者からの声も集め必要な支援策をつくっていくことを要望します

第5に、都市整備についてです。

都市整備費の中でこれまで議論があった都市計画道路132号線は、事業認可後も地権者や借家人など沿線住民の理解を得ながら丁寧に進められていることが確認できました。計画では車道幅はそのままで、歩道や自転車レーンの幅を広げ、高齢化と人口減により車が減少する時代の人に優しい道路をめざしていることがわかりました。立ち退きや店舗の移転を迫られる方へは暮らしや事業の継続を可能とする十分な補償を区に求めたところ、対象となった方々から不満は出ていないことも確認しました

事業化が始まった阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりは、区内基幹病院として重要な河北総合病院のたてかえを契機にしたものです。けやき屋敷の地権者が屋敷跡地を病院の建て替え用地として貸すことが区に報告されたことで、病院跡地に杉並第一小学校を建て替えることを申入れ、3者の協議が整いました。耐震性に課題がある河北総合病院は、現在の位置で運営を継続しながらの建て替えは不可能で、場合によっては他の地域に移転する恐れもありました。また年間8000台の救急車両が通過する商店街は道路幅が狭く、危険なことから改善が求められていました。けやき屋敷の貴重な緑と震災時の大切な空地は、地権者の努力だけで維持することは難しく、相続税対策で民間の開発に委ねる恐れもありました。区が介在する地区計画になったことで、より多くの緑を守ることが可能となりました。当初杉並第一小学校は現在の位置に高層化し校舎の屋上を校庭にする案で保護者の了解を得てきました。震災時の避難や救援所としての利用には課題が残り、またけやき屋敷を緊急時の避難場所にしていたことは病院の建て替えで不可能となりました。病院跡地への建て替えで校庭も地上につくられ震災救援所としても機能をはたせることになりました。これまでの質疑で心配していた土壌汚染、浸水対策も十分施されることが確認できています。

133号線は、多くの住宅上に計画され、未だ反対の声が地域の多数をしめていることから、会派としては事業化には反対です。東京都に現状を伝えつつ、区としては住民の立場に立って対応するよう求めます。

下高井戸1丁目は京王線の高架化に伴い、中央高速の高架との谷間になり、騒音や排ガスなどによる環境悪化や、狭隘道路が多く住宅密集地域であることから震災時の危険性が指摘されています。区境の地域では、他区の避難所が至近距離となる場合があり隣接区との連携が不可欠です。防災組織の育成やまちづくりの課題について世田谷区との連携を強めるよう求めます。

第6に、環境施策についてです。

気候変動問題に重点を置き、「(仮称)気候区民会議」での議論を経て、多くの区民参加で取り組みを進めようとする試みに期待をしています。杉並区地球温暖化対策実行計画(案)が出され、2030年の温室効果ガスを2000年比で50%削減するという具体的で高い目標が示されました。これを達成するために特に必要なのが家庭部門でのCO2削減となっています。区には着実に取り組みを進めることを求め、私どもも区民と共にできる限りの努力をしたいと決意を新たにするところです。

第7に、職員についてです。会計年度任用職員は、女性が87%、区内在住者が65%となり、常勤職員と比べても圧倒的に女性、そして区民が多いことがわかりました。2022年度は355名が勤続年数6年をむかえることから、労働施策推進法などに基づきハローワークへの大量解雇の通知義務を負うことを指摘しました。年限撤廃は、こうした煩雑な手続きを避けるためにも不可欠であり、また当事者からも不安が訴えられていることからまったなしです。改めて当事者の立場に立って対策を取るよう強く求めておきます。

第8に、教育についてです。

不登校児童生徒が過去最多の700人を超える状況で、その子ども達がそれぞれの状況に応じた教育の機会を確保できるよう、新たに不登校特例校設置の調査研究及びさざんかステップアップ教室の増設を検討することが示されたのは重要です。保護者同士の情報交換やピアカウンセリングにもなる親の会を教育委員会が主催することを、引き続き要望いたします。

コロナ過での制限の多い生活が子どもたちに与えた影響は計り知れません。質疑で教育委員会のマスク着用に対する今後の考え方を伺いましたが、強い強制力と同調圧力によってマスクを着用してきた子どもたちが、一刻も早く気兼ねなくマスクを外せるよう、それぞれの子どもに配慮しつつ働きかけを行うよう要望します。

以上の理由から、2023年度一般会計予算及び各特別会計予算について賛成いたします。 次に、予算関連議案について意見を述べます。

議案第11号、杉並区職員の特殊勤務手当にかんする条例の一部を改正する条例については、東京都が児童相談所業務の手当額を引き上げたことに伴い、杉並区の児童相談所業務手当を見直すものでありますが、人材確保の点からも重要であり賛成します。

議案第12号、杉並区性の多様性が尊重される地域社会を実現するための取り組みの推進に関する条例についてです。全国255の自治体ですでに条例などが制定されていることが判りました。本条例は、誰もが自分らしく生きることが尊重される社会に向かうためのものです。性的マイノリティの方々への理解が社会全体に広がり、また私たちが享受している当然の権利が、同性婚をはじめとするすべての方々に行きわたることを切に願うものです。

今回「性自認」が、犯罪を誘発するとの意図的で誤った宣伝が行われ、不安と偏見を煽っていることは許されません。議案に反対する唯一の理由である「トランスジェンダーを装った男性による女性への人権侵害」は先行自治体では起こっていないことを確認しました。このように全く別次元の問題を同列に扱い、条例案を攻撃するのはヘイトそのものです。優先すべきは誰一人として性犯罪の被害者にしない社会づくりとそのための法的整備を急ぐことです。また、本条例から事実婚が除外されたことは残念であり、今後の拡充を期待します。

議案第13号、杉並区立コミュニティふらっと条例の一部を改正する条例についてです。本議案は方南集会所だった場所にコミュニティふらっと方南を設置することとその使用料を定めるためのものです。なお、この地域では、児童館と併設になっているゆうゆう方南館が方南小学校の児童数の増加から学童クラブと放課後の居場所事業を行う施設へとなります。そのため、昨年11月8日の住民説明会では、ゆうゆう館や方南集会所を利用する方々から、活動場所の縮小により定期的利用への不安や施設の環境整備に関する意見・要望が出されていました。区にはこれらの要望に最大限応えるための努力を求めて、議案には賛成とします。

 

議案第15号杉並区事務手数料条例及び杉並区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例についてです。これは建築基準法の一部が改正されたことを受け規定の改正を行うものです。また、省令等の一部が改正されたことに伴い建築物エネルギー消費性能向上計画認定申請手数料等を定める必要があるための条例提案であり、必要な改正であることから賛成します。

議案第28号、杉並区国民健康保険条例の一部を改正する条例についてです。コロナ感染症の医療費が国保財政の対象とされたことから、国保事業会計の支出が増大しています。23区は国保料の急激な値上げを避けるための対策を取りながらも、支出が増えたことで保険料の値上げは避けられないものとなりました。国保制度は、支出が増えれば青天井で保険料の値上げとなり、被保険者の暮らしへの影響は大きく、払いたくても払えない人を増やします。皆保険としての国保制度を成り立たせるためには、国の抜本的対策が必要です。今後も区長会として国や都への対策を強く求めるよう要望し賛成とします。

議案第29号、令和5年度杉並区一般会計補正予算第1号は、すべての年齢を対象とする新型コロナワクチン接種の費用が含まれています。質疑で明らかにしましたが、区内では10代までの副反応報告数は5名でその内重篤とされたものが3名にも上ります。一方その年代でのコロナウイルス感染症では重症者はいません。このワクチンは特例承認されたもので、接種が事実上の臨床試験と言えますが、区の状況から見て子どもにとっては明らかにワクチンのデメリットがメリットを上回っています。全国では400以上の自治体が子どもへのワクチン接種券の一斉送付を行わない慎重な対応をとっている中、杉並区はこのような状況であるにも関わらず、子どもへワクチン接種券の一斉送付を行うことは、子どもの命を守る姿勢とは言えず改善を強く求めるものです。よって補正予算に賛成はできません。

そのほか議案第14号、議案第27号、議案第30号には賛成します。

最後に、資料作成に御尽力いただいた職員の皆様に感謝を申し上げ、いのち・平和クラブの意見開陳といたします。

 

第1回定例会代表質問と答弁 奥田雅子2023.2.9

いのち・平和クラブを代表して、2023年度予算編成方針とその概要について質問します。

質問に先立ち、2月6日に発生したトルコ・シリアでの大地震により甚大な被害が広がっていることに対し、多くの犠牲者の冥福を祈るとともに、被災されたすべての人々にお見舞い申し上げ、未だ不明の方々の一刻も早い救出を願う。

さて、岸本区長が杉並区長に就任して、早7か月が経とうとしている。

この間、区長は重視するとした対話と情報公開を実践し、住民説明会や議会でのやり取りなどの空気が変わってきたと多くの方が感じているところではないかと考える。一方、国政に目を転じると、国民にとって重要な政策転換とも言えるにもかかわらず、国民への説明や国会での議論がないままに防衛費増額、「反撃能力」の保有や原発回帰ともとれる新たな原発の建設や老朽原発60年超えの運転期間の延長などが閣議で決められ民主主義と平和を脅かす事態が起こっている。

また、超高齢社会を目前に異次元の少子化対策として子育て予算倍増を打ち出したが、しっかりと子育て世帯の声を反映させた中身を示して、財源を明らかにすべきであり、未だ不透明の状況は問題だ。

これらに限らず、区政で取り組む課題は私たちの暮らしに直結するものばかりである。円安による物価高や、ロシアとウクライナの戦争に起因したエネルギー価格の高騰など、多くの区民の生活は厳しさを増しており、そこへの支援がますます必要となっている。

区長の著書「地域主権という希望」の中で、区長が杉並区の中で取り組もうとしている変革は「公共」の役割と力を取り戻すことであり、地域住民が主体となって、自分たちの税金の使いみちや公共の財産の役立て方を民主的な方法で決めていくことだと述べており、住民自治によるまちづくりが進み、区民の暮らしの安定や区民福祉の向上が実感できる区政運営に期待するところだ。

今回、岸本区長にとって初めての予算編成となるが、順を追って質問していく。

1.予算編成方針とその概要の冒頭に区長が述べている区政運営に対する基本姿勢の6つの柱に沿った振り返りについて伺う。

Q1‐① まず、1つ目の柱として、今年度、総合計画等の一部修正を行った内容を確認するとともにこれに対する区民評価とその総括はどうか、また新年度1年前倒する内容を確認する。

A1-①区長)昨年11月に議会に修正案を示した、実行計画等の一部修正の決定内容については、後日改めて説明するが、計画の一部修正にも関わらず、117件、290項目にわたる区民意見が寄せられ、区民の区政に対する関心の高さを感じたところだ。例えば、施設再編の取組についても、反対の立場からの意見だけでなく、賛成の立場からの意見も複数寄せられ、幅広い区民からの声を吸い上げることができたものと評価している。

来年度行う総合計画等の改定については、施設再編整備計画や指定管理者制度の取組などの検証結果や、この間の社会経済環境の変化等も見定めつつ、計画全体を見直すこととしているが、改定方針やスケジュールの詳細については現在検討中であるため、決まり次第、議会にも報告する予定だ。

Q1‐② 2つ目の柱の情報公開・発信については、区政情報の積極的な公開、提供に努めてきたことは、これまでにはなくより充実したものになったことは評価する。その上で記載以外に新たに情報公開がすすんだことは何か、確認する。

A1-②区長)私は就任以来、「区政の情報は区民のものである」との認識のもと、区政情報の積極的な公開、提供に努めてきた。「まちづくり基本方針骨子案」への意見募集や区民と区長の対話集会である「さとことブレスト」で得た貴重な意見は全文公表した。さらに、区に寄せられた多種多様な意見は、それぞれの意見に込められた思いを正確に伝えることが重要であると考えていることから、パブリックコメントについても原則全文を公表することとした。

また、昨年9月には全職員に向けて、区への情報公開請求にあたっては「情報は原則公開であること」「情報が非公開となる場合は、その理由を厳格に判断すること」などを徹底する旨の通知を発出したところだ。

こうした取り組みを実施することにより、対話と議論のために必要な情報の共有が進み、また、職員の情報公開や情報提供に関する意識が高まってきていることを実感している。引き続き、これらの取組を推進し、区政の透明度向上を図っていく。

Q1‐③ 3つ目の柱の区民参加型予算の導入について、森林環境譲与税基金の使途をテーマとするとある。基金は譲与税の一部だと認識しているが、森林環境譲与税全体の使い道はどのように考えているのか、今回、基金に限定しての取組みとした理由は何か伺う。

A1-③区長)区民参加型予算については、6年度予算案に反映するべく、森林環境譲与税基金の使途をテーマにモデル実施の予定だ。基金の原資である森林環境譲与税については、法に基づき、間伐等の森林の整備に関する施策、人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等に関する施策に充てることとされているので、毎年度の譲与税の使途もその主旨を踏まえ検討をしている。また、区民参加型予算により決定する使途についても、その主旨を踏まえたものになるものと想定しているが、区民の柔軟な発想による提案を期待しているところだ。

また、初めての取組となることから、区民にとってわかりやすいテーマを選択すること、6年度から森林環境税の徴収がスタートするということも踏まえ、今回については森林環境譲与税基金の使途というテーマをあらかじめ設定することとした。

今後は、今般のモデル実施により、課題や問題点を整理したうえで、事業スキームや予算規模等について検討し、本格実施につなげていきたいと考えている。

Q1‐④ 4つ目の柱の効率的な区政運営を進める上での民間委託等の手法の検証では、指定管理事業者やその従事者、利用者へのアンケート実施など検証作業中と聞く。その検証項目は対象によって異なるがどのようなものか、また検証にあたっては専門性が求められると思うが、どのような職員や専門家が担うのか、確認したい。

A1-④区長)今回の検証においては、運営に係る現状等を正確に把握するために、様々な立場の人から幅広く丁寧に聴取している。指定管理者に対しては、サービス内容や運営状況などについて、現場で働く従事者には、就労実態や仕事のやりがいなどについて調査している。また、利用者には施設の満足度等を尋ねるとともに、無作為抽出の区民アンケートでは施設を利用しない区民も対象として、サービスに対する意見を聴取しており、これらを取りまとめ、制度導入前に想定していた効果等を検証し、今後の制度導入に際しての留意点などを含めた活用方法などを検討していく。また、検証作業は業務内容を熟知している指定管理者制度の業務担当課のほか、制度を取りまとめている企画部門の職員を中心に進めている。なお、有識者については、より効果的にかつ客観的な検証となるよう助言をもらうことを考えており、公共政策等に精通した人に、現在、個別に打診しているところだ。

Q1‐⑤ また、施設再編整備の検証作業については、何をどのように、誰が検証しているのか。来年度も継続する方針でその結果は今後の総合計画等改定にいかすとあり、検証作業における情報公開も必要と考えるが、どのようにするのか伺う。

A1-⓹区長)まず、検証の内容だが、施設再編整備に係る総論や様々な区民意見がある児童館・ゆうゆう館・地域コミュニティ施設の再編整備を対象に、これまでの取組を調査・分析し、今後の方向性を検討していく。また、全庁的な視点から組織横断的に検証を行うため、区政経営改革推進本部の下に検証部会を設置し、検証作業に取り組むとともに、有識者からの意見聴取も実施していく。

次に、検証作業における情報公開だが、検証にあたっては適宜、議会へ報告を行いながら進めていくとともに、区公式ホームページを活用し、アンケート結果のほか、施設利用者や運営事業者との意見交換で寄せられた意見など、検証の内容を区民にわかりやすく伝えていく。

Q1‐⑥ 1980年代前後に次々と建てられた公共施設が老朽化し、今後一斉に建て替えを迎えるという自治体が抱える課題に対応する「施設再編整備計画」の必要性についての区長の見解を改めて問う。

A1-⑥区長)区立施設再編整備計画は多くの区立施設が次々と更新時期を迎える中で、少子高齢化の進展や将来的な人口減少など時代とともに変化する区民ニーズに的確に応えるとともに、将来にわたって持続可能な行財政運営を行っていくために策定された計画であると認識しており、こうした課題には区として、しっかりと対応していく必要があると考えている。

一方で、具体的な再編整備の手法や進め方等については、様々な意見があるため、これまでの取組を検証し、今後の方向性を決定していきたいと考えている。

 

Q1‐⑦ 5つ目の柱の風通しのよい職場づくりでは、「ナミー‘S café」について、これまで14回の開催でたくさんの気づきがあったとされているが、具体的に聞きたい。またハラスメントに関する職員アンケートの結果を区長はどのように受け止めたのか。回答率が職層ごとに出ていないため、それぞれの職層ごとの回答率を聞くとともに、管理職や係長級職員の中にも規定の存在やハラスメントの定義などを知らないと答えた職員もおり、今後、宣言と同時に日々の業務の中で常に意識化することが大切だと考えるがいかがか。

A1-⑦区長)まず、「ナミー‘s café」で多くの職員と話をする中で、総じて職員は自らの担当業務に問題意識を持ち日々努力していること、一方で、こうしたらもっと効率的、効果的に仕事ができると思っていても言い出す機会がなく、胸の内に抱えてしまっている職員が少なからずいることがわかった。具体的には区は民間と比較するとデジタル化の遅れやテレワークの仕組みも不十分である、会計年度任用職員の中に報酬や雇用期間の改善を願う声があることなどを認識することができた。

次に、ハラスメントに関する職員アンケートについての質問だが、アンケート結果の受け止めについては、ハラスメント行為を受けたことがあるという回答が400件を超えていたことは想像以上であり、この状況を絶対に見過ごしてはならない、根絶に向けた具体的な取組を速やかに実施していかなければならないと決意を新たにし、ハラスメントゼロ宣言を行ったところだ。

今後は、指摘のあった職員への意識啓発や相談体制の充実のほか、外部専門家による管理職を中心とした研修やゼロ宣言の効果を計るアンケートの実施などをしていく考えだ。

最後に、職層ごとのアンケートの回答率ですが、管理職が約65%、係長級が約60%、主任・一般職員が約47%、会計年度任用職員が約36%となっている。

Q1‐⑧ 6つ目の柱の議会との自由闊達で生産的な議論について聞く。区長公約の中には、議会で必要性を議論し決定されたこと、また既に実施されつつあることに反対するものがあった。また、今後の取り組みについては、公約の中で実現が難しい課題は先送りし、多くが2023年度の検討課題とされたが、議会は幅広い様々な区民の意見を反映する場でもあるため、区長からの議会への提案に至るまでの経過で、議会との意見交換が必要と考えるが見解を問う。

A1-⑧区長)区政運営において、対話を重視するという考えは、議会との関係においても変わりはない。政策形成のプロセスにおいて、議会に対しても積極的に情報を提供し、議論をする機会の確保に努めていきたいと考えている。また、他の会派にも答弁したように、自由闊達な議論とは双方向なものだと思っているので、例えば気候変動と地域経済や学校給食といった分野横断的な今日的な課題について、議員からも是非、条例の提案も含め様々な政策提言をもらいたい。

 

2.次に、区長が今後の区政運営における課題と捉えていることについていくつか伺う。

Q2‐① <地域を巻き込んだ政策決定プロセスづくり>では、「計画説明型」から「対話協調型」の行政という点は、同じような考えで区に提案してきた者として歓迎するものだ。反対や対立からは次なる策は見いだせないと考える。今後は子どもはもちろん、様々な立場の当事者の声を区長が直に聴く機会も増やしてほしいし、計画策定段階から区民を巻き込んでいくことは区政に対する当事者性が生まれ、結果的に計画への理解が進むと考えるがどうか。

A2-①区長)「対話から始まるみんなの杉並」をスローガンに区長に就任した私にとって、様々な当事者の声を私自身が直接聞く機会をたくさん作ることは、最優先で取り組むべき大切な仕事の一つだと思い、できるだけ多くそうした機会を設けているところだ。対話の場を通じて聞いてきた区民の声は私にとっても、区政にとっても宝物であり、ご指摘のあった子どもたちの声も含めて、引き続き直接対話する機会を多くつくっていきたいと考えている。

私は、区民の声を聴く際には、そのタイミングもとても大事だと思っている。これまでのように、計画や政策が決まった後に説明会を開くというような流れではなく、それらを策定する段階から、区民ニーズを吸い上げるための対話や意見交換を何らかの形で行っていくことが対話を大切にする区政の姿だと思う。基本構想の中に「わたくしたち自身が自分たちのまちを自らの手で紡ぎ出していくこと、それが杉並区のさらなる前進につながっていきます」という文章がある。まさに、区民自身が当事者として区政に係り、区とともに区政を前進させていく地域社会の姿を目指して、今後とも努力を続けていきたい。

Q2‐② <気候変動対策を通じて地域を豊かにする>ことについては、ゼロカーボンと「気候正義」の実現に向けた区長の意気込みが感じられ、具体策のイメージもあるということがわかった。仮称)気候区民会議の早期開催に期待しするが、区内には様々な角度から環境問題に取り組む団体も多く、それらの団体との情報交換や意見交換の場を積極的に持ってほしいと考えるがいかが。

A2-②区長)区はこれまでも環境活動推進センターに登録する環境団体と情報交換や意見交換等を行ってきている。今後、気候変動対策を着実に推進していくためには、環境団体はもとより、様々な分野の団体との意見交換等を行うことは、区民に広く啓発を図っていくために欠かせない重要な取組となるため、積極的に取り組んでいく。

Q2‐③ また、仮称)気候区民会議では様々な有識者を招いた有意義な講義が多数行われると思うが、多くの区民が聞けるよう、オンラインでの配信についての検討をしてほしいと考えるが、いかがか。

A2-③区長)仮称)気候区民会議では若者から高齢者まで幅広い世代の参加のもと、気候正義などをテーマに若い世代を含む有識者の講演会や学習会などを検討している。

なお、これらの講演会の内容をより多くの区民へ伝えることは環境配慮行動の普及・啓発を図る上で大変重要で、オンラインも含めた効果的な周知方法等を検討していく。

Q2‐④ <職員の働く環境を変革し、新たな区政課題にも活路を開く>では、全ての職員との対話も重視することが、お互いの信頼関係の構築にもつながるものと期待している。職員からの700件以上の提案・意見はどのような内容だったのか。主なものや区長が印象に残ったものを紹介してほしい。

A2-④区長)働き方の改革やデジタル化の推進に関する意見が多く、例えば、資料作成や会議の見直しのほか、各種計画の策定や改定作業などの負担軽減を求める意見などがあった。今後はこの内容を整理した上で職員と共有し、可能なものから具体的な改善等につなげていきたいと考える。

Q2‐⑤ また、会計年度任用職員については、経験を有し専門的な分野も担う重要なポストであるにも関わらず、年限制度により不安定な雇用形態となっていることに我が会派は見直しを求めてきた。会計年度任用職員からの声を聴き、他区の状況など参考にし、検討する段階にあり、新年度にはその結論がでるものと認識しているが、どのようなスケジュールになるのか、年限撤廃に対する区長の考えを改めて伺う。

A2-⓹区長)これにより再度公募にまわることに不安を感じる会計年度任用職員が少なくないことは、当事者である職員と直接対話をする中で把握している。この件も含め、会計年度任用職員の勤務条件の改善に向け、現在の東京都や他区の状況を調査している。この調査結果や常勤職員の勤務条件との比較検証などを踏まえ、職員団体との協議も行いながら令和5年度の秋ごろまでには改善策をまとめ、令和6年度から実施する予定だ。

 

3.次に2023年度予算編成方針の基本的な考え方について3点伺う。

Q3‐① 第1 に掲げた区民のいのちとくらしを守るために必要な予算の計上について、コロナ対策に必要な予算が計上されたが、国が新型コロナウイルス感染症を今春に季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げると表明し、医療費の公費負担を段階的に廃止することやコロナ対応の補助金も廃止されコロナ病床を減らすことも危惧されるが、この点に関する区長の見解を求める。感染は第8波に至り、医療のひっ迫、高齢者施設でのクラスター、過去最高の死亡者数など深刻な事態に、計上された予算で対応できるのか伺う。

A3-①区長)現在流行の中心である新型コロナウイルスのオミクロン株は伝播性が非常に高いものの、発生初期のデルタ株などと比較して重症化率や死亡率が低下している。こうしたことを背景に国は新型コロナ対策の基本的対処方針を廃止する予定だ。

医療費を公費負担とする目的は、私権制限と引き換えに確実な治療を行って、感染拡大を防止することであると考える。国においては国民に急激な負担増が生じないよう、医療費の自己負担分にかかわる一定の公費支援について、3月を目途に具体的な方針を示すとしていて、区としては、その動向を注視している。コロナ病床を含めた医療提供体制の確保については、本来、東京都が担う役割だと考えるが、引き続き区医師会や区内基幹病院と意見交換を行い、区としても現場の実態に即した対策を進めていく。

また、来年度の新型コロナウイルス感染症対策としては、受信・相談センターや自宅療養者健康観察業務委託の費用など、当面必要な項目については計上している。今後の国や都の動向を踏まえ必要に応じて補正予算を編成して対応するなど、引き続き区民のいのちを守るため、コロナ対策に取り組んでいく。

Q3‐② 第2に掲げた、前倒しの計画改定にあたって、その実現に財政調整基金の一部を活用するとあるが、想定される施策とその規模について伺う。

A3-②区長)各計画事業の見直しに際して財政調整基金の必要な残高を維持したうえで、基金の一部を脱炭素の取組など、将来を見据え、区として長期的に取り組むべき課題等の財源として活用することを考えている。長期的に取り組むべき具体的な施策やその規模等については、今後計画の改定に合わせて検討する。

Q3‐③ 第3に掲げた健全な財政運営の維持について、前区長時代に杉並区が基金を貯めすぎているとの一部の批判がありましたが、区の基金の現状と災害対策やコロナ禍の経験、また、健全な財政基盤の確保にとって、基金の一定の積み立ての必要性について区長の見解を伺う。

A3-③区長)財政調整基金については令和4年度の基金残高が約570億円となる見込みですが、大規模災害や経済事情の著しい変動などによる減収への備えとして、積めるときに積み立てておくことが重要だと考えている。一方で、今般のコロナ禍など非常時における局面では、ためらうことなく、区民生活を支える取り組みなどの財源として活用していくものと考えており、今般のコロナ禍への対応については、一定の積み立てがあったからこそ躊躇することなく財源を投入することができたと認識している。

財政調整基金については、安定した区政運営のために極めて重要な財源であると受け止めており、来年度、総合計画の改定の際に、必要額など、その在り方について検討する考えだ。

4.次に主要な施策の概要について伺う。

<みんなでつくる、災害に強く、犯罪を生まないまち>について

Q4‐①‐1必ず来ると言われている首都直下地震に備え、この間もマニュアルの作成や備蓄品の拡充など様々行われてきたと認識しているが、地震でいのちが助かっても、その後の避難所生活などの中で亡くなることがないよう、震災関連死ゼロを目指さなくてはならないと考える。避難所であっても、個々のプライバシーが守られ、段ボールベッドの導入など居住性の確保の観点から備蓄品の見直しも必要だと考えるがいかがか。

A4-①-1区長)私は日本の避難生活の様子をテレビで見た時、プライバシーの問題を含め、避難所の居住性の確保が十分ではないことに大変驚き心配に思った。避難生活におけるストレスは、いわゆる災害関連死にもつながる大きな問題だ。

区ではこれまでも、全震災救援所への要配慮者用テントの配備や感染症予防対策の強化に努めてきたが、私はさらに居住性の向上が必要だと考えている。

段ボールベッドについては、この度、都内の段ボール製造企業から発災時における協力が可能との話があったので、現在、区との災害協定の締結に向けて準備を進めているところだ。

ほかにも、ストレスのない避難所生活を送ることができるように、来年度には防犯ブザーやメイク落としなど、女性の視点も取り入れた備蓄品の導入をすすめていく。

Q4‐②‐1 <多様な魅力と交流が生まれ、にぎわいのある快適なまち>について、会派にふれあい農業公園の農業講座や体験農園を利用している者がいるため、多面的な機能を持つ農地の保全の重要性を強く感じる。援農ボランティアの充実・活性化とあるが、現在あるふれあい農業公園や農福連携農園でのそれぞれのボランティアのしくみも含めて再構築していくということなのか。

A4-②-1区長)現在の成田西ふれあい農業公園のサポーターや農福連携農園の区民ボランティア経験者の活用を含め、援農ボランティアが農業者のニーズに応じて活動するための仕組みとして構築していく。

Q4‐③‐1 <気候危機に立ち向かい、みどりあふれる良好な環境を将来につなぐまち>について、新たな取組としてあげた太陽光発電舗装システムとはどういうもので、その活用により得られる効果はどの程度に試算しているのか、またそのメリットは何か問う。

A4-③-1区長)太陽光発電舗装システムは通路や公園などの舗装面に設置できるもので、上を車が通行しても壊れない強度を持ち、日当たりが良ければ設置場所としての制約がほぼないことが大きな利点だ。また、効果については、設置場所における空間の有効活用や環境配慮行動に関する区民への啓発になることだ。

Q4‐③‐2 「みどりの基本計画」の改定においては、生物多様性地域戦略の必要性を訴えてきましたが、環境基本計画や地球温暖化対策実行計画を優先し、その後での研究ということだった。昨年の12月には生物多様性条約第15回締結国会議が開かれ、2030年までに陸と海の30%以上を保全することが主要な目標の一つとして定められた。杉並区としても足元の生物多様性の保全について考え方を明確にしておく必要がある。中高生環境サミットや水鳥の棲む水辺創出事業シンポジウムでの発表からも、区民による自然環境を守りたいという思いが区長にも伝わったのではないか。みどりの基本計画の改定を機に改めて生物多様性地域戦略の策定を要望するが、区長の見解は。

A4-③-2区長)平成22年に改定したみどりの基本計画の施策の柱の一つである「環境に資するみどりづくりの推進」に基づき、貴重な植物の生息場所の保全や、善福寺川の良好な河川環境の指標となる水鳥に着目した潤いと安らぎのある水辺環境の再生・創出により、生物多様性の向上に資する取り組みをすすめてきた。

他自治体では、生物の生息場所の保全、創出及び管理に関する「緑の基本計画」に「生物多様性地域戦略」を包含して策定している例があり、杉並区でも自然環境調査を実施していることから生物多様性の視点に重きを置いてみどりの基本計画の改定作業に取り組む。

Q4‐③‐3 都市整備部のグリーンインフラの研修会に参加した。阿佐谷北東地区のまちづくりを進める上で、30年後、50年後をどんなまちにしていきたいか、そこにトータルなグリーンインフラを具体化し、そのイメージの共有を区民と共に行うことで一つの成功モデルにしていけると考えますが、区長の見解は。

A4-③-3区長)私も研修会に参加し、グリーンインフラの他自治体の事例をきき、その地域の歴史や文化を踏まえたビジョンを地域の方々と共有すること、地域自らの行動力、そして区長としてのリーダーシップの大切さを深く感じた。

阿佐谷北東地区では、こうした研修会での話や他自治体の事例なども参考にしながら、区民の参加を促し、他の地域のお手本となるよう地域の魅力の向上と持続性のある区民主体のまちづくりに取り組む。

Q4‐③‐4 地球温暖化対策実行計画の策定状況について、いつ公表されるのかスケジュールを確認したい。

A4-③-4区長)本計画には、区民、事業者、区の全域を対象に温室効果ガス排出量削減等を推進する「区域施策編」と、区が事業者として取り組みを推進する「事務事業編」の2編構成で、現在、国の策定マニュアルを踏まえ、総合計画や実行計画、環境基本計画等、関係計画と整合を図りながら策定作業を進めている。

今後、本定例会都市環境委員会に計画案を報告ののち、パブリックコメントで公表し、5月に計画策定を予定している。

Q4‐③‐5 岸田政権は、ウクライナ戦争によるエネルギー危機と脱炭素化を口実に原発推進への大転換を決めた。しかし、原子力がクリーンと言うのは偽りだ。原発には、燃料のウランの採掘、精製、濃縮、加工に大量の化石燃料が必要で、大量のCO2が出ること、原発製造にも大量のCO2が発生する。さらに原発は生み出す熱の3分の2を海に捨てて海を温め温暖化の一因にもなっている。脱原発と再生可能エネルギーの拡大が脱炭素化のとるべき道であると考えるが、区長の見解を求める。

A4-③-5区長)原子力発電は発電電力量当たりのライフサイクル二酸化炭素排出量が再生可能エネルギーと大差ないと言われるが、核廃棄物の最終処分や安全性などに大きな課題がある。

私自身はこれに頼らず、原発に係る人的、経済的、技術的な資源を再生可能エネルギーの拡充に投入し、電力調達の安全性、安定性を高めていくことが重要と考える。

そのため、化石燃料の使用と依存を軽減し、地域分散型の再生可能エネルギーの利用や資源循環を拡大する等の気候変動対策に積極的に取り組むことにより、ゼロカーボンと気候正義の実現に貢献する自治体としてリーダーシップをとり、環境都市を目指していく。

<「人生100年時代」を自分らしく健やかに生きることができるまち>について

Q4‐④‐1新型コロナワクチンの複数回の接種により、免疫力の低下が指摘されている。免疫力が低下することによって、帯状疱疹が増えたと実感する臨床医の話や論文も出ている。そのような点をどう検証され、帯状疱疹ワクチンの任意接種に補助を出そうとするのか考えを伺う。

A4-④-1区長)新型コロナウイルスワクチンの接種と帯状疱疹発症との関連については複数の研究が実施されており、関連ありとするもの、関連なしというもの双方が報告されていることは把握している。例えば、昨年11月に米国医師会から発行された医学雑誌において、約200万人を対象として調査をしたところ、新型コロナウイルスワクチンの接種と帯状疱疹発症との間に関連がないとの報告があった。

帯状疱疹は80歳までに約3人に1人が発症すると推定され、症状の回復後も痛みが長期間継続することがある。帯状疱疹ワクチンは世界60か国以上で使用されており、カナダ、オーストラリア等の国では公的機関等から接種が推奨されている。そのため、区においても、接種を希望する区民への選択肢の提供および、現在の高齢化社会における生活の質の向上の観点から、発症及び重症化予防の効果があるワクチンの接種費用助成を開始することとした。

<すべての人が認め合い、支え・支えられながら共生するまち>について

Q4‐⑤‐1地域福祉分野の取組みとしてこの間、複合化・複雑化した区民の地域生活課題に対応するために、区は在宅医療・生活支援センターの開設や地域福祉コーディネーターの配置、生活支援体制整備事業による第2層協議体の活動の広がりなど、地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組みが着実に進んできていることを評価する。これらの取組みをさらにバージョンアップしていくために、国が2021年4月から実施している社会福祉法に基づく「重層的支援体制整備事業」を杉並区も活用していくべきと考えるが、区長の見解を伺う。

A4-⓹-1区長)区はこれまで、在宅医療・生活支援センターを核とした相談支援機関の連携体制や地域包括ケアシステムの構築に向けた様々な取組をすすめてきた。

今後は、複合的な課題を抱えた区民や世帯に寄添った支援をさらに強化するため、対象者の世代や属性を問わない包括的な相談支援体制の構築をすすめる。また、地域で孤立している人に対する社会参加に向けた支援や住民が相互に支えある地域づくり支援なども併せて推進していく考えであり、「重層的支援体制整備事業」の実施に向け、関係組織間で検討をすすめていく。

Q4‐⑤‐2 認知症施策の充実には、区長就任後の命により、認知症介護研究・研修東京センターとの連携の模索がされてきたと理解しているが、来年度策定される高齢者保健福祉計画にどのように反映されるのか、既にイメージがあるか。

A4-⓹-2区長)私は所信表明で全国に3か所しかない認知症介護研究・研修センターが区内にあることは大きなメリットであり、連携を深めることで認知症ケアを向上させたいと述べた。

その後、所管部がセンターから認知症になっても希望を持てる地域社会を目指し、区民に明確なビジョンや目標値を示すこと、高齢者本人の意見を聞くこと、身近なケア24単位で高齢者の生活を支えるなどの意見をもらっている。これからは高齢者保健福祉計画に確実に反映させていきたい。

現在、センターとは定期的に計画、事業への助言や施策の充実などへの協力を得るため、協定の締結に向け調整をしているところだ。

今後もセンターからの助言をもとに、地域共生社会の実現のため、認知症理解への普及啓発や地域での見守りなど、認知症ケアの充実を図り、認知症になっても希望を持ち、一人でも安心して暮らせるような地域のネットワークを拡充していく。

Q4‐⑤‐3 杉並区パートナーシップ制度の条例化については、これまで制度の壁によって強いられてきた、生活上の不便を軽減することはもとより、人権にもかかわる問題であると認識しており、いち早くパートナーシップ条例の創設に取り組んだことを評価するが、4月から制度の運用、並びに4月以降の専門相談を開始するにあたり、職員の研修や相談員の体制などの状況について伺う。

A4-⓹-3区長)まず、職員研修については、来週の13日に我が国で初めてパートナーシップ制度を導入した渋谷区の元担当課長で性的マイノリティ当事者である永田龍太郎氏を講師に招き、多様な性に関する基礎知識や窓口対応における留意点などを講義してもらうこととしており、4月以降も永田氏による講義の動画やオンデマンド配信による講座などにより、区職員及び教職員に対する研修を定期的・継続的に行っていくことを予定している。

また、相談体制についても、これまで男女平等推進センターで実施してきた一般相談に加え、4月から当面は月1回の頻度で、専門の相談員が主に性的マイノリティの人々を対象に性を理由とする差別等に関する電話または面談による相談を実施していく。

Q4‐⑥‐1 <すべての子どもが、自分らしく生きていくことができるまち>について

「子どもの権利に関する条例」の制定に向けた検討においては、子どもから大人まであらゆる世代への理解促進が重要だ。対話やイベントなど、様々な角度から意識啓発を行う取組みをすすめながら策定することが重要だと考えるが、区長の見解は。

⇒A4-⑥-1区長)指摘の通り、区としても、大人も含めたすべての人が子どもの権利を理解することは大変に重要であると考え、すでに条例を制定している他自治体の取組なども参考としながら、審議会での審議と並行して意識啓発を行うための取組もすすめていく。

4‐⑥‐2 子どもの貧困やヤングケアラーの実態把握のための調査については福祉と教育の連携が不可欠だと考えるが、調査対象や調査内容項目について伺う。

A4-⑥-2区長)調査の実施に当たっては、福祉と教育との綿密な連携は不可欠であると考える。

調査対象等については、いずれも実施に向けた検討を進めているところですが、子どもの貧困状態調査については、小学4年生以上の児童・生徒および高校3年生までの保護者を対象に、他自治体との比較検討もできるよう、国が示す調査項目の具体例に区独自の項目を加えていく予定だ。

また、ヤングケアラー実態調査については、区内小中学校の生徒のほか、ケアマネジャーやヘルパー事業所等の関係機関についても対象とする予定だ。

調査項目については、単なる数値の把握ではなく、子どもの状況をしっかりと把握できるものとするため、ヤングケアラー当事者だった人とも意見交換を行いながら、今後、検討をすすめていく。

Q4‐⑥‐3 下高井戸児童館が計画通り子ども・子育てプラザに転換されるが、プラザの柔軟な運用などを図り、計画をより良いものにしていきたいと表明したことは重要だ。子ども・子育てプラザ善福寺の事例のように、子どもや保護者、プラザの利用者、地域住民と共に子どもの居場所について考える場を作っていくことを求めますが、いかがか。

A4-⑥-3区長)下高井戸児童館の再編整備に当たって、利用者や地域住民からの意見を真摯に受け止め、子ども・子育てプラザにおいて小学生の利用拡大を図る試行的取り組みを実施するほか、高井戸第三小学校における日曜日の校庭開放を継続することとした。

子ども・子育てプラザ善福寺をはじめ、区ではこれまでも、利用者からの意見を施設運営に活かしてきたが、私は今回の件を通して、今後も区民との話し合いの中で生まれたアイデアをより効果的に施設運営の改善につなげていくことが重要であると改めて感じた。

こうしたことから、新たに開設する子ども・子育てプラザ下高井戸において、子どもや保護者、地域住民が施設の運営を協議できるような仕組みを検討することとしたもので、この取組の状況を踏まえ、他の子ども・子育てプラザに展開することも検討していく。

Q4‐⑥‐4 保育の質の確保のためには、保育士の処遇改善、保育士配置基準の見直しが必要不可欠だ。保育園において園児が犠牲になる事件や事故がある度にやりきれない気持ちになる。保育士の処遇については宿舎借上げ補助や月9000円の人件費補助は次年度も継続されるのか確認したい。

A4-⑥4保育の質の維持・向上のためには、保育士の処遇改善や保育士配置の充実が欠かせないものと考える。そのため、宿舎借り上げ補助や月約9,000円の処遇改善については次年度も引き続き実施する。

Q4‐⑥‐5 また、安全に保育できる保育士の配置については、先日、区内の私立保育所が基準の2倍の保育士の配置を実現していることがメディアに取り上げられていたが、他の保育所ではできていない特別なことなのか。区としてもこの園の取組みを他の保育所とも共有し、手厚い保育士配置を促すべきと考えますが、区長の認識は。

A4-⑥-5区長)また、保育士配置について、私立保育園の取組については、各種加算金等を有効に活用することにより他園においても実施可能なものであり、加算金等について事業者へ丁寧に案内を行い、区内各園で共有できるようにしていきたいと考えている。さらに、次年度より、保育士配置数や平均保育士経験年数を含む区統一様式による園案内を区公式HPに掲載することとしているので、これも、保育士配置を充実するための一つの動機づけになると考える。

Q4‐⑥‐6 学童クラブの待機児童解消のため、引き続き小学校内等への整備に取り組むとありますが、放課後の居場所はどうなるのか。施設再編整備の中で取り組むことになっていた老朽化した児童館をそのままにできないことなどの課題をどうするのか考えを伺う。

A4-⑥-6区長)この間の児童館再編整備の取組には、区民に様々な意見があることから、区では今後これまでの取組を検証し、より良い子どもの居場所について改めて検討を行うこととしているので、放課後の居場所に対する考え方や、今後一斉に更新時期を迎える児童館施設への対応についても、この検討の中で整理していく。

Q4‐⑦‐1 <共に認めあい、みんなでつくる学びのまち>について

不登校児童生徒が増え続ける中、その支援は喫緊の課題であり、それぞれの状況に応じた教育機会の確保は重要だ。学校や関係機関との連携を推進するとあるが、児童館や子ども・子育てプラザ、民間の地域の居場所などとの連携を望むが、具体的に関係機関とはどのようなところで、どのように連携するのか考えを伺う。

A4-⑦-1教育長)不登校児童生徒への支援は学校への登校のみを目的とせず、一人ひとりの社会的自立を目指すものであるため、個々の要因を把握し、その状況に応じた支援策を講じることが重要だ。

教育委員会ではこれまでも学校、さざんかステップアップ教室、子ども家庭支援センター、医療機関等が連携を進め、幅広い支援を進めてきた。また、児童館等の地域施設は子どもたちが安心して過ごせる居場所となっていることから、スクールソーシャルワーカーが不登校児童生徒へ紹介するなどの連携をしてきた。今後は、一層の情報共有を図り、実情に応じた支援を行っていく。

Q4‐⑦‐2 また不登校児童・生徒に幅広い学びの場の提供に向けて不登校特例校の設置等に関する調査研究を行うとあるが、特例校はどのような規模で考えているのか。参考にしようとする自治体があれば合わせて伺う。

A4-⑦-2教育長)不登校特例校の設置等については、他自治体の設置校に加え、子ども主体の教育活動に取り組んでいる多様な学校を視察する予定だ。あらゆる規模の不登校特例校の設置事例について調査研究を進め、児童生徒の学びの選択肢を広げていく。

 

Q4‐⑧‐1 <文化を育み継承し、スポーツに親しむことのできるまち>について「ユニバーサルタイム」を行ってきた荻窪体育館での実績や反響について伺うとともに、障がい当事者や関連団体などの意見をどのように取り入れているのか伺う。

A4-⑧-1区長)昨年10月に荻窪体育館で初めて実施した本事業には、想定を超えた98名の障害者及びその介助者が参加し、軽い運動・ダンスやウォーキング、ボール遊びなどのプログラムを思い思いに楽しんでもらった。当日は、これらの参加者をサポートするため、理学療法士や看護師、障害者スポーツ指導員の有資格者を含むボランティアなど、35名のスタッフを配置し、特段のけがや事故もなく進めることができた。また、参加者からも「仲間やスタッフとともに楽しいひと時を過ごすことができた」「無理のない体の使い方が理解できた」など総じて肯定的な意見をもらったので、この第1回目となる試行的な取組を円滑に実施することができたと受け止めている。

この事業の企画・検討に当たっては昨年6月に立ち上げた障害者スポーツネットワークの会議において、障害者団体、スポーツ関係団体、東京都障害者スポーツ協会及び行政関係者が一堂に会して、意見交換を積み重ね、障害者のニーズや希望等に応じたプログラムやサポート体制の在り方などを取りまとめてきており、こうしたプロセスをしっかりと経たことが、今回の成果につながったものと考える。当日の様子は1月15日号の広報すぎなみで特集記事を掲載するとともに、区公式ユーチューブチャンネルでも配信しており、区民からのサポーター参加希望や全国的に例がない取り組みとして他自治体からの視察依頼が寄せられている。

これらの状況を踏まえ、引き続き障害者や関係団体の意見・要望をきめ細やかに把握しつつ、今後のより充実したユニバーサルタイムの実施を図っていく。

Q4‐⑧‐2 スポーツ施設の照明機器のLED化はどのくらい進んでいるのか。上井草スポーツセンターや大宮前体育館プール以外ではLED化は済んでいると理解してよいのか。

A4-⑧-2区長)上井草スポーツセンター、区立体育館、ナイター照明設備のある運動場及び温水プールの全10施設のうち、実施済みが5施設で、指摘のあった上井草スポーツセンターと大宮前体育館プール棟は令和5年度中に実施することとしている。残りの高円寺体育館、松の木運動場及び高井戸温水プールについては、令和6年度以降可能な限り速やかにLED化を実施していく。

<物価高騰対策>について

原油価格や物価高騰に対する公衆浴場や区内中小事業者、福祉施設等に対する支援策として継続することは重要だが、手続き等の事務作業が煩雑化しないように、また使い道の柔軟性に配慮した取り組みが必要だと考える。各団体や施設等からの要望を聞き取るなどして、実質的かつ有効に活用されるよう進めるよう求める。

5.次に、2023年度予算の概要について

Q5‐① 一般会計は予算要求額から約30億円が圧縮されました。HPで公開している予算要求の資料のどこが削減されたのか伺う。

A5-①区長)予算の策定については、全事業について必要性や予算の執行実績等を踏まえ、費目ごとに経費の精査を行い、歳出削減に努めている。査定の結果や事情の変化等により予算要求時から金額の増減があるが、削減額の大きな事業としては、感染予防・発生時対策の約6億円、戸籍事務の約4億円、私立認可保育所の約3億4千万円である。

最後に予算編成方針とその概要に記載のなかった点について伺います。

Q6‐① 杉並区版公民連携プラットフォームについて今年の1月15日まで意見募集が行われていましたが、どのような意見がどのくらい寄せられたのか伺う。なかなかイメージしにくい仕組みだと思いますが、プラットフォームの運営には、地域の課題や資源を熟知した人材が必要だと考えるが、誰が担うのか。協働プラザとの関係はどのように整理されるのか確認したい。

A6-①区長)区では令和5年4月の運用開始に向け、誰もが利用しやすいプラットフォームとなるよう、区民等を対象としたWEBアンケートを実施した。その結果53件の回答があり、「地域団体がお互いの現状を知ることが重要である」「団体等が主体的に取り組めるしくみとすべきである」など、様々な意見が寄せられた。これらの意見は、現在進めている利用ルールなどの詳細検討の参考にする。なお、プラットフォームの運営については、現時点においては区が担うこととしている。

また、協働プラザとの関係については、プラットフォームは全国に例のない新しい試みであり、地域団体や個人、民間事業者や大学など、地域の様々な主体が互いの強みを生かしながら連携、協力できる団体を見つけ、地域活動の拡大等に結び付けることができるツールだ。一方、協働プラザは相談業務や各種講座の開催などを通して、地域人材の育成や地域団体の主体的な活動を支援するための拠点となる。

今後は、それぞれが連携・協力しながら役割を果たすことで、地域の活性化につながる協働の取組をさらに推進していく。

るる質問してまいりましたが、区長が最後にで述べている通り、対話を通して行政の取組みを一方通行にせず、区民とともにつくる区政を実現していくことができるとの思いを形にしていくことに期待し、いのち・平和クラブの代表質問を終わります。

 

第4回定例会一般質問と答弁 2022.11.18そね文子

コロナ禍での生活が子どもに与える影響と対策について

【Q1】 区は、子どものコロナ禍での生活をどう捉え、苦しい状況にある子どもたちの支援をどのように行っているのか、うかがう。

【A1 (区長)】 コロナ禍での子どもたちは、自粛生活や生活様式の変化の中で、家庭での生活を窮屈に感じていたり、学校で思いどおりの活動ができないことでストレスを感じていたりするほか、保護者がコロナ感染の不安から、保育園や学校の登園・登校を制限することもあるなど、コロナ前とは大きく異なる環境で生活している状況にあると考えている。

区では、苦しい状況にある子どもたちへの支援として、子どもと家庭の総合相談窓口「ゆうライン」で、悩みや不安を抱えている子どもたちの相談を受け付けるほか、児童精神科医による「子どものこころの相談」の実施、また、関係機関から情報提供があった子どもについては、要保護・要支援児童として継続的な支援をしているが、決して十分ではないと認識している。

今後は、苦しい状況にある子どもたちが、より相談しやすい環境を整備することや、家にも学校にも居場所のない子どもが、安心して自分の時間を過ごすことのできる環境の提供、また、ヤングケアラーのように、姿が見えにくく苦しい状況にある子どもの発見の感度を高めていくなど、子どもへの支援策の充実を図ることが非常に重要であると考えている。

【Q2】 マスク着用に対する教育委員会の考え方をうかがう。

また、区の作成したガイドラインにあるマスク着用の考え方について、学校や保護者に周知することが必要だと思うが、どのように行われているか。HPに掲載されている教育長からのメッセージを保護者に出すなど、より積極的な対応を求めるが、教育委員会の考え方をうかがう。

【A2 (教育長)】 教育委員会では、区立学校における感染症対策に関する考え方や、感染者が出た場合の具体的な対応方法を共通認識するために、「杉並区学校感染症対策と学校運営に関するガイドライン」を策定し、これに沿って、教育活動を極力止めることなく、学校運営が円滑に進むよう取り組んできた。

マスク着用の取り扱いもこの中で定めており、国からの通知に基づき必要な改定も行っている。現在は、屋外において人との距離が確保できる場合など、具体的には登下校や体育の授業などの場面ではマスクを着用する必要はないことを定め、これを適正に運用していくことが必要であると考えている。

特に夏の時期は、熱中症などを発生させないよう、ガイドラインに沿って、マスクを外す指導をためらわずに行うよう、学校に働きかけた。ただし、さまざまな理由によりマスクを外すことのできない児童生徒に対しては、適切な配慮と対応を行うよう指導している。

今後もさまざまな機会を捉え、適切なマスク着用の取り扱いについて、児童生徒、保護者や学校に対し、周知を進めていく。

【Q3】 政府が5月に示したマスク着用の判断基準が書かれたポスターは厚労省のHPからダウンロードできるので、これを区立施設に掲示するなど広く周知する等、区民への周知について区の考えをうかがう。

【A3 (杉並保健所長)】 新型コロナウイルス感染症の基本的な対策として、マスクの着用は極めて重要であり、会話をする際などにはマスクを着用していただくよう区民にお願いしている。一方、マスク着用が長期化する中で表情が見えにくくなることによる影響を懸念する声があり、国において本年5月にマスク着用についての考え方が明確化された。

現在、区教育委員会のHPにおいて、子どものマスク着用についてのポスターを掲載しているが、今後、区のHPにおいても、大人向けの屋外・屋内でのマスク着用についてのポスターを掲載するなど、マスク着用の考え方について、関連する各部署と連携して区民への周知に努めていく。

【Q4】 国立市のある学校で、みんなの顔が見えるよう椅子を輪に並べ、話はせずにマスクをとるニコニコタイムを設けている。小学校1年生などの入学直後にこのような時間を設けてはいかがか。マスクを外しやすくするひとつのステップとして、校長会などで情報提供していただきたいと思うが、考えをうかがう。

椅子を輪にして座ったときに、少しのお話ができること、そのようなことをぜひ試みてほしいと思うがいかがか。

マスクを着けることが当たり前となり、今やマスクをとるのが恥ずかしいと感じるようになってしまった子どもの状況には配慮しつつ、教育委員会にはぜひコロナ前の日常を取り戻すため、先頭に立って子どもや保護者に働きかけてほしいと思うが、考えをうかがう。

【A4 (教育政策担当部長)】 コロナ禍によりマスクを着用することは日常となっているが、円滑なコミュニケーションを図るためには、相手の顔を見ながらやりとりすることが大切と考える。そのためには、感染の状況やさまざまな考え方はあるものの、学校では、ガイドラインに基づいて可能な場面でマスクを外すよう指導することが必要だ。

議員ご指摘の取り組みついては、たとえば、体育の授業でマスクを外し、互いの動きのよさを声に出して伝え合ったり、励まし合ったりする活動を通して、広げていく。

また、顔を見られることが恥ずかしいという理由や、感染に対する不安からマスクを外せない子どももいる。教育委員会としては、そうした子どもたちの気もちによりそい、スクールカウンセラーをはじめとする心理職の支援等を活用しながら、マスクを外すことについての理解・啓発に努めていく。

【Q5】 区教委における黙食についての考え方をうかがう。

給食の時間に子どもがしゃべっただけで厳しく注意を受ける状況が3年間も続き、注意を受けた子どもだけでなく、すべての子どもが閉塞感を感じることは想像に難くない。一刻も早く黙食をやめていただきたいと思うが、考えをうかがう。

【A5 (教育次長)】 食事中の会話については、完全に禁止するものではないが、各学校の教室内での児童生徒の座席間隔は約60㎝と十分な身体的的距離が保てない環境となっている。このため、マスクを外した状態での会話による飛沫感染を防止する観点から、区のガイドラインでは、給食の際は児童生徒が対面する喫食形式を避け、食事中は会話を控えること、食後はすぐにマスクを着用することとしている。そして、各学校においては、このガイドラインを踏まえ、感染状況に応じて、児童生徒に対し必要な指導を行うこととなる。

教育委員会としては、このガイドラインの内容は、児童生徒本人に限らず、その家族への感染を避ける目的もあることから、新型コロナウイルス感染者数が増加しつつあり、季節性インフルエンザとの同時流行も見据えた対応が求められる状況下においては、現在の方針を継続することで、学校における感染拡大を防止し、学校教育活動の継続に努めていく必要があると考えている。

不登校の子どもの支援について

【Q6】 昨年度の区立小中学校における不登校児童生徒数と、全校児童生徒に占める割合をうかがう。

区では、その増加の原因をどのように分析しているかうかがう。

【A6 (教育政策担当部長)】 昨年度の本区の不登校児童性数は、小学生267名、中学生437名、合わせて704名となっており、全児童生徒の2.51%となっている。

不登校児童生徒数が増加している背景には、コロナ禍による学校での教育活動が制限されたこと、友人や仲間との関わりが不足したこと、学びの選択肢が広がったこと等、多様な要因があると認識している。

【Q7】 すべての保護者に、不登校は誰にでも起こりうること、もしそうなったときに相談できる窓口などについて周知してほしいとの要望がある。区教委の見解をうかがう。

すべての教員が不登校に関する知識を学ぶ必要があると考えるが、研修などは行われているのか、行われているのならどのような内容かうかがう。

世田谷区では、不登校、行き渋りの対応についての冊子が作られ、HPでも見られるようになっている。このような冊子を杉並区でも作り、先生や保護者に渡せれば、大きな助けになる。作成を検討してほしいが、考えをうかがう。

【A7 (教育政策担当部長)】 不登校は問題行動ではなく、児童生徒が置かれた状況や環境によってどの子もなり得るということを、今後いっそう理解啓発していくことが重要と認識している。

教育委員会では、HPにおける相談窓口の紹介や、区教育相談パンフレットの配布等を行っているが、周知の方法については今後も工夫していく。

また、教職員の研修としては、職種や経験年次に応じて、不登校児童生徒が生じない魅力ある学校づくりについてや、区内関係機関との連携のしかたなどのテーマを設定して、不登校への理解を深めている。

さらに、児童生徒の不登校状態への理解に関する冊子については、世田谷区作成の冊子や東京都作成の『児童生徒を支援するためのガイドブック』などを参考に、今後、作成に向けて検討していく。

【Q8】 不登校の子どもが急増する状況で、すべての学校で別室登校を認めることを徹底してほしいと考えるが、教育委員会ではどのように取り組もうとしているのかうかがう。

【A8 (教育政策担当部長)】 不登校児童生徒が増加する中で、別室での登校も含めて、児童生徒一人ひとりの思いや状況をていねいに確認しながら対応すべきものと認識している。

不登校児童生徒の居場所づくりに向けて、地域人材と連携した取り組みや、教職員による組織的な取組等を進めているが、学校では人的な課題や場所の確保に関する課題等もある。さまざまな学校の状況に応じながら、改めてすべての学校へ周知していく。

第4回定例会 一般質問と答弁 2022.11.18 奥田雅子

Q1 杉並区は気候危機問題をどう捉え、未来に豊かな地球環境を引き継いでいこうとしているのか。

A1(区長)奥田議員からはバーチャルウォータについての指摘がありました。気候変動の影響による干ばつや水不足が深刻化している中、食糧輸入に伴い生産国の水資源を大量に消費している日本が、毎年520万トンもの食品ロスを発生させていることは問題であり、食品ロス削減は温暖化対策の観点からも重要と考えている。

またこうした問題に限らず温暖化の影響で発生する様々な問題とその対策では国、地域、世代等の間で負担を強いられる側と利益を得る側が生じている。近年、こうした負担と利益が公平・公正に共有されるべきとする「気候正義」という考え方が世界的に広がりつつある。現在開催中のCOP27においてはこうした考えに基づく「損失・損害への支援について」が初めて正式議題に盛り込まれ、気候変動対策の極めて重要な取り組みとして認識されている。

私は所信表明において、気候変動問題の対策は今までの温暖化防止対策の範囲を超えた社会経済や都市計画、産業構造等の変革を迫る壮大なチャレンジであり、現代社会の在り方を問うものであると申し上げた。そのような視点からも気候正義という考え方に基づき気候変動への対策を行うことは、今後の重要なテーマの一つとなると考えている。そのため今後この考え方を区民とも共有し、省エネの推進や再生可能エネルギーの利用拡大、移動時の電気自動車や自転車、地域公共交通の利用、輸入食品・バーチャルウオーター等を軽減する地産地消や食品ロス削減、全員で取り組む省エネ講堂等、すべての主体がその場面や役割に応じた地球温暖化対策に取り組めるよう、環境施策を推進し、豊かな地球環境を将来世代に引き継いていく考えだ。

Q2 区がイメージするグリーンインフラとはどういうものか、具体的に検討されていることがあれば示せ。

A2(土木担当部長)道路や公園などにおけるグリーンインフラは、自然環境が有する本来の機能をまちづくりにおける課題解決に活用する考え方であると認識している。私たちの身近にあるみどりは、生物多様性の保全、ヒートアイランド現象の緩和、雨水の貯留・浸透による都市型水害の軽減など、その果たす役割は非常に大きい。

区はこれまでも「雨水(あまみず)法」の趣旨に則りさまざまな施策を展開しているが、グリーンインフラがもたらす効果はさまざまな分野に及ぶことから、その具体策については現在研究を進めているところだ。引き続き他の自治体の効果的な事例なども参考にしながら、関係部署と連携・協力して取り組んでいく。

Q3区においては雨水利用のための一層の普及啓発が求められているが、現在の具体的な取り組みを問う。

区は東京都豪雨対策基本方針に基づき10ミリ/hの降雨担当分を貯留・浸透させることを目標としており、2015年度末で目標対策量58万8千㎥に対して約50%の29万5千㎥だった。その後目標に対してどこまで進んだのか。あまみず利用が進んだことによって水道代の節約効果やCO2削減効果はどのくらいあったのか区の評価を問う。

A3(土木担当部長)区では公共施設を建て替える際雨水利用の施設を整備し、貯めた雨水を便器洗浄水や校庭散水などに使用している。これまでに学校施設で22校、区役所はじめ区の20施設で約9千7百㎥のあまみず利用が図られている。これによるCO2削減効果までは把握できていないが水道料の削減につながっていると考える。

また都の豪雨対策基本方針に基づく治水対策としての雨水の貯留・浸透の取り組み状況は令和3年度末の累計対策量は平成27年度末から5万5千㎥増え、約35万㎥である。なお神田川流域豪雨対策計画が平成30年3月に改定され、目標対策量が58万8千㎥から63万1千㎥に増えたが、実績も増加したことから整備率は5ポイント上昇し約55%となった。

Q4あまみずの利用促進が円滑に図られるように2016年に策定されたガイドラインが本年3月に改定されたがそのポイントは何か。あまみず利用について区の基本的な考え方を明らかにするためにも、あまみず利用の促進に関する計画が必要と思うが策定する考えはあるか。策定にあたっては地域住民の参加で行われることが望ましいが区の見解は。

A4(土木担当部長)あまみず利用の促進を実効あるものとするためには。地方公共団体や民間事業者等を含めて、あまみず利用のための施設の一層の普及促進を図ることが重要だ。そのため、改定されたガイドラインでは地方公共団体においてそれぞれの地域の自然的社会的条件に応じてあまみずの利用の促進が円滑に図られるよう、実務担当者のための手引きとしてより使いやすいように改定されたものと捉えている。指摘されたあまみず利用の計画については、水を資源として再利用する重要な取り組みと考え引き続き他自治体の事例などの研究を進めていく。

Q5日本建築学会が提唱している「畜雨」の取り組みは、グリーンインフラとリンクさせながら広めていくことがよいと思うが、区の見解は。区としても建物を建てる際に「畜雨」の視点を持った設計の提案ができる人材育成、情報収集や発信をしていくことが必要と考えるがいかがか。区がグリーンインフラのまちづくりの推進を掲げる中でイメージするまちづくりに「雨庭」の取り組みも広げてほしいが区の見解を問う。

A5(土木担当部長)日本建築学会が提唱する「畜雨」は治水だけでなく、利水、防災、環境の4つの側面から大きな効果を発揮する技術であり、区としてもグリーンインフラとリンクさせながらあまみず利用を促進していく必要があると考える。そのためには職員が「畜雨」の仕組みをよく知り、関係部署と連携し、区民や事業者へのわかりやすい周知に努めることも必要と考える。また、治水対策として環境面にも配慮した「雨庭」は地球温暖化に伴う様々な環境影響への対策として有効な方法の一つであり、区の公園で実施している箇所もある。今後も公園や遊歩道等の整備にあたっては、立地条件や施設規模等に応じて「雨庭」の視点を取り入れた整備に努めていく。

Q6学校施設整備計画の中にエコスクールを目指すとあり、それを事業化するのはエコスクール事業方針だ。その方針の見直しが行われる計画だがその体制について問う。

A6(学校整備担当部長)エコスクール事業の方針は。平成24年度のエコスクール事業検討委員会報告書に位置付けられてから10年が経過する中で、これまでの事業の評価を行い今後の方向性を定めるため「エコスクール事業検討委員会」を設置し見直しを行うものである。委員会は教育委員会事務局のほか、庁内関係所管により組織し、連携を図りながら検討を進めているところだ。

Q7小中学校は震災救援所にもなるため、震災時の生活用水やマンホールトイレのための防災畜雨、一時的に貯めて浸透させる治水畜雨、トイレや校庭散水に活用する利水畜雨、ビオトープへの活用などの環境畜雨を改定されるエコスクール事業の方針に位置付けてもらいたいがいかがか。

A7区立学校の整備にあたっては、雨水利用貯留槽を設け、トイレの洗浄水や校庭散水などに利用している。また、雨水流出抑制のための浸透槽を設けた治水への貢献など、「畜雨」と同様の施設整備を進めている。一方で、マンホールトイレは井戸水を利用し、ビオトープでは上水を使う場合もあって必ずしも畜雨の考えとは一致しない現状もあるので、今後の事業方針の改定にあたってはできる限り幅広く雨水利用が図られるよう検討する。

Q8ビオトープには地域在来の自然の再現や生き物との直接的なふれあいと学習の機会などの効果があり、今後も小中学校への設置をスタンダード化してほしい。また適切な状態に保つ維持管理・指導体制の仕組みを検討し、継続した環境教育が行われるようにしてほしいが区の見解は。

A8(学校整備担当部長)ビオトープはすでに多くの学校で整備しているが、学校敷地の規模や形状などによる整備スペースの確保に課題があり、全校設置の標準化までは難しいと考える。一方で、適切な維持管理やビオトープを活用しての環境教育については、今後も学校現場の意向などを確認しながら支援していきたい。

Q9今後の改定においても、みどりの基本計画という入り口からあまみず利用を軸にまち全体をダムにしていくようなつもりで、ビオトープの設置やエコスクールの推進を展開してほしい。

A9(土木担当部長)ご指摘の通り水とみどりは切っても切り離せない関係にある。学校のビオトープには植物も水もあり生き物も生息している。これら雨水を利用した取り組みが住宅の生け垣や庭の樹木とつながり、地域の公園や農地につながることでみどりのベルトになっていく。さらに河川や幹線道路沿いのみどりとつながり、大規模な公園などのみどりとつながるとグリーンインフラといわれる多面的な効用を発揮するみどりがまちの中に張り巡らせるようになる。こうしたグリーンインフラの取り組みを拡大させ、雨水の利活用をより促進させる視点を大切にみどりの基本計画の改定に取り組んでいく。

Q10あまみずタンクの助成を何のために行うのか、その効果を見える化することが必要ではないか。あまみずを下水管に流さずに済んだことやあまみずを貯える地域ダムの役割を担ったことを設置者や区民にアピールし、設置や有効な利活用お呼びかける重要だ。その意味でこれまで区が助成したあまみずタンクの総容量がどのくらいだったのか問う。

また、あまみずタンクを普及させるためには助成して終わりにせず、あまみずの使い方の情報交換の場の設定や、アンケートで活用方法や課題等の情報収集を行うことも必要ではないか。太陽光パネル設置者の情報交換の問い組などを参考にしてはどうか。

A10(環境部長)あまみずタンクの導入助成については、省エネルギーの推進や雨水の利活用、雨水流出抑制、災害時の断水対策などの目的で実施しており、令和2年度から4年10月までに助成したものは計51件で総容量は8,900リットルでした。令和3年度の助成件数は27件で前年度からほぼ倍増していることから区民の関心も高まっていると考える。今後のあまみずタンクの普及に関しては、まずはアンケートなどを活用して利用状況や課題等を把握し、設置者等とその設置意義ややっくわり、メリット等を改めて共有しながら、更なる設置者の増加に向けて周知啓発に努めていく。

第4回定例会 一般質問 2022.11.18そね文子 

いのち平和クラブの一員として一般質問いたします。

質問項目は、

1、「コロナ禍での生活が子どもに与える影響と対策について」 2、不登校の子どもの支援について、です。

〇日本で初めて新型コロナウイルス感染者が出たのは2020年1月でした。その後3月から突然学校が一斉休業となり、その状況が5月の連休明けまで続きました。学校の節目の行事である卒業式がなくなり、入学式も行われないまま学校生活がスタートした子どもが多くいました。国立成育医療センターが行ったコロナ×こどもアンケートには、小学4年生以上のこどもの16%に中等度以上のうつ症状があるという結果がでました。警察庁発表の2020年に自殺した子どもの数は前年比で25% 増加し、過去最多の499人となりました。2021年も前年に次ぐ過去2番目の多さで、473人の小中高生が自ら命をたちました。この数字はこの2年間における子どもたちの辛さを顕著に表していると思います。子どもの自殺に詳しい国立精神・神経医療研究センターの精神科医、松本俊彦氏は、このような現状について「子どもの生活に、さまざまな制限が加わり逃げ場がなくなる中で、もともとしんどかった子どもたちの存在が、より鮮明に現れてきていて、それが統計にも反映されている。影響が長期化する中で、大人以上に先の見えなさで霧が濃くなっている状態で、将来を思い描くのに必要な情報が少なくなっていることも不安を高めている」と指摘しています。大人として、この問題に真剣に取り組まなければなりません。

そこで先ず、区は子どものコロナ禍での生活をどうとらえ、苦しい状況にある子どもたちの支援をどのように行っているのか、うかがいます。

〇コロナ過で様々な行動制限がありますが、中でも大きく変わったことの一つが日常的なマスクの着用です。そこでまず、子どもが長期間マスクをつけることでの影響について伺います。東京・生活者ネットワークでは22年5月まで小中高校生及び保護者を対象としてコロナ禍での生活に関するアンケートを行い114名から回答を得ました。このうち6割が学校でマスクを外したいけど外せないと答えています。自由記述の声を紹介すると、「下校中、顎マスクやマスクを外していると友達にマスクしてと言われるのが嫌になる。」「マスク無しで通学しています。わざわざ主治医の診断書も取りました。それでも着けないとだめだよと友達からマスク警察されます。習い事やイベントにも参加したいですが、マスクを着けられないと伝えると参加は遠慮してと言われます。」「大人は外で食事をするとき、だれかと話したり自由にしていますが、私たち子供は黙って食べないといけなかったり、ひとりの机で食べたり決まりを守らないと先生に怒られるのがいやです」などの回答がありました。このように、苦しい思いをしている子どもたちの現実が見て取れます。

〇区では第6波の感染状況が収まりつつある中で厚労省がマスクの考え方を示した直後の今年5月30日に、教育長がマスク着用に関するメッセージをHPにアップされています。そこで学校の感染症対策と学校運営に関するガイドラインを改定したこと、できるだけマスクを外せる場面では外すよう、具体例を示されていること、これまでも教育委員会ができる限り子どもたちの体験の機会を保障するための努力をされてきた姿勢には共感しています。そこでまず、改めてマスク着用に対する教育委員会の考え方をうかがいます。

〇厚労省が打ち出した不要なマスク着用をできるだけ減らそうという考え方が、なかなか学校現場に浸透していない現実があります。区内の学校に子どもを通わせる保護者からの声を紹介します。小学校の運動会で今年は全学年合同で校庭に集まり、全プログラムができ、それはとても良かったのですが、屋外でもマスク着用を促されるシーンが多々ありました。競技中は外しても良いという感じで、外している子、つけている子が混在していました。しかし、競技中以外はマスク着用で拍手での応援という指導が入っていました。開会式、閉会式など、会話がほとんどない状況でも全員がマスクを着用していたのですが、こういう時こそ外す場面なのではないかと思いました、ということです。区の作成したガイドラインにあるマスク着用の考え方について、学校や保護者に周知することが必要だと思いますが、それはどのように行われているのでしょうか。HPに掲載されている教育長からのメッセージを保護者に出すなど、より積極的な対応を求めますが、教育委員会の考えをうかがいます。

 

〇まずは社会全体で大人がマスクを外さないと子どもは外せないと考えます。11月10日の東京新聞の記事によると、民間の機関がマスクについて調査を行ったところ、政府が5月に示した着用の判断基準の内容を知らないと回答した人が58.4%に上ったということです。

この基準は屋外では季節を問わず、マスク着用は原則不要となっています。徒歩や自転車での通勤通学など、人とすれ違う時も不要とあります。屋内の場合距離が確保でき、会話をほとんど行わない場合をのぞき、マスクの着用をお願いしますとあります。このことが書かれたポスターは厚労省のHPからダウンロードできますのでこれを区立施設に掲示するなど広く区民に周知するよう求めますが、区民への周知について区の考えを伺います。

 

〇子どもは3年間にわたるマスク生活で友達の顔を知らない、マスクを外して顔を見られるのが恥ずかしいなど、すでにマスクを外せない状況が生まれています。これがコミュニケーションの障害になったり、孤独を感じることにつながることが懸念されています。新型コロナ感染が始まった当時は未知のウイルスから身を守るため、強制的にマスクの着用をせまられました。この呪縛を解くためには、ある程度の強い働きかけが必要ではないか、と思います。ここで国立市のある学校での取り組みを紹介すると、みんなの顔が見えるよう椅子を輪に並べ、話はせずにマスクをとるニコニコタイムを設けているということです。小学校1年生などの入学直後にこのような時間を何度か設けてはいかがかと思います。マスクを外しやすくするステップとして、校長会などで情報提供していただきたいと思いますが、考えをうかがいます。

成長段階にある子どもがマスクを長時間着けることでおこるのは心の問題だけにとどまりません。ドイツの神経科医マーガレッタ・グリーズ・ブレッソン医師はマスクによる呼吸の再吸入が間違いなく酸素欠乏を起こすこと。人間の脳は酸素欠乏に非常に敏感であり、特にすべての身体の器官が代謝的に活発である子どもは、マスクによって恒常的な酸素欠乏となりそれが脳の機能を少しずつ損ない、元に戻すことは出来ないと述べています。こども未来クリニック医院長で口呼吸の問題などに取り組む内科医の今井一彰氏は長時間のマスク着用生活で口回りの筋力が低下し、子どもの「お口ぽかん」が増えていると指摘しています。日常的に口が開いている状態はお口ぽかんと呼ばれ、虫歯、歯周病、歯並びの悪化、鼻の不調、口呼吸による感染症のリスクが高まるなど様々な問題を引き起こすといいます。このように子どもの成長に不安な点の多い状況をいつまでも続けるべきではないと考えます。

次に給食時の黙食指導についてうかがいます。

〇11月9日の読売新聞の報道によれば、永岡文科大臣が給食時に「必ず黙食することを求めているわけではない」と述べ、適切な感染対策をとれば給食時に会話ができるとの考えを示した、ということです。文科省の衛生管理マニュアルでも給食時に飛沫を飛ばさないよう「机を向かい合わせにしない」「大声での会話を控える」といった対策を例示するが「黙食」という言葉はつかっていないとあり、改めてそれを確認しました。さらに一部の自治体では黙食を緩和する動きも出ていて、食事中の会話は「大声での会話を控える」とし、小声で話しても良いとしたこと、机の配置も全員に正面を向かせていたのを「向かい合わせにならないようにする」に緩めたとのこと。学校生活での制限が続き、児童生徒への影響が危惧されるようになってきているとあり、その考え方に大変共感しました。区の教育委員会でもこのような方針でやってこられたのではないかと思いますが、改めて黙食についての考え方を伺います。

〇給食の黙食については、先生によって対応に差があり、少しの会話が認められている教室から、厳しく注意される教室、区内ではありませんが、しゃべったら一週間おかわりできない罰を与えられる、人権侵害ともとれるような対応をしている教室の話も聞きました。また給食中におしゃべりして、注意してもやめない生徒を廊下に机ごと出し、授業もそのまま受けさせ、それを指導した教師が減給処分を受けたという新聞記事も目にしました。給食の時間に子どもがしゃべっただけで厳しく注意を受ける状況が3年間も続き、注意を受けた子どもだけでなく、すべての子どもが閉塞感を感じることは想像に難くありません。一刻も早く、黙食指導をやめていただきたいと思いますが、教育委員会の考えをうかがいます。

〇ここで先ほどの厚労省のマスクを外してよい場面の考え方をもう一度見直してみます。黙食緩和は、文科省が2メートルの距離がなくても会話を認めているということです。そうすると大きな声でなく向かい合っていなければ、マスクを外して少しはお話ができるということになるのではないでしょうか。椅子を輪にして座った時に少しのお話ができること、そのようなことをぜひ試みてほしいと思いますがいかがうかがいます。

ここで11月11日の新聞報道にあった東京都の第7波感染状況のまとめを取り上げます。第5波以降、致死率が低下しインフルエンザ並みに下がったということです。これまでもインフルエンザは年間1千万人がり患し、関連も含め1万人が亡くなっていたわけです。しかし生活は、症状がある人だけがマスクを着け、医療機関にかかり、熱が下がってから一定期間休んだ後に日常生活に戻るというルールで社会は回っていました。マスクを着けることが当たり前となり、今やマスクをとるのが恥ずかしいと感じるようになってしまった子どもの気もちによりそい配慮はしつつ、教育委員会にはぜひコロナ前の日常を取り戻すため、先頭に立って、子どもや保護者に働きかけてほしいと思いますが、考えをうかがいます。

子どもたちが一日も早く、コロナ前の生活に戻れるよう、私も全面的に協力することを申し上げ次の項目、不登校の子どもへの支援について質問いたします。

〇 2021年度の不登校児童生徒の数が前年度比で24.9%増加し、過去最多の24万人となったとの報道がありました。文科省は不登校急増の背景に新型コロナウイルスの影響がうかがえると分析。運動会や遠足といった学校活動が制限され登校意欲が下がったとの見方や、休校による生活リズムの乱れが戻らない事例の報告もあったと説明したとのこと。ここには新型コロナ感染の不安や感染回避を理由に30日以上休んだ小中高生は71,704人いて、その人数は不登校の数には含まれていないとしています。大変な数字であり、教育委員会としてもきちんと取り組むべき課題であると考えます。私はこれまで継続して不登校の子どもを持つ保護者の声を聴き、担当課長をはじめ現場で対応する方たちに届けてきましたが、先日は教育長にもその人たちの声を聴く機会を作っていただきました。教育長にはその声をしっかり受け止め理解してくださったことに感謝しています。今回はその保護者の要望を中心に杉並区の不登校の子どもの支援について質問いたします。

〇先ずは昨年度の不登校の子どもの数について、区内の小中学校それぞれの数、全校生徒に占める割合をうかがいます。

〇区ではその増加の原因をどのように分析しているかうかがいます。

〇子どもが学校に行かなくなると、多くの保護者は何とか子どもを学校に行かせようとし、それでもいけないことに絶望し、どうしていいかわからない状況に陥り、親子ともにどん底に落ちるといいます。その時にどこに相談していいかわからず、とても困った経験から、新学期が始まったころに、すべての保護者に、不登校は誰にでも起こりうること、もしそうなったときに相談できる窓口などについて周知していただきたいとの要望があります。実際には完全な不登校になる前の行き渋りが始まった時に、安心して相談できればいいと思います。そのようなことの保護者への周知について区教委の見解をうかがいます。

〇これだけ多くの子どもが不登校になる状況で、担任を持つすべての教員が不登校に関する情報を知っておく必要があると考えますが、不登校について学ぶ研修などは行われているのか、行われている場合はどのような内容かうかがいます。

〇世田谷区では不登校、行き渋りの対応についての冊子が作られ、ホームページでも見られるようになっています。子どもが不登校を始めた初期のころの状態、保護者の状態、しばらく経過したときの状態などが詳しく説明され、区の支援メニューも掲載されたものです。このような冊子を杉並区でも作り、先生や行き渋りが始まった子どもの保護者に届けることができれば、それは先生や保護者にとって大きな助けになると思いました。作成を検討していただきたいと考えますが、教育委員会の考えをうかがいます。

〇不登校の子どもが急増する状況で、すべての学校で別室登校を認めることを徹底していただきたいと思います。教育委員会ではそれを認めるようにしていると認識していますが、いまだに親の会には別室登校の対応をしてもらえないなどの声が届き、私も時にそれに対応させていただいています。新型コロナの対応で保健室が使えないなどの状況があると思いますが、その他の教室を用意し、学校支援本部や地域の方に協力頂く形で別室を用意しているという事例の話も聞きました。教育委員会ではどのように取り組もうとしているのか見解をうかがいます。

〇子どもが不登校になると親は孤立し辛い状況に置かれるのは想像に難くありません。そんなとき、不登校の保護者がつくる会に参加し、同じ立場の保護者や先輩保護者の話を聞いて救われたという話をとても多く聞いてきました。保護者が何よりも求めることの一つだと思います。これまでも教育委員会が主催して親の会を開催してほしいと要望すると、済美教育センターでやっているとお答えいただいてきました。しかし、済美教育センターでやっている親の会をセンターに通った保護者でさえ聞いたことがない方も多く、相談担当者が必要だと思う保護者にのみ声をかけているというあり方には不満の声が上がっています。世田谷区では区が主催して、ひと月に一回、区内で地域や時間帯を変えて、より多くの保護者が参加しやすい形で親の会を開催し、年間スケジュールが公開されています。ぜひ杉並区でも取り組んでいただきたいと強く要望しますが、教育委員会の見解をうかがいます。

〇不登校の親の会が主催する講演会と懇談会に参加された課長の感想を伺ったところ、実感を伴う話に多くの気づきを得て、親の支援も必要だと気づかされたとのことでした。この親の会は自分たちが苦しい中で得た有効な情報を、今苦しんでいる保護者のために役立てたいという気持ちで活動をされており、今すぐ誰かに話を聞いてほしいという保護者に対応し、それによって救われた保護者が会のスタッフとして加わっています。また小学校低学年の子どもの保護者は、その年代の子どもを持つ保護者向けの会を新たに立ち上げるなど、活動が広がっています。不登校の子どもの人数が急増し、相談体制など教育委員会で対応しきれず、相談までに長い時間待たなければならない状況があります。子どもの状況は待っている間に日々変わっていくため、相談したいと思ったときに相談できないもどかしさは理解できます。そのような時にすぐに対応できる、すでに実績のある親の会を教育委員会のサイトで紹介するなどの体制をとっていただきたいと思います。以前もそれを求めたところ、一つのところだけを載せるのはバランスを欠くので難しいということでしたが、申し出のあった団体を掲載できるようなサイトをつくればいいのではないでしょうか。区教委の見解をうかがいます。

決算特別委員会ではさざんかステップアップ教室を増やすこと、不登校の特例校についても検討する意向が示されており、私からも改めて前向きな検討をお願いします。またICT教育についても、取り組みが進んでいること、仮想空間でのオンライン授業についても研究されているということで、引き続きの取り組みを要望いたします。また継続して要望してきた、スクールソーシャルワーカーの処遇改善と増員、スクールカウンセラーの配置日数を増やすこと、さざんかステップアップ教室への通学に自転車の使用を認めることも引き続き要望いたします。

先日、「杉並つながるミーティング」というテーマで、区内で子どものために活動している団体が一堂に会しつながって、子どもの笑顔を増やそうという会が開かれ参加しました。区内でこんなにたくさんの方たちが活動しているのだと知り、大変心強く思いました。区からも職員の方が参加されていたので、その方たちには様子がわかると思います。多くの区民による地道で、多様な活動の力を借り、協力を得ながら、不登校の子どもとその家族への支援に取り組まれることを要望し、質問を終わります。

第4回定例会 一般質問 2022.11.18 奥田雅子

いのち・平和クラブの一員として、水資源として「あまみず」を活かす取り組みについて質問します。

現在、COP27がエジプトで開催されています。今日が最終日ですが、「水の安全保障」も争点のひとつになっていました。世界では大規模な洪水が起きている一方、干ばつで水不足となり、食糧、電力不足など人々の命や暮らしが脅かされています。食糧自給率の低い日本は、食糧輸入に付随して、生産に要したその生産国の水をバーチャルウォーターという形で同時に輸入していることになりますが、そのことに気づいている人は多くはないと思います。このバーチャルウォーターの量は年間80兆リットルと言われ、日本国内の水の年間使用量とほぼ同じだそうです。それどころか日本の食糧事情は今後、輸入ができなくなることも覚悟しておかなくてはならない状況です。気候危機問題は、エネルギーや水問題、食糧生産、生物多様性、経済のあり方など様々な危機とつながっています。広い視点で私たちの暮らし方を考え、実践につなげ、取り組んでいくことが大切で、この地球上で暮らすすべての人が同じ思いで目標に向かっていかなくては問題の解決には至らないのではないかという焦燥感(しょうそうかん)でいっぱいです。

そこで、最初に

①杉並区はこの気候危機問題をどう捉え、未来に豊かな地球環境を引き継いでいこうとしているのかおたずねします。

今回の質問で取り上げる「あまみず」の利活用については2017年の第1回定例会の一般質問でも取り上げましたが、私たちを取り巻く地球環境は悪化の一途をたどり、気候危機により雨の降り方も尋常ではなく、短時間の集中豪雨もさることながら、線状降水帯のようにいつまでも大雨が続き、土砂崩れや洪水の被害が後をたちません。もはや河川や下水道設備による治水対策だけでは対処しきれない状況にあります。温暖化による自然環境の変化に対応し、インフラの在り方を抜本的に見直していくことが求められています。降った雨を資源として貯めて活かす「蓄雨」やグリーンインフラと言った視点を取り入れたまちづくり、施設づくりが、ますます必要になってきていることから、改めてあまみずの利活用について質問してまいります。

日本は水資源に恵まれた国だと思っている方も多いと思います。私もそうでした。しかし、その認識が間違いであると知りました。2021年6月時点の国連食糧農業機関ウェブサイト『AQUASTAT』によると日本の年間降水量は世界平均降水量1,171㎜の約1.4倍の1,697㎜となっています。ところが、これに国土面積をかけて全人口で割った一人当たりの年降水総量で見ると日本は約5,000㎥となり、世界の1人当たり年降水総量約20,000㎥の1/4程度です。人口一人当たりに直せば、日本は年間降水総量および水資源賦存量(ふぞんりょう)つまり、蒸発散分を差し引いて、理論上人間が最大限利用可能な量は世界平均と比べても、水資源に恵まれているとは言えない状況だということです。

「雨水(あまみず)の利用の推進に関する法律」、いわゆる「あまみず法」が2014年5月に施行されました。これは雨の水と書いて「あまみず」と読ませ、水資源の有効利用と下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制を目的としています。これまでの雨を防ぎ流し去るという発想から、「あまみず」を資源と捉えて、あまみずの貯留及び水洗トイレや散水などの利用を推進するものとして、「雨水(うすい)」とは区別しています。

現在、東京都は、時間降雨50ミリ対策として、ばく大なお金と膨大な時間をかけて、河川改修工事を善福寺川で行っています。このようにコンクリートなどで整備するのをグレーインフラと呼ぶのに対し、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるものと定義し、水と緑と生き物をキーワードとしたグリーンインフラは2015年に国の施策となり、その重要性が少しずつ認識されるようになりました。昨今の地球環境のことを考えるならば、グリーンインフラ抜きにまちづくりを考えることはあり得ないと思います。杉並区でも基本構想や総合計画、環境基本計画、まちづくり基本方針骨子案など、グリーンインフラのまちづくりが盛り込まれ、様々な分野での取り組みが期待されるところです。

地球上の水は、海や空、陸をゆっくり循環していますが、都市化によって地面はコンクリートで覆われ、降った雨のほとんどが下水管に入り、あっという間に河川に排出され、本来の水循環を壊してしまっている状況に対し、グリーンインフラによって本来の水循環を取り戻していくことが必要です。

②区がイメージするグリーンインフラとはどういうものか、具体的に検討がされていることがあればお示しください。

あまみず法では、国及び独立行政法人等は、その建築物を整備する場合において、自らのあまみずの利用のための施設の設置に関する目標を定めることとされ、地方公共団体及び地方独立行政法人は国の目標に準じて、自らのあまみずの利用のための施設の設置に関する目標を定め、公表に努めるものとしています。国の目標は2015年3月10日に閣議決定され、建築物を新たに建設するにあたり、その最下階床下等にあまみずの一時的な貯留に活用できる空間を有する場合には、原則として自らのあまみずの利用のための施設を設置することとされました。

③区においても自らあまみずの利用のための施設の一層の普及促進が求められていると思いますが、区における現在の具体的な取組みについて伺います。

④また、それらの取組みによって、どのくらいの量のあまみずを貯める機能が備わったのか、2017年の質問の際は治水対策としての取り組みは、東京都豪雨対策基本方針に基づき、時間10ミリの降雨相当分を貯留、浸透させることを目標としており、累計実績は、2015年度末で、目標対策量58万8,000㎥に対して約50%の29万5,000㎥でした。その後、どこまで目標に対して進んだのかお聞きします。

⑤あまみず利用が進んだことによって、水道代の節約効果やCO削減効果はどのくらいあったのか、区の評価を伺います。

⑥法の9条では、市町村は国または都道府県の基本方針に即して当該市町村の区域内におけるあまみずの利用の促進に関する計画を定めることができるとしています。市町村における計画の策定が促され、また、それぞれの地域の自然的社会的条件に応じてあまみずの利用の促進が円滑に図られるよう2016年に策定されたガイドラインが今年3月に改定がされましたが、改定のポイントはどのようなことか伺います。

⑦あまみず利用について区の基本的な考え方を明らかにするためにもあまみずの利用の促進に関する計画は必要だと思いますが、杉並区にはここでいう計画にあたるものは見当たりません。今後、策定する予定はあるか、また、策定にあたっては、学識的な専門家だけでなく、地域の専門家である住民参加で行われることが、あまみずの利用を地域に根付かせる意味においても、望ましいと考えますがいかがか、区の見解を伺います。

⑧以前の質問で、都市型洪水を防ぐとして、日本建築学会が提唱している「蓄雨」が注目されていることを取りあげました。蓄積の蓄に雨と書いて「蓄雨」です。日本建築学会の雨水(うすい)活用技術基準の中に提示された新たな概念であり、蓄雨はすべての敷地において100㎜降雨に対応する基準を設けたもので、治水だけでなく、利水、防災、環境の4つの側面からこれらを統合的に管理する技術だということです。この4つの側面を少しだけ具体的に挙げると、1つは災害時の生活用水確保の防災蓄雨、2つ目に洪水を和らげるための治水蓄雨、3つ目に自然な水循環を進め、ヒートアイランド対策にもなる環境蓄雨、そして4つ目が日常的に生活用水に使う利水蓄雨であり、これらを組み合わせて雨を蓄えると大きな効果を発揮するというものです。国のガイドラインでも紹介されています。この「蓄雨」の取組みはグリーンインフラともリンクさせながら広めていくと良いと思いますが、区はこの「蓄雨」についてどのように考えているか見解を伺います。

 

⑨この蓄雨の考え方を取り入れれば、敷地内に降った雨は極力下水に流さないですみます。それぞれは、それほど大きな力ではないけれど、地域全体で取り組むことで、大がかりな地下貯留施設のようなものに匹敵する効果が得られるのではないか。区としても建物を建てる際に「蓄雨」の視点を持った設計の提案ができる人材の育成、情報収集および発信をしていくことも必要と考えますが、区の見解を伺います。

⑩グリーンインフラの一つの方法に「雨庭」があります。敷地に降った雨を一時的に貯めて、ゆっくり雨水を浸透させるための都市空間における庭のことを言いますが、レインガーデンやバイオスウェルと言ったりもします。住宅の庭のほか、公園、道路、歩道などの公共的な空間でもこの「雨庭」を広げていけないかと考えています。先に述べた「環境蓄雨」ともつながります。歩道上に「雨庭」を設置している京都の取組みやお隣の世田谷区の先進的なグリーンインフラを取り入れたまちづくりや一般財団法人トラストまちづくりによって個人宅でもできる雨庭づくりの普及も進めている取組みは参考になります。杉並区でも下高井戸おおぞら公園のロックガーデンも雨庭と言えると思います。まち中やビルの一角などに雨庭のようなスポットがあって、ベンチなども設置されて、ちょっと休憩や憩いの空間があったら、このまち好きだなと思う人も増えるのではないでしょうか。

区がグリーンインフラのまちづくりの推進を掲げる中でイメージするまちづくりに「雨庭」の取組みも広げていってほしいと思いますが、区の見解を伺います。

*参考

https://www.city.kyoto.lg.jp/kensetu/page/0000296127.html

https://news.yahoo.co.jp/articles/e195e77295c4f01ee1f2ef83e4764a87119ef349

次にエコスクール事業に関して雨水利用の観点から伺います。

⑪「杉並区立学校施設整備計画」の学校施設の目指すべき姿という項目(1)将来を見据えた教育環境の確保の項目の中に、「環境にやさしい施設づくり」があり、「学校が児童・生徒だけでなく、地域にとっての環境・エネルギー教育の一助となるとともに、地域における地球温暖化対策の推進・啓発となるよう、環境に配慮した学校施設(エコスクール)を目指します。」とあります。そこに事例として、太陽光発電(再生可能エネルギー)・雨水利用貯留槽・屋上緑化・ビオトープ・建物の断熱化やLED照明の採用等による省エネルギー等が挙げられています。しかし、単なる事例であって、それらを事業化するのはエコスクール事業の方針になると理解していますが、その方針の見直しが今年度行われる計画になっています。どのような体制で見直しが行われているのか伺います。

 

学校は地球環境問題への取組みを子どもだけでなく大人にも広げ、地域の人々と共に省エネや創エネ、緑の創出、水循環などの環境意識向上につなげていく舞台になり得る存在です。先に紹介した4つの「蓄雨」をすべて活かせる現場でもあります。

 

⑫小中学校は震災救援所にもなるため、震災時の生活用水やマンホールトイレのための防災蓄雨、一時的に貯めて浸透させる治水蓄雨、地下ピットに雨水を貯めてトイレや校庭の水まきスプリンクラーや潅水(かんすい)に活用する利水蓄雨、ビオトープへの活用などの環境蓄雨を今年度改定されるエコスクール事業の方針にしっかり位置付けていただきたいと思いますが、区の見解を伺います。

 

⑬ビオトープには地域在来の自然の再現や生き物との直接のふれあいと学習の機会の提供、地球環境問題に関する理解を深める、ボランティアなどの地域の人たちと子どもたちや先生をつなげる効果があり、学校の隅にあるのではなく、学校全体がビオトープになるような考え方で、今後も小中学校にビオトープの設置をスタンダード化してほしいと思います。また、同時に、ビオトープを適切な状態に保つ維持管理・指導体制の仕組みを検討し、継続した環境教育が行われるようにしてほしいと思いますが、区の考えを確認します。

次にみどりの基本計画に関連して、

⑭みどりの基本計画の基本方針3「みどりの質を高めよう」の項目にも掲載されている「環境に資するみどりづくりの推進」ではエコスクールの推進と共に生き物の生息場所の保全と創出や雨水の地下浸透化の促進が盛り込まれています。水とみどりは切っても切り離せない関係であり、分野横断的に取り組んでいくことも必要で、その実現に向けた体制づくりについても明確にする必要があると考えています。

今後の改定においてもみどりの基本計画という入口からあまみず利用を軸にまち全体をダムにしていくようなつもりでビオトープの設置やエコスクールの推進などを展開してほしいと思いますが区の見解を伺います。

次に、杉並区が今年度改定した環境基本計画について、

基本目標III、「自然環境が保全され、多様な生き物が生息できるまちをつくる」の項目における区民、事業者の環境配慮行動指針として、「雨水の活用を心がけます。」とあります。あまみず活用を心がけるには、あまみずをためなければなりません。そして、貯めたら使わないと、次が貯められません。あまみず利用を見える化するツールとして、あまみずタンク設置への助成事業の復活を求め、2020年度から区は再開しましたが、助成の実績は20年度15件、21年度27件と少なく、このままだとまた助成が打ち切られてしまうのではないかと危惧しています。区役所の1階ロビーであまみずタンクを展示をしていると、これなんですか?と興味をもって聞いてくる方が結構いらっしゃるということで、現物の展示やあまみずタンク効果、つけた方の声を発信する等のPRをもっと積極的に行っていくことが必要だと感じています。

⑮区としてはあまみずタンクの助成を何のために行うのか、その効果はどれほどあったのかを見える化することが必要ではないでしょうか。1軒1軒の取組みによってこれだけの雨水を下水管に流さずに済んだ、住宅の屋根に降ったあまみずをタンクに貯(たくわ)える、つまり地域ダムの役割を担った、役に立ったということを設置者や周辺住民にアピールし、あなたも参加しましょうと呼びかけることも重要だと考えます。そういう意味から、これまでに区が助成したあまみずタンクの総容量がどのくらいだったのかお聞きします。

⑯あまみずタンクを普及させていくためには助成して終わりにせず、貯めたあまみずの使い方など情報交換の場の設定やアンケートで活用方法や困っていることなど、声を集める取組も必要ではないかと思います。太陽光パネルの設置者の情報交換会が開かれていますが、そういった取り組みなども参考にあまみずタンクでも行ってはどうか、区の考えを最後にお聞きします。

昨日の朝日新聞夕刊に岸本区長のインタビュー記事が掲載されました。気候危機を重要政策に掲げる首長として、行政をこれまでとらわれてきた型から解放し、市民の力を最大限引き出したい、という考えを述べていらっしゃいました。今日のテーマに取り上げた「あまみず」の利活用もこれまでの取組みから発想を広げ、グリーンインフラのまちづくりの一環として活かされていくことを期待し、私の一般質問を終わります。