【Q】 ●この20年余りの間に、阪神淡路大震災、新潟県中部地震、東日本大震災、そして今回の熊本地震と大きな規模の地震災害が発生しています。震災対策は、待ったなしの課題であり、田中区長は「首都直下地震は必ず起こる」との認識を示され、震災対策を積極的に進めています。改めて、熊本地震を含め過去の地震災害から何を学び、活かしていこうとされるのか伺います。
【A】 我が国は、地理的条件から世界の中で、自然災害に見舞われる割合は非常に高く、被害も甚大です。区の喫緊の課題である首都直下地震への対策に、災害の教訓から学び活かしていくことは大切であると強く思います。熊本地震からは、震災救援所の代替施設や物流対策の複線化など、どのような災害が発生した場合にも対応できるような、第二・第三の策を備える事が大切であると改めて感じました。
阪神淡路大震災では、翌日に現場に赴き目の当たりした状況は、鮮明に今でも記憶しています。大都市直下の地震により、多くのビルや住宅が倒壊し、その後の電気火災等による延焼により大きな被害をもたらしました。
東日本大震災では、地震発生後の津波、原子力発電所事故により広域で被害が発生しました。発災直後は、通信手段も途絶え、混乱が生じており、こうした時にこそ「助ける事のできる自治体が被災地に対して迅速に支援の手を差し伸べる」基礎自治体間の水平的支援が有効な手段となりました。この経験から、迅速な支援を躊躇せず行えるように法律改正を求め、全国からの要請となり、災害対策基本法の改正に結びつきました。
その後、自治体スクラム支援会議において、相互支援の条例を同時に制定し、災害時の関係強化を図っています。
この災害の教訓から「3.11を忘れない」を合言葉に、減災の視点に立ち防災対策を積極的に進めてきました。災害に備えることで、いざ発生した時の被害を最小限に留める事ができ、その後の応急対策にかかるコストを抑え、復旧復興のスピードアップにも繋がると考えています。
今年度は、首都直下地震で最も人的物的被害が想定される、電気火災対策としての感震ブレーカーの設置支援や、狭あい道路拡幅整備、物資の受援計画を策定します。震災対策を直実に、スピード感を持って進め、全力で取り組んでいきます。
【Q】 ●区の震災救援所の収容人数は。また、震災救援所に来る人はどのくらいを想定しているのか。さらに、帰宅困難者の想定人数とその対策について伺う。
- 震災救援所で物資がいきわたらない人が多数発生すると思われるが、炊き出しなどは多様な主体が多用な場所で実施できるように、また物資の配布にコンビニとの協定を締結するなどの必要があると思うが、見解を伺う。
- 震災救援所運営連絡会を「目的意識をもって主体的に活動する組織」として機能させることや、既に主体的な取り組みがなされている団体の活動を伝播させていくための工夫や支援が必要と考えるが、見解を伺う。
- 震災救援所に女性リーダーを増やすことが必要である。そのための育成や研修会が必要と考えるがいかがか。
【A】 震災救援所の収容人員は9万4千人で、避難生活者数は、最大で約11万5千人です。約2万1千人上回りますが、補助・代替施設の22か所で、収容可能と考えます。
区内の帰宅困難者は、最大約9万3千人と見込まれる中、行き場のない帰宅困難者は、約1万8千人と想定されています。現在、区立施設や民間事業者の施設を一時滞在施設として9箇所指定しており、備蓄品の購入助成を行っています。
被災された方々への食糧や生活物資の配布、情報提供の拠点が震災救援所です。コンビニでの配布は、利便性がある反面、欠品などが生じた際には、混乱を招く恐れがあるので、今後の検討課題です。なお、物資を震災救援所で受け取ることが困難な要配慮者等の方々へは、ボランティア等の力を借りて個別に配布していきます。
震災救援所運営訓練では、年1回以上、連絡会が主体となって企画・立案して、中学生レスキューによる安否確認など、地域の特性にあった訓練を実施しています。訓練内容は、毎年5月に開催される会長・所長会の中で、重点訓練項目を提示する際に、特徴的・先進的に取り組んでいる活動事例を紹介する等、救援所の運営を後押ししていきます。
女性リーダーを増やすために、女性の視点を取り入れた震災救援所運営管理標準マニュアルを改定し、参加促進に努めています。今後も養成講座を開催するなど、多くの女性にリーダーとして参加してもらうよう工夫していきます。
【Q】 ●エコノミークラス症候群に対してどのような対策をお考えか伺う。
【A】 エコノミークラス症候群は、前兆が外見から判断できない上、発症すると突然死をもたらす非常に恐ろしい疾患です。現在も、熊本県の被災地から被害の情報がきていますが、区も、各震災救援所に配布している「避難者の健康管理マニュアル」の中で、適度な水分補給と運動をすることを周知すると定めているほか、ラジオ体操を取り入れた対策の実例を紹介して、エコノミークラス症候群の注意喚起をしています。
また災害時には、区災害対策本部医療救護部の保健師や医療ボランティアによる震災救援所の巡回を通して予防活動を行うなど、エコノミークラス症候群対策に力を入れていきます。
【Q】 ●震災救援所での避難生活においてもプライバシーの確保が大事である。保管スペースなどの問題もあると思うが、プライバシーを確保するため、テントの活用をすすめるべきと考えるがいかがか。
- 熊本地震直後に内閣府が避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを公表した。また、国交省も3月にマンホールトイレのガイドラインを作っているが、これを受けて今後、区はトイレの確保量の対策をどのように考えていくのか伺う。
【A】 震災救援所となる体育館では、プライバシー保護と犯罪抑止の観点から立つと人から見え、座ると人から見えなくなる高さのダンボール間仕切りを採用しています。保管場所や経費の点でも体育館の中でのテント使用は考えていません。また、屋外での使用に関しても、校庭は物資の受け入れ、ペットの飼育場、トイレの設置等様々な活用が想定されているので、テントの使用は考えていませんが、熊本地震の検証を注視していきます。
現在、各震災救援所に、国基準の避難者75人に1基の目安を上回るマンホールトイレ10台、ペール缶トイレ3台、簡易トイレ20台を備蓄しています。平成26年度から備蓄を始めた不織布毛布のダンボール箱は、簡易トイレに転用が可能で、1救援所あたり40台追加の設置可能です。今後も学校改築の際に、敷地内にマンホールトイレを新たに5台から10台設置していきます。
【Q】 ●防災公園の桃井原っぱ公園や柏の宮公園などにあるかまどベンチやかまどスツール及び災害時トイレは、当区においては大災害が発生した時にだけ使う道具だが、周辺地域の人がそれらの道具を普段から使っていくことがそもそも訓練になると考える。当区においても、かまどベンチ、かまどスツールなどが設置されている公園で、防災会や町会、学校などが行事で使えるしくみを整えていくべきと考えるが区の考えを伺う。
- 現在は4か所の公園に設置されているかまどベンチやかまどスツールだが、今後、必要になるであろう場所を選定して配置していくことが必要だと考えるが区の考えを伺う。
【A】 桃井原っぱ公園や柏の宮公園では、公園の計画づくりを区民とともに行う中で、災害時にかまどベンチ、かまどスツールを活用するため設置しました。災害時の際の性能への支障のない範囲で、普段の訓練で活用できるよう対応します。
近年、大規模な公園整備の際には、防災機能の向上の観点から、かまどベンチ、かまどスツールを設置してきました。また現在、整備を進めている都市計画下高井戸公園でも設置予定です。 規模の小さい公園をはじめ既存公園では、公園改修時などを捉え、防災に関する区民要望に合わせて、かまどベンチ、かまどスツールの設置を進めていきたいです。
【Q】 ●東京都公園協会と区との協定について、その目的、主な内容と協定で期待することは何か伺う。
【A】 本年3月30日に東京都公園協会との間で、大規模災害発生時に都立和田堀公園、善福寺緑地において避難者の安全確保及び支援等を迅速かつ的確に行うことを目的に「災害時の避難場所等における連携・協力体制に関する協定」を締結しました。主な内容は、協会が発災時に区と連携して行う被災者支援や平常時からの連携体制、近隣住民を含めた防災訓練や意見交換会の推進に関することです。本協定により、区と協会との連携・協力体制がより強固なものになり、平常時における防災訓練や防災意見交換会の実施で、地域の防災力の向上が期待できると考えます。
【Q】 ●区立施設防災井戸や民間で「生活用水井戸」としての登録は何か所あるのか。
- 震災用井戸の役割は何か。また、いざという時にどのように機能するのか。
【A】 平成27年度末現在、登録井戸は、区立小・中学校65か所、区立施設35か所、民間の井戸が355か所、防災兼農業用井戸が9か所です。
活用方法は、停電時にも利用可能なことから生活用水として、トイレの水洗水や洗濯等に利用します。
【Q】 ●災害時に必要なものとして乳幼児の粉ミルクがあるが、粉ミルクにはお湯や哺乳瓶が必要となる。そのまま飲ませられる液体ミルクが注目されてきているが、国は乳幼児用に液体ミルクを認めていない。区は液体ミルクについてどのような認識か伺う。
【A】 液体ミルクは、厚生労働省令で国内での製造・販売が認められていないため、備蓄品としては考えていません。今後、法令等が改正された際には、備蓄品の入替えの機会を捉え、検討、見直しをします。