私はいのち・平和クラブの一員として1、プラスチックごみを減らし、海洋汚染を防ぐ取り組みについて、2森林環境譲与税を活かす取り組みについて質問いたします。
まずは、プラスチックごみを減らし、海洋汚染を防ぐ取り組みについてです。
2017年の第4回定例会ではマイクロプラスチックの海洋汚染とレジ袋削減について一般質問いたしました。その後2018年6月のG7サミットの首脳会合で、自国でのプラスチック規制強化を進める「海洋プラスチック憲章」が採択されたことで全世界共通の大きな課題としてプラスチックごみ削減に取り組むことになり、今日に至っています。この憲章にアメリカと日本が署名しなかったことは驚きであり、大変残念なことでした。国民1人が排出する使い捨てプラスチックごみの量が1位の米国と2位の日本がこの憲章に署名せず、世界の動きに大きく後れをとっている現状を認識し、暮らしを守る自治体としての取り組みを進めることが必要です。
プラスチックの海洋汚染がなぜ起こるのか。それは町中に散乱したペットボトルや風で飛ばされたレジ袋などが、大雨が降った時に川に流れ、海に流れ着くというルートをたどります。自動販売機の横に設置されたごみ箱に入りきらないペットボトルが周辺に散乱しているのをだれでも見たことがあると思います。区は分別回収をしているから大丈夫と思うかもしれませんが、私はたびたび近所の善福寺川にレジ袋やペットボトルが浮かんでいるのを見ています。杉並区から出たプラスチックごみも一部は確実に東京湾に流れ出ていることを認識しなければなりません。昨年、環境活動推進センターで開催された「エコ路地フェスタ」では、東京湾の海辺で採取した砂の展示がありました。来場者は、砂に交じった色とりどりの小さなプラスチック片を見て、プラスチックごみを減らす工夫を付箋に書いて貼りつけていた、と開催した実行委員の方から伺いました。
海に漂着したプラスチックをウミガメやクジラなどが飲み込んでそれが原因で死んでしまった。また死んだ海鳥のお腹の中から大量のプラスチックごみが見つかったというニュースも今では広く知られています。
2016年の日本のペットボトルの生産量は227億本です。その年の回収率が88.9%でしたからそれ以外の11.1%、25億本のペットボトルがどこかへ行ってしまっているということです。2018年1月に大量輸入国だった中国がプラスチックごみを輸入しないと宣言し、2019年5月には有害廃棄物の処理に関する国際規約、バーゼル条約が改正され、リサイクルに適さない汚れたプラスチックごみは規制対象となりました。日本のプラスチックごみの輸出は2018年で100万トンでしたが、この法改正によってプラスチックごみの輸出が難しくなり、政府は国内の処理体制を整える必要に迫られています。
国は2018年6月にプラスチック資源循環戦略を閣議決定し、2030年までにワンウェイの容器包装プラスチックの排出量を25%削減する目標を設定しましたが、産業界への配慮から基準となる年への言及がされないなど、実効性が疑問視されています。また今年6月に大阪で開かれたG20首脳会議では2050年までにプラスチックゴミの海への流出をゼロにする目標を採択しましたが、30年後では遅すぎます。それを達成する具体的な目標と実効性のある方法で取り組まなければ本当に手遅れになります。
民間企業ではプラゴミ削減の象徴としてプラスチックのストローの無料配布をやめるなどの動きが広がっていますが、容器包装プラスチックの中で大きな割合を占めるペットボトルは、削減するとプラゴミ減量以外にも多くのメリットがあると考え、今回はペットボトルの削減を中心に質問いたします。
ペットボトル削減のメリットとは何か、説明いたします。
ペットボトルは多くの自動販売機で売られています。自動販売機は屋外に設置され厳しい寒さや暑さの中で、中にある飲み物を熱くする一方で冷たくするため、電気の使用量もCO2の排出も大量になります。また飲み物を運搬するためそこでも多くのCO2を排出します。自治体の分別回収に高額の税金が投入されています。2017年の決算特別委員会で確認した数字では2014年から2016年までの3年間で12億7000万円の経費がかかったということです。
そしてリサイクルするための運搬と処理にもさらに多くのCO2が排出されます。ですから、ペットボトルの使用量を減らすことはプラゴミ削減だけでなく、CO2削減や自治体の経費削減にも大きな効果があるのです。
さて、国の取り組みが進まない中、自治体が独自でプラスチックゼロ宣言を出すなどの動きも出てきており、杉並区でも国を待たずに一番暮らしに身近な自治体から行動を起こすべきと考えます。杉並・生活者ネットワークではこの7月から8月にかけて、プラごみ削減のためのアイデアを募集するアンケート調査を行いました。その結果もふまえて、以下質問いたします。
1-1初めの質問です。世界がプラスチックゴミ削減を共通の課題として取り組む中、杉並区でも9月5日発行の清掃情報紙「ごみパックン」ではプラスチックごみ削減のための特集が組まれ、海洋汚染についてもわかりやすく説明されていましたが、改めて杉並区としてはどのようにプラゴミ削減に取り組んでいこうとするのかうかがいます。
1-2 3R、リデュース、リユース、リサイクルと言ってきましたが、これまでリサイクル中心の政策でプラゴミ削減にはつながっていなかったと考えます。リデュース、リユースの考え方で進めるべきと思いますが、区の見解をうかがいます。庁内や区関連施設の自販機からペットボトルを止めて缶入り飲料にする、または、庁内および区関連施設に入っている飲食店では使い捨てのストローを使わない契約にする、など事業者にはたらきかけてほしいと思いますが、区の見解を伺います。
1-3 2017年の第4回定例会でレジ袋削減のさらなる取り組みとして、食品を扱う大手ドラッグストアが何の制限もなくレジ袋を配っていることの是正を求めましたが、その後の進捗はどうでしょうか。またコンビニエンスストアへの働きかけも強めるとのことでしたが、その成果はどうなっているかうかがいます。
1-4 これまでも求めてきましたが、行政が行う様々な会議でペットボトル入り飲料の配布をやめるべきと考えます。東京都は、「都庁プラスチック削減方針」を策定し、ペットボトルをはじめとするワンウェイ容器の使用削減に動き出していますし、小金井市ではペットボトル入り飲料の配布を止めています。プラスチックごみの排出抑制の必要性が認識されている現状から、当区においても理解が得やすいと思います。区の見解をうかがいます。
2-1 プラゴミ削減のためにマイボトルを持ち歩く人が増えています。しかし、マイボトルの容量がそれほど多くないため、ボトルに水を補給できる給水スポットを町中に増やすことが求められています。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが4月25日、ペットボトルの代替策として給水機の増設を求める署名5086筆を東京都環境局に提出したとのニュースを目にしました。ぜひ、区庁舎や地域区民センターなどの施設に水の運搬費用がかからない水道直結型のウォーターサーバーを設置していただきたいと思います。設置する際には区が取り組んできたネーミングライツをウォーターサーバーにもつけて環境に配慮した企業をアピールしてもらってはいかがでしょうか。区の見解をうかがいます。
2-2 横浜市では市のホームページで自分の水筒に給水できるマイボトルスポットをマッピングした地図が見られ、自分がいる近くの給水スポットを検索できるようになっています。客がコーヒーやお茶などを購入する際に持参したマイボトルに入れるサービスを行っている店、お水などを無料で提供する店や施設等もマッピングされています。そして様々なサービスを実施している施設や店舗をHPで募り登録してもらい、そこに「マイボトル使えます」と書かれたステッカーやのぼりなどのPRツールを提供しています。
横浜市の公共施設でマッピングされているところは122か所ということです。これは既存の冷水器から自分で水を汲んでもらう形式のところがほとんどだそうです。ステッカーやのぼりが設置されていなければ、冷水器から水筒に水を汲むのは気が引けるかもしれませんが、許可しますと明示してあれば堂々と水を汲めます。施設の外に分かるようにステッカーを貼り、冷水器の横に「マイボトルに給水できます」と掲示する取り組みは区でも今すぐにでもできるのではないでしょうか。
高円寺のある店では、今年の夏から「あなたのマイボトルに給水します」「マイバッグをご持参ください」と貼り紙を出して、熱中症予防とペットボトル削減、NO!レジ袋の取り組みを始めたところがあります。空になったマイボトルに水を補給したり、コップ1杯の水を提供したりし、基本的にレジ袋は使わないそうです。こういう取り組みを商店会に増やしていきたいとのことです。今後、区内の商店が取り組めるよう、横浜市のように「マイボトル使えます」のステッカーやのぼり旗、また「NO!レジ袋」のステッカーなどのグッズの支援をしていただきたいと考えますがいかがでしょうか。うかがいます。
3-1 会派の控室では、これまで飲料水はペットボトルの水を購入していましたが、4月からはペットボトルとCO2の削減のため浄水ポットを利用するようになりました。区の職場でも何か取り組んでいることがあればお示しいただきたいと思います。そのような取り組みを「区りえいと」などで特集し、職員の間でマイバッグがすっかり定着したように、多くの部署で取り組めるといいと思います。
4 プラごみ削減の啓発事業として、ペットボトル削減やレジ袋削減の企業での取り組みの紹介を例えばゴミぱっくんなどの区の媒体で紹介し、他の企業に参考にしてもらうなどの取り組みはできないでしょうか、うかがいます。
3-2 サンフランシスコ空港では1リットル以下のペットボトル入り水の販売を禁止したことがニュースになっています。空港内には100個のウォーターサーバーが設置され、マイボトルを持っていない人は、ボトルを買って水を汲むことになるということです。大阪市はプラゴミゼロ宣言を出し、庁舎、関連施設における使い捨てプラスチック使用削減や職員による使い捨てプラスチック使用削減をうたっています。神奈川県もプラスチックごみゼロ宣言を掲げています。鎌倉市は同じく宣言を出し、職員のマイバッグ、マイボトルの使用徹底、市役所の自販機でのペットボトル飲料の販売廃止などを行うとしています。ぜひ、杉並区でもプラゴミゼロ宣言を出す覚悟で削減に臨んでいただきたいがいかがでしょうか。うかがいます。
今年6月、交流自治体の南伊豆町に行ったときに、前副町長が毎日海に流れ着いたプラスチックごみを拾っているとの話を聞きました。杉並区の子どもたちが南伊豆に行った時には町のごみがこのきれいな海にもたくさん流れてくるという話を聞いてほしいと思いました。
今年3月、世界123か国、2千以上の場所で約100万人の学生たちが授業を欠席し、気候変動の対策を社会のリーダーたちに求めるために大規模なデモを起こしました。学生たちの持つあるプラカードには「あなたたちが私たちの未来を奪おうとしている」と書かれていました。自動販売機で飲料を売ることは地球温暖化を加速させますが、日本は自動販売機大国で、50人に1台もの割合での自販機があります。自販機による電気の大量消費、プラゴミによる海洋汚染は子どもたちから未来の豊かな海を奪うだけではなく、地球上に存在する生命を脅かすものです。緊急事態という意識を持って、区をあげてプラゴミ削減を進めていただくことをお願いし次の質問にうつります。
森林環境譲与税を活かす取り組みについてうかがいます。
日本国内の森林は、戦後の拡大造林政策により,山の頂上付近までびっしりと杉やヒノキが植えられましたが、海外からの安い輸入品に押され国産材の需要が減り続け、切り出しても採算が合わないという状況から、放置されることになりました。放置された人工林は暗く、下草も生えず、山の保水力を低下させ、豪雨や台風の際の土砂災害を多発させています。また、みのりのない森は野生動物の生息地を消失させ、花粉症患者の増加など多くの弊害を発生させています。
一昨年の北九州豪雨災害、昨年の西日本豪雨でも多くの放置人工林が崩れ、多大な被害が発生したことは記憶に新しいところです。
このような状況の改善が急務とされたことから、森林環境税が創設され、その税の徴収開始を待つことなく森林環境譲与税が今年度から各自治体に措置されることとなりました。奥山、急斜面、谷筋、尾根など林業に適さない場所の放置人工林は、多面的かつ公益的機能を高めるため、広葉樹林または針葉樹と広葉樹が混じった天然林に再び戻していくことが重要な課題とされ、国会では、森林環境税・譲与税成立に際し、衆参両院で、森林環境税を地域の自然条件に合わせた広葉樹林化に使うことという附帯決議が付きました。
付帯決議の一文を紹介します。私有人工林において、荒廃し、保水力低下、土砂災害の発生、野生鳥獣の生息地の破壊、花粉症り患者の急増など、深刻な問題が生じていることが我が国の森林における重要な課題であることにかんがみ、豊かな水源の森再生のために、森林環境譲与税で放置人工林の広葉樹林化をすすめること、ということです。
東京都でも島しょ部を除くと、人工林率は60%を超えており、その多くが放置され荒廃しています。首都圏全体を見ても、水源地の森が人工林になってしまっており、豊かな水源確保の観点からも、広葉樹林化を進めて行くことは重要です。
全国民に森林環境税の負担を課すのは、森林は水源涵養や災害防止、生物多様性保全などの重要な機能を有しており、その恩恵を全ての国民が受けていることから豊かな森林を守るために国民1人1人が税を負担しようということです。そのような法の趣旨に即した使い方が必要ではないかという視点から質問します。
1.まず初めに、区はこの森林環境税・森林環境譲与税の趣旨をどのように受け止めているかうかがいます。
2.今年度から杉並区にも森林環境譲与税が入ることになりましたが、その使い道はどのようになっているのか。現状を確認します。
森林がない都市部である杉並区においても、東京都や関東の水源地の保全や花粉症の軽減、災害防止等のために、保水力豊かな天然林の再生を進めることは必要だと考えます。
ここで中央区の事例を紹介したいと思います。中央区では桧原村と協定を結び村有林を中央区の森として整備を行っているそうです。もともとはスギやヒノキの人工林だったものを8割ほど伐採し、その後に広葉樹を植えて天然林化を図っているそうです。作業は地域のNPOに委託し、区民は植林ツアーなどで森の作業を体験しているそうです。また村内の民有林とも協定を結び健全な森を維持するために森林組合が行う活動を中央区が支援し、その作業を区民が体験し、森のことを学ぶ機会を提供しているということです。これを始めた目的は地球温暖化対策、区民の意識啓発や森や木材への理解を深めるためで、2006年から10年以上続いているといい、森林環境譲与税をこの活動にも使うということでした。
3.杉並区の場合を考えてみますと、交流自治体の青梅市や東吾妻町は比較的アクセスが良く、広い森林面積を有しています。また青梅市は多摩川や荒川水系の水源の森を有し、それが私たちの飲み水になっているところでもあります。また東吾妻町も吾妻川の水源の森を有し、それが利根川に合流し私たちの飲み水になっています。東京都水道局のホームページでは、自分の住所を入力するとどこの浄水場から水が来ているかがわかります。私の住所を入れると三郷浄水場と出てきました。ここには利根川から水が入っていて、我が家にまで届いた水の源の森がある東吾妻町に親しみを感じました。自分たちの使う水の水源の森の整備をさせてもらい、1森について学べることは区民にとっても有意義なことだと思います。青梅市や東吾妻町と協定を結び杉並区民の森を確保し、区民が継続して豊かな広葉樹の森とかかわり学習する機会をつくることを要望いたしますが、区の考えをお聞きします。
4.豊かな森を再生させるためには、一人一人が、森の役割や大切さ、現在の日本の森の危機的状況を知ることが不可欠です。都市部に住んでいると自然がなくても生きていけるという錯覚に陥ってしまい、都市部の子どもたちは、森林と自分たちとがどうかかわっているか想像すらしません。未来の社会に生きる子どもたちに、教室や野外で、森林学習を実施することにより、森林を大切にする人を育てることは、豊かな森林を再生し、守っていくためにも重要なことであり、森林環境譲与税の趣旨にあった使い方であると考えます。
環境課では現在、環境教育のプログラムを持っていて、学校からの要請に応じてサポーターの派遣を行っていますが、その中に森林学習のプログラムを入れることを検討いただきたいと考えますが、区の考えをうかがいます。
子どもたちへの森林教育については教育委員会からも、日本の森の現状、森林環境税・森林環境譲与税ができた背景を鑑み、森林学習の必要性を学校に伝えていただくことを要望し私の質問を終わります。