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一般質問と答弁 2016.5.31 奥田雅子
【Q】 ●この20年余りの間に、阪神淡路大震災、新潟県中部地震、東日本大震災、そして今回の熊本地震と大きな規模の地震災害が発生しています。震災対策は、待ったなしの課題であり、田中区長は「首都直下地震は必ず起こる」との認識を示され、震災対策を積極的に進めています。改めて、熊本地震を含め過去の地震災害から何を学び、活かしていこうとされるのか伺います。
【A】 我が国は、地理的条件から世界の中で、自然災害に見舞われる割合は非常に高く、被害も甚大です。区の喫緊の課題である首都直下地震への対策に、災害の教訓から学び活かしていくことは大切であると強く思います。熊本地震からは、震災救援所の代替施設や物流対策の複線化など、どのような災害が発生した場合にも対応できるような、第二・第三の策を備える事が大切であると改めて感じました。
阪神淡路大震災では、翌日に現場に赴き目の当たりした状況は、鮮明に今でも記憶しています。大都市直下の地震により、多くのビルや住宅が倒壊し、その後の電気火災等による延焼により大きな被害をもたらしました。
東日本大震災では、地震発生後の津波、原子力発電所事故により広域で被害が発生しました。発災直後は、通信手段も途絶え、混乱が生じており、こうした時にこそ「助ける事のできる自治体が被災地に対して迅速に支援の手を差し伸べる」基礎自治体間の水平的支援が有効な手段となりました。この経験から、迅速な支援を躊躇せず行えるように法律改正を求め、全国からの要請となり、災害対策基本法の改正に結びつきました。
その後、自治体スクラム支援会議において、相互支援の条例を同時に制定し、災害時の関係強化を図っています。
この災害の教訓から「3.11を忘れない」を合言葉に、減災の視点に立ち防災対策を積極的に進めてきました。災害に備えることで、いざ発生した時の被害を最小限に留める事ができ、その後の応急対策にかかるコストを抑え、復旧復興のスピードアップにも繋がると考えています。
今年度は、首都直下地震で最も人的物的被害が想定される、電気火災対策としての感震ブレーカーの設置支援や、狭あい道路拡幅整備、物資の受援計画を策定します。震災対策を直実に、スピード感を持って進め、全力で取り組んでいきます。
【Q】 ●区の震災救援所の収容人数は。また、震災救援所に来る人はどのくらいを想定しているのか。さらに、帰宅困難者の想定人数とその対策について伺う。
- 震災救援所で物資がいきわたらない人が多数発生すると思われるが、炊き出しなどは多様な主体が多用な場所で実施できるように、また物資の配布にコンビニとの協定を締結するなどの必要があると思うが、見解を伺う。
- 震災救援所運営連絡会を「目的意識をもって主体的に活動する組織」として機能させることや、既に主体的な取り組みがなされている団体の活動を伝播させていくための工夫や支援が必要と考えるが、見解を伺う。
- 震災救援所に女性リーダーを増やすことが必要である。そのための育成や研修会が必要と考えるがいかがか。
【A】 震災救援所の収容人員は9万4千人で、避難生活者数は、最大で約11万5千人です。約2万1千人上回りますが、補助・代替施設の22か所で、収容可能と考えます。
区内の帰宅困難者は、最大約9万3千人と見込まれる中、行き場のない帰宅困難者は、約1万8千人と想定されています。現在、区立施設や民間事業者の施設を一時滞在施設として9箇所指定しており、備蓄品の購入助成を行っています。
被災された方々への食糧や生活物資の配布、情報提供の拠点が震災救援所です。コンビニでの配布は、利便性がある反面、欠品などが生じた際には、混乱を招く恐れがあるので、今後の検討課題です。なお、物資を震災救援所で受け取ることが困難な要配慮者等の方々へは、ボランティア等の力を借りて個別に配布していきます。
震災救援所運営訓練では、年1回以上、連絡会が主体となって企画・立案して、中学生レスキューによる安否確認など、地域の特性にあった訓練を実施しています。訓練内容は、毎年5月に開催される会長・所長会の中で、重点訓練項目を提示する際に、特徴的・先進的に取り組んでいる活動事例を紹介する等、救援所の運営を後押ししていきます。
女性リーダーを増やすために、女性の視点を取り入れた震災救援所運営管理標準マニュアルを改定し、参加促進に努めています。今後も養成講座を開催するなど、多くの女性にリーダーとして参加してもらうよう工夫していきます。
【Q】 ●エコノミークラス症候群に対してどのような対策をお考えか伺う。
【A】 エコノミークラス症候群は、前兆が外見から判断できない上、発症すると突然死をもたらす非常に恐ろしい疾患です。現在も、熊本県の被災地から被害の情報がきていますが、区も、各震災救援所に配布している「避難者の健康管理マニュアル」の中で、適度な水分補給と運動をすることを周知すると定めているほか、ラジオ体操を取り入れた対策の実例を紹介して、エコノミークラス症候群の注意喚起をしています。
また災害時には、区災害対策本部医療救護部の保健師や医療ボランティアによる震災救援所の巡回を通して予防活動を行うなど、エコノミークラス症候群対策に力を入れていきます。
【Q】 ●震災救援所での避難生活においてもプライバシーの確保が大事である。保管スペースなどの問題もあると思うが、プライバシーを確保するため、テントの活用をすすめるべきと考えるがいかがか。
- 熊本地震直後に内閣府が避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインを公表した。また、国交省も3月にマンホールトイレのガイドラインを作っているが、これを受けて今後、区はトイレの確保量の対策をどのように考えていくのか伺う。
【A】 震災救援所となる体育館では、プライバシー保護と犯罪抑止の観点から立つと人から見え、座ると人から見えなくなる高さのダンボール間仕切りを採用しています。保管場所や経費の点でも体育館の中でのテント使用は考えていません。また、屋外での使用に関しても、校庭は物資の受け入れ、ペットの飼育場、トイレの設置等様々な活用が想定されているので、テントの使用は考えていませんが、熊本地震の検証を注視していきます。
現在、各震災救援所に、国基準の避難者75人に1基の目安を上回るマンホールトイレ10台、ペール缶トイレ3台、簡易トイレ20台を備蓄しています。平成26年度から備蓄を始めた不織布毛布のダンボール箱は、簡易トイレに転用が可能で、1救援所あたり40台追加の設置可能です。今後も学校改築の際に、敷地内にマンホールトイレを新たに5台から10台設置していきます。
【Q】 ●防災公園の桃井原っぱ公園や柏の宮公園などにあるかまどベンチやかまどスツール及び災害時トイレは、当区においては大災害が発生した時にだけ使う道具だが、周辺地域の人がそれらの道具を普段から使っていくことがそもそも訓練になると考える。当区においても、かまどベンチ、かまどスツールなどが設置されている公園で、防災会や町会、学校などが行事で使えるしくみを整えていくべきと考えるが区の考えを伺う。
- 現在は4か所の公園に設置されているかまどベンチやかまどスツールだが、今後、必要になるであろう場所を選定して配置していくことが必要だと考えるが区の考えを伺う。
【A】 桃井原っぱ公園や柏の宮公園では、公園の計画づくりを区民とともに行う中で、災害時にかまどベンチ、かまどスツールを活用するため設置しました。災害時の際の性能への支障のない範囲で、普段の訓練で活用できるよう対応します。
近年、大規模な公園整備の際には、防災機能の向上の観点から、かまどベンチ、かまどスツールを設置してきました。また現在、整備を進めている都市計画下高井戸公園でも設置予定です。 規模の小さい公園をはじめ既存公園では、公園改修時などを捉え、防災に関する区民要望に合わせて、かまどベンチ、かまどスツールの設置を進めていきたいです。
【Q】 ●東京都公園協会と区との協定について、その目的、主な内容と協定で期待することは何か伺う。
【A】 本年3月30日に東京都公園協会との間で、大規模災害発生時に都立和田堀公園、善福寺緑地において避難者の安全確保及び支援等を迅速かつ的確に行うことを目的に「災害時の避難場所等における連携・協力体制に関する協定」を締結しました。主な内容は、協会が発災時に区と連携して行う被災者支援や平常時からの連携体制、近隣住民を含めた防災訓練や意見交換会の推進に関することです。本協定により、区と協会との連携・協力体制がより強固なものになり、平常時における防災訓練や防災意見交換会の実施で、地域の防災力の向上が期待できると考えます。
【Q】 ●区立施設防災井戸や民間で「生活用水井戸」としての登録は何か所あるのか。
- 震災用井戸の役割は何か。また、いざという時にどのように機能するのか。
【A】 平成27年度末現在、登録井戸は、区立小・中学校65か所、区立施設35か所、民間の井戸が355か所、防災兼農業用井戸が9か所です。
活用方法は、停電時にも利用可能なことから生活用水として、トイレの水洗水や洗濯等に利用します。
【Q】 ●災害時に必要なものとして乳幼児の粉ミルクがあるが、粉ミルクにはお湯や哺乳瓶が必要となる。そのまま飲ませられる液体ミルクが注目されてきているが、国は乳幼児用に液体ミルクを認めていない。区は液体ミルクについてどのような認識か伺う。
【A】 液体ミルクは、厚生労働省令で国内での製造・販売が認められていないため、備蓄品としては考えていません。今後、法令等が改正された際には、備蓄品の入替えの機会を捉え、検討、見直しをします。
第2回定例会一般質問 2016.5.31 奥田雅子
いのち・平和クラブの一員として、
直下地震で生き延びるための備えについて、具体的には
1.熊本地震から区が得たもの
2.震災救援所の運営について
3.エコノミークラス症候群の回避について
4.公園の機能を使いこなすために
5.震災用井戸の活用について
6.液体ミルクの導入について
以上6つの項目に沿って質問してまいります。
熊本が、2回もの震度7の激しい揺れに見舞われてからひと月半が経ちました。地震によって亡くなられた49人および関連死が疑われる20人の方々のご冥福をお祈りするとともに行方不明おひとりの方が早くご家族の元に戻れることをお祈りいたします。
最初の地震発生以降震度1以上の余震回数は1500回を超え、5/25の熊本県の発表では一連の地震で被害を受けた住宅は10万棟を超えたとのこと。未だ避難生活を強いられている方は9000人近くおられ、一日も早い復興を願うばかりです。
東京でも、30年以内に70%の確率で直下地震が発生すると2013年末に内閣府が発表しました。この20年あまりの間に起きた震度7クラスの大地震は、阪神淡路大震災、中越、中越沖地震、東日本大震災、そして熊本地震があります。私たちはこれらの地震から学び、生き延びていくには行政ばかりを頼るのではなく市民が積極的に自助・共助の備えにかかわっていく必要があると考え、その視点で質問いたします。
最初の質問です。
1-1.)田中区長は「首都直下地震は必ず起こる」との認識を示され、待ったなしの課題として、これまで区の施設の耐震化などを着実に進めてこられました。今年度予算編成の重点分野においても「減災対策等の充実による地域の安全・安心の拡大」を打ち出しておられます。この間、数年ごとに起きている大地震の度に区は自らの対策について検証を重ねてこられたと思いますが、今回の熊本地震も含め、改めてこれまでの地震災害から何を学び、活かしていこうとされるのか伺います。
次に2.震災救援所運営について4点お聞きします。
杉並区では大震災に備え、各小中学校65ヶ所に震災救援所を設置することを定め、その運営は防災会、PTA、学校、区などのメンバーにより構成される震災救援所運営連絡会が担うこととしています。その震災救援所は倒壊などにより自宅で生活ができなくなった人の受入れ場所としていますが、実際のところはどうでしょうか。熊本地震では自宅が全壊していない人も頻発する余震が怖いという理由で避難所に避難していました。そして避難所に入ったとしても、続く余震で建物の中に居られない多くの人が、自動車やテントの中で暮らすことを選択していました。
一方、運営はというと各震災救援所運営連絡会では、いざという時のために救援所の円滑な運営を行うためのマニュアルづくりや防災訓練を実施しています。しかし、想定通りにいかないのが大規模災害です。避難所運営において臨機応変な対応ができるようにするには、おおぜいの地域住民が主体的にかかわっていく意識を平時から醸成していくことがとても重要だと考えます。
1-2-1.)そこで、当区の震災救援所の収容人数と、実際に震災救援所に来る人はどのくらいと想定されているのか、また、帰宅困難者の想定はどのくらいで、その対策はどのようになっているのか、お聞きします。
1-2-2.)2点目として救援物資の供給体制についてです。震災救援所マニュアルではでは救援所に来た人に名前や年齢などを書いてもらい、避難者人数を災害対策本部に報告して救援物資を要望するという流れになっています。具体的には、発災後1日目は震災救援所で備蓄しているアルファ―米やクラッカーなどでしのぎ、2日目以降は都からの救援物資が搬入され、4日目ごろから炊き出しを始め、炊き出しの材料や救援物資の供給を「行政が行う」ことになっています。しかし、実際には物資がいきわたらない人が大ぜい発生することやまたその逆に物資を余らせるようなこともあろうかと思います。そこで、もっと柔軟な考え方のもと、炊き出しなどは多様な主体が多様な場所で実施できるように、物資の配付を例えばコンビニとの新たな協定によって対応していくことも必要だと考えますが、区の見解を伺います。
1-2-3.)被災者の避難状況の確認や物資の配付などにおけるきめ細かな対応には、町内会や商店会、PTA、民生委員などの地域組織が頼りとなります。日頃から防災に関心がある地域住民やすでに自主的に防災訓練や災害時の研究を行っている地域の活動団体を巻き込んで、地域組織と協力関係を作っておくことが大事だと考えます。東京都が認定する共助のしくみとして「防災隣組」の事業があり、杉並区内の町会や防災会、震災救援所運営連絡会、大型マンションでの管理組合防災会など7つの組織が認定を受けています。これらの事例を共有していくことも必要ではないでしょうか。
そこで、3点目の質問として、震災救援所運営連絡会を「目的意識をもって主体的に活動する組織」として機能させることや、すでに主体的な取組みをしている団体の活動を伝播させていくための工夫、支援が必要と考えますが、区の考えを伺います。
1-2-4.)4点目は生活者ネットワークがかねてより主張してきた女性の視点からの質問です。救援所の運営はリーダーの力量に左右されるとこれまで起きた大震災のたびに言われてきました。区が毎年行っている防災リーダー養成講座の役割は大きいと考えますが、特にここで指摘しておきたいのは、震災救援所に女性リーダーを増やすことの重要さです。この間、高齢者、障がい者、女性、子ども、外国人など災害弱者に対する配慮が重視されるようになってきたと思いますが、熊本地震の避難所においてもまだ十分ではなかったと聞いています。女性がリーダーとして震災救援所を運営するにあたって、管理・企画立案、リーダーシップの取り方などの研修も重要だと考えます。目的意識的に女性リーダーを増やすこと、そのための育成や研修が必要と考えますが、いかがか区の考えを伺います。
次に3つ目の項目
3.エコノミークラス症候群の回避について 3点お聞きします。
当区では学校や公共施設の耐震化は進んでいるとはいえ、先に述べたとおり余震が怖くて半壊、一部損壊であっても避難所生活を送る人がかなりおおぜいになります。過去の大震災でも問題とされたエコノミークラス症候群はトイレが汚い、数が少なく長時間並ばなければならない、行くまでが大変、男女別の不備などの理由でトイレに行く回数を減らすために水分を控えたり、また、車中泊により足を伸ばして寝られない状況であったりすることで起きる身体の症状で、命の危険を伴います。せっかく地震で助かった命を避難生活で落とすことがあってはならないと考えます。
1-3-1.)そこで、区はエコノミークラス症候群に対してどのような対策をお考えか、1点目として伺います。
1-3-2.)2点目。震災救援所では、家族ごとに段ボールのパーテーションで仕切りがされればまだよい方で、プライバシーはないに等しいような暮らしを強いられることになりますが、プライバシーの保護は人の尊厳にかかわる問題です。その点、キャンプ用のテントはプライバシーの確保に適していることに加え、足を伸ばして寝られるということで、熊本地震でもテントの活躍が目立っていました。保管スペースの問題もあるとは思いますが、震災救援所でのテントの活用を進めるべきと考えます。区の見解を伺います。
また、避難所を学校だけに頼るのではなく、発災直後の段階からテント村として大規模公園などを活用することを検討し、公園を利用する計画を入れていただきたいことを要望しておきます。
1-3-3.)3点目として、エコノミークラス症候群を回避するためのトイレ対策の重要性についてです。阪神淡路大震災では健康被害や衛生環境の悪化、精神的ストレスを引き起こすトイレの問題が浮き彫りとなり、大震災が起きるたびに災害時のトイレの確保は重大な課題と捉えられるようになりました。
熊本地震の直後に内閣府が「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を公表しましたが、国交省もそれ以前の3月に「マンホールトイレのガイドライン」をつくっています。避難生活を支援する行政が取り組むべき事項の内、トイレの確保と管理に関して指針を示したものですが、これまでの大震災における課題を踏まえたトイレの確保・管理に関する基本的な考え方がわかりやすく示されていると感じました。利用する人の状態によってトイレのあり方も変わってくるため、ニーズに対応した備えも重要です。このガイドラインを受けて今後、区はトイレの確保量の対策をどのように考えていくのか、お聞きします。
次に
4 震災時における公園の機能を使いこなすことについて3点の質問をいたします。
防災公園の桃井原っぱ公園や柏の宮公園などにあるベンチやいすの座面を外すとかまどになるかまどベンチやかまどスツール、災害時トイレは当区においては大災害が発生した時に使う道具として設置されており、平時に使うことはないとしています。しかし、周辺地域の人がそれらの道具の存在を知っていること、普段から使っていくことが訓練という意味では重要ではないかと考えます。豊島区に住民が平素から使っているかまどベンチやかまどスツールがあると聞き、見てきました。池袋の繁華街から少し離れた住宅街にある公園や児童遊園にかまどベンチ、かまどスツール、調理台一体型の炊事場、井戸などを設置し、普段から町会などが使いこなしていました。
1-4-1.)当区においても、かまどベンチ、かまどスツールなどが設置されている公園で、防災会や町会、学校などが行事で使えるようにするべきと考えますが区のお考えを伺います。かまどスツールは一度使うと熱で表面の塗装が剥げてしまうつくりになっています。豊島区の担当者は「剥げてもいいんです。いざという時に地域の方が使える環境をつくるのが自分たちの仕事です」とおっしゃったのが印象的でした。ぜひ、前向きな答弁を期待します。
1-4-2.)2点目、現在は、桃井はらっぱ公園、柏の宮公園のほか三井の森公園、西荻窪平和児童遊園の4か所の公園に設置されているかまどベンチやかまどスツールですが、今後たとえば、出火の危険性が高いと予想される地域の外側で、設置が有効と判断される公園に配置していくことが必要だと考えますが区の考えを伺います。
1-4-3.)3点目は、今年3月の予算特別委員会で、災害時における東京都公園協会と
杉並区との連携・協力体制について質問しました。都立公園と連携していくとの答弁
をいただきましたが、まだ具体的に決まっていない時期でしたので改めて、財)東京
都公園協会と杉並区との協定について伺います。この協定の目的、主な内容、この
協定で期待されることは何か伺います。
なお、要望を2点申し添えておきます。
ひとつは、地域の小学校のPTAなどが行う地域活動として、都立公園の中にある災
害用の道具であるかまどベンチや災害時トイレを、使ってみようという企画を立てた場
合のことについてです。都立公園のサービスセンターがその受け皿になっています
が、区としてこのような区民の動きを把握することも必要かと思います。また、せっかく
備えてある都の設備を区民が積極的に使う機会を得られるよう区からも情報発信して
いただけると良いと思いましたので、東京都公園協会との協定に基づいてしっかり実
態をつくっていってほしいと要望いたします。
もう一つの要望は、都立公園、区立公園、公共施設や駅前広場に植えられている樹木についてです。東京都が災害時の火災による危険性が高いとしている地域に、燃えやすい樹木であるあけぼのすぎ(メタセコイヤ)やヒマラヤスギなどが植えられています。特にヒマラヤスギはものすごい勢いで燃える樹木だと聞きます。しかし緑の保全という観点から言えば、伐ってしまうのではなく、延焼を防ぐ装置(放水銃)の設置の検討が必要ではないでしょうか。蚕糸の森公園には放水銃が5基、樹木スプリンクラーが25基設置されています。他にも井草の森公園や馬橋公園などにも防火装置が備えてあります。これらの装置は防災公園や一時避難所、広域避難所、都立公園などすべてに対策がとられていないため、大きな避難所周辺や震災救援所となる学校や区役所周辺の植栽についても必要な対策を検討していただきたいと要望いたします。
次に5つ目の項目、
5.震災時の井戸の活用について2点質問いたします。
地域の中の「震災時の井戸協力の家」の情報が杉並区防災マップにも載っていません。個人情報の観点からそういうことになっているのでしょうか。震災時の井戸の活用について区民にはあまり知られていない状況ですが、実際水道がストップした際に生活用水として井戸は役立つと思われ、改めて地域防災における位置づけを確認する必要があると感じています。
1-5-1.)まず、区立施設防災井戸や民間で「生活用水井戸」としての登録は現在何か所あるのか、伺います。
1-5-2.)これらの震災用井戸の役割はなにか。また、いざという時にどのように機能するのか、お聞きします。
6つ目の項目の質問です。
6.液体ミルクの導入について伺います。
1-6.)災害時において必要度の順位が高いものとして乳幼児用の粉ミルクがあげられますが、粉ミルクは消毒・調乳するためのお湯や哺乳瓶などが必要となります。それに対して、そのままで飲ませられる、常温で保存がきく液体ミルクがあれば災害時にどんなに助かるでしょうか。東日本大震災ではフィンランド在住の日本人女性らが14000個の液体ミルクを被災地に送り、先ごろの熊本地震でも国会議員のグループが緊急輸入し注目を集めました。4年前、当議会生活者ネットワークが国の動向を注視して区としても液体ミルクを災害時の備品に入れるよう要望しておりますが、現在もまだ、国は乳幼児用の食品を「粉乳」と限定しており、液体ミルクは認められていません。したがって、国内での製造・販売もされていないため、個人輸入などで手に入れるしかない状況です。ただ、ここへ来て国での議論が始まったようで期待したいところです。区は液体ミルクについてどのような認識を持っておられるかお聞きします。
質問の最後に、「事前復興」の考え方について述べておきたいと思います。「事前復興」とは、近い将来、大震災で壊滅的な被害がわかっているのであれば、それを前提に事前に復興まちづくり計画を作り、まちづくりを今から進めるというものです。市民・専門家・行政の日常的な交流・学習・シミュレーション活動の実践をもとに、発災する前に復興を視野に入れて計画を立てることになります。自助・共助・公助の連携で、事前から事後へと連続する「災害総合対策機能」を確立していくことが必要だと考えます。ぜひとも事前復興という観点から地域住民主体の復興計画づくりをすすめていかれることを要望し、私の一般質問を終わります。
代表質問と答弁 2016.2.12 そね文子
【Q】 ●区長は、成人式の祝辞で「戦後、選挙権が一部の高額納税者から男女全ての国民に拡大したこと、戦争体験の中からつかんだ平和の尊さを考えてほしい」と新成人に訴え感銘を与えた。参院選の争点に憲法改定がすえられ、戦後の在り方が大きく変わろうとしている今、立憲主義と憲法の意義について区長の見解を伺う。
【A】 憲法は国家権力から個人の基本的人権を守るために存在する一国の最高規範であり、国の形を示すものです。そして、政府の統治が最高規範である憲法に基づき行われることが立憲主義であり、このことは国民の中にしっかりと根付いていると考えます。
【Q】 ●戦後70年を超え戦争体験者の風化が進む中、杉並区の平和施策についての区長の見解と取り組みを伺う。
【A】 高齢化により戦時中の状況を知る方が減りつつある中で、空襲、疎開、戦時中の生活など戦争の実態に迫る証言を区民から広く集め、貴重な資料として後世に語り継ぐことが重要です。区では戦後70年事業として、戦争戦災証言記録集を今年度内に発行します。また、被爆者の方による、小中学校における出前授業を実施し、悲惨な戦争戦災体験を風化させず、若い世代に語り継いでいきます。
【Q】 ●辺野古新基地建設をめぐり沖縄県を国が訴え、戦後憲法が規定した地方自治が問われている。自治体と国の対等な在り方について区長の見解を伺う。
【A】 地方自治体の役割は、常に住民の視点に立って、地域の課題解決を図り、不断に住民福祉の向上を図っていくことです。一方国の役割は、外交、安全保障、司法など国家としての存立に関わる責務を果たしていくことです。
私は、地方自治体と国がそれぞれに本来の役割をしっかりと担いながら相互に協力し、互いに胸襟を開き言うべきことは言うなど、対等・協力の立場に立って社会をより良い方向へと推し進めていく姿こそ、地方自治体と国のあるべき関係だと考えます。
【Q】 ●震災直後に南相馬市にかけつけ、友好自治体とスクラム支援会議を立ち上げ、災害支援の自治体の在り方について国に提言し、支援を継続して来た取り組みについて、総括と今後の課題を伺う。
●3.11の教訓から、自治体に課せられた課題について、区長の見解と課題、新年度の予算における具体的取り組みを伺う。
【A】 ほぼ5年にわたる南相馬市への支援を総括すると、第一に、基礎自治体間の水平的で迅速な支援が、大規模災害時には極めて有効と認識できたこと。この基礎自治体による支援は、発災直後の自治体スクラム支援会議の創設や災害時における相互支援条例の制定へつながりました。また、自治体スクラム支援会議の活動実績が、遠隔地への相互支援の推進などを内容とする、二度にわたる災害対策基本法の改正のきっかけとなりました。今後は、残された課題の災害救助法の改正に向けた取り組みを進めます。
第二に、遠隔地との相互支援は、予め相互の防災施策上の特徴や課題を理解した上で、各自治体の実情も踏まえた対策を準備しておくことが重要だと認識したこと。そのため、只今審議中の平成28年度予算に、受援計画策定に係る費用を盛り込み、検討を進めます。
【Q】 ●過半数の人が、原発に頼らない社会とエネルギーの在り方について望んでいる実態もある。太陽光発電など再生可能エネルギーの普及に引き続き区の積極的な取り組みを求めるがどうか。
【A】 東日本大震災の経験を踏まえ、災害につよく環境にやさしいまちづくりを進めていくうえで、再生可能エネルギーの普及は欠かせないものです。このため区では、学校や体育館など区立施設の改築にあたっては、太陽光発電機器を設置してきました。今後も改築時には、施設の状況に応じて対応します。
また、現在すべての震災救援所への太陽光発電機器等の設置を計画的に進めています。さらには、家庭用機器への設置助成を行い、この間の実績は23区トツプレベルになっています。引き続き再生可能エネルギーの普及に積極的に取り組んでいきます。
【Q】 ●PPSからの電力購入をさらに進めるとともに、更なる財政削減効果があげられるように、4月から実施される家庭用電力の自由化を機に、さらなる拡大を求めるが如何か。また、太陽光などの再生可能エネルギーを電源とする事業者を支えるためにも、そのような事業者から購入するよう求めるがどうか。
【A】 これまで小中学校などへの新電力の導入により財政削減効果をあげてきました。4月からの電力全面自由化では、全ての施設で様々な電力会社から電気の購入が可能となります。電力各社は、多彩な料金プランやサービスを提供していますが、区の施設に適した電気料金と契約形態、供給の安定性などに加え、再生可能エネルギーを電源とする事業者についても、比較検討の対象とすることで、経費の削減に努めつつ環境対策の推進にも配慮していきます。
【Q】 ●日本は2030年までに温室効果ガスを13年度比で26%削減する目標を掲げ、東京都はそれを上回る目標を打ち出している。これを受け、杉並区では温暖化防止に向けてどう取り組んでいくのか。CO2削減目標を設定しなおすべきと考えるが如何か。
【A】 昨年末、2020年以降の地球温暖化対策の国際的な枠組みである「パリ協定」が採択され、我が国は二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出量を、2030年までに2013年度比で26%削減すると表明しました。国は、この目標を着実に達成するため「地球温暖化対策計画」を早期に策定するとしています。また東京都は、現在策定中の「東京都環境基本計画」の中間のまとめで、都内の温室効果ガス排出量を2030年までに2000年比で30%程度削減する方向性を盛り込んでいます。
区としても、こうした国や都の計画策定の動向を踏まえ、住宅都市としての特性に基づく新たな目標値を設定し、地球温暖化対策に取り組んでいきます。
【Q】 ●区立施設再編整備計画を進めるに当たり、新施設建設の際の省エネ基準の設定はどうなっているのか。高い基準を設けるべきと考えるが、区の見解を伺う。
【A】 現在「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」の基準に基づいて施設の建設を行っています。高い基準を設けるべきとのことですが、建設コストと省エネ効果のバランスを考慮した上で、施設ごとに適切な省エネ対策に努めていきます。
【Q】 ●本庁舎では節電に取り組み、大きな成果を挙げているが、それに比べて学校や他の区立施設での削減は進んでいないようだ。区民サービスのための施設であるが、目標をもって節電に努めていただきたいが如何か。
【A】 区では「杉並区環境・省エネ対策実施プラン」を策定し、電力などのエネルギー使用量の削減の目標を掲げ取り組んでいます。本庁舎では、空調温度の適切な設定や熱源設備の更新などで、節電の成果をあげてきました。
また、そのほかの区立施設や学校では、高齢者、障害者、幼児など利用者の状況に応じて、区民サービスの維持・向上を図りつつ、目標を定め節電に取り組んでいるところです。今後とも、各施設で区民サービスに影響を与えないよう節電に取り組み、設備の更新時を捉えて省エネ化を進め、節電に努めます。
【Q】 ●施設再編整備の第1の柱に保育園待機児童ゼロを据えたことは評価しているが、0歳児をはじめ、依然として厳しい現状について区の認識と新年度における待機児童数の見通しについて伺う。
●田中区政になって、待機児童解消に向けた取り組みとして保育園増設による保育定員を拡充してきたことを評価する。これまでの取り組みについての総括と、今後の待機児童解消に向けた計画とその決意を伺う。
【A】 平成28年4月の保育所入所の一時利用申込者数は、出生数の増加や保育所入所を希望する方の割合の高まりを受け、過去最高の3,801人となりました。特に、0歳児では145人、1歳児で252人の大幅増加となり、平成28年4月の段階では、乳児を中心に、待機児童の解消に至らない状況です。
積極的に社会進出している女性が自分の選んだ仕事を続けながら、安心して子どもを産み育てられる社会環境を整備することは、人口減少社会に立ち向かう基礎的自治体として、最も重要な責務の一つであると考え、待機児童対策に全力で取り組んできました。
先ずは平成29年4月に向けて待機児童ゼロを達成することはもちろんのこと、当面保育ニーズは高止まりするとの認識の下、今後も手綱を緩めることなく計画的に施設の整備を進めていく決意です。
【Q】 ●区は、新たに多子世帯への保育料等負担軽減を行い、区独自の対策として、対象者の年収区分を国の2倍程度に引き上げるが、対象範囲を広げる目的と拡充による対象者の状況について伺う。
●また、すべての多子世帯への支援とはならず、対象とならない世帯からの不満が予想される。対象者数の把握状況とその対策について伺う。
【A】 現在、区内認可保育所に在籍している児童のうち、第3子以降は200人程ですが、今回、国が少子化対策の一環として打ち出した、保育料の無償化の対象となる年収360万円未満の多子世帯に該当するのは、そのうちの1割にも満たない程度に留まります。
そこで、少子化対策としての実効性を高めるため、平成28年4月2日以降に第3子が生まれた世帯を対象に、保育料の階層区分で中位にあたる国基準の約2倍程度の年収区分まで引き上げ、第3子以降の保育料を無料にすることにしました。
また、従来から区独自に行っている認可外保育施設等の在園児への補助金も同様の取り扱いをすることで、対象者はあわせて、初年度は約30人程度、4年後には約160人程度増えると見込んでいます。
この支援策は、総合戦略策定に向けて行った区民アンケート結果などをもとに、第3子を希望している方の背中を押すことを目的とするもので、対象を既に第3子以降の子どものいる世帯ではなく、これから第3子以降が生まれる世帯に限定しています。
【Q】 ●「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」少子化対策に向けた区の決意を伺う。
【A】 杉並区の末長い発展のためには、区外からの転入に頼らず、区自らが人口を維持・増加させる力を育てることが急務であると常々考えてきました。
区の子育て世代の現状を見ると、合計特殊出生率は0.99と東京都や全国平均と比べると低位にありますが、「杉並区まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定に向けた区民アンケート結果では、「希望する子どもの数」の平均は2.27人でした。そして、子どもを持つ場合の条件としては、「地域の保育サービスが整うこと」を挙げる人が最も多いという結果でした。こうしたことから、若い世代に対して、子育て支援を中心としつつ、結婚、就労、住宅などの支援に、民間事業者との連携を図りながら総合的に取り組むことを総合戦略の中で打ち出しました。28年度予算案の中にも、待機児童対策をはじめ、多子世帯に対する区独自の支援策やゆりかご事業の拡充など、妊娠期からの切れ目のない子育て支援の充実を盛り込みました。
今後も、将来にわたって持続可能な活力ある杉並区の実現に向け、若い世代が区に住み続け、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを進めていきます。
【Q】 ●特養待機者の解消に向けた取り組みの実績と、待機者の現状、その解消に向けた特養増設の計画はどうなっているのか。
【A】 特養整備は区政の最重要課題の一つであり、区長就任以来、積極的に取り組んできました。昨年度は、3か所の増・開設で161人の定員増を行い、計1,538床まで整備を進めましたが、急速な高齢化の進展の中、現在も約1,260人の方々が入所を希望しており、その内、約770人は優先度の高い方です。
高齢者の介護のため、家族が仕事をやめざるを得ない状況が発生するなど、特養待機者の解消は、喫緊の課題と捉え、スピード感を持って対応していく必要があります。
そのため、地域包括ケアシステムの構築に向けた本格的な取り組みを加速し、在宅生活の限界点を上げていくとともに、施設整備も、施設再編整備計画により生み出した区有地の活用をはじめ、国公有地の活用や南伊豆町との自治体間連携による区域外整備など多様な手法を用いて、総合計画に掲げる33年度末の目標数値である2,307床を確実に達成できるよう、全力で取り組みます。
【Q】 ●施設再編整備に児童館事業の拡充を求め、放課後の安全な居場所づくりを第3の柱に据えるよう求めてきた。計画の中に盛り込まれた取り組みと、今度の姿勢を確認する。
【A】 児童館の再編は、近年の利用状況の変化を踏まえ、学童クラブの小学校内への移転整備や、小学生の放課後等居場所事業の小学校内での実施などを進めています。この取り組みは、学童クラブの需要増に対応しつつ、児童の安全確保を図るなど「安全な居場所づくり」という視点からも、子どもたちの健全育成環境の充実につながるものと確信しており、今後も計画的に進めていきます。
また、これまで児童館が培ってきた地域との連携による伝統行事、多世代交流事業などを通じた地域づくりについても、児童館施設を活用して整備する「子ども・子育てプラザ」において、しっかりと継承していきます。
こうした取り組みを通じ、地域の中で多くの方に見守られながら、安全・安心に子どもたちが過ごし、成長していける居場所、環境づくりを着実に進めていきます。
【Q】 ●あんさんぶる荻窪と荻窪税務署との財政交換に至る過程で、区長が荻窪税務署の建替え計画を把握したのはいつか伺う。また、その建替えに区として待ったをかける要望書を国に提出した目的は何か伺う。当時は特別養護老人ホーム建設の具体的な方向は出ていなかったが、この段階ではどのような利用を考えていたのか、荻窪駅北東地域の再開発計画が現実にあったのかなど、その関連があれば伺う。
●その後、数年間事態が進まなかったのはなぜか。建替えを延期していた国からの問い合わせがいつあり、それに対して区はどのように対応したのか伺う。また、あんさんぶる荻窪との財産交換という手法を思いついたのはいつか、その理由とあわせて伺う。
【A】 区長就任時点で、既に国は、平成23年度から荻窪税務署の建替工事に着手すべく準備を進めており、平成22年10月に財務省から現地建替えの工事費予算を概算要求した旨の情報が入りました。
建替工事休止の要望理由ですが、老朽化した荻窪税務署を杉並税務署と一体的な建替えを行い、駅周辺に移転して税務行政の集約化を図れれば、跡地となる大規模用地を区が一体的に活用できる可能性が生じるため、国と協議したいと思ったからです。当時は新しい基本構想の検討を開始する時期であり、荻窪のまちづくりへの寄与という観点からも、拙速な現地建替えは避けるべきと判断し、要望書を提出しました。
その後、区では民間ビルの活用など様々な手法を検討しましたが、翌年の東日本大震災や建替えを巡って二転三転した方南町住宅問題への対応などに追われたこともあり、残念ながら基本構想、総合計画の策定までに国への具体的な提案を行うには至りませんでした。
なお直接の関連はありませんが、区が国へ要望書を出した同年12月、荻窪駅北口の東地域では、荻窪駅北口東地区市街地再開発準備組合が解散の決定をしたようです。
荻窪税務署用地の利用は、先ほど述べたとおり、跡地となる大規模用地を区が一体的に活用できれば様々な行政需要への対応が可能になると思いました。具体的な活用方法は、特養や保育園、まちづくりなどを想定していました。
区では、具体的な提案ができなかった後も、国に対して区民サービスの向上、税務行政の効率化につながるような建替えの可能性を共に模索してもらいたいと伝えていましたが、平成25年7月、国から首都直下地震の発生危機が高まる中で、耐震上の課題がある荻窪税務署の建替えをこれ以上先延ばしにすることはできないとの回答がありました。
この時、区では施設再編整備計画(素案)の中間のまとめを検討している最中であり、区の喫緊の課題である特養ホーム整備のための大規模用地の確保と荻窪税務署の区民サービスの向上につながる効率的・効果的な建替えという二つの課題を同時に解決する方策として、この財産交換の提案を行いました。
【Q】 ●国家公務員宿舎跡地だけで特別養護老人ホーム建設は可能であり、あんさんぶる荻窪との交換はしなくてもできたという意見があるが、それは可能であったのか伺う。また、6,000㎡を超す区内の広大な用地の取得は、区内では他にもあったという意見があるが実態はどうか伺う。
●国との財産交換の交渉に入った過程で、議会に対する説明をいつどのように行ってきたか伺う。また、地元住民に対する説明をどのように進めてきたのか確認する。
【A】 当該用地は、当初から国が自ら活用する財産として位置づけられており、区への活用照会の対象からは除外されています。仮に活用することができたとしても、その広さ・形状は国の計画次第となりますし、この大規模用地を一体的に取得・活用できることが、将来にわたって区の貴重な財産となり、大きな意義があります。従って当該用地を確実に活用し、区民福祉の更なる向上を図るためには、財産交換が唯一の手段です。
また、議会や区民への説明は、麻生財務大臣と財産交換の協議を進めることを合意した直後の平成25年第4回定例会で経過を説明し、さらに平成26年1月の「区立施設再編整備計画(案)」を策定したタイミングでも説明しました。
また、地域への説明は、素案および案の公表後に、主に荻窪地域の住民を対象とした地域説明会を旧若杉小学校で開催するとともに、荻窪地区町会連合会や荻窪地域区民センター協議会、桃井第二小学校評議員会の方などに対し、個別に計画素案および計画案についての説明を行う中で、国との財産交換についての説明もあわせて行ってきました。
次に区内で6,000㎡を超える用地取得の可能性ですが、国家公務員宿舎の跡地として、方南町住宅と高円寺住宅の跡地が6,000㎡を超えています。しかし、方南町住宅は、東日本大震災後の国の方針変更により最終的に廃止となったことを受け、地元住民の要望をかなえるよう、区が国に働きかけ、ファミリー向けの集合住宅や集会室、広場等を整備することになりました。また、高円寺住宅も周辺が木密地域で、かつ防災性を備えた馬橋公園の隣地であることから、公園の拡張用地として取得したい旨、国に要望しています。
従って、区が6,000㎡を超える用地を活用できる可能性は、財産交換による荻窪税務署等用地の取得以外にはありません。
【Q】 ●相談窓口に行きつかない生活困窮者への対応として、アウトリーチが必要だと考えるが、区の見解を伺う。
●生活困窮者は、税金や保険料の滞納など複合的な問題を抱えることが多く、分野を超えた様々な機関との横断的な連携によって問題解決を図ることが必要だと考えるが、区の見解を伺う。
【A】 昨年4月に生活自立相談窓口「くらしのサポートステーション」を開設し、生活困窮者を対象として、生活全般にわたる総合相談により包括的・継続的な支援を行っています。
複合的な問題を抱える生活困窮者を早期に把握し、支援につなげていくためには、必要に応じて訪問支援等のアウトリーチを行うことは重要なことです。このため28年度からは相談員を1名増員するなど支援体制の強化を図り、アウトリーチによる相談を充実していきます。
また、関係部署と連携を密にすることで、より多くの生活困窮者を早期に発見し、適切な支援につなげられます。これまでも税や国保など各種窓口との連携に努めてきましたが、今後も関係部署・機関が参加する「自立支援調整会議」をはじめ、職員説明会や各分野の支援事業の活用など、横断的な連携・協力体制のもと効果的な自立支援に取り組んでいきます。
【Q】 ●住宅扶助費の削減や単身世帯の床面積別基準額の明確化による転宅指導によって、個々の状況にどのような変化があったか。
●高齢者二人世帯などは、転宅が必ずしも良いことではないと思われるが、その場合にどのような配慮を行っているのか。
●当事者の現状に寄り添った対応を求めるが、区の見解は。
【A】 今回の改定により単身者の場合では、狭小住宅から広い住宅に転居した例や風呂付等に転宅できたなど、住環境の改善が図られる一方、二人世帯については転宅先が見つかりにくいなどのケースもありますが、生活の維持に支障が生じないよう、必要な経過措置等を講じています。また、高齢者や車椅子使用の障害者などへは、世帯員の状況、当該地域の住宅事情により、特別基準額を適用するなどの配慮をしています。
今回の改定により基準額を超過する世帯に対しては、担当のケースワーカーが個別に説明し、改定の主旨を理解していただきながら対応しています。今後も受給者の生活状況を的確に把握し、個々の事情に応じた配慮を行い、受給者の良好な住環境の確保に努めていきます。
【Q】 ●区が子どもの貧困の連鎖を断ち切るために、様々な施策を行っていると認識しているが、具体的な目標をもって取り組むことも必要だと考える。区は、どのような目標をもって施策を進めようとしているのか伺う。
●子どもの貧困を家庭だけの問題にせず、社会全体で支援していこうという市民レベルの無料学習支援や子ども食堂などの実践が広がっている。区民への情報提供や活動を後押し、支援する取り組みが求められていると考えるが、区の見解を伺う。
【A】 国は、子どもの貧困対策を推進することで、貧困の連鎖により子ども達の将来が閉ざされることなく、全ての子ども達が夢と希望を持って成長していける社会の実現を目指しており、区も同様の認識で取り組んでいます。
区では、生活困窮者自立支援法に基づく子どもの学習支援事業として「中3勉強会&アドバンス」をあんさんぶる荻窪で実施していますが、区内各地域で支援の輪を広げていくことが必要です。今後は、民間団体による子どもの居場所づくり・学習支援などの活動が、より多くの地域で展開できるよう、民間との連携・協働による取り組みも視野に入れながら、効果的な支援策の検討を進めていきます。
【Q】 ●新年度に「寡婦(寡夫)控除のみなし適用」を実施するにあたり、対象を保育料等とした考え方について確認します。
【A】 今回の寡婦控除のみなし適用は、公営住宅法施行令の改正などの環境の変化があったことから、ひとり親家庭への子育て支援とひとり親家庭間の格差の解消の観点から実施するものです。
区が適用の判断を行うことが可能で、児童を対象とした使用料等、保護者が複数年度にわたり継続的な負担を伴うものを対象とすることを基本的考えにおき、精査した結果、保育料等を適用対象としました。
【Q】 ●「在宅医療・介護連携の推進」「認知症施策の推進」「生活支援サービスの体制整備」は充実すべき施策とされている。2016年度に区が進めていくそれぞれの基本的な方向を伺う。
【A】 「在宅医療・介護連携の推進」は、今年度から開始した「在宅医療地域ケア会議」をさらに発展させ、在宅医療に携わる医療と介護を中心とした多職種連携の強化により、在宅療養生活支援を一層充実させていきます。
次に「認知症施策の推進」は、今年度作成した認知症のクリティカルパスやケアパスの普及とともに、認知症初期集中支援チームの本格実施を通して認知症の方や家族の方の安心につなげていきます。
最後に「生活支援サービスの体制整備」ですが、地域包括支援センター(ケア24)によるケア24単位の生活支援体制整備をさらに進めるために、高齢者の生活支援に向けた地域の資源のネットワークを強化していきます。
以上の施策をこれまで以上に積極的に推進させて、地域包括ケアシステムを構築していきます。
【Q】 ●生活支援サービスの体制整備に伴う協議体の形成及び生活支援コーディネーターの設置に向け実施した生活支援ネットワーク連絡会では、どのような意見が出され、区としてどのような課題を認識されたか伺う。
【A】 この連絡会は、地域で主に高齢者の生活支援サービスを実施している多様な団体の方が参加しています。参加者からは、こうした情報交換や交流の場を通して、高齢者の孤立や生活上の課題を共有し、様々な生活支援サービスの資源が身近なところでコーディネートされることが重要であるという意見をいただきました。
こうした意見を踏まえ、高齢者の身近なところに多様なニーズに沿った生活支援サービスがあることだけでなく、信頼できるコーディネートの仕組みこそが課題であるとわかりました。そのため、ケア24を単位とした生活支援体制整備を進めていく上で、次年度は協議体の設置と生活支援コーディネーターの配置をしっかり進めていきます。
【Q】 ●高まる介護需要に対応して良質なサービスを安定的に提供していくためには、介護従事者の負担軽減支援策も大事だが、そのほか介護事業の現場の課題を分析し、その課題解決のために区がすべきこと、事業者がすべきこと、また利用者や地域がすべきことを明らかにし、効果的な支援策をうっていくことが必要だと考えるのが区の見解を伺う。
【A】 これまでも介護保険運営協議会や介護保険サービス事業者の会などを通じて、介護保険に関わる様々な方と広く意見交換を行いながら、課題の把握やそれぞれの役割について確認してきました。そうした中、高まる介護ニーズに対応するため、介護従事者の負担軽減策を講じることが区としてさらに重要な役割になったと認識し、今回、介護イノベーションの支援に着手する予定です。今度も地域包括ケアシステムの構築を進めていく中で、区民・事業者・行政の役割分担を明確にしながら、介護を必要とする人が適切かつ良質な介護サービスを受けられるよう努めていきます。
【Q】 ●親なき後も障がい者が住み慣れた地域で生活できるようにするための重度のグループホームなどの障がい者施設の整備にあたり、具体的な方向とそれを支える体制整備について伺う。
【A】 施設入所や入院から地域生活への移行を進める中、受け皿となるグループホーム等の住まいの確保がより一層重要になっていますので、引き続き障がい者の重度化、高齢化にも対応できるグループホームの整備を進めていきます。
また、既存のグループホームにも重度障がい者の受入れが可能となるような仕組みの検討を進めるほか、地域におけるグループホーム相互をネットワーク化することで、支援の質の向上を図っていきます。
【Q】 ●性的少数者の生存権、人権を保障するために、今後どのような取り組みを考えているか伺う。
【A】 性的少数者に関しては、様々な差別や偏見により、生きづらさを抱えている状況があり、人権問題のひとつとして捉えています。
区の男女共同参画行動計画においても、性的少数者に対する理解の促進のための啓発の取り組みを明記しており、男女平等推進センターの広報紙等による区民に向けての啓発や職員に向けた研修等による啓発による取り組みを今後も引き続き進めていきます。また、男女平等推進センターの総合相談においても、性的少数者からの相談を受けられる体制にしています。
【Q】 ●農に親しむ成田西ふれあい農業公園の開園に先立ち、緑地保全モデル地区のワークショップが行われたが、農地の保全のためにはもっと区民の農業者の思いを聞き、区民と農業者の交流の場をもっと設けることが必要だと思うが、今後の農地保全の取り組みの方向と区の決意を伺う。
【A】 杉並区に残されている屋敷林や農地といった民有地のみどりは、長い年月をかけて守り育てられてきた区民共有の財産です。そのため、区では緑地保全方針を策定し、現在、区民参画のワークショップを行い、保全策に取り組んでいるところです。このワークショップには、農地・屋敷林所有者も参加し、農地・屋敷林の役割や維持管理の大変さなど、生の声を聞いています。
この方針では、貴重なみどりの喪失に歯止めをかけたいという思いのもと、4つの方向性から重点的にその保全に取り組むことを掲げています。
農地保全における1つ目は、農業体験農園の運営支援や営農支援補助制度など、保全につながる制度の活用や充実を図ること、2つ目として「農の風景育成地区制度」の導入検討や今年開園する農業公園など、農地が保全できるまちづくりに取り組むこと、3つ目として(仮称)みどりの支援隊など地域のマンパワーを活用することです。そして4つ目に農協や他の自治体と共同で取り組んでいるアグリフェスタのような農地保全のためのPRや企画を行うことです。
こうした取り組みを進め、区民と農業者との交流機会を増やし、屋敷林、農地の持つ機能や効用について、その大切さを周辺に住む方にも理解していただき、杉並の原風景の核ともいえる、屋敷林、農地を後世に引き継いでいけるよう展開してきます。
【Q】 ●空家対策についてお聞きします。昨今、地域で「空き家」について問題になっています。区でも昨年、杉並区空家等対策協議会を設置して、総合的な空家対策に取り組むため、空家等対策計画をまとめていると聞いています。1月に素案が審議されたと聞いていますが、どのような対策を検討しているのか、行政書士や司法書士などの力を借りた調査や取り組みが必要と思うがどうか。
【A】 現在、空家等対策協議会において、司法書士、弁護士や一級建築士をはじめとする多くの専門家の力をお借りして、杉並区らしい空家等対策計画になるよう審議しています。建物が空家になる前の状態から、空家化した状態、管理不全の状態、さらに除去後の跡地の状態までの空家の各段階に応じて、「空家等の発生の抑制と適正な管理」、「空家の利活用の促進」、「管理不全な空家等への対応」について、多面的な対策が必要と認識しており、具体的な対策について論議しています。
このような総合的な空家対策を進めるためには、幅広い知識や情報が不可欠であるため、各種専門化団体など多様な主体と連携し、空家対策を進めていきます。
【Q】 ●無作為抽出による区民や、区内の高校、大学等の若者と区長の懇談会を実施するとのことであるが、方針にこれをいれたのはなぜか伺う。
●小学生や中学生と区長の懇談の場も設けるべきと思うがいかがか。
【A】 区長就任以来、地域イベントや区民団体の会合等に出向き、多くの方と胸襟を開いて語り合い、また区政に対してのご意見を聴いてきました。しかしこれまで以上に、幅広い区民のご意見を直接伺っていきたいと考え、無作為抽出による対話の場を設けることにしました。
また、次世代を担う若者たちも、社会や身近な区政に対して様々な意見を持っていると思いますので、区内の高校・大学に通う若者を対象に考えました。これらの取り組みによって、より一層幅広い区民の声を区政運営に活かしていきたいです。
小学生や中学生との懇談の場については、例えば井荻小学校の児童から提案を受けた「みんなの夢水路」や、中学生小笠原自然体験交流をはじめとして、様々な事業やイベントに参加した子どもたちと触れ合う中で、様々な声を聴いています。今後もそういった機会を捉え、子どもたちの夢や思いに耳を傾けていきたいと思います。
【Q】 ●開校から1年を迎える施設一体型小中一貫教育校の杉並和泉学園をどのように評価しているか
●高円寺地域の小中一貫教育校の建設については様々な意見があるが、杉並和泉学園の開校までの取り組みを、高円寺の新しい学校に生かしていくことが重要であると考えるが、見解を伺う。
●今後の施設一体型小中一貫教育校の計画化に当たっては、杉並和泉学園の検証を踏まえるとともに、地域の環境や関係者の意見を聞きながら、慎重に進めるべきであると考えるが、見解を伺う。
【A】 区内初の小中一貫教育校として昨年4月に開校した杉並和泉学園の評価ですが、平成22年に「新泉・和泉地区小中一貫教育校設置計画」を策定した背景には、新泉小学校及び和泉中学校における児童・生徒の減少がありました。その課題を解決するために、保護者や学校関係者、地域の方と一体となって計画の具体化を進めて以来、5年を経て開校した杉並和泉学園は、まだ1年ではありますが、地域と共に様々な教育活動に取り組む中で、学校全体が活性化してきています。このことが最大の成果と受け止めており、引き続き、こうした潮流をより確かなものにしていかねばならないと考えています。そのためには、児童・生徒の多様な交流機会の拡充や、小学部と中学部の教職員同士の一層の連帯促進等を図る必要があります。これらの取り組みやそのプロセスを通して得た成果や反省点は、高円寺地域の新しい学校づくりにしっかりと活かしていきたいです。
なお、今後の小中一貫教育校の計画化ですが「杉並区立小中学校新しい学校づくり推進基本方針」に基づき、関係する保護者や地域の方等の幅広い意見を聴きながら総合的な視点で検討していくべきと考えます。
【Q】 ●農家での小学生のイモ掘りや収穫体験などの取り組みを今後さらに多くの学校に広げていただきたいと考えるが、区の見解を伺う。
【A】 自然と触れ合うことを通して、勤労することの意義や命の尊さを理解し、収穫の喜びを感じ取ることのできる農業体験は、教育的に価値の高い取り組みです。市街地化が進み、畑で作物を育てる機会が少ない本区では、こうした活動を意図的・計画的に行っていく必要があります。
これまでも小学校では、生活科や理科、総合的な学習の時間において、校内のほか、近隣の農園や都立農芸高校等の協力を得て、野菜の栽培や米作りなどを実施しています。中学校においても、技術・家庭において、作物の計画的な管理方法について学び、栽培から収穫までの作業体験を行っています。また、移動教室やフレンドシップスクールにおいて、現地の人とのかかわりをもちながら、農作業体験を実施しています。
今後もこうした体験活動を通して、土に触れる喜びや自然の恵みに感謝する心を育み、子どもたちに豊かな人間性を涵養していきたいです。
【Q】 ●待機児童解消に向けて今後も手綱と緩めることなく取り組むという決意はよくわかったが、具体的にどう進めるのか、もう少し詳しくお示しいただきたい。
【A】 先ずは3月までに、最新の保育所申込み状況や未就学人口の推移などから、平成29年4月時点での保育需要の見込み数と、その重要を満たすために必要とされる確保策を、歳児や地域のバランスなども考えて具体的に算出し、それを踏まえて29年4月に待機児童ゼロを何としても実現するため、必要な措置を講じつつ整備を進めます。
代表質問 2016年2月12日 いのち・平和クラブ そね文子
いのち平和クラブを代表して「平成28年度予算の編成方針とその概要」及び区政の諸課題について質問いたします。
質問に先立ち、先日2月6日に起きた台湾の地震でお亡くなりになった方々、被災された方々に哀悼の意を表し、一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
では本題に入ります。
昨年は安倍政権が、民意を無視し、違憲とされる安保関連法案を強行に通し、日本が他国の戦争に参加する道をひらくという、戦後の国のありようを大きく変えた年でした。しかしこれに反対するあらゆる世代が、連日国会を取り囲む抗議行動を大きく繰りひろげ、なかでも若い人たちが「民主主義が壊されたら、またここからつくり始めればいい」と語り、多くの行動する若者を生み出したことに希望を感じました。
区長は、成人祝賀のつどいで、初の国会議員選挙が行われた126年前、最下位当選者の得票数が56票であったこと、その後国民の運動によって選挙権が拡大していったにもかかわらず、日本は戦争に突入し多くの犠牲が払われたことを話されました。そして「18歳に引き下げられた参政権を立派に行使していただきたい」と新成人に訴えかけ、強い印象を残しました。
1. まず、憲法と平和施策についてお聞きします。
① 安倍首相が、7月参議院選の争点に憲法改定を明言し、この国を支えてきた拠りどころを根こそぎ変えようとしている今、立憲主義と憲法の意義について、あらためて区長の見解をお聞きします。
② また、戦後70年を過ぎ戦争体験の風化が進む中、杉並区の平和施策についての区長の見解と取り組みを求めます。
③ 一方、辺野古新基地建設をめぐり沖縄県の許認可権を否定した国が、県を裁判に訴え、憲法に規定された地方自治の理念が危機にさらされています。自治体と国の対等な在り方について区長の見解をお聞きします。
2. 次に、福島を忘れない取り組みと震災対策、脱原発についておたずねします。
昨年夏に女性議員の視察で南相馬市を訪れた際、除染によって排出された放射性廃棄物が大きな黒い袋に入れられ、それがいたるところに山積みにされている光景を目の当たりにしました。市内にはいまだに人が住めない帰還困難区域と居住制限区域、またそうでない地区が混在し住民は分断され、制限が解除になっても戻らないという人も多く、復興のめどはまったく立っていない状態でした。福島を置き去りにして、原発再稼働を進めることは許されることではありません。
① 東日本大震災からから5年経た今、区長の一貫した「福島を忘れない」取り組みを評価しています。区長は震災直後にいち早く南相馬市にかけつけ、交流自治体とスクラム支援会議を立ち上げられました。自治体の災害支援の在り方について国に提言し、福島への支援を継続して来られた取り組みについて、総括と今後の課題をおたずねします。
② 3.11の教訓から、自治体として区に課せられた課題は何か、区長の見解と新年度の予算における具体的取り組みをお聞きします。
③ 九州電力川内原発に続き関西電力高浜原発が再稼働され、四国電力伊方原発の再稼働も時間の問題となっています。しかし福島第1原発事故の被害の教訓から、過半数の人が原発に頼らない社会と再生可能エネルギーの拡大を望んでいることは、あらゆる調査結果に現れています。引き続き太陽光発電など再生可能エネルギーの普及を推進するなど、区の積極的な取り組みを求めますが、お考えを伺います。
④ 区は、区立施設で使用する電力を特定規模電気事業者、PPSから購入し、学校施設から区民センター、区庁舎に拡大してきました。昨年第4回定例会では、3年間で1億4848万円の財政削減効果があったことを確認できました。この4月から家庭用電力が自由化されるにあたり、PPSからの購入をさらに拡大するよう求めますが、いかがかお聞きします。また、可能な限り太陽光など再生可能エネルギーを電源とする事業者を支えるために、そのような事業者から購入するよう求めますが、いかがでしょうか。
3.続いて、温暖化防止と省エネ対策についてお聞きします。
① 昨年秋に開かれたCOP21で採択されたパリ協定で、日本は2030年までに温室効果ガスを13年度比で26%削減する目標をかかげました。東京都ではすでにそれを上回る30%削減の目標を立てました。これを受けて、杉並区では温暖化防止に向けてどう取り組んで行くのか、お考えをお聞きします。また、現在区は1990年度比でCO2を2%削減するという暫定の目標を設定していますが、この機会にCO2削減目標をより高く設定しなおすべきと考えます。いかがか、併せてお聞きします。
建物の断熱リフォームや、新築の際に高い省エネ基準をクリアさせることは、省エネを進めるためにたいへん有効な手段です。
② 区立施設再編整備計画を進めるに当たり、新施設建設の際の省エネ基準の設定はどうなっているのでしょうか。高い基準を設けるべきと考えますが、区の見解を求めます。
③ 本庁舎では、毎年目標を持って節電に取り組み、2010年度比で20%以上の削減を達成するという大きな成果を上げています。しかし、それに比べて学校や他の区立施設での削減はまだ進んでいません。区民サービスを目的とする施設で、同じ比率の削減は無理だとしても、区民にも理解を求め、目標をもって節電に努めていただきたいと思います。お考えをお聞きします。
4.次に施設再編整備計画について伺います。私たちの会派は、築40年を超えようとする区立施設が一斉に建て替え時期に入るにあたり、30年~40年前と状況が大きく変化し、区民ニーズや施策の優先順位からも一定の施設の再編が必要なことは理解しています。区民から寄せられた不安や疑問に対して、細部にわたりますが、区長の明快な答弁をお願いいたします。
① 施設再編整備の第1の柱に保育園待機児童ゼロを据えたことは評価しています。しかしゼロ歳児をはじめ、依然として厳しい現状があります。これについて区の認識と新年度の待機児童数をうかがいます。
② 区の総合戦略では、「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」との基本目標を掲げています。田中区政のもと、待機児童解消に向け、認可保育園を柱に増設に取組み、2010年から5年間で保育定員を2,890人増やしてきたことは高く評価します。これまでの取り組みについての総括と、今後の待機児童解消に向けた計画と決意を伺います。
③ 一方、区の合計特殊出生率が0.99と低位にあるなか、区は新たに「多子世帯の保育料等の負担軽減の実施」を行います。区独自の対策として、対象者の年収区分を2倍程度に引きあげますが、対象範囲を広げる目的と、拡充によりどの程度対象者が増えるのかお聞きします。
④ また全ての多子世帯への支援とはならず、対象とならない世帯から不満がでることが予想されます。対象者数の把握状況とその対策についてお聞きします。この施策によりさらに保育園が不足する事態にならないように、保育園の計画的増設を求めておきます。
⑤ この新たな取り組みは、4年間試行的に行われますが、子どもを安心して産み育てられる環境につながるものとなるよう期待します。この課題の最後に「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」少子化対策に向けた区長の決意についてお聞きします。
⑥ 施設再編整備のもう一つの柱に、特別養護老人ホーム待機者の解消を据えて、高齢者関連施設の整備を据えたことを評価します。要介護高齢者を抱え、仕事もできなくなり家庭が崩壊する厳しさは当事者でなければ理解できません。特養待機者の解消は緊急課題であり、待ったなしです。特養待機者の解消に向けた取り組みの実績と、待機者の現状、その解消に向けた特養増設の計画を示してください。
⑦ いのち平和クラブは、施設再編整備に児童館事業の拡充を求め、具体的取り組みを確認してきました。さらに、子どもを取り巻く環境の厳しさから、放課後の安全な居場所づくりを施設再編整備計画の第3の柱に据えるよう求めてきました。計画の中に盛り込まれた取り組みと、今後の姿勢を確認します。
⑧ あんさんぶる荻窪と荻窪税務署との財産交換についてお聞きします。あんさんぶる荻窪と税務署との交換の動きが新聞で初めて知らされたこと、またあんさんぶる荻窪が駅至近にあり、なかでも荻窪北児童館が乳幼児親子から小中学生の使いやすい場所として親しまれてきたことで、区民の中に不安や反対の声もあります。一方、急を要する特別養護老人ホーム200床や区内全域の在宅介護の困難事例に対応できる後方支援機能設置のための用地獲得の目的は理解もできます。そのためには、交換後に児童館利用者などの居場所が保障されることが不可欠です。
最近、2010年12月に、区長が財務省理財局長に出した荻窪税務署建替えの一時休止を求める要望者の真意が問題となっています。そこでお聞きします。あんさんぶる荻窪と荻窪税務署との財産交換に至る過程で、区長が荻窪税務署の建て替え計画を把握したのはいつだったのか確認します。また、区長が、荻窪税務署の建替えの一時休止を国に要望した目的はなにかをお聞きします。当時は特別養護老人ホーム建設の具体的な方向は出ていませんでしたが、この段階ではどのような利用を考えておられたのかお答えください。当時、荻窪駅北東地域の再開発計画が現実にあったのか、再開発との関連があればお聞きします。
⑨ その後、数年間事態が進まなかったのはなぜでしょうか。建て替えを延期していた国から問い合わせが来たのはいつか。それに対して区はどのように対応したのかおたずねします。また、あんさんぶるとの財産交換という手法を着想されたのはいつか。その理由もあわせてご説明ください。
⑩ 区民の中には、公務員住宅跡地だけで特養建設は可能であり、あんさんぶるとの交換はしなくてもできたという意見があります。それは可能であったのか確認します。先ほど、他の会派から今でも定期借家制度を使い、公務員住宅跡地を安く借りて特養をつくることができるということや、区が計画する特養は税務署を立てた後の残りのスペースに入るとのことが図を使って示されました。この点について、私たちも直接、関東財務局に連絡し確認しました。当局からは「制度のスキームがあることは“仮“の話としてあると答えた」と、あくまでも仮のこととして答えたとのことでした。これを今からでもアンサンブルとの交換がなくても特養建設が可能であるかのような主張を議会で行うのは区民が混乱することになります。明快な答弁をお願いします。6000㎡を超す区内の広大な用地の取得はここ以外、方南町の公務員住宅など区内で他にもあったという意見がありますが実態はどうだったのかお聞きします。
⑪ 国との財産交換の交渉に入った過程で、議会に対する説明をいつどのように行ってきたのか。また地元住民に対する説明をどのように進めてこられたのか確認します。引き続き住民には正確な情報を伝え理解を得るために努力していただくよう要望します。
5.次に、施設一体型小中一貫教育校についてお聞きします。
① 学校改築にあたり、施設一体型小中一貫教育校について保護者からの不安や意見が寄せられています。地域や学校関係者の理解を得て建設され、開校から1年を迎える施設一体型小中一貫教育校の杉並和泉学園を、区はどのように評価されているのかお聞きします。
② 高円寺地域の小中一貫教育校の建設については様々な意見がありますが、杉並和泉学園の開校までの取り組みを高円寺の新しい学校づくりに生かしていくことが重要であると考えます。区の見解を求めます。
③ 施設一体型小中一貫教育校については、他自治体の先行例では、未だ成果が検証されておらず、一方、初等教育と中等教育の独自の役割も認められています。今後の施設一体型小中一貫教育校の計画化に当たっては、杉並和泉学園の検証を踏まえるとともに、地域の実情を把握し、保護者・学校関係者の意見を聞きながら、慎重に進めるべきであると考えますが、区の姿勢をお聞きします。
6.次に貧困対策についておたずねします。
2015年4月から施行された生活困窮者自立支援法に基づく総合相談窓口として、「くらしのサポートステーション」が開設されました。生活保護に至る手前のもう1つのセーフティーネットとして期待するところでです。
① しかし、生活困窮者の問題を解決するには、相談を受け付けるだけでなく、相談窓口に行きつかない困窮者への対応として、アウトリーチが必要だと考えますが、区の見解を求めます。
② 困窮者は税金や保険料の滞納、住宅費の滞納など複合的な問題を抱えることが多く、分野を超えた様々な機関との横断的な連携によって問題解決を図ることが必要だと考えますが、区の見解を伺います。
③ 昨年の生活保護の住宅扶助費の削減による厳しい現状が訴えられています。住宅扶助費の削減や単身世帯の床面積基準額の計画化による転宅指導によって、個々の状況にどのような変化があったのか確認します。
高齢者2人世帯などでは、住み慣れた部屋からの転宅が必ずしも良いことではないと思われますが、その場合どのような配慮を行っているのかうかがいます。
当事者によっては転宅指導により精神的に不安になっているなどの相談も寄せられています。当事者の現状に寄添った対応を求めますが、区の見解をお聞きします。
6人に1人の子どもが、またひとり親家庭ではその54%が相対的貧困状態にあるとされています。2014年1月に子供の貧困対策法が施行されましたが、予算がつかず国としての覚悟と責任が感じられない不十分なものとなっています。
しかし、足立区では、子どもの貧困対策実施計画を策定し、専門の担当部署を創設するなど、基礎自治体として取り組む動きも出てきています。経済的支援を担う行政と地域の区民レベルの活動が連動して、子どもを中心に置き、家族ごと支援する体制をつくっていくことが喫緊の課題だと考えます。
④ 区が子どもの貧困の連鎖を断ち切るために、様々な施策を行っていると認識していますが、具体的な目標をもって取り組むことも必要だと考えます。区はどのような目標をもって施策を進めようとしているのかおたずねします。
⑤ 子どもの貧困を家庭だけの問題にせず、社会全体で支援していこうという市民レベルの無料学習支援や子ども食堂などの実践が広がっています。自分も何かできないか、と思っている区民も少なくありません。区民への情報提供や活動を後押し、支援する取り組みが求められていると考えますが、区の見解をうかがいます。
⑥ 私たち会派は、結婚歴のない一人親に対し「寡婦(寡夫)控除のみなし適用」をする他の自治体の事例をあげ、その必要性を訴えてきました。昨年国の方向性が示され、4定で区の前向きな答弁も確認できました。他会派の質問で、新年度に寡婦(寡夫)控除のみなし適用が保育料に適用されることがわかりました。新年度から寡婦(寡夫)控除のみなし適用をするに当たり、対象を保育料にした考え方についてお聞きします。
7.次に超高齢社会を見据えた地域包括ケアシステムについてお聞きします。
① 地域包括ケアシステムに関し「在宅医療・介護連携の推進」「認知症施策の推進」「生活支援サービスの体制整備」の3点が自治体として充実すべき施策とされています。2016年度に区が進めてゆくそれぞれの基本的な方向をお聞きします。
② 地域包括ケアシステムの推進の要ともいえる、生活支援サービスの体制整備に伴う協議体の形成および生活支援コーディネーターの設置に向けては地域の社会資源の連携・交流の場が持たれ、丁寧にすすめられていると認識しています。ネットワーク連絡会の場ではどのような意見が出され、区としてどのような課題を認識されたか伺います。
③ 区長は「高まる介護需要に対応して良質なサービスを安定的に提供していくためには、施設の整備と合わせて介護従事者の確保が喫緊の課題」だと述べておられます。介護従事者の負担軽減策と併せて、現場の職員の労働条件改善が必要です。介護事業の現場における課題を細かく分析し、その課題解決のために区がすべきこと、事業者がすべきこと、また利用者や地域がすべきことを明らかにし、効果的な対策をうっていくことが必要だと考えますが区の見解をお聞きします。
8.次に差別を許さない区政の取り組みについてうかがいます。
① 障がい者が、親亡き後も住み慣れた地域で生活できるための支援が必要です。新年度に、重度のグループホームなどの障がい者施設の整備が打ち出されたことは評価いたします。その具体的な方向とそれを支える体制整備についてお聞きします。
② 性的少数者を取り巻く問題が人びとの大きな関心を呼び、社会で取り上げられるようになりました。当事者の話を聞くにつけ、これは性的少数者側の問題ではなく、受け皿となる社会の寛容性や人権意識の低さが当事者を長きに渡って深く傷つけてきた問題だと知ることとなりました。電通の調査では日本人の7.8%が性的少数者だという結果が示されています。であればこの杉並区にも4万人以上の性的少数者がいるということです。性別違和を抱える方たちは同じ境遇の人に初めて出会うまでに時間がかかり、学校に上がってからの男女別名簿、更衣室やトイレの問題、修学旅行、中学の制服などで長い間とてもつらい思いをしてきたと言います。その間、誰にも相談できず、自殺を考えた人が6割にのぼり、自殺未遂も14%と非常に高い割合となっています。区民への啓発や、教員、区の職員や窓口業務にあたる職員の研修を早く行い、あらゆる相談窓口で性的少数者を理解した上での相談対応ができていることを明示するよう、求められています。性的少数者の生存権、人権を保障するために、今後区がどのような取り組みを行っていかれるのか、考えをお聞きします。
9.次に環境対策についてお聞きします。
① 農に親しむ成田西ふれあい農業公園が4月に開園予定です。区民と区内の農業者が交流する「ふれあい農業体験」などの取り組みも示されました。
先日、緑の保全方針で示されたモデル地区をどう作っていくか、地域住民と行政、農業従事者が話し合うワークショップを見学させていただきました。農業者の思い、農業継続のために求められること、住民の地域の農業にもっと触れたいという思いを聞き、区民と農業者の交流の場がもっと必要だと感じました。私どもも協力し、共につくっていきたいと思っていますが、今後の取り組みの方向と区長の決意をお聞きします。
② 将来にわたって杉並区の農業と緑を守るためには、子どもたちへの教育にも力を入れる必要があります。区ではこれまでも、区内の農家での小学生のイモ掘りや収穫体験などの取り組みをされてきたと認識していますが、今後それをさらに多くの学校に広げていっていただきたいと思います。区の見解を伺います。
③ あき家対策についてお聞きします。昨今、地域で「空き家」が問題となっています。ゴミのたまり場、放火や電線などからの火災の危険性、「不審者」の隠れ家や未成年のたまり場になるのではないかと、近隣に住む方の不安材料となっています。区でも昨年、空き家等対策協議会を設置して、総合的な空き家対策に取り組むため、空き家等対策計画をまとめていると聞いています。1月に素案が審議されたと聞いていますが、どのような対策を検討しているのか、行政書士や司法書士などの力を借りた調査や取り組みが必要と思いますが、区の見解をお聞きします。
10.最後に区民の区政への関心と参加を高める取り組みについておたずねします。
今回、区民との双方向のコミュニケーションをとり、その意見を区政全体に生かしていくことを区長が示されたことは高く評価委します。
① 無作為抽出による区民や、区内の高校、大学等での若者と区長の懇談会を実施するとのことですが、区民が区政や社会参加に関心を持つようになることを期待しています。今回方針にこのことをとりいれたのはなぜか、区長の考えをお聞きします。
② 一方で、もっと小さいころから、自分たちにとって良い社会は自分たちがつくっていくという、主権者としての資質や能力を育むシチズンシップ教育も必要だと考えます。この際、高校や大学に限らず小学生や中学生と区長の懇談の場も設けていただきたいと思いますがいかがでしょうか。以上お聞きし、いのち平和クラブの代表質問をおわります。