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生活者ネットすぎなみ98号 2015.11.10発行

杉並生活者ニュース98p1 杉並生活者ニュース98p2 杉並生活者ニュース98p3 杉並生活者ニュース98p4

第4回定例会一般質問と答弁  2015.11.19奥田雅子

【Q】  ● 環境情報館が環境活動推進センターとして移転して1年経った。区はどのように総括し、課題は何か。また今後、拠点としての機能をどのように盛り込んでいこうとしているのか伺う。

【A】   明治の頃の杉並区は、河川は緩やかに蛇行し周りには田んぼが広がり、子どもたちは川の中で魚をとったりして遊ぶ、自然が豊かな農村でした。その後、昭和になり高度経済成長期を迎え、街が大きく変わり失われたものも多くありました。今、残された環境を守り育てていくためには、様々な環境施策が必要であり、その核の一つとして環境活動推進センターを位置づけています。

荻窪の環境情報館を「リサイクルひろば高井戸」と同じビルに移転させ、リニューアルすることで相互の機能強化を図るとともに、環境学習機能が充実する新杉並清掃工場や杉並正用記念財団、高井戸地域区民センター協議会とも連携した取り組みを行うことを目指しています。まもなく1年を迎えますが、高井戸での認知度も向上し、運営が着実に軌道に乗ってきています。

今後は、さらに多くの皆様にご利用いただけるよう施設のPRと魅力ある講座の開催などに努めるとともに、地域のイベントに積極的に関わっていくことで、地域と環境団体との接点を増やしていくことが重要でしょう。こうした取り組みを通して、環境団体の活動拠点としてのさらなる機能強化を図っていきます。

【Q】  ● 移転前と比べ利用状況はどうか。 環境活動推進センターという名称が他の施設と似ているという声が聞かれる。公募や環境団体からの提案で愛称がつくと良いと思うがいかがか。

【A】  講座室の利用率は、環境情報館の時よりも向上してきていますが、さらなる利用促進に努めていきたいです。センターの愛称は、区民の方がセンターに親しみを感じるとともにPR効果もあると考えていますので、今後、環境団体連絡会などを通じて愛称についての議論を深めていきたいです。

【Q】  ● 環境団体連絡会のねらいは何か。また、所属する団体の分野や数、参加状況を伺う。また、運営について課題は何か。

【A】  環境団体連絡会は区に登録している環境保全やエネルギー、公害対策などの分野をテーマとして活動する39の団体の交流や情報交換の場として、環境団体が主体的に開催しています。

連絡会は、通常年4回開催されています。各団体の参加状況ですが、出席率が高い団体がある反面、極めて低い団体があるなど両極端の状況が生じています。各団体の活動実態やニーズを把握した上で、連絡会の運営を改善していくことが課題となっており、区もそうした観点からの支援をしていきます。

【Q】  ● 環境をテーマとした、市民、事業者、区が一体となって考え、共有化する場が必要と考えるが区の認識を伺う。

A】   共有化の場は、環境問題の具体的な解決策を見い出していく上で大切なものです。区では、これまでも区民、事業者、環境団体などの参画を得て「杉並区地域エネルギービジョン」を策定し、区内の商店会や環境団体などで構成する「マイバック推進連絡会」を設置し、レジ袋の削減に取り組んできました。

今後も区民、事業者、区が一体となって考え、課題を共有する場が形成されるよう、さらに努めていきたいです。

【Q】  ● 高井戸センターまつりと環境活動推進センターの事業が連携した取り組みはできないか、区の見解を伺う。また、杉並清掃工場が完成した暁には、清掃工場も連携して環境のまつりの開催を提案したいが見解を伺う。

【A】   環境団体と区民センター協議会や杉並正用記念財団との間での交流や情報交換を積極的に行い、高井戸センターまつりなど様々な分野での連携が図られるよう努めます。

現在、杉並清掃工場の「環境フェア」は、改築のため休止となっていますが、新工場稼働後の再開に向け、工場側と連携策について話し合っていきます。

【Q】  ● 地域包括ケアシステムについて、区のこれまでの取り組みについて伺う。

【A】   区は、これまでも地域包括ケアの重要な要素である在宅医療や介護のニーズに対応するため、在宅療養支援体制の整備や認知症対策、定期巡回・随時対応型訪問介護看護等の在宅介護サービスの充実に努めてきました。さらに、地域包括ケアシステムの構築に向け、25年度から3か所のケア24をモデル地区に選定し、26年度には地域づくりのモデル事業を実施し、地域に根差した取組方法等を検討してきました。その成果を踏まえ、今年度より、全てのケア24に地域包括ケア推進員を配置し、日ごろの活動を通して、医療・介護の連携、認知症対策、生活支援体制の整備等を推進しています。

【Q】  ● 介護保険制度改定で介護予報給付の一部が地域支援事業に移行することとなった。区はどのように受け止めているのか、伺う。

●今回の新しい地域支援事業の意義は、新しい地域づくりとも言われているが、どのような地域づくりを行っていくのか、区の見解を伺う。

【A】  地域支援事業は、介護予防や自立した日常生活支援のための施策を総合的かつ一体的に行うもので、今回の予防給付の一部移行は、地域支援事業の趣旨に沿ったものと考えます。

また、高齢者が住み慣れた地域で生活を継続できるよう地域包括ケアシステムを構築していくことは、地域づくりそのものであると捉え、各地域の特質や様々な地域資源・人材を活かし、皆の力であたたかく支え合う地域づくりを推進していきたいです。

【Q】  ● 介護予防・日常生活支援総合事業の目的と考え方について区の捉え方を伺う。

●利用者が介護予防給付から介護予防・生活支援サービス事業に移行する場合、該当者にとってどのような変更になるのか、新たな手続き等が必要になるのか、区民への周知を含め伺う。

●訪問型サービス・通所型サービスの類型の多様化について、区はどのような計画を立てているのか、また、その際の検討事項をどのように整理しているのか、伺う。第7期介護保険事業計画に住民主体によるサービスBを導入するとしたら、第6期中に準備することはないのか。

【A】   この事業は、区が地域の実情に応じて多様なサービスを充実することにより、地域の支え合いの体制づくりを推進し、要支援者等に対する効果的・効率的な支援等を可能とすることを目指したもので、来年度から実施します。

介護予防給付からサービスを移行する方は、事業者と書類上の契約を改めて交わすことになりますが、利用者の方が混乱しないよう、ケアマネジメントを行うケア24を通して、個別に丁寧に周知していくこと等を考えています。

総合事業における多様なサービスは、現行相当の訪問型サービスと通所型サービスに加え、緩和された基準によるサービスと短期集中予防サービスを実施する計画です。次年度の円滑な移行・実施に向け、サービスごとの基準や単価等を定め事業者に周知していくことや、新たな介護予防ケアマネジメント体制等を検討課題とし、準備を進めています。

住民主体によるサービスBについては、実施主体として事故対応や苦情等への十分な対応が必要となるため、今後の指定事業者の動向も踏まえ、第7期介護保険事業計画策定に向けた取組みの中で、導入の必要性を検討していきます。

【Q】  ● 生活支援コーディネーター的な機能を担う地域包括ケア推進員をケア24に配置したが、現在の状況や期待するものは何か。

●協議体の形成に向けて、第1層レベルでの準備会を進めていると聞くが、その目的や活動について、伺う。

●区内の3ブロックで(仮称)生活支援ネットワーク連絡会を開催しているとのことだが、見えてきたことは何か。

●連絡会は1.5層の捉えになるかと思うが、国は第2層の協議体の設置を提唱している。第1層の協議体だけでなく第2層の協議体が重要と考えるとケア24を単位とした第2層の協議体が望ましいと考えるが、区の考えは。

●第1層と第2層の協議体との関係づくりも重要と考えるが、区はどのように体制づくりを進めていくのか。

●生活支援サービスの体制整備について、来年度以降の構想はどのように考えているのか。

 

【A】   ケア24への地域包括ケア推進員の配置により、今まで以上に地域の生活支援サービスに関わる資源や情報の把握が進み、関係者のネットワークづくりに繋がりつつあります。今後も高齢者の生活全般を支えている地域の多様な資源の掘り起こしを期待しています。

次に準備会ですが、協議体設置の考え方や役割、規模、構成メンバー等について意見交換を行い、それを参考に検討を進めることを目的としており、その活動の一つとして、今年度は既に生活支援サービスを提供している団体の連絡会を開催し、情報の交換・共有の機会を設けました。その連絡会では、地域における高齢者の生活実態や不足するサービスの把握とともに、団体同士のネットワークの必要性を確認しました。

そして協議体ですが、第1層の協議体は区全体で、第2層は高齢者の生活に近いところで設置する予定です。ご指摘の通り、第2層の協議体は具体的に活動を展開していく重要な役割があるので、ケア24の担当区域を考慮した設置を検討します。

今後、第1層と第2層の協議体が、相互に関わりを持って活動できるよう、それぞれの役割や機能について整理し設置していきます。

次年度は、この第1層、第2層の協議体の活動を通して、地域の支え合いや助け合いの地域づくりを進めていく構想です。

【Q】  ● その他の包括的支援事業として「住宅医療・介護連携の推進」と「認知症施策の推進」があるが、それぞれの進捗状況と課題について伺う。

【A】   「住宅医療・介護連携の推進」ですが、今年度から、杉並区医師会の協力を得て、医師をリーダーとした「在宅医療地域ケア会議」を開始し、医療と介護の関係者が区内7つの地域で、顔の見える関係づくりを進めています。今後は、この会議に参画した関係者間の連携を深め、高齢者1人ひとりに合った切れ目のない在宅医療・介護のサービス提供につながるよう努めます。また、在宅医療相談調整窓口でも、高齢者本人やその家族を始め、医療・介護・福祉の関係者からの相談にきめ細かく対応し、高齢者の在宅療養を支えていきます。

次に「認知症政策の推進」は、認知症になっても地域で安心して暮らせるよう、認知症サポーターの養成に力を入れるとともに、早期発見、早期対応を図るため、地域包括支援センター・ケア24での「物忘れ相談」の拡充や医療機関の連携を定めた「認知症クリティカルパス」の普及に努めています。加えて、認知症が疑われる高齢者を早期に医療・介護サービスにつなぐ「認知症初期集中支援チーム」を、来年一月に発足させる予定です。

こうした認知症の早期発見・早期対応の仕組みをしっかり機能させていくため、ケア24をはじめ介護関係者への研修を行い、認知症の本人や家族への対応力を向上させるとともに、区民の方に認知症の進行に応じた適切なサービスの案内ができるよう「認知症ケアパス」を今年度内に作成し、その普及・啓発に力を入れていきます。

 

 

小松久子都議会レポート7号  2015.11.20発行

小松7号 オモテ3校7ウラ 4校

生活者ネットすぎなみ97号 2015.7.10発行

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第4回定例会一般質問  2015.11.19 奥田雅子

いのち・平和クラブの一員として、
1. 地域包括ケアシステムの構築と介護保険制度改定について
2. 環境活動の推進について質問します。

まず、最初に「地域包括ケアシステムの構築と介護保険制度改定について」です。
2000年に介護の社会化という期待を担って導入された介護保険制度は、それ以降、3年ごとの制度改定がなされてきました。私はこの間の法改正を法の本来の趣旨から言って後退したと考えています。その意味で好ましいと思えません。そのため「改正」と呼ぶ気持ちになれず、あえて「改定」と言わせていただきます。
昨年2014年6月、地域における創意工夫をこらした、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築と地域包括ケアシステムの構築を目的に制定された「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備に関する法律」に基づき、2015年に介護保険法も改定されました。この改定では、地域包括ケアシステムの構築と低所得者の保険料軽減の充実を掲げる一方で、保険料上昇をできる限り抑えるため、所得や資産のある人の利用者負担の見直しが示されました。
そもそも、地域包括ケアシステムのめざすところは、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた自宅や地域で暮らし続けられるように、「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」の5つのサービスが一体的に受けられる支援体制をつくることにありました。そのために、国は在宅医療や訪問看護の充実など、介護と医療との連携強化や、24時間対応型定期巡回・随時対応サービス等の創設による在宅サービスの強化など、介護サービスの充実、健康寿命を延ばすための介護予防に向けた取り組み、見守りや配食、買い物などの生活支援サービスの推進、そしてサービス付高齢者向け住宅など高齢者の住まいの整備などを進めてきています。杉並区においても第5期介護保険計画からそれらの充実に取り組んでこられたと認識しています。
さらに2015年度から2017年度の第6期杉並区介護保険事業計画では、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年を見据えて、杉並区においても単身高齢者世帯や高齢者のみ世帯の増加にともなって、医療や介護を必要とする高齢者がますます増加する状況に対し、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを本格化していく必要があるとしています。
これまでの区の取り組みと、第6期2年目に入る来年度に向けた施策の方向性を伺いたく、質問いたします。

<1>
少しさかのぼりますが、2013年10月1日号の広報すぎなみによれば、地域包括ケアシステムについて「暮らしやすい住まいで医療や介護を受けられる環境をつくり、住民同士が見守り等により相互にささえあい、高齢者が住み慣れた地域で、さいごまで自分らしい暮らしを続けることが出来る仕組みのこと」とイラスト入りでわかりやすく説明されています。おそらくは「地域包括ケアシステム」という文言が広く区民に示されたのは、この時が初めてではなかったでしょうか。

1-1-1.2年を経過する中で、この地域包括ケアシステムについて、杉並区はどのような取組みをされてきたのか最初に伺います。

<2>次に、新たな地域支援事業に関して2点お聞きします。
1-2-1.1点目として
今回の介護保険制度改定のなかで、大きな変化の一つは、これまでの要支援1・2が従来の国レベルの一律給付から、介護保険料を財源としながらも自治体レベルでの裁量に任される「地域支援事業」に移行し、拡充されたことだと考えています。自治体として、今回の改定をどのように受け止めているかお聞きします。

1-2-2.2点目は、
今回示された新しい介護予防・日常生活支援総合事業、包括的支援事業、任意事業という3本の柱からなる「新地域支援事業」の意義は、介護保険制度の一部改定という意味合いを超えた「まったく新しい地域づくりの一大変革」とも言われているようですが、そのめざすところは何か、また、どのように地域づくりを行っていくのか区の見解を伺います。

<3>次に、介護予防・日常生活支援総合事業について4点伺います。
1-3-1.「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」としての新たなしくみの目的、考え方について区はどのように捉えておいでか伺います。

1-3-2.2点目は少し細かい話になりますが、利用者が介護予防給付から介護予防・生活支援サービス事業に「移行」する場合、該当者が混乱なく、きちんと理解できるようなスムーズな手続きがされることを望みますが、当時者にとっては、どのような変更になるのでしょうか。新たな手続きなどが必要となるのでしょうか。今後2016年度以降の予定について区民への周知の仕方も含め伺います。

1-3-3.3点目として、訪問型サービスや通所型サービスなどのサービス類型の多様化について、各自治体での裁量が活かされる取り組みになっていますが杉並区としては、どのような計画を立てているのか、また、その際の検討事項をどのように整理されているのかお聞きします。

1-3-4.また、国が提示しているサービスの類型において、多様なサービスには住民主体による支援の訪問型・通所型サービスBというものや配食や見守りのような生活支援サービスがあり、杉並区ではその計画は次期第7期介護保険計画に反映させていくと理解しています。しかし、住民主体の地域づくりには時間もかかることから、サービスBの導入に向けて、第6期中に準備していく必要があると思います。4つ目の質問として、区の見解をお聞きします。

<4>次に、生活支援体制整備事業について6点伺います。
地域支援事業に位置づくもう一つの事業「包括的支援事業」には4つの事業が挙げられています。その一つである「生活支援サービス体制整備事業」については、生活支援コーディネーターの配置および協議体の設置が制度化されています。この生活支援コーディネーターは、まさに「新しい地域づくり」のカギとなるものと理解しています。

1-4-1.まず一つ目、生活支援コーディネーター的な機能を担うものとして、各ケア24に地域包括ケア推進員を配置していますが、現在の状況やその期待するものは何か、伺います。

1-4-2.2つ目として、協議体形成をめざして、区全域を想定した第1層レベ
ルでの準備会をすすめていると聞いておりますが、その目的や活動について区
はどのように捉えておいでなのか伺います。

1-4-3.3つ目、現在、区内3ブロックで、(仮称)生活支援ネットワーク連
絡会が開催されていますが、連絡会を通して見えてきたことは何か、伺います。

1-4-4.また、3ブロック単位であると1.5層の捉えになるかと思いますが、国では中学校区を想定した第2層の協議体設置を提唱しています。私も次の段階として第2層が重要と考えており、最終的には20の地域包括支援センター単位が望ましいと考えています。20という地域分けはほぼ中学校区に相当し、いわゆる歩いて行かれる範囲です。このぐらいだと地域状況や人の関係性も把握できます。サービス体制を完結することは当初は無理としても、それは隣接地域との連携で可能であるわけで、住民サイドに立っての視点が必要かと思います。地域事情もあり一律にするのが難しいのであれば、できるところから始めるということもあるのではないでしょうか。最終的な到達点をどのレベルとイメージしているのか区の見解をお聞きします。

1-4-5.1層と2層の協議体との関係づくりも重要と考えますが、区はどのように体制づくりを進めていくのかお聞きします。

1-4-6.6つ目です。今年度各ブロック1回ずつの(仮称)生活支援ネットワ
ーク連絡会の集まりを持ったわけですが、今後の生活支援サービスの体制につ
いて、来年度以降の構想はどのように考えているのか、お聞きします。

<5>この項目最後の質問です。在宅医療・介護連携と認知症施策について伺います。
1-5-1.生活支援サービス体制整備事業以外の包括的支援事業として、「在宅医療・介護連携推進事業」「認知症施策推進事業」がありますが、病気を抱えても自宅等の住み慣れた生活の場で療養し、自分らしい生活を続けられるためには、地域における医療・介護の連携が不可欠であり、その体制整備が重要な課題だと考えています。また、認知症への早期対応や地域の理解などケア24を中心に対策が進んでいると思いますが、それぞれの進捗状況、課題について伺います。

これまで行政が推進すべき施策・制度について述べてきましたが、その根底として今、そして今後求められるのは、住民による地域づくりだと思います。
先程、「まったく新しい地域づくりの一大変革」と申し上げましたが、それは、地域包括ケアシステムを地域の住民同士による“ささえあい”によって作り上げるべきではないのか、と考えるからであり、であれば自分たちのまちは自分たちでつくる、という住民の意識変革が必要です。近頃よく言われる「自助」「互助」「共助」「公助」の、互助の部分に住民自らが参加していくことが求められる時代になってきています。
さわやか福祉財団の理事長清水肇子さんは財団の機関紙で、「新しい制度の作り方でリスクを負うのは住民である。それも、住民がどのくらい参加するかで自分たちの制度の質が決まるのだから、議論の過程に住民不在はあり得ない。だからこそ協議体や生活コーディネーターに住民主体という柱が当然に必要なのである。」と述べておられます。私もその通りだと考えます。
私はこれまで、自分たちが必要としていて、既にあるけれど何か違う、私たちだったらこうするというしくみを自ら生み出し、地域に根差した市民事業を実際に運営する活動に関わってきました。キーワードは「参加」と「自治」です。区民の活動が推進されるために惜しみない支援や情報提供をお願いし、次の質問に移ります。

2つ目の項目、環境活動の推進についてです。

環境問題は地球温暖化やごみ問題、大気汚染、土や水の汚染、生物多様性の喪失、エネルギー問題など多岐にわたりますが、いずれも人間が活動することによって、地球上の自然環境に影響を与えているという意味で根っこは共通しています。また、自然は私たち人間の命をはぐくみ、恵みをもたらす一方で、自然災害など命を脅かすものにもなります。そのことを常に肝に銘じながら、自然環境と共生し、子どもや孫の代、そのもっと先まで持続可能な暮らしをつないでいかなくてはなりません。そのためには環境問題を自分の問題としてとらえ、問題解決に向けて行動する人を増やしていく取り組みは今の時代にはとても重要なテーマだと考えています。そのような問題意識から質問をしてまいります。

<1>環境活動推進センターは、環境問題の解決に向けて行動する活動の発信基地のひとつだと思います。高井戸の地で定着し、区民に愛着をもって利用されるセンターとなってほしいと考えます。そこでまず、最初に環境活動推進センターについて2点質問いたします。
2-1-1.昨年12月から環境情報館の機能の一部が、あんさんぶる荻窪からリサイクルひろば高井戸の3・4階部分に環境活動推進センターとなって移転し約1年が経ちます。移転前と比べ利用状況はどのようになっているのか伺います。また、この利用状況について区はどのように総括をし、課題は何ととらえておいでか。
今後、拠点としての機能をどのように盛り込んでいこうとしているのか、併せて伺います。

2-1-2.2点目。環境活動推進センターという名称が他の○○推進センターと
いった施設と似ていて覚えにくい、親しみが感じられないという声が聞かれま
す。たとえば区民からの公募や環境団体からの提案などで環境活動推進センタ
ーに愛称をつけることを提案したいと思いますが、いかがでしょうか。区のお
考えをお聞きかせください。

<2>次に環境団体連絡会について質問します。
2-2-1.現在、区に登録している環境活動団体が集まり、年に4回環境団体連
絡会が持たれていますが、この連絡会が環境団体の活動の活性化につながるな
どの実りあるものとなっているのか気になるところです。この連絡会のねらい
は何か。
また、連絡会に所属する団体の分野、その数、連絡会への参加状況を伺います。
さらに、議題出しなど連絡会運営についても、区として考える課題について伺
います。

<3>次は環境活動を共有化する場について伺います。
2-3-1.杉並区の総合計画では持続可能な環境にやさしい住宅都市づくりの施策において、地域での環境美化・自然環境保全に向けた取り組みや環境教育・環境学習などに区民、事業者、地域団体、環境NPOが参加しており、今後も幅広い区民等の参加をすすめる必要があるとしています。環境活動推進センターは区の環境政策を推し進めていくための重要な機能をもっており、このセンターという場や発信される情報が区民に活用され、環境活動の活性化につながることを私は期待しています。以前行っていた環境博覧会のように、環境をテーマとした区民、事業者、区が一体となって考える場、共有化する「場」が必要だと考えますが区の認識を伺います。

2-3-2.まずは、来年の高井戸センターまつりと環境活動推進センターの事業と連携した取り組みを提案したいと思いますが、区の見解を伺います。
また、高井戸の地域は、清掃工場、高井戸地域区民センターそして環境活動推進センターが集中してあります。今建て替え中の清掃工場が完成した暁には、地域区民センターと環境活動推進センター、そして清掃工場が連携して、環境を一つのキーワードにした「まつり」の開催を提案したいと思いますが、区の見解を伺います。

区民、事業者と共に環境問題に取り組むことで、区の進めようとする環境政策への理解が広がり、ひいては環境活動推進センターの知名度も上がり、環境団体の活動促進、交流にも寄与できるのではないかと考えます。
以上、地域包括ケアシステムも環境問題も自分の暮らしのことを人任せにせず、自分で考え行動する人を増やすことが、持続可能な社会をつくっていくことに繋がると考えます。区民のやる気を引き出し、それを後押しする役割を区に発揮していただくよう期待して私の質問を終わります。

決算特別委員会意見開陳 2015.10.15 いのち平和クラブ そね文子

いのち・平和クラブを代表して、決算特別委員会に付託された2014年度杉並区一般会計歳入歳出決算および各特別会計歳入歳出決算について意見を申し上げます。
2014年は、少子高齢化が加速する実態を改めて浮き彫りにした年となりました。「団塊の世代」の多くが65歳以上となり高齢者人口が初めて年少人口の2倍を超え、世界で最も高い日本の高齢化率は26%にまで達しました。
高齢者の単身世帯が増加し、認知症高齢者の見守りなど高齢者を地域で支える仕組みづくりが急務であり、持続可能な社会保障制度の確立が正念場となっています。また 、若い世代が働きながら子どもを産み育てられる環境整備や貧困の連鎖を断ち切る取り組みなどあらゆる世代への施策が求められた年でした。

国政に目を向けると、7月に安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、戦争のできる国へと大きく方向転換した年です。憲法で縛られている権力者が、自らその縛りを解いて勝手に憲法解釈の変更を宣言し、国民の議論は置き去りにされました。さらに福島第1原発事故を契機に停止していた原発の再稼働を宣言し、住民の声を無視する形で九州電力川内原発の再稼働準備に舵を切った年でした。一方、法人税減税で大企業は優遇されても、4月実施の消費増税と8月からの生活保護基準のさらなる引き下げは、低所得者にいっそう厳しさを強いることになりました。
国が平和とくらしや福祉を脅かすときに地方自治体の役割が問われた年でした。私たちいのち・平和クラブは区民のいのちと暮らし、平和を守る一点で改選後、新たな会派を結成しました。その立場から2014年度決算委員会の質疑を通して評価する点を以下、申し述べます。

第1に、健全な財政運営を進めた姿勢です。対前年度比で一般財源は約75億円の増加となりました。収入未済額は4年連続で減少しています。持続可能な財政運営を行っていくための指標である経常収支比率は、目標80%以下を達成し、79.8%となりました。 これは一般財源が増加したためですが、人件費や扶助費などの義務的経費やその他経費も増加しています。歳出においては、公園の整備、保育施設の整備、特別養護老人ホーム等や障害者グループホームの整備など、区民生活にとって必要な投資が行われたと認識しています。区長は、行財政改革は、区民福祉の向上のための手段であり、それが目的ではないことを明言していることを評価しています。しかし今後も扶助費やその他の経費の増加は確実であり、区には健全な財政運営のために引き続き努力していただくよう求めるものです。
第2に、田中区長の憲法に対する姿勢です。一般質問への答弁で、「立憲主義は政治の根本であり、政治を志す誰もが従うべきもの」と答えています。本定例会でも、憲法99条で、国会議員など公職にある者の憲法遵守義務を定めていることが強調されました。

第3に、田中区長が自治体の役割を福祉の増進に据えていることです。障がい者施策では全国に先駆けて重症心身障がい児の保育施設実現を支援するなど、拡充が図られました。特に家庭の経済状況によって子どもが不利益をこうむることがないように、貧困の連鎖を断つことに施策を講じた取り組みは大切です。国の生活保護基準の引き下げが、就学援助などに及ぶ影響を考慮し、義務教育における教材等の区独自の一部負担など義務教育保護者負担軽減策を拡大したことは評価できます。

第4に、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)副反応被害者救済への取り組みについて
です。杉並区内に深刻な副反応被害者がいることが明らかになり、区は独自の救済制度をつくって対応するとしました。そして当該年度、初めて区長が被害者を見舞い、一部救済を行いました。今年の9月には国に大きな動きがありましたが、質疑の中で、国の救済が足りない部分は区で責任をもって対応するとの答えがあり、引き続き支援を求めます。
第5に、区民の命と安全を守る責任を果たしてきたことです。災害に強いまちづくりを進め、区内木造密集地域の不燃化対策、緊急車両の入れない狭隘道路拡幅の取り組みなどを評価します。また、南相馬市への支援と、福島を忘れない取り組みを継続し、区政にも生かしてきました。

第6に、教育の独立性・中立性・公正性について、今年4月、国の教育委員会制度の法改定にあっても、区の教育委員会の独立性を明言したことです。教科書の採択にあたってその適切な関わりを確認できました。

その上で、当該年度の予算に対して会派結成以前に要望した課題について、審議を通じて確認できたことを述べておきます。

第1に、施設再編整備計画についてです。老朽化しつつある区立施設全体の建て替えが順次迫られ、一方で40年まえ50年前の時代と大きく変化したニーズに対応することが求められています。それを進めるために、一定の施設再編が必要なことは当然です。
厳しい財政状況の中で、Aランクで約900人の待機者がいる特別養護老人ホーム建設と、待機児童解消のための保育園増設や学童クラブ増設を緊急かつ優先課題に位置づけたことは評価するものです。児童館事業の当初「施設を廃止」とした方針が改められ、児童館事業の継承・拡充の方向と具体的取り組みを確認しました。

審議の中で、子どもが犠牲となる悲惨な事件の頻発を受け、放課後の安全な居場所づくりが再編整備計画の大きな柱に据えなおされたことも評価できます。今後は児童館事業の継続・拡充の核となる仮称子どもセンターのあり方が大きな課題となります。今後、先行事例となる和泉児童館が子どもセンターに転換する際に、学校になじめない子どもたちや中・高生の活動の場を具体的につくることを確認しました。さらに乳幼児親子の居場所事業は子どもセンター14館に加え小学校区単位の身近なところに設置することも確認しました。また小学生と中高生等異世代間の交流や、地域との関わりを今後継承していく方向は確認できましたが、その具体化を改めて求めておきます。学校内に移設された学童クラブの質を担保するためには、事業者選定における保護者や児童館職員の関わりが重要だと考えます。あんさんぶる荻窪の財産交換にあたり、荻窪税務署移転後に空くスペースは、地域の子どもたちが使えるよう、国との交渉をさらに強めるよう求めます。
一方、施設再編整備計画とともに実施された施設使用料値上げと登録団体減額制度の廃止には、今も反対の声が聞かれます。利用時間を4区分に分けたことで、6時から8時の最も需要のある時間帯の利用が高額となっています。3年ごとの検証と見直しを確認しました。

第2に、前区長の行き過ぎた職員削減による定数不足が引き起こした、職員の健康問題です。超過勤務や、長期病欠が心療系や整形外科系に依然として多いことに表れています。当該年度は、必要な職場に職員の新規採用が行われたことを評価し、建築・土木など技術系職員に女性が多くなったことに対し産休・育休代替職員の増員を求めました。

第3に、区に働く2000人を超す非常勤職員と教職員の労働条件の改善です。この間に行われた非常勤職員の一定の賃金アップや労働条件の改善は評価します。5年を超えれば雇止めになる雇用年限制度に、再雇用や正規職への道が一部で開けつつあります。しかし賃金アップが再更新時には継続されない等課題が多く、抜本的見直しを求めます。区の事業を受託する事業所で働く労働者の労働条件に関して、モニタリング制度などを通じ一定の改善が図られてきました。入札制度の公正さや受託事業者の労働条件を保障するための公契約条例制定に積極的な検討を求めます。
第4に、10月実施となった共通番号制度導入における区の取り組みです。住民基本台帳等のシステム改修作業や個人情報保護条例の改定は、法律上やむをえないことだとしても、個人情報保護の重大性に鑑み、番号制度の利用拡大はしないよう、慎重な取り組みを求めます。区の職員のプライバシーと安全を守るために、職員の身分証に番号カードの利用はしないことを求めます。

第5に、今後ますます増加する単身高齢者及び高齢者のみ世帯をはじめ社会的弱者を地域全体でどう支えていくかについては、地域包括ケアシステムの構築に向けた議論の中でもすすめられていくことを確認しました。今後、高齢者や障がい者、子ども・子育て支援などそれぞれの枠組みを超えたまちづくりの視点をもち、フォーマル、インフォーマルな地域資源の横断的な連携による支援体制づくりに期待します。
第6に、男女平等推進施策についてです。新会派として、男女平等推進施策への取り組みの強化と性的少数者への必要な分野での配慮を行うよう求めます。
第7に、杉並の住環境を脅かす外環道などの大型道路建設や鉄道連続立体交差事業に対し、国や東京都に住民の声を伝える役割です。外環地上部街路(外環の2)の必要性の有無から検討を求めてきた区の姿勢を評価するとともに、区として外観の2は必要ないという姿勢を示す時期に来たことを指摘します。

西武新宿線については中井-野方間で地下方式を決定したにもかかわらず、区の西武新宿線沿線まちづくり協議会では構造形式を問わないまま議論を進めています。子どもや孫たちの時代に悔いを残さない安全で豊かな西武線沿線のまちづくりを期待するものです。
第8に、施設一体型小中一貫教育についてです。杉並区の小中一貫教育がめざす連続性と飛躍の方向性は理解します。しかし、施設一体型小中一貫校に関しては、東京都品川区や広島県呉市の先行事例で成功を確認できず、教育的効果については未だ検証されていません。区で先例となる新泉・和泉小中学校が開校し半年が経過しました。区がPTAなどの学校関係者や地域と10年近く話し合いを重ねてきたことでようやくPTAや地域の理解を得ました。しかし、施設一体型の行事のあり方などの課題もまだ残っています。小中6・3制は、6年生が最高学年としての自覚を持ち成長が促されることから専門家がその意義を認めています。和泉学園の検証をしっかり行い、今後、施設一体型一貫校を基本として拡大するのではなく、地域の実情に応じたありかたを検討するよう求めます。
図書館の全面改修は、2013年3月に制定された杉並区図書館サービス基本方針に基づき計画されることを確認しました。計画の検討にあたり利用者懇談会を開催しひろく区民の意見を聞くこと、図書館協議会や図書館職員、図書館の専門的知見を活かすよう求めます。

以上の評価と要望を申し上げ、認定第1号杉並区一般会計歳入歳出決算、認定第2号国民健康保険事業会計歳入歳出決算、認定第3号介護保険事業会計歳入歳出決算、認定第4号後期高齢者医療事業会計歳入歳出決算、認定第5号2014年度杉並区中小企業勤労者福祉事業会計歳入歳出決算については賛成といたします。
終わりに会派の資料請求に誠実に応えていただいた職員の皆様に深く感謝申し上げ、いのち平和クラブの意見といたします。

第3回定例会一般質問   2015.9.11 そね文子

どの子もその子らしく育つための性の学びと支援について

いのち・平和クラブのそね文子です。質問に先立ち、先日の台風18号によって被災された方々に心からお見舞い申し上げ、すべての人の一刻も早い救済を望みます。
それでは、会派の一員として、どの子もその子らしく育つための性の学びと支援について質問します。

今年8月、大阪府寝屋川市の中学生2人が犠牲となった事件は、容疑者が過去に性犯罪を繰り返していたことが明らかになっています。また昨年3月、川口市で祖父母を殺害し窃盗をはたらいた当時17歳の少年は、幼少時に性的虐待を受けていました。これは最近の例で、少年犯罪に詳しい専門家は、子どもが巻き込まれる深刻な事件の背後には、昔から歪んだ性的環境が影響をおよぼしているケースが多いことを指摘しています。

また近年はインターネット環境が普及したことで、SNS等を利用して子どもが性的情報に簡単にアクセスできるようになり、30年前に比べると今はその機会が600倍と言われています。出会い系サイトやJKビジネスなどを通して、子どもが性的商品にされる被害もあとを絶ちません。一方、子どもが匿名でかけられ、なんでも話していい子ども専用電話では、つながった電話の2割を、性への興味・関心、性行動、性の多様性などを合わせた性に関することが占めているとの報告がされています。特に男子では、この割合が3割以上にも上っています。性の悩みを相談する場がなく、基本的な知識がないために思い悩んでいる子どもが多いということです。

このような状況にあって、性に関する正しい知識を学校で学ぶことは、差し迫った急務であると考えます。子どもが自分で危険を回避し自分の体も心も守るため、そして自尊感情を高め、生きる力を育てるための性教育を区は積極的に進めていただきたいという立場から以下、質問いたします。
まずは小項目の1番目として、小学校や中学校の性教育の取り組みについて伺います。

いま社会に氾濫している性の情報の多くは、女性の人権や尊厳を無視した女性蔑視であったり、好奇心をあおり興味本位の偏ったものだったりしています。そのような環境のもとで、子どもが性的犯罪の被害者になるだけでなく加害者になることもおきています。実際に、子どもが巻き込まれる事件はどの程度発生しているのでしょうか。また、そのような事件を回避するための取組みが必要と考えますが区の認識はいかがか、うかがいます。

私は、有効な予防策のひとつが学校での性教育だと考えます。学校で教えることが重要なのは、どの家庭にももれなく指導でき、子どもが開かれた知識として受け取ることができる、子ども同士でほかの子と同じ情報を持つことで安心感を得られる、などの意味があるからです。性教育は、生きることすべてに関わる教育です。教職員で組織されている東京都中学校性教育研究会が発行した冊子に、「命と人権の未来の教育が本来の性教育のもとになっています」という一文がありましたが、まったく同感です。子どもの身体や心の成長に合わせて、命の尊さ、生きることの意味を考えることを通して、自己の存在を肯定し、生きる力を育てる本来の性教育が行われることを願うものです。

2問目として、学校における性教育がどのように実施されているのか、小中学校それぞれについて概要をお示しください。
学校の養護教員は、保健室に日常的に持ち込まれる性の相談やトラブルに対応する中で、性教育の必要性を強く感じるそうです。しかし、これまで学ぶ機会がなかった性教育の授業を自分が行うことには不安もあり、外部の講師を呼んで授業ができれば助かると聞きました。このような希望に学校は対応しているのでしょうか。NPOなどの出前授業などを取り入れた性教育も必要と考えますがいかがか、3問目としてうかがいます。

ところで、子宮頸がんワクチンの副反応問題についてこれまで取り上げていますが、この接種は初めて性交をする前に打たなければ意味がないとされ、厚生労働省が6年生から対象としたものです。ところが学校で行われている性教育は中学3年が対象です。これでは整合性に欠けると言わなければなりません。

厚労省の統計によると、毎年約2万人の10代の女性が妊娠中絶をしています。子どもの電話相談員から聞いた話では、妊娠して困ってかけてきた高校生から「避妊て何ですか?」と聞かれて耳を疑い、月経の周期や妊娠のメカニズムについてもまったく知識がない子どもの多さに暗澹たる思いがするとのことでした。OECD加盟国でエイズが増え続けているのは日本だけという状況もあります。望まない妊娠もエイズも減らしていかなければなりません。男女ともに性衝動や性的欲求があるのはいのちを繋いでいくために必要で自然なことや、その衝動をどのようにコントロールするかを学んでほしいと思います。

しかしながら、いまの性教育のあり方は、深刻な性犯罪が実際に起きている現実社会にとても追いついていないと感じています。そこで、現在の性教育の課題はどのようなことだとお考えか、学習指導要領や東京都が発行する性教育の手引きに書かれた規定が足かせになっていることは想像がつきますが、あえてその認識を伺いたいと思います。ご答弁をお願いします。

性の情報がインターネット空間やマンガ等に商品として溢れているなかには、「男は男らしく、女は女らしく」という伝統的に押しつけられてきた価値観や、支配する性としての男性、支配される側の女性という思い込みに基づくものが多く、子どもは誤った大量の情報に繰り返し触れることになります。情報に対する批判的な視点を持ち、選択するための判断能力、すなわちメディアリテラシー教育の重要性が高まっています。そして、学校図書館に子どもが手に取れる良質の書籍を置いていただくことも性の正しい知識を得るためには必要だと考えます。見解をおうかがいします。

ここで、民間の団体が行っている「誕生学」という試みについてご紹介したいと思います。区内の小学校などでも保護者の主催により子どもに向けて行われてきたものです。お父さんの数億個の精子の中のたったひとつがお母さんの卵子と出会い、その0.1ミリの受精卵がいのちのはじまりで、お母さんのお腹の中で38週間を誕生に備えて過ごし、いのちの道を通って生まれてきた。自分が尊い存在だと体で実感するのが誕生学です。昨年は区内15校の小学校がおもに2分の1成人式のときの講演会でこの誕生学を実施したと聞いています。保護者の思いで行われてきた講座ですが、参加した大人から、性教育のひとつとして多くの子どもに体験してほしいという声がいくつも届いています。

性教育をとおして、自分の身体は性器も含めてすべて大切、そしていのちを繋ぎ、愛情を表現するための性交や性衝動があることも含め、すべてが尊いということを子どもが理解し、自尊感情を高められる教育を行っていただくよう要望いたします。

次に小項目の2番目として、性教育の担い手について伺います。
多くの教職員が性教育の授業を行うことを難しいと感じるのは、今の大学の教員養成課程に性教育の講座がないのが1番の問題だ、とある専門家から聞き、驚きました。担い手の人材育成が軽んじられていると言わざるを得ません。授業を行う教職員への研修が必要だと考えますが、それはどのように実施されているか、うかがいます。

東京都では、10年前の石原都政の時代に性教育バッシングが起きて授業が困難になり、指導方法の伝承も途絶えて行ったと聞きました。教員同士で学びの継承が必要だと考えます。区の認識をうかがいます。

さて、当然ですが性教育は学校だけで行うものではありません。そこで次に、学校以外の場での学びについてうかがいます。
親のための性教育の講座を行っている子育て支援団体の方の話を聞きました。子どもは小学校入学前から、「赤ちゃんはどうやって生まれてくるの?」とか、「お母さんから生まれる赤ちゃんが、どうしてお父さんに似ているの?」など、素朴な疑問を親にぶつけてきます。それにどのように答えるのか、親が戸惑い悩むとの声は多く聞かれます。講師は、子どもが聞いてきたときに、その子の発達に応じてまっすぐ向き合い答えることが、その後の親子の信頼関係、性の問題で子どもが本当に困ったときに相談に乗れる関係を作るために大切だと話してくれました。

区としても子育て家庭への支援の一環として性のことを子どもの発達段階にあわせ、伝える方法を学ぶ、親のための講座を行ってほしいと考えます。区の考えをうかがいます。

地域の図書館ももちろん有効な学びの場と考えます。YAヤングアダルトコーナーなどで、さりげなく、子どもが手に取りやすいように性のことが学べる本を配置する工夫も必要だと考えますが、いかがでしょうか。うかがいます。

また、先ほど述べたように、保護者に対する性教育の本も充実させていただくことを要望いたします。

つづいて性的少数者、いわゆるLGBTsの視点から質問いたします。LGBTsとはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字とこの4つではない、その他の性の有り様を持つ人たちという意味で使います。
先日、会派の勉強会で性的少数者の当事者から話を聞く機会をもちました。そのお話は「子どものころは男女を意識せず過ごしてきたが、身体に変化が現われるころから違和感を持ち始めた。でも子どもはそれを言葉に出すことも、相談する場所もわからない。中学生になると男女別の制服があり、それに耐えられずに不登校になった。同じ境遇の仲間に会うのは大人になってからで、親を含め長い期間、誰にも話せず、ずっと孤立してきた」ということでした。このような状況を改善したいと思いました。

そこでまず、文科省が今年4月30日に出した通達「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」の内容について、それはどのようなものか確認します。また、通達を受けて現場での取り組みが必要だと考えますが、学校現場での取組みについて区教委のお考えを、併せてうかがいます。

当事者の方によれば、もし性的少数者に対して支援する意思があるなら、それがわかるように、その象徴となる虹色のものを身に着けるなどの工夫をしてほしいとのことです。学校内では保健室やスクールカウンセラーのいる相談室にLGBTの説明と共感を示す掲示をすること、来室した子どもの目につく場所に関係書籍を置き、そのことで悩んでいる子どもが相談しやすい環境を整えていただくことが助けになると考えます。学校で対応していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、うかがいます。

性教育の授業では、「思春期には異性に興味を持つのは自然なこと」などの表現に当事者は自分が異常なのかと傷つきます。性教育の際には、「多くの人が異性に関心や好意を持つようになるけれど、同性まだは両方の性に好意を感じる人、そもそも恋愛感情や性的欲求をもたない人など多様な人たちがいる」ということを付け加えるなど、指導者には、性的少数者のことも念頭に置いて話していただきたいと思います。

また、テレビでは同性愛者などの性的マイノリティをネタにして笑いをとる番組が多く作られています。それを先生や子どもが学校で口にすることがありますが、それは人権侵害で恥ずかしいこと、傷つく人がいることを意識し、子どもたちにも話せるようになって頂きたいと思います。また、学校図書館や地域の図書館のYAコーナーに性的少数者に関する図書も配置していただくことも
、合わせて要望いたします。

最後に、性についての学びや課題に取組むうえで必要な、庁内での連携について伺います。

最初の質問は、デートDV、恋人同士の間でおきる暴力についてです。ここでこの問題をとり上げるのは、ある調査では、若い女性の4人に一人が経験したと答えているといい、それが性被害と本質的に同じ問題を秘めているからです。子どもが性について正しく学び、適切な情報に接することが、このような問題の未然防止に必要なことだと思っています。デートDVについては男女平等の観点でとらえる自治体が多いようですが、埼玉県の取組みについて紹介させていただきたいと思います。埼玉県では男女共同参画課が「知っていますか?デートDV」というパンフレットをつくっており、それを県内の全中学校に配っているとの話を聞きました。議長、ここで実物をお見せしてもよいでしょうか(と許可を求める)。

こちらになりますが(実物を示す)、モデルとして描かれているのは制服を着た男女で、子どもにもわかりやすい内容です。いくつかの中学校ではこのパンフレットを使って性教育の授業の中で活用しているとの話でした。庁内連携の見本のような例だと思います。

杉並区の男女平等推進センターでは、デートDVの講座を企画したこともあると聞いていますが、パンフレットなどの作成は行っているか伺います。デートDVの未然防止対策として、義務教育で全員の手元にわたる中学校で配布してほしいと思いますが、区の考えをうかがいます。または講師を派遣するなどの連携はとれないか、併せて伺います。

最後は、先ほども述べた性的少数者に関する質問です。

電通総研の今年度の調査では、日本の性的少数者は7.6%存在するという結果が出ています。杉並区にも4万人以上の当事者がいるという計算になります。このうち、性同一性障害を持つ方は戸籍の性と外見が違うことにより区の窓口で苦慮することがあるといいます。改善は計られたと聞きますが、行政書類の本人記載欄には依然として男・女に○をつけるものが存在し、どちらに○をつけるかで苦しい思いを強いられ、トラブルが起こるということです。選挙では、投票所入場整理券からは性別欄が撤廃されていますが、受付でのバーコード読み取り時に、戸籍と見た目の性が違ったため受付担当者が不審がってそこを通過させてもらえず後ろに長蛇の列ができてしまい、本当に困ったという話をうかがいました。このようなことがあるので性同一性障害を持つ方は選挙に行かない人やいけない人が多くいるということです。このような状況を少しでも改善するためには区の職員への研修も必要と考えるところですが、区の考えをうかがいます。

当会派のLGBTsについての勉強会には区職員の方も担当課や関連部署から多数ご参加くださり、貴重な質問もいただいたことを一同嬉しく思いました。渋谷区や世田谷区では、同性カップルを配偶者と同等と認めて証明書や宣誓書を発行するなど独自の取り組みを進め、当事者の人たちに希望をもたらしています。

子どもがきちんと性を学び、大人も一緒に学び直す機会を保障することで、杉並区には性的少数者を含むすべての人が、その人らしい生き方ができるような社会を目指していただきますよう、会派一同要望し、また私たちも協力していくことを申し上げ、私の質問を終わります。

小松久子レポート6号2015.7.10発行

都議小松さんニュース6表小松レポ30

憲法違反である安保関連法案を廃案に!

違憲立法に反対する杉並区議会議員有志・声明

私たち杉並区議会議員有志は、昨年7月1日の「集団的自衛権行使容認」の閣議決定に危機感を抱き、その撤回と日本国憲法の平和主義と立憲主義を政府が堅持することを求め、共同の取り組みを行ってきました。
戦後70年にして、政府が同じ過ちに踏み出そうとするいま、私たちは地方議会から声を上げるべき時と考え、政党や立場の違いを超えて、共同で声明を発することにしました。

6月18日の衆院予算委員会の集中審議で、集団的自衛権の行使容認を盛り込んだ安全保障関連法案について、安倍総理は「国際情勢にも目をつぶって従来の(憲法)解釈に固執するのは政治家としての責任の放棄だ」などと答弁しました。これは6月4日の衆院憲法審査会で自民党が参考人として招請した憲法学者を含む3名が、安全保障関連法を「憲法違反」と指摘したことを否定するものです。また、集団的自衛権の行使容認を合憲とする根拠として、駐留米軍基地に対し1959年最高裁の「砂川事件判決」をあげましたが、判決は「個別的自衛権を示したもの」として多くの憲法学者から「根拠にならない」と批判されています。
また、日本弁護士連合会からも「日本国憲法の立憲主義の基本理念並びに憲法第9条等の恒久平和主義と平和的生存権の保障及び国民主権の基本原理に違反して違憲であるから、これらの法律の制定に強く反対する。」とする意見書が出されています。
こうした状況下で現在、内閣法制局長官の経験者を含む多くの憲法学者が審議中の法案を違憲とし、廃案の呼びかけに賛同する憲法学者は200人を超えました。元自民党幹部の山崎拓、亀井静香、藤井裕久、武村正義らは「歴代政権が踏襲してきた憲法解釈を一内閣の恣意によって変更することは認めがたい」と法案を批判しています。
国会における政府側答弁は二転三転し、ますます混乱を呈しています。共同通信社が5月に実施した全国電話世論調査では、安倍政権の説明不足を指摘する回答が81%に上っています。安全保障関連法案は、戦争に加担しない国として信用されてきた、海外で人道支援活動等を行う日本人の命を危機にさらします。ペシャワール会の中村哲医師は、「他国の軍隊が戦争をすればその国の人々が加担者に映る、侵略者に守られているNGO職員は狙われ、かえって危険になる」と語っています。
政府は安全保障関連法案の審議を平和安全法制特別委員会で進めています。政府与党は6月24日までの国会会期を延長し、アメリカで約束した8月下旬の強行成立をねらっています。
現在、地方議会から慎重審議を求める意見書や廃案を求める意見書が上がり始めています。私たち杉並区議会議員有志は、未来を担う子どもたちに禍根を残さないために、また住民の生命と安全を守るべく、ここに本法案の廃案を求めるものです。

違憲立法に反対する杉並区議会議員有志(17名、五十音順)

市来とも子
太田哲二
奥田雅子
金子けんたろう
河津理恵子
川野たかあき
くすやま美紀
けしば誠一
上保まさたけ
新城せつこ
そね文子
富田たく
原田あきら
増田裕一
松尾ゆり
山田耕平
山本あけみ

第2回定例会一般質問 2015.6.1.奥田 雅子

いのち・平和クラブの奥田雅子です。会派の一員として
1.暮らしのセーフティネットとしての住宅政策について
2.地域を豊かにする空き家の活用について質問します。

いま、住宅政策は、少子高齢化、家族形態の変化、価値観の多様化、経済格差の広がり、地域コミュニティの希薄化、社会保障制度への不安などにどのように対応するかが問われています。住宅問題を単に箱としてではなく、ひとりで住むのか複数で住むのか、複数なら誰とどのようにどこで住まうのかという、住まい方に応じた住宅問題についての議論が必要です。
私は昨年まで地域福祉の活動に関わってきましたが、住まいに関してニーズと実態がかみ合っていないと感じることがいくつかあり、どうすれば解決できるだろうかと考えてきました。

一つには、世代間におけるニーズの違いです。広さを必要とする子育て時代には経済的余裕もなく十分な広さの住まいの確保はままならないのに比べ、高齢世帯は広い住宅に一人暮らし・二人暮らしというような不経済・不効率なことが多々起こっています。国交省が出した「H26年度住宅経済関連データ」でも、子育て世帯は「住宅の広さや間取り」に対する不満を多く持っている一方で高齢世帯は「住宅が広すぎて管理が大変」という回答が増加傾向にあると指摘しています。
二つ目には貧困が社会問題となる中、住宅ストックとしての数は十分足りているにも関わらず、住むところのない住宅困窮者が増えていることです。どんな状況にある人も住まいの確保は生活の最低条件として憲法でも認められた生存権にかかわることですから、市場からこぼれ落ちてしまう人に対するセーフティネット住宅の整備が必要です。
三つ目に、日本の住宅市場における中古物件の割合が欧米に比べて低いということです。メンテナンスやリフォームしながら長く大事に使う文化が形成されてこなかったことが空き家の増加問題の一因だと考えられます。まだ使える家は、小規模なリフォームや大胆に改修するリノベーションもふくめて手を加えることで、空き家にしないように促す政策誘導が必要です。これまで空き家は個人資産という性格上なかなか対策が進みませんでしたが、国の法整備を受けて自治体でも検討が始まっており、期待するところです。特に、私は「まちの縁側」ともいうべき、元気な高齢者や親子連れも立ち寄れる居場所を実際に地域の中につくってきたという経験から社会貢献的な空き家の利活用について注目しています。
そのような問題意識から以下、質問いたします。

最初に、暮らしのセーフティネットとしての住宅政策についてです。
今年度から施行された生活困窮者自立支援法の議論を通して、これまでの行政施策では単身の若年低所得者が住宅施策の主な対象になってこなかったことや、”貧困ビジネス“の温床となる無届施設の増加などへの対応が十分ではなかったことも浮き彫りとなりました。またネットカフェ難民に見られるように、とくに若者世代に、定住する住居がないために就職できない、定職に就けないからアパートなどが借りられない、といった悪循環が生じています。高齢者や障がい者、外国籍住民など、保証人が見つからないために民間賃貸住宅への入居が困難になっているなど、安定した生活基盤を築くためには住まいの確保が欠かせない課題となっています。

昨年2014年に策定された第5次杉並区住宅マスタープランは、2008年度から2017年度までとされた第4次マスタープランを、期の途中で見直す形となりました。第4次マスタープランで掲げられた基本理念は「ともにつくり ともに暮らす すぎなみのいえ・まち・ひと」でしたが、第5次は「誰もが安心して住み続けられる良好な住環境の実現」とされました。その中で、住宅確保要配慮者向けの住まいの整備や空き家対策が重点に掲げられたことを評価しています。この視点に着目し、現状および今後の施策の方向性についてお聞きしていきます。

1点目として、「杉並区の住宅政策について」です。
1-1-1「誰もが安心して住み続けられる」という文言は第5次マスタープランの重要なキーワードと考えます。区はどのような意図でこの基本理念を掲げたのか、見解をお聞きします。

1-1-2「杉並区総合的な住まいのあり方に関する審議会」が区長の付属機関として5月15日からスタートし、高齢者や子育て世代、障がい者の住まいについて検討していくと伺いました。先ほども述べたように住まいは誰にも平等に保障されるべき問題であり、数の確保やハード面の整備とともに、質を担保するソフト面の充実も重要です。また、現在すでに住まい方が多様化している実態にそって、既成概念にとらわれない議論を期待しています。審議会ではこれらを同時に検討していくことが必要であると考えますが区の見解をお聞きします。

2点目「住宅確保要配慮者への住宅支援について」特に公営住宅における対応についてです。
住宅確保要配慮者は、2007年に制定されたいわゆる「住宅セーフティネット法」において低額所得者、被災者、高齢者、障がい者、子どもを育成する家庭等と示されていますが、その中にはひとり親家庭やDV被害者、児童養護施設を18歳で退所した後の若者なども対象としてイメージしておくことが必要だと考えます。そのことを前提に以下、お聞きします。
1-2-1まず、公営住宅への入居についてです。要配慮者には公営住宅の抽選に際して、一般の人の5回分くじ引きの機会があるという抽選アドバンテージがついています。しかし、それでも抽選漏れしてしまった場合の次の救済策としてアパートあっせんや応急一時居室提供がされると伺いましたが、それらを通して要配慮者は住まいの確保が出来ているでしょうか?現状と課題をおたずねします。

1-2-2バリアフリー対策については、エレベーター設置は昨年度中に完了し、今年度からはスロープや手すりの設置をすすめていくと伺っていますが、多くの公営住宅は1階の玄関や集合ポストまでにも数段の階段がある場合が多く、早急(さっきゅう)な対応が求められています。住民からの聞き取り調査などを行い、バリアフリー対応についてニーズを把握すべきと考えますがいかがでしょうか?見解を求めます。

1-2-3また、今後、高齢独居や高齢に伴う障がいなどがますます増加すると予測される中、単身者用住宅や車いす使用者住宅の数は絶対的に不足していくと考えますが、その対策について区の見解をお聞きします。

1-2-4現在の区営住宅等の維持管理業務委託は主に修繕を中心とした内容になっているようですが、その業務委託内容に日常の見守りや相談・情報提供などの機能を加えていくことが出来れば、孤立しがちな高齢者や子育て家庭などの暮らしの安心度が高まり、住まいの質が向上すると考えます。いかがか、区の見解を求めます。

公営住宅の需要と供給の現状を見ますと、供給数が不足しているのに対し、独居であり
ながら家族世帯用の住戸に住み続けている世帯数は264世帯あります。この方々も最初は
家族で入居し、時間の経過とともに結果としてそのような状況にあるのだと推察しますが、
限られた戸数の住戸をできるだけ多くの、特に住宅確保要配慮者に提供していくための方
策を検討する必要があると考えます。単身世帯用への住み替えを促すことで空いたところ
に子育て家庭が入るというのも一つの例ですし、隣り合う住戸をつなげてグループホーム
などへ転用する事例も広がっています。また、退去後の原状復帰工事の時に改修を加える
ことで、家族でもカップルでもない他人同士が互いにプライバシーを確保しながら同居す
る、シェアルームのような住まい方ができる環境につくりかえることも考えられます。
今後、新たな公営住宅の建設が厳しい状況の中、知恵と工夫によって区民の課題の解決に取り組んでいただきますようお願いいたします。

続いて3点目として「誰もが安心して住み続けられる住環境の実現に向けた体制について 」伺います。
1-3-1マスタープランの「計画を実現するために」の項目で、「住宅確保要配慮者に対するセーフティネットについては国や都だけでなく、区民・民間事業者・NPOなど様々な主体が連携を推進していく中で居住支援、自立支援や良好な住宅市場の形成を働きかけていく。そのために、広く区民や民間事業者等が参加できるしくみづくりを行う」とあります。そのしくみづくりとは具体的にどのようなイメージを描いておられるのでしょうか、区の見解をお聞きします。

1-3-2区民の暮らしに寄り添ったしくみにしていくためには、まちづくり・福祉・保健・医療、防災など多方面の視点を取り入れることが必要です。第5次マスタープランには、これら関連部門との連携による庁内推進体制の強化と進行管理が掲げられていますが、具体的にどのような形で推進していかれるのか、おたずねします。

4点目、この項での最後の質問です。「情報・広報、相談体制について」伺います。
1-4-1住宅セーフティネットとしてあげられる住まいには、区営住宅・都営住宅、高齢者住宅みどりの里、シルバーピア、サービス付き高齢者向け住宅、都市型軽費老人ホーム、特養やグループホームなど多種多様なものがあります。多様なニーズに応え選択肢が多いのは望ましいことですが、区民には違いが非常にわかりにくくなっています。自分の状態や経済状況、今後の変化予測に照らし合わせ、どの仕組みが使えるのかが見てわかるように一覧になっていると当事者やその家族にとって助けになると考えます。さらに、住まいに関してなんでも相談できる場があれば、と思います。一番望ましいのは、コミュニティソーシャルワーカーが配置された「暮らしの困りごと総合相談窓口」のようなしくみだと考えていますが、ここでは、まずはあらゆる人を対象とした「住まいの総合相談窓口」的なものを想定しています。そのようなしくみづくりについて、現状の情報ツールの有無、住宅に関する情報提供や相談の体制についておたずねします。

次に、2項目目の「地域を豊かにする空き家の活用について」の質問に移ります。
空き家の増加が問題視されている昨今ではありますが、その中にはまだ十分使えるものもあります。整備・改修することで人と人の出会いの場や地域活動の拠点として活かしていくという発想に立つと、これを活用しない手はないと思います。
その視点でまず、「空き家を所有する側への支援」について3点お聞きします。
2-1-1 1点目です。マスタープランの中の空き家等対策の項目に「空き家の利活用、建替えや除却等の対応策を平成26年度中に検討し、安全・災害対策を推進する」とありますが、昨年度どのような検討がされたのかお聞きします。

2-1-2 さて、区は2012年度、空き家の所有者へのアンケート調査を実施されました。この結果によって具体的な状況が見えてきたと思います。特に「空き家の利活用を検討したい」と回答した16件、東京都の空き家活用モデル事業利用を「希望または検討」と回答した13件については今後、事例につながることを期待したいところです。区として実現に向けた取組みが求められていますが、2点目として、実際のすすめ方のイメージをおたずねします。

2-1-3 3点目、このアンケート調査で空き家の利活用方法に関する設問についてです。「賃貸住宅として貸し出したい」という回答が5件、「区の事業の拠点として貸し出したい」が2件、「建物・土地を売却したい」が4件、「建物を取り壊して公共用地として行政に使用してもらいたい」が2件ありましたが、私が期待したいところの「ボランティアや地域活動に貸し出したい」という回答は残念ながら0でした。資産は運用するか売却するかのイメージはあっても、社会貢献的な活用についてはなかなかイメージしにくく、選択先として考えられないのだと思います。けれど、私はぜひとも地域貢献的な活用を引き出していきたいと考えています。空き家の利活用について学びの場や見学会など実例を知る機会があれば、これを促すことにつながると考えますし、空き家にしないための予防策にもなると考えます。空き家の社会貢献的活用について区が積極的に発信していくべきと考えますが、見解をお聞きします。

最後に「空き家を活用する側への支援」についてお聞きします。
2-2-1いま、空き家の活用事例は様々な地域で展開されています。元気な高齢者や親子連れ、障がいのある方などが気軽に立ち寄れて会食などもできる居場所に造り変える取り組みが市民の間で広がり、たすけあいの拠点ともなっています。ほかにも、グループホーム、若者や高齢者のシェアハウス、子育てや子ども支援の拠点、NPOの共同事務所などニーズや考えられる用途はたくさんあるものの、法の壁が実現を困難にしている場合が多い状況です。先駆的な事例情報を収集して具体的な実践例を区が率先してつくってほしいと考えますがいかがでしょうか? 区の見解をお聞きします。

2-2-2先にも少し触れました通り、私はこのたびの選挙の前まで、そのような市民の取組みをすすめる活動の場に身を置き、このような居場所を「まちのほっとスペース」と呼んで地域のなかに増やすことに努めてきました。この活動をとおして目にしてきたのはこのような事業は営利を目的としていないため、安価な家賃であってもどこも運営は厳しく、スタッフの報酬も少ない中で支えられている状況です。空き家を活用した居場所づくりは、これからの地域包括ケアの形成にも有効なしくみになりうることが、実践からも確実に見えてきています。このような市民の活動を誘導するための区の積極的な支援が必要だと考えます。最後の質問として区の見解をお聞きします。

以上、杉並区基本構想でうたわれた「支え合い共につくる 安全で活力あるみどりの住宅
都市 杉並」を実現するため、区の前向きな答弁を期待して、私の質問を終わります。