第3回定例会一般質問と答弁 2024.9.12 そね文子

Q1 今定例会で「ジェンダー平等に関する審議会」の設置が提案され、条例制定などを視野に審議がされることが示された。区が本気でジェンダー平等社会実現を決意したことだと大きな期待を持って受け止めたが、区の認識と決意を伺う。

A1区長)杉並区では「男女共同参画社会を目指す杉並区行動計画」を平成7年に策定し、平成9年には「杉並区男女共同参画都市宣言」を発して、以降の約30年間行動計画を改定しながら男女共同参画社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。この間社会全体としての男女共同参画のありようも大きく変化してきたと考える。2015年の国連サミットで採択されたSDGsのゴールではひとりひとりの人間が、性別にかかわらず平等に責任や権利や機会を分かち合い、あらゆる物事を一緒に決めることができる「ジェンダー平等の達成」が目標に掲げられ、女性男性多様な性も含めて男女共同参画の取り組み範囲は広がってきている。区でも昨年いわゆる「性の多様性条例」を制定し、パートナーシップ制度の運用を開始するなど、男女共同参画の取り組み範囲は「男女」という言葉を超えて広がっている。一方、今年実施した「男女共同参画に関する意識と生活実態調査」の結果においては「社会通念や慣習・しきたりの中で女性と男性が平等になっている」と答えた人が10%しかいないことなど、区のジェンダー平等が実現しているとは言い難い実態がある。先の定例会では「ジェンダー平等に関する新たな視点を示す必要がある」との意見もあった。これらを踏まえ、さらなる推進に一歩を踏み出す機運が醸成されたととらえて、これまでの取り組みを発展させ、「ジェンダー平等が実現した社会」の未来像を描き出すためにも専門的な知見を持つ審議会を設置すべきとの考えに至った。

Q2 施設再編の中で、より駅に近く集いやすい場所に男女平等センターの場所を確保することが必須だと考えるが区の見解は。

A2 区民生活部長)昨年度の男女平等センターの情報資料・交流コーナーの利用者は約2600人であり、地域団体との協同事業の成果もあり令和3年度との比較では1064人増となっている。現在の場所でも工夫と努力により利用者を増やすことはある程度可能と考える。一方駅に近いより利便性の高き場所にあるメリットも理解できるが、施設の移転については区全体の計画の中で考える。

Q3 困難な問題を抱える女性への支援に関する女性支援新法が本年4月から施行された。法に掲げられた理念を、区はどのように取り入れ生かしていこうとするか問う。

A3 保健福祉部長)この法律が制定された背景として、生活困窮、性犯罪被害、孤独、孤立など女性の抱える課題が多様化、複雑化する中で、女性支援の制度的根拠を補導処分、保護更生を目的とする売春防止法に置くことに限界が生じたことにある。新たな法の目的・基本理念には、女性の福祉、人権の尊重や擁護、男女平等が明確に打ち出されており、区もこの人権保障の理念に沿って、当事者の意思を尊重し寄り添った支援の実施や、女性の福祉・男女平等にかかわる関係機関による包括的な支援につなげていく考えだ。

Q4女性支援新法によって自治体の責任も明確化され、基本計画を策定することが努力義務とされた。区では基本計画策定についてどのように取り組むのか。

A4 保健福祉部長)区では困難な問題を抱える女性への相談支援体制の強化に優先的に取り組むこととし、基本計画の策定については今年度中に設置を予定している「(仮称)地域福祉施策推進連絡会」での議論のほか、「(仮称)ジェンダー平等に関する審議会」が設置された場合にはそこでの議論も踏まえ検討していく。

Q5 区ではこれまでも福祉事務所に婦人相談員を置いて対応してきたが、法施行後は名称が女性相談支援員に改められる。その相談員の専門性やスキルを担保するために何をしているのか問う。相談員に求められるのは専門性、相談者との関係性や継続性は大事であることから、配置や異動には配慮が必要と考えるが、どのような体制をとるのか聞く。

A5 (保健福祉部長)女性相談支援員の専門性やスキルを高値ることは重要であり、生活、医療、子育てなどの様々な相談に対応するため都が主催する研修に参加しスキルの向上に努めるなど研鑽を積んでいる。また、母子相談および女性相談を専門に行う職員を福祉事務所各所に配置し、異動者については経験などを考慮している。相談者との関係性や継続性は大事であり、この間各支援者が相談内容と結果を面接記録表に作成し所内すべての支援者で共有している。これは支援員の知識や経験の一助となり、異動による影響を最小限にとどめることにつながっている。

Q6 地方公共団体は支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関、民間団体、その他の関係者により構成される支援調整会議を組織するように努めるとある。会議では情報交換、支援内容に関する協議を行うとされるが、具体的にどのように組織するのか。また会議には当事者の意見が反映されることが必要だがどのようになっているか。

A6 (保健福祉部長)この支援調整会議は個別ケースの支援について協議する会議体ほか、地域における対象者の実態や地域資源の把握、支援体制の検討・評価を行う会議体であること、設置に当たっては既存の会議体を活用できることとなっている。これらを踏まえ、個別ケースについては福祉事務所がこれまで実施している支援検討会議を充実させ、区と民間を含む関係者が支援方針を協議・決定する際に可能な場合には当事者の参画を得るなど、本人の意向を尊重した支援につなげていくための会議体とすることとした。また、地域の支援体制の検討については、学識経験者や地域活動団体を構成員に、地域福祉に関する意見交換を目的とした会議体を新たに設置する。困難な問題を抱える女性の支援についても議論のテーマとし、必要に応じて民間支援団体の参加を求めていく。

Q7 家でDVや虐待があり居場所のない子どもたちがいることを認識し、区ではその支援としてイブニングステイ事業を始めた。あらためてこの事業の目的と進捗状況を問う。

A7 (子ども家庭部長)子ども家庭支援センターが支援している中高生世代の要保護・要支援児童の中には食事が十分に用意されない子や、保護者からの暴言や高い要求に心身ともに疲弊している状況にある子が少なくありません。こうした子どもたちが放課後の時間を安心して過ごし、食事の提供ほか必要に応じて子どもからの相談を受けられる環境を整備するため子どもイブニングステイ事業を開始することとした。今月、公募型プロポーザル方式により選定した民間事業者と委託契約を結びました。今後は様々な背景を持つ子どもへの職員の対応力を高め、子どもが安心して過ごせる居場所にするため、事業者には区が実施する児童虐待対応や子どもの権利擁護に関する研修を受講してもらい施設の改修などの準備をすすめ、来年の1月から運営を開始する。

Q8 義務教育を終える前に生徒全員がデートDVについて知ることが必要だと考え、中学校全校でデートDVの講座を行うことを求めてきた。徐々に進んではいるが取り組みを加速してほしい。教育委員会の考えを伺う。

A8 (教育政策担当部長)デートDVの講座については区長部局で実施しており教育委員会では校長会での周知などに協力してきた。区立中学では「いのちの安全教育」の中で多くの学校がデートDVを取り上げているので引き続き取り組むよう学校を支援していく。

Q9 人権教育として包括的性教育についても助産婦などの専門人材を活用することをさらに進めてほしいがいかがか。

A9(教育政策担当部長)児童生徒の学習については各学校で検討し、必要な内容を専門とする外部人材に協力してもらっている。性に関する指導についても、令和5年度は産婦人科医、助産婦、保健師、大学教員等の外部講師を依頼している学校が12校あった。今後も各学校で外部人材を活用した授業が行えるよう支援していく。

Q10 性暴力やハラスメントが起こりそうなとき、また起こっている場面で、加害者の注意をそらしたり、痴漢を駅員に通報したり、被害者に声をかけたりして被害を防ぐ行動をアクティブ・バイスタンダー(「行動する傍観者」)というが、このようなことを学ぶ機会を作ることに取り組んでもらいたい。区の見解を伺う。

A10(区民生活部長)男女共同参画の分野では、性暴力やハラスメントの防止に関する様々な啓発講座を実施している。今月23日に区役所で実施するハラスメント対策の講座の趣旨は「誰もが被害者にも加害者にもなりうるハラスメント」への理解促進です。重要なテーマの一つと考えているので降雨後も啓発講座の中で取り上げていく。

Comments are closed.