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第4回定例会一般質問      09.11.24 小松久子

私は、区議会生活者ネットワークの一員として、高齢者のすまいについて、低炭素社会をめざす区の政策について、石けんの使用について、以上3点質問いたします。

 

《高齢者のすまいについて》

 

ここでいう「すまい」は、介護や医療を主とした施設ではなく、高齢者世帯の、「在宅」としての「住まうところ」のことです。

 

すまいの問題といえば、思い出すのは昨年暮れ、日比谷公園に出現した派遣村です。あの事件が突きつけたのは、仕事を失うと同時にすまいを失う人があまりにも多いこと、ところがすまいを失うと職につけないこと、それが人の生存権を脅かすという事実でした。住まうということ、住まい方は生活の基本であり、人の尊厳にかかわる問題だということにも気付かされました。

 

また、今年3月に群馬県渋川市の有料老人ホーム「たまゆら」で起きた火災事故は、すまいと身寄りのない高齢者が、貧しい福祉政策の犠牲となって、都心から目の届かない劣悪な住環境に追いやられている問題を提起しました。

 

高齢者だけの世帯が増えているいま、地域に暮らす高齢者にとってのすまいをめぐる問題が増大しつつある現実に目を向け、これを改善していきたいという思いから、以下、質問いたします。

 

はじめに、前提となる一般的な住宅政策について確認します。2006年、住生活基本法の制定により、それまで住宅を建設することがすなわち住宅政策とされていた国の方針が「量から質へ」「市場重視・ストック重視」へと転換されました。これに伴い、区も昨年、住宅マスタープランを改定されています。

 

この転換の意図することは、「住宅は一定程度の量は充足されたので、今後は公共より民間による質のよい住宅が供給され、長い期間使用する」との考えだと認識しています。この理解でよいでしょうか。よいとすれば、この政策転換に伴って区に求められる新たな役割とはどのようなことでしょうか。あわせてうかがいます。

 

この前提をベースに、高齢者の問題を重ねて見ていきたいと思います。まず、区内のひとり暮らし高齢者数の推移と今後の予測、さらに、高齢者のみの世帯での人数の推移と今後の予測はいかがか、おうかがいします。

 

一般的にひとり暮らし高齢者では男性よりも女性が多く、女性のほうが低所得といえます。これは、女性の社会的地位が男性のそれよりも低く抑えられてきたという、女性問題に起因することですが、当区においてはいかがでしょうか。また今後、高齢女性の貧困問題はさらに深刻度を増し、住宅政策に大きく影響していくと予想されますが、区の認識はいかがか、続けておうかがいします。

 

3番目として、高齢者の住宅に関する区の課題をどのようなことだととらえておられるか、ここでうかがっておきます。

 

杉並区が整備している高齢者専用住宅「みどりの里」は、入居希望者が定員の何十倍という状況です。さらに低額家賃のケア付き住宅は圧倒的に足りていません。東京都の「少子高齢時代にふさわしい新たな『すまい』実現プロジェクトチーム」が先ごろ低所得者向けケア付きすまいの整備について提言しました。区も積極的にケア付きすまいの整備に向けて検討なさるべきと考えます。見解をうかがいます。また既存の民間の共同住宅を借り上げ、高齢者向けに改良して貸与することなどもふくめて、高齢者住宅の増設を図るべきと思います。併せておうかがいします。

 

高齢者の持ち家率が高いという実態は、各種調査結果から見えています。総務省の平成15年「住宅・土地統計調査都道府県編東京都」によれば、65歳以上の単身世帯の持ち家率54%、同、高齢者のみからなる世帯の持ち家率63.1%です。昨年区が実施した「杉並区ひとり暮らし高齢者実態調査」は、75歳以上の、無作為抽出による400名余りに対する調査ですが、区内の実態をある程度は把握することができます。これによると高齢者の一戸建て持ち家率は53.5%と、国の調査結果とほぼ同じで、次に公社・公団等の賃貸住宅19.9%、分譲マンション11.4%と続き、木造アパート、民間の賃貸マンション、鉄筋・鉄骨アパート、民間の一戸建て借家を合計すると13.9%となります。

 

持ち家か賃貸か、共同住宅ならエレベーターのあるなしなどで、ハード面の不備の状況が違ってくるでしょうし、ソフト面に関しては、ケアする支援者あるいは見守る人がいないなどの問題は、すまいの種類にかかわらずあるかと思います。いずれの場合でもハード・ソフト両方の課題を抱えている場合が多いであろうことは、容易に想像できます。

 

そこで、ここでは民間の共同住宅を例にとってハード面、ソフト面それぞれについて4点おうかがいします。1点目、バリアフリー化の改修はどのように促進していかれるのか。2点目、ソフト面としては、区の住宅課が実施しておられる民間アパート居住者を対象とした見守りサービスがどのようなしくみなのか、うかがいます。また、東京都は高齢者のすまい方検討のなかで、管理組合や自治会代表者などを「高齢者住宅支援員」として普及させていきたいとしていますが、これを区としてはどのように取り組んでいかれるのか。3点目としておうかがいします。

 

4点目は経済的支援についてです。アパートあっせん希望者やアパートの家賃滞納者には経済的助成や支援を行うしくみが整備されています。あまり活用されていないようですが、いかがでしょうか。なぜ活用が広がらないのか、お聞きします。

 

さて、01年に「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が制定され、高齢者向けの住宅は多種多様になりました。高齢を理由に賃貸住宅への入居を断わる事業者が多いことについての改善策として、この法に基づき登録制度が定められています。高齢者の入居を拒まない「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」、そのなかでも高齢者だけを賃借人とする「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」をはじめ、さまざまな住宅物件が市場にあふれ、新聞広告やカラーパンフレットが出回っています。選択の幅が広がったことは確かですが、違いが分かりにくく、当事者の条件やニーズに照らしてどう選択すればよいのか、判断に迷う人が多いのはうなずけます。宣伝と実態が異なるというような問題も生じています。利用者の側に立った、わかりやすい適切な情報提供が求められます。

 

都がパンフレットを作成するということですが、地域包括支援センターに限らず、ゆうゆう館など、多くの場での情報提供が望まれます。また「高齢者のためのすまいフェア」や個別相談会を開催するなど啓発に努めるべきだと思いますがいかがでしょうか。質問です。

 

バリアフリー化がされた従来タイプの高齢者向け優良賃貸住宅にしても、先に述べた各種賃貸住宅にしても、今のところ杉並区内にはありません。区は「みどりの里」を今後は適合高専賃に転換していくとされ、そのこと自体は望ましい方向だと思います。ただ、高齢者用賃貸住宅全体の供給量を増やしていくことがどうしても必要です。区内にこれらを積極的に誘致すべきではないのか。おたずねいたします。

 

また、区は小規模多機能型施設整備を今後進めていくとしていますが、そのとき、高専賃との融合型施設とすることを検討されてはいかがかと考えます。小規模多機能型居宅介護施設は身近な生活圏内にあることに意味がありますが、事業者にとって収益性が低いためなかなか町なかでの事業着手に踏み切れないのが実情と聞きます。そこで、同じ建物の中に賃貸住宅を入れることで経営の安定が図れますし、相互にその機能を有効に生かせるという利点があります。実際そのような成功事例がいくつか見られます。当区においてもいかがでしょうか、うかがいます。

 

住宅マスタープランでは、都にシルバーピアの設置を呼びかけて増設を図るとしています。ぜひ進めていただきたいと思いますが、見通しはいかがでしょうか。うかがいます。

 

ところで持ち家のある高齢者にとっては生活の問題がないかといえば、そうではありません。先に引用した「ひとり暮らし高齢者実態調査」によれば、1年間の収入が150万円に満たない人が33.4%おられ、区内に住む75歳以上の3分の1は月12万円以下で生活していることになります。そこで、持ち家があり、かつ経済的に余裕がない高齢者にとって有効と思われるしくみ、リバースモーゲージについて2点質問します。

 

住み慣れた家で安心して老後を送るため、不動産を担保に生活資金が借りられる制度として、社会福祉協議会が窓口となっている「長期生活支援資金貸付制度」、いわゆるリバースモーゲージがあります。しかし活用が広がっていないと指摘されています。ごく最近、制度の見直しがされたと聞いていますが、活用がより広がるような変更がされたということなのでしょうか。1点目、当区におけるこれまでの活用状況と、活用が少なかった原因は何か、うかがいます。あわせて、10月からの制度はどこがどう変わったのか、お示しください。

 

生前は借金返済の心配が無用で、亡くなった後に自宅を売って返済に充てるという、合理的なしくみであり、リバースモーゲージはもっと普及してしかるべきと考えます。子どもたちの反対に合うという事例も聞くところですが、当事者をはじめ、地域包括支援センターや民生委員など高齢者にかかわる人々への知名度は低くしくみの理解もされていないと思えます。周知に力を入れ改善を図るべきではないのでしょうか。2点目としてうかがいます。

 

さて、これまで述べてまいりましたすまいに関わる諸問題の多くは、じつは高齢者だけではなく障がい者、ひとり親世帯など社会的弱者に共通する問題であることに気がつきます。これら、セーフティネットで受け止めなければならない人々に対象を特化して住まいのあり方を検討し、区としての基本政策を定めるべきと考えます。「スペシャル住宅マスタープラン」とでもいうべき政策を、当事者や日常的に介護・支援などに携わっているボランティアやNPO関係者を交えて議論しつくりあげることが必要と考えます。見解をおうかがいします。

 

区は、高齢者の介護施設についての整備計画「安心・安全プラン」を策定されました。在宅についても、介護度が進むなど、ライフステージが変わったときに住み替えができ、心身ともに健康に、老後を暮らせるためのしくみを、NPOなどもふくめた民間との連携で整備することが求められます。この項の最後に区の見解をうかがって、次の項目に移ります。

 

《低炭素社会をめざす区の政策について》

 

昨年の第3定例会でも一般質問として同じテーマで質問いたしましたが、今年は環境基本計画の見直しの年にあたり、また東京都の条例に伴う温室効果ガス削減義務が来年から始まるということもあって、ここで質問することにしました。

 

改定版環境基本計画は、当初の予定ではこの夏に策定の予定とうかがっていました。環境清掃審議会では区長の諮問による審議を終え、報告書がすでに提出されたと聞いています。鳩山首相の「温暖化ガス排出25%削減」発言を受けて、国や都の具体的な施策の提案が待たれているところであり、当区での計画改定にどのように生かされるのか、期待を込めて見守っているところです。

 

そこで質問です。現在の基本計画の総括について、審議会ではどのような議論がされ、区としてどのようにとらえておられるでしょうか。とくに、計画の「4つの挑戦」のうちのひとつ、CO2削減目標についての区の取り組み総括をうかがいます。

 

また地域省エネ行動計画の総括についてはいかがでしょうか。「地球を救え!すぎなみ省エネ作戦!」の6つの作戦それぞれについて、達成できたこと、できなかったことなどを評価し改定に生かすことが重要と考えますがいかがか、うかがいます。

 

昨年の質問では、都の環境確保条例が改正されたことにより、一定規模の大きさを有する事業所はCO2排出削減義務を負うことになるため、そのための区としての具体策についておたずねしました。ご答弁は、条例実施に関する都の取扱基準がまだ明らかにされていないのでこれからだ、というものでした。いよいよその条例施行が来年に迫りました。

 

東京都が削減義務を課している対象ガスは、燃料、熱、電気の使用に伴い排出されるCO2です。東京都のCO2排出量はノルウェー、スウェーデンといったヨーロッパの一国家並みに相当しますから、この達成に向けて杉並区も最大限努めなければなりません。

 

区長は「温暖化の主犯はCO2にあらず」という説を支持しておられますが、かつて議会答弁では、計画改定版ではできる限り目標数値を具体的に提示していきたいとのことでした。CO2削減目標値を定めることは不可欠と思います。見直しにおける目標数値をうかがいます。

 

私は、3年前の議会質問で省エネ相談のワンストップサービスとして「エネルギー・カフェ」を提案し、2年前の省エネ行動計画では設置を検討中とされていました。けれども今年制作された省エネ作戦パンフレットには記載がなくなっています。カフェにこだわるわけではありませんが、効果的な啓発活動は必要です。東京都の補助制度のしくみを活用するなどし、NPOとの連携により「エネルギー・カフェ」の事業化の実現が図れるのでは、と考えるものです。検討をお願いいたします。

 

区は再生可能エネルギーの推進策として、2003年より太陽光発電の設置助成を実施されています。わが家の屋根にも、助成いただいて今年の春に太陽光パネルが載りました。今年度からは太陽熱利用、高効率給湯器の設置助成も事業に加えられました。そこで、この助成事業の効果についておたずねします。実績の推移と、それに対する区の評価をお示しください。

 

わが家にしても、区の助成制度が、設置の決意を促す大きな要素になったことは確かです。再生可能エネルギーの利用をどこまで拡大できるかは、CO2削減の重大なポイントになります。新政権のもとで、この11月1日から、太陽光発電による余剰電力がそれまでの2倍の価格で買い取られる制度が始まり、さらに設置が増えることが期待されます。ただ、設置拡大を確実にするには、思い切った予算措置が望まれます。設置助成を総額としてもっと増やすべき、とここでは申し上げておきます。

 

そして省エネ住宅の普及にもっと力を入れるべきです。住宅の省エネ診断を建築・建設、電気・ガス、電気器具販売などの事業者や環境活動NPOの協力で実施されてはいかがでしょうか。その際には、事業者に対する啓発の意味も含め、耐震、バリアフリー、緑化、雨水利用、など省エネ以外の他の住宅関連のアドバイスと連携して行うことが効果的と考えます。いかがか、併せておうかがいします。

 

温暖化問題はもはや「できるところから始める」段階を過ぎたと認識するべきです。杉並区は民生部門が大きいので無理、などできない理由をもちだすのではなく、「やるしかない」という覚悟を決めることです。独立行政法人・国立環境研究所や大学の研究者、専門家がプロジェクトチームを組んで2007年にまとめた『2050日本低炭素社会シナリオ』によれば、2050年に1990年比で温室効果ガス70%削減は可能といいます。

 

首相の宣言以降、「家庭の中で25%削減できる方法を教えてほしい」という市民からの依頼が区に寄せられ、その対応に当たっている、エネルギー使用量調査などを重ねてきた市民団体の出前講座が人気だと聞きます。区としても、あらゆる区施設に太陽光発電装置を設置し徹底的に断熱効果を上げるための改修をする、など、大胆な取り組み・事業化が必要です。また自治体として、低炭素社会に向けたCO2削減目標と省エネルギー政策を明確に打ち出し、中長期ビジョンを示すべきとあらためて申し上げ、最後の項目、石けんの使用についての質問に入ります。

 

《石けんの使用について》

 

私がいまこうして議員として活動していることのベースには、生活協同組合の共同購入活動があるわけですが、この活動は「安全な食材を安く手に入れるためのもの」ではありません。堅苦しい言い方になりますが「生産から流通、消費、そして廃棄に至るまでの、食を自治する運動」ということであり、その延長線上に生活者ネットワークという政治団体は生まれました。

 

しかし1977年に練馬区で初めて政治グループが発足したときの直接の原動力になったのは、食ではなく「合成洗剤追放」の運動でした。天然油脂とアルカリからつくられる石けんと違い、石油からつくられる合成洗剤は、家庭排水に混じって下水管を通り、分解されないまま川の水質を汚染して水中生物にダメージを与えます。そのことに気付いた、主に女性たちが「加害者にならない、環境に負荷を与える生活を見直そう」といって政治活動を始めたのがその出発点です。

 

杉並でも17年前に生活者ネットは市民グループの人たちと議会請願活動をしていますが、審査されないままに立ち消えになってしまいました。今年、新たに市民活動グループの若い世代の方たちが、石けんの使用を広げる活動の一環として区施設における石けんの使用状況を調査しまして、それを受けて、質問いたします。

 

市民グループのみなさんが調査したのは、地域区民センターや保育園、幼稚園、小中学校などのトイレや給食室・調理室、保健室、給湯室に置かれている洗浄剤の種類です。

 

合成洗剤の何が問題かといいますと、汚れを落とす成分、合成界面活性剤の代表的な物質、LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸)やAE(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)などは水中の生態系に悪影響を及ぼすことがわかっており、またPRTR法では有害物質と認定されています。PRTR法とは、化学物質排出移動量届け出法、すなわち特定の化学物質について、その環境リスクを減らすために、事業者が自ら排出量・移動量を把握し国に届けなければならない、と定めた法律です。

 

一方、石けんの界面活性剤として使われる脂肪酸ナトリウムと脂肪酸カリウムは、排水されて水で薄まると界面活性力を失い、完全に分解されて二酸化炭素と水になりますから、生き物に対する安全性の点で石けんが優れていることは明らかです。

 

このことは環境問題に関心のある人たちの間では当然のこととして知られ、杉並区でも、かつては地域区民センター7館の連絡会で「石けん使用」を申し合わせていたと聞いています。ところが先の調査活動で、それがいつの間にか忘れられてしまったことがわかりました。

 

つまり自治体としてなんらかのルール化が必要なのだと思います。05年にある市民団体が実施した調査によれば、全国で30の自治体が石けん推進の要綱をもち、そのうち20自治体で「合成洗剤使用禁止」「石けんへの切り替え」などの規定を設けています。現在、23区内では、江戸川区は「石けん使用指針」を定め、世田谷区、荒川区、中野区などで環境行動または指針として「石けん使用」を促しています。

 

当区においても環境基本計画や行動計画などに石けん使用を盛り込むべきと考えます。見解をお聞かせください。

 

続けてうかがいます。都教育委員会が、都内全自治体における公立学校給食の実態について、毎年調査を実施しています。「学校給食の充実、発展に資する」ことが目的とされ、この調査の中に、「食器具類の洗浄剤等使用状況」があります。厨房において「合成洗剤か石けんか、またはその併用か」が調査項目としてとりいれられています。

 

子どもたちの口に入る可能性からみても、水環境に与える負荷の点からも、また厨房で作業にあたる調理員の健康を守る意味でも、石けん使用が望ましいことは、先ほど来述べてきたとおりです。したがって都の調査は石けんの使用を推進するためと私には考えられます。

 

平成20年度の報告書は19年の実態調査ですが、杉並区内の小中学校すべて、合成洗剤使用となっています。ところが市部では相当数の自治体で100%石けんが使用されています。23区は合成洗剤使用が圧倒的に多いのですが、港区、大田区、世田谷区では小中学校100%で石けんが使用されており、葛飾区でも約90%の学校で石けん使用となっています。杉並区でも石けんを使用すべきと考えます。

 

ここで質問です。1番目として、厨房で使用する食器洗浄剤の選択はどのような考えに基づいて行われるのか、うかがいます。

 

そして2番目、これが最後の質問です。まずは1校でも、給食で使う食器の洗浄に石けんを使用する、モデル実施を検討すべきではないのか。おうかがいします。

 

生活者ネットワークは、石けん運動を全国規模で展開する、ある市民団体に参加していますが、毎年7月を「しゃぼん玉月間」と定めて、各自治体の首長からメッセージをもらい、それを小冊子にまとめています。今年、山田区長にご協力いただいたメッセージのなかに「区民一人ひとりがほんの少しくらしを見直し、環境への関心を高めていくことが環境都市杉並の礎となるものです」とあり、共感するところです。

 

石けん運動は、石けんはよいものだからたくさん使おうという運動ではありません。環境負荷の高いものを選択しない、ということであり、それは一人ひとりがくらしを見直して行動することです。そして生活者のそのような行動を引き出すよう、区は尽力くださることを最後に要望して、私の質問を終わります。

決算特別委員会 意見開陳   09.10.8 市橋 綾子

私は区議会生活者ネットワークの一員として、決算特別委員会に付託された2008年度杉並区一般会計歳入歳出および各特別会計歳入歳出決算について意見を申し述べます。

 

今日の経済状況を見るとき、足もとの景況感は急速に改善されているものの、消費動向は鈍化し、地域経済が再び下降する景気の「二番底」が懸念されています。公共投資の維持・拡大といった従来型の景気対策への期待が低いのが首都圏での特徴です。また、雇用情勢も完全失業率が5.7%となり、年末に向けてさらに悪化することが懸念されています。

 

また、企業業績の悪化から法人二税が低下し都財政の悪化が明白です。これはすなわち区財政にも影響を与えることが予想され、より健全な財政管理が重要になってくるでしょう。杉並百年の計として示された「減税自治体構想」について申し上げるならば、今を生きる人のための福祉と未来を生きる人に手渡す環境にこそ、まず、税金は使われるべきで、一定額を貯めるだけが目的化するのであれば愚策にもなりかねません。

 

今年度から、新公会計制度による財務書類4表がつくられ、公表されました。

経常収支比率79.5%という数字は、23区の平均を上回っているものの適正水準とされる80%未満をかろうじて維持し、公債費比率4.1%、実質収支比率6.4%となっていることから、予算を適切に執行されたと判断します。

 

新型インフルエンザ対策や災害時対策、エコスクール化やみどりのカーテンをはじめとした地球温暖化対策、水鳥の棲む水辺創出事業、景観条例の策定など、暮らしに直結した施策が組まれたことで、堅実に事業を進められたと評価するものです。

 

これらのことを含め、施策の執行状況について検討した結果、2008年度杉並区一般会計歳入歳出決算並びに各特別会計歳入歳出決算を認定いたします。

 

以下、決算審査の締めくくりに当たり、生活者ネットワークの考え方を述べさせていただきます。

 

「百年に一度の経済不況」と事あるごとに言われます。けれども子育て、介護、雇用などの問題に突き当っても、この言葉が、まるで免罪符であるかのように使われ「めったにないことなのだからやむを得ない」と私たちは妙に納得してしまってはいないだろうか、と自戒を込めて考えています。

 

経済不況から、乳幼児をかかえて働かねばならない人たちがふえ、しかし、子どもを預けるところがない。区は急ピッチで保育所増設を進めているが、まだ足りない。保育園に入れなかった人はやむを得ず子どもをベビーホテルなどに預けて働いている現状があります。入園が決まるまで、月10数万円の給与を得るために、無認可保育園に月10万円以上支払う、という生活を選択した方もいます。このご時世でやっと決まった仕事を失えない、というのが本音でしょう。せっぱつまった状況に政治はしっかり応えていかねばなりません。

 

保育園の待機児急増への対応は緊急課題ではありますが、女性の就業率が増加し、出産後や育児期間も十分に休暇を取れる職場状況にない人もあります。女性が能力を生かして仕事を持ち、社会に貢献することが困難なく継続できるように、行政は環境を整えていくことが必要です。

 

思わぬ形で、日本にも「みんな」が働く社会がやってきました。4年後の人口推計から

緊急保育計画が出されましたが、根本的には、働きながら子育てをするにはどういう支えがあればよいのか?子育てはだれが担うのか?子どもを犠牲にしない仕事のしかたは?などの視点で、長期ビジョンが描かれ、実行されねばなりません。

 

現在のように経済不況をバックに雇用不安が社会問題化するとき、地域の助け合いなしに解決は難しいでしょう。効率一辺倒ではなく、この国本来の技を重視したものづくりや、「お互いさま」の精神で助け合うという、連帯感の回復が求められてくるはずです。また、物があふれている日本にあっては、まさに安全・安心・本物が選ばれるようになるでしょう。これは政治においても然りです。

60年ぶりに本格的な政権交代がなされ、これまでの政・財・官の癒着から起きた税の無駄使いが徐々に明らかになってきています。成熟した日本にあってはハードからソフトへ、コンクリートから人へと思考を転換させること、さらに、地方主権が実現できるよう税の流れを大きく変えることもなされなければなりません。

 

新政権発足後3週間足らずですが、日々新しい方針が打ち出されるたびに、政権交代とはこういうことなのか、と政治の変化に心を躍らせているところです。しかし、手放しで喜んでいるばかりでは、これまでと同じことになるのは目に見えています。「国民の生活が第一」になっているか、真の意味で生活者の視点に立っているか、をチェックしていかねばなりません。誰かにお任せするのではなく、市民自ら汗を流し、まちづくりに参画していく社会のしくみつくることが今こそ必要です。

 

地域のことは地域が決める―これは、自治・分権を目指し活動する私ども生活者ネットワークが、使ってきた言葉ですが、今決算特別委員会では、このフレーズが幾度か区側の答弁から聞かれました。

地方主権そして市民主権の社会を市民と行政がともに手を携え、やり直しのできる社会をつくっていくことが重要です。

 

今回、多くの委員から言及のあったセシオン従業員の被った給料未払い問題への区の対応は、努力された結果と理解します。しかし、他の区施設においても二重委託や不当解雇の問題がおきていることを、私たちのもとに相談が寄せられ、つい先日知ったところです。ほかにも同様の事件がないか、早急に調査し、万一問題が見つかった場合には、誠実に対応されることを望みます。

 

経済状況が悪化し、生活不安を感じる人が増えている、こういうときこそ、区民の生活をしっかり支えられる自治体でなければなりませんし、このような時だからこそ、社会的に価値のある事業活動を行っている企業や、人間らしい働き方のできる職場を創出している企業を優遇する、そういう自治体でありたいものです。その意味で、先般、千葉県野田市が公共事業の受注者に最低賃金の支給を義務付けた「公契約条例」を定めたことは、注目すべき取り組みです。

 

杉並区では、入札改革を進める中で、総合評価方式の採用を広げようと検討されているとのことでしたが、自治体としての契約のあり方を定める「公契約条例」の制定を視野に入れる時期に来ていると思います。ぜひ検討くださるよう、重ねてお願いするものです。

 

区が、行財政改革プランにそって着実に進めてこられた職員削減計画と表裏をなすのが、「全事業の6割協働化」計画です。いうまでもなく、今日の社会は公共サービスを行政だけではなく、さまざまな人や機関、事業体、さらには、地域にふつうに暮らす市民たちがミッションをもって集まってできたNPOなどがかかわって担うことによって成り立っています。その関わり方も必要に応じて多様な形態が生まれ、であればこそ可能な6割、ということです。6割という数の根拠をうかがいましたが、分母が流動的であることがわかりました。数字のマジックにとらわれることは本質を見失うことになりましょうし、区の本意でもないと思います。

 

地域では行政の事業でもなく、その下請けでもない公益的な事業が、市民の主体的な活動によって担われているということを、ぜひとも押さえておいていただきたい。そうでないと現実の社会のありようを正しく捉えられない、と質疑の中でも申し上げました。

 

ただ、区の言われる「協働」という言葉が、民間委託、業務委託、指定管理、行政サービス民間事業化提案制度、PFIなどアウトソーシングの手法と同様にNPOまでを含めて使われていることに、自治基本条例にうたわれる「協働」の理念にこだわる私どもとしては抵抗がありますが、そのことについてはまた別の機会に論じることにします。

 

さて、私たちが取り組まねばならない問題として環境問題があります。

鳩山首相が打ち出した1990年を基準年とした温暖化ガス25%のカットはその決断に強く賛同するものです。しかし、簡単に実現できる数字でないことも知っています。

杉並区の場合、排出割合の多くは民生部門であり、なかでも家庭からの排出量を大幅にカットしなければ25%削減はなしえません。太陽光・太陽熱エネルギーの利用を最大限拡大し、家電の省エネ開発にも期待するところです。区として、温暖化防止のための省エネルギー政策、CO2削減計画についての中長期ビジョンを示す必要があると考えます。

 

最後に議会運営について一言申し上げます。

今委員会は、財政健全化法成立後初めて行われる決算の審査でした。夕張市の財政破たんを教訓にできたこの法律によって、議会や監査委員会の責任がこれまで以上に問われてきています。予算は見込みのものであるのに対し、決算は行政が執行した税金を表したものでより重要です。決算審議の時間は予算の審議時間一人6分より短い5分という状態では、とても、決算を大事にして行こうという議会の姿勢がうかがえるものではありません。当委員会の冒頭で、他の委員から質問時間への指摘がありましたが、私ども区議会生活者ネットワークとしても決算の質問時間についてご一考いただきたい旨、決算意見に申し添えまして、区議会生活者ネットワークの意見とします。

 

第3回定例会 一般質問     09 9.11 小松 久子

≪幼保一元化の取り組みについて、おもに区立幼稚園の改革方針に関して≫

厚生労働省がつい先日発表した調査報告によると、今年度、認可保育所の待機児童数は25,000人を超え、昨年の30%増、2001年の調査開始以来最大の対前年比増加率とのことです。増加の8割が都市部に集中しているといい、待機児問題が杉並だけで起きているのでなく今日的な社会問題であることがはっきりしました。

 

当区では、昨年度来の待機児対策をさらに拡充するべく、今議会においても補正予算が提案されているところであり、素早い対応に敬意を表するものです。ただ杉並の場合、4年後の2013年、平成25年度までは保育需要の増加が見込まれているとのことですが、その後の傾向については知らされておりません。どのように予測されているのか、この項の最初にうかがっておきます。

 

さて、幼稚園で定員割れがおきているというのも、杉並区に限らず都市部の全般に言えることで、幼稚園と保育所で全く逆の事象が起きています。このことを考える前に、杉並区において幼児を取り巻く状況について、またその問題について、区はどのようにとらえておいでなのか、うかがいたいと思います。また幼児をもつ家庭の幼児教育ニーズ、保育ニーズをどうとらえておられるか、併せてお聞きします。

 

幼稚園と保育園の違いは、幼稚園が学校教育につながる幼児教育の場であって文部科学省の管轄、保育園は「保育に欠ける子ども」を対象とする日中の生活の場であって厚生労働省の管轄とされています。しかし、考えてみればこれは大人の事情による分類でしかなく、幼稚園と保育園いずれも「子どもが育つ環境」として、「子どもにとって最もよいことは何か」が追求されてこなければならなかったはずです。子ども中心に据えてみれば、子どもの施設は親が働いているか否かに関わりなく、その子にとってかけがえのない時間を、たのしく有意義に、ほかの子どもとふれあい、交流しながら活動できる場として空間が用意されればよいのであって、幼保一元化を難しくさせてきたのは大人の都合以外の何物でもありませんでした。

 

生活者ネットワークは、「子どもがその子らしく成長する」ということをすべての子どもが例外なく持っている人権の一つととらえ、大人はそれを100%保障する義務があると考えています。この観点から子どもの育成を考えたとき、幼保一元化はごく自然な流れととらえることができます。

 

このほど区では区立幼稚園の廃止と新たな幼児育成施設「(仮称)子供園」への転換が計画されています。これが保護者に対する子育て支援であると同時に、子どもの育ちを支援するものとなるように、という視点から以下、質問いたします。

 

最初は国の施策に関連した質問です。国は、2006年に「認定こども園法」を整備し、認定こども園の設置を進めています。ところが全国的に導入がさほど進んでいません。この原因は何だとお考えか、うかがいます。

 

つづいて区では、幼保一元化について、これまでどのように議論がされてきたのか、また今回の「子供園」新設方針が出された経緯について、おうかがいします。

 

当区においては、私立幼稚園を母体として認定こども園が2園開設されています。この2園の取り組みに対する区の評価についても、おたずねします。

 

()子供園」は、文科省の制度における幼稚園型「認定こども園」に近いものと考えられます。文科省の「認定こども園」には幼保連携型、保育所型、地方裁量型もあるといったように、ほかの形態もありえたわけですが、当区ではなぜ幼稚園型に近いものとしたのか、うかがいます。

 

現状の幼稚園では各園あたり定員128ですが子供園の定員は80とされ、48名も少なくなります。そのうち長時間保育の子が最大40名ということですから、保育園の待機児対策としては有効ですが、区立幼稚園入園を希望しているのに入れられない家庭が数多く生じることになります。来年度の発足を予定する下高井戸と堀ノ内は定員充足率が50%前後と低いため、この2園に関してはその心配は無用かもしれないものの、高井戸西と西荻北のように充足率が80%を超える園については、この点について新たな課題が生まれることになるのではないでしょうか。見解をお示しください。

 

定員についてです。子供園では1学級が32人とのことです。小学校で30人程度学級をすすめているのに、幼児で1クラス32人というのは多すぎるのではないかという印象を持ちます。20人程度にすることが適当なのではないでしょうか。もし施設の物理的限界でクラスを増やすことが無理なら、担任を増やすなどの対応が必要と思いますがいかがか、うかがいます。

 

入園の決定に関連して2点質問します。1点目、入園希望が定員を超えた場合、だれが、どのような基準で選考するのか。2点目。障がい児への対応はいかがでしょうか。これまでもされてきていると認識していますが、今後も継続していかれるのか、確認のためおうかがいします。

 

なお「子供園」に限らず公立の施設には、セーフティネットとしての機能が求められます。ひとり親家庭や養育困難家庭への経済的な補助策が必要なことは、ここであらためて言うまでもありません。

 

さて、子供園が「小学校への円滑な接続」をめざしているとのことです。いまの幼稚園や保育園ではその点に課題があるということでしょうか。小学校1年生のクラスに見られる学級崩壊状態、いわゆる「小1プロブレム」がひろく見られるようになり、就学前の教育を充実させる必要性が高まっていると聞きます。この件について2点、おたずねします。

 

いまの幼児教育の何が問題ととらえておられるのか、これがひとつ。そして、当区における「小1プロブレム」の実態について、区はどのように把握しておられるのか。これが2点目です。

 

「小1プロブレム」が起きる原因の一つには、発達障がい児の存在が考えられます。特別な配慮を必要とする子どもへの対応が適切でないために学級全体に混乱が波及するケースがあるといわれます。杉並区では発達障がい児に関して、特別な配慮としてクラスに介助員や介助員ボランティアを配置することで、問題を克服するべく前向きに取り組んでおられ、子供園においても、小学校と同様に必要に応じて介助員や介助員ボランティアが配置されるものと期待しています。

 

ただ、発達障がいの存在が表面化しない場合は適切な対応ができず、問題解決を遅らせることになってしまいます。もし、ある子どもが特別な配慮を必要としているのに、周囲がそれに気づかれないばかりに人とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、学習が遅れたりするとすれば、本人はもちろんだれにとっても不幸なことです。気づきの機会が多くもてるよう、育成プログラムに工夫が求められるところです。

 

そして子供園での成果をふまえ、他の保育施設においても発達障がい児へのよりいっそうの配慮がされるべきと思いますがいかがか、うかがいます。

 

小学校への円滑な接続については、これまでも行事の折に相互に交流するなどされてきたと思いますが、幼小の教員同士のさらに積極的な連携が必要ではないでしょうか。また小学校の側にも、段階的に机の配置を変えるなど、学習の場を整備していくような環境づくりやカリキュラムの見直しなど、子どもに寄り添った努力が必要なのではないかと思います。お考えをうかがいます。

 

子供園では地域の子育て支援事業を展開するとされています。子育て支援は親支援、多くは女性の自立支援といえ、このようなプログラムとして、子ども家庭支援センターではさまざまな取り組みがされていますが、子供園ではたとえばどのような子育て支援事業を想定していらっしゃるのでしょうか。うかがいます。

 

当面、給食サービスがないということですが、保護者は給食実施を求めていると思います。長時間保育の場合、早朝につくった弁当は保存に気を配ったとしても、食品衛生上の不安があります。お弁当ならではのよさはもちろんありますが、できたてのおいしい給食をみんなでいっしょに食べることの食育効果は大きいものがあります。今後の給食実施の見通しはいかがでしょうか。おたずねします。

 

さて保育施設では民営化・委託化が広がっていますが、この子供園はまったく新しい施策であり、区が責任をもって就学前教育に取り組むのですから、区の直営とすべきです。運営についてのお考えをうかがいます。

 

質問は以上ですが、この項の最後に若干、要望を付け加えさせていただきます。

 

まず、区立幼稚園がこれまで培ってきた幼児教育のよさは受け継いでいっていただきたいこと。

 

そして、この事業を「子ども・子育て行動計画」にしっかりと位置づけ、「親にとって便利で助かる」というだけでない、「子ども・子育て将来構想」に照らして「子ども自身の育ちを支援する」取り組みとしていただきたいこと。

 

子どもによっては、家の閉塞空間で母親と二人きりでいるより、保育園で過ごす時間のほうが楽しいかもしれませんし、また女性が働き続けたいという意思を可能にする環境整備としても、養育施設は必要です。しかし保護者といる時間のほうが幸せという多くの子どもにとっては、その豊かな育ちをすすめるという面からワーク・ライフ・バランスはぜひ進めたい施策です。待機児ゼロに向けた施策を充実させることと並行して、就労時間の短縮や地域の雇用機会を増やすなど、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みを追求すること。

 

つぎに人事について。区立幼稚園の園長は現在、近隣小学校の校長が兼務することになっていますが、子供園においてはどのような人事とされるのか、関心のあるところです。区ではただいま検討中とのことですが、つねに子どもの目線を外さず、子どもの権利擁護を優先させるような人がリーダーの職に就くことを期待しています。

 

そして最後は表記に関するお願いです。「子供園」という仮称として3文字の漢字があてられているが、いまは行政用語としても一般名詞としても、かな3文字の「こども」、または「子」だけ漢字を用いた表記が一般的となっていて、「供」という漢字には、大人の後についていく者、お供え物という意味があるのがその理由と聞いています。漢字表記には違和感を覚えます。「認定こども園」との混同を避けたいというのなら「子」1文字を漢字にすればよく、そのことで不都合があるとは思えません。ぜひ、かな表記に改めていただきたいと要望いたします。

 

≪中学校歴史教科書の採択について≫

この夏、4年前に引き続き扶桑社の歴史教科書が採択されたことは遺憾であり、多くの区民の期待を裏切ることになりました。会派として採択後ただちに抗議文書を提出しましたが、今回の結果について、区教委にはどのような声が届いているでしょうか。内容と数をお示しください。

 

採択前にも、区議会はじめ各方面より、「つくる会」の教科書は自由社版の歴史教科書、扶桑社版の公民教科書を含めて採択しないでほしいという要望がさまざまな形で区に寄せられたと聞いています。そのような声は他の教科に関してもあったのでしょうか。歴史と公民だけが突出して多数だったのではないかと思いますがいかがか、うかがいます。

 

そのことは、採択にあたって重く受け止められるべきであり、歴史・公民については他の教科以上に慎重な審議が求められたはずです。812日の教育委員会においてはどのような議論があったのか、委員からはどのような意見が出され、どのような議論の末あのような採択結果になったのか、具体的にお示しください。

 

4年前の「つくる会」歴史教科書採択のあと、実際にこの教科書を使ってみてどうだったのか、現場の教師や子どもたちに聞き取る調査活動を市民団体が実施しています。この事実と内容を区は把握なさっているはずです。4年前にたいへんな混乱を招いた事実を区は受け止め、今回の採択を前に区として区民や中学校の現場、保護者などに対し、歴史教科書について、また教科書採択について意見聴取に努めるべきだったと思います。開かれた区政をめざす杉並区として、今回の採択を受けて今後、そのような調査を実施すべきと思います。見解をうかがいます。

 

この結果は不思議というより異常だと多くの人が感じています。展示会での区民アンケートの扱い、教科書調査委員会、種目別調査部会での議論など、採択に至るまでのすべてのプロセスにおいて公明正大な手続きが行われたのか、疑問が残ります。いかがか、お答えください。

 

抗議文書に明記したように、歴史教科書の白紙撤回と採択やり直しを求めるものですが、いったん採択されたのちにやり直しがされた事例を残念ながら知りません。採択のやり直しをすることになるのはどのような場合なのか、お示しください。

 

なお議会における質問は当然ですが、区民から寄せられる質問や問い合わせに対して、区は真摯な対応によりていねいな説明責任を果たす義務があると考えます。

 

≪区立図書館の今後のあり方について≫

先の6月、今後の地域図書館の運営について、全12館を指定管理者による運営とする方針が中央図書館より発表され、図書館や地域の文庫活動に関わる人たちの間に大きな衝撃として受け止められました。この方針の凍結と再検討を求める区民の運動が今まさに展開されていますが、この時期をとらえて、区におたずねしたいと思います。

 

杉並区では、中央図書館と12の地域図書館が設置され、これまでに運営の外部化・民営化が進められてきました。どのようにすすめられてきたか、またこれをどのように評価なさるか、まずおたずねします。これが1点目。

 

この決定に至る経緯はどのようなものだったのか、2点目としてうかがいます。

 

3点目。利用者アンケートなどからは、業務委託や指定管理になったことで質の良いサービスが低コストで受けられる、と好評の声が聞かれるとのことですが、それは表面的なことであって、レファレンス業務の質の低下や、地域に根差した生涯学習の拠点としての機能低下が免れないと危惧する声は重く深刻です。方針の見直しを求める意見があることを区は把握しておられないはずはありません。ご存知と思いますがいかがか、うかがいます。

 

4点目は図書館協議会についてです。図書館協議会の設置について、図書館法では義務と規定されていないにもかかわらず、杉並区では中央図書館長のもとに設置されています。しかも23区で唯一、条例に基づく設置であり公募の市民枠もあるという、高く評価されるべき市民参画のしくみをもった図書館事業が展開されています。当然、杉並区はこの図書館協議会に対し、運営方針について諮られたものと思います。どのような議論がされたのか、おうかがいします。

 

指定管理者に図書館の運営が委ねられると、本の貸し出しにせよレファレンスにせよ、図書館のサービスは無料であるため営業利益を上げることが困難なので、事業者は人件費を圧縮せざるを得ません。その結果として人材確保や育成がおろそかになり、いっぽう図書館事業を手放した行政は、これまで積み上げてきたような地域情報やその収集経験を今後蓄積していくことができなくなります。国会でも昨年「公立図書館への指定管理制度の導入はなじまない」と文部科学大臣が発言し、また「指定管理者制度の導入による弊害」について配慮すべきという認識が示されています。そこで5点目の質問です。以上述べたような点について、区はどのようにお考えか、うかがいます。

 

23区で図書館運営への指定管理者導入は、ことし947館にまで増えていますが、「指定管理を導入しない」ことを決めた区も一方であります。荒川、目黒、墨田、豊島、台東、北、渋谷、江東、葛飾区においてはそのような判断が示されています。先に述べた国会での見解、他区でのこのような判断を見るとき、杉並区があと2年以内で全地域館に指定管理を、と進めることは拙速であり賢明とは思えません。指定管理で先行する成田、阿佐谷、業務委託がされている方南、南荻窪、今川、下井草などの運営状況を今しばらく見守ってからでも遅くないと考えます。区の見解はいかがでしょうか。6点目としてお聞きします。

 

以上、運営方針に関連して質問してまいりましたが、最後に、図書館のウェブサイトに関連しておたずねします。

 

現在、区立図書館では「基本方針」が策定され、ホームページで公開されているのはよいと思います。ですが、そのトップは「民との協働で個性ある図書館づくり」であり、図書館の設置目的やめざすべき理念をうたった箇所はなく、物足りないという印象をもちました。そこで質問の1点目。この方針はいつ、どこで決定されたものか、おうかがいします。

 

ここでは「民との協働」「運営状況」「経営評価」「効率化」などの語句が目につき、図書館が本来的に持っている高い志のメッセージや社会教育を担う公的施設であるという基本コンセプトが伝わってきません。正直に言って、杉並区の図書館には理想とするビジョンがないのだろうかと思ってしまいました。中央図書館の壁面には日本図書館協会で採択された「図書館の自由に関する宣言」の主文が掲げられていますが、ホームページのコンテンツにも、同様に理念を掲げることがあってもよいのではないでしょうか。これが2点目の質問です。

 

そして3点目。区が「教育基本条例等」として制定をめざしておられる憲章に公共図書館についてふれることは考えておられるのでしょうか。または今後、なんらかの理念的指針を策定されてはいかがか、おうかがいします。

 

以上おたずねしてまいりましたが、私は民営化・委託化がすべて悪いとは申しませんし、税金を有効に生かすための効率化は必要と考えます。また図書館に関してこれまで進めてきたことについては、図書館協議会に諮ってこられたことでもあり、異議を唱えるものではありません。ただ、今後のことは、最近になって熟考すべき問題点が明らかになってきたことでもあり、一度決めたからとこのまま直進することに強く疑問を感じています。

 

要は、杉並区が図書館をどうしたいのか、という問題です。効率よく本が回転し、いつでも開いていてタダでベストセラー本が借りられ、カウンターの人が笑顔で愛想がよければそれで満足、というだけの図書館を区民が求めているともしお考えになるのなら、それは大きな間違いです。教育立区の看板も降ろしたほうがよさそうです。

 

図書館は運営が変わったからといってすぐに変化が現れるものではなく、失ったものの大きさに気がついた時にはもうすでに取り返しがつかない、という事態になりかねません。ここで方針を見直されるよう、最後に要望して私の質問を終わります。

第2回定例会 一般質問     09 6/8 小松久子

私は、区議会生活者ネットワークの一員として、生活福祉のセーフティネットについて、中学校教科書の採択について、以上2点、質問いたします。

 

 生活福祉のセーフティネットについて 

経済不況による影響が社会のすみずみにおよんでいます。先ごろ発表された今年4月の失業率は5年5ヵ月ぶりに5%台を記録、有効求人倍率は過去最低となり、雇用状況の悪化が止まりません。

 

昨年秋の米国発の経済危機がその原因のひとつであることは確かですが、経済格差の問題や貧困、多重債務などの問題がそれ以前から起きていたことは、福祉や消費者行政の現場ではすでに知られていました。本議会で貧困問題がたびたび取り上げられているように、杉並区においても、ここ10年近く扶助費が増加し続けていることが問題とされてきました。扶助費については、2000年の介護保険制度導入に伴って高齢者福祉事業の多くが特別会計に組み入れられたことにより、この年は大きく減少したものの、翌年からは増え続け、2000年当時で162億円だったものが07年度には243億円という、1.5倍になっています。なかでも深刻なのは、児童福祉費と生活保護費の増加であり、両者の合計はこの間に2倍近くに膨れ上がっています。

 

厚労省の発表した今年3月の生活保護世帯は過去最多といい、01年度から一貫して最多を更新し続けているということですから、当区でも同様であろうと推測します。

 

貧困がすでに無視できない社会問題として顕在化してきました。貧困問題は雇用や労働問題のみならず、自殺者が10年間連続して3万人を超えていること、高齢者の増加、少子化の進行とも密接な関連があり、国は最優先の政治課題として取り組む必要があります。にもかかわらず、政府の公式見解では日本に「貧困」は存在しないことになっているという、驚くべき認識が問題をさらに深刻化させ、根本的解決から遠ざかっていることを申しあげなければなりません。

 

憲法25条で保障されたはずの国民の生存権をおびやかす問題として、政府の責任において対策を講じなければならないことは言うまでもありませんが、現場を抱える身近な自治体が既存の取組を活用し機能強化を図ることで救済される人が必ずいることは確かです。

 

生活保護制度は国の実施する最後のセーフティネットであり重要な施策ですが、ひとたび受給が始まると、経済的に自立してその状況から抜け出すケースが少ないことが実績から明らかです。それだけに、生活保護に至る前段階での経済的生活支援が重要です。生活保護のように「返さなくてよいお金」ではなく、一時的に融資を受けて危機をしのぎ、その後少しずつでも返していきたい、という意志をもった人に対してどう支援するのか、ということが今日の質問の趣旨です。

そこで、行政による生活福祉のセーフティネットとしての融資制度、生活福祉資金貸付制度と、昨年東京都が始めた、就労や資格取得支援の取り組みについて質問いたします。

 

国の事業として東京都社会福祉協議会が実施している生活福祉資金貸付は、既存の制度の中で、消費者が多重債務に陥ることを未然に防ぐ意味でも、多重債務者が生活を立て直そうとするときのセーフティネットとしても活用が期待される融資制度です。しかし、厚労省によれば2008年3月末の国全体で原資2065億円のうち貸付額は967億円、未貸付額が1098億円にもなり、十分に利用されているとは言い難い状況です。

 

そこでおたずねします。当区では杉並区社会福祉協議会が窓口となって運営されていると承知していますが、区内での貸付状況はいかがでしょうか。貸し付けについて相談を受けた件数と、実際に貸し付けが成立した件数に大きな差があると聞いています。それぞれの数はどのくらいか、また、相談が貸し付けにつながらなかったのはなぜか、おうかがいします。

 

生活福祉資金貸付制度は、そもそも周知が不十分です。国の制度ではありますが、生活に身近な自治体である区としても広報すべきではないのか、次におうかがいします。

 

利用が少ない理由としてあげられる点のひとつは、一部を除いて連帯保証人が必要とされることです。連帯保証を頼める人がいるくらいなら、その人からお金を借りて用が足りるはずで、それができないために貸し付けの相談にくるわけですから、見つけることが難しく、まして保証人には所得証明の提出を求められるため頼みにくいのは当然と思われます。連帯保証人がなくてもよしとするよう制度を見直すべきではないでしょうか。区の対応を求めますがいかがか、うかがいます。

 

同じようなことは、緊急小口資金貸付制度についてもいえます。社会福祉協議会の実施している緊急小口資金貸付は、貸金業規制法の改正に合わせて上限がそれまでの5万円から10万円に増額されました。消費者金融などの過剰な貸し付けを抑制する分、必要な人に低利で貸せるようにするという、多重債務者の救済をめざしての融資拡大ですが、これもやはり利用が広がっていないと聞きます。

 

緊急小口資金貸付は、消費者向けのセーフティネット貸し付けとしてもっと有効に機能させるべきなのですが、貸付の使途が限定されすぎたり、ときには要件の解釈が厳格に過ぎたりするのでは、と指摘されています。申し込みから資金交付までに時間がかかり過ぎることもよくいわれることです。東京都の場合4日以上とされ、全国的に見れば短いほうですが、1日でも早い交付が求められるケースが現実にはあります。緊急の案件に対しては現場の判断で手続きを簡略化し素早く貸付するなどの方策がとられてしかるべきではないのでしょうか。

 

これらの課題に対し、区として何らかの対策を求めるものです。いかがか、うかがいます。

 

多重債務者問題に関しては、私は2007年第3定例会において一般質問でとりあげ、区の取り組みについておたずねしました。区としての多重債務者向けセーフティネット貸付制度については、東京都が事業を始める動きがあるので見守っていくということでしたが、その後都は生活再生事業として、相談や融資事業を開始しました。

 

ここに多重債務者が相談してくる事例でいま最も多いのは、就職が決まったが給料日までの生活費や必要経費がないので「つなぎ」資金を貸してほしい、というケースだそうです。ところがそのような場合にここでの融資は受けられません。要件に合わないからです。では緊急小口資金貸付はどうかといえば、多重債務者であることがわかると、貸付金が借金の返済に充てられるという懸念により貸し付けを断られます。当然ですが、弁護士や司法書士などが債務整理を受任し分割などが始まっている場合は、貸付に応じてもよいのではないでしょうか。条件付きで、要件を緩和すべきと思います。

 

一方、小口の融資制度として当区では、福祉事務所が対応して区の実施する応急小口制度があります。無利子であり使い勝手がよいため、社協の制度よりも融資実績件数は多いようですが、こちらも当然ながら多重債務者や税金の滞納者には貸し付けられません。社協の緊急小口貸付と区の応急小口貸付は、似たような制度ですが要件が異なるため、さまざまなニーズがある福祉の現場では、選択肢の多いのは望ましいことです。それだけに、債務整理の受任を条件に、せめてどちらかでも融資を認めてほしいものと思います。ここで融資が受けられなければ、やむなく高利の金融に手を出すことになってしまいます。

 

ただしそのとき、弁護士や司法書士などとのネットワークが不可欠になります。貸すのか貸さないのか、いずれにせよ、多重債務者に対する貸し付けなどについて、区、社協などの関係団体との連携の仕組みづくりが必要と考えます。いかがか、区の見解をうかがいます。

 

ことし、国は生活福祉資金貸付け事業の大幅な見直しを予定しています。施行時期は本年10月とされ、準備が始まっていますが、この見直しにより実情に合ったしくみとなるよう、生活福祉のセーフティネットとして税が有効に活用されることを望みます。

 

つづいて、福祉事務所が窓口になって昨年から実施されている、東京都の生活安定化総合対策事業についてうかがいます。低所得者で安定的な職に就きたいという人や、就労意欲があり資格を取得したいが資金がないという人などに対する支援として、活用されることを期待するものですが、これはどのような事業か、その概要をお示しください。

 

当区での利用実績はいかがでしょうか。都全体でも最近になってようやく利用が増えてきたものの、まだまだ少ないと聞いています。対象となる人は少なくないはずですが、原因は何と考えておられるでしょうか。うかがいます。

 

これも周知がもっと必要ではないのでしょうか。区としてはどのように広報していかれるのか、おたずねします。

この事業は3年間の時限事業ですが、実績が上がっていない状況で、ある程度継続しなければ効果は得られません。国も必要と認めた施策であり、対象者にとって使いやすいしくみとなるよう検証し見直ししながら、3年以降も継続させていくべきと思います。区のお考えをうかがって、次の質問に移ります。

 

 中学校教科書の採択について

この問題も、今回多くの議員から質問通告がされていますが、昨年の小学校教科書の採択につづいて、中学校教科書の採択が行われるこの夏を控え、当然のことと思います。私も黙ってやり過ごすことはできません。

 

4年前の採択で杉並区に「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が導入されたことが、区の内外を問わず多くの人々にどんなに衝撃を与えたか。「人権と平和を求めた勇気ある先人の歩み」を無視し、民衆を蔑視する。支配者側の英知や能力は賞賛し、戦争の悲惨さを考えさせない方向性。このような歴史観から中学生に何を学ばせようというのか理解に苦しみます。

 

いろいろな考え方があり、それが各家庭の教育に反映されることを批判するつもりはありませんが、アジア諸国への差別意識にみちた戦争賛美の読み物が歴史の教科書として杉並の中学生にふさわしいとは、どうしても思えません。区の歴史に汚点を残し、区民の教育委員会への不信を大きくしたことは残念ながら疑いようがありません。こんなことはもう2度と起こしたくないのです。

 

最初に、手続きについて確認させていただきます。2011年には新学習指導要領実施に伴い教科書の全面的改訂が行われることになるため、今年採択される教科書は、使用期間が通常と違って2年となります。文部科学省も今年の調査は簡略化してよろしい、と通知し、「2年しか使用しない」ことを理由に、無条件に前年とおなじ教科書を採択する地区もあると聞きますが、当区の場合はどうなのでしょうか。杉並区では今年の教科書採択に関連した手続きは、基本的に4年前の前回と変わらないと聞いてはおりますが、どのように進めるのでしょうか。スケジュールについてうかがいます。

 

前回の採択では、扶桑社版の歴史教科書について、教科書調査委員会の報告、種目別調査部会の報告、各学校における調査報告、教科書展示会における区民アンケートなど、いずれも扶桑社版が最低の評価だったのにもかかわらず、最終的に教育委員会において選択されたのは扶桑社版でした。教育現場の声や区民の声はまったく生かされなかったことになり、公正さを欠いた感は否めません。今年こそ採択に現場の教師や区民の声、また子ども自身の意見も聞いて、それを生かしていただきたいものと考えます。どのようにされるのか、うかがいます。

 

4年前、採択機関について要綱の改定が行われ、審議会から調査委員会へと変えられたことが事実上の格下げにあたるのではないか、という不信を払拭することができません。もともとの「審議会」には、教育現場の専門家である教師たちの議論を重視しそれを教育委員会の最終判断に反映させるという機能があったと思います。ところが「調査委員会」は、教育委員会の下部組織として、教師などがメンバーとなる「種目別調査部会」からの調査結果を受けて教育委員会に報告する機関となっており、レベルダウンと思われます。教育委員会に権限を集中させてより強化する形になっています。

 

他の採択地区では「協議会」として幅広いメンバーでの議論の場を設けている場合が多くあります。各学校からの要望を集約できるようなしくみとし、専門委員による調査の報告や区民アンケートの結果も受けて議論するような協議会を設置すべきと考えますがいかがでしょうか。

 

そもそも、教科書調査委員会の審議が非公開で行われる理由がわかりません。この機会におたずねします。公開性と広く意見聴取がされることは、採択制度を民主的なシステムにするために欠かせないと考えます。透明・公正な審議を保障するため、調査委員会を公開で実施し、さらに教育委員会への報告までをも公開すべきと考えますがいかがか、うかがいます。

 

さて、最後に「つくる会」の分裂問題について触れておかなければなりません。一見、採択とは関係がなさそうですが、そこに重要な問題をはらんでいると考えるからです。

 

「つくる会」は2005年の教科書採択率の低さをめぐって内紛のあげく分裂し、その結果、扶桑社と自由社という2つの出版社から、非常によく似た内容の2種類の歴史教科書が出されるという事態を招き、さらに一連の騒動は、執筆内容の著作権を争う訴訟に発展しています。「つくる会」の元会長自らが、「内容が右より過ぎたために採択がとれなかった」と公然と不服を述べて「つくる会」と袂を分かち、2年後に実績を上げるため別組織を結成する、という動きから、この人たちが教科書の出版を政治的に利用しようとしてきたことは明らかです。

 

扶桑社の歴史教科書および公民教科書、そして今年参入した自由社の歴史教科書も、たとえ文科省の検定に合格したものであっても、このような経緯にてらして見れば、採択の対象から外すのが常識的な分別だと思います。教育委員各位の良識ある判断を強く求めて、私の質問を終わります。

第1回定例会予算特別委員会 意見開陳 

09 3/12 小松久子

 

予算特別委員会の最終日にあたり、当委員会に付託された2009年度一般会計予算をはじめとする諸議案に対し、区議会生活者ネットワークとして意見を申し述べます。

 

限られた時間ながら委員会での質疑をとおして、一般会計ならびにすべての会計予算案、および委員会最終日直前の昨日、提案された補正予算について、各論はさておき総論として賛成すべきと判断いたします。また他の条例案についても、いずれも区議会生活者ネットワークは賛成といたします。その立場から、以下、時間の制約により述べられなかったことなど何点か絞って意見を申し上げます。

 

2009年という年は、米国の失政に端を発した経済危機が日本にも飛び火し、働く場と同時に住むところも失った非正規雇用の人たちを大量に生み出すという、厳しい社会情勢の下で明けました。国外に目を転じれば、イスラエルによるガザ攻撃が子どもを含む無垢の人々の命を奪い、地球上から戦火が消える日がすぐにはやってきそうにないことを思い知らされた年明けでした。

 

不況による影響がさまざまな形で市場に広がるなか、当該年度の杉並区における区税収入は前年と同規模と見込まれているものの、今後は縮小を余儀なくされることは必至です。一般会計と特別会計の総予算額で前年比マイナス7.1%、一般会計予算はマイナス7.7%という財政立ては現段階で妥当と考えますが、この先の景気動向から目を離すことはできません。

 

昨年の区議会第4定例会において、国に対して「協同労働の協同組合法」、いわゆるワーカーズ法制定を求める意見書提出が議決されたことは、雇用問題、労働問題が深刻化するなか、地域における働き方の選択肢を増やす意味でも、時宜にかなったことだったと思います。とはいえ、今の国会運営の中にあって法整備がどのように進められるのかが見えず、現実は働き方を選べるような状況でなくなってきたことも事実です。

 

坂道を転げ落ちるように経済情勢が悪化する社会を私たちはどう乗り越えていくのか。すでに多くの考察がされていますが、たとえば経済評論家、内橋克人氏の提唱する「食料、エネルギー、ケア」の3つをキーとした経済循環論には学ぶところ大と考えます。すなわち、「食料、エネルギー、介護を自給、消費し、さらにそこに雇用をつくりだす。人間の基本的な生存権を大事にするという価値観のもとで新たな基幹産業を創出し持続可能な社会に変える」というものです。アメリカ合衆国のオバマ大統領が打ち出したグリーン・ニューディール構想と共通する考え方ですが、区政にも通用するものであり、「連帯と参加と協同を原理とする」という点は、身近な自治体でこそ実現可能性が展望できるものです。

 

ただ、助け合いによる地域づくりは生活者ネットワークとしてもめざすところですが、地縁・血縁の助け合いを美化し古き良き日本に回帰しようとする志向には落とし穴のあることに気づく必要があります。先の内橋氏も「古き良き日本がいいとは思わない。基本的な生存権が奪われていた時代ではなく、人間を第一義とする共生経済をめざす」と述べています。文化や伝統、日本の美徳などがことさら強調されるときには、その裏に個人の自由や基本的権利の抑圧が隠されているかもしれず、注意深くあらねばなりません。

 

さて、介護保険制度が今回4度目の改正となります。区では独自策として、小規模事業者が行う健康診断に助成し、介護従事者の健康管理に努める事業者を支援していく考えを示されました。介護従事者のもうひとつの処遇改善策としても評価したい取り組みです。新制度のスタートにあたり、運営協議会を目的に沿って機能させ、当たり前のことですが利用者が使いやすいように、適正に、かつ適正さを追求するあまりに厳格に過ぎることのないよう、適度な運用を要望いたします。

 

つい先だっての3月8日、自宅で祖母の世話にあたっていた23歳の男性が、92歳のおばあさんを浴槽に入れたまま放置して死なせてしまうという事件が区内で起きました。同居している母親が介護保険の利用を望まなかったため、息子と交代で世話していたとのことで、介護保険が利用されていれば避けられた事件でした。このような利用を望まない人がいる一方、同居家族がいると介護保険のサービスを受けられないと思いこんでいる人が少なからずいます。前回の改定で家事援助サービスが受けられなくなったことから生じた誤解ですが、介護保険の周知がいまなお不十分であるということです。制度改正を機に十分な周知を図って、在宅介護の重圧に押しつぶされる人を救済し、介護する人にも支援となるよう期待します。

 

医療制度改革のもとで、地域医療、在宅医療が重視されるようになっています。区では(仮称)在宅医療推進協議会を設置されるとのこと。人生の最後のときを自宅で迎えたい、という多くの人の思いをかなえる前提となる在宅医療、それを支える地域医療体制をつくりあげるための一歩として、注目しています。

 

食の安全に関連した質疑の中で、衛生試験所を存続させる区のお考えが示されました。消費者の食に対する不安をあおるような事件は最近聞かれないものの、1年前の冷凍ギョーザ事件はいまだ解決されておらず、いつまた何が原因で不安が増幅するとも限りません。衛生試験所は食を扱う事業者の安全・衛生管理を支える重要な機関でもあり、区有の施設としてあることを評価したいと思います。

 

杉並区と農村との共生事業について、具体的な検討を始めようとされていることを歓迎します。このたびは青梅市との交流も始まるとのこと、こちらも相手方もハッピーになれるような提案を期待します。またこれを機会に、農のもつ多面的な価値を尊重し、消費者であると同時に生産にも関与する意識が区民の中に広まることを願っています。

 

商店街活性化事業について、申し上げます。まちのイメージを決める大きな要素の1つは商店街です。周辺の住民は商店街が元気であってほしいと願っていますが、現実には、肉・魚・野菜の生鮮三品を扱う店がシャッターを下ろし、代わってチェーン店が出店され、ただの通路と化してしまっている商店街も存在しています。それを、がんばれ、と国や東京都からの支援を受けながら、イベントなどを開催して集客努力を行っているところですが、果たして商店街は元気になったのでしょうか。逆に、イベントをこなすのに精いっぱいで、終わった後は元気どころじゃないという声も聞きます。補助金適正化審査会の意見にもあるように、これまでの補助のあり方、活性化の評価などを検証する時期に来ていると思います。かといって、補助金を切れば地域の商店街が急激に悪化することは目に見えています。助成する条件に、周辺住民と知恵を出し合うことを条件づけてみてはいかがでしょうか。

 

空き店舗活用事業は実績がないとのことでした。家主にとっては、空き店舗を貸すとなると、出入り口やトイレを別にしなければならないという問題がネックになっているようですが、業種に限定枠を設けている点も障害になっています。この限定枠は外すべきです。やる気のある事業者を誘致し応援する商店街、それを区は補助金で応援する、という構造にできないでしょうか。

 

エコ商店街はいかがでしょうか。アーケードに太陽光パネルを張り、住民が夜間、通行する時の電力を生み出す、JRの高架に降った雨を貯めて、駅前や商店街のフラワーポットの水やり、夏の夕方、消防団と協力して放水訓練という名目で打ち水大会など、地域貢献型商店街をめざす。それを応援する区、という構造はいかがかと思います。ぜひ区からの提案をご検討ください。

 

環境対策は、たとえ温暖化の犯人が何であれ、100年後に後悔しない施策をいま、迷わず講じることこそが重要です。区は環境基本計画の改定を準備されていますが、杉並100年の計にぜひ環境施策の推進を加え、遠きを見据えて地道にとりくんでいただきたいと思います。

 

ご長寿応援ポイント制度について申し上げます。高齢者が地域で元気に活動できるよう応援する仕組みですが、他の自治体が福祉関連のボランティアを対象としているのに対し、当区では環境・防犯などに広げていること、基金に寄付できるしくみとしたことはよいと思います。ただ、生きがい活動も対象とするのであれば、参加するだけの高齢者に加えて、すでに目標を持ってイベントを企画する側にいる高齢者にも頑張れと後押しする意味でポイントがつくようにすべきではないのでしょうか。ぜひお考えください。

 

昨日、突然降ってわいたように提出された補正予算案は、今議会で最も多くの質疑がされた、保育に関する予算措置でした。力づくともいえる異例の提案ではありますが、それほどに多くの区民からの要望とあれば、区の決断に感謝こそすれ、反対するものではありません。

 

ただ、量とともに大事なのは保育の質です。今回作成いただいた資料によれば、子どもひとりに投入されている区の経費が、区立保育園は2,321,000円、私立認可保育園が1,629,000円、認証保育所1,282,000円、グループ保育室は986,000円となっています。グループ保育室がこれほどに低く抑えられているのは、区の支払う委託費のほかに保育料収入があるからですが、利用者に配慮した設定である分、事業者にとっては入りの少ないことになっています。事業者といっても、既存のグループ保育室は、地域の子どもたちは地域で保育する、という熱意あふれる育児経験者が集まって、食事や遊びに気を配り、行きとどいた保育を提供して保護者から高い評価を受けています。

 

ところがこの補正措置では、保護者にとって負担軽減であっても事業者には還元されません。家庭福祉員については、保護者の負担軽減ではなく保育提供者への増額となっていることと比べても、改善が図れないものかと思います。グループ保育室の人件費アップは保育の質の確保でもあります。検討を望みます。

 

学校図書館への司書配置が不十分ながら実現されることは、大きく評価しております。それだけに、待遇についてなど厳しいことを申しました。学校図書館に専任司書の配置を求める動きはいま全国に広がりつつあるなかで、杉並区の取り組みは他の区や自治体からも注目されています。というのは、すでに先進的に配置されているところでも、その待遇は不安定な雇用形態となっている場合がほとんどだからです。しかしだからといって、杉並区がこのような緊急雇用としての位置づけに満足してよいことにはなりません。学校司書の処遇をどうするのかということは、図書教育に対する区の見識が問われているといっても過言ではありません。継続した配置と適正な処遇を追求してくださるようお願いいたします。

 

教育施策に関連して、2点だけ申し上げます。1点目は幼稚園・保育園の漢字教育についてです。遊びながら漢字に触れさせるとのことですが、そうはいっても子どもからほかの遊びの時間を取り上げてしまっていいのだろうか、と心配です。言葉を聞く・話すという「ことばの教育」には賛成ですが、漢字は学校に入学してからで十分だと思います。

 

最後、2点目は教育基本条例等について。教育立区が提唱された2004年に初めて提案されてから5年近く経過していますが、この間、私は区の教育理念に子どもの権利を保障するための法的根拠となるものがもしできるなら大いに賛成したい、と一貫して言い続けてきました。具体的には、子どもの最善の利益とすべての子どもの学ぶ権利、参加、意見表明の権利の保障、また現場重視の視点、マイノリティーへの配慮、などです。

 

今年は、「児童の権利に関する条約」すなわち「子どもの権利条約」が1989年に国連総会で採択されてからちょうど20周年に当たります。日本が批准した1994年からは15周年であり、記念すべきこの節目の年に、「子どもの権利条約」にのっとった条例ができないものでしょうか。改めて今回も要望し、区議会生活者ネットワークの意見といたします。

2009年区議会第1回定例会一般質問         

                                       2/16 小松 久子

私は、区議会生活者ネットワークの一員として、1.地域区民センター運営協議会と地域自治について、2.発達障がい者の支援について、3.外環建設問題について、以上3点質問いたします。

 

区長がこのたび示された区長の予算編成方針の概要では、「自治」「協働」の文言がすっかり影を潜めた感があります。これがもし自治を推進するのは当然のこと、また協働については区の事業の6割実現を達成したので改めて述べるまでもないということなのだとすれば、私たちの実感とはかなり距離があると申し上げなければなりません。

 

当区において自治を語るとき、分権とセットで、対国、対東京都というような対置関係でイメージされることが常であり、地域自治についてはあまり触れられませんが、ほんとうは、生活に身近な地域における自治においてこそ、区民一人ひとりの市民性が発揮され、市民自治を実感することができるのだと思います。

 

地域自治については、かつては議論された場面があったものの、いつのまにか消えていったと理解しておりました。けれども、昨年、7年ぶりに地域集会施設、いわゆる地域区民センターの運営協議会のあり方検討がされたとうかがい、年末にまとめられた報告書を拝見して、地域自治について再び議論の俎上に載せる機会がやってきたと感じました。区内にある7つの区民センターを中心とするそれぞれの地域は、地域自治を具体的にイメージし実践するのに適した事例だと思います。

 

あり方検討の報告書は「協議会の新たなる一歩」とタイトルがつけられ、サブタイトルには「地域団体のネットワーク化と自治型コミュニティ形成を目指して」とあります。前回2000年度の検討において、「地域自治」という文言こそないものの、自治型コミュニティをめざして地域センターを地域自治の拠点として展望されていたことがわかります。そして今回の報告ではその構想をほぼ踏襲した内容になっています。

 

生活者ネットワークは、市民による自治の実現をめざす立場から、地域自治の拠点として区民センターがその機能を果たすことが適当と考えてきました。そもそも、今年でちょうど30周年を迎える荻窪地域区民センターが1979年に最初の地域区民センターとして設立された当初より、運営協議会の設置目的としてこの地域自治の視点が明確に記されています。すなわち「住民自治の精神に基づき、区より委託された地域の集会施設の運営管理を通じて、地域住民相互の交流、活動の便宜を図り、地域のよりよいまちづくりを進める」と書かれ、今に至っています。

 

また、新宿区の例をご紹介しますと、区内を10の地域に分け、各地区に「地区協議会」を設置して、町会・自治会の地縁組織から地域貢献型のNPOや公募区民に至るまでさまざまな人々が参加し、模索しながら区民と区の協働のもと活発に活動が展開されているようすがホームページ上からもうかがえます。現在新宿区では()自治基本条例を区民と行政と議会の3者が一緒になって策定中とのことですが、その中での大きな課題の一つが、この地区協議会という地域自治の組織をどのように条例の中で規定するか、だということを聞いております。いかに地域の自治を重要課題ととらえているかがうかがわれます。

 

運営協議会の機能を区民センターという箱モノの維持に終わらせず、自治型コミュニティ形成を目的とするという今回の報告を、自治を進める杉並区としては、どのようにとらえておられるのか、ぜひお考えをうかがいたいと思います。これが1番目の質問です。

 

報告書では、これまでの趣味・娯楽活動の講座を縮小し、地域の課題解決型の講座企画を多くしていくことが提言されており、私もそれが本来の区民センターの機能だろうと思います。

また、運営協議会の委員構成についても言及されています。ただ、報告書で例示された変更案を見て、文言自体も古く感じてしまうのですが、地域の活動や事業に積極的に動いている方たちとの接点をもつ私どもからすれば、もっと地域の課題を知っているNPOや、地域の市民活動に関心を持つ人などが参加できる体制にしていくことが必要と考えます。

 

昨年は特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法が施行されて10年という節目の年でしたが、当区においてはすぎなみ地域大学の実践などの成果もあり、この間の市民活動の活発化は10年前とは段違いの進展を見せています。

 

本来であれば、運営協議会の委員構成について、新しい方向性を出すべきと思いますが、まずは地域で活動するNPOとの協働で講座企画などを実施することなども有効と考えます。最初は区が運協とNPOをつなぐ役割を果たすべきと思いますが、いかがでしょうか。2番目としてうかがいます。

 

報告書のサブタイトルにうたわれているような、「地域団体のネットワーク化」という目的を達成するには、運協がその運営体制から変わる必要があります。事務局体制の変革をめざしておられることには賛同します。現状では、地域課地域活動係と運営協議会事務局の連携をどのように行っていくべきかが明らかでありません。

 

というより、「地域の活性化」という抽象的な目標のもとで具体的に何をどうすればよいのかが明確に捉えられないままに係が設置されていると申し上げたら言い過ぎでしょうか。本庁と地域の出先機関、現場の区民の活動とが有機的に連携し、情報が共有され、そこから新しい課題が明らかにされ、その解決に向けて地域が動き出す、というような状況に現場はなっていません。

 

地域のさまざまなネットワークや地域課題に精通した、もしくはそれを楽しく極めていこうという意欲のある区民や団体の参加なども含めての事務局体制をつくり上げることが、求められるのではないでしょうか。報告書においても、事務局組織のあり方については、「区・運営協議会両者が、その改革実現に向け努力するよう強く要望する」と書かれています。地域のNPOに一度運営を任せて運協のあり方を変え、区はそれを支援する、という協働のあり方が検討されるべきと思いますがいかがか、お考えをお示しください。

 

報告書では、7年前に検討されたことが現実には進まなかったことの原因を、ロードマップが示せなかったからと総括されています。この教訓を生かすため、今回は報告書で述べられた提言をもとに具体策を立てることが求められます。NPO関係者を含め各種の地域団体とともにあり方検討の内容を共有し、区の支援のもとに実行計画を立てる必要があると考えますがいかがでしょうか。この項で最後の質問として、見解をうかがいます。

 

この問題は、単に運営協議会の問題に限られることではありません。杉並区政史によれば、1977年に策定された杉並区長期行財政計画において「地域の特殊性に応じた的確な行政サービスを提供するため、7つの地域と46の地区を設定」されたとありますが、区は7つの地域というものを単に公平な施設配置をしていく上での区分にすぎないとし、これまで地域行政を地域の市民自治の視点からは取り上げてこられませんでした。しかし、分権・自治が地方政府の最後の重要課題となっているこの時代に、杉並区が適切な区政運営のかじ取りが出来るか否かという問題なのだと、生活者ネットワークは考えています。

 

ぜひ、区民が集う地域の施設を中心に、自治が根付く、運営協議会がそのための推進役として主体的な活動の新たな一歩が踏み出せるよう、区の支援を期待して、2つめ、発達障がい者の支援についての質問に移ります。

 

発達障がいは、他の人とうまく交流できない、意思の疎通がスムーズにいかない、知的には問題がないのに社会のルールが理解できない、などの問題が一種の障がいによるものであると規定づけた概念です。おそらくは学校や地域、職場などに昔から存在していた「生きにくさを抱えた人」の困難さの原因が認識されたことで、その存在が明らかになりました。

 

厚生労働省の定義によれば「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」とされています。

 

2005年に発達障害者支援法が施行され、それまで福祉制度の谷間にあって行政施策の対象とならなかった発達障がい者とその家族にとって、生涯を通じて公的な支援が受けられるよう定められた意義は大きく、また発達障がいという種類の障がいを社会に認知させるきっかけとなりました。ただ、外見上からはほとんどわからない、障がいの程度も症状も個人差の大きい発達障がい者への支援のあり方には、まだ多くの課題が山積しています。

 

たとえば、発達障がいの数は増えていると一般的にいわれますが、実際にそのようなデータは見つけられませんでした。子どもの場合については、療育施設や特別支援教育の現場を通して把握しやすい一方で、成人の場合は、成人になってから障がいの存在に気づく例も珍しくなく、専門医であっても診断が分かれる場合があると聞けば、いまの段階で数を把握するのは難しいのだろうと容易に想像がつきます。

 

杉並区では、乳幼児期から始まって学齢期までふくめて、子どもの発達障がいについては他区と比較しても、十分とはいえないまでもきめ細かく保護者本位の支援策が施されていると評価するものです。しかし、成人の発達障がい者に対しては、法的な不備もあって、当事者や保護者が安心して地域生活が送れるような体制が整備されているとはいえません。

 

その、法的不備について若干述べさせていただきますと、発達障がいは障害者基本法、障害者自立支援法において対象とされていないため、どのような支援が必要とされるのか規定がなく共通認識がされていません。区の保健福祉計画、障害福祉計画においても発達障がいは種別にすると「その他」の部類に入ることになり、障害者手帳や愛の手帳、保健福祉手帳の交付を受けることもありません。行政計画に明確に位置づけることが必要だと思います。障害者自立支援法は現在見直し作業が行われていますが、その中で発達障がいが位置づけられる方向と聞いています。この動向を注意深く見守っていきたいと考えています。

 

前置きが長くなりましたが、以下、特に成人の発達障がい者に対して適切な支援がなされるように整備が進むことを願って、4点質問いたします。

 

1点目です。発達障害者支援法に基づく施策として、区ではどのような取り組みがされているでしょうか。うかがいます。

 

2点目。発達障がいは個人ごとにそれぞれ症状や個性が異なるうえ、先ほど述べたように医師によっても診断が異なる場合があり、またボーダーライン上にある人が相当数いるものと考えられます。そのため個別の対応が不可欠となります。第1には相談窓口の充実であり、医療、保健、福祉、教育、労働などの所管が連携しての個別の支援体制が必要と考えますが、区の取り組みについておうかがいします。

 

ところで先日、私どもの事務所に、成人の発達障がいの息子を抱える親御さんが相談にみえました。他の人と意思の疎通を図ることが難しく、知的障がいも併せ持つ30代の息子と二人暮らしというその男性は、発達障がいに対する無理解が行政の窓口においてさえ見られる、と受付対応への不満を訴えておられました。

 

そのことからもわかるように、発達障がいの特徴や接し方についてはまだ認知度が低く、研究途上にあるといわなければなりません。一般の人だけでなく、作業所や生活園の職員やスタッフ、職業訓練、ジョブコーチ、就労支援などにあたる人の中にも、発達障がいの特性は理解していても、個々の対応における些細な不備でのトラブルが当人の地域生活を困難にしている場合があります。

 

職員・スタッフは事例研究が欠かせません。また区民一般への普及啓発は区の責務ですが、どのように取り組んでいかれるのか、3点目としてうかがいます。

 

先の親御さんと話していて感じたのは、この障がいは家族同士のネットワークづくりができにくいのではないか、ということです。当事者が子どもの場合は、こども発達センターなどを通して他の親御さんたちと知り合うきっかけがもて、情報交換や悩みを分かち合う関係を結ぶことができるでしょうが、成人の場合はその機会が乏しく、なかなか難しいように思いました。

 

そこで4点目の質問です。家族同士のネットワークづくりや、そのような活動をしている市民団体への支援なども求められると考えます。区の取り組みをうかがいます。

 

昨年私は、世田谷区にある東京都発達障害者支援センター、通称トスカを視察する機会がありました。そこで専門スタッフの方から「発達障がいというと、みなさん子どもに目を向けてくださるのはいいんですが、成人のほうがもっと大変なんです」とうかがい、なるほどと思わせられました。18歳以降のほうが人生はずっと長く、年を重ねるにつれ、子ども時代よりも複雑な問題が家族など周辺にも生じてきます。30代、40代の発達障がい者の親御さんは自分が高齢化していくことの不安を募らせていくでしょうし、今のような経済不況でいちばん打撃を受けるのが弱者だというのは、残念ですが事実です。

 

区の積極的な支援策をつよく要望して、3つ目の項目、外環建設問題について質問いたします。

 

1966年に都市計画決定された東京外かく環状道路の、関越道から東名高速までの未着工区間16㎞分について、2001年、高架から大深度地下構造への変更方針が国と東京都より示されて以来、建設に向けた動きが進んでいます。200712月には国幹会議で計画路線に位置づけられ、現在、事業化手続きの前段階に至っていますが、つい数日前には石原都知事が金子国交大臣と会談し、来年度中に着工するよう申し入れたと報道されるなど、推進の動きがにわかに早まってきた感があります。

 

この間、国と都は「外環の必要性の有無から議論する」住民参加のしくみとして「パブリック・インボルブメント(PI)」協議会を設けるなどして「十分に議論してきた」「地元との合意形成に努めた」と自己評価していますが、建設を疑問視する沿線7区市、すなわち練馬、杉並、武蔵野、三鷹、調布、狛江、世田谷の住民からは、建設ありきで進められ決定権を持たないPIのあり方への不信を訴える声が消えません。地域ごとの課題を整理する、として地域PIが各地で開かれましたが、いずれの参加者からも「あげられた課題の解決策が示されないか、示されても納得できない」「進め方に問題あり」という声が聞かれます。

 

杉並では2回の地域PI課題検討会、その後の「補足の会」をもって課題検討会は終了とされ、先ごろ国と都より「対応の方針(素案)」が示されました。現在パブコメ受付中であり、確定された方針ではありませんが、素案は検討会メンバーより出された多くの疑問に答えるものになっていません。

 

そこで質問です。区はこの素案の内容に対しどのような見解をおもちか、まずうかがいます。

 

区長は、平成19112日付で都知事にあてて提出した、外環道の環境アセスメントに関する意見書において「インターチェンジ周辺地域における具体的な交通対策や環境対策が明らかになっていない現段階において、外環事業の着手まで容認するものではない」と述べられました。また同日、国交大臣と都知事に対し「事業着手までに誠実な対応を」として交通対策や環境対策などを要望されています。

 

区長要望に具体的な回答が得られないうちは事業化まで容認するものではない、とする区の立場から、これまで区は、不十分な回答については国に対し再度回答を求めておられる、と聞いています。その再質問の内容は何と何でしょうか。また、もし区長が事業化を容認するとすれば、その条件はどのようなものでしょうか。併せてお示しください。

 

さらに、その回答の時期についても確認させていただきます。事業化手続きの段階に進んでしまってからでは間に合わなくなってしまうからです。事業化手続きに入る前に回答を得られるようにすべきと考えますがいかがか、おうかがいします。

 

つづいて地上部街路(外環ノ2)について質問いたします。

 

都道として都市計画決定されたまま、今も計画として生きている外環ノ2は、都が制作したPRパンフによれば、街路ができれば失われたみどりが復活して緑被率が上がり、災害時に延焼を防止でき、交通が円滑化されて事故が減り、質の高い生活環境が創出されバリアフリー化も推進される、とよいことずくめです。

 

しかし、防災対策や交通の改善には従来の道路を整備することで対応が可能ですし、外環ノ2街路を造ればまちの景観を激変させてしまうこと、善福寺のまちから相当数の住民を立ち退かせコミュニティを分断することになる、など弊害の甚大さを想像すれば、とてもそのように楽観視することなどできません。

 

杉並区においては、外環ノ2については「必要性の有無からの議論をする」と従前よりうかがっています。区のお考えをここであらためて確認したいと思います。また今後のスケジュールをお示しいただくことと、併せてうかがいます。

 

生活者ネットワークは、昨年11月、沿線7区市のうちの6区市で連携した活動として、外環に関してさまざまある市民の疑問を質問状としてまとめ、国会議員を介して市民と国交省との協議の場をもつことができました。しかし国からは実のある回答を得ることができず、そのあまりに不誠実な対応によって、この建設事業に対する疑問と危惧をよりいっそう増大させる結果となりました。 

 

いま、政局の転換点にあって、外環建設問題は重要な局面を迎えています。区は、区民の声を代弁し区民の生活権を守る義務と責任において、国と都に対峙し、また他の沿線自治体に対しても、ときには説得にあたるような積極性を発揮していただけますよう最後にお願いして、私の質問を終わります。

2009年区議会第1回定例会一般質問         

                                   市橋綾子   2/16     

区議会・生活者ネットワークの一員としまして、善福寺川「水鳥の棲む

水辺」創出事業について質問します。

 

私たちが暮らす杉並区は、神田川水系の流域面積が一番広い自治体です。なかでも、区の中央を西から東に流れる、全長10.5kmの善福寺川は、杉並区だけを流れる神田川の支流の1つです。

善福寺川の本格的な開拓の歴史はさかのぼることおよそ420年。徳川家康が江戸へ入府した翌年の1591年ごろからと考えられている、とある本で読みました。もちろん、それ以前から川沿いの大地には多くの集落が形成され、川のあるところに文化が生まれるともいわれ、人々の暮らしと川は密接な関係であったことは言うまでもありません。その長い歴史の延長線上に現在の私たちの暮らしがあることを忘れてはなりません。

さて、昨年の第一回定例区議会において、「いのちを育む」その中でも「地域のいのちを育む」施策の1つとして区民と協働で取り組む「善福寺川 水鳥の棲む水辺 創出事業」が承認され、すでに1歩を踏み出しています。この事業に期待を寄せる者として質問します。

 

まず最初に、この善福寺川「水鳥の棲む水辺」創出事業について2点お伺いします。

1点目。この事業のめざすものは何か、お伺いします。

2点目。事業に関する来年度予算の内訳をお示しください。

 

次に、今年度の計画で設置された検討懇談会について2点お伺いします。

1点目。この検討懇談会の位置付けはどのようになっているのでしょうか。また、懇談会委員はどのようにして決められ、どのような方が務めていらっしゃるのか、おたずねします。

2点目。検討懇談会がまとめたこの事業への「提言」が、先月1月に区に提出されたと伺いました。そこで、おたずねします。この提言に書かれている内容にはどのような特徴があるのでしょうか。また、区としてこの提言をどのように評価していらっしゃるのかお伺いします。

 

さて、2月7日、都市整備部建設課主催による「善福寺川『水鳥の棲む水辺』創出事業」シンポジウムが開かれ、私も一区民として参加しました。区民の興味があるテーマであることに加え、当日の朝刊に大きく記事が載ったこともあり、会場の区役所中棟6階の会議室は130人を超える参加者でいっぱいでした。

懇談会委員をパネラーに、「水鳥の棲む水辺創出事業に期待するもの」と題しパネルディスカッションが行われ、水質・水量のこと、鳥、昆虫、植物のこと、下水道のあり方、教育現場から川と子どもたちなど、さまざまな立場から、過去、現在、未来の視点で、課題や期待が述べられました。そこでシンポジウムに関連して2点お伺いします。

1点目。今回行われたシンポジウムのねらいは何か、おたずねします。

2点目に、地域を知る教育についておたずねします。

善福寺川の近くにある区立西田小学校・杉並第二小学校の講師の方から、「子どもたちは地元を知らない。知るチャンスがない」、また、「子どもは好奇心のかたまりなのに、川を見ない。存在すら知らない」という発言がありました。

この議場にいらっしゃる皆さんは、川で泳いだり、遊んだりしたことがおありでしょうか。川遊びの経験をお持ちの方は、楽しかった、水と戯れることの魅力などを覚えておられるのではないでしょうか。

川は子どもにとっても大人にとっても楽しい遊び場である一方で、怖いものでもあります。神田川の活動を地域の方たちと行ってきた私も、次世代を担う子どもに楽しさ、怖さを伝えていくには体験が一番だと考え、これまで池で「外来魚生態調査」としてブルーギルやブラックバス駆除のための釣りをしたり、「生きもの調査」としてザリガニや小魚、ミジンコすくいなどを行ってきました。子どもたちは、水の冷たさ、水音、湧き出る水や流れの強さ、川から眺める地上の景色、とどれもこれも初めての体験に目を輝かせます。杉並区には、神田川、善福寺川、妙正寺川のほかに、暗渠になってしまった井草川、桃園川などが遊歩道として残っており、神田川水系の大部分がこの杉並にあるという特徴ある自治体です。川を楽しみ、川沿いの遊歩道を毎日散歩する人も多く、川は区民にとっても誇りある資源です。杉並の子どもたちが、このように川があるまちで育っているにもかかわらず、川に入ったことがない、接したことがない、というのは残念でなりません。これまでの川の活動を通して、また、子どもたちが地元のことを知る機会がない、という現場の先生の発言からも、川を遊び場や学びの対象とする場面が必要であり、その場面をつくるのが大人の役割であると考えます。これまでも、川の学習を希望する学校の依頼で、市民グループが講師役を担い、川を学ぶ授業が何度か行われてきました。それは、「たまたま」行われたことです。杉並っ子は必ず地元の川を学んで育つ―といった杉並らしい教育メニューが欲しいところです。

そこで、2点目の質問です。総合的学習などの時間を使って、子どもたちが川に接する場面、学ぶ場面を積極的につくってはいかがでしょうかお答えください。

 

次に、事業計画についてお伺いします。

区のホームページを拝見すると、シンポジウムを開催して幅広い区民意見の把握を行い、今年度内に事業計画を策定する、という予定になっています。そこで2点おたずねします。

1点目。シンポジウムで発表されたテーマだけでも、水質・水量、鳥、昆虫、植物、下水道、教育のテーマがありました。事業計画の策定にあたり、着手する優先順位をどのようにつけていくおつもりでしょうか。また、今後のスケジュールについてもお示しください。市民参加や区民意見の把握については、今後どのような場面で行われ、計画策定を行っていかれるのかあわせて伺います。

 

最初に述べましたようにこの事業は「区民と協働して取り組む」ものです。今後、たとえばテーマごとにワーキングチームをつくり、計画策定作業を区民と一緒に行うなど、共にできることをさぐっていってこそ協働で取り組む事業といえるのではないでしょうか。要望しておきます。

 

2点目。関連部局との連携についてです。

このシンポジウムで明らかになったのは、「水鳥の棲む水辺」は単に水鳥を呼びこむものではなく、水鳥が棲む水辺をつくるためにはどういうまちづくり、人づくりをしていけばよいのか、というものでした。ここからもわかるように、この事業を進めていくには、建設課だけでなく、まちづくり、環境、人づくりである教育部門の連携が不可欠です。関連部署との連携を図る必要があると考えますがお考えをお聞かせください。

最後に、都との連携について2点おたずねします。

1点目に区の役割と東京都との連携について伺います。

市民が川の活動を行うなかで必ず突き当たるのが東京都と杉並区の仕事・役割の区分です。河川の整備は東京都が行い、都が整備したものを維持・管理していくのが区の仕事とされ、これまで区としても独創性を持った取り組みができにくかったのではないでしょうか。しかし、この水辺創出事業は、区が独自性を持って行う事業であり、「維持・管理」の仕事を発展的にとらえた時、水生生物・植物を川の中や護岸、管理用道路、川の中にどう配置していくのか。たとえば、いつも刈りとっている水草は、水質改善策にもなるわけで刈らずにおくのも管理、ととらえることができると思います。今後、策定される事業計画に期待するところですが、この事業において区の役割は何か、都との連携をどう図っていくのかお伺いします。

 

2点目。下水道局との連携についておたずねします。

東京都の河川流域連絡会議の1つとして神田川上流懇談会が2004年に設置され、現在、第2期の懇談会が持たれているところです。私もこの懇談会の第1期の都民委員でした。この懇談会は、上流域25区の公募都民委員と、行政委員として25区の担当課長、都の建設局関連部署が正式メンバーになっていますが、下水道局はメンバーではありません。23区の下水道は合流式下水道を採用しているため、一定以上の雨が降ると汚水が川に流される現状があるわけで、河川と下水道は密接な関係にあるのです。今回のシンポジウムでも、映像で流された区長メッセージやパネラーの発言にも、河川に流れ込む汚水が問題であると指摘がありました。水鳥が棲む前に、餌となる水生生物が生息できるかどうか、そのためには水生植物が繁茂できるかどうか、つまり、事業の成功のカギを握っているのは下水道問題です。これらのことから、水辺創出事業を進めるうえで、ぜひとも東京都下水道局の参加が必要と考えますが、区としていかがお考えかを伺いまして、質問を終わります。

第4回定例会 一般質問

                                   08.11.22 小松久子

私は、区議会生活者ネットワークの一員として、学校給食ついて、飼い主のいないネコとの共生について、以上2点質問いたします。

 

[学校給食について]

杉並区の学校給食は、おいしいと子どもたちの評判もよく、すべて手作りで自校調理方式、安全対策、食育への積極的な取組み、アレルギーへの対応など、充実した内容といってよいと思います。今後もさらに努力されるよう期待を込めて、以下、質問いたします。

 

学校給食のよって立つ法律である学校給食法が今年2月に改正されました。1954年の制定以来、実に54年ぶりの大幅な改定であり、すでに施行されている食育基本法にそって、学校給食のありかたや位置づけを大きく変えたものと認識しています。これについて、まず区の見解をおうかがいします。

 

食育基本法は各自治体での食育推進計画の策定を義務づけており、当区でも2009年度に健康推進課がまとめる形で策定予定と聞いていますが、質問の2番目として、その作業の進捗状況と策定のスケジュールについてうかがいます。

 

学校給食における食育は、当区では法改正される前からすでに、食育基本法にもとづき積極的に取り組んでこられたと認識しています。どのような取組みがされてきたのか、また、そのような取組みを区はどのように総括されているのでしょうか。おたずねします。

 

学校給食は、小中学校の9年間という限られた期間だけ、しかも昼食だけの食事ですが、成長期の子どもにとっては重要な意味があります。特に、家庭における食のありようが変化し、栄養のバランスを始め質の低下がいわれる昨今、学校給食に期待されるものや教育的役割は大きいものがあります。いかがお考えか、うかがいます。

 

食の総体に対する信頼が崩壊したといわれ、学校給食においてさえ、事故米の混入事件をきっかけに食材の安全性を疑わざるを得ない事態が生じています。そこで、食の安全という観点からおたずねします。区内の学校給食において、食材の安全に関わる問題が生じていないでしょうか。お答えください。

 

また、食材とその納入事業者を決めるのはだれが、どのように決めるのか、選定規準はあるのでしょうか。区が一括して納入業者と契約しているのか、あるいは学校ごとに選び方が違うのか。また民間委託された学校の場合はどうかなど、おもな食材についてお示しください。

 

食の安全ということでは、食材だけでなく、子どもの口に入る瞬間まで、異物の混入などの事故を未然に防ぐための危機管理対策が求められます。当然マニュアルが作成されていると思いますが、アルバイトを含めて調理場で働くすべての作業員にマニュアルが徹底されていなければなりません。安全管理マニュアルの徹底をどのようにされているのか、うかがいます。

 

さらに、調理員を対象とする衛生研修や、調理研修は実施されているでしょうか。バラエティーに富んだメニューを可能にするには調理技術のレベルアップが求められます。民間委託はいま小中35校で実施されていますが、委託校ではいかがでしょうか。うかがいます。

 

委託が実施されている学校では、学校関係者と委託会社、それに保護者をふくめての情報の共有、情報交換がとくに重要です。当区では各委託校で学校給食運営委員会が設置されています。設置の目的とメンバー構成、開催状況をおうかがいします。

 

少なからぬ区民が若干の不安を抱きつつ受け入れてきた民間委託ですが、委託後の給食が子どもや保護者などの当事者からおおむね高い評価を受けていることには、安どしています。委託になれば質が低下するのではないか、問題がおきるのではないか、などの不安がしずまったベースには、学校給食運営委員会という、保護者の意見を届けるしくみが設けられるなど、区の努力があったものと思います。また学校ごとに給食をつくる「自校調理方式」であったからこそ、それができたとも考えます。今後も自校調理方式を貫いていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。おたずねします。

 

安全な給食のために、衛生面をはじめとして厳しい管理が重要なのはいうまでもありません。と同時に、現場の調理員たちが不安やストレスなしに働ける場になっているかどうかも、安全にかかわる問題です。給食調理室という限られた空間で働く人たちの身分の差がコミュニケーションをとりにくくさせ、それがミスにつながる可能性がある、とある専門家は問題提起しています。賃金をはじめ雇用条件、労働条件が違いすぎることはコミュニケーションを妨げる要因になりえます。民間委託がそのような問題をはらんでいることは認識しておかなければなりません。

 

さて、給食におけるキーパーソンは栄養士です。区の標準メニューはありますがそこに工夫を加え、栄養のバランスが規定に合うよう食材を決めるのは栄養士ですし、調理方法の指導、味付けの段階で調味料のさじ加減を決めるのも栄養士です。またこれからは学校全体の食育を推進する役割が求められます。全校の半分に栄養士を設置するという都の規定により当区では66校中33校、済美養護学校と南伊豆健康学園をあわせて35校に都採用の栄養士が配置されていますが、それ以外の学校には区の嘱託としてすべて栄養士が配置され、大いに評価するところです。

 

一方、栄養士と同様に食育の推進役を担うはずの、家庭科の教諭が都の方針で減らされていることには、腑に落ちないものがあります。ただ、ここでは指摘するだけにとどめておきます。

 

次に給食費についてです。今年、当区では給食費の値上げがされました。食料品価格が軒並み高騰するなかで食材の質を落とさないためには、やむをえないことであり、納得できることと考えます。食品価格の変動は今に限ったことではないと思いますが、どのような経緯で、いくら上がったのか、うかがいます。今後の状況しだいでは給食費の改定が再び必要になる場合も考えられますが、当面はできるだけ据え置きに務めていただきたいと考えます。いかがでしょうか、うかがいます。

 

つづいて、米飯給食についておたずねします。昨年まで、杉並区の米飯給食は週に2日ないし3日と聞いておりましたが、今年度から週4日になったとのこと、たいへん歓迎しております。私は、栄養のバランス面、安全、食文化、食習慣、フードマイレージなどなど、あとで述べる農業振興の意味でも、米飯給食がすすめられるべきと考えてきました。そもそも、パンと米飯を比較しますと、パンは原料の小麦粉がほとんど輸入品であるだけでなく、多くは添加物が入れられているのに対し、ご飯はコメと水だけの無添加食品です。従来パン食が普通であったことのほうが、不自然なのです。

 

そこで質問です。米飯給食を増やした理由は何でしょうか。子どもたちや保護者、調理員からの反響はいかがか、あわせておうかがいします。

 

杉並では、国産食材の日や農協の協力で地元野菜デーももうけておられます。農業について考えさせる、すぐれた取組みだと思います。食の安全という面からも、顔の見える生産者であること、生産履歴をたどれるトレーサビリティーは重要なポイントです。

 

5年前、私がこの議会で初めて質問に立ったときに選んだテーマのひとつは「都市農業」でした。杉並の農業支援のしくみを求め、学校給食に区内産の野菜の導入をすすめる、という趣旨でしたが、「区内農産物の導入が進まないのは、これまで両者の間での情報共有が少なかったことが大きな理由だった。子どもたちが食べ物や自然環境の大切さを学ぶ上で大きな効果が期待できるので、こうした取り組みが進むよう、学校と農家とを結びつけるための工夫をしてまいりたい。」と当時の区民生活部長が答弁されました。

 

その当時、市民グループの調査によれば区内産野菜が納入されていたのは17の小学校でしたが、今年の場合、教育委員会にうかがうと、小学校27校、中学校17校、養護学校1校の合計45校が給食に地元の野菜をと希望し、単発だが希望校には供給されるとのことでした。この5年間で、学務課と産業経済課が学校と農業者を結びつけてこられた成果だと感謝いたします。

 

ところで118日・9日に区庁舎で開催された、区内農業者のおまつり「農業祭」で、区が「杉並と交流関係にある北塩原村でとれたコメを学校給食で食べる」ことを検討中とうかがいました。この杉並区で農地をいま以上に増やすことはまず困難ですが、食育としても環境を考える上でも、これからは、国内農業をどのように守っていくのかを考えることを重視すべきです。先の決算特別委員会でも質問したことですが、地方都市の農業支援のしくみをつくれないものか、と思います。交流のある都市との交流のありかたをこのような視点で見直されてはいかがでしょうか。

 

世田谷区は「区民健康村相互協力に関する協定」を群馬県川場村との間で締結していますが、その中に23区で唯一、農業協定を加えています。「健康村里山自然学校」という交流事業の中に「農業塾」が組み込まれ、「野菜づくり入門コース」「棚田オーナー」など、まさに私が決算特別委員会で指摘したことが世田谷区民向けに行われています。

 

今年6月に実施された区民意向調査の報告書によれば、区と他の都市との交流について6割は知らなかったと答え、それらの都市へ「行ったことはない」と答えた人が85%、交流事業に「参加したことがない」が96%にのぼりました。一方、交流事業への参加意向をたずねる問いに対しては、観光、文化、自然体験、農作業などの体験学習、土地の人との交流、の順に関心の高さが示される結果が出ています。

 

先の委員会の質問では「たとえば田畑のトラスト制度」と申しましたが、その土地の自然の特性や農・林・水産業の特徴を生かした企画はさまざま考えられます。風光明媚な景色を愛でるだけの観光ではない、自然環境に配慮した体験型観光、グリーンツーリズムを自治体が事業として展開するケースも全国に増えてきました。杉並区との交流関係の延長として先方にそのような事業を提案し、実現すれば、双方にとってより豊かな交流となることは間違いありません。杉並区にとっては、交流都市の農業を支援することが、区民の農業への関心を高め、環境配慮行動にもつながると思います。区のお考えをうかがって、次の項目、飼い主のいないネコとの共生について質問いたします。

 

[飼い主のいないネコとの共生について]

つい先ごろ、荒川区で、飼い主のいないネコへの餌やりに罰則規定を設ける内容の条例が提案されることが明らかになり、住民の間に賛否両論が巻き起こりました。荒川区はそれを受けて、動物愛護の精神を加筆し、罰則を課すにあたっては慎重に進める、という趣旨での修正を加えたうえで、近く議会に提案されるもようです。それに先立つ7月には、杉並区内でネコが虐殺される事件が相次いでおき、野良ネコの問題が社会問題として認知されるようになってきています。

 

ここで忘れてならないのは、およそすべての社会問題がそうであるように、問題の原因をつくっているのは人間だということです。ネコに責任はありません。だとすれば人間がその解決に務めなければならないこと。そして、動物愛護はもちろんのこと、動物の生きる権利を認めその生命が尊重される「動物福祉」が推進されるべきである、という視点から以下、質問いたします。

 

最初の質問は、昨年7月に出された「動物との共生プランへの提言」最終報告書についてです。報告書には、「人と動物が共生できる杉並を目指して」と副題がつけられ、ここで提案された具体策で事業化されているものもあります。まず、区はこの報告書をどのように評価しておられるか、おうかがいします。

 

この提言から具体化した事業に、動物適正飼養普及員制度があります。別名どうぶつ相談員制度といいますが、すぎなみ地域大学の講座修了者の中から今年23人が相談員として委嘱を受けたと聞いています。そこで、飼い主のいないネコの問題についてうかがう前に、どうぶつ相談員制度に関連して3点おたずねします。

 

1点目。制度をもうけた目的と相談員の役割、資格は何か、うかがいます。

 

2点目。相談員はおもに、イヌにかかわる活動を望む人とネコの活動に興味のある人に分かれ、それぞれに活動内容が異なるうえ、その人ごとに活動のレベルも異なります。相談員に効果的に活動していただくためには、各人の得意分野や個性を区が把握しておく必要があると思います。区はどのような対応をとっておられるのか、お聞かせください。

 

3点目です。地域大学の講座では、実地研修などは行われなかったと聞いていますが、地域でおきている問題に対処できるような技術研修が必要なのではないでしょうか。区として、相談員のスキルアップ研修をおこなうことが必要だと思います。また民間で行われているさまざまな研修の情報を提供していただきたいと思いますがいかがか、おうかがいします。

 

さて、ここから飼い主のいないネコの問題についてです。ネコに関して対応すべき問題といえば、野良ネコが増えて鳴き声がうるさいとか、フンや尿のにおいが環境を悪化させることなどですが、これを解決するには、ネコを捕獲して不妊・去勢の手術を施し、一代限りの命を全うさせて、時間をかけて数を減らしていくしかありません。それを実行する主体として、何人かのネコ好きな人たちが、餌場を決めてそこに集まってくるネコを責任持って管理し、フンの始末など世話する活動が「地域ネコ」の活動です。個人が飼い・個人がかわいがるのと違って、地域で飼う・地域でかわいがる、という考えかたであり、ベースとしてあるのは動物愛護の精神です。

 

ところが、一方では動物愛護のあまり無責任にエサを与えるだけのネコ好きの人が多いことも事実であり、実はそれが愛護のはきちがえとは気づかず、問題を大きくしてしまっています。このような問題について、区がどうぶつ相談員に期待する役割はどのようなことでしょうか。うかがいます。

 

相談員の中には、4月に委嘱を受けて半年過ぎても何をするのかが分からない、区は何を求めているのかが分からない、という声があります。せっかくつくったしくみが生かされていないのではないでしょうか。区として、適切な活動支援が必要だと思います。相談員の初心者の活動として、不妊・去勢手術費用の助成金申請がされたケースについて、現場に行って正当性を調査し、手術の終了後にきちんと世話・管理されているか、あらかじめ作成したチェック表をもとに現場調査を担当するなどの役割を担っていただいてはいかがかと思います。このような活動の経験を積むことが、初心者にとっては何よりの研修になると思います。見解をうかがいます。

 

いま述べたように、野良ネコを増やさないための不妊・去勢手術の費用を、獣医師会の協力で区は負担しておられます。今年度予算ではメス1匹24,000円で80匹分、オス112,000円で同じく80匹分で合計288万円となっています。この事業は助成ではなく全額負担ということですが、これでは少なすぎる、野良ネコは減っていかない、という指摘はよく聞かれます。同じ予算なら、1匹あたりの金額を減らして、手術費用の全額ではなく一部を負担することとし、それでたとえ世話する人に不足分の負担が生じるとしても、その分対象とするネコの数を増やすべき、という声にはなるほどと思います。区のお考えはいかがか、おたずねします。

 

手術の際には、獣医師会との契約で予防接種などのほか、個体識別用にマイクロチップの埋め込みと耳ピアスをつけることになっています。しかしマイクロチップは、動物愛護管理法で飼われているペットには装着が義務付けられているものの、野良ネコには必要なしという専門家が多くいます。それ自体が数千円かかるだけでなく、専用の読み取りリーダーがなければ意味がない、しかもその読み取り器械はあまりにも高価であるため日本で普及しておらず、実用的とはいえません。

 

また、不妊・去勢手術がすでにされていることを示して二重にメスを入れられるのを防ぐため、として装着される耳ピアスは、とれやすい、炎症をおこすことがあるなどといわれ、施術済みのマークなら、耳カットで十分です。耳カットは虐待にあたるという人もおられますが、いまはピアスより耳カットが主流になりつつあります。マイクロチップの使用はやめ、その分の費用を手術後の血液検査に使う、あるいはより多くのネコの手術費用にふりむけられることが望ましいと考えます。お考えをうかがいます。

 

地域ネコの活動をしている方たちから、手術費用の申請時期が以前は年2回だったものが1回だけになったと聞いています。ネコの繁殖期がおおまかにいって年2回であることを考えれば、2回であるほうが現実に即しているうえ、生まれて半年過ぎたころに手術をするのが適切なので、申請の機会は年2回あるほうがしくみとして使いやすいといいます。現場からの声として要望しておきます。

 

飼い主のいないネコの世話について、昨年「共生プラン」にもとづき「飼い主のいない猫の世話・杉並ルール」が策定され、普及啓発のためのチラシが制作されました。「人と動物との共生」という理念が伝わる内容となっていると思いますが、広めるには簡略化するなどの工夫も求められるところです。また、ペットショップやペットフード店に置かせてもらうなども有効と思います。いかがか、お考えをうかがいます。

 

今回、ネコに絞っておたずねしましたが、「動物との共生プランへの提言」はイヌも鳥も、他の動物にも当てはまるものです。動物好きの人も苦手な人も、動物の命を尊重しともに気持ちよく暮らせる杉並区でありたいと願って、私の質問を終わります。

 

ネットすぎなみ68号

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教育委員人事案件への反対意見

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教育委員の人事案件に対し、区議会生活者ネットワークとして反対の立場から意見を申し述べます。

 

10月6日に内示をいただいてから、今回推薦された方がどういう方か、どのような子ども観や教育観をお持ちの方か知りたいと思い、私たちはできる限り情報収集に努めました。しかしこの4日間では賛成と判断するに足る情報を得ることができませんでした。

 

生活者ネットワークにとって最大の関心事は、その方が子どもの権利についてどのような識見をお持ちかということです。「ひとづくり」というような、社会に役立つ子どもをつくるという考え方ではなく、子どもが学ぶ権利、遊ぶ権利、その子らしく成長する権利、意見を表明する権利などについて、十分に理解し、それらが一人の例外もなく保障されるように尽力くださる方かどうか。それが杉並の教育行政の要である教育委員となる方の最も重要な資質であると考えます。それを判断するだけの情報を、私たちは残念ながら持ちえていません。それが第1の理由です。

 

候補とされた方が女性でなかったことも、賛成できかねる理由のひとつです。今回、法改正により、教育委員の中に未成年の子どもの保護者が含まれていなければならない、という要件が加わったことを受け、現役PTA会員から選出を、とお考えになったことは妥当と思います。しかし、であればなぜ女性から選ばれなかったのでしょうか。現在PTA活動を担っている人たちがほとんど女性であり、かついまの教育委員に女性が一人だけであることを見れば、ここはぜひ女性を推薦いただきたかったと思います。

 

また、いまの教育委員選出制度そのものに問題があると考えます。私たちは、かつて中野区で実施されていたような、住民による投票で教育委員を選出する準公選制が採用されてしかるべきと考えています。首長のみが選任権を持つ現在の方式では、民主主義の理念が反映されません。教育委員会は「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」に基づき区長の行政権限から独立した合議制の執行機関として設置されるものとうたわれているにもかかわらず、その選任は区長が行うというのは、どうみても矛盾を感じます。

 

今後、制度改正に向けた議論が求められることを申し上げて、反対意見といたします。