Archive for suginami

第1回定例会 市橋綾子の質問と答弁

【Q】  ● 第6期介護保険事業計画(案)が策定されたが、これまでの要支援1、2の方に対する介護予防サービスについて、区はどのような評価をし、今回の計画策定に取り組んだのか、伺う。

【A】    現在の第5期介護保険事業計画期間までは、要支援者の自立支援に向けた介護予防サービスを通じて、要支援者に対する様々な生活支援や心身機能改善に取り組んでいますが、高齢者の皆さんが、医療や介護が必要になっても、住み慣れた地域で、安心して暮らし続けるには、更に日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を促していくことが重要になってくると思います。

今般の介護保険制度改正では、地域包括ケアシステム構築を更に推進するため、リハビリテーションの理念を踏まえた、新たな介護予防・日常生活支援総合事業をスタートさせようとしています。

区においても、地域包括ケアシステム構築の推進を念頭に、介護予防の更なる充実を目標に、第6期事業計画策定に取り組んだところです。

 

【Q】  ● 今回の制度改生では地域包括支援センターの体制強化が目指されている。第6期介護保険事業計画(案)では、どういう絵を描いているのか、重点的な取り組みは何か伺う。

【A】    この計画(案)では、全てのケア24に「地域包括ケア推進員」を配置して体制を強化し、医療・介護の連携や認知症対策の充実、生活支援サービスの体制整備に向けた地域づくりを本格化していくために、重点的に取り組む内容を明らかにしました。

具体的には、医師をリーダーとする在宅医療地域ケア会議を補佐し医療・介護の連携強化を図ることや、区の認知症地域支援推進員との連携による認知症施策の推進、高齢者の生活を支援するための担い手の養成やそのネットワーク化です。

【Q】  ● 第6期介護保険事業計画(案)に対するパブリックコメントでは、どのような意見・要望が寄せられたか、件数と内容を伺う。計画に反映するべきものがあったか伺う。

【A】  昨年12月1日から今年1月5日まで区民等の意見提出手続きを行い、16件の意見等をいただきました。内容は、今回の制度改正により創設される介護予防・日常生活支援総合事業について、特に予防給付から介護予防訪問介護や介護予防通所介護が地域支援事業に移行することへのご意見が多かったです。 ご意見や国からの通知等を踏まえ、計画(案)は、新たな記述の追加やグラフ・用語について、わかりやすく説明を加えるなどの修正をしました。

【Q】  ● 総合事業の実施時期はいつの予定か。複数の関連する所管があると思うが、どのような体制で検討していくのか伺う。

  •  区民に対し制度改正の説明を3回したと聞くが、その周知方法や時期、対象者、参加人数、参加者の意見等、開催状況について伺う。
  •  総合事業のサービスの提供側となる民間営利事業者、非営利市民事業団体等への対応として、今後どのような場を設定していくのか、時期も含めて伺う。

【A】   総合事業の中で、予防給付から地域支援事業に移行する介護予防・生活支援サービスについては、平成28年度当初から実施する予定で、すでに制度移行に伴う保険者業務の準備のために、高齢者担当部を中心に保健所とも連携しながら、詳細な事務の流れ等を検討しています。

制度改正に関する説明会は、昨年12月1日の区報やチラシ配布の他、介護事業者に対して個別通知で周知し、区民向けの説明会は、区内3か所で実施し役60名の参加、2回実施した訪問介護事業者や通所介護事業者対象の説明会では約450名の参加がありました。参加者からは、今回の制度改正の概要や総合事業に関する質問・意見がありました。また現在、訪問介護事業者や通所介護事業者を対象に、国の総合事業ガイドラインに対する意見や総合事業のサービス提供意向について、アンケートで調査中です。今年度中に、次の事業者説明会を行う予定ですが、介護事業者以外に地域で高齢者を支援している団体からも、機会を捉えて意見を伺う予定です。

【Q】  ● NPOやボランティアによる訪問型サービスや通所型サービスが、第6期の介護保険事業計画(案)に挙がっていないのは疑問。どのような判断をしたのか、その理由は。早急に検討すべきと思うが、その予定はどうか。

  •  地域のNPO法人やボランティア団体によるサロン活動などの実態把握が必要と思うが、いかがか、区は調査しているのか、今後も調査していくのか。
  •  地域のNPO法人やボランティア団体の活動が地域包括ケアシステムを支える社会資源として、区は捉えているのか、そのような団体の意見を聞くべきと思うが、いかがか。

【A】   第6期介護保険事業計画の期間においては、利用者の方が不安なく予防給付から地域支援事業に円滑にサービス移行ができるように進めつつ、ボランティア主体及び住民主体のサービスについても参画できる体制を整え、次の事業計画に反映させていこうと考えます。

地域で高齢者の多様な生活支援を行っている様々な活動や地域のサービス資源は、地域包括ケアシステムを支える上で、重要な社会基盤であると捉えています。そのため区は、地域の多様な高齢者の生活を支える資源について、地域の実態や活動している事業者や団体等から、意見やサービス内容などを把握するとともに、情報共有や情報発信ができるよう努めます。

 

 

【Q】  ● 地域包括ケアシステムの構築のために、生活支援コーディネーターは、高齢者の生活を支える地域資源や人材を発掘する視点をもつことが必要と考えるが、区の見解は。

  •  第1層の協議体の設置も早期にすべきと考えるが、いかがか。時期も構成メンバーも一律ではなく、地域の特性を生かし柔軟に設置していくべきと考えるが、いかがか。
  •  第2層の協議体のイメージはどのようなものか。地域包括支援センターの単位が妥当と思うが、いかがか。
  •  協議体には、地域のネットワークを生かし現状把握、既存のサービスの活用、必要なサービスの開発など、地域で多様なサービスが展開されるよう期待するが、いかがか。

【A】   地域包括ケアシステムの構築を進めていく上で、医療や介護の公的なサービスの充実は当然ですが、地域の支え合いや民間資源を含めた既存の社会資源を活用して、高齢者の在宅生活を支えるためのサービス資源を開発していくことやサービス資源をつなげていく仕組みが重要です。

そこで、新年度早々に区全域を対象とした第1層の協議体を設置できるよう、今年度内に可能な準備を進め、その準備過程で、地域の状況や人材を把握し、高齢者支援活動をしている区民ボランティアの方々等の意見を伺っていきます。協議体設置当初は、核となるメンバーを柱としつつ、整備状況に応じてメンバー構成は柔軟に工夫していきます。一方、地域レベルでの第2層の取り組みは、全ケア24に配置する地域包括ケア推進員の活用を考えています。適切な地域単位で、まずは潜在的な地域資源の掘り起こしや情報共有を徹底することから進めていきます。

 

 

【Q】  ● 総合事業で訪問型サービスや通所型サービスを担うボランティアに対して、適正な養成・研修やその後の受け皿とのマッチングが必要と考えるが、区の見解は。

 

【A】  すでに様々な介護サービスの中で、多様なボランティアが参加していますが、今後、ボランティアがサービスの担い手として、さらに大きな役割を担っていくためには、サービスを提供する事業者や団体がボランティアの養成や研修等を行い、責任ある活動を行える体制を整えていくことが重要です。区としては、様々な活動形態に応じた募集内容や事業者情報の把握に努め、ボランティア活動等に意欲のある方が、こうした活動に参加しやすい環境づくりを進めていきます。

 

 

【Q】  ● 現在の介護予防の二次予防事業について、費用対効果の側面をどのように評価しているのか伺う。

  •  今回の法改正で、要支援者を基本チエックリストで判断するとされているが、有効に機能できるよう対策を考えているか。要介護認定申請についても周知が必要と考えるが、区の考えは。周知の際の留意点をどのように考えているのか伺う。

 

【A】   区はこの間、虚弱な高齢者を対象者にした二次予防事業として、要支援・要介護認定を受けていない高齢者の方に、生活機能低下等の基本チエックリストを送付し、積極的に対象者の把握に努めてきました。その取組からは、二次予防事業に参加する高齢者が少ないことや、改善効果より維持効果の方が大きいことが認められ、より効果を上げるためには、自立支援のためのアプローチが重要だと評価しました。

今回の改正により、要支援者の把握のために基本チエックリストを活用できます。またそれに加えて、要支援者の生活状況を十分に把握し課題や目標を明確にすることで、確実に自立支援につながる介護予防ケアマネジメントを確立していきます。総合事業は、その方の状況に応じて、早めに介護予防の取組や必要な生活支援サービスを提供するものであり、区民の方には、あらゆる媒体や手法を活用し介護保険の認定申請を含め、総合事業の趣旨をわかりやすく丁寧に説明していきます。

第1回定例会 一般質問  2015.2.13 市橋綾子

区議会生活者ネットワークの一員として、介護予防・日常生活支援総合事業(新しい総合事業)に向けた体制について質問します。

2000年に、介護の社会化を謳った介護保険制度がスタートし、2006年には介護予防制度が導入されました。そして昨年2014年6月に成立した、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」により、介護給付の「予防訪問介護、予防通所介護」は給付対象外、一定以上の所得のある利用者の負担割合の引き上げ、小規模の通所介護事業所等の指定権限の区市町村への移行など、介護保険制度は大きく変わることになりました。

なかでも大きな変化は、予防訪問介護・予防通所介護は「新たな介護予防・日常生活支援総合事業(以下、新しい総合事業)」に移行することです。自治体の裁量で、地域の資源を活用して、自由なサービスや料金が決められることになり、生活支援サービスの充実や、高齢者の社会参加が介護予防につながると期待されますが、その体制を整えるためには、既存の事業所に加えて、地域の社会資源、たとえばNPOや元気な高齢者も含めた地域のボランティアが、介護予防や生活支援などの担い手になることが想定されています。

区は、この新しい制度開始を前に急ピッチで準備を進めておられると思いますが、杉並区として何をめざしどのように取り組んでいかれるのか質し、現場で活動する立場の人たちからの提案もふくめて、質問したいと思います。

昨年9月の第3回定例会で、私は「2025年を見据えた介護保険制度のあり方と地域包括ケアシステムについて」質問をしました。国からの情報提供が不十分ななかでの2015年度からの制度改正への対応に加え、第6期介護保険事業計画案の策定に向けた準備段階でもあり、うかがった質問に対して多くは「これから検討」とのご答弁でした。

第6期介護保険事業計画案が策定されたいま、改めて「新しい総合事業」の体制づくりを6つの視点、1.第6期介護保険事業計画案について、2.新しい総合事業に向けた準備について、3.新しい総合事業の多様なサービスについて、4.生活支援コーディネーターと協議体について 5.サービスを担うボランティアの養成について、6.介護保険制度の周知について、質問します。

まず、第6期介護保険事業計画(案)について3点うかがいます。
今回の介護保険制度改正があり、区においても第6期介護保険事業計画(案)が策定されましたが、これまで区が取り組んでこられた介護保険事業、なかでも要介護1,2の方に対する「介護予防サービス」について、区はどのような評価をし、今回の計画策定に取り組まれたのか、お伺いします。

田中区長は昨年、2期目に向けた所信表明演説で、地域包括ケアを推進する必要性を述べられ、先日の予算編成方針のなかでも、「医療や介護が必要になっても、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう地域包括ケアシステムの構築を進めていく」と力強く述べておられました。地域で相互に助け合い、支え合って暮らせる地域をつくっていきたいと考え、実践もしてきた私どももその実現に大いに期待するところですが、区はこの計画案で、どういう絵を描こうとしているのでしょうか、また計画の重点的な取組みは何か、あわせて伺います。

昨年12月1日から年明けの1月5日まで、第6期介護保険事業計画案がパブリックコメントにかけられました。区民からどのような意見・要望が寄せられたのでしょうか。件数と内容について伺います。また計画に反映するべきものがあったのでしょうか、伺います。

次に、新しい総合事業に向けた準備について3点伺います。
新しい総合事業の実施時期は、いつを予定しておられるのでしょうか。また、複数の関連する所管があると思いますが、どのような体制で検討していかれるのか、併せて伺います。

これまで介護保険制度により「要支援1・2」の認定を受け、専門職による介護予防給付を受けている方から、地域支援事業に移行することで、これまでと同様のサービスが受けられなくなるのではないか、といった不安の声が聞かれます。区はこれまで、区民に対して制度改正の説明を3回行ったと聞いていますが、その説明はいつ行われ、その説明会の周知方法、対象者、参加人数、どのような意見が出されたのでしょうか、伺います。

介護保険制度は改正のたびに複雑になっています。私も、今回の制度改正の学習会に参加しましたが、1度聞いただけではわかりにくいという感想を持ちました。サービス利用者の不安や心配を払しょくするには、会場に足を運べない人対策としても、おおぜいでなくても、数人集まれば、保険者として説明に出向く体制も必要ではないでしょうか。意見として申し上げておきます。

総合事業のサービスの提供側である民間営利事業者、非営利市民事業団体などから、自分たち事業者の仕事が減るのではないか、事業継続が困難になるのではないか、という不安の声があがっていますが、それだけではなく、ボランティアがホームヘルパーという専門性を持って対応できるのか、という疑問も聞かれます。つまり、「ホームヘルパーは「介護の視点」を養成講座130時間、平均して3ヶ月から6ヶ月間、講義、実技、実習を通して叩きこまれ、プロとしてプライドを持ってヘルパーの仕事に従事している。そこは思いだけで集まるボランティアとは違うことを認識してほしい」という訴えです。ボランティアには対応が難しい、専門的サービスを必要とする人も当然ですが存在します。区としてもそのような現場の声を聞く場を設定することが必要だと考えますがいかがでしょうか、伺います。

次に新しい総合事業の多様なサービスについて4点伺います。
前にも述べましたが、「新しい総合事業」では、NPOや元気な高齢者も含めた地域のボランティアなど、さまざまな提供主体の参加を促す目的があり、今回区が改定する「保健福計画(案)」においても、その整備・充実が明記されています。
ところが今回の介護保険事業計画案には、①現行の指定介護事業所による現行相当のサービス ②基準緩和サービス ③短期集中予防サービス の3つの類型は計画化され、移行スケジュールも明らかにされているものの、新しい総合事業のガイドラインで示されている、NPOやボランティアによる訪問型サービスや、通所型サービスが挙がっていません。なぜなのでしょうか、大いに疑問です。どのような判断をされたのでしょうか、その理由をお答えください。

すでに地域で行われている 見守りや安否確認、外出支援、買い物、調理、掃除等の生活支援は、介護の重度化防止に有効な訪問型サービスですし、高齢者の社会的孤立の防止、社会的関係の回復・維持というニーズに対応するものといえます。また、区の公共施設や空き家や空き室、または「住み開き」といって自宅や個人事務所といったプライベートな空間を、本来の目的を保ちながら限定的に開放される拠点などで定期的に行われているサロンなどは、ミニデイサービスと言ってよい通所型サービスです。このようなNPOやボランティアによる訪問型サービスや通所型サービスを区の施策として位置付け、計画化の検討を開始するべきと思いますが、その予定についても伺います。

先ずは地域にどのようなNPOやボランティア団体があり、どのような活動をしているのか、などの実態把握が必要だと思いますがいかがでしょうか。現在までに行ってきている調査はおありでしょうか、今後の予定についても伺います。
そして、それら団体は今後の地域包括ケアシステムを支える社会資源として期待されるわけであり、区は団体の意見の聞き取りを行うべきと思いますがいかがでしょうか。伺います。

次に、サービスの担い手となるボランティアなどの養成について1点伺います。
総合事業における訪問型サービス、通所型サービスを担うボランティアの導入については、給付抑制を目的にした安易なボランティア導入は問題外です。しかし、導入するからには適正な養成・研修、その後の受け皿やマッチングが必要と考えます。区の見解を伺います。

さて、新しい総合事業では、生活支援・介護予防サービスの体制整備のために、「生活支援コーディネーター」と「協議体」の設置が求められています。
まず「生活支援コーディネーター」についてですが、新しい総合事業は、介護予防サービスの担い手づくり、地域資源を活用することが想定され、地域づくりにつなげていくものだと考えます。この視点から、生活支援コーディネーターに必要なものは「資格」ではなく、高齢者の生活を支える地域資源や、新たな人材を発掘する視点であると考えますが、区の見解を伺います。

次に「協議体」について伺います。
「協議体」は、生活支援・介護予防サービスの多様な関係主体の定期的な情報共有、および連携・協働による取組を推進するために設置されるものです。この事業でのレベルには第1層、第2層があり、第1層は市町村区域で、主に不足するサービスや担い手の創出・養成・活動する場の確保などの資源開発、第2層は、中学校区域で、第1層の機能の下で具体的な活動を展開 とされています。実効性を求めるなら第2層、区域ごとに捉えるべき、という視点に立って3点伺います。

第1層の協議体を区が設置すると伺っていますが、設置の時期を伺います。また第1層を設置後、第2層の協議体も早い時期に設置すべきと考えますが、いかがでしょうか伺います。設置時期も含め、構成なども一律にするのではなく、地域の特性を生かしながら柔軟に設置していくべきと考えますが、いかがでしょうかお答えください。

その場合、第2層の協議体の区域のイメージはどのようにお考えでしょうか。どこからどこまでを一つの地域と設定するのか、福祉のエリア分けを複雑化させないためにも地域包括支援センターの単位が妥当に思うところですがいかがでしょうか、伺います。

「協議体」が持つべき機能について伺います。地域のネットワークを生かして、地域の現状を把握し、既存のサービスの活用、また必要なサービスの開発など、その地域に必要な多様なサービスが展開されるような機能を持つことを期待したいと思いますが、いかがでしょうか伺います。

最後に、介護保険制度の周知について2点伺います。
現在、基本チェックリストにより介護予防の二次予防事業対象者の選定を行っておられますが、費用対効果の側面を含め、どのように評価されておられるのでしょうか、伺います。

今回の改正では、要支援者を基本チェックリストで判断をするとされていますが、有効に機能するかどうか危惧をするところです。と申しますのは、「これまでの二次予防事業対象者の把握のためのものと同じ項目のチェックリストの実施では、初期の認知症など、潜在的なリスクを把握できない」また、「専門職ではない職員に振り分けられることは、サービス抑制のためであって要支援者の介護予防のためにならない」という声が介護認定を行っている現場から聞かれます。これらの基本チェックリスト使用の問題点について、区はどのような対策を考えておられるのでしょうか、伺います。また、「要介護認定申請」が基本であることを周知することが重要と考えますが、周知の際の留意点をどのようにお考えか伺います。

以上、介護予防・日常生活支援総合事業(新しい総合事業)に向けた体制について伺ってまいりました。
地域では、その実情に合わせて市民自らが、誰もが、さいごまで、自分らしく、住み慣れた地域で暮らし続けられるためのしくみをつくる、地域をつくるといった取組みが広がっています。
自分たちの暮らす地域がどうだったら暮らしやすいまちになるのか。住み続けられるまちになるのか。私ども生活者ネットワークは、地域の方たちと共にそのしくみをつくりながら、地域からの提案を区政に届けてきました。

超少子高齢社会を目前にして、地域にある多様なニーズに沿ったサービスを生み出そうとする区民を協働の担い手として区が後押ししていただくことをお願いし、そして私どもも一緒に汗をかく覚悟であることを申し上げ、質問を終わります。

小松久子レポート5号  2014.11/25発行

55b

生活者ネットすぎなみ 95号  2014.11/20発行

SUGINAMI.SEIKATSU.NO.95P1SUGINAMI.SEIKATSU.NO.95P2

SUGINAMI.SEIKATSU.NO.95P3SUGINAMI.SEIKATSU.NO.95P41

決算特別委員会意見開陳  2014.10.10 そね文子

区議会生活者ネットワークといたしまして、決算特別委員会に付託された2013年度杉並区一般会計歳入歳出および各特別会計歳入歳出決算について意見を申し上げます。
当該年度は、自民党安倍政権が誕生後に打ち出した、生活保護費の切り下げ、原発ゼロ政策から再稼働への方向転換、民主主義を後退させる秘密保護法の強行採決での成立、さらに今年度に入って4月の消費増税、解釈改憲による集団的自衛権の行使容認などが加わり、地域に暮らす私たちの生活にも大きな影響を与える出来事がありました。
なかでもオリンピックの東京招致については、原発事故の収束の見通しがたたず、ふるさとを追われた人たちがまだ多数いるなかで、首相が福島の原発から出る汚染水はコントロールされていると世界に向けて発信したことは、福島の人たちを深く失望させました。
国の経済状況を見てみますと、アベノミクスともてはやされた経済政策ですが、デフレ脱却・インフレは進みましたが、原因は円安による輸入品の物価高によるもので、製造業や市民の生活があっぱくされ、消費の拡大にはつながっていません。無駄な公共事業に加えオリンピック関連施設の建設による資材の高騰が震災からの復興の妨げになることが懸念されます。円安・株高の進行で利益を得たのは大企業や富裕層、賃金が上がったのは大企業の正規社員であり、多くの市民には円安による燃料費や輸入食品などの生活必需品の高騰に消費増税が追い打ちをかけています。進行する少子高齢化のなか、生活保護費の増大、子どもの貧困率が過去最悪を更新するなど格差が拡大し、財政上の課題は山積しています。
当区にあっては、杉並区基本構想・総合計画が二年目に入り、その取り組みを軌道に乗せる重要な年でした。区長の任期満了による改選の前に敢えて施設再編整備計画、施設使用料・手数料の見直しを進めたこと、保育施設やこれからますます需要が逼迫する特養の建設に精力的に取り組まれたことは、プロセスについて少々申し上げたいことはありますが、評価をするものです。
財政においては、対前年度比で特別区税は3億円の減となりましたが、全体の歳入は0.7%の増加となりました。収入未済額は3年連続で減少し100億円を下回っています。
持続可能な財政運営を行っていくためのルールの1つ、経常収支比率は、目標80%以内、に対し82.5%となりましたが、前年度よりはやや下回りました。公園の整備、保育施設の整備、高井戸第二小学校や大宮前体育館の改築経費など、区民生活にとって必要な投資と扶助費の増大により、経常的経費充当一般財源等は前年度比0.8%の増となっています。施設再編整備計画を進めるにあたり、先にも述べた資材高騰があることも含め、これからも健全な財政運営のための不断の努力が強く求められます。
さて2013年度決算について、限られた時間ではありましたが質疑を通して、また、いただいた資料をもとに施策の執行状況について調査を行った結果、一般会計並びにすべての会計決算案に対して認定すべきものと判断しました。
そのうえで以下、決算審査の締めくくりに当たり、時間の制約により述べられなかったことや、再確認をお願いしたいことなど、何点か絞って述べさせていただきます。

●施設再編整備計画について
現在「計画」となり、具体的に動き始めている区立施設再編整備計画ですが、計画策定までの一連のプロセスを振り返って一言申し上げます。
計画策定に至るまで、区は住民に向けて精力的に説明会を行い、また議会に対しても全員協議会を2回開いて説明をしてこられました。しかし、この間の施設再編整備に対する住民の方たちの受け止め方を見ますと、区報に出し、地域説明会、町会や各種団体、区民意見交換会も行い、HPにもアップしてパブコメを募集して来られましたが、関心が薄いというのが実感です。区民にお知らせをする手段と方法について検討が必要だと考えます。ただ、今回の関心の薄さは区だけの責任ではなく、私ども議会としても地域に出向き、住民の皆様と対話式の意見交換の機会をつくることもできたのでは、と思うところです。

以前、私どもへの答弁では、今後、個別の施設については、地域に入って対話型で住民の声を聞いていかれるとのことでした。いま、「個別施設に関する説明会」のお知らせが町会の回覧板で回っています。このように地域住民の参加を促す工夫をしていただいて、できるだけ多くの皆さんと一緒に地域の施設について話し合っていきたいと思います。

人口減少社会をテーマにしたお話を、元安孫子市長の福嶋浩彦さんから伺う機会がありました。
人口をはじめ、あらゆるものが拡大することを前提とした、これまでの社会のしくみと私たちの頭の中を根本的に切り替える必要があること。人口減少を「地域の質の向上」に結びつけるという発想を持つこと。公共施設の量は減らしながら機能は維持し、質を高めていくことが必要との内容でした。当区におきましても、地域の質を高める施設再編になることに、私どもも力を出していきたいと思います。

次に福祉施策について申し上げます。

●塾費用助成
2013年度から子どもたちの学習意欲をサポートする施策の1つとして始められたのが、被保護世帯の中学3年生に対する塾代助成です。

自分の環境を選べない子どもにとって、親の貧困は機会の不平等を否応なく子どもにもたらし、そこから抜け出す機会がすでに奪われているのが今の日本の現状です。私どもは、貧困の連鎖を断ち切るために有効な施策として期待しておりました。実際、この制度を該当者29名中19(確認)名が利用。年度途中での塾通いを断念することが回避され、全日制都立高校への進学率は前年度77%だったものが90%に向上した実績に、この施策の効果を確認したところです。

今委員会では支援の仕方について様々な意見がありましたが、被保護世帯の中学3年生が高校進学のために塾で学ぶことへの支援自体には、おおむね議会の賛意は得られているものと思われます。
多重債務の最大のきっかけは子どもの教育費だと言われています。被保護世帯に借金を背負わせることがないよう、また被保護世帯に入らないボーダーラインの世帯に対しても子どもが学ぶためのなんらかの支援が届くしくみをご検討いただくようお願いします。

加速化する高齢者、要介護者の増加と年々1兆円を超える規模で膨らむ医療と介護費への対策として自治体は「高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが24時間365日切れ目なく提供される「地域包括ケアシステム」の実現に取組むことになり、当区においても3つのエリアをモデルとし、「地域包括ケアシステム」づくりに取組んでおられます。このケア体制づくりは地域資源とどれだけつながれるかが、ポイントです。今後、地域にある社会資源を調査し、地域の様々な主体のネットワーク組織と協働でケア体制を打ち立てていただくことを期待します。

在宅介護を支えるセーフティーネットとして特別養護老人ホームの増床計画、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホームの整備、そして保育対応型児童発達支援事業所の開所、待機児解消を図る保育施設等の整備など高齢者、障がい者、保育それぞれの分野に手厚く取り組んでこられている姿勢を評価するものです。

●HPVワクチン被害の対応について
HPVワクチン(通称子宮頸がんワクチン)の副反応被害についてとりあげました。
区が国に対して、早期の原因究明と副反応被害の救済措置を求める要望書を提出されたこと、区長が区内の被害者を見舞われ、一部ではありますが救済対応をとられたことに敬意を表します。
しかし、全国には副反応被害で未来が壊されてしまった少女たちが多数います。今後も原因究明に向けて、区としても接種者全員の調査を行うことを改めて求めます。

次に区民生活分野について申しあげます。
●労働を男女平等の視点で見直す
なかなか計画に乗らないのが男女平等の施策です。子育てに追われ経済的自立が難しいシングルマザーの半数は貧困状態にあります。彼女たちに寄り添う施策を打ち出してしっかりと進めていかれることをお願いします。

非正規雇用の拡大により増加する「ワーキングプア」の問題とともに、長時間残業が常態化した正規社員の働き方の問題も深刻です。現政権は「成長戦略」の中に「女性の活躍推進」を掲げ、女性管理職の登用を打ち出していますが、労働環境が整わない職場で子育てや介護を抱えた女性がその能力を充分に発揮することは困難です。家族のかたちや子どもがいる・いないに関わらず、だれもが自分らしく地域で暮らすためには施策のありかたを点検し、男女がお互いにその人権を尊重しつつ、責任を分かち合い、性別にかかわりなく、それぞれの個性と能力を十分に発揮し、あらゆる分野に対等に参画できる「男女平等参画社会の実現」を市民とともに目指していかれることを求めます。

● 就労支援センター
就労支援施策について申し上げます。当該年度、就労支援センターを利用して就労した人は153人、そのうち定着したと思われる人は142人と目標値を大きく超えました。若者が働けるようになり、支援の対象から納税者になることは本人はもちろん、社会にとっても大きな意味があります。今後さらに履歴書にブランクのある人の受け入れ先を増やし若者が安心、納得して働き、意欲や能力を十分に発揮できる社会となることを期待します。

●協働とまちづくり
協働とまちづくりへの市民参加について伺いました。地域に暮らす人たちが、自分も地域の役に立ちたい、あるいは自ら地域が必要とする事業を立ち上げたいとした時に、それを応援する区であってほしいと考えます。
区民の活動は環境、福祉、防災、食事づくり、サロンなど多種多様です。受け皿としても、区のそれぞれの所管課、NPO支援センター、地域大学などに渡ろうかと思いますが、区民の活動の芽を見つけ、育て、伸ばしていくしくみが必要だと考えています。
今後、所管課の窓口にいらした相談者を具体的な活動につなげていく旨の、ご答弁を頂きました。ぜひ、杉並らしい市民活動への支援のしくみができることに期待をします。

次に教育分野について申し揚げます。

●特別支援教育
特別な支援を必要とする子どもが、学校によっては支援を受けられていない現状があります。特別支援教育コーディネーター教員へのバックアップ体制を整えること、校長先生、副校長先生への特別支援教育への理解を早急に進め、学校によって支援に差が出ることのないよう強く求めます。

最後に環境分野について2つ申しあげます。

●ごみ減量施策
ごみ減量施策についてです。区は粗大ごみから金属を取だし、リサイクルする事業を開始しました。その成果もあって、区民ひとり当たりのごみの排出量が23区で最小になったことについて、今後も誇りをもって施策を進めていただきたいと思います。一方、2015年2月に東京ルールⅢが終了し、これまで店頭回収されたペットボトルを区が収集していましたが、その後は販売店に対応がまかされます。区は、「ペットボトルの店頭回収を廃止します」とお知らせを出していますが、拡大生産者責任を進める観点からこれを見直し、販売店が独自で回収を行うよう促していただくよう求めます。

●地域エネルギービジョン
2011年3月、東日本大震災により福島第一原子力発電所の事故が起きました。都会で暮らす私たちの暮らしは、原発を誘致した地方の犠牲の上に成り立っていることを改めて知ることになりました。この事故の教訓から私たちがめざすべきは、国のエネルギー政策の見直しをはじめとして、再生可能エネルギーの拡大と省エネの一層の推進、地域分散型エネルギー社会の構築です。

杉並区はいち早く、区民の暮らしの快適さと安全性を確保しつつ、環境にやさしいまちを創るため、区の地域特性を踏まえたエネルギー政策の基本的な方向をまとめた「杉並区地域エネルギービジョン-これからの杉並区のエネルギー政策の方向-」を策定したことは大いに評価するところです。今後は、総合計画、実行計画に落とし込まれた区立学校への太陽光発電器と蓄電池の設置などの目標を実現し、自立・分散型エネルギー社会の創出に歩みを進めることを期待します。
最後に安倍政権の原発再稼働方針、武器輸出3原則の撤廃、秘密保護法、集団的自衛権行使容認など民主主義を大きく後退させ、いのちを大事にしない政治状況で、今ほど市民が政治に関心を持つことが求められている時代はありません。私どもは、子どもたちの未来を守るために、これまで以上に、原発依存のエネルギー政策から脱却し、市民の自治を地域から進めることに取り組んでまいります。行財政運営においても環境面からも持続可能な社会を目指し、活動していくことを申し上げ、区議会生活者ネットワークの意見とします。

第3回定例会一般質問  2014.9.12 市橋あや子

私は、区議会生活者ネットワークの一員として
1.2025年を見据えた介護保険制度のあり方と地域包括ケアシステムについて
2.善福寺公園「(仮称)みんなの夢水路」実現のための基盤整備としての洪水対策について質問します。

田中区政2期目に向けた所信表明で、区長は地域包括ケアの推進する必要性を述べられ、ケア24に(仮称)地域づくり推進員の配置、地域資源の開拓や医療と介護の連携、認知症対策、生活支援の充実を図るとされました。また、地域包括ケアのバックアップ機能と生活相談、就労・自立支援機能を併せ持つ総合サポート拠点の整備が打ち出されました。私どももその実現に期待する立場で、2025年を見据えた介護保険制度のあり方と地域包括ケアシステムについて伺います。

団塊の世代が75歳以上になる2025年には、65歳以上の高齢者人口は3657万人、高齢化率は30%とピークを迎えるとしています。この2025年問題を見据え、6月18日、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合確保法)が成立し、サービスや負担が大きく見直されることになりました。特に介護保険法関係では、低所得高齢者の保険料軽減の拡充はあるものの、一定の所得者の自己負担率を1割から2割へ、特養への新規入所を原則要介護3以上に、要支援の訪問介護、通所介護を自治体に移すなど介護保険制度ができて以来の大改正となっています。医療、特に介護という、暮らしに深く関わる制度・しくみが、改正のたびにより複雑に、市民に見えにくくなり、市民が意見を出しにくい構造になっていくことは大きな問題であることを指摘しておきます。このような問題意識を持ちつつ、「介護保険事業計画」「地域包括ケアシステムづくり」「介護予防・日常生活支援総合事業」「協議体・生活支援コーディネーター」について伺います。

まず、次期第6期介護保険事業計画策定に向けて2点伺います。
今回の介護保険制度改正にいたる経緯を振り返ってみますと、2000年に、介護の社会化を謳った介護保険制度がスタートし、2005年までは5年を1期、その後は3年を1期とする介護保険事業計画を策定し、3年ごとに見直しが行われてきました。保険料は3年ごとに事業計画に定めるサービス費用見込み額等に基づき、3年間を通じて財政の均衡を保つよう設定され、そのサイクルに合わせ、これまで3回の大きな法改正が行われてきました。第5期である今期2011年は、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるための、地域の包括的な支援・サービス体制「地域包括ケアシステム」の実現に向けた取り組みが目指されました。そして次期の第6期は、2025年を見据え、第5期で開始した地域包括ケア実現のための方向性を継承しつつ、在宅医療介護連携などの取り組みを本格化していくもので、中長期的な視野に立った施策の展開を図る、としています。

そこで、1点目。第6期介護保険事業計画策定を前に、区として今期介護保険事業計画をどのように総括されているのでしょうか、伺います。

2点目。7月15日、厚労省が発表した2013年の国民生活基礎調査から、同居家族が主に介護を担う世帯のうち、介護される人だけでなく介護する人も65歳以上といういわゆる老々介護の世帯の割合が5割を超えた、との報道は記憶に新しいところです。また、一人暮らしも急増すると言われており、より一層地域でささえあう体制づくりが求められています。2025年問題を見据え、6期介護保険事業計画を策定するにあたり、区はどのような課題があると認識しておられるのか、見解をうかがいます。

次に「地域包括ケアシステムづくり」について伺います。
当区では、2011年からの第5期の介護保険事業計画で「努力義務」とされた「地域包括携ケアシステム構築」に昨年度から取り組まれ、現在、成田、高井戸、方南、という特色の異なる3つの地域で体制づくりの取り組みを進めてこられました。2015年改正介護保険制度の主な改正点としても、この地域包括ケアシステムの構築が費用負担の公平化とともに挙げられています。この「地域包括ケアシステム」の取組みについて2点伺います。

1点目。モデルの3地域では地域づくり担当を置いてケアシステム構築に取り組んでおられますが、先日、内部検討会「第1回地域包括ケアシステム検討会議」が開かれたと聞いています。その会議はどのようなものだったのでしょうか。地域づくり担当を置いた成果がどのように報告されたのでしょうか、また、今後その成果をどのように杉並全域にひろげていくのか伺います。

2点目。3つのモデル地域ではケア24が中心となってケアシステムづくりに取り組まれていますが、ケア24のすべてが、モデル地域のように地域とつながりがもてるところばかりとは限りません。ケア24のこれまでの仕事は限られた体制の中で主にケースワークに向けられ、地域住民を巻き込んだ「地域福祉のまちづくり」を担いきれていないのが実態のように思えます。 そのような中で、後でも触れますが、この度厚労省が発表した「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(案)」の中で参考となる実際の事例として杉並区の事例が紹介されています。
地域包括支援センター型、住民・行政等協働型、社会福祉協議会型、中間支援組織型と並んでNPO型の事例として、成田東の地域での取り組みが取り上げられています。町会・商店会・いきいきクラブ・民生委員・福祉NPOなど地域の様々な主体によるネットワーク組織がケア24と連携をとりながら地域のケアシステムをつくっている事例です。介護者サポートの活動をしているNPOが中心となり、ボランティア養成講座を行って担い手づくりをしながらコミュニティカフェを運営し、様々な企画も行い地域の居場所をつくっています。要支援の人たちの閉じこもりを防ぐための日帰り外出ツアーなども行われ、またそこを拠点に、地域にある社会資源をさがしてマップを作るなどさらに輪を拡げています。定期的な地域運営会議を開催し、関係者による地域の情報交換・意見交換を行い、地域課題の解決に向けて動き出しています。そしてこのような動きが他の地域にも波及し始めています。このように地域資源とケア24が連携してケアシステムづくりに取り組んでいる、といった事例をもう一つのモデルとして注目し、今後の施策に活かしていってはいかがでしょうか、伺います。

次に「介護予防・日常生活支援総合事業」について1点伺います。
これまで介護保険制度は全国一律の介護サービスの提供を謳ってきましたが、法改正により来年4月から、比較的介護の必要性の少ない要支援者の訪問介護・デイサービスを介護保険の予防給付から外し、それらは自治体の事業として移管されます。今後、自治体の裁量で地域の資源を活用して自由なサービスや料金が決められることになり、生活支援サービスの充実や高齢者の社会参加が介護予防につながると期待されます。ニーズに合った多様なサービス主体が生活支援サービスを担うことになるため、自治体として、その担い手となる地域の社会資源についての現状調査を実施すること、多様な主体が担う部分についての基準や報酬単価をどのように設定していくのか制度が始まる来年の4月に向けて準備を整えることが求められます。そこで伺います。
新たな取り組みとなるこの「介護予防・日常生活支援総合事業」を区はどのように進めていかれるのでしょうか、お答えください。

この項目の最後の質問「協議体・生活支援コーディネーター」について伺います。
高齢者のニーズとサービスの供給の調整をする「生活支援コーディネーター」が介護予防の要であると考えます。新しい「介護予防・日常生活支援総合事業」では介護予防・生活支援サービスの体制整備のために「生活支援コーディネーター」と「協議体」の設置を求めらていますが、その役割を区はどのように考え、設置していかれるのでしょうか、伺います。
以上、さまざま質問をしてまいりました。

今年6月20日、来年度の介護保険制度改正に向けて、さわやか福祉財団など14団体で構成する「新地域支援構想会議」が、介護予防訪問介護、デイサービスが地域支援事業に移行することに対し、「新地域支援構想」としてまとめたものが厚労省に提出されました。「新たな地域支援事業は、地域住民・市民が主体的に担い、助け合い、ささえあう活動に移行すべき」と提言され、今回の地域支援事業の改編は高齢者の自立支援や家事援助に留まらず、高齢者と地域社会との関係の回復・維持の働きかけのしくみにいかに位置づけるかが重要なポイントだとしています。これは、「要支援者へのサービスが自治体の事業に移行したら当事者も地域社会も元気になった」といえるようなしくみを地域住民のネットワークを使ってつくりましょう、ということに他なりません。当区においても、NPOやボランティア団体の活用など、地域資源を生かした取り組みが成されることに期待します。

2つ目の項目、善福寺公園「(仮称)みんなの夢水路」実現のための基盤整備としての洪水対策について質問します。

今回の杉並区総合計画・実行計画の改定案に、憩いの水辺創出~「(仮称)みんなの夢水路」整備が新規計画事業として打ち出されました。

この事業は、この7月に井荻小学校の子どもたちが田中区長に面会し、都立善福寺公園の上池と下池を結ぶ水路を水に親しむと書く親水エリアとする「夢の設計図」を手渡し、区の理解と協力を求めたことの成果です。そして遡れば2012年、基本構想スタートの年に区が募集した小中学生作文コンクールで区長賞を受賞した同じ井荻小学校当時6年生の作文「10年後の杉並区の夢」にも善福寺川の清掃活動と川をきれいにしたいとの願いが示されています。

井荻小の子どもたちは5、6年生になると週に1度川の周辺や河床の清掃活動、水質調査を行うなかで、都市河川の構造、つまり雨が降ると雨水は下水管に入り、ある一定量を超えるとお風呂や台所、トイレの汚水と一緒になった雨水が川に流れ出ることを知ります。汚水交じりの雨水を川に入れないためにはどうしたらよいか意見を出しあい、雨水を浸透させること、溜めることが大事であることに気付き、地域の人に呼びかけたい、とさまざまな機会をとらえて活動報告を行っています。このような活動をしてきた子どもたちが「きれいな川で遊びたい」という思いで提案する「夢の設計図」については、これまで神田川水系を舞台に活動する川の仲間たちと「川を地域のオアシスに」を合言葉に活動してきた私としても、共感するところ大であり、また「(仮称)みんなの夢水路」の事業を歓迎し、大いに期待するものです。

しかし、その一方で、一昨日も夕方からの豪雨により道路冠水があったと報告がありましたが、集中豪雨のたびに不安を抱えて暮らしている区民がいることを忘れてはなりません。そこで、この項目では「洪水対策」と「善福寺川整備工事」について伺います。まず洪水対策として4点伺います。

「今年の夏は異常気象だった」と気象予報士が言っていましたが、当区においても6月24日に降った雹をはじめとして、7月の集中豪雨により水害が発生しました。被害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。
1点目として、当区のここ数年における善福寺川沿川の水害発生と被害状況を伺います。

2点目。2005年9月4日に当区を襲った集中豪雨以降、当区としてはどのような水害防止策をとられてきたのでしょうか、伺います。

3点目。善福寺川の原寺分橋下には武蔵野市側からの雨水の吐け口があり、雨天時には大量の汚水交じりの雨水が川に吐き出され、川の増水に拍車をかけています。武蔵野市は下水道合流改善策として、8,500立方メートルと1,200立方メートルの雨水貯留槽を設置するとし、今年3月完成予定でしたが完成が遅れているようです。その理由はなにか。武蔵野市からの報告はあったのでしょうか、お訊ねします。

4点目。大雨が降ると、川があふれる不安といつも隣り合わせで生活をされている沿川住民の方から、浚渫、これは川の底をさらって土砂などを取り去る土木工事のことで、河川の流量を確保して治水を目的に行われるものですが、この浚渫を望む声があがっています。
先日、善福寺川の下池から荻窪団地、現在はシャレール荻窪ですがそこまで川の脇を歩いてみました。これまで何気なく歩いた時には気づきませんでしたが、確かに護岸近くや中央部に土砂が堆積している箇所が見受けられ、また、川床も起伏があり、川の流れを阻害していると思しき箇所がありました。現在、都立善福寺川緑地公園内のなかよし広場で建設中の雨水調節池の完成予定は2015年度末です。また、下流から東京都が行っている降雨50㎜対策工事は、1年間に100m進むのが精いっぱいと聞いています。そのほかにも善福寺川源流域から3.4kmに及ぶ一時雨水貯留管の埋設工事は今年度の着工と聞いていますが、着工から完成まで8年かかる予定です。これらに共通しているのは川の土木工事というものは時間がかかることです。今回、総合計画・実行計画改定案に「水害多発地域の対策を推進」も新規計画事業に加わり、水害対策により一層力を入れていかれる区の姿勢に期待をするものですが、これも3年プログラム、10年プランとなっており、川が氾濫する不安を抱える沿川住民の皆さんがこれらと比べて短期間でできる浚渫を望むのはごく当然のことと言えます。浚渫に対し、区の見解をうかがいます。

続きまして善福寺川整備工事について2点伺います。
1点目。先ほども触れた、善福寺川の下流から降雨50㎜対策の工事は、現在、大宮八幡宮の下、宮下橋から上流に向かって工事が行われており、昨年4月と今年4月に東京都が善福寺川整備工事の説明会を開きました。私も参加しておりましたが、確認の意味で伺います。参加した住民の方からどのような意見や質問が出されたのか、お答えください。

1997年の河川法改正により、「治水」、「利水」に加え「環境」の視点が加わり、河川整備計画には住民の声を反映する手続きが導入されました。2回行われた東京都の説明会では、住民側から樹木や生き物の質問が出たのに対し、都から環境局の出席はなく、参加者の不満が残る説明会だったという感想を持ちました。ただ、後日、現地で住民の方に伐採や剪定する樹木について話し合いの場が持たれ、移植する木、伐採、剪定する木の合意ができたと聞いています。住民の参加を保障するには、情報公開と早期の計画案の段階での情報の提示が不可欠です。今後、工事終了後の樹木を植え直す「復植計画」と「樹木の成長予測」を住民に知らせることを区としても都に要望していただきたいと思います。

そこで樹木に関連して2点目の質問です。
善福寺川尾崎橋あたりは桜の名所として毎年大勢の方がお花見に訪れます。この桜並木は1974年、杉並高校の南側の善福寺川の川沿いから尾崎橋に向かって10年もののソメイヨシノを1年、また1年と植樹していき、いまの景色ができたという話を、当時東京都の職員で桜の木を植えたご本人から伺ったことがあります。1974年から40年が経ち、桜は今年で50歳になります。ソメイヨシノの寿命は人間と同じと言われているので60~80年。近い将来更新時期が来ます。今後、上流域に50㎜の整備工事が進んでいけば、当然桜の名所尾崎橋周辺にも工事はかかり、桜の木の伐採が想定されます。伐採してから植えるのではなく、整備工事の時期と桜の更新時期を見計らいながら、例えば管理用道路の外側に後継ぎの苗木を植えるといった「後継樹計画」をたて、区民にも事前に提示しながら工事に臨むよう、区として都に求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

以上、洪水対策に関連して質問をしてまいりました。ここで、「東京河川改修促進連盟促進大会」での決議をご紹介します。この「東京河川改修促進連盟」は、河川の氾濫、洪水による災害を防止し区民の福祉を増進するため、河川事業の早期達成を要望し、その実現に協力することを目的に賛同する、杉並区も入った14区21市2町1村によって組織され、これらの自治体の首長、及び議員が会員となっているので、この議場にいる議員全員が会員です。7月30日に開かれた同連盟の総会で、総合的な治水事業の促進をはじめとして、河川整備の早期実現、河川改修事業の早期完成と内水対策に対する下水道の早期整備など6本の事項を国及び政府並びに東京都に対して要望することを議決しています。当区としても、水害対策にしっかり取り組んでいただき、善福寺川沿川に暮らすすべての人が大雨の日でも安心していられるようになり、善福寺公園の親水エリアの実現を共に喜べる日を迎えられるよう私も努力することを申し上げ、質問を終わります。

第3回定例会一般質問  2014.9.12 そね文子

私は区議会生活者ネットワークの一員として一般質問いたします。
先日、大田区の小学生女子が2人で飛び降りて亡くなる事件がおきました。マンションの踊り場に2組の靴があり、遺書も見つかったとのこと。原因はわかっていませんが、2人とも中学受験を控え疲れを訴えていたことが報道されています。いじめ、勉強、受験、学校や友だち関係のストレスなど、辛さを抱えている子どもにとって、9月初めはストレスの大きい時期です。この時期だからこそ、子どもを取り巻く状況を少しでもよくしたいと思い、以下子どもの育ちを応援する取り組みについて質問いたします。
まず、大きな項目の一つ目は、特別支援教育についてうかがいます。
2007年4月、改正学校教育法が施行され、従来の盲学校、聾学校、養護学校などで行われてきた特殊教育を、対象となっていた障がいの児童だけでなく、知的な遅れのない発達障がいの児童も含め、教育上特別な支援を必要とする児童が在籍するすべての学校において特別支援教育を行うことが規定されました。知的な遅れのない発達障がいとは、学習障害、注意欠陥多動性障害、高機能自閉症・アスペルガー症候群などを指します。文部科学省が2012年12月に行った調査報告によると、通常学級に在籍する、知的発達に遅れはないものの学習面又は行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒の割合は6.5%となっています。30人のクラスに1人か2人はそのような子どもがいるということになります。

先日、区立小学校の通常クラスに在籍する、特別な支援を必要とする子どもを持つお母さんたちと話をする機会がありました。子育ての苦労は誰もが経験することですが、特別な育てにくさがある子どもと接する日々で、子どもが発達障がいと認め納得するまでに時間がかかったこと。母親が子どもの障がいを理解しても、それを父親が理解するまでにさらに時間がかかること。子どもの問題行動が母親のせいにされ夫婦不和が起こって、離婚してしまう家庭が多いこと。学校の支援が十分とは言えないこと、教室内でさまざまな困ったことに直面する子どもを思う切ない気持ちなどを聞いて、大変心が痛みました。

杉並区教育ビジョンでは、全ての子どもたちへの切れ目のない成長・学びの支援をきめ細かく行う学校をつくることが示されています。また、「教育ビジョン2012推進計画」の中では「特別支援教育の充実」が重点事業にあげられています。未来をになう子どもたち、成長過程にある子どもの大切な今を支えるために、全力で取り組んでいただきたいとの思いから質問します。なお、今回の質問は主に小学校についてうかがいます。

1.杉並区では特別支援教育の方向性を明らかにし、教育上特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒に対する教育のより一層の充実を図るためとして「杉並区特別支援教育推進計画」を策定しています。まず初めに、この計画の概要と特徴、区として意を用いた点は何か、うかがいます。

2. つづいて就学支援シートについてです。計画では、就学前に保護者は就学支援シートすばるを小学校に提出することになっています。シートには保護者、保育園や幼稚園、療育施設の方が、子どもの学習面や生活面の特徴、対人関係について、それまでの指導で大切にしてきたことや小学校に入った後も必要と思われること、学校に期待する保護者の思いなどを記入するようになっています。そこでうかがいます。杉並区ですばるを導入した目的は何か、改めて確認のためにうかがいます。またこれまでの取組みを区はどのように評価しているのでしょうか。

3. 特別支援教育推進計画の中には、一貫した支援体制づくりを推進するツールとして「個別指導計画」及び「個別の教育支援計画」の作成と適切な進行管理が重要とあります。個別の教育支援計画とは子ども一人一人のニーズを把握し教育の適時・適切な支援を行うことが出来るよう、長期的な視点で作成するもので、教育、福祉、医療、保健、就労などの様々な側面からの取り組みを含むものと伺っています。2013年度のすばるの受理状況について調べていただいたところ、学校が受理した件数は243件となっていますが、その内で個別の教育支援計画が作成されたのは76件にすぎず、十分活用されているとは言えないと思われます。また、すばるが受理された39校のうち7校が活用度0%と答えているのは大変問題と考えますが教育委員会の見解はいかがかお示しください。この活用状況については改善すべきと考えます。教育委員会の評価と今後の取り組みについても伺います。

4. 保護者からもすばるを有効活用してほしいとの声があがっています。すばるを担任、養護教諭が読んでくれれば、担任がかわるたびに、毎回子どものことを1から説明しなくて済む。また、音楽、図工、理科、家庭科、技術などの専科の先生にも目を通してほしい。特別な支援を必要とする子は周囲の状況や人の変化に対応するのが苦手で、場所も担当の先生も替わる専科の授業は子どもにとって戸惑いと混乱により苦しさを伴うことが多くあります。すべての専科の先生に子どもの特徴を伝えることができるよう、ぜひすばるを生かしていただきたいと思いますが、教育委員会の考えを伺います。

5. 推進計画では、校内支援体制の確立を図るとして、すべての学校に校内委員会を置くとしています。校内委員会の役割として、支援の必要な子どもの実態把握、個別指導計画の作成、専門家からなる教育支援チームなどの巡回相談の活用の検討、指導方針の検討、教職員の研修体制づくり、保護者への理解啓発等があげられており、校長のリーダーシップのもとに運営されることとなっています。すなわち、これほど多くの重要な役割を担う校内委員会がきちんと機能するかどうかが、校長のリーダーシップにかかっているということです。すばるの活用についても、同じことが言えます。校長の裁量によるところが大きく学校ごとにばらつきがあり、保護者から改善してほしいとの声が届いています。公立校に通う子どもの対応に差が生じることは、望ましいことではないと考えます。教育委員会の考えを伺います。

6. 子どもは成長するので、その状況は就学前と数年が経過したころとでは変化します。個別の教育支援計画は親や教師がその変化を記入し、積み上げていくことにより、中学、高校と切れ目のない支援を行うことに結びつくものと考えます。途中で必要なくなることはあっても、入学後の早い時期に全員の個別教育支援計画を作る必要があると考えますが、教育委員会の考えをうかがいます。

7. 普通校の通常学級に在籍する発達障害の子どもは、週に1回は、区内4箇所の小学校に設けられている情緒障害通級指導学級(以下通級学級とします)に通い、その子にあった個別の指導を受けたり、小集団活動で友達と仲良くする方法や、ルールを守ること、自分の良さに気づくことなどを学ぶ特別なプログラムを受けられるようになっています。ところがその通級学級に希望者が全員入ることができず、14年度の待機者は71名と聞きました。保護者からは1年生の学校にまだ慣れない通い始めの時期に待機となり、次の年、6年生が卒業して空きができてからでないと入れないのは厳しいとの話を聞いています。今回の区長就任の所信表明で、障害児の教育の充実を図るため、情緒障害通級指導学級を小中学校で1校ずつふやしていくことが示され、取り組みに期待しています。しかし、さらに通級学級を増やす必要があるとも考えます。改めて今後の計画について伺います。

8. 東京都の特別支援教育推進計画第3次実施計画では16年度からすべての小中学校に特別支援教室を計画的に設置するとなっています。具体的な内容はどうなっているのでしょうか。計画は必要なことであり、実現を期待しています。16年度に向けた準備の進捗状況はいかがかうかがいます。

最後に、介助員ボランティアについて、お母さんたちの切実な要望を紹介したいと思います。現在、通常クラスには必要に応じて安全確保のための支援員や介助員ボランティアが配置されていますが、特別な支援が必要な子どもには、せめて入学後1学期の間は介助員ボランティアがいてくれたらとお母さんたちは言います。子どもは初めての場所や、初めて体験することがわからないと不安が強く出ます。休み時間の友達と遊ぶとき、授業中の班ごとの話し合いや発表するという時間はコミュニケーションが苦手な子どもにとっては本当に大変です。そんなときに手助けをしてもらえれば、自信につながり、人とのかかわりの大切さを学んでいくことができます。先生がクラス全員に向かってしていることに集中できない特徴もあるので、その子の傍らで声をかける人がいれば子どもは話を聞くことができます。また帰りの会の時間に、明日の予定や宿題の記入漏れがないか見てもらい、忘れ物がないか声をかけてもらうなどのちょっとした助けがあれば、自分はダメだと落ち込むことも少なくなると思う、と話してくれました。
授業で教室を移動する場面、運動会の練習や避難訓練などで、どうしたらいいかわからず不安になったり、子どもにとって楽しいはずの休み時間や給食の時間が、授業よりももっと苦しい時間となったりしている現実があります。

ボランティアといっても、中には熱意と意欲を持って子どもに対応し、教室からすぐ出て行ってしまう子どももその人には慣れ、教室に戻れるようになり、落ち着いて授業に集中できるようになったという事例も聞いています。子どもの苦しい気持ちを理解し気を配り、必要な場面では声をかけてくれる大人の存在が教室にあれば、どれだけその子たちの力になるかわかりません。ひとりひとりの子どもの育ちを人と手間を惜しまず力強く応援してくださることを切にお願いし、次の質問に移ります。

大きな項目の2つ目は、子どもをいじめから守り・支援する取り組みについてうかがいます。
生活者ネットワークはこれまでも、子どもをいじめから守る環境づくりや仕組みについて、継続的に質問を行ってきました。杉並区で8月に行われた「中学生生徒会サミット」では前回に続きいじめがテーマとして取り上げられました。先生からの自分たちはどうすればいいかという問いかけに、子どもが「先生にしてほしいことは、まず子どもの話をゆっくり聞いてほしい、解決を急ごうとしないでほしい」と答えていた場面が印象に残りました。これを聞いていた先生だけでなく、その場にいた大人は、改めて子どもへの向き合い方を見直したのではないでしょうか。「生徒会サミット」は、子どもが主体的に問題を解決しようとすることを大人が応援する取り組みとして評価しています。

2011年10月に大津市でいじめを受けていた中学生が自殺したことで、いじめ問題が大きく取り上げられ、国が「いじめ防止対策推進法」を制定し公布したのが12年の6月のことです。そして14年度に入り、6月に東京都が「いじめ防止対策推進条例」を制定し、いじめ防止対策推進基本方針(以下、基本方針)と総合対策が示されました。今年は日本が子どもの権利条約を批准してから20年にあたります。子どもの人権が尊重され、子どもが主体的にいきいきと暮らせる環境をつくるために質問します。

1. まず最初めの質問です。
国のいじめ防止対策推進法では各自治体での条例制定が努力義務となっています。都が条例制定したことで、この時期、都内の各自治体では、いじめ防止対策をどうするか、検討が進められていることと思います。都の条例の中には学校の責務、自治体の責務、保護者や地域の役割などが示されています。杉並区としても、いじめ防止にかかわる方針等を策定する必要があると考えますが、見解をうかがいます。

2つ目の質問です
都の「いじめ防止対策推進条例」では、いじめの加害者となった子どもに対して、観察、指導、懲戒の態度が強く、ケアする視点が薄いのが気になりました。加害側の子どももケアされるべき存在だということ。いじめはその子からのSOSのサインだという視点をもつことが大切ではないかと考えます。加害者となった子どもに対しては特に教育的配慮が必要と考えますが、区の考えはいかがかうかがいます。

3.都の基本方針の中には、いじめの未然防止のために人権教育の充実があげられています。子どもが人権教育を通して、いじめについて学び主体的に考え、防止する取り組みがあげられている点に共感します。ぜひ人権教育に取り組んでほしいと思います。子どもが生まれながらに持つ権利、大切に育ててもらうこと、健康的な食事を与えてもらうこと、学ぶ環境を整えてもらうこと、大切に世話をしてもらうこと、意見を聞いてもらうこと、一人ひとりがかけがえのない大切な存在であること、を学んでほしいと考えます。そのような教育は言葉だけで行われるのではなく、体験型の実感をともなったプログラムを取り入れていただきたいと思いますが、教育委員会の考えをうかがいます。

先日、学校という機関組織や施設にこだわらない、「多様な学び」のあり方を考える集まりに参加しました。そこで、不登校の子どもたちの学びの場を30年にわたり運営し、「もうひとつの学校」としてのフリースクールをひろげる運動を担ってきた東京シューレの奥地圭子さんのお話を聞きました。「いのちとは多様性そのものであり、子どもは本来多様な存在だ」という言葉に深く共感しました。画一的になりがちな学校教育の現場で、多様な存在である子どもたちに、お互いの違いを認める寛容な態度を大人が示していただきたいと思います。

4. この項の最後の質問です。区が独自の方針をつくる際には、ぜひすべての子どもの最善の利益を保証するという考えを取り入れていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。区の見解をうかがって、次の項の質問に移ります。

<スクールソーシャルワーカー活用事業の充実のために>
大きな項目の3つ目はスクールソーシャルワーカー活用充実のために、質問いたします。以下、スクールソーシャルワーカーを略してSSWと呼ぶことにします。
先ほど述べたいじめや虐待、子どもの貧困など、子どもを巡る深刻な事件が後を絶たず、近年、子どもを取り巻く社会の環境が悪化していると言わざるをえない状況です。そのようななか、杉並区が教育と福祉をつなげる取組みとしてSSWを活用してこられたことは全国にも知られ、生活者ネットワークは高く評価してきました。杉並では主に不登校の子どもの対応にSSWを活用していると伺っています。不登校の背景には、子ども自身が抱える問題が原因になることもありますが、親からの虐待や家庭内暴力、精神疾患、薬物依存症、貧困問題、就労問題、知的障がいなど、子ども本人以外の様々な原因となる問題があることが考えられます。その環境に働きかけ、関係機関とも連携をとって解決を図るのがSSWです。このような解決方法は子どもにとって大変有効とされ、子どもを救うためのアプローチとしてSSWの活用は今後、強く求められるものと考えます。

1.では質問です。まず始めに、これまでの区のSSWの活用状況と、現状について、お示しいただきたいと思います。

2. 昨年の私の一般質問で、いじめ対応にSSWの関与を求めた質問に対し「スクールソーシャルワーカーは、児童生徒が安心・安全に過ごせる生活環境づくりのため、児童相談所や関係機関と学校との連携の確保あるいは福祉的援助の必要がある家庭への自立支援の相談などを行っており、必要に応じていじめの事例にかかわることがございます」と答弁されていますが、先ほども述べたように、いじめの解決に向けて、SSWは期待される役割を持った重要な存在であると考えます。区の評価を伺います。

3.日本の子どもの貧困の状況が年々悪化し、2012年の貧困率は16.3%と過去最悪を更新、6人に1人が困窮状態にあります。14年1月に「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が施行され、8月29日に「子どもの貧困対策に関する大綱」が閣議決定されました。大綱の中には、スクールソーシャルワーカーを、今後5年間に現在の1,500人から1万人に増やすことが盛り込まれています。また8月26日には文部科学省が、来年度いじめなど学校が直面する問題の対策の一環として、全国の公立小中高校に配置するSSWを現在の3倍の約4200人に大幅拡充する方針を固めたとの新聞報道がありました。
このように最近になってSSWの重要性は社会的にも認められ、ますます必要とされる役割となっています。13年度、全国に配置されたSSWは1008名で、その中の8名が杉並区に配置されており、この数は他自治体と比べると群を抜いた多さです。しかも、優秀な人材を採用してこられたことでも杉並は外部から高い評価を受けています。杉並区が早くから進めてきたこの取り組みをさらに充実させていただきたいと思いますが、お考えをうかがいます。

一方、注目されているとはいえ、一般的にスクールカウンセラーに比べるとSSWは、社会的な認知度も活用度も低い状況です。先ほど述べた新聞報道では、SSWの拡充の課題として、人材不足が挙げられていました。SSWそのものは必ずしも資格を必要としませんが、その仕事には高いコミュニケーション能力や人権擁護の意識が不可欠です。現在、人材育成の基盤が十分に整っていない中で、急激に数を増やそうとすることにより、質の担保が後回しになることは避けなければなりません。これから、SSWが他自治体でも需要が増す中、杉並区で経験と実績を培ってきたSSWが杉並区で存分にその力を発揮できるような環境整備をお願いし、私の一般質問を終わります。

生活者ネットすぎなみ94号   2014.8.1発行

ネットすぎなみ94号オモテ.jpegのサムネール画像ネットすぎなみ94号ウラ.jpegのサムネール画像

生活者ネットすぎなみ93号           2014.5.25発行

MX-3610FN_20140821_143843_001.jpg

MX-3610FN_20140821_143843_002.jpg

生活者ネットすぎなみ92号 2014.4.20発行


92-1p.jpegのサムネール画像


92-2p.jpegのサムネール画像のサムネール画像
92-3p.jpgのサムネール画像
924p.jpegのサムネール画像