第2回定例会一般質問 質問と答弁 2021.6.2 奥田雅子

ひとり親支援について

Q.1-①昨年度、ひとり親家庭実態調査が実施された。前回の実態調査報告書では、調査結果のまとめの中で今後の課題についての記載があった。どのような課題があり、それは解決されたのか伺う。また、今回の実態調査では、コロナ禍の状況にあって、5年前の調査との違いが見えてきたのではないかと思う。区はこの調査により、どのようなことを新たな課題として認識したのか伺う。

A.1-①まず、2015年度に実施した実態調査で出された課題だが、住まいの確保や就労支援・子どもの学習支援の充実のほか、離婚後の支援である養育費確保や面会交流への理解促進などがあり、これらの課題に対しては、現在も引き続き取り組みをすすめている。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、今回の実態調査からは顕著な傾向は見受けられなかったが、報道等により、ひとり親家庭が影響を受けていることを認識している。今回の調査における新たな課題については、前回同様、ひとり親家庭が抱える課題としては、経済的なものが多く、その要因の一つとなるのが、養育費の不払いであり、その対策として今年度より養育費確保支援事業を開始している。また、子育てや家事に困難を感じている父子家庭の割合が増えており、母子家庭に加え、こうした父子家庭も相談しやすくなるような工夫をしていく必要があると考えている。(子ども家庭部長)

Q.1-②国の子育て世帯生活支援特別給付金の支給が始まっているが、ひとり親家庭を対象とした給付金の支給件数を確認する。

 

A.1-②本給付金の対象はひとり親世帯とそれ以外の住民税非課税の子育て世帯とに分かれるが、質問のひとり親世帯の直近の支給実績は2021年4月分の児童扶養手当受給者1501世帯、児童数は2058名となっている。(子ども家庭部長)

Q.1-③本来使える制度やサービスが使えていない人がいないようにしなければならないが、ひとり親への情報提供はどのように行っているのか伺う。

A.1-③区では、ひとり親家庭に対する支援サービスの内容をまとめた「ひとり親家庭のしおり」を作成しており、ひとり親の方が利用される相談や戸籍の届け出を行う区の窓口のほか、区内の医療機関や就労支援センター、くらしのサポートステーションなどで配布している。また、区の広報やホームページのほか、東京都のひとり親家庭向けポータルサイトなどにも必要な情報を掲載し、広く周知することに努めている。(子ども家庭部長)

Q.1-④相談に訪れた方にとっては、その家庭にあった制度やサービスをカスタマイズしてもらえるような寄り添い型の相談ができると心強いと考えるが、現状どのように対応しているのか確認する。

A.1-④ひとり親家庭の相談は、ひとり親になった事由一つをとっても、離別・未婚・死別と背景が異なり、さらに子どもの年齢や経済状況・生活状況も様々である。そうしたご本人やご家族の状況を、ひとり親家庭支援担当の相談員が丁寧に聞き取りながら支援し、必要に応じて手続きの同行なども行っており、今後も相談者の気持ちに寄り添いながら、共に考え必要な支援を提供していく。(子ども家庭部長)

Q.1-⑤今年度から開始された養育費確保支援事業は、離婚相手との取り決めがあっても養育費が支払われない場合のひとり親家庭の救済制度だが、区は周知方法含めどのようにすすめようとしているのか伺う。

A.1-⑤本事業の周知については、事業を開始した4月1日の広報及びホームページによる周知に加え、チラシを作成し、区窓口のほか公正証書を作成する公証役場、民間のひとり親家庭支援団体、養育費に関する相談を受ける東京都のひとり親家庭支援センターや養育費相談支援センターにも送付し、周知の協力をお願いした。これまでのところ申請の実績はないが、引き続き周知に努め養育費の確保につなげていく。(子ども家庭部長)

Q.1-⑥相談したいことが明確ではなく、相談先を選ぶことが難しい方も多いと思う。区が発行する「ひとり親家庭のしおり」の最初に、ここにさえ相談すれば、その先を導いてくれるという案内が書いてあるとよいと思うがいかがか。

A.1-⑥このしおりでは「各種相談」というページに相談機関ごとに相談内容等を記載しているが、ご指摘の通り、何を相談したらよいのか整理できない方もいらっしゃると思うので、そうした方も相談できる窓口がわかるよう、次回作成する時には工夫していく。(子ども家庭部長)

Q.1-⑦ひとり親家庭への聞き取りと同時に、地域で支援活動を行っている団体や個人からも現場が持つ情報や抱える課題について共有する機会が必要であると考えるが、区の見解を伺う。

A.1-⑦ひとり親家庭が抱える悩みや課題については、日々の窓口や電話での相談のほか、「ひとり親家庭実態調査」を通して定期的に把握しているところではあるが、地域で実際に支援に携わっている方々からのご意見は貴重であると考えているため、そのご意見もしっかりと受け止めながら実態の把握に努めていく。(子ども家庭部長)

ヤングケアラー支援について

Q.2-①厚生労働省の調査で対象となった杉並区内の中学校はあったのか。また、今回の調査を区はどのように受け止めたか。

A.2-①厚生労働省が実施した調査には本区の区立中学校も調査対象校として抽出されていた。教育委員会としては全国の中学校2年生の5.7%が世話をする家族がいるという結果から、ヤングケアラーが一定数いることが分かった。(教育政策担当部長)

Q.2-②ヤングケアラーの問題は家族の問題とせず、社会全体の問題として取り組むことが重要と考えるが、そもそも自分がヤングケアラーだと自覚していることもが少ない実態がある。誰かが気づいて声をかけ、支援につなげることが重要だと考えるが、区ではどのように実態を把握し対応しているのか確認する。

A.2-②ヤングケアラーの実態把握と対応については、学校等で支援が必要な子どもを把握した場合、子ども家庭支援センターと情報共有を図り、双方で連携して見守り支援を行っている。その上で、子ども家庭支援センターのケースワーカーが家庭を訪問するなどして子どもやその家族の相談支援を行うとともに、家庭の状況に応じて必要なサービス等につなげている。(子ども家庭部長)

Q.2-③子どもに関わる全ての職員がヤングケアラーの実態について認識し、理解することが早期発見、早期解決には欠かせないと考えるが、福祉や教育分野での研修にヤングケアラーの視点が盛り込まれているか確認する。

A.2-③子どもに関わる大人がヤングケアラーへの理解を深め、支援の必要な児童・生徒を早期発見し、関係機関と適切な連携を図る必要があることから、子ども家庭支援センターで実施している要保護児童対策地域協議会の構成員向け研修やスクールカウンセラー連絡会でヤングケアラーを取り上げ、周知に努めている。加えて今年度は管理職や養護教諭、生活指導主任等を対象にヤングケアラーの理解、他機関との連携方法等の研修を行っていく。(教育政策担当部長)

 

Q.2-④本年5月、厚生労働省と文部科学省のプロジェクトチームによる報告書がまとめられた。その検討内容を確認する。また、区は、その報告書をどのように受け止めたか伺う。

A.2-④このプロジェクトチームは支援を必要としているヤングケアラーを早期に発見し、必要な支援につなげるための方策を検討するために設置されたものである。まとめられた報告書には、福祉・介護・医療・教育等の関係機関や支援団体等がしっかりと連携し、ヤングケアラーの早期発見・支援につなげるための取組みが記載されており、今後の施策を展開するにあたり、参考とすべき内容が含まれているものと受け止めている。(子ども家庭部長)

Q.2-⑤子ども家庭支援センターのリーフレットやゆうラインの案内で、具体的な相談内容に家族のケアを担っている子ども(ヤングケアラー)の相談といった項目を足す工夫があっても良いと思うが区の見解を伺う。

A.2-⑤子ども家庭支援センターのリーフレット等への具体的な相談内容の記載については、ヤングケアラーが相談につながることは重要であると考えているため、より子どもにわかりやすい表現で案内するなどの工夫をしていく。(子ども家庭部長)

Q.2-⑥この間ひとつの家庭が複合的かつ複雑な問題を抱えるケースが増えており、区でも在宅医療・生活支援センターを中心により横連携の支援体制を強化しているが、ヤングケアラーの問題についても改めて意識を高めていくことが必要だと考える。子どもの未来を奪うヤングケアラーの問題に対し区の考えを伺う。

A.2-⑥ヤングケアラーは子どもでありながら、本来大人が担う家事や家族の世話などを介護者として日常的に行っている。そのため、睡眠不足や疲労から勉強する時間がとれず、学力の低下や欠席の増加など学業への影響が懸念される。また、自由時間が少ないため部活動に参加できない、友人と遊ぶ時間がとれないことから、孤立や精神的な不安定さを招くなど、成長していく上での影響も危惧される。こうしたことから、家族へのケアに係る負担を軽減または解消することが必要だが、ヤングケアラーの問題は家庭内のデリケートな問題であることから、本人が家族の状況を知られたくない、本人に自覚がないなどの状況により、潜在化しやすくなってしまうという難しさをもっていると認識している。

そのため、ヤングケアラーについての認知度を高め、子どもに関わる教育等の関係機関や地域が、子どもの発するサインに気づき、早期に発見することが非常に重要である。また、周りの気づきだけでなく、ヤングケアラー自身が相談できるようにすることも重要であり、子どもの声を受け止める体制や子どもの声を代弁するしくみの構築についても大切であると考えている。

全ての子どもがその家庭環境に左右されることなく、将来の選択ができるよう、地域全体で子どもを見守る環境を整え、必要な支援につなげることで、子どもたちの未来への歩みをしっかりと支えていく。(区長)

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