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第1回定例会一般質問と答弁 2024.2.16 そね文子

共生社会をつくるためのインクルーシブ保育・教育について

Q1 善福寺でインクルーシブ保育を実践している認可外保育施設は地域の宝である。区の職員も視察に行っていると聞いたが、この施設を区はどのように認識しているか。

A1 子ども家庭部長)当該施設は障がいの有無に関わらず誰でもが集える居場所であることに加え、保護者の急な用事にも対応するなど、インクルーシブな取り組みと子育て支援を実践する好事例であり、関係者の努力に敬意を表したい。

Q2 この保育施設では障がい児、医療的ケア児を含めた一時預かりを実施しているが、区からの補助がないため、利用者は自費で通うしかない現状で、運営事業者は厳しい経営状況にある。横浜市では、認可外保育施設の一時預かりに対して国の交付金を活用した補助を実施している。区においても同様の補助制度ができないか。

A2 子ども家庭部長)現在区では認可外保育施設が実施する一時預かり事業への運営補助の仕組みはないが、子育て応援券事業と保育の必要性の認定を受けた子どもを対象とした保育料補助制度を設けている。

提案のあった補助制度の創設については、横浜市や他自治体の事例を情報収集するとともに、地域の子育て支援や障がい児支援を含め、インクルーシブな居場所など複合的な視点から、事業者とも意見交換を継続しつつ組織横断的な課題整理が必要な段階である。

Q3 国の補助金を活用して一定程度の補助が出たとしても、当該施設では医療的ケアの子どもには作業療法士と看護師の専門職が2人も付けていることから、受け入れには大きな経費がかかる。当該施設を支援するためにも、区が来年度試行的に実施予定の「子ども誰でも通園制度」や新たに実施する「多様な他社との関わりの機会創出事業」の実施対象施設に加えてもらいたいがいかがか。

A3 子ども家庭部長)「子ども誰でも通園制度」や「多様な他社との関わりの機会創出事業」の実施対象施設については、6年度の試行実施では本格実施を想定した保育環境に関する検証を行うことから、認可基準を満たしている保育事業、一時預かり事業をすでに実施している認可保育所、小規模保育事業所を予定している。

Q4共生社会を創っていこうという先駆的な取り組みを区が決意をもって支援し、都や国にこのような事業者を支援する制度を作るように提案していくことが、日本にとっての利益につながることであり、それを強く求めたいが区の見解は。

A4区長)さまざまな状況の子どもの支援を行う施設の取り組みについて改めて学んだ。区内にこのような施設があることは貴重であると認識している。事業所を支援する制度をつくるよう、区が国や都に求めていくべきとの提案があったが、国や都の補助を含めまずは他自治体の取り組み事例を参考に研究していきたい。

共生社会の実現のためには障がいの有無にかかわらず、個々の多様性を受け止め、誰一人取り残さないという包括的な体制作りが必要であるとの認識から、子ども、障がい者、高齢者等すべての分野において取り組みを進めてきた。今後こうした取り組みの一層の充実を図るためには、地域の民間事業者や子育てをはじめとする様々な支援を行う団体等と目指す姿を共有し手を取り合って進めていくことが中である。このように取り組むことで、基本構想に掲げる「すべての人が認め合い、支え、支えられながら共生するまち」の実現に向けて進んでいく。

Q5 国立市では障がいの有無にかかわらず、就学通知書を原則居住地に基づき定められた学校を指定し送付することになったが、杉並区でも同様の取り組みができないか。そうすることにより障がいのある子も地域の学校に行けるというメッセージを示すことができる。

A5 教育委員会事務局次長)

就学通知の送付については就学相談の継続中に当該校以外の通知が届くと、保護者が混乱することから、すべての新就学児に一斉に通知することは難しい。

Q6 知的障がいのある子どもが通常学級に在籍する場合、学習権を保障するために個別指導計画をつくり、それぞれの子どもに合った学びが提供されることが必要だがそれはどのように行われているのか。

A6 教育委員会事務局次長)個別指導計画は学校が保護者と協働して作成するもので、一人ひとりの教育的ニーズに対応した指導目標や指導内容、方法等について共有している。学校では子どもに合った学びを提供するため、短期目標と長期目標を設定し、必ず振り返りを行う。その際個別指導計画を在籍学級の担任だけでなく、関係教職員が情報共有することで組織的な支援体制のもとで指導を行うよう努めている。特に新就学児については校長が事前に本人や保護者と面談を行ったうえで、入学式の練習への参加や教室での座席配置を確認し計画作成に活用している。

Q7 学びを保障するためには学習支援教員や通常学級支援員等の研修を行い適切に指導ができるようにすることが必要だ。また、大人がいなくても障がいのある子を自然と気にかけ支えられるように、周りの子どもを育てることも必要だ。子どもは同じ場所で共に育つことで自然に障がいのある子のことを理解し、配慮できるようになる力をもっていてそれを妨げない大人の研修も必要だと考える。

A7 教育委員会事務局次長)教育委員会では教職員や通常学級支援員に対し、特別支援に係る知識の習得、安全管理等についての研修を行っている。具体的には子どもが一人でできることは見守り、難しくてもできるだけ自分の力で行えるよう支援するときの対応方法や子どもの相互理解や思いやりの気持ちをどのように育むかなどについての研修である。このように子どもの経験や自立、支えあいの機会を妨げない支援のあり方を身につけられるよう努めている。

Q8 通常学級支援員等は子どもを支える大切な存在だが、子どもを支援するための校内の会議に参加していないと聞いた。会議は放課後4時以降に行われることが多いが、支援員の勤務時間は午後3時までとなっていて会議に参加するときは無給になるという。子どもと直接接している支援員が会議に出席するのは必須であり、改善すべきと思うがいかがか。

A8 教育委員会事務局次長)通常学級支援員の校内委員会への参加については、校長が必要に応じて出席を求めるものであり、出席しない場合でも会議記録を共有したりコーディネーターを介して情報共有をしたりなどの工夫により連携に努めている。

 

Q9 杉並区では発達に課題がある子どものために、学校に来て子どもの環境を改善する手伝いを保護者が要請すれば、臨床心理士がケアの方法を先生に伝え、その費用は区が負担する学齢期発達支援事業の学校連携という仕組みがある。学校ではどのくらいこの仕組みが活用されているのか。もし使われていない場合は学校が保護者にこの仕組みを周知し、子どもの環境の改善を図ることを積極的に進めてもらいたいがいかがか。それがひいてはすべての子どもにとって居心地のいい教室づくりにつなが雨と思う。

A9 保健福祉部長)区は学齢期発達支援事業として、小学1年から3年生までの児童を対象に、発達支援を促すための個別指導を実施している。個別指導に加えて、学齢期発達支援所が保護者の求めに応じて臨床心理士等を学校に派遣し、学校の先生に対してケアの方法を伝える学校連携を実施していて、利用者の3割がこの仕組みを活用している。

学校連携の保護者への周知については、毎年小学校の校長会を通じて事業内容の説明やチラシの配布を行っているが、保護者の中には学校連携の利用より個別指導を希望する人もいる。今後は引き続き学校連携の周知に努めるとともに、学校連携を希望しない保護者に対して、子どもの特徴や支援方法等を先生たちと共有するよう事業者を通じて促すなど、子どもたちにとって居心地の良い教室となるよう取り組んでいく。

Q10 杉並区ではすべての学校に特別支援学級を配置し、そこを解体して教師が複数で教室運営を行い、障がいのある子を支援するという形が将来的に目指す形ではないかと考えるが区の見解は。

A10 教育委員会事務局次長)特別支援学級の今後のあり方についてですが、障がいのある子どもとない子どもができるだけ同じ場で学ぶことは大切だ。それぞれの子どもが授業内容を理解し、学習活動に参加しているじかんあ、達成感をもちながら充実した時間をすごしつつ生きる力を身に付けていくことができるかどうかが義務教育においてもっとも本質的な視点であると考える。こうした考えに基づき、杉並区においては児童、生徒の障がいの状況に応じたきめ細かい指導の充実を図るため特別支援学級は継続していくが、国や都および他自治体の動向に引き続き注視していく。

Q11 現在特別支援学級がある学校ではどのくらいの頻度で共同学習を行っているか。

A11 教育委員会事務局次長)交流及び共同学習については、特別支援学級と通常の学級の担任等が定期的に情報交換を行いながら年間計画に基づき行っている。取り組みの内容はさまざまであるが教科等の授業における共同学習や委員会活動への参加、行事への参加などがある。

Q12大きな災害が起こって地域の体育館に避難するとき、周りに知り合いがいない障がい者家族は子どもが声を出したりじっとしていられないことから、避難所に行くことをあきらめざるを得ない状況がある。一方、地域の学校に通っていたから災害時にみんなが思い出してくれたということもある。学校で共に学び、子どもたちがその子を知っていれば避難所に行ける。こういうことからもインクルーシブ教育の必要性を認識したが区教委の見解を問う。

A12 教育委員会事務局次長)特別な支援を必要とする児童、生徒の避難については、災害時においても普段から訪れる場所であることや日ごろから顔を合わせる友達がいるなど、できる限り日常に近い環境を整えることが重要だ。こうしたことから都立を含む特別支店学校に在籍する児童、生徒の復籍交流は有効な取り組みであると認識している。

Q13 済美養護学校のノウハウをぜひ他の学校に広げてほしい。済美養護学校は特別支援教育推進計画でもセンター校の役割を担っていることが示されているが、どのような取り組みが行われ、どのようなノウハウが他の学校に提供され、研修などに生かされているのか伺う。

A13 教育委員会事務局次長)済美養護学校は区内特別支援教育のセンター校として、小中学校からの要請により教員が相談に応じ助言を行ったり、研修で講師を務めたりしている。今年度は「子どもたちが出合いたい教師になるための実践力の磨き方」をテーマに研修を行った。こうした取り組みを小中学校に広げるため、済美養護学校と小中学校全校の特別支援教育コーディネーターの定期的な研修会を通じて子どもの将来の自立を見据えた関わり方などの共有に努めている。

 

第1回定例会一般質問 2024.2.16奥田雅子

質問に入る前に、今年元日に発生した能登半島地震から1か月半が経過しましたが、未だ不自由を強いられている被災者の方々、大切なご家族やご友人をなくされた方々にお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。

1.「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

2.羽毛製品の資源循環について

一般質問します。

「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

杉並区のみどりの基本計画は1994年の都市緑地保全法の改正に基づき、1999年に最初に策定されました。その後2005年、2010年と改定が重ねられ、現在、3度目のみどりの基本計画の改定の議論が進められています。現基本構想の「みどり豊かな住まいのみやこ」にあるように、「みどり」は杉並を象徴するキーワードの一つとなっています。改めて「みどり」は私たちの暮らしに何をもたらしてくれるか、そのために必要なことは何かについて区の考えを確認していきたいと思います。

私が住む上井草地域は比較的みどりが多く残っており、環八から住宅地に入ると夏は気温が1~2℃下がり、早稲田通りを南側から北側に渡ってくると空気が違うと言う方がいて、みどりって大事だなぁと実感しています。しかし、この20年間で早稲田通り沿いの生産緑地はほぼ消滅してしまい、住宅地内にあった緑地も戸建て住宅や高齢者施設にどんどん変わっています。相続税を払うためにやむなく売らざるを得ない状況もよく耳にします。

今あるみどりをいかに残し、どう増やしていくのか、気候危機が深刻化する昨今はますます重要なテーマになっています。

第1回のみどりの基本計画検討委員会(以下検討委員会といいます)の議事録の中で、中杉通のけやきは地元の人が買って植栽し、落ち葉の要望も(多分、苦情ということだと思います)当時は1件もなかったのは地元が誇りを持っていたからだとありました。私は40年ほど前に初めて中杉通りに来た時のけやき並木に感動したことが忘れられません。なので、今もけやきの状況が気になってしまいます。みどりは私たちの生活に様々な効果をもたらしてくれるため、みどりを残していきたい、増やしていきたい立場から質問していきます。

①まず、最初にみどりの基本計画を策定した1999年当時から今日に至るまで、杉並のみどりの状況はどのような変化をたどってきたのか伺います。

②杉並区みどりの条例ではみどりを「樹木その他の植物並びに動植物の生息又は生育の基盤である土及び水等の要素と一体となって自然環境を形成している土地」と定義していますが、具体的にどういうことか。杉並区が捉える「みどり」に対する考えを伺います。

③現在、3度目のみどりの基本計画改定検討が進められていますが、区は計画づくりの段階から区民とともに策定していくと表明しています。まさに、みどりの基本計画のようなものは長期的スパンの視点を持って、子どもから高齢者など様々な立場の区民参加のもとで策定するにふさわしいものだと考えます。昨年12月には「杉並のみどりをどう守る?どう創る?」というテーマで聴っくオフミーティングが開催されました。様々な意見が出ていたのはHPの報告で見ましたが、区が区民の意見を聴くというだけではなく、策定に至る過程で区民が議論に参加することも大事だと思います。検討委員会には公募区民が2名入っていますが、区民意見の反映をするには少ないのではないか。区民参加のあり方としてどのようにすすめて行く考えなのか。スケジュール、体制、手法含め確認します。

④また、検討委員会の事務局が土木担当部長を筆頭にみどり施策担当課長、みどり公園課で、都市整備部だけで固められていることが気になりました。今では、「みどり」というテーマには欠かせないグリーンインフラですが、検討委員会でもグリーンインフラとは、自然の機能を活かして地域の社会課題である教育、福祉、医療、観光、生物多様性、生態系保全を解決していくという考えだという指摘があり、私もまったく同感です。私がイメージする「みどり」もあらゆる部門と関係する分野だと思っており、環境や福祉、防災、教育、産業等、分野横断的な議論が必要だと考えます。区は基本構想に掲げた「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けて、このみどり基本計画はとても重要な計画だと言っている訳ですが、どのような庁内検討体制となっているのか確認します。

⑤現在のみどりの基本計画は2010(平成22)年に改定され、今日までの約14年間で社会状況も気候変動もまちの風景も大きく様変わりしたのではないでしょうか。今回の改定では未来を担う子どもをはじめ、区民が主役となる計画に改定するとあります。前回改定から14年開いた理由含め、この間の取組をどう総括し、次につなげる課題について区の考えを伺います。

杉並区には善福寺川、妙正寺川、神田川と3本の川が流れていますが、水とみどりは切っても切れない存在であり、そこに棲む生物も同じ土俵で議論されなければならないと考えます。私は、この間、生物多様性やあまみずの貯留、利活用、グリーンインフラについて度々質問にも取り上げてきました。2021年6月に英国で開催されたG7サミット、さらには2022年12月の生物多様性条約COP15で新たな生物多様性の世界目標「30by30」が確認されました。「30by30」とは2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようという目標です。私は昨年の第1回定例会の代表質問でもその世界的目標の中で杉並区としても足元の生物多様性の保全の考え方を明確にしておく必要があると訴え、みどりの基本計画改定を機に改めて生物多様性地域戦略の策定を求めました。これに対し区長からは「他自治体では生物の生息場所の保全、創出および管理に関する緑の基本計画に生物多様性地域戦略を包含して策定している例があり、杉並区でも自然環境調査を実施していることから生物多様性の視点に重きを置いてみどりの基本計画の改定作業に取り組む」と答弁がありました。

その後、昨年の10月には都立善福寺公園内にある区立遅野井川親水施設が都内の区立施設として初の自然共生サイトに認定がされました。この自然共生サイトは「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られる区域」を国が認定するもので、「30by30」の目標達成を目指します。自然共生に認定がされると国立公園のような保護地域以外でも「事業者・民間・地方公共団体等による様々な取組みによって生物多様性の保全が図られている区域」という意味の国際データベースOECM(other effective area-based conservation measures)に登録がされます。

遅野井川親水施設は利用者も多く、丁寧な管理によって子どもたちの自然体験の場としても有効な環境になっています。私は2022年11月に開催された善福寺川フォーラム2022で、遅野井川親水施設をさらに善福寺公園の下池につなげたいという市民の思いに触れ、水質の改善や水量確保など今も課題となっていることを共有しました。遅野井川親水施設をつくる過程において、2018年の予算特別委員会でも上池の水質改善のためにかいぼりを東京都に要望してほしいと求めたことがありました。当時の区長からは「東京都の公園だけど調整をしながら、どういうことができるか検討していきたい」との答弁を頂きましたが、その後、特にそのような動きは確認できていません。しかし、市民団体はその後も継続してどうしたら遅野井川の環境をよりよいものにできるか、延伸が図れるかを一生懸命考えています。

⑥将来的には、遅野井川の延伸を展望しつつ、現在の課題である水質や水量の問題を解決することから着手することが必要だと考えます。グリーンインフラによって周辺環境がどう変化するのか、それを見える化することも必要であり、そのためには現在の状況把握をすることが重要です。区はグリーンインフラを進めるための検討を2024年度に予算化しました。その検討の中で善福寺公園上池周辺のグリーンインフラ整備によって上池の浄化と水量の確保について検証する取り組みを一つのモデルとして位置づけてはどうかと考えますがいかがか。

⑦杉並区には遅野井川親水施設以外でも自然共生サイトになり得る場所があるのではないでしょうか。継続的に実施している自然環境調査や河川生物調査などの結果も重要なテータとして蓄積されていますが、それらのデータが上手く活用されていないようにも感じています。オープンデータ化し、様々なところで活用できれば、新たな発見や自然共生サイトも増えるのではないかと考えます。もっと積極的に杉並の良さを発信していくためのデータの有効活用について区の見解を伺います。

⑧今、善福寺川の洪水対策として東京都が施工する善福寺川上流調節池整備で地域住民が揺れています。みどり豊かな生活環境が変わってしまうことへの不安や口惜しさは良く理解できます。洪水対策が不要と思っている住民はいないと思いますが、その対策の中身についてはもっと地域住民の声が反映されるプロセスが必要だったと思います。東京都市計画河川第8号善福寺川の変更に関する小池都知事から岸本区長への意見照会について、今年1月26日付で岸本区長からの回答の中に様々な要望が付記されました。これについては、引き続き、東京都との調整に尽力していただくことを強く要望しますがいかがか、区の見解を最後にお聞きし、次のテーマに移ります。

羽毛製品の資源循環について

羽毛製品、つまり、ダウンジャケットや羽毛ふとんは軽くて暖かく、多くの方に重宝がられているアイテムとなっています。しかし、ダウンに使われる羽毛は水鳥のムネの柔らかい部分で1羽の水鳥からはたったの10gしかとれません。現在ダウンは食用の水鳥の副産物としてしか利用ができないため、新毛として手に入れるためにはダウンジャケットで10羽、羽毛ふとんで100羽の水鳥を食べなくてはならない計算になります。食用水鳥は世界全体の約75%を中国で消費し、残りの25%は西欧や日本で消費されています。しかし、世界的に食用水鳥の飼育日数を短くした安価な肉が求められる流れの中で、羽毛の採取量やダウンの比重、品質の低下を招いていることや中国でのダウン製品の需要の高まり、さらには鳥インフルエンザの影響もあり、今後、良質な新毛は手に入らなくなると言われており、リサイクルシフトが必然となっています。ダウンは実はとても丈夫で一生ものとも言われおり、新毛よりむしろリサイクル羽毛の方が品質が良いとさえ言われています。

私が運営に関わっているチャリティショップでは不要になったダウンジャケットや羽毛ふとんを回収し、三重県伊勢市の羽毛精製加工を行う事業者に送っています。先日、そのリサイクル工場を視察し、ダウンのリサイクル事情についても学んできました。そこでのヒントをもとに質問します。

①区は循環型社会を目指して、資源化の推進をすすめていますが、昨年10月から粗大ごみとして回収してきた羽毛ふとんをリサイクルする取組みが行われています。羽毛ふとんをリサイクルすることになった経緯について伺います。

②昨年10月から回収を始めて、まだ間もないと思いますが、どのくらいの羽毛ふとんが回収されたのか。また、広報はどのように行ったのか、伺います。

③回収された羽毛ふとんが、その先、どのように循環のサイクルにのっているのかを区は把握していますか。把握していれば、その内容を教えてください。

④視察した先では、国内の寝具メーカーやアパレルメーカーなどと共に羽毛資源の循環に取組むために、2015年4月に発足させた一般社団法人Green Down projectについて話を聴いてきました。また、地域内の企業や団体、チャリティショップや障がい者福祉施設等を回収拠点にして羽毛の回収活動を連携して行うハートステーションプロジェクトという仕組みもあります。これらの情報について区は把握していますか。

⑤区が集めているのは羽毛ふとんだけと伺いました。ダウンジャケットなどは衣類などの古布として出されていると思われますが、その後の行方が分かりません。資源として活かしていくには別に回収するしくみが必要であり、そのために地域内回収拠点ができればふとん以外のダウン製品の回収も広げることができると考えます。皆さんが着ているダウンジャケットのタグを見ていただくとダウン90%、フェザー10%などというような表示があると思います。ダウン50%以上であればリサイクルに回すことができるということですので、おおよそのものは対象になるのではないかと思います。循環型の社会を築くのであれば、羽毛の回収対象を広げることも今後の検討課題としてほしいと考えますがいかがか、見解をお聞きします。

⑥今後、ダウンのリサイクルはますます当たり前になっていくと思われます。ショップ店頭で回収し始めているところもありますが、ダウンは健康にも環境にも優しく、繰り返し使うことで未来に渡って持続可能な資源となります。また、リサイクルの過程において障がい者の雇用も生み出したり、社協と連携することで赤い羽根募金を生み出すUMOUプロジェクトというものもあり、先ほどのグリーンダウンプロジェクトやハートステーションプロジェクトも含め参考となる取組が既にあります。区民や地域の事業者や団体を巻き込んで「みんなでダウンリサイクルに取り組もう!」というムーブメントを区が仕掛けてはどうかと考えますがいかがか、最後に区の見解を伺って、私の一般質問を終わります。

第4回定例会一般質問と答弁 奥田雅子 2023.11.20

1.高齢者施策推進計画について

Q1】高齢者施策推進計画は計画期間を2024~2026年度とする「高齢者保健福祉計画」と「介護保険事業計画」、「認知症施策推進計画」の3つの計画から成っていると理解している。「認知症施策計画」は今回新たな計画として出てきたようだがその経緯について確認する。

今年度第2回介護保険運営委協議会に出されたたたき台を見ると、計画の体系として「活力ある高齢社会と地域共生のまちの実現」を目標に5つの取り組み方針が掲げられている。その計画体系と指標のそれぞれの主な取り組みを見ると分野をまたがるものがあるが、庁内連携はどのように図っていくのか。また地域包括支援センターが抱える課題など、現場の声を吸い上げて今後の取り組みに反映してほしいがいかがか。

A1高齢者担当部長】本計画の位置付けは、これまで一体的に策定していた高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画に、従来の保健福祉計画に掲げていた高齢者分野の取り組みを加えるほか、本年6月に制定された認知症基本法第13条の規定に基づく認知症施策推進計画を包含し、高齢者分野の総合的な計画としていく考えだ。

また計画の推進に当たっての分野をまたがる取り組みについては、庁内組織として設置する「杉並区保健福祉施策推進連絡会議」において、定期的な進行管理を行う中で関連する組織間の連携強化を図っていく。加えてケア24などの現場の意見、要望についても適宜情報共有しながら課題解決につなげていく。

Q2】65歳以上で介護保険の認定を受けている人は全体の2割強と認識しているが、そのほかの8割弱の区民がどのような介護予防、フレイル予防を行っているか区として把握しているか。一般的に後期高齢者といわれる75歳を境に心身の機能が低下し、これまで行ってきた予防活動ができず閉じこもりがちになる高齢者が増加するといわれるが杉並区の現状はどうか。後期高齢者の介護予防は歩いて行ける範囲または送迎があることが望まれているが区はどのように認識しているか。

A2高齢者担当部長】区が実施する介護予防普及啓発事業や高齢者グループ等が行う地域介護予防活動支援事業への参加のほか、公立・民間のスポーツ施設を利用するなど、一人ひとりがさまざまな形で心身の健康維持、増進を図っている。この点については次回の高齢者実態調査で適切な設問を検討していく。また、75歳を超えると閉じこもり傾向が強まることについては高齢者実態調査結果でも認められていて、後期高齢者が介護予防・フレイル予防の活動に参加しやすい環境づくりは大切な視点と考える。

Q3】高齢者の見守り体制充実施策は、安心おたっしゃ訪問や高齢者緊急通報システム、高齢者安心コール、徘徊高齢者探索システム、高齢者の虐待通報窓口等が行われているがこれらの利用者数を問う。

A3高齢者担当部長】令和4年度、安心おたっしゃ訪問は8,800人、高齢者緊急通報システム設置台数が1,290、高齢者安心コール延べ架電回数が6,500回、徘徊高齢者探索システム利用が75人、高齢者の虐待相談件数が2,900となっている。更なる高齢化の進展に伴い、一人暮らし高齢者や高齢者のみ世帯の増加が見込まれるので、見守り、支援体制の充実図っていく必要がある。

Q4】高齢者が個人情報がナンバリングされたキーホルダーのプレートを持っていて、裏にはケア24の電話番号が記載されている。これは東ブロックのケア24地域で取り組んでいる活動と聞いた。区として把握しているか。ケア24の認知度は年々進んでいるが、まだ知らない区民も多い。このキーホルダーを活用して「65歳になったらケア24にキーホルダーをもらいに行こう」「地域包括支援センターのことを知ってもらおう」という区全体の仕組みにして言ってはどうか。

A4高齢者担当部長】このキーホルダーは6所のケア24運営法人が独自に行っている取り組みで、登録した65歳以上の高齢者が外出先で救急搬送された際に医療機関等からの紹介に対して個人情報の提供を行うものであり、区全体の仕組みとすることは難しい。

 

Q5】地域包括ケアの推進では、ケア24の事業改善と質の向上のために、毎年全校区統一評価指標にプラスして杉並区評価指標による評価と実地指導を行っているが、地域包括支援センターの役割についてどのような点に重きを置いて評価・点検しているのか。

A5高齢者担当部長】ケア24の事業評価については全国統一評価指標に加え、学識経験者等の助言を得ながら①組織運営体制 ②総合相談支援 ③権利擁護 ④包括的、継続的ケアマネジメント支援 ⓹地域ケア会議 ⑥介護予防ケアマネジメント・介護予防支援 ⑦事業間連携 の7項目を重点的に評価し、その都度改善を要する事項について指導を行いその結果報告を受けている。

Q6】ケア24は常に評価される立場にあるが、日ごろの業務の中で感じる課題や、区の地域包括ケアシステムの方向性について話し合う場はあるのか。

A6高齢者担当部長】年8回程度開催するセンター長会において各ケア24の状況を共有するほか、個別ケースの支援や地域づくり等に関する課題について意見交換を行っている。

また、ケア24に配置している地域包括ケア推進員の連絡会も年6回程度開催し、各地域を横断した地域づくりの推進に生かしている。

 

Q7】地域包括ケア推進の今後の課題は、2025年問題、2040年問題があり、区内20か所のケア24に配置した地域包括ケア推進員を核にして、地域ケア会議等を通じた在宅医療・介護の連携強化と地域の支えあいによる生活支援体制の充実等により地域包括ケアシステムの推進・強化を図ると総括している。地域ケア会議、地域ケア推進会議さらに生活支援体制整備事業の第2層協議体の関係および具体的な活動例を示せ。

A7高齢者担当部長】地域ケア会議は8050問題や単身認知症高齢者の個別ケースの支援のあり方を中心にケア24と関係機関で協議している。こうした地域ケア会議の個別課題については地域ケア推進会議で共有していて、その結果チームオレンジの発足や活動促進につながっている。また、現在57組織に拡大している生活支援体制整備事業の第2層協議体は、地域における身近な生活上の課題を共有し共に解決策を企画実施している。具体例としてケア24下井草地区で高齢者の休憩場所として事業敷地内の「いぐさの赤い椅子」の設置などがある。

Q8】認知症施策推進計画はこの高齢者施策推進計画の中でどのように位置づけられているのか。本年2定の一般質問の答弁では、認知症介護研究・研修東京センターとの協定により高齢者施策推進計画の策定に専門的な助言を得るとのことだったが具体的にどのような助言を受けたのか。認知症しさくにおいてこれまでと変わる部分はあるか。

A8高齢者担当部長】このたび策定した高齢者施策推進計画においては、取り組み方針のひとつである「地域包括ケアシステムの推進・強化と認知症施策の推進」に掲げた2事業、11の取り組みに認知症施策を盛り込んだ。

認知症研究・研修東京センターからの助言は地域包括システムと認知症施策は一体的に推進すべきであること、これからの認知症施策は新しい認知症観をすべての人と共有し、認知症本人や家族の意見を聞きながら総合的な施策を推進する基盤となる認知症基本法の規定に沿って具現化することである。これらは先に述べた取り組み方針、事業・取り組み内容に反映しており、これらが変更した内容である。また計画に掲載した今後の認知症高齢者数の推計も、同センターの助言を踏まえて新たに行ったものである。なお、これらの詳細は本定例会期中の保健福祉委員会で報告したい。

Q9】介護認定に至るまでに時間がかかるとの指摘がある。法の規定では申請に対する処分は30日以内にしなければならないが、特別な理由がある場合には30日以内に処理見込み期間とその理由を通知し延期ができる。認定期間が30日を超えるケースの数とその割合を尋ねる。またこの弊害をどのように考えているか。

A9高齢者担当部長】本年3月末をもって国がコロナ禍のために通知した要介護認定の期間延長措置を廃止したことに伴い、4月以降の認定申請件数が大幅に増加している。新たな調査委託や区の人員体制を拡充して対応してきたが、4月から10月末までの申請から認定に至るまでの平均は49.8日で、法に定められた30日を超えるケースの割合は95.8%だった。

こうした状況は他区もほぼ同様であると承知するが、介護度や本人の状況に応じた適切なサービス提供ができない恐れがあるほか、暫定サービスプランを作成する必要があるなどの影響が懸念される。状況の改善に積極的に取り組んでいく。

Q10】訪問介護、デイサービス、ショートステイ等、使いたいサービスがかのうな介護サービスが充足していたのか。ケアマネやヘルパ―不足がいわれる中、この不足の原因をどう分析するか。

A10高齢者担当部長】第8期介護保険事業計画期間である令和3年度以降現在までは介護サービスは計画値を下回る実績ですが、これはコロナ禍の影響があると捉えている。また介護人材の不足により介護施設の定員数を利用できていない状況にあることも認識している。

Q11】コロナ禍での介護事業所への支援は十分だったか。訪問・通所介護事業所の閉鎖・倒産数と新規開設数を問う。要支援・要介護の賃金格差のために大規模事業所は要支援の依頼を受けず、小規模事業所に依頼が増え経営を圧迫していないか。また、国の施策の方向が地域に根差した小規模事業者を閉鎖に追い込むとの指摘もあるが、区の見解は。

A11高齢者担当部長】閉鎖・倒産した訪問・通所介護事業所は令和2年度が15所、3年度が15所、4年度が17所であり、新規開設は令和2年度が12所、3年度が7所、4年度は16所である。

また、大規模事業所が要支援の利用を受けないため、小規模事業所にその影響が及ぶとの指摘だが、そのような実態があるとの声は寄せられていない。指摘されたことは介護保険制度の根本にかかわる問題であり、国が介護報酬を含めた制度のあり方を一層実情に応じたものにするよう必要な見直し、改善を図るべきものと考える。

Q12】要支援の認定は回復する可能性があることから自立支援を原則にしているが、何年も続けて要支援の場合はもはや要支援ではないのではないか。訪問・通所サービスでは実質要介護と変わらない支援を総合事業として行っていることは課題と考えるが区の認識を問う。

A12高齢者担当部長】要支援認定者に対する訪問・通所サービスについての指摘については、総合事業をめぐる論点の一つであると考えている。

Q13】区の特養の整備状況は第8期の目標は達成していて、2026年度までは緊急性の高い待機者は発生しないという見込みであるが、特養の申し込み状況を見れば一定の数がある。

その中で緊急性のあるなしを誰がどのように判断しているのか、その分析の上での見込みとなっているのか。また人材の確保ができず稼働していないベッドがあると聞くが、区内特養の入所率の状況を確認したい。

A13高齢者担当部長】緊急性の高い入所待機者数は、区が行う第1次評価で優先度が高いと判断された者の割合と、早期入所を希望した者の割合を乗じて算出しており、現時点において令和8年度まではこの人数よりも入所受け入れ者数のほうが上回ると見込んでいる。また、区内の特養の入所率は本年9月末現在で95%である。

Q14】最近有料老人ホームの建設が増えている。有料老人ホームには介護付き・住宅型・健康型の3パターンがあると認識しているが、現在の区内の有料老人ホームの数と種類の割合はどうなっているか。また、特定施設入居者生活介護の保険給付費のここ5年の傾向を問う。

A14高齢者担当部長】現在53所ある有料老人ホームの類型別内訳は介護付きが47所で89%、住宅型が6所で11%、健康型はない。また特定施設入居者生活介護の保険給付金は平成30年度が62億円、令和4年度が64億円と微増傾向で推移している。

Q15】介護従事者の処遇改善について、11月10日に閣議決定した補正予算案に緊急対策として介護職等の賃金を月6千円引き上げる措置がとられたとあるが、根本の解決には程遠い状況だ。区は介護従事者への処遇改善に何らかの手立てを検討すべきではないか。

A15高齢者担当部長】介護従事者の処遇改善については現在国が検討しているところであり、その状況を注視している。区としては実行計画改定案で介護人材の定着・育成支援策として、令和6年から主任ケアマネージャーおよびケアマネージャーの法定研修等助成を開始する。

Q16】介護保険は個人加入の保険であるのに、特養のホテルコストは家族の資産が勘案されたり、同居家族がいると生活援助は認められず、介護離職やヤングケアラー、ダブるケアを誘発する要因になる。2022年の就業構造基本調査では介護離職者は年間10万人を超え、働いている18人に1人は介護者だ。経産省では2030年には家族の介護をする人の4割がビジネスケアラーになると試算し、労働生産性の低下などに伴う経済損失額は9兆円に上るとしている。家族の状況を十分に考慮して生活援助の量も決めるべきだと考えるが、区ではこのような同居家族がビジネスケアラーの場合どのような対応がされているか。

A16高齢者担当部長】基本的にはケアマネージャーと介護サービスの提供者と家族を交えたサービス担当者会議で十分なアセスメントの下、支援内容を決めていくことが大切である。なお、ビジネスケアラー支援については、現在国において検討会を開催し、企業における経営と介護の両立支援の取り組みを促すガイドラインの策定に取り組んでいるのでその動向を見守っていく。

Q17】介護保険制度には改善点がいろいろあるが、例えば通院介助の場合、介護保険でできるのは診察券を出すところまでとなっている。それ以降は病院側の対応という整理なのだろうが、病院側で十分な対応ができない場合も多く、そのため自費でサービスを使うことになり病院通いの多い高齢者にとって負担になっている。渋谷区では院内介助も介護保険でできるようになったと聞くが杉並区の見解は。

A17高齢者担当部長】渋谷区では要支援の人の外出介助や要支援・要介護の人の院内付き添い介護保険外の独自サービスとして実施しているとのことなので、今後その実施状況を調査する。

Q18】現在国で進めている介護保険制度の改正案について、利用料負担の2割への拡大、福祉用具のレンタルから買い取りへの変更、介護施設に介護ロボットの導入などがあるが、これらの点について区の見解は。

A18高齢者担当部長】現在国において検討中であり現時点では詳細が明らかになっていないのでお答えできない。

Q19】高額介護サービス費について、上限額を超えた分は申請によって減額される。杉並区の還付までの手続きはどうなっているか。

A19高齢者担当部長】すべての該当者には返信用封筒と共に区から申請書を送付している。申請手続き完了後は、高額顔後サービス費が発生するたびに登録の口座に自動的に振り込んでいる。この間の実績ではほぼ100%の人が申請手続きを行っている。

Q20】2022年度介護保険給付費準備基金が53億4349万余あるが、この基金の目的と適正な額の考え方を確認する。

A20高齢者担当部長】この基金は第1号被保険者の保険料の剰余分を積み立て、介護保険事業の財政運営を安定化させるために活用する目的で設置していて、保険者である区市町審がその実情に応じて積み立て及び活用を図るものだ。

Q21】超高齢社会は認知症社会だといっても過言ではない。2025年には高齢者の20.6%が認知症でありその割合が増えていくことは必至である。介護保険制度は身体介護モデルのままで、認知症や独居に対応した制度になっていないことが問題で、抜本的な改革がない限り私たちの暮らしが成り立たない。区として相当の危機感を持って取り組んでもらいたいが見解を問う。

A21高齢者担当部長】超高齢社会に向けて国を挙げて様々な論点を整理の上、今後の各種制度等のあり方を議論・検討していくべきと考える。その意味で認知症基本法の施行が大きな契機になることを期待している。区としても新たに策定する高齢者施策推進計画に基づく取り組みを着実に進めたい。

Q22】さらに進む超高齢化に伴い、保険料や利用料の区民負担は増えるが、サービスは縮減され、介護従事者の処遇も十分ではなく、それによる人材不足と課題ばかり目に付くが、どうすれば安心して暮らせる社会、安心して死ねる社会になるのか。区民と共に考えていかなくてはならないテーマだ。第9期では団塊の世代が75歳以上になる2025年を迎えることになるが、様々な課題を次期計画にどう生かしていくのか区の見解を問う。

A22高齢者担当部長】第9期計画期間の中間年である令和7年度は団塊の世代が75歳以上になることを踏まえ、保険者である区は各年度における介護サービス量を適切に見込むとともにそれに応じたサービスの供給体制を整えることが重要である。そうした観点に立って、計画案ではこれまでの実績や今後の高齢者人口の推移を考慮して計画の内容の精査に努めている。今後区議会の意見やパブリックコメントでの区民意見を踏まえ修正を行い、区民に適切な介護サービスを提供できるよう計画をまとめていく。

加えて第9期計画における介護保険料をどのように設定するかも大きな課題である。現下の社会経済情勢から、介護保険給付費準備基金を有効に活用し、可能な限り保険料の上昇を抑制するように所管に指示したところだ。今後国が示す介護報酬改定を踏まえて十分検討し、来年の第1回区議会定例会に条例改正案を提案したい。

2.香害について

Q23】昨年の決算特別委員会で質問した際には、化学物質過敏症を含む「香害」の相談は消費者センターや区政相談室、環境課に寄せられていて、保健センターでは香害の項目がないため件数を把握していないとのことであったが、その後の相談については同じ対応なのか確認したい。根幹の相談件数の推移としてはどのような傾向があるか。決特では他部署にわたる問題であり、実態を把握するためにも相談窓口の連携および取りまとめをする部署を明確にするよう求めたが検討はされたのか確認する。現在、配慮をよびかけるポスターが掲示されている場所について問う。

A23区民生活部長】「香害」に関する相談窓口ですが、消費者センター、区政相談室、環境課および保健センターで受け付けている。相談件数は令和2年度15件、3年度12件、4年度19件と推移している。相談窓口の連携と取りまとめ部署については、相談内容が商品に関することや臭い、健康に関することなど多岐にわたることから、取りまとめ部署を設けるよりも、それぞれの窓口で相談を受け付け、内容に応じて他の窓口を案内するなど連携した対応を図ることとした。

消費者庁など5省庁連名の啓発ポスターは本庁舎7階、消費者センター、保健所、保健センター5所に掲示している。

Q24】2020年にそね文子が学校現場の香りの害に対する認識や対策についてのアンケート結果をもとに一般質問した。香害が原因で長時間教室にいられない生徒からの相談があり、

学校から保護者に困っている生徒がいることや使ってほしい製品情報を提供し協力を呼び掛ける対応もあった。学校では香害や化学物質過敏症などの相談はあるか。またその場合はどのように対応するのか。

A24教育次長】各学校への香害を含む化学物質過敏症に関する相談では、柔軟剤の香りによる体調づりょうの相談があった。学校は学校医や学校薬剤師から医学的見地に基づく助言を受け、個別に適切な対応を行うほか、香り付き製品の使用にあたっては週に配慮するよう周知を行っている。

Q25】保育園の保育士が子どものまとっている香りで体調をこわして保育に関われなくなったという事例を聞いている。保育現場でそのような事例があるか、区は把握しているか。

A25子ども家庭部長】保育施設への巡回訪問や保育施設からの相談では香害の報告は受けていない。本年7月に各保育施設に「香りへの配慮に関する啓発ポスター」の掲示を依頼し周知を図っている。

第4回定例会一般質問と答弁 そね文子 2023.11.20

HPV(子宮頸がん)ワクチンを男子に接種することの疑問について

Q1】HPVワクチン、ガーダシルは、2020年12月に、効能・効果に前躯病変を含む肛門がん及び男性の尖圭コンジローマが追加され、男性への接種が可能となりました。自治体の中には、任意接種のガーダシルの男性への接種費用について助成するところが出てきており、中野区でも今年8月から男子接種への助成をスタートさせました。

肛門がんは極めてまれながんで、すべての悪性腫瘍の中で0.1%程度とされ、罹患者の報告では男性10万人当たり約1人である。尖圭コンジローマは自然治癒が多い良性の病変で治療法もあると認識しているが、区はこれらのことをどうとらえているか。

HPVワクチンのリスクについては、知覚、運動、自律神経、認知機能に関する症状など、多岐にわたる多様な症状が一人の人に重層的に表れるという深刻な副反応が生じている。男子に接種した場合にも同様の副反応が生じることが確認されており、男子への接種が広がれば同様の被害が拡大する恐れがあると考えるが区の認識は。

肛門がんと尖圭コンジローマの予防のために、深刻な副反応のあるHPVワクチンを接種することはリスクとベネフィットのバランスを著しく欠いていると考える。また男子へのHPVワクチン接種を推奨する理由として、性交によって女性がHPVに感染することを防ぎ、間接的に女性の子宮頸がんを防ぐことが挙げられているが、男子へのHPVワクチン接種が女性の子宮頸がんを減少させることを示すデータやエビデンスはないと認識するが、区の認識は。

都知事は「男女が接種することで集団免疫効果を期待できる」と述べ、東京都は男子接種への助成を令和6年度予算要求したが、集団免疫効果の根拠はなくベネフィットを大きく上回るリスクがあるので、杉並区では男子接種を行わないように求めるが区の見解は。

 

A1杉並保健所長】肛門がんにかかる男性の割合は極めて少ないと認識している。尖圭コンジローマは再発が多く本人が治癒してもパートナーがHPVウィルスを保持している限り高頻度に再感染することに加え、一部は悪性化することから予防は重要であると考える。

男子へのHPVワクチン接種に対するリスクはワクチンの添付文書によれば、主な副反応として疼痛が57.2%、腫脹が11.3%と一定のリスクがあることが示されている。またこれらの副反応以外にも有症状の場合は医療機関が厚生労働大臣に報告し、国において安全性に係る定期的な評価が実施されている。

HPVワクチンによる肛門がんと尖圭コンジローマの予防については、ワクチンの添付文書によると肛門がんの前駆症状の予防効果は77.5%、尖圭コンジローマの予防効果は89.3%となっていて、これらの効能により国が薬事承認したと認識している。また、間接的に女子の子宮頸がんを減少させることについては、HPVが性的接触により感染すること、子宮頸がんの95%はHPVの感染が原因であることから、男子へのHPVワクチンの接種により男子のHPV感染が減少すれば女子の感染も減少し、子宮頸がんは減少すると考えられる。実際男女ともに接種を行っている国では子宮頸がんの罹患者数は減少しており、2013年から女性に加え男性の定期接種を始めたオーストラリアでは、子宮頸がんにかかる割合が2020年に10万人当たり5.6人と、日本の15.2人に比べ低くなっている。男子への接種については国による科学的知見の収集状況や議論を把握していくとともに、都が予定している助成事業の情報や宅の動向を注視し慎重に検討していく。

外国にルーツのある子どもの支援について

Q2】杉並区では区と交流協会、教育委員会の3者が協力して日本語を母語としない子どもの日本語の学習を支援するという目的で、ボランティアの日本語教室が設置された。このように3者が協力して教室の運営が行われているケースについて高い評価があった。

杉並区総合計画・実行計画改正案で示された多文化キッズサロンについて、3年かけて設置検討を行うのではなく、もっと早く設置できないか。区立施設だけでなく民間施設の活用も視野に入れて検討できないか。

A2文化・スポーツ担当部長】多文化キッズサロンは今年1月から実施している区内在住の帰国・外国人児童生徒のための日本語教室に加え、相談・交流の機能を有し保護者等が日常生活における困りごとを相談でき、地域の人とつながることのできる施設です。この施設のあり方を含め、区における多文化共生の方向性については在住外国人を含めた区民等と議論したうえで、次年度以降策定する「杉並区多文化共生基本方針」で定めていきたい。

その中で重要となる本件施設では、学習・相談・交流を包括的に行うことから、一定程度の広さが必要であることが場所を確保するうえで課題となっている。民間施設の活用との提案についても運営経費や施設の規模が課題になると考えるが、様々な観点から検討を進め、早期の設置を目指す。

Q3】子ども日本語教室において、交流協会や教育委員会職員、コーディネーター、ボランティアが意見交換する場を作り、活動をより充実させるべきと考えるが区の見解は。

ボランティアと子ども、保護者を交えて行う季節の行事や交流事業については、ボランティア同士の交流を促すことで自由な発想やスピード感のある取り組みが生まれると思うが、区の見解は。

A3文化・スポーツ担当部長】子ども日本語教室で学習支援を担うボランティア養成講座はこの間2回開催し、定員25名のところ120人を超える応募があり、自身の経験を外国籍の子どもたちのために生かしたいと思う区民が多くいることを改めて認識した。こうした熱意あるボランティア同士の交流促進やコーディネーターおよび区職員との意見交換の必要性は区としても認識している。教室終了後や定期的な全体会等を開催し、ボランティア同士の交流を図りその中での新たな気づきや魅力的なアイデアを、子ども日本語教室の発展に生かしていきたい。

 

Q4】多文化キッズサロンの設置を待たず、子ども日本語教室において、親同士やボランティアと親との交流・相談の機会を作っていくことを提案するが、区の見解は。

A4文化・スポーツ担当部長】これまで子ども日本語教室では交流事業として交流自治体である山梨県忍野村へのトウモロコシ収穫体験や、区内の大学と連携し保護者を交えての交流会を実施してきた。また相談事業としては子どもの送迎に来た保護者からの日常生活や学校生活に関する相談にコーディネーターが対応している。12月からは高円寺教室の空きスペースを活用し、保護者同士が交流できる環境づくりに取り組む。

Q5】外国人家庭の就学援助の情報提供について、対象となるであろう家庭が就学援助を知らず、経済的な理由から修学旅行に参加できなかったことがあった。今後、卒業アルバムや入学準備金、スキー移動教室の代金が発生するので、就学援助を保護者が認識できるよう伝えてほしい。教育委員会の見解を問う。

就学援助の手紙は日本語、英語、ネパール語が用意されているが、申請書は日本語のみで、学校によっては日本語の手紙しか配られていないことがわかった。今後は確実に適切な言語の手紙が届けられるよう見直してもらいたい。また、在籍者が多い中国語、韓国語、ベトナム語などの言語も必要であり申請書も各言語で用意することを要望するがいかがか。

さらに多言語による説明の動画を作成し周知するなどの工夫もしてもらいたいが考えを問う。

A5教育次長】就学援助については年度初めに学校を通じて全家庭に案内文と申請書を配布して、申請の有無を確認していて、外国人家庭に対しては外国語版の案内文で制度を周知しているが、改めて全小中学校に再周知を依頼した。

外国語版の案内文は現在英語とネパール語のみですが、令和6年度からは在籍者が多い中国語、韓国語、ベトナム語を加えるとともに、申請書の記入例もそれぞれの言語のものを作成し母国語での周知ができるようにする。   また、今後外国語の案内文の工夫や、動画を含む様々な周知方法について検討を行い、外国人家庭にわかりやすく制度を伝えられるように努める。

Q6】外国人向けの都立高校の入試について、学校それぞれで対応するよりも教育委員会が通訳を入れた相談・説明会を行うのが有効と考えるがいかがか。また、それを録画して見られるようにすれば参加できなかった子どもや保護者も見ることができるが見解を問う。

さらに、外国籍の子どもの学習支援や入学支援を行っている団体の声を聞き取り、交流協会とも協力してより良い方法を考えてほしいがいかがか。

都立高校の入試については教育委員会がわかりやすい資料を用意し、各学校に配るなどの工夫が必要と考えるがそれはどのように行われているのか。

A6教育政策担当部長】東京都教育委員会では毎年12月の日曜日に2回、多くの通訳者が同席して外国人生徒対象の入試相談会を開催している。外国人生徒対象の入試制度は、受験者の応募資格の確認が複雑であり、多くの言語の通訳者を必要とする。区教育委員会ではこの相談会について学校からの周知に加え、日本語指導受講者や子ども日本語教室参加者に周知している。相談の中で受験者の個人情報を扱うことから録画は難しいと考える。

また、教育委員会では毎年11月の進路指導主任会において外国人生徒対象の入試について説明している。今後も東京都の資料を活用し内容を伝えるとともに、各学校で3学年の教員を中心に共有するよう働きかける。なお、外国籍の子どもを支援する団体の情報は交流協会と共有していく。

第4回定例会一般質問 そね文子 2023.11.20

私は区議会生活者ネットワークとして、1.HPV(子宮頸がん)ワクチンを男子に接種することの疑問について、2.外国にルーツのある子どもの支援について一般質問いたします。

まず最初にHPV(子宮頸がん)ワクチンを男子に接種することの疑問についてうかがいます。

第2回定例会でもこのテーマを取り上げましたが、小池東京都知事が都議会で男子へのHPVワクチン接種について「国の検討状況を総合的に勘案し、区市町村への支援について検討していく」と述べたこと、先日公表された東京都の各局からの予算要求にHPVワクチン男性接種補助事業が挙げられたこと、先日の決算特別委員会で他の委員から杉並区の医師会が男子接種への助成を強く要請しているとの話があったことから、HPVワクチンの副反応被害者を長年見てきたものとして強い危機感を持ち、また今回も取り上げます。

先日は杉並区で接種を受けて、被害で苦しんでいるこれまで取り上げてきた方とはまた別の当事者に初めてお会いしました。その方は接種を受けた後に他県に引っ越しをされましたが、今は大学に通うために近隣県に住まれていて、杉並区に救済の申請を求めている方です。この方は後から思えば一回目接種後から体調不良は出ていたけれど、ワクチンのための不調とは気づかず3回目まで接種し、その直後から様々な症状が出て寝込む状態になりました。高校に進学するも持続する体の痛みや激しい頭痛、倦怠感、睡眠障害、月経異常、胃痛、嘔吐、下痢、など消化器症状も加わり多臓器に渡る多様な症状が重層化し登校できない日が続いたそうです。ワクチン接種による体調不良ということを訴え、高校を5年間かけて卒業し、今は大学に進学して一人暮らしを始めました。今でも大学からの帰り道がわからなくなり、スマホの地図を見て帰宅する、体調不良にはお風呂で温めることが有効なことから入っていたが、あるときお風呂で意識喪失が起きて、その後は命の危険があるためお風呂に入れなくなったなどの話を伺いました。杖をついてゆっくり歩く姿に接し、治療のために1週間に一度は1時間以上かけて通院し、一人暮らしをして、やっと大学に通われる生活はどんなに大変かと思いました。この方は国民年金の障害年金は受けられましたが、医薬品などの健康被害救済などを行う独立行政法人医薬品医療機器総合機構の障害認定が下りないため、区が自治体の総合賠償責任保険の申請ができず救済されていません。

全国では被害当事者の女性117名による製薬企業と国を相手とした薬害の裁判が行われていますが、海外では接種を受けた男性も同じように裁判を行っている事例があります。私はできる限り裁判の傍聴に行っていますが、多くの女性がワクチン接種によって人生を奪われていることに接し、このような被害者を出したくないという思いで質問させていただきます。

HPVワクチン、ガーダシルは、2020年12月に、効能・効果に前躯病変を含む肛門がん及び男性の尖圭コンジローマが追加され、男性への接種が可能となりました。自治体の中には、任意接種のガーダシルの男性への接種費用について助成するところが出てきており、中野区でも今年8月から男子接種への助成をスタートさせてしまいました。

①まず効果効能について追加された、肛門がんと尖圭コンジローマについてです。肛門がんはきわめて稀ながんで、すべての悪性腫瘍の中で1%程度とされ、2019年全国がん登録り患数の報告では男性10万人あたり約一人です。尖圭コンジローマは生殖器とその周辺に発症するイボですが、自然治癒が多い良性の病変であり、治療法もあると認識していますが、区はこれらのことをどのようにとらえているかうかがいます。

②一方で女子への接種で示されているHPVワクチンのリスクについて見てみると、知覚に関する症状として頭、腰、関節などの痛み、感覚鈍麻、しびれ、光過敏など、運動に関する症状として脱力、歩行困難、不随意運動等、自律神経などに関する症状として倦怠感、めまい、吐き気、睡眠障害、月経異常など、認知機能に関する症状として記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力低下など、多岐にわたる多様な症状が一人の人に重層的に表れるという深刻な副反応が生じています。厚生労働省のリーフレットによれば2価と4価のHPVワクチンの重篤副反応疑い報告は接種者1万人あたり5人であり、この発生頻度は他の定期接種ワクチン副反応の平均値に比べ約8倍という高さです。また副作用被害救済制度において障害認定等を受けた人は、他の定期接種ワクチンの平均の約20倍です。HPVワクチンを男子に接種した場合にも同様の副反応が生じることが海外では確認されており、日本において男子への接種が広がれば同様の被害が拡大する恐れがあることは明らかだと考えますが、区の認識をうかがいます。

③極めてまれな肛門がんとイボができる性感染症である尖圭コンジローマの予防のために、このような深刻な副反応が報告されているHPVワクチンを接種することはリスクとベネフィットのバランスを著しく欠いていると考えますが、区の認識をうかがいます。

④男子へのHPVワクチン接種を推奨する理由として、性交によって女性がHPVに感染することを防ぎ、間接的に女性の子宮頸がんを防ぐことも挙げられています。しかし男子へのHPVワクチン接種が間接的に女子の子宮頸がんを減少させることを示す実証データやエビデンスなどはないと認識しています。区の認識をうかがいます。

そもそも、男子に認可されたHPVワクチンは従来型のガーダシルで現在ほとんどの女子が接種しているのは新しいタイプのシルガード9です。HPVというのはヒトパピローマウイルスのことで、ごくありふれたウイルスです。200種類ほどあり、性感染症を起こしますがそのほとんどが自然に治癒します。そのウイルスの中でも発がんリスクが高い型が15種類あると言われ、そのうちの4つの型に対応しているのが男子に認可された古いタイプのガーダシルで、現在ほとんどの女子が受けているのは9つの型に対応した新しいシルガード9です。今年8月から男子の接種への助成制度を始めた中野区議会で議事録を見ると、ワクチンの供給について確認する質問に、保健予防課長が国のワクチン分科会での話を引用し、女性は今後9価ワクチンに流れる可能性が高いから、4価ワクチンは空くから、そこに男子を入れたいという考え方だったのではと答えているのです。グローバル企業である製薬会社の在庫処分に日本の男子が付き合わされ、リスクを負うことの理不尽さを、ぜひ認識していただきたいと思います。

さらにこのワクチンが不要と考える理由は、ガーダシルの添付文書の「効能又は効果に関連する注意」という項目に「肛門がん(扁平上皮癌)又はそれらの前区病変等の予防効果は確認されていない、本剤の予防効果の持続期間は確立していない」と書かれている点です。これが製薬会社の公式見解です。極めてまれな肛門がんが出る年齢が60代以降ということを考えると、12歳から16歳の男子に接種することがどれだけ不要なことかがわかると思います。

⓹この項の最後の質問です。最初に述べましたが、HPVワクチン接種の男子への助成にたいして、東京都の担当局が予算要求をしたことが公表されました。このワクチンはベネフィットを大きく上回るリスクがあるため、杉並区としては男子接種への助成を行はないよう求めますが、区の見解をうかがいます。

私が、これまで見てきた副反応の被害者が置かれるあまりにも理不尽で困難な状況について述べたいと思います。まず、厚労省の審議会では、副反応検討部会の構成委員のほとんどがワクチンを推進する立場の人たちで、採決が行われる際には製薬企業から講演料や執筆料をもらっているという理由で多くが採決への参加資格がないと発表されていたこと、資料に他のワクチンですが接種の翌日に何人かのゼロ歳児が亡くなっている報告があっても、それを問題ないとして会議が淡々と進められていることに心底驚きました。HPVワクチン接種後に10代の女の子が、母親を認識できなくなる、一日に100回以上意識喪失する、その状況が人によっては10年たっても改善されない、そんなことが起きているのに、副反応検討部会では注射の痛みが引き起こした心身の反応と結論づける。今はこれらの被害は機能性身体症状という言葉で結論づけられています。被害者や親にとってその結論は辛い身体症状をまるで精神的なものに位置づけ矮小化するようなもので、決して受け入れられません。被害にあって、治療を受けようとしてもちゃんと診てくれる病院がなく、病院を20件以上まわり、精神的なものだとか詐病とか言われる。被害者が救済を受けるためには自ら被害を証明しなければならない、そのために様々な手続きを行い、さらに裁判で7年以上を費やし、いまだに先が見えない、そんな状況に置かれるのです。それを見てきた者として、これからも事実を伝え続けることを申し上げ次の質問にうつります。

外国にルーツのある子どもの支援についてうかがいます。

日本は超少子高齢社会の進展によって、特に建設や介護、農業分野での人手不足は深刻さを増し、今や外国籍の人たちの力も借りなければ社会が成り立たない状況にあります。2019年4月には入管法が改正され、在留資格「特定技能」が新設されるなどの背景もあり、区内における在住外国人の数はこれからも増えていくことは明らかです。このような中で、外国人を同じ地域に暮らす仲間として友好な関係を築き、異文化の交流によって新たな文化が創造され、誰にとっても生きやすい共生社会を創っていくことが求められています。区内の小中学校に通う外国にルーツのある子どもの数も増加する中、杉並区では区と交流協会、教育委員会の3者が協力して日本語を母語としない子どもの日本語の学習を支援するという目的で、ボランティアの日本語教室が設置されました。先日コーディネーターの先生に話を伺う機会があり、多くの現場を見ている先生が、このように3者が協力して教室の運営が行われているケースは初めてだが、教育委員会と連携することで子どもの学校での様子がわかったり、学校で配慮してほしいことを伝えられるなど連携が取れるという利点があり、すばらしいという言葉を聞いてうれしく思いました。私も外国人を同じ地域で暮らす仲間として理解し、交流することで豊かな社会を創っていきたいと願って質問いたします。

①先ず初めに先日改定案が示された、杉並区総合計画、実行計画に多文化共生の推進が掲げられ、子ども日本語教室等の在住外国人支援事業の充実発展とともに、早期設置に向けて検討するとされた多文化キッズサロンについてうかがいます。これは日本語を母語としない子どもが安心して立ち寄ることができる地域の居場所で、学習や相談、地域の人や同じ境遇の仲間との交流を通して支援を行うことを目的とした東京都の補助事業で、立ち上げのために3千万円、運営費に1千万円が拠出されるものと認識しています。これまで私が求めてきた、取り組みであり、ぜひ進めていただきたいと考えています。計画案では3年をかけて設置検討を行うとされていますが、もっと早くすることはできないでしょうか。一番の課題は場所だと思いますが、区立施設だけでなく民間の施設も視野に入れて検討を進めてほしいと思いますがいかがでしょうか、うかがいます。

②さて、すでにボランティアによる子ども日本語教室はスタートして1年がたとうとするところで、多くの子どもたちが通い、私もそこでボランティアをさせていただいています。この教室立ち上げのためにボランティア養成講座が行われましたが、そこで出会った方たちは志が高く、熱意があり様々な経験をお持ちの方々です。その方たちの力を学習支援だけでなく、交流やそこから発展する相談にも生かしていただけたら、大きな力になると思います。交流協会や教育委員会の事業に携わる職員、コーディネーターの先生とボランティアがもっと意見交換をする場をつくり、この日本語教室の活動をより充実したものにしていただきたいと考えますが、見解をうかがいます。

③多文化キッズサロンで目的とされている交流と相談についても、場所の確保を待たずにできることから始めることを提案したいと思います。以前も紹介させていただきました文京区での事例ですが、ボランティアによる子ども対象の日本語教室には保護者も通ってきて、子どもが勉強している間にボランティアと話をし、学校からの配布物の説明をしてもらったり、ちょっとした困りごとの相談ができるようになっているということでした。日本に半年しか滞在しない子どもが来た時には、ボランティアのネットワークでランドセルや制服が集められ、提供したこともあり学習支援だけでなく柔軟な支援が行われていたということです。日本の学校の習慣や体操服をどこで買うかなど、日本人のボランティアにとっては子育ての経験が生かせる場になっている。そして外国籍の親同士の交流やボランティアと親が交流することによって相談機能も備えた場になっているという話でした。今の杉並区の子ども日本語教室で、そのままそれができるとは思いませんが、時間や場所を別にとって、親同士の交流やボランティアと親が交流する機会はつくれると思います。それを提案したいと思いますが、見解をうかがいます。

④時間や場所を別にとってのボランティアと子ども、保護者も交えた交流で、例えば季節の行事、お正月やひな祭り、ホームビジットで日本人の家庭に行ってみる体験、制服や学用品などの交換会やバザーなど、様々な活動が考えられると思います。このような活動をするにあたっては、ボランティア同士の交流を促進することで自由な発想でスピード感のある取り組みがうまれるのではないかとも思います。そのようなこともご検討いただきたいと考えますが、見解をうかがいます。

⓹ここからは外国人の家庭への就学援助の情報提供についてうかがいます。長年杉並区で外国にルーツのある子どもたちの学習支援をしている団体の方から、経済的な理由で、中には就学旅行に参加出来ない子どもがいるという話を聞きました。その方に就学援助制度のことを話すと、ご存じなく、対象となるであろういくつかの家庭が就学援助を知らず、経済的な理由から修学旅行に参加できなかった子どもがいたことがわかりました。どの子にとっても修学旅行や移動教室は子ども同士の仲を深め、日本文化に触れること、修学旅行自体も日本文化であり、外国にルーツのある子どもにとっては本当に貴重な機会だと思います。10月から給食は無償化になりましたが、小学6年生は卒業アルバムや中学入学にあたっての入学準備金、中学2年生はスキーの移動教室、中学3年生は卒業アルバムの代金が発生しますので、ぜひ今すぐに就学援助を保護者が認識できるように改めて伝えていただきたいと思いますが、教育委員会の見解をうかがいます。

⑥就学援助のお知らせは年度初めに配られ、すべての家庭が申請書類を提出する仕組みになっています。外国人の家庭へ知らせる方法を確認したところ、就学援助の説明の手紙は日本語、英語、ネパール語が用意されていますが、申請書は日本語のみという状況です。そして、外国人の家庭が知らなかった原因は、学校によっては日本語の手紙しか配られていなかったことだと確認しています。今後は確実に適切な言語の手紙が家庭に届けられるよう仕組みを見直していただきたいと思います。また、一番在籍者数が多い中国語、その他韓国語、ベトナム語などの言語も必要だと考えます。また説明の紙だけでなく申請書の用紙も必要な言語で用意していただくことを要望しますが、見解をうかがいます。

⑦さらに、今はすぐに動画の作成ができる環境があるのですから、多言語による説明の動画を作成し、それを周知するなどの工夫も行っていただきたいと思いますが、考えをうかがいます。

⑧ここで外国人の子どもの高校入試についても取り上げます。都立高校の入試には外国籍の方向けの特別枠、いわゆる「在京枠」と日本語指導を必要とする生徒の特別措置枠が設けられていて、応募資格を満たせば受験することができます。その特別な入試制度については、子どもにも保護者にも丁寧な説明が必要となりますが、教師が理解していない現状があり、しっかりと説明が行われていないことがあるとの話を聞きました。この入試について、学校それぞれに対応を求めるよりは、教育委員会がまとめて通訳も入れた相談・説明会を行うのが有効と考えますがいかがでしょうか。またそれを録画して見られるようにすれば、参加できなかった子どもや保護者も見ることができると思います。現在は無料で子どもの学習支援を行っている団体が、外国籍の子どもの学習支援や高校入学の支援も行っており、学校から紹介されて来るようになる子どももいるとの話を聞きました。そのように実際に支援を行っている方たちの声を聞き取り、交流協会とも協力してよりよい方法を考えていただきたいと思いますが、見解をうかがいます。

⑨この在京枠の入試について、中学校が知らなくて良いわけはありません。学校でも詳しい資料を準備し、説明できるようにしておくことは必要です。教育委員会でわかりやすい資料を用意し、各学校に配るなどの工夫が必要と思いますが、それはどのようにおこなわれているのでしょうか、うかがいます。

ボランティアによる子ども日本語教室が始まり、そこに関わる人たちが、外国にルーツのある子どもや保護者に出会ったことで、子どもたちに寄り添い、成長を喜び、その人たちの抱える課題に思いを寄せ、それを解決しようと行動することからたくさんの良い変化が生まれていることを実感しています。これまで述べた子どもたちにはこの先ずっと日本で暮らすことになる子どももいます。多様な文化背景を持つ子どもたちがやがては日本社会の担い手として育っていくことは日本社会にとっても利益があることです。今後も杉並区が目指す多文化共生社会を実現するために力を尽くすことを申し上げ、一般質問を終わります。

第3回定例会 決算等別委員会まとめの意見 2023.10.13 奥田雅子

区議会生活者ネットワークを代表し、2022年度杉並区一般会計歳入歳出決算並びに特別会計歳入歳出決算について意見を述べます。

2022年度は長引くコロナ禍に加え、2月のロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響により、エネルギーや食糧等の物価高騰が区民の暮らしに追い打ちをかける状況となりました。国が見込んだGDP成長率実質3.2%程度、名目3.6%程度は実質1.4%、名目2.0%と大きく予想を割り込みました。

2022年度は杉並区にとって、新基本構想がスタートし、6月の区長選挙で初の女性区長が誕生する等、新たな展開が動き出す年となりました。岸本区長就任直後に実行計画等の一部修正が行われましたが、基本構想に基づき、事業はすすめられ、コロナ禍における原油価格や物価高騰への支援等の新たな課題や緊急性のある課題に対して10回の補正予算が組まれ、対応がなされました。

全体的な区財政の状況は経常収支比率が7年ぶりに80%を割る79.8%となったことや公債費負担比率などからも健全であることが確認できました。また、基金と区債についても、不測の事態に備える財政調整基金や区立施設の更新に備える施設整備基金等に着実に積み増しできていること、一方、区債は前年度よりも減少していることも確認しました。私たち区議会生活者ネットワークは決算認定にあたり基本構想に基づく総合計画等が推進され、区民福祉の向上が図られたか、また、持続可能な地球環境を未来に引きつげるかという視点で検討致しました。以下、主な課題について決算特別委員会の質疑を踏まえて意見を述べます。

先ず、防災・防犯です。

災害時における備蓄品の拡充がされ、特に災害時要配慮者や女性への配慮がなされたことは評価できます。一方で地域のたすけあいネットワーク(地域の手)の登録者に対する支援者の体制が十分かどうかの検証が必要です。

次に、まちづくり・地域産業では誰にとっても移動しやすい地域交通環境の整備に向けて新しい移動サービスとして、グリーンスローモビリティと合わせたMaaSの実証実験から政策立案に必要なデータが得られ、「杉並区地域公共交通計画」の策定が行われました。今後の新たな移動手段として高齢者等の社会的弱者にやさしいまちづくりがすすむことに期待します。

次に、環境・みどりについてです。

省エネ対策の「すぎなみエコチャレンジ」の実施や多世代向け環境学習の取組として、地球温暖化や省エネ行動、食品ロスや3Rなどをテーマに環境学習動画をYouTubeで発信したことや「食べ残しゼロ応援店」や「フードシェアリングサービス」など区民や区内事業者を巻き込む仕掛けがなされたことを評価します。

私たちがかねてより省エネ対策として重視しているのは建物の断熱です。燃料費が高騰している今、学校を始めとする区立施設の断熱化を最優先に進めていただきたいと思います。

また、取り組みが進んでいない太陽熱の利用については、区が補助金を出しているお湯を大量に使う高齢者施設などでの利用を呼びかけるなど、普及に取り組むことをこれまでも提案してまいりましたが、改めて要望します。

ペットボトルの利用を減らすため、区立施設を給水スポットにすることを提案し、前向きな姿勢を確認しました。区役所本庁舎、地域区民センターはもとより、図書館など給水機が設置されているすべての施設を給水スポットとして区民に周知する取り組みを進めていただきたいと思います。

これまで区が進めてきたディッシュリユースシステムは2022年3月に終了していましたが、民間との連携により、すぎなみフェスタでのリユース食器導入の取り組みが復活したことを歓迎し評価します。区役所で販売されている弁当等にリユース食器導入を進めていただくことを要望します。

また、みどりの分野においては、緑被率および公園の1人当たり面積が微増ながら減らしていないことは、みどり豊かな住まいのみやこの実現には重要です。一方で、これまで培われてきたみどりが相続や開発などによって失われて行く事態が今後ますます増えていくことが懸念されます。みどりを可能な限り残していくためにできることを地域住民とともに考えていくことが必要です。

次に、健康・医療では地域医療体制の充実に向けて、医療と介護等の関係者による在宅医療地域ケア会議の開催や多職種連携ICTシステムの活用によって、医療と介護の連携が強化されたことは心強いことです。しかし、介護現場のヘルパー不足は深刻です。今後も住み慣れた地域で暮らし続けるためには介護人材の確保を確実にすすめ、さらなる充実を求めます。

ワクチンについては区内には子宮頸がんワクチンの副反応による重篤な被害者が複数名います。その人たちの声を聴かず、救済や治療を置き去りにしたまま、男子の接種にまで助成を行わないよう求めます。また区内の新型コロナワクチンの副反応報告数が81名にも上ること、その中には死亡や重篤なものも多数含まれていることは紛れもない事実です。区民が接種を受けるかどうかの判断をするために、事実をHPで公開し周知することを求めます。

 

次に、福祉・地域共生について

地域福祉コーディネーターの配置を2地区に広げ、アウトリーチによって地域に潜在している課題を掘り起こし、分野を超えて必要な支援や情報とつなぐ取組みはとても重要です。区内全域に地域包括ケアシステムの推進が図られるよう、さらなる地域福祉コーディネータ―の配置を要望します。

長寿応援ポイントの見直しについては、結論はこれからだと承知しましが、制度そのものの廃止はないことが確認できました。今後は課題の解決に向けて、改めて利用者や活動登録団体の意見を聞き取とることを求めておきます。

独居高齢者などの住宅確保要配慮者が確実に賃貸住宅に入居できるよう居住支援協議会の機能を活用し、さらに充実していくよう求めます。

今年の3月にパートナーシップ制度を含む「性の多様性が尊重される地域社会を実現するための取組の推進に関する条例」が制定され、性的マイノリティの方々への差別や偏見を排した地域社会づくりへ前進しました。この条例におけるパートナーシップ制度の対象から残念ながら外れてしまった事実婚カップルに対して、今後、認めていく方向の検討が必要です。

認知症施策では認知症になっても希望をもって住み慣れた地域で暮らし続けられるために、これまでのネガティブな認知症観からポジティブな新しい価値観へと転換していくことの必要性を共有し、高齢者施策の見直しをはかるという区の姿勢が確認できました。

また、高齢障がい者への支援の在り方には課題も多く、その人にとって必要なサービスが受けられる体制づくりが必要です。

次は子どもについてです。区立児童相談所の2026年11月開設に向けて準備がすすめられました。同時に2所目の地域型子ども家庭支援センターが開設され、さらには3所目の開設準備がすすめられ、増える児童虐待相談への体制強化が図られたことは重要です。

また、安心して子どもを産み育てられる環境の充実という点では妊娠期から子育て期までの切れ目のない伴走型相談支援の充実が図られました。子育てに対する不安や孤立感の軽減は虐待防止にもつながります。乳幼児親子が子育て仲間に出会い・交流することでエンパワーできる場や産後ケア事業、子どもショートステイ等、多様な子育て支援事業の充実が図られたことを評価します。今後は持続可能な受け皿の体制を保障していくことが求められています。十分な委託費の検討を要望します。

子どもの居場所づくりではこの間の児童館再編の取組を検証し、今後のより良い子どもの居場所の方向性を検討するにあたっては、なによりも子どもの意見をしっかり聞き取り、大人の都合ではない子どもの最善の利益を第一にすすめるよう求めます。

医療的ケア児の受け入れが保育園や学童クラブ、区立小学校で実現したことはインクルーシブな環境という観点からも重要です。関係各課の連携で包括的な支援体制のさらなる充実を期待します。

次に学びについてです。

当該年度は「杉並区教育ビジョン2022」のスタートの年であり、ビジョンに掲げた「みんなのしあわせを創る杉並の教育」の実現のため「杉並区教育ビジョン2022推進計画」が策定され、取り組みが進められました。教員の働き方改革が課題となっている中、副校長公務支援員の配置、部活動指導員を増員するなどの取り組みを進めたことは重要です。

交流協会と連携し、外国にルーツを持つ子どものための日本語教室をスタートさせたことを評価します。

不登校の子どもが急増する中、今後の校内居場所の全校設置、支援先の情報が掲載された冊子の作成と配布に前向きな意向が示されたことに期待します。これまでも不登校対策として求めてきた区が主催するオープンな親の会の開催、SSW(スクールソーシャルワーカー)の処遇改善と増員を要望いたします。

次に、文化・スポーツについて

コロナ過の影響が長期化する中、文化芸術関係者が活動を継続できるよう、感染症対策を講じて実施する事業に対し、経費の助成を行ったことは重要です。

障害者スポーツネットワークが設置され、多くの障害者が身近な区立体育館で気軽にスポーツを楽しむためのユニバーサルタイムの取り組みを荻窪体育館でスタートさせたことを評価します。今後区内の他の体育館にもこの活動が広がることを期待します。

次に、協働の取組についてです。

少子高齢社会が進行する中、複雑化する地域課題に対して、迅速かつ的確に対応していくことが求められています。私共、生活者ネットワークはこの間、「地域課題の解決には地域住民抜きですすめないで」ということで住民自治を重視した政策を一貫して訴えてきました。そういう意味では区が掲げる「参加と協働による地域づくり」は大いに賛同するものです。これまで行ってきた協働の取組を一層深化しつつ、基本構想で掲げた「新たな協働のかたちをつくる」とする公民連携による地域課題の解決、職員意識の醸成をめざす区の協働推進基本方針を着実に進めていただきたいと思います。

また、岸本区長が大切にしている対話について、岸本区長就任前に区が開催してきた施設再編などに関する説明会での反省も踏まえ、区が住民との対話の機会を増やし、前向きな合意形成を図っていこうとする姿勢は重要です。対話の場では、参加者一人ひとりが尊重され、安心してそれぞれの意見が言えるよう工夫し、その前提となる情報公開の徹底により、区民参加のより良いまちづくりが進むことを期待します。私たちもそのために力を尽くしたいと思います。

次に、デジタル化の推進については

デジタル技術を活用した区民サービスの向上および行政内部のデジタル化による効率化の推進の2つの柱ですすめられています。行政職員の働き方改革の観点からも重要な取組です。一方、区民サービスにおけるデジタル化も時代の流れとともに進めていくことは必要ですが、一方で、デジタルデバイドに配慮した取り組みも必要です。講習等でスキルを身に着けられる場合と違って、障がいによって利用が制限されてしまう方も存在することを忘れることなく、当事者からの声を聴くことも欠かさないよう要望しておきます。

なお、デジタル化が進むことによって個人情報の保護が後退することがないよう進めていただきたいことを申し添えておきます。

最後に、会計年度任用職員について、この間、処遇については一定の改善がなされてきた点は評価します。昨年度、雇用安定性を課題として、雇用年限制度について検討するとのことでしたが、職員の固定化や高齢化、新規雇用の機会抑制を理由に6年の雇用年限撤廃に至らなかったことは残念です。区には欠かせなくなった非常勤職員が安心して生き生きと働ける環境になるよう改善を求めておきます。

以上の理由および要望を付して、認定第1号杉並区一般会計決算、認定第2号杉並区国民健康保険事業会計決算、認定第3号杉並区介護保険事業会計決算、認定第4号杉並区後期高齢者医療事業会計決算を認定いたします。

結びにあたり、資料作成にご尽力いただいた職員の皆様に感謝申し上げ、区議会生活者ネットワークの意見開陳といたします。

第2回定例会 一般質問と答弁 2023.6.2 奥田雅子

認知症の人が暮らしやすい地域づくりについて

【Q1】 〇認知症だから無理と最初から決めつけて、本人の人権が侵害されていないか。医療の前に専門職が人権の視点を持つことが先という基本が全国のトレンドになりつつある。認知症施策の継続、積み上げを担保し、本人のみならず、家族や働く人の人権にも目を向けた条例をつくる自治体も増えてきている。広島県広島市、岩手県矢巾町(やはばちょう)、長野県上田市豊殿(ほうでん)地区や和歌山県御坊市、鳥取県鳥取市、世田谷区などの動きは参考になる。このような認知症施策をめぐる全国の動向に対する区の認識、それらを受けて自治体としての責務をどう受け止めているかうかがう。

〇国の認知症施策大綱でも示しているように、これまでの認知症になったらもうおしまい、といった絶望感から脱却し、これからは発想を変えるべきで、「自分事」、「本人視点」、「可能性重視」、「ともに」、「希望」をキーワードに認知症の新しい常識・文化を醸成することで、本人の存在不安が緩和され、状態が安定し、力を発揮し、支え手としても活躍できるようになる。その結果、家族や社会の負担も軽減していき、一人暮らしでも地域でつながりを持ち自分らしく暮らし続けられるようにしていく時代に突入したという認識を持っているが、このように、認知症観の転換期と言われているが、区の捉えについてうかがう。

〇まずは区役所の中から認知症に対して新しい常識に転換していかなければならないし、それに合わせた制度の見直しも必要ではないか。区の展望をうかがう。

【A1 区長】 国は2019年6月に認知症施策大綱を公表し、その中で、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会をめざすという新しい認知症観を示すとともに、共生と予防を車の両輪として、施策を推進することとしている。また、現在、超党派の議員連盟により、認知症基本法の制定を図る動きもある。こうした動きに前後して、愛知県大府(おおぶ)市を皮切りに、いわゆる認知症条例を制定する自治体が増えていることも承知している。

当区においては、これらの動向を参考に、国の大綱をふまえて、新しい認知症観のもとで大切にすべき認知症本人やその家族の視点を重視しつつ、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく生活を続けられるよう、区民に身近な基礎自治体として、認知症施策を総合的に推進する責務があると考えている。

こうした認識に立って、今年度中に策定を予定する(仮称)高齢者施策推進計画の中で、2040年問題も視野に入れた施策・事業の見直し等を図り、区を挙げて新しい認知症観に基づいた取り組みをしっかりすすめていく。

【Q2】  今年度、新規事業として「認知症介護研究・研修東京センター」との連携が予算化された。このような認知症の転換期と言われる状況に対応してのことと考えるが、連携の意図、協力内容など具体的にうかがう。

【A2 高齢者担当部長】  本年3月に締結した協定書では、東京センターの実践的な研究等をふまえて、区の認知症施策にかかわる各種事業の充実に向けて連携・協働することとしている。今年度はこの協定に基づき、6月に実施する講演会への講師派遣や(仮称)高齢者施策推進計画の策定にあたっての専門的な助言をいただくことなどを予定している。

【Q3】  区が把握している認知症の人の数と、推計する数はどのくらいか。

【A3 高齢者担当部長】 本年4月時点で区が把握している認知症高齢者数は9,859人で、65歳以上の人口に占める割合は8.21%となる。

今後の推計人数については、認知症介護研究・研修東京センターの助言を得て算出することにしており、その結果を(仮称)高齢者施策推進計画の策定等に行かしていく予定だ。

【Q4】 現在の杉並区高齢者保健福祉計画では、施策1の高齢者の地域包括ケアの推進の中に認知症対策があり、①普及啓発や本人発信の支援 ②認知症の予防 ③認知症の早期発見・早期対応に向けた体制・連携強化 ④介護者の支援の充実 ⑤認知症バリアフリーの推進(共生の仕組みづくり) ⑥若年性認知症の方への支援・社会参加支援の6つの柱が立てられている。この6つの柱にそって施策や事業が展開されているが、次の改定に向けてこの間の取り組みをどのように総括し、今後の取り組みの「方向性をどのように考えているのかうかがう。

【A4 高齢者担当部長】 高齢者保健福祉計画の総括については、今年の夏ごろを目途に行い、それらをもとに、新たに策定する計画の施策体系やその方向性をとりまとめることにしている。

【Q5】 認知症サポーター養成講座は認知症の人とかかわる機会が多いことが想定される小売業・金融機関・公共交通機関・公共施設・消費生活相談・警察などの職員向けに実施する必要がある。区内で実施されている機関はどのようなところかうかがう。

【A5 高齢者担当部長】 認知症サポーター養成講座の受講状況は、事業を開始した2007年以降、一般区民や町会・自治会、民生委員、学校関係に加え、ご指摘にあった金融機関やスーパーマーケット、公共機関にも参加いただいており、今後も各機関等に積極的な受講を促していきたいと考えている。

【Q6】 子どもや学生向けの養成講座の実施や高齢者との交流などを通じて、子ども・若者の認知症の人への理解を深めることも必要だが、学校ではどのように取り組んでいるのかうかがう。

【A6 教育政策担当】  教育委員会では、希望する小学校において、認知症サポーター小学生養成講座を実施している。この講座では、認知症の症状や予防についての話を聞いたり、ロールプレイを通して認知症の方がたに接するときの心構えを学んだりしている。

また、高齢者との交流活動としては、伝承遊びのゲストティーチャーとして学校に招いたり、絵手紙の交換を行ったりしている小学校や中学校もある。

教育委員会では、認知症サポーター養成講座の実施を学校に呼びかけたり、高齢者との交流活動をしている学校の取り組みを他校に紹介したりするなどして、子どもたちの認知症への理解に努めていく。

【Q7】 〇地域の個々の活動を面でとらえネットワーク化する取り組みとして、現在、ケア24を中心に進められている生活支援体制整備事業第2層協議体の活動が、まさに地域の支え合いによる生活支援の体制の具現化であるとして期待している。区はこの第2層協議体を、今後どのように発展させていこうと考えているのか、その展望をうかがう。

〇区は基本構想の基本的理念で「誰一人差別されず、取り残されない社会」をつくるとうたっている。超超高齢社会に向かい、もはや行政だけでは立ち行かない現実があるとき、地域の力を合わせてセーフティネットを張り巡らせていく必要がある。その場合、地域住民の自発的活動が杉並区の支え合いの一員として参画し、その活動が持続発展していくよう区としても何らかの支援が必要だと考える。住民自治への投資と考え、自由度のある予算配分もふくめ、今後検討が必要と考えるが、区の見解をうかがう。

【A7 高齢者担当部長】 生活支援体制整備事業における第2層協議体の今後の展望については、区としてもこの取り組みを通して、住民同士が支え合って地域の生活課題を解決する地域づくりを進めていくことが重要と考えている。今後は、現在の57の協議体ごとの活動はもとより、地域の実情等に応じて複数の協議体による連携した活動を支援したり、これらの実践的な活動を適切に周知して、参加者を広げることにつなげたりしながら、より一層、各協議体の活動を地域にしっかりと根付かせていきたいと考えている。

なお、住民自治へ投資する観点からの予算配分については、この第2層協議体をはじめ、地域住民の自発的活動を助長するための事案はさまざまあるが、引き続き適切な予算措置を図っていく。

【Q8】 区ではもの忘れ予防検診を70歳になる区民を対象に2021年度より実施している。認知症に関する正しい知識の普及啓発を行うとともに、認知症の前段階である軽度認知障害の方を早期に発見し、その後の適切なフォローを行うことで認知症の発症や進行を遅らせることを目的としているとあるが、受診者の数はどのくらいで、フォローの対象となるのは何%くらいか。具体的にどのようなフォローがされているのか。また、この事業の効果をどのように区はとらえているのかうかがう。

【A8 高齢者担当部長】 2022年度は5,080人の対象者に受診を勧奨し、その2.4%にあたる120人が受診した。その結果、フォローの対象者数は受診者の12%となる14人となり、それぞれの状況に応じて専門医療機関等につないでいる。

こうしたもの忘れ予防検診は、認知症の前段階にある方を早期に発見し治療につなげることにより、発症や進行を遅らせることに寄与しているものと受け止めている。

【Q9】 認知症初期集中支援チームについて、現在、何チームあり、具体的にはどのような取組がなされているのかうかがう。

【A9 高齢者担当部長】 現在この認知症初期集中支援チームは、区内を東・西・南に分けた3ブロックごとに各1チームを設置している。各チームは、それぞれ認知症専門医と医療・福祉の専門職で構成されており、ケア24を通じて支援対象とした、認知症が疑われる方の自宅訪問による生活状況や認知機能等の確認を経て、援助方針を決定の上、その方針に基づき、継続的な医療・介護サービスの利用や生活環境の改善に向けた支援等を実施している。

【Q10】 区は、認知症の相談にあたる認知症サポート医やケア24スタッフをはじめとする医療や福祉の専門職に向け「認知症対応サポートブック」を発行している。相談に来た人の不安に対して、最初に「大丈夫!」と言ってあげることで、本人や家族が不安になり隠そうとしたり、孤立してしまうような絶望感を持たなくてもすむような、認知症に対する新しい常識を意識した内容になっているか、うかがう。

【A10 高齢者担当部長】 認知症対応サポートブックは、高齢者の介護・医療に携わる関係者が認知症の早期発見・早期対応につなげることができるよう作成・配布しているものである。現在の内容は新しい認知症観を強く意識した内容とはなっていないので、議員のご指摘は次回の改訂を図る際の参考とさせていただく。

【Q11】 家族や介護者の支援メニューはさまざまあり、どれも必要なサービスだと考えるが、実績を見たとき、必ずしも多いとは言えないものもある。知られていないのか、使い勝手の問題なのか介護当事者も交えた検証が必要ではないか。区の見解をうかがう。

【A11 高齢者担当部長】 現在の家族介護者支援事業としては、「ほっと一息、安心ヘルプ」「緊急ショートステイ」「徘徊高齢者探索システム」などがある。これらの事業については区が3年ごとに行っている高齢者実態調査を通じて、一定のニーズがあることを把握しているが、改めて機会をとらえて介護当事者の意見をうかがい、必要な改善・見直しにつなげてまいりたい。

【Q12】 ケアマネ不足が言われる中、ケアラーアセスメントのような介護者支援もふくめたきめ細やかなケアプランの作成が定着しているのか心配するところだが、現状はどうか、区の認識をうかがう。

【A12 高齢者担当部長】 ケア24などでケアプランを作成する際には、介護者の方の希望や意向を聴いたうえで、きめ細やかな内容となるよう努めていると承知しているが、改めてケア24センター長会などの機会に、そうした対応が徹底されるよう促していく。

【Q13】 もの忘れが気になりだした方向けの「認知症あんしんガイドブック」にはさまざまな情報が盛り込まれており、よくできているとは思うが、当事者目線で点検すると改善の余地もあるように感じる。そのため、ガイドブックの改定の際には認知症本人や家族の声を聴きながら作成に活かしていただきたいが、いかがか。

【A13 高齢者担当部長】 本年3月に改訂した認知症ケアパスは、認知症の本人やその家族の意見も取り入れながら作成しているが、より一層当事者の視点を大切にして、見やすくわかりやすい内容となるよう、今後の改訂の際にも工夫・改善に努めていく。

【Q14】 認知症になっても自分のやりたいことができ、心豊かに安心して社会参加していける環境を整える必要があり、そのためには本人が意見を出せる場への参加は欠かせない。さまざまな場面ごとに課題解決するためのアクションミーティングをしくみづくりが必要だと考えるが、区の見解をうかがう。

【A14 高齢者担当部長】  現在行っている本人やその家族が参加する「認知症カフェ」のように、今後も新しい認知症観に基づく本人参加の取組みを促進することは重要と考えている。こうした認識に立って、今後どのような場面で、いかに進めていくかについて、さまざまな関係者の意見を聴いてまいりたい。

【Q15】 町会・自治会を始め、地域でのささえあいの機運を高めるためには、地域住民の参加も不可欠である。認知症に対する新しい常識に頭を切り替えて、地域社会の認識を変えていく必要があるのではないか。その一つのしかけとして、その地域ごとの高齢化率や認知症の人数等のデータを地域住民と共有し、自分事として考えるきっかけを区として投げかけてみてはどうかと考えるが、区の見解をうかがう。

【A15 高齢者担当部長】 ご指摘のようなデータの共有や意見交換の機会は意義あることと考える。まずは、生活支援体制整備事業における第2層の協議体において、取り組んでみたいと考える。

【Q16】 〇今年度、認知症の本人やその家族のニーズに合わせた支援ができるよう、地域ごとに「チームオレンジ」の育成に予算がついたが、そのチームオレンジの取組みについて、どこに位置づき、構成メンバーは誰で、どのような活動をしているのか、また区としてどのような活動をイメージしているのか具体的にうかがう。

〇現在も高齢者を見守るしくみは民生委員やたすけあいネットワークや成年後見人等あるが、このチームオレンジとはどのようにすみ分け、連携を考えているのかうかがう。また、認知症で一人暮らしが今後増えていく中で、居住支援の充実も課題になっていると考えるが、それぞれの役割の明確化について、区はどのように考えているのかうかがう。

〇今後チームオレンジの数を増やしていく必要がある。どのようにはたらきかけていくのか区の見解をうかがう。

【A16 高齢者担当部長】 現在チームオレンジは8チームが組織されており、ケア24の20カ所すべてに設置するよう、段階的に取り組んでいく予定。各チームは、当該地域に住む認知症サポーターのうち、ステップアップ講座を修了したメンバーで構成し、交流活動やイベントの実施などを通して、認知症本人とその家族を支援している。

こうしたチームオレンジの活動は、民生委員やたすけあいネットワークによる安全・安否確認を主として見守り、成年後見人等による経済面でのサポートを軸とした支援と異なり、協働参画的な性格が強いものと考える。

なお、ご指摘の居住支援をふくめ、さらなる連携をどのように図っていくかは、今後の課題の一つと受けとめており、各機関の関係者と意見交換を進めていく。

【Q17】 認知症介護研究・研修東京センターより、「希望をかなえるヘルプカード」が提唱されている。自分が行きたいところややりたいことを名刺大のカードに書いて持ち歩き、困ったときにそれを見せて支援を求めるためのツールだ。最近では「私は認知症です」というカードを選ぶ人が30%になってきたそうで、本人発信ができる社会に変わりつつあると感じた。区も「助けられ上手になろう」とこの間発信してきており、このヘルプカードもそのツールの一つになり得ると考える。また、認知症になってから使い始めるというより、その前から使い方をイメージしておくことも必要だと考えるため、認知症サポーター養成講座やおたっしゃ訪問、高齢者向けの送付物に同封する等して、区としてもこのヘルプカードの普及を進めてはと考えるがいかがか。

【A17 高齢者担当部長】  認知症介護研究・研修東京センターが提唱するヘルプカードについては、現在ケア24高井戸で試験的に活用しており、今後同センターと連携して、杉並版のヘルプカードの作成に取り組むことにしている。その動きに合わせて、ご指摘のような普及啓発の取組みも考えていく。

【Q18】 高齢者在宅支援課に若年性認知症相談窓口が設置され、認知症支援コーディネーターが相談を受けていると認識している。この間の相談件数はどのようになっているか確認する。また、計画に記載されている、若年性認知症の実態把握とともに切れ目のない支援体制の構築状況についてもうかがう。

【A18 高齢者担当部長】  区は2020年度から若年性認知症相談窓口を設置し、相談件数は2020年度13件、2021年度13件、2022年度5件となっている。

また、若年性認知症の実態把握については、介護保険認定者数の中から対象者の実数を把握しており、ケア24や医療機関からの相談をもとに、月1回、東京都若年性認知症総合相談センターの医師をスーパーバイザーとして招いた個別支援会議を実施し、その結果をふまえて、障害福祉サービスや介護保険サービスにつなげるなど、」切れ目ない支援を図っている。

第2回定例会一般質問と答弁 2023.6.2 そね文子

Q1 区はこれまで被害者に継続して関わってきた経験を踏まえ、決して区内から被害者を出さない決意で事業に取り組んでほしいが区の見解を確認する。

A1(区長)予防接種は基本的に健康な人が免疫をつけるために受けるものであり、健康被害が出ないように可能な限り安全に実施すべきと考える。区はこれまで区民の命と健康を守ることを第一に予防接種事業を進めていて、HPVワクチン接種についても、平成25年3月の区議会においてワクチン接種後の健康被害例の指摘を受けた際も、同年6月に国に先駆けて独自の救済制度を策定するなど健康被害にあった人に寄り添った対応に努めてきた。

引き続き予防接種法に基づいた実施方法を遵守することはもちろん、ワクチンの有用性と副反応について客観的に分かりやすく伝え、接種対象者が納得して接種するかどうかを選択できるよう周知していく。また万が一健康被害が発生した際は、被害にあった人に寄り添い、健康被害救済法制度につなげるなど、安全で適切な実施に努めていく。

Q2 2022年2月一般質問で情報提供の方法についてきいたところ、保健所に予診票を受け取りに来た接種希望者に、予診票と併せて区で作成したリーフレットを渡し効果や副反応、相談窓口についてリーフレットに沿って説明し、22年度以降もこの体制を継続するとの答弁があった。現在もこの体制は維持されているのか。

A2(杉並保健所長)現在は接種対象者に予診票を送付する際、効果や副反応、健康被害救済制度について記載したリーフレットを同封し、正確な情報提供に努めている。

Q3 2023年4月からシルガード9が定期接種に追加された。その際の案内はどうだったか。

A3(杉並保健所長)これまで予診票を送付し3回の接種履歴が確認出きていない人及び新たに予診票を送る人に対して、2023年以降はシルガード9も接種できること、効果、副反応、健康被害救済制度について記載した案内をこの3月に送付した。

Q4 シルガード9は従来のワクチンと比較してさらに重篤な副反応被害の報告頻度がたかくなっていることを、区のホームページにわかりやすく掲載できないか。

A4(杉並保健所長)厚生労働省のHPVワクチンの有用性や副反応など予防接種の情報が掲載されているので、区のホームページにはそのリンクを貼ることで周知を図っている。

Q5 2022年度の区内のワクチン接種者数、副反応報告数、区の相談窓口に寄せられたHPVワクチンに関する相談内容について差支えない範囲で教えてほしい。

A5(杉並保健所長)2022年度の区内のHPVワクチン接種者数は2064人、副反応報告、相談はない。

Q6 副反応に対する優れた専門家医師の経験を区の医師会に情報共有し、医療機関での診察に役立ててほしいが区の見解は。

A6(杉並保健所長)区と医師会は定期的に連絡会を開催して意見交換し、議論を重ねてきている。ワクチンの有用性や副反応についても情報共有を行っていく。

Q7 2022年に接種勧奨が再開されてから一般医療機関から協力医療機関に送られる患者は急増している。副反応被害が増えていることを表していると考えるが区の見解は。

A7(杉並保健所長)接種勧奨が再開され接種者が増えることに伴い、ワクチン接種後に生じた症状を診察する協力医療機関の受信者が増加することは想定の範囲内と考える。

Q8 2022年HPVワクチン接種の勧奨が再開されるにあたり、厚生労働省は学校での相談体制も整えてから行うようにとの通知を出したが、教育委員会では養護教諭への情報提供をしたのか。

A8(教育次長)ワクチン接種後の副反応により児童生徒の投稿や学習面に影響がみられる際には、学習面や受診、相談の体制が必要になることから学校と教育委員会、保健所が連絡を取り合いながら対応するとともに、養護教諭に児童生徒や保護者からの相談に活用できる情報を提供している。また昨年4月の勧奨再開時には、ワクチン接種に関する国の健康相談支援サイト「スマート保健相談室」の周知も行った。

Q9 シルガード9が追加されたことについて養護教諭などの情報提供は、教育委員会で行ったのか。

A9(教育次長)現時点ではシルガード9が追加されたという情報提供は行っていないが、今後必要な情報共有は行っていく。

Q10 被害者が出た他自治体では、裁判を支援する団体が作った厚労省のデータに基づくパンフレットを保健所の窓口や養護教諭に配っているところもある。区でも取り組んでほしい。

A10(杉並保健所長)保健所窓口や養護教諭に配布するパンフレットは、接種対象者が接種するかどうか納得して選択できるよう、メリット、デメリットを正確かつ客観的に示したものが適切であると考えるので配布は考えていない。

Q11 子宮頸がん検診を受けやすくし、受診率を上げることこそ一番に取り組まなければならないことと考えるが区の見解は。

A11(杉並保健所長)子宮頸がんは罹患初期には自覚症状がほとんどなく、自分で気づくことは困難だ。

このため、ワクチン接種に加え、子宮頸がん検診を受けやすい環境を整え受診率を高めることが重要だ。

これまでも新規対象者の20歳の人を対象に無料クーポン券を配布し、各種広報媒体でPRを行ってきた。

また40歳以上の国保特定健診対象者には、申し込み手続き不要の受診券シールを送付している。本年からはこれに加え、国民健康保険加入者の罹患率が急増する30歳代の人にも送付することとし、さらなる受診勧奨に努めている。

Q12 キャッチアップ接種について、ガーダシルとサーバリックスはハイリスクのHPVのうち2つの型を予防するとされているが、すでに感染している人には予防効果はないと明記されている。また、年齢が高くなるほど有効性は下がる。このことはHPなどで情報提供して検診を勧めてほしい。

A12(杉並保健所長)2022年8月にキャッチアップ接種対象者に予診票を送付した際、初回性交渉前の年齢層に接種することが勧奨されていること、20歳以降は定期的に子宮頸がん検診を受けることが重要であることを記載したリーフレットを同封した。今後このリーフレットをHPに掲載するなど、キャッチアップ接種対象者への情報提供に努めていく。

Q13 区は男子への接種を決してすすめるべきでないと考えるが区の見解は。

A13(杉並保健所長)国はHPVワクチンを男子に対しても定期予防接種として位置づけることの是非について、今後検討することとし科学的知見の収集を国立感染症研究所に依頼した。区は国の科学的知見の収集状況や議論を注視していく。

 

第2回定例会一般質問 2023.6.2 そね文子

HPV(子宮けいがん)ワクチン接種について

  • 定期接種にシルガード9が追加されたことの懸念について
  • HPV(子宮けいがん)ワクチンを男子に接種することの疑問について

昨年区長が交代し、また多くの新人議員の皆さんが入られたので、今回は私がHPV(子宮頸がん)ワクチンの副反応被害に継続して取り組むことになったところから話しを始めたいと思います。杉並区内で2011年11月、中学1年生がワクチンを受け、大変重篤な状態になり、中学校にも通えなくなり、高校、大学も通信制に行くなど、人生が大きく変わってしまった、その被害者に会ったことです。その中学生はワクチン接種直後から腕がしびれその被害について2013年3月に議会で行った質問が新聞報道され、全国から同じ状態で苦しむ家族からの声が届き、全国の被害者家族会が立ち上がりました。

さて、2013年6月、このワクチン接種後に副反応被害が相次いでいることを受け、安全性に課題があることから子宮頸がんワクチンは積極的にお勧めしないという措置がとられていましたが、2022年4月から積極的なお勧めが再開されました。また、積極的なお勧めが中止されていた期間に接種を受けそびれた年代の人たちにキャッチアップ接種としてワクチン接種を勧めるための措置もとられることになりました。

〇区は決して区内から被害者を出さない決意で事業に取り組んでいただきたいが、区の見解を確認します。

〇区では重篤な被害者が出て以降、HPVワクチン接種にあたっては慎重な対応と正確な情報提供に努めてこられたと認識している。区は2022年2月に私が一般質問で情報提供の方法について聞いたところ、保健所に予診票を受け取りに来た接種希望者に、予診票と併せて区で作成したリーフレットを渡し、効果や副反応、相談窓口などについてリーフレットに沿って説明しており、22年度以降もこの体制を継続して情報提供に努めるとの答弁があった。現在もこの体制は維持されているのか。

2023年、今年の4月からは新たにHPVワクチン、シルガード9が定期接種として受けられることになりました。しかし、シルガード9の安全性にも疑問があります。

シルガード9とはこれまでのHPVワクチン(ガーダシル)の成分を約2倍に増量したものです。これまでのワクチンは15種類あると言われる発がん型ウイルスのうち2つの型にしか対応していませんでした。それがシルガード9はそれに5つの型をプラスして7つの型に対応するものになっています。そして免疫増強剤の量も2.2倍になっています。

そもそもこれまで接種されてきたHPVワクチンは、その他の定期接種の平均と比べて重篤とされる副反応報告が8.8倍にも上るもので極めて副反応疑いの頻度が高いワクチンです。厚労省の詳細版パンフレットを見ると、従来型のHPVワクチンの重篤副反応疑い報告は接種1万人あたり約5人なのに対して、シルガード9は約7人と明記されています。厚労省もさらに副反応のリスクが高いことを知りながら接種を勧めようとしているのです。ここで質問いたします。

〇2023年4月からシルガード9が定期接種に追加された。その際にお知らせはどの ようにされたのかうかがう。

〇厚労省のホームページやパンフレットは若い女性に子宮頸がんが増えているという事を強調していますが、国立がん研究センターの資料を見てもそのような事実は見て取れません。先ほど述べたようにシルガード9は従来のワクチンと比較してさらに重篤な副反応被害の報告頻度が高くなっていることを、区のHPに分かり易く掲載していただきたいと思いますがいかがでしょうか、うかがいます。

〇2022年度・2023年度の区内のワクチン接種者数、副反応報告数、区の相談窓口に寄せられたHPVワクチンに関する相談数、差し支えない範囲での相談内容についてうかがいます。

〇昨年4月からHPVワクチン接種のお勧めが再開されるにあたり、厚労省は学校での相談体制も整えてから行うようにという通知を出していました。この通知を受けて区教委では養護教諭への情報提供などしていただくと良いと思いましたが、実際はどのような対応がとられたのでしょうかうかがいます。

 

〇シルガード9が追加されたことを受け、養護教諭などへの追加の情報提供が必要だと思いますが、区教委ではどのように取り組まれているのかうかがいます。

〇被害者が出た他自治体では、裁判を支援する団体が作った厚労省のデータに基づくパンフレットを保健所の窓口においてもらっているところもあります。杉並区でも取り組んでほしいと考えますが、いかがかうかがいます。

〇医師会への情報提供についても伺います。

5月18日、HPVワクチン薬害の裁判があり傍聴した。その日は医師で信州大学名 誉教授、専門は神経内科学で多くの神経難病について病態解明、診断基準作成、治療法研究に従事されてきた池田修一医師が専門家としての証人尋問に立たれました。池田医師はこれまで200名以上の副反応被害者を診察してきていますが、このことに関わった経緯は子宮頸がんワクチンの副反応について「ワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究」にとり組んでほしいと厚労省から依頼を受けたことからはじまりました。池田医師がHPVワクチン副反応の特徴としたのが、一人の患者に多様な症状が同時に出現する。時期によって症状の組み合わせが変化するということです。そしてCRPS(複合性局所疼痛症候群)、起立性調節障害、高次脳機能障害の病態を併せ持ったような症候群という結論に達したということです。接種後の病態が共通し、特異性があること、海外の国々においては環境や生活習慣、民族など様々な違いがあってもHPVワクチン接種後の患者に共通の病態が出現していることから心理的要因では説明できない。また信州大学では2013年から積極勧奨が控えられ、接種者が減ると、このような患者も減ったことにも言及されました。そして、厚労省の副反応部会は早い段階で免疫反応の可能性を否定し、接種後の痛みや痛みへの恐怖心が惹起する「心身の反応」と結論付けたことを、とうてい科学的データに基づく議論とは言えないと批判しました。厚労省が「心身の反応」と結論付けたことで多くの患者が2次的被害を被ることになった、そう決められたら一般の医師は、あなたは心身の反応だから精神科に行ってと言いい、被害者は一般の医師の診療を受けられなくなり精神科をたらいまわしにされる結果となりました。患者からの話では、1回目、2回目に接種を受けたときから体調が悪くなったという自覚が本人にはあったのに、医師や保護者にその知識がなく、3回受けないと意味がない、無料で受けられる期間が終わってしまうと言って3回目まで受けさせ、それがさらに被害を悪化させたということでした。

〇このような話は厚労省の医師用のリーフレットにも載っていませんが、多くの患者を診てきた優れた専門家医師の経験を区は医師会に情報共有し、区内医療機関での診察に役立てていただきたいと思いますが区の見解をうかがいます。

〇実際に2022年、積極勧奨が再開されてから、一般医師から協力医療機関に送られる患者の数は急増しています。明らかに副反応被害が増えていることを表していると考えますが、区の見解を伺います。

〇ワクチンを打ってもそれですべての子宮頸がんを防げるわけではないため、検診を受けることが促されています。検診は子宮頸がんを減らすために有効な手段として科学的に証明されています。検診を受けやすくし、その受診 率を上げることこそ一番に取り組まなければならないことだと考えますが、区の見解をうかがいます。また、検診受診率を上げるために産婦人科医ではなく、女性看護師による検診が受けられるようにする工夫などもしていただきたいと思いますが、これから区が具体的に取り組もうとすることがあれば併せてお聞かせいただきたいと思います。

〇最後にキャッチアップ接種についてもうかがいます。○○の情報提供、特化してされるべき、HPに掲載していた だきたいがいかがか。

(2)次に、このHPVワクチンを男子に打とうとすることの疑問について質問します。

隣の中野区では小学6年生から高校1年生の男子のHPVワクチン接種に対し、この8月から全額公費助成を行うことが決まっています。対象となるワクチンは現在男性に対して認可されている4価ワクチンのガーダシルです。

海外では男子への接種を勧めている国がありますが、そこでは女子と同じように被害が出ており、裁判も行われている状況があります。

どうして他の自治体でもほとんど例がないことを中野区が行ったのか疑問に思い議会での審議を見てみました。

そこで保健福祉部長の答弁に目を疑いました。HPV感染は性感染症ですから女子に移さないために男子にも接種を行うという視点からの話ですが、保健予防課長はなぜ区でこの施策を進める必要があるかを問われて、「子宮頸がんの罹患率を年齢別で見ますと、20代から40代の子育て世代に非常に発生率が高い。死亡率も高い。そういう事情があります。中略 単に子宮頸がんを区全体で減らすというだけの考えとゆうよりは、やはりお母さんを守るということ」というふうに述べています。

〇ここで確認したいのですが、20代から40代の罹患率が高いという傾向はあると認識しています。しかし20代から40代の子宮頸がんによる死亡率が高いということについては事実とことなると考えます。国立がん研究センターの統計を見ると、子宮頸がんによる死亡率が高くなるのは50代以降で、8割を占めています。決して20代から40代の死亡率は高くはありません。これは間違った情報を元に施策が進められていることを懸念します。この認識に対する区の見解をうかがいます。

〇さらに中野区での議論を見てみると、ワクチンの供給について確認する質問に保健予防課長が国のワクチン分科会での話を引用し、女性は今後9価ワクチン、これはシルガード9のことですが、それに流れる可能性が高いから、4価ワクチンは空くから、そこに男子を入れたいという考え方だったのではと答えています。これはまるで製薬会社の在庫処分に付き合わされているような話で、このような考えで決して税金を使っていただきたくないと思いました。杉並区では重篤な被害者が出たことから学び、このワクチンの危険性について何度も質疑をし、認識も深まっているかと思います。しかし隣の中野区で、このワクチンを強力に進めたい議員の要望があり、危険性やデメリットを認識しないままに他の議員が賛同し、区が男子への接種を勧める事態に至ったことには危機感を抱きました。杉並区は男子への接種を進めるべきではないと考えますが、区の見解をうかがいます。

 

 

第2回定例会 一般質問 2023.6.2 奥田雅子

認知症の人が暮らしやすい地域づくりについて

目前に迫る超超高齢化社会を見据え、2019年6月に「認知症施策推進大綱」が国の認知症施策推進関係閣僚会議で取りまとめられました。それを受けて、私は折に触れて区の認知症対策について質問に取り上げてきました。

国はその後の議論を経て、今国会で認知症基本法が成立かといった局面を迎えています。

法の趣旨は急速な高齢化に伴い認知症の人が増加している現状に対し、認知症の予防等を推進しながら、認知症の人が尊厳を保持しつつ社会の一員として尊重される共生社会の実現を図るというものです。

区も認知症介護研究・研修東京センター(以下東京センター)との協定をすすめ、認知症対策をより一層充実したものにしていこうと取り組まれていると認識しています。現在、次期高齢者保健福祉計画の改定の議論が進められており、東京センターの助言が計画に活かされていくことを期待しているところです。

そのような中、先日、東京センターの永田久美子さんに現在の全国の動きや変わる認知症観についてお話を伺い、意見交換の場を持ちました。

国の動きとともに、認知症施策をめぐる全国の動向として言えることは、現在、非常に重要な転換期であるということでした。それは認知症観の転換であり、以前にも紹介した「認知症とともに生きる希望宣言」にあるように本人発信、本人参画、認知症バリアフリー、地域共生社会へとこれまでの認知症に対する古い常識を新しい常識に変えていくというものです。どこで暮らしていても人権が守られる生活の保障ができているかという視点から、区の認知症施策について伺っていきます。

Q1. 認知症だから無理と最初から決めつけて、本人の人権が侵害されていないか。医療の前に専門職が人権の視点を持つことが先という基本が全国のトレンドになりつつあります。認知症施策の継続、積み上げを担保し、本人のみならず、家族や働く人の人権にも目を向けた条例をつくる自治体も増えてきています。また、広島県広島市、岩手県矢巾町(やはばちょう)、長野県上田市豊殿(ほうでん)地区や和歌山県御坊市、鳥取県鳥取市、世田谷区などの動きは参考になります。このような認知症施策を巡る全国の動向に対する区の認識、それらを受けて自治体としての責務をどう受け止めているか伺います。

Q2. 国の大綱でも示されているように、これまでの認知症になったらもうおしまいといった絶望感から脱却し、これからは発想を変えるべきです。つまり、「自分事」、「本人視点」、「可能性重視」、「ともに」、「希望」をキーワードに認知症の新しい常識・文化を醸成することで、本人の存在不安が緩和され、状態が安定し、力を発揮し、支え手としても活躍できるようになる。その結果、家族や社会の負担も軽減していき、一人暮らしでも地域でつながりを持ち自分らしく暮らし続けられるようにしていく時代に突入したという認識を私は持ちました。

このように、認知症観の転換期と言われていますが、区の認識はどうか、新しい認知症観について、区の捉えについて伺います。

Q.3 今年度、新規事業として「東京センター」との連携が予算化されました。このような認知症の転換期と言われる状況に対応してのことと考えますが、連携の意図、協定内容など具体的にお示しください。

Q.4 区が把握している認知症の人の数と、推計する数はどのくらいか伺います。

現在の杉並区高齢者保健福祉計画では施策1の高齢者の地域包括ケアの推進の中に高齢者の認知症対策があり、①普及啓発や本人発信の支援②認知症の予防③認知症の早期発見・早期対応に向けた体制・連携強化④介護者の支援の充実⑤認知症バリアフリーの推進(共生の仕組みづくり)⑥若年性認知症の方への支援・社会参加支援の6つの柱が立てられています。

Q5. この6つの柱に沿って、施策や事業が展開されていますが、次の改定に向けてこの間の取組をどのように総括し、今後の取組の方向性はどのように考えているのかお聞きします。

ここからは、先ほど挙げた高齢者保健福祉計画の6つの柱に沿って、区の事業について伺っていきます。 まず、1つ目の柱、「普及啓発や本人発信の支援」について

Q6. 認知症サポーター養成講座は認知症の人と関わる機会が多いことが想定される小売業・金融機関・公共交通機関・公共施設・消費生活相談・警察などの職員向けに実施する必要があります。区内で実施されている機関はどのようなところか、すべて教えてください。

Q7. また、子どもや学生向けの養成講座の実施や高齢者との交流などを通じて、子ども・若者の認知症の人への理解を深めることも必要ですが、学校ではどのように取り組んでいるのか伺います。

2つ目の柱の「予防」について

杉並区には区が主催する認知症予防教室や講演会の開催などの啓発事業の他、地域住民の自発的な活動が沢山あります。運動・スポーツ、学びの場や農作業、地域の居場所でのサロン活動等の高齢者の社会参加の場の提供は、社会的孤立を防ぎ、役割の発揮や高齢者の生きがいにもつながり、なによりも地域活動に参加することが介護や認知症予防になるため、今後、ますます重要になってくると考えます。地域の個々の活動を面でとらえネットワーク化する取組みとして、現在、ケア24を中心に進められている生活支援体制整備事業第2層協議体の活動がまさに地域の支え合いによる生活支援の体制の具現化として私は期待しています、そこが実際に何をするかが重要だと考えています。

Q8. 区はこの第2層協議体を今後、どのように発展させていこうと考えているのか、その展望を伺います。

Q9. 区は基本構想の基本的理念で「誰一人差別されず、取り残されない社会」をつくると謳っています。超超高齢社会に向かい、もはや行政事業だけでは立ち行かない現実がある時、地域の力を合わせてセーフティネットを張り巡らせていく必要があります。その場合、地域住民の自発的活動が杉並区の地域の支え合いの一員として参画し、その活動が持続発展していくよう区としても何等かの支援が必要だと考えています。住民自治への投資と考え、自由度のある予算配分も含め今後、検討が必要だと考えますが、区の見解を伺います。

次に3つ目の柱「認知症の早期発見・早期対応に向けた体制・連携強化」について

Q10. 区ではもの忘れ予防検診を70歳になる区民を対象に2021年度より実施しています。認知症に関する正しい知識の普及啓発を行うとともに、認知症の前段階である軽度認知障害の方を早期に発見し、その後の適切なフォローを行うことで認知症の発症や進行を遅らせることを目的としているとありますが、受診者の数はどのくらいで、フォローの対象となるのは何%くらいか。具体的にどのようなフォローがされるのか。また、この事業の効果をどのように区はとらえているのか伺います。

Q11. 認知症初期集中支援チームについて、現在、何チームあり、どのような取組がなされているのか具体的に説明をお願いします。

Q12. 区は、認知症の相談にあたる認知症サポート医やケア24スタッフをはじめとする医療や福祉の専門職に向け 「認知症対応サポートブック」を発行しています。相談に来た人の不安に対して、最初に「大丈夫!」と言ってあげることで、本人や家族が不安になり隠そうとしたり、孤立してしまうような絶望感を持たなくて済むような、認知症に対する新しい常識を意識した内容になっているか、区の見解を伺います。

次に4つ目の柱「介護者の支援の充実」について

Q13. 家族や介護者の支援メニューは様々あり、どれも必要なサービスだと考えますが、実績を見た時、必ずしも多いとは言えないものもあります。知られていないのか、使い勝手の問題なのか介護当事者も交えた検証が必要ではないでしょうか。区の見解を伺います。

生活者ネットワークではケアラー支援の重要性をこの間の重点政策とし、議会質問でも折々取り上げてきました。ケアラーにとって必要な支援は多様であるため、ひとり一人のニーズを丁寧に聞き取り支援内容を計画するケアラーアセスメントの重要性を訴えた1年前の私の質問では、厚労省が作成した家族介護者支援マニュアルに沿って、ケアラー支援プランを作成しているとの答弁でした。

Q14. ケアマネ不足が言われる中、ケアラーアセスメントのような介護者支援も含めたきめ細やかなケアプランの作成が定着しているのか心配するところですが、現状はどうか、区の認識を伺います。

Q15. もの忘れが気になりだした方向けの「認知症あんしんガイドブック」には様々な情報が盛り込まれており、よくできているとは思いますが、当事者目線で点検すると改善の余地もあるように感じます。そのため、ガイドブックの改定の際には認知症本人や家族の声を聴きながら作成に活かしていただきたいと思いますがどうか、区の見解を伺います。

次に5つ目の柱「認知症バリアフリーの推進(共生のしくみづくり)」について

身体障がい者などに対応したバリアフリー化は一定程度すすみましたが、認知症のバリアフリーは置いて行かれたままになっています。認知症の人にとってのバリアはどんなことかを本人やその家族等から直接声を聴く姿勢が重要だと考えます。買い物や通院、銀行、郵便局、移動、公共施設等生活のあらゆる場面で認知症の人にとってはバリアだらけだという認識を私たちは持つべきです。

昨今、よく聴く事例では、スーパーなどで万引き疑いをかけられ、すぐさま警察沙汰になって家族は見張っておくようにとか施設に入れるようにと警察から言われ、本人も家族も傷ついてしまう。結果、認知症の人は外出を制限されて自由を奪われてしまうということが起きているということです。もちろん自由と安全のバランスの中で対応することが重要でありますが、一方的に認知症本人の気持ちを無視してしまうことは逆効果にもなりかねないため、寄り添える体制が必要となると考えます。

Q16. 認知症になっても自分のやりたいことができ、心豊かに安心して社会参加していける環境を整える必要があり、そのためには本人が意見を出せる場への参加は欠かせません。様々な場面ごとに課題解決するためのアクションミーティングの仕組みづくりが必要だと考えますが、区の見解を伺います。

Q17. 一方、町会・自治会を始め、地域でのささえあいの機運を高めるためには、地域住民の参加も不可欠です。認知症に対する新しい常識に頭を切り替えて、地域社会の認識を変えていく必要があると思っています。その一つのしかけとして、その地域ごとの高齢化率や認知症の人数等のデーターを地域住民と共有し、自分事として考えるきっかけを区として投げかけてみてはどうかと考えますが、区の見解をお聞きします。

Q18. 今年度、認知症の本人やその家族のニーズに合わせた支援ができるよう、地域ごとに「チームオレンジ」の育成に予算がつきましが、そのチームオレンジの取り組み状況について伺います。どこに位置づき、構成メンバーは誰で、どのような活動をしているのか、また、区としてどのような活動をイメージしているのか具体的に伺います。

Q19. 現在も高齢者を見守るしくみは民生委員やたすけあいネットワークや成年後見人等ありますが、このチームオレンジとはどのようにすみ分け、または、連携を考えているのか伺います。また、認知症で一人暮らしが今後増えていく中で、居住支援の充実も課題になっていると考えますが、それぞれの役割の明確化について区はどのように考えているのか見解を伺う。

Q20. また、今後チームオレンジの数を増やしていく必要がありますが、どのようにはたらきかけていくのか伺います。

Q21. 東京センターより、「希望をかなえるヘルプカード」が提唱されています。自分が行きたい所ややりたいことを名刺大のカードに書いて持ち歩き、困った時にそれを見せて支援を求めるためのツールです。最近では「私は認知症です」というカードを選ぶ人が30%になってきたそうで、本人発信ができる社会に変わりつつあると感じました。区も「助けられ上手になろう」とこの間発信してきており、このヘルプカードもそのツールの一つになり得ると考えます。また、認知症になってから使い始めるというより、その前から使い方をイメージしておくことも必要だと考えるため、認知症サポーター養成講座やおたっしゃ訪問、高齢者向けの送付物に同封する等して、区としてもこのヘルプカードの普及をすすめてはどうかと考えますがいかがか伺います。

最後6つ目の柱「若年性認知症の方への支援・社会参加支援」について

Q22. 高齢者在宅支援課に若年性認知症相談窓口が設置され、認知症支援コーディネーターが相談を受けていると認識しています。この間の相談件数はどのようになっているか確認するとともに、計画に記載がある、若年性認知症の実態把握と共に切れ目のない支援体制の構築状況についても伺います。

今回、認知症対策について、認知症の古い常識・文化を新しい常識・文化へと変えていくことが重要であるという視点から縷々質問してきました。古い認知症観のままで悪循環に陥り、苦労している人が非常に多い現状があります。絶望の悪循環から希望の良循環に変えることで互いに楽になる。新しい認知症観を「地域のあたりまえ」に若者や子どもも含め浸透させていく必要があります。普段からのつきあいの中で”変化があっても、これからもよろしくね“と言い合える地域づくりが必要であり、認知症になっても希望をもって住み慣れた地域で暮らし続けられる杉並区にしていきたいと私は思っています。

最後に認知症本人たちが29回も書き直して言葉を紡いだ「認知症と共に生きる希望宣言」の本人たちの思いを紹介します。

私たちは、認知症と共に暮らしています。

日々いろんなことが起き、不安や心配はつきませんが、

色々な可能性があることも見えてきました。

一度きりしかない自分の人生をあきらめないで、

希望をもって自分らしく暮らし続けたい。

次に続く人たちが、暗いトンネルに迷い込まずにもっと楽に、いい人生を送ってほしい。

私たちは、自分たちの体験と意思をもとに

「認知症と共に生きる希望宣言」をします。

この宣言をスタートに、自分も希望をもって暮らしていこうという人、

そしてより良い社会を一緒につくっていこうという

人の輪が広がることを願っています。 と綴っています。

この宣言をきっかけに自らの言葉で体験や希望をリアルに伝え、常識を変える本人が全国で急増中とのことです。認知症を自然体でオープンにできる環境づくりは暮らしやすい地域にもなります。今後の超超高齢社会の進展に伴い、認知症はありふれた状態になり、一人暮らしの認知症も増えていき、今まで体験したことのなり世界が始まっています。

Q23. まずは区役所の中から認知症に対して新しい常識に転換していかなければならないし、それに合わせた制度の見直しも必要になってくるでしょう。最後に区の今後の展望をお聞きし質問を終わります。