第4回定例会一般質問 そね文子 2023.11.20

私は区議会生活者ネットワークとして、1.HPV(子宮頸がん)ワクチンを男子に接種することの疑問について、2.外国にルーツのある子どもの支援について一般質問いたします。

まず最初にHPV(子宮頸がん)ワクチンを男子に接種することの疑問についてうかがいます。

第2回定例会でもこのテーマを取り上げましたが、小池東京都知事が都議会で男子へのHPVワクチン接種について「国の検討状況を総合的に勘案し、区市町村への支援について検討していく」と述べたこと、先日公表された東京都の各局からの予算要求にHPVワクチン男性接種補助事業が挙げられたこと、先日の決算特別委員会で他の委員から杉並区の医師会が男子接種への助成を強く要請しているとの話があったことから、HPVワクチンの副反応被害者を長年見てきたものとして強い危機感を持ち、また今回も取り上げます。

先日は杉並区で接種を受けて、被害で苦しんでいるこれまで取り上げてきた方とはまた別の当事者に初めてお会いしました。その方は接種を受けた後に他県に引っ越しをされましたが、今は大学に通うために近隣県に住まれていて、杉並区に救済の申請を求めている方です。この方は後から思えば一回目接種後から体調不良は出ていたけれど、ワクチンのための不調とは気づかず3回目まで接種し、その直後から様々な症状が出て寝込む状態になりました。高校に進学するも持続する体の痛みや激しい頭痛、倦怠感、睡眠障害、月経異常、胃痛、嘔吐、下痢、など消化器症状も加わり多臓器に渡る多様な症状が重層化し登校できない日が続いたそうです。ワクチン接種による体調不良ということを訴え、高校を5年間かけて卒業し、今は大学に進学して一人暮らしを始めました。今でも大学からの帰り道がわからなくなり、スマホの地図を見て帰宅する、体調不良にはお風呂で温めることが有効なことから入っていたが、あるときお風呂で意識喪失が起きて、その後は命の危険があるためお風呂に入れなくなったなどの話を伺いました。杖をついてゆっくり歩く姿に接し、治療のために1週間に一度は1時間以上かけて通院し、一人暮らしをして、やっと大学に通われる生活はどんなに大変かと思いました。この方は国民年金の障害年金は受けられましたが、医薬品などの健康被害救済などを行う独立行政法人医薬品医療機器総合機構の障害認定が下りないため、区が自治体の総合賠償責任保険の申請ができず救済されていません。

全国では被害当事者の女性117名による製薬企業と国を相手とした薬害の裁判が行われていますが、海外では接種を受けた男性も同じように裁判を行っている事例があります。私はできる限り裁判の傍聴に行っていますが、多くの女性がワクチン接種によって人生を奪われていることに接し、このような被害者を出したくないという思いで質問させていただきます。

HPVワクチン、ガーダシルは、2020年12月に、効能・効果に前躯病変を含む肛門がん及び男性の尖圭コンジローマが追加され、男性への接種が可能となりました。自治体の中には、任意接種のガーダシルの男性への接種費用について助成するところが出てきており、中野区でも今年8月から男子接種への助成をスタートさせてしまいました。

①まず効果効能について追加された、肛門がんと尖圭コンジローマについてです。肛門がんはきわめて稀ながんで、すべての悪性腫瘍の中で1%程度とされ、2019年全国がん登録り患数の報告では男性10万人あたり約一人です。尖圭コンジローマは生殖器とその周辺に発症するイボですが、自然治癒が多い良性の病変であり、治療法もあると認識していますが、区はこれらのことをどのようにとらえているかうかがいます。

②一方で女子への接種で示されているHPVワクチンのリスクについて見てみると、知覚に関する症状として頭、腰、関節などの痛み、感覚鈍麻、しびれ、光過敏など、運動に関する症状として脱力、歩行困難、不随意運動等、自律神経などに関する症状として倦怠感、めまい、吐き気、睡眠障害、月経異常など、認知機能に関する症状として記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力低下など、多岐にわたる多様な症状が一人の人に重層的に表れるという深刻な副反応が生じています。厚生労働省のリーフレットによれば2価と4価のHPVワクチンの重篤副反応疑い報告は接種者1万人あたり5人であり、この発生頻度は他の定期接種ワクチン副反応の平均値に比べ約8倍という高さです。また副作用被害救済制度において障害認定等を受けた人は、他の定期接種ワクチンの平均の約20倍です。HPVワクチンを男子に接種した場合にも同様の副反応が生じることが海外では確認されており、日本において男子への接種が広がれば同様の被害が拡大する恐れがあることは明らかだと考えますが、区の認識をうかがいます。

③極めてまれな肛門がんとイボができる性感染症である尖圭コンジローマの予防のために、このような深刻な副反応が報告されているHPVワクチンを接種することはリスクとベネフィットのバランスを著しく欠いていると考えますが、区の認識をうかがいます。

④男子へのHPVワクチン接種を推奨する理由として、性交によって女性がHPVに感染することを防ぎ、間接的に女性の子宮頸がんを防ぐことも挙げられています。しかし男子へのHPVワクチン接種が間接的に女子の子宮頸がんを減少させることを示す実証データやエビデンスなどはないと認識しています。区の認識をうかがいます。

そもそも、男子に認可されたHPVワクチンは従来型のガーダシルで現在ほとんどの女子が接種しているのは新しいタイプのシルガード9です。HPVというのはヒトパピローマウイルスのことで、ごくありふれたウイルスです。200種類ほどあり、性感染症を起こしますがそのほとんどが自然に治癒します。そのウイルスの中でも発がんリスクが高い型が15種類あると言われ、そのうちの4つの型に対応しているのが男子に認可された古いタイプのガーダシルで、現在ほとんどの女子が受けているのは9つの型に対応した新しいシルガード9です。今年8月から男子の接種への助成制度を始めた中野区議会で議事録を見ると、ワクチンの供給について確認する質問に、保健予防課長が国のワクチン分科会での話を引用し、女性は今後9価ワクチンに流れる可能性が高いから、4価ワクチンは空くから、そこに男子を入れたいという考え方だったのではと答えているのです。グローバル企業である製薬会社の在庫処分に日本の男子が付き合わされ、リスクを負うことの理不尽さを、ぜひ認識していただきたいと思います。

さらにこのワクチンが不要と考える理由は、ガーダシルの添付文書の「効能又は効果に関連する注意」という項目に「肛門がん(扁平上皮癌)又はそれらの前区病変等の予防効果は確認されていない、本剤の予防効果の持続期間は確立していない」と書かれている点です。これが製薬会社の公式見解です。極めてまれな肛門がんが出る年齢が60代以降ということを考えると、12歳から16歳の男子に接種することがどれだけ不要なことかがわかると思います。

⓹この項の最後の質問です。最初に述べましたが、HPVワクチン接種の男子への助成にたいして、東京都の担当局が予算要求をしたことが公表されました。このワクチンはベネフィットを大きく上回るリスクがあるため、杉並区としては男子接種への助成を行はないよう求めますが、区の見解をうかがいます。

私が、これまで見てきた副反応の被害者が置かれるあまりにも理不尽で困難な状況について述べたいと思います。まず、厚労省の審議会では、副反応検討部会の構成委員のほとんどがワクチンを推進する立場の人たちで、採決が行われる際には製薬企業から講演料や執筆料をもらっているという理由で多くが採決への参加資格がないと発表されていたこと、資料に他のワクチンですが接種の翌日に何人かのゼロ歳児が亡くなっている報告があっても、それを問題ないとして会議が淡々と進められていることに心底驚きました。HPVワクチン接種後に10代の女の子が、母親を認識できなくなる、一日に100回以上意識喪失する、その状況が人によっては10年たっても改善されない、そんなことが起きているのに、副反応検討部会では注射の痛みが引き起こした心身の反応と結論づける。今はこれらの被害は機能性身体症状という言葉で結論づけられています。被害者や親にとってその結論は辛い身体症状をまるで精神的なものに位置づけ矮小化するようなもので、決して受け入れられません。被害にあって、治療を受けようとしてもちゃんと診てくれる病院がなく、病院を20件以上まわり、精神的なものだとか詐病とか言われる。被害者が救済を受けるためには自ら被害を証明しなければならない、そのために様々な手続きを行い、さらに裁判で7年以上を費やし、いまだに先が見えない、そんな状況に置かれるのです。それを見てきた者として、これからも事実を伝え続けることを申し上げ次の質問にうつります。

外国にルーツのある子どもの支援についてうかがいます。

日本は超少子高齢社会の進展によって、特に建設や介護、農業分野での人手不足は深刻さを増し、今や外国籍の人たちの力も借りなければ社会が成り立たない状況にあります。2019年4月には入管法が改正され、在留資格「特定技能」が新設されるなどの背景もあり、区内における在住外国人の数はこれからも増えていくことは明らかです。このような中で、外国人を同じ地域に暮らす仲間として友好な関係を築き、異文化の交流によって新たな文化が創造され、誰にとっても生きやすい共生社会を創っていくことが求められています。区内の小中学校に通う外国にルーツのある子どもの数も増加する中、杉並区では区と交流協会、教育委員会の3者が協力して日本語を母語としない子どもの日本語の学習を支援するという目的で、ボランティアの日本語教室が設置されました。先日コーディネーターの先生に話を伺う機会があり、多くの現場を見ている先生が、このように3者が協力して教室の運営が行われているケースは初めてだが、教育委員会と連携することで子どもの学校での様子がわかったり、学校で配慮してほしいことを伝えられるなど連携が取れるという利点があり、すばらしいという言葉を聞いてうれしく思いました。私も外国人を同じ地域で暮らす仲間として理解し、交流することで豊かな社会を創っていきたいと願って質問いたします。

①先ず初めに先日改定案が示された、杉並区総合計画、実行計画に多文化共生の推進が掲げられ、子ども日本語教室等の在住外国人支援事業の充実発展とともに、早期設置に向けて検討するとされた多文化キッズサロンについてうかがいます。これは日本語を母語としない子どもが安心して立ち寄ることができる地域の居場所で、学習や相談、地域の人や同じ境遇の仲間との交流を通して支援を行うことを目的とした東京都の補助事業で、立ち上げのために3千万円、運営費に1千万円が拠出されるものと認識しています。これまで私が求めてきた、取り組みであり、ぜひ進めていただきたいと考えています。計画案では3年をかけて設置検討を行うとされていますが、もっと早くすることはできないでしょうか。一番の課題は場所だと思いますが、区立施設だけでなく民間の施設も視野に入れて検討を進めてほしいと思いますがいかがでしょうか、うかがいます。

②さて、すでにボランティアによる子ども日本語教室はスタートして1年がたとうとするところで、多くの子どもたちが通い、私もそこでボランティアをさせていただいています。この教室立ち上げのためにボランティア養成講座が行われましたが、そこで出会った方たちは志が高く、熱意があり様々な経験をお持ちの方々です。その方たちの力を学習支援だけでなく、交流やそこから発展する相談にも生かしていただけたら、大きな力になると思います。交流協会や教育委員会の事業に携わる職員、コーディネーターの先生とボランティアがもっと意見交換をする場をつくり、この日本語教室の活動をより充実したものにしていただきたいと考えますが、見解をうかがいます。

③多文化キッズサロンで目的とされている交流と相談についても、場所の確保を待たずにできることから始めることを提案したいと思います。以前も紹介させていただきました文京区での事例ですが、ボランティアによる子ども対象の日本語教室には保護者も通ってきて、子どもが勉強している間にボランティアと話をし、学校からの配布物の説明をしてもらったり、ちょっとした困りごとの相談ができるようになっているということでした。日本に半年しか滞在しない子どもが来た時には、ボランティアのネットワークでランドセルや制服が集められ、提供したこともあり学習支援だけでなく柔軟な支援が行われていたということです。日本の学校の習慣や体操服をどこで買うかなど、日本人のボランティアにとっては子育ての経験が生かせる場になっている。そして外国籍の親同士の交流やボランティアと親が交流することによって相談機能も備えた場になっているという話でした。今の杉並区の子ども日本語教室で、そのままそれができるとは思いませんが、時間や場所を別にとって、親同士の交流やボランティアと親が交流する機会はつくれると思います。それを提案したいと思いますが、見解をうかがいます。

④時間や場所を別にとってのボランティアと子ども、保護者も交えた交流で、例えば季節の行事、お正月やひな祭り、ホームビジットで日本人の家庭に行ってみる体験、制服や学用品などの交換会やバザーなど、様々な活動が考えられると思います。このような活動をするにあたっては、ボランティア同士の交流を促進することで自由な発想でスピード感のある取り組みがうまれるのではないかとも思います。そのようなこともご検討いただきたいと考えますが、見解をうかがいます。

⓹ここからは外国人の家庭への就学援助の情報提供についてうかがいます。長年杉並区で外国にルーツのある子どもたちの学習支援をしている団体の方から、経済的な理由で、中には就学旅行に参加出来ない子どもがいるという話を聞きました。その方に就学援助制度のことを話すと、ご存じなく、対象となるであろういくつかの家庭が就学援助を知らず、経済的な理由から修学旅行に参加できなかった子どもがいたことがわかりました。どの子にとっても修学旅行や移動教室は子ども同士の仲を深め、日本文化に触れること、修学旅行自体も日本文化であり、外国にルーツのある子どもにとっては本当に貴重な機会だと思います。10月から給食は無償化になりましたが、小学6年生は卒業アルバムや中学入学にあたっての入学準備金、中学2年生はスキーの移動教室、中学3年生は卒業アルバムの代金が発生しますので、ぜひ今すぐに就学援助を保護者が認識できるように改めて伝えていただきたいと思いますが、教育委員会の見解をうかがいます。

⑥就学援助のお知らせは年度初めに配られ、すべての家庭が申請書類を提出する仕組みになっています。外国人の家庭へ知らせる方法を確認したところ、就学援助の説明の手紙は日本語、英語、ネパール語が用意されていますが、申請書は日本語のみという状況です。そして、外国人の家庭が知らなかった原因は、学校によっては日本語の手紙しか配られていなかったことだと確認しています。今後は確実に適切な言語の手紙が家庭に届けられるよう仕組みを見直していただきたいと思います。また、一番在籍者数が多い中国語、その他韓国語、ベトナム語などの言語も必要だと考えます。また説明の紙だけでなく申請書の用紙も必要な言語で用意していただくことを要望しますが、見解をうかがいます。

⑦さらに、今はすぐに動画の作成ができる環境があるのですから、多言語による説明の動画を作成し、それを周知するなどの工夫も行っていただきたいと思いますが、考えをうかがいます。

⑧ここで外国人の子どもの高校入試についても取り上げます。都立高校の入試には外国籍の方向けの特別枠、いわゆる「在京枠」と日本語指導を必要とする生徒の特別措置枠が設けられていて、応募資格を満たせば受験することができます。その特別な入試制度については、子どもにも保護者にも丁寧な説明が必要となりますが、教師が理解していない現状があり、しっかりと説明が行われていないことがあるとの話を聞きました。この入試について、学校それぞれに対応を求めるよりは、教育委員会がまとめて通訳も入れた相談・説明会を行うのが有効と考えますがいかがでしょうか。またそれを録画して見られるようにすれば、参加できなかった子どもや保護者も見ることができると思います。現在は無料で子どもの学習支援を行っている団体が、外国籍の子どもの学習支援や高校入学の支援も行っており、学校から紹介されて来るようになる子どももいるとの話を聞きました。そのように実際に支援を行っている方たちの声を聞き取り、交流協会とも協力してよりよい方法を考えていただきたいと思いますが、見解をうかがいます。

⑨この在京枠の入試について、中学校が知らなくて良いわけはありません。学校でも詳しい資料を準備し、説明できるようにしておくことは必要です。教育委員会でわかりやすい資料を用意し、各学校に配るなどの工夫が必要と思いますが、それはどのようにおこなわれているのでしょうか、うかがいます。

ボランティアによる子ども日本語教室が始まり、そこに関わる人たちが、外国にルーツのある子どもや保護者に出会ったことで、子どもたちに寄り添い、成長を喜び、その人たちの抱える課題に思いを寄せ、それを解決しようと行動することからたくさんの良い変化が生まれていることを実感しています。これまで述べた子どもたちにはこの先ずっと日本で暮らすことになる子どももいます。多様な文化背景を持つ子どもたちがやがては日本社会の担い手として育っていくことは日本社会にとっても利益があることです。今後も杉並区が目指す多文化共生社会を実現するために力を尽くすことを申し上げ、一般質問を終わります。

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