いのち平和クラブの一員として一般質問いたします。
質問項目は、
1、「コロナ禍での生活が子どもに与える影響と対策について」 2、不登校の子どもの支援について、です。
〇日本で初めて新型コロナウイルス感染者が出たのは2020年1月でした。その後3月から突然学校が一斉休業となり、その状況が5月の連休明けまで続きました。学校の節目の行事である卒業式がなくなり、入学式も行われないまま学校生活がスタートした子どもが多くいました。国立成育医療センターが行ったコロナ×こどもアンケートには、小学4年生以上のこどもの16%に中等度以上のうつ症状があるという結果がでました。警察庁発表の2020年に自殺した子どもの数は前年比で25% 増加し、過去最多の499人となりました。2021年も前年に次ぐ過去2番目の多さで、473人の小中高生が自ら命をたちました。この数字はこの2年間における子どもたちの辛さを顕著に表していると思います。子どもの自殺に詳しい国立精神・神経医療研究センターの精神科医、松本俊彦氏は、このような現状について「子どもの生活に、さまざまな制限が加わり逃げ場がなくなる中で、もともとしんどかった子どもたちの存在が、より鮮明に現れてきていて、それが統計にも反映されている。影響が長期化する中で、大人以上に先の見えなさで霧が濃くなっている状態で、将来を思い描くのに必要な情報が少なくなっていることも不安を高めている」と指摘しています。大人として、この問題に真剣に取り組まなければなりません。
そこで先ず、区は子どものコロナ禍での生活をどうとらえ、苦しい状況にある子どもたちの支援をどのように行っているのか、うかがいます。
〇コロナ過で様々な行動制限がありますが、中でも大きく変わったことの一つが日常的なマスクの着用です。そこでまず、子どもが長期間マスクをつけることでの影響について伺います。東京・生活者ネットワークでは22年5月まで小中高校生及び保護者を対象としてコロナ禍での生活に関するアンケートを行い114名から回答を得ました。このうち6割が学校でマスクを外したいけど外せないと答えています。自由記述の声を紹介すると、「下校中、顎マスクやマスクを外していると友達にマスクしてと言われるのが嫌になる。」「マスク無しで通学しています。わざわざ主治医の診断書も取りました。それでも着けないとだめだよと友達からマスク警察されます。習い事やイベントにも参加したいですが、マスクを着けられないと伝えると参加は遠慮してと言われます。」「大人は外で食事をするとき、だれかと話したり自由にしていますが、私たち子供は黙って食べないといけなかったり、ひとりの机で食べたり決まりを守らないと先生に怒られるのがいやです」などの回答がありました。このように、苦しい思いをしている子どもたちの現実が見て取れます。
〇区では第6波の感染状況が収まりつつある中で厚労省がマスクの考え方を示した直後の今年5月30日に、教育長がマスク着用に関するメッセージをHPにアップされています。そこで学校の感染症対策と学校運営に関するガイドラインを改定したこと、できるだけマスクを外せる場面では外すよう、具体例を示されていること、これまでも教育委員会ができる限り子どもたちの体験の機会を保障するための努力をされてきた姿勢には共感しています。そこでまず、改めてマスク着用に対する教育委員会の考え方をうかがいます。
〇厚労省が打ち出した不要なマスク着用をできるだけ減らそうという考え方が、なかなか学校現場に浸透していない現実があります。区内の学校に子どもを通わせる保護者からの声を紹介します。小学校の運動会で今年は全学年合同で校庭に集まり、全プログラムができ、それはとても良かったのですが、屋外でもマスク着用を促されるシーンが多々ありました。競技中は外しても良いという感じで、外している子、つけている子が混在していました。しかし、競技中以外はマスク着用で拍手での応援という指導が入っていました。開会式、閉会式など、会話がほとんどない状況でも全員がマスクを着用していたのですが、こういう時こそ外す場面なのではないかと思いました、ということです。区の作成したガイドラインにあるマスク着用の考え方について、学校や保護者に周知することが必要だと思いますが、それはどのように行われているのでしょうか。HPに掲載されている教育長からのメッセージを保護者に出すなど、より積極的な対応を求めますが、教育委員会の考えをうかがいます。
〇まずは社会全体で大人がマスクを外さないと子どもは外せないと考えます。11月10日の東京新聞の記事によると、民間の機関がマスクについて調査を行ったところ、政府が5月に示した着用の判断基準の内容を知らないと回答した人が58.4%に上ったということです。
この基準は屋外では季節を問わず、マスク着用は原則不要となっています。徒歩や自転車での通勤通学など、人とすれ違う時も不要とあります。屋内の場合距離が確保でき、会話をほとんど行わない場合をのぞき、マスクの着用をお願いしますとあります。このことが書かれたポスターは厚労省のHPからダウンロードできますのでこれを区立施設に掲示するなど広く区民に周知するよう求めますが、区民への周知について区の考えを伺います。
〇子どもは3年間にわたるマスク生活で友達の顔を知らない、マスクを外して顔を見られるのが恥ずかしいなど、すでにマスクを外せない状況が生まれています。これがコミュニケーションの障害になったり、孤独を感じることにつながることが懸念されています。新型コロナ感染が始まった当時は未知のウイルスから身を守るため、強制的にマスクの着用をせまられました。この呪縛を解くためには、ある程度の強い働きかけが必要ではないか、と思います。ここで国立市のある学校での取り組みを紹介すると、みんなの顔が見えるよう椅子を輪に並べ、話はせずにマスクをとるニコニコタイムを設けているということです。小学校1年生などの入学直後にこのような時間を何度か設けてはいかがかと思います。マスクを外しやすくするステップとして、校長会などで情報提供していただきたいと思いますが、考えをうかがいます。
成長段階にある子どもがマスクを長時間着けることでおこるのは心の問題だけにとどまりません。ドイツの神経科医マーガレッタ・グリーズ・ブレッソン医師はマスクによる呼吸の再吸入が間違いなく酸素欠乏を起こすこと。人間の脳は酸素欠乏に非常に敏感であり、特にすべての身体の器官が代謝的に活発である子どもは、マスクによって恒常的な酸素欠乏となりそれが脳の機能を少しずつ損ない、元に戻すことは出来ないと述べています。こども未来クリニック医院長で口呼吸の問題などに取り組む内科医の今井一彰氏は長時間のマスク着用生活で口回りの筋力が低下し、子どもの「お口ぽかん」が増えていると指摘しています。日常的に口が開いている状態はお口ぽかんと呼ばれ、虫歯、歯周病、歯並びの悪化、鼻の不調、口呼吸による感染症のリスクが高まるなど様々な問題を引き起こすといいます。このように子どもの成長に不安な点の多い状況をいつまでも続けるべきではないと考えます。
次に給食時の黙食指導についてうかがいます。
〇11月9日の読売新聞の報道によれば、永岡文科大臣が給食時に「必ず黙食することを求めているわけではない」と述べ、適切な感染対策をとれば給食時に会話ができるとの考えを示した、ということです。文科省の衛生管理マニュアルでも給食時に飛沫を飛ばさないよう「机を向かい合わせにしない」「大声での会話を控える」といった対策を例示するが「黙食」という言葉はつかっていないとあり、改めてそれを確認しました。さらに一部の自治体では黙食を緩和する動きも出ていて、食事中の会話は「大声での会話を控える」とし、小声で話しても良いとしたこと、机の配置も全員に正面を向かせていたのを「向かい合わせにならないようにする」に緩めたとのこと。学校生活での制限が続き、児童生徒への影響が危惧されるようになってきているとあり、その考え方に大変共感しました。区の教育委員会でもこのような方針でやってこられたのではないかと思いますが、改めて黙食についての考え方を伺います。
〇給食の黙食については、先生によって対応に差があり、少しの会話が認められている教室から、厳しく注意される教室、区内ではありませんが、しゃべったら一週間おかわりできない罰を与えられる、人権侵害ともとれるような対応をしている教室の話も聞きました。また給食中におしゃべりして、注意してもやめない生徒を廊下に机ごと出し、授業もそのまま受けさせ、それを指導した教師が減給処分を受けたという新聞記事も目にしました。給食の時間に子どもがしゃべっただけで厳しく注意を受ける状況が3年間も続き、注意を受けた子どもだけでなく、すべての子どもが閉塞感を感じることは想像に難くありません。一刻も早く、黙食指導をやめていただきたいと思いますが、教育委員会の考えをうかがいます。
〇ここで先ほどの厚労省のマスクを外してよい場面の考え方をもう一度見直してみます。黙食緩和は、文科省が2メートルの距離がなくても会話を認めているということです。そうすると大きな声でなく向かい合っていなければ、マスクを外して少しはお話ができるということになるのではないでしょうか。椅子を輪にして座った時に少しのお話ができること、そのようなことをぜひ試みてほしいと思いますがいかがうかがいます。
ここで11月11日の新聞報道にあった東京都の第7波感染状況のまとめを取り上げます。第5波以降、致死率が低下しインフルエンザ並みに下がったということです。これまでもインフルエンザは年間1千万人がり患し、関連も含め1万人が亡くなっていたわけです。しかし生活は、症状がある人だけがマスクを着け、医療機関にかかり、熱が下がってから一定期間休んだ後に日常生活に戻るというルールで社会は回っていました。マスクを着けることが当たり前となり、今やマスクをとるのが恥ずかしいと感じるようになってしまった子どもの気もちによりそい配慮はしつつ、教育委員会にはぜひコロナ前の日常を取り戻すため、先頭に立って、子どもや保護者に働きかけてほしいと思いますが、考えをうかがいます。
子どもたちが一日も早く、コロナ前の生活に戻れるよう、私も全面的に協力することを申し上げ次の項目、不登校の子どもへの支援について質問いたします。
〇 2021年度の不登校児童生徒の数が前年度比で24.9%増加し、過去最多の24万人となったとの報道がありました。文科省は不登校急増の背景に新型コロナウイルスの影響がうかがえると分析。運動会や遠足といった学校活動が制限され登校意欲が下がったとの見方や、休校による生活リズムの乱れが戻らない事例の報告もあったと説明したとのこと。ここには新型コロナ感染の不安や感染回避を理由に30日以上休んだ小中高生は71,704人いて、その人数は不登校の数には含まれていないとしています。大変な数字であり、教育委員会としてもきちんと取り組むべき課題であると考えます。私はこれまで継続して不登校の子どもを持つ保護者の声を聴き、担当課長をはじめ現場で対応する方たちに届けてきましたが、先日は教育長にもその人たちの声を聴く機会を作っていただきました。教育長にはその声をしっかり受け止め理解してくださったことに感謝しています。今回はその保護者の要望を中心に杉並区の不登校の子どもの支援について質問いたします。
〇先ずは昨年度の不登校の子どもの数について、区内の小中学校それぞれの数、全校生徒に占める割合をうかがいます。
〇区ではその増加の原因をどのように分析しているかうかがいます。
〇子どもが学校に行かなくなると、多くの保護者は何とか子どもを学校に行かせようとし、それでもいけないことに絶望し、どうしていいかわからない状況に陥り、親子ともにどん底に落ちるといいます。その時にどこに相談していいかわからず、とても困った経験から、新学期が始まったころに、すべての保護者に、不登校は誰にでも起こりうること、もしそうなったときに相談できる窓口などについて周知していただきたいとの要望があります。実際には完全な不登校になる前の行き渋りが始まった時に、安心して相談できればいいと思います。そのようなことの保護者への周知について区教委の見解をうかがいます。
〇これだけ多くの子どもが不登校になる状況で、担任を持つすべての教員が不登校に関する情報を知っておく必要があると考えますが、不登校について学ぶ研修などは行われているのか、行われている場合はどのような内容かうかがいます。
〇世田谷区では不登校、行き渋りの対応についての冊子が作られ、ホームページでも見られるようになっています。子どもが不登校を始めた初期のころの状態、保護者の状態、しばらく経過したときの状態などが詳しく説明され、区の支援メニューも掲載されたものです。このような冊子を杉並区でも作り、先生や行き渋りが始まった子どもの保護者に届けることができれば、それは先生や保護者にとって大きな助けになると思いました。作成を検討していただきたいと考えますが、教育委員会の考えをうかがいます。
〇不登校の子どもが急増する状況で、すべての学校で別室登校を認めることを徹底していただきたいと思います。教育委員会ではそれを認めるようにしていると認識していますが、いまだに親の会には別室登校の対応をしてもらえないなどの声が届き、私も時にそれに対応させていただいています。新型コロナの対応で保健室が使えないなどの状況があると思いますが、その他の教室を用意し、学校支援本部や地域の方に協力頂く形で別室を用意しているという事例の話も聞きました。教育委員会ではどのように取り組もうとしているのか見解をうかがいます。
〇子どもが不登校になると親は孤立し辛い状況に置かれるのは想像に難くありません。そんなとき、不登校の保護者がつくる会に参加し、同じ立場の保護者や先輩保護者の話を聞いて救われたという話をとても多く聞いてきました。保護者が何よりも求めることの一つだと思います。これまでも教育委員会が主催して親の会を開催してほしいと要望すると、済美教育センターでやっているとお答えいただいてきました。しかし、済美教育センターでやっている親の会をセンターに通った保護者でさえ聞いたことがない方も多く、相談担当者が必要だと思う保護者にのみ声をかけているというあり方には不満の声が上がっています。世田谷区では区が主催して、ひと月に一回、区内で地域や時間帯を変えて、より多くの保護者が参加しやすい形で親の会を開催し、年間スケジュールが公開されています。ぜひ杉並区でも取り組んでいただきたいと強く要望しますが、教育委員会の見解をうかがいます。
〇不登校の親の会が主催する講演会と懇談会に参加された課長の感想を伺ったところ、実感を伴う話に多くの気づきを得て、親の支援も必要だと気づかされたとのことでした。この親の会は自分たちが苦しい中で得た有効な情報を、今苦しんでいる保護者のために役立てたいという気持ちで活動をされており、今すぐ誰かに話を聞いてほしいという保護者に対応し、それによって救われた保護者が会のスタッフとして加わっています。また小学校低学年の子どもの保護者は、その年代の子どもを持つ保護者向けの会を新たに立ち上げるなど、活動が広がっています。不登校の子どもの人数が急増し、相談体制など教育委員会で対応しきれず、相談までに長い時間待たなければならない状況があります。子どもの状況は待っている間に日々変わっていくため、相談したいと思ったときに相談できないもどかしさは理解できます。そのような時にすぐに対応できる、すでに実績のある親の会を教育委員会のサイトで紹介するなどの体制をとっていただきたいと思います。以前もそれを求めたところ、一つのところだけを載せるのはバランスを欠くので難しいということでしたが、申し出のあった団体を掲載できるようなサイトをつくればいいのではないでしょうか。区教委の見解をうかがいます。
決算特別委員会ではさざんかステップアップ教室を増やすこと、不登校の特例校についても検討する意向が示されており、私からも改めて前向きな検討をお願いします。またICT教育についても、取り組みが進んでいること、仮想空間でのオンライン授業についても研究されているということで、引き続きの取り組みを要望いたします。また継続して要望してきた、スクールソーシャルワーカーの処遇改善と増員、スクールカウンセラーの配置日数を増やすこと、さざんかステップアップ教室への通学に自転車の使用を認めることも引き続き要望いたします。
先日、「杉並つながるミーティング」というテーマで、区内で子どものために活動している団体が一堂に会しつながって、子どもの笑顔を増やそうという会が開かれ参加しました。区内でこんなにたくさんの方たちが活動しているのだと知り、大変心強く思いました。区からも職員の方が参加されていたので、その方たちには様子がわかると思います。多くの区民による地道で、多様な活動の力を借り、協力を得ながら、不登校の子どもとその家族への支援に取り組まれることを要望し、質問を終わります。