2008 2/19
区長の予算編成方針について
(1)
自治の確立について
【Q1】東京自治制度懇談会と特別区制度調査会から相反する報告が出されたが、どう受け止めているのか、また、都区の望ましいあり方についてどう考えるのか、区長の見解を伺う。
【A1】先般、都の自治制度懇談会から東京都を大都市経営の主体として明確化すべきとの報告が、また、特別区制度調査会からは「都の区」の制度廃止と「基礎自治体連合」の創設を内容とする報告が出た。それぞれが描く将来の自治の方向性は、全く異なる内容であると認識している。
このような状況を打開していくためには、都と特別区の双方が「何のための都区制度改革なのか」という原点に立って、同じ土俵で今後の大都市東京と特別区のあり方を論ずることが必要ではないかと考える。その上で、都が抱え込んできた様々な事務については、住民に身近な特別区が優先して担うことを基本に都区の役割分担を見直し、杉並を含む大都市東京の区域にふさわしい、新たな自治の仕組み確立していく必要があると考える。
【Q2】減税自治体構想は都市制度の進展により30~40年後に区がどうなっているかに大きく左右される。自治体としての基盤があっての減税構想なのではないか。
【A2】たとえ都区制度が将来どのようになろうとも、将来を見通し、税収の増減に左右されない強固な自治基盤を確立し、安定的な財政運営を行なっていくという減税自治体構想の理念は、これからの時代の自治体運営において、ますます必要性を帯びてくるものと考えている。
【Q3】○自治体基本条例施行後5年間の成果について伺う。
付帯決議には見直し時期が明示されていないが、今回見直す理由は何か。条例の内容を書き換える必要があると考えているのか、また、具体的にどこを見直そうとしているのか伺う。
見直しに当たっては、区民参加による総括が必要と考えるが、どのように見直しを行なうのは伺う。また、見直しのスケジュールはいかがか。
案が出来上がってからパブコメで意見を募集するのではなく、議論のプロセスに区民が参加できるような仕組みが必要と考えるが、議論の場を設けてはいかがか。
【A3】条例施行後5年間の成果について、区民の視点に立って仕事に取組もうとする職員の意識改革が進み、地域のボランティア活動やNPOの活動が活発化し、協働の分野への区民の参加が広まるなど、杉並らしい自治が芽生え育ちつつあると考えている。しかし、条例で謳われている自治の理念等がどこまで広く区民に共有化されているかどうかというと、まだ十分とは言えないと受け止めている。
条例を見直す理由については、条例制定時に、条例施行後一定期間の施行状況等を踏まえた、検証と見直しに関する付帯決議が行なわれており、その検証のうえに見直しを行なうものである。
見直しに当たっては、改正行政手続法などの法改正等への対応とともに、条例の精神を広く区民のものにし、条例を発展させる方向での改善や充実に努めていく。時期については、今後、議会とも必要な協議等を行ないながら、条例改正等に向けた手続きを進めていきたいと考える。
【Q4】町会・自治会と商店街が連携して地域の発展について検討する懇談会は、どのようなことを検討するのか。また、その目的は何か。
【A4】この懇談会は、後背地に住宅地を抱える商店街とそれを取り巻く町会や学校が有機的な連携を図り、地域を活性化していくために、「地域と商店外の協働」、「地域貢献型の会社設立」、「街の駅の活用」、「地場産業の育成」、「逸品運動の展開」などをキーワードとして検討していく予定である。
【Q5】かつて地域区民センター運営協議会を地域内分権の拠点とする構想が語られていた。今後、運協を核とする分権構想を再び検討する必要があると思うがいかがか。
【A5】現在、教育分野における地域内分権のモデル事業として、学校を核とした地区教育委員会の設置に向けた取り組みを行っているところである。地域活動の拠点として整備した地域区民センターの役割については、現在の取り組みの推移を見ながら検討していきたい。
(2)
協働のあり方について
【Q6】21世紀ビジョンや協働推進条例にある、協働の定義を改めて確認したい。
【A6】自治基本条例において「地域社会の課題の解決を図るため、それぞれの自覚と責任の下に、その立場や特性を尊重し、協力して取組むことをいう。」と定義している。
【Q7】「協働ガイドライン」の協働の概念と民営化・指定管理・業務委託とは異なるものではないのか。あらためて「協働」及び「協働事業」の定義について伺う。また現在、「協働事業」に該当する事業はいくつあるのか。
【A7】スマートすぎなみ計画に基づく協働や民営化・民間委託は、NPOや地域の団体、さらに民間事業者などが、区の事業を担っていくパートナーという考え方に基づいている。指定管理や業務委託という形態であっても、そのプロセスにおいて協働の概念を共有することで、協働事業となりうるものと考えている。
「協働事業」については、19年度ではゆうゆう館協働事業や地域大学での講座運営など、様々な事業を展開している。
【Q8】「協働ガイドライン」で締結することになっている「協定書」の締結は徹底されているのか。
【A8】「協働ガイドライン」では、協定書を結ぶことを基本としているが、これは、協働事業を進めるに当たって、役割の分担や責任の所在などを十分に協議していくことの重要性に基づくものである。従って、協議した内容を仕様書としてまとめる場合など、必ずしも協定書が必要とされるものではない。
【Q9】協働事業提案制度は、行政サービス民間事業化提案制度とは趣旨が異なると思うが、区の見解を問う。
【A9】「協働事業提案制度」は、NPOや市民活動団体が、自ら企画した事業を区に提案するのに対し、「行政サービス民間事業化制度」は、NPOのほか民間企業や任意団体などが、区の既定事業を対象に民間事業化を提案するという点で異なるものである。
【Q10】○協働事業提案制度は、本年度で終了するが、提案者、行政双方に課題をかかえたままの終了となってしまうのではないか。
○協働事業提案制度の3年間の総括は、行政だけでなく、NPO等事業者側も含めて行い、民間事業化提案制度との関係も整理すべきと考えるが、その予定はあるのか。
【A10】協働事業提案制度は3年間のモデル事業として実施してきたものだが、すでに多くにの団体が主体的な活動をしている中では、その役割は一つの区切りの段階にきていると考えている。民間事業化提案制度において、こうしたNPOや種々の団体、さらに民間事業者を含めた幅広い立場の方々が創意ある発想で公共サービスを担って頂きたいと考えている。
【Q11】市民が事業化する公共サービスが、行政と対等の立場で共存し、新しい公共を創造する一端を担うことが本物の自治モデルと呼ぶにふさわしいと考えるが、区はこれをどのように進めていくのか。
【A11】区民自身が暮らしやすいまちをつくっていくためには、区民自らがNPO等を立ち上げ、公共サービスを主体的に担うことは大切なことである。そのために、区は、すぎなみ地域大学やNPO支援センターを設立しているところである。
(3)
教育基本条例について
【Q12】「有識者から広く意見」というが、どんな人物を想定しているのか。意見聴取の場を制定するのか。従来のように案文ができあがってからパブコメをかけるのでは区民の賛同が得られないと思うが、どう進めるのか。
意見を聞いた結果、「条例は不要」となればつくらないという決断があって良いと思うが、見解は。
【A12】有識者の選定や意見聴取の方法については、現在検討中である。パブコメについては、条例案として作成したものを示すのが基本と考えている。
条例制定については、必要な取り組みと考え、広く意見を聞きながら総意としてまとめるよう努力をしていく。
1.和田中の「私塾との連携」について
【Q13】地域本部の活動に区は助成金を出している、金額は。区と地域本部のかかわりは。区はどのように指導していくのか。
地域がやることであれば今後他の学校でも私塾との連携はありうるのか。
学校運営協議会ではどのような議論がされたのか。
【A13】まず、財政支援についてだが、教育委員会は、活動計画書等を確認した上で毎年度運営費として50万円を限度に支給している。
学校支援本部は学校との間で協定を結び、校長の承認のもと様々な学校支援活動を行なう。教育委員会は、実績報告書により学校支援本部の活動を確認し、必要な助言を行なう。
他の学校支援本部でも私塾との連携については、学校支援本部で議論され、実施に関して校長の承認があれば、和田中以外の学校支援本部でもこのような連携はありえると考える。
最後に和田中の学校運営協議会での議論だが、11月の学校運営協議会において地域本部によるこのような事業について意見交換が行なわれたと聞いている。
【Q14】なぜサピックスか。公平を期して入札など複数の塾から選ぶべきではなかったか。公平性に問題はないのか。
サピックスと覚書を交わしたというが、法的拘束力、契約期間、責任者は。3月までを試行期間としているが、3月末で終了ということがあり得るか。
テレビ報道で生徒の顔が映っていたが、個人が特定できないよう配慮されるべきではなかったのか。
夜スペは公教育の場に機会の不均等と分断を持ち込むことになってしまっている。区の認識は。
【A14】提携先の選定に係る公平性については、今回のような提案が他にはない中で、地域本務が提案内容を検討し、当該の私塾と連携にしたという経緯なので、やむをえないものと受け止めている。
覚書については、地域本部の事務局長を責任者として結んでおり、契約として法的な効力がある。契約期間は、試行期間である今年3月31日までとされており、4月以降については試行を踏まえ、改めて覚書を結ぶこととされている。
テレビ報道については、それぞれの報道機関の責任で保護者等の了解を得て放映しているものと理解している。
和田中地域本部ではこれまで、土曜日学校を中心に、さまざまな補習活動などを実施し、約6割の生徒が参加している。今回の取り組みは、そうした実績のうえに新たな学習機会を設けるものであり、事業の全体を見て、評価していただきたい。
【Q15】○公教育が生徒一人ひとりの能力を活かせないでいることの問題が指摘されているが、区の認識は。○受験技術の獲得に力を入れるより、人格の形成をめざすことが目的であるはず。公教育はどうあったらよいのか、これを機会に議論を深めることが必要ではないか。
【A15】社会環境の変化の中で、公立学校が以前に比べさまざまな課題を背負い、そのことが少なからず生徒の指導に影響していると認識している。こうした状況を踏まえ、教員の指導体制を量と質の両面から強化する一方、学校支援本部の設置等、地域の力に支えられた学校づくりに努めている。
公教育のあり方について、一人ひとりが個性や能力を発揮し、生き生きと活躍することができるよう、必要な生きる基礎を培い、基本的な資質を養うことが、公教育の役割であると考える。そうした役割を果たしていくには、社会の変化に柔軟に対応し、さまざまな試行や創意工夫、改善を進めることが必要であり、前向きな考えを出し合いながら合意形成を図ることは有意義なことと考えている。