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08年第3回定例会 一般質問

                                                                                         08 9.16 市橋綾子

私は、区議会生活者ネットワークの一員といたしまして、
1.障がい者のグループホームについて、
2.在宅介護における家族支援について、質問いたします。

 

先ごろ、知的障がい者やダウン症、発達障がい者の保護者会・家族会の方たちが、障害者自立支援法の抜本的見直しを求める集会を開き、その中で、施設から地域に移行して自立した生活をするには身近な地域での居住の場が絶対的に少ない現状を訴えました。また、障害者計画の策定に向け、障害者の自立した地域生活の実現と新たな障害者施策を検討している「東京都障害者施策推進協議会」が、障がい者の地域生活を進めるための提言をまとめた、との報道がありました。家庭からグループホーム(GH)への移行はあっても、入所施設からGHへの移行が進んでいない現状が述べられており、施設入所者がGHなどに入居する仕組みが必要、としています。このように、地域での居住できる環境整備が大きな課題になっています。

障害者自立支援法が全面施行されてから丸2 年がたとうとしていますが、当事者はもちろんのこと保護者の方たちの努力だけではなかなか自立に結びつかないこの法律に対して、抜本的見直しの訴えが大きいのも頷けます。この法で掲げている障がい者の自立した生活は、就労、住まいなど、地域の受け皿としての整備がなければ成り立たないことは明白です。

今回は、住まいの1つであるこのGHについて、なかでも主に知的障がい者のGHについてお伺いします。

 本題に入る前にまず、区の障害福祉計画について伺います。
2006 年にスタートした「障害者自立支援法」により、自治体は「障害福祉計画」の策定を義務付けられました。杉並区においては昨年3月に、第1期である来年 2009年3月までの「障害福祉計画」を策定し、現在、2009年4月からの第2期の計画改定の作業が行われ、素案がまとまったと伺っています。区として第1期の総括、また、次期計画の目標及び特徴は何かお示しください。

次に、障がい者のGH全般について3点お尋ねします。
「住まい」は、日中活動以外の主要な時間をすごす場所です。障がい者の地域で自立した生活を保障するには「支援のある住まい」の整備を進めていくことが必要です。GHは、少人数で、日常生活の支援を受けながら、一般の住宅で地域に溶け込みながら生活できる住まいの形態をいいますが、障害福祉計画の中で、このGHをどう位置づけておいででしょうか。おたずねします。

また、設置目標数、現時点での実績、収容総数は目標を達成しているのかについてもお示しください。

 

さらに、都外近県の施設を区が借りて区民が利用しているGHが複数あると聞きますが、この実態を区は把握していらっしゃるでしょうか。あわせてお伺いします。

続きまして杉並型GHについてお伺いします。

杉並区には杉並型と呼ばれる知的障がい者の訓練型GHが5 寮あります。訓練型というのは施設などを出て地域で生活するための訓練の場で、入居期間は3年以内とされています。杉並型の特徴は、自立支援法のGHでは定員4~7人に世話人1人の配置のところ、杉並型は定員3人に1人の配置になっていることがあげられます。手厚いサポートがある杉並型の機能は、施設や学校からGHに移る場合や、保護者がGHに不安を持っている場合など、滞在型GHに入居のための訓練ができる住まいとして重要です。

今後、GHを増やす計画のなかで、区内にある既存のGHを自立支援法に切り替えた場合、定員3名に世話人1人という杉並型の手厚いサポートは無くなるのではないかと心配する声があります。自立支援法におけるサービスに移行しても杉並型GHの機能は担保されるべきと考えますが、いかがでしょうか、おたずねします。

4つ目としましてGHの世話人についておたずねします。
グループホームには、作業所や勤め先から帰宅した居住者の生活をサポートする「世話人」がいます。

世話人は一人体制で、早いところで午後3 時から翌朝の午前9時の間、居住者とひとつ屋根の下で寝起きを共にし、食事の提供、健康管理・金銭管理の援助、日常生活に必要な相談・援助、自己決定を尊重する支援、危機対応、役所からの書類のチェックなど、さまざまな業務をこなすことが求められます。GHの管理責任者には、資格、経験、研修が求められている一方で、世話人に対しては、ほとんど何の資格・要件も要りません。世話人には常勤と非常勤がいますが、業務の中身は変わりません。また、常勤と非常勤は顔を合わせて情報交換をすることがほとんどなく、お互い戸惑いを感じながら働いている実態があり、GHで働く世話人にとって、相談ができる体制、情報交換の場、そして研修は必要なものになっています。

「やなぎくぼ」「すだち」「オブリガード」の三つの支援センター共催で行われている「世話人情報換会」は、世話人にとって情報交換の場としてだけではなく、仕事上の悩みを相談できる場としても重要な場になっています。しかし情報交換会は、世話人が勤務時間内に仕事を抜け出して参加できる体制が取れない状況から勤務時間外に開かれ、出席したからといって対価は支払われていません。ほとんどの常勤の世話人は参加していますが、非常勤の参加がないのが実情と聞いています。同じ仕事を担っているのですから常勤だけではなく非常勤の参加も必要でしょう。研修については、世話人の仕事に就く前、初めて3か月から6か月くらいの初任期、慣れてきた頃の現任期の3つの時期に行われることが望ましいといわれます。

以上、GHの世話人の問題点を縷々述べましたが、障がい者が24時間安心して暮らせる仕組みづくりを目指しておられる区として、このような世話人の状況を把握していらっしゃるでしょうか。

世話人の研修についても区としての支援が必要と考えますがいかがでしょうか。あわせておたずねします。

 

5つ目として今後のグループホーム設置についておたずねします。区はグループホームを計画的に設置していますが、新設の際、物件探しやマンパワーの確保などが難しくかなり時間を要すると

08年第3回定例会 一般質問

                                                                                                   08 9.16  小松 久子

 

私は、区議会生活者ネットワークの一員として、低炭素社会に向けた取組みについて、エコスクールについて、子ども・子育て行動計画について、以上3点質問いたします。

 

1番目の項目、低炭素社会に向けた取組みについてです。低炭素社会あるいは低炭素型社会というのは、炭素の使用の少ない、すなわち化石エネルギー使用の少ない社会、の意味です。ここ最近よく耳にするようになり、今年7月の洞爺湖サミットに向けたキャンペーンで福田首相が使用してから、温暖化防止を語る際のキーワードとして急速に広まってきました。これから質問する内容は、「温暖化防止対策」と言い換えてもよいのですが、温暖化問題の本質をより明確に、炭素に的を絞ったキーワードとして、「低炭素社会」という言葉を意識的に使っていこうと思います。

 

杉並区は最初の環境基本計画を1996年に策定し、2000年の基本構想「21世紀ビジョン」策定を受けて「区民が創る『みどりの都市』杉並」実現のため、と位置づけて計画を改定されました。現在の環境基本計画は2003年から2010年までとされ、次の改定のための検討が先ごろスケジュール化されたところです。この総括の時期にあたり、環境基本計画に関連して4点質問いたします。

 

区長から環境清掃審議会に見直し検討が諮問されたと聞いておりますが、区として、現時点での環境基本計画について、できたことは何か、できなかったことは何か、1点目として、評価と総括をおうかがいします。

 

2点目です。「4つの挑戦」で「CO2排出量を90年度比で2010年度2%削減」が掲げられています。区の計算によれば、2005年度時点の数値で13%増加という、たいへん厳しい状況となっていますが、達成の見通しはいかがでしょうか。おたずねします。

 

3点目。家庭・業務など民生部門の割合の大きい杉並として、温暖化防止対策でできなかったことについては、何が難しかったのか、どのように総括なさるのでしょうか。うかがいます。

 

先の洞爺湖サミットでは、「2050年に世界全体でCO2排出量半減」ということが合意されました。これについて、日本は国として長期的な視野での環境政策が求められるのは当然ですが、同時に杉並区も基礎自治体としての長期政策が重要になると思います。しかも長期とは言っても、「今できることからとりあえず始める」という悠長な取組みではこの高い目標はとてもクリアできるものではありません。ゴールをきっちりと定め、そこへ向かう道筋を描き設計する、バックキャスティングの手法が求められます。42年後のゴール達成のために、そこから長期、中期、短期と繰り上げて現在をとらえ、「いま何をすべきか」を導き出すことが必要と考えます。CO2削減達成のためのシナリオを描き、再生可能エネルギー導入を大きく推進させなければなりません。

 

区がこれから策定しようとしている改訂版環境基本計画では、CO2削減と再生可能エネルギー導入政策に比重を高めるべきと考えます。CO2の具体的かつ短期的な削減計画や、再生可能エネルギーの導入目標の数値設定、その達成のための区としての具体策が求められると思います。区の見解はいかがでしょうか。4点目としてうかがいます。

 

さて東京都は今年、環境基本計画を改定し、これに伴い環境確保条例が改正されました。大規模事業者に対しCO2削減を義務付け排出量取引制度を取り入れたこの条例は、国に先行する思い切った施策として評価したいと考えます。区はこのような都の政策をどうとらえておられるか。所見をおうかがいします。

 

早速当区でも該当する事業所は準備を始めていると思いますが、この本庁舎も、原油換算で年1,500キロリットル以上のエネルギーを使用する大規模事業所に該当すると聞いています。そこで、質問いたします。実行計画の立案スケジュール、進捗状況はいかがでしょうか。また、他の区施設や教育委員会所管の学校など、中小規模事業所を有する法人として、区は、温暖化対策計画書を取りまとめ、提出が義務付けられることになります。これら一連の立案についても、スケジュールと進捗状況はいかがか、おうかがいいたします。

 

ところで区は、地球温暖化対策法に基づいて地球温暖化対策実行計画を策定し、すでに実践しておられます。これがすなわち都が今回求めている対策に相当するものなのかどうかが、わかりません。地球温暖化対策実行計画と、今回都が定めた条例に基づく対策が、どう関連するのか、おたずねします。

 

東京都のこのような動きを、大規模事業者は社会の要請として受け止め、環境配慮にさらに努めるようになっています。自力でISO14001を取得し目標達成を目指せる大企業がある一方で、中小事業者の環境対策は遅れがちです。区内事業者の圧倒的多数を占める中小事業者こそ、区は環境対策支援の対象として力を入れるべきです。エコアクション21などの認証制度がもっと活用されるよう、区は取り組むべきではないのでしょうか。うかがいます。

 

06年に区が策定した地域省エネ行動計画では、家庭での省エネ作戦として、総合相談窓口の設置があげられ、先の6月より実施が開始されました。議会で「エネルギー・カフェ」を提案した者として、その実現に一歩近づいたことでもあり、歓迎しています。省エネ行動はライフスタイルにかかわることであり、また省エネ効果を高めるには住宅構造が大きく影響します。そのため専門家による適切な助言が有効で、相談から住宅の診断、さらに改修へとつなげることも必要になってきます。改築・改修の時に耐震の視点とともに省エネの視点も取り入れるべきですし、実際そのようなニーズは確実に増えています。消費者の立場にたった、安心して相談できるしくみとして機能するよう、相談窓口の拡充に努めていただきたいと思います。始まって3か月というところですが、これまでの利用状況はいかがでしょうか。うかがいます。

 

つぎに、再生可能エネルギーに関連して質問します。石油や石炭、原子力などの限られた資源を消費することによって得られるエネルギーと違い、自然現象の中で新たに生産可能なエネルギー、再生可能エネルギーの導入を、思い切って進めていかなければなりません。もっとも、原子力に関しては、有資源であることより安全性に信頼がもてないことのほうが問題としては重大なので、もとより推進する立場にないことは申し上げておきます。

 

さて、その再生可能エネルギー推進事業について、区は太陽光発電システム機器設置助成に取り組んでこられました。現在までの設置実績はいかがか、それをどう総括なさるでしょうか。また、設置した機器の発電量を把握しておられるでしょうか。助成したあとのフォローとして、発電量を把握し、削減できたCO2量実績などを区民に向け「見える」形でアピールすべきではないかと考えますがいかがでしょうか。うかがいます。

 

先だって東京都が太陽光と太陽熱エネルギーの利用拡大施策を打ち出したところですが、経済産業省も中小企業を対象に太陽光発電導入支援を強化すると発表しました。国が一時期、設置助成制度を打ち切ったときにも杉並区が助成を継続してこられたことは、要望した生活者ネットとして評価するものですが、杉並区としては都や国のそのような取組みをどのように評価するか、お聞かせください。

 

ただ、再生可能エネルギーを拡大させるには、いまの太陽光発電システム機器設置助成制度だけでは不十分ではないのでしょうか。また、助成だけに終ってしまいその後のフォローがないことはあまりにも残念です。すでに設置した世帯同士が情報交換できるようネットワーク化を促す、体験談の発信の場をもうける、などの施策が求められるところです。設置者がグループ化されることで、技術的あるいはシステム上の改善などメーカー側にはたらきかけることもしやすくなり、自然エネルギー関連の市場を活気づけることにもなると考えます。区の取組みを求めますがいかがか、おたずねします。

 

区内の太陽光の発電量や太陽熱利用機器による省エネ実績を「見せる」、発信する、ということを区はこれまでしてこられませんでした。市民の活動として、設置者同士によるネットワーク組織がすでにあり、ある団体のホームページでは、世帯ごと、月ごとの発電実績が、もちろん個人情報は伏せて、掲載されています。効果が「見える」ことで区民の設置動機を引き出すことにつながると考えます。区としてもこのような工夫をされてはいかがでしょうか。うかがいます。

 

区ではエネルギー消費削減の取り組みにより、99年度比で年間1億円以上の経費削減を実現しておられます。生活者ネットの提案で、この庁舎にもポスターでグラフにして掲示されるようになりました。確認の意味で、ここ数年の削減額をお示しください。

 

効果が「見える」ということは、先ほども申しましたがたいへん重要なポイントです。これをさらにもう一歩進めて、節減できた経費を環境インフラ整備、たとえば太陽光発電パネル設置を区内に拡大するなどのために振り向けることはできないでしょうか。その基金として有効活用されてはいかがかと思います。ご所見をお聞かせください。

 

一般区民にとって「省エネすることで経済的プラス効果になる」ことなしにCO2排出削減を実現することはもはや困難といわなければなりません。「炭素に価格をつける」、そして炭素消費を減らす方向へ誘導するという、国の思い切った政策がいま、必要なのです。また、環境への貢献意識を投資に生かすようなしくみもあってしかるべきです。自然エネルギー促進などのためインフラ投資をしたいと考える区民の意思を生かす道が考えられないものでしょうか。山梨県都留市で、市民参加型ミニ公募債を活用して小さな水力、小水力発電所が動き出した、というケースがそのヒントを与えてくれます。杉並で水力は難しいにしても、そのようなしくみとして、市民ファンドの設置や公募債の発行を検討されることを要望しておきます。

 

低炭素社会をめざした取り組みは区として喫緊の課題のはずです。全庁で取り組むため、組織の見直しを検討される必要があるのでは、と考えます。所見をうかがいます。

 

ところで、温暖化防止条例を独自に制定する自治体がふえてきたのは、注目すべきことです。人が生活し活動すると必ずCO2が排出されるのであれば、身近な自治体で、地域全体の総合的な対策が求められると思います。当区が地域省エネビジョン、地域省エネ行動計画を策定したのは、生活に身近な自治体として、地域政策の重要性を認識されてのことと考えます。この際、国の政策を待つのでなく、地域としてのエネルギー政策をもつことや、低炭素社会と資源循環型社会を一体的に作りあげていくことを区から発信することも、次のステップとして検討すべきときではないでしょうか。温暖化防止の単独条例を制定することは、区が温暖化対策に真摯に取り組む意思を示すという、強いメッセージになります。環境先進都市・杉並区として温暖化防止条例の制定を検討くださるよう、最後に要望して、同じく環境に関連したテーマ、エコスクールについての質問に入ります。

 

区は、建築や環境問題にかかわる学者、専門家、市民活動団体代表、小中学校の校長などをメンバーとしてエコスクール化検討懇談会を設置され、昨年の報告書に続いて第二次検討報告書を先ごろ出されました。1年前の報告書は施設のハード面についての検討でしたが、第2次は「既存校のエコスクール化」と副題にもあるように、視点を変えておられます。また、「エコスクールは施設と環境教育、環境配慮行動の3本柱」ということがつよく打ち出され、賛同するものです。今年改定された教育ビジョン推進計画において、重点事業にあげられている「エコスクールの推進」がこの3本柱を指していることは、申すまでもないでしょうが、環境教育ということでは、従前より学校教育の中で取組みがされてきました。それを、いま「エコスクール」を重点事業として位置づけ取り組むことの意味と、その目標・ねらいは何か、最初におうかがいします。

 

そして、今回の報告書を区はどのように評価なさるのか、2番目の質問です。

 

つづいて2点、関連してうかがいます。報告書では、既存校の断熱、緑化、自然エネルギーの利用、省エネなどのエコ改修メニューが示されました。既存校でCO2排出量削減を効果的に進めようとするなら、ハード面での改修が必要となります。耐震改修との兼ね合いや、生涯CO2排出量を考慮したうえで、各校ごとの改修スケジュール化が必要ではないでしょうか。これが1点目。

 

また、学校職員への意識啓発の必要が報告書で指摘されています。ISO14001の要求に適合するためにも、すべての教職員、給食調理員などが環境配慮行動を徹底するよう、啓発が必要と思います。学校施設の使い方、グリーン購入のガイド、などをふくめマニュアルの作成が求められますがいかがでしょうか。

 

以上2点うかがって、環境教育についておうかがいします。今回の質問の主眼です。

 

区内の小中学校では、これまでもエコスクール推進事業として保護者、地域の人たち、環境活動NPOなどの協働による環境教育が実践されてきました。どのような実践がされてきたのか、それに対し区はどのように評価しておられるのか。またこれまでの実践から見えた、当区における環境教育の課題は何か、おたずねします。

 

さて、報告書ではキッズISOの認定取得が奨励されています。区内のこれまでの取組み状況、そしてその成果はいかがでしょうか。今後、さらに取組みを充実させていくことが望まれますが区のお考えはいかがか、うかがいます。

 

また環境教育をすすめる体制のあり方について、報告書では具体的に提案されました。環境学習を担う推進組織、すなわち学校、学校外の専門家、環境教育推進のためのコーディネーターで構成する、「たとえば環境教育推進委員会」というものがそれです。環境教育は授業の内容にかかわっていくことであり、もしこの組織をつくるとすれば、どのような体制ですすめていくべきとお考えか。見解をうかがいます。

 

エコスクール化に向けた環境教育ということでは、いま現実に活動の実績を積んできている学校の状況を、推進体制を考えるうえで参考にすべきと思います。環境教育の知識や経験のある人が身近にいない学校現場では、その進め方についてとまどいや混乱が起こりがちであり、完璧なマニュアルがあれば万事うまくいくというものではありません。済美教育センター、杉並教育研究会の環境教育部会、区内の環境教育・エコスクールづくりの学習に関わっている環境団体、まちづくり団体、などが協働する形での体制がつくられることが望ましいと考えます。いかがでしょうか。区の見解をうかがって、3つ目の項目、杉並区子ども・子育て行動計画の質問に移ります。

 

「杉並区子ども・子育て行動計画」は、次世代育成支援対策推進法にもとづく行動計画として2005年に策定され、いまの前期計画は2009年度までとなっています。計画見直し、すなわち後期計画策定を視野に入れる時期となり、その検討に入っていると聞きます。先だって保護者対象のニーズ調査の報告もされたところですが、質問の1番目として、どのような体制・方法で検討され、そのスケジュールはいかがか、併せてうかがいます。

 

見直しにあたっては、いまの「計画」の評価・検証が必要です。区は「計画」そのもの、そしてそれに基づく実績をどのように評価なさるでしょうか。また、この間の社会情勢や子どもと子育て環境の変化をとらえ課題を抽出する必要があります。課題は何ととらえておられるか。つづけてうかがいます。

 

今回の見直しでは、ワーク・ライフ・バランスについての検討が重点課題としてあげられているとのことです。そこで、この点に関しておたずねします。ワーク・ライフ・バランスがクローズアップされたこと自体は評価するものですが、問題は事業者です。事業者の積極的な取組みがなければむずかしいのが現実です。

 

事業者の代表として、杉並区の状況についてまずうかがいます。今年度より育児短時間勤務制度が始まったところですが、区は、未就学児を持つ職員に対して、この制度がすべての職場で利用できるように配慮するべきと考えます。いかがでしょうか。

 

そして区内事業者に対して、ワークライフバランスについてのはたらきかけが必要と考えます。区として具体的に考えている対策はあるのでしょうか。以上2点、うかがいます。

 

つづいて、子育て応援券について5点おうかがいします。まず1点目です。子育て支援の切り札として打ち出された「子育て応援券」は、スタートして1年以上経過したところで、成果と課題が明らかになってきたのではないかと思います。区の見解はいかがでしょうか。

 

2点目。登録事業者数が増えるにつれ、親子参加プログラムとして英語教室や音楽教室、スポーツ教室、幼児むけ学習塾などの事業も対象になるなど、子育て支援の趣旨が拡大解釈されてきている状況が見られます。幼児教育推進をいちがいに批判することは避けたいとは思いますが、あきらかに当初の方針から逸脱しつつある面も見られます。区として、事業者向けに事業内容について指針を示しておられると思いますがいかがか、確認のためうかがいます。また区はこのような状況に対しどのような見解をお持ちでしょうか。

 

3点目。子育て応援券事業は、地域にとっては子育てを応援するまちづくりをすすめる事業であり、親自身もサービス提供者になるなど区民主体の子育て活動が広がることを期待して始まったと理解しています。この点について、成果はあったのでしょうか。区はどのように捉えておられるか、おうかがいします。

 

4点目の質問です。ひととき保育事業では、応援券がスタートして以来、子どもを預けることが容易になった分、キャンセルも多く、本当に必要な人がサービスを受けられない、という状況が生じていることを以前指摘しました。何か対策は講じられたのか。改善されたのでしょうか。うかがいます。

 

5点目。子育て応援券は、0歳から5歳までの子どもがいる世帯に対し、子ども一人当たり6万円ないし3万円分のチケットが配布されるという、思い切った施策であるだけに、他の世代から「不公平では」という声が聞かれることがあります。子育て世帯が他のすべての世代から温かいまなざしが向けられるよう、子育て応援券のしくみをつねに検証する必要があります。区の見解をおたずねします。

 

続けて、子どもが育つ地域をどのようにつくるか、という観点からうかがいます。子どもがのびのびと生命力豊かに育つ地域を私たちはつくる義務があります。それには、かつてあったような地域の子育て力を回復させ、コミュニケーション力を高めるようなしかけ、施策が必要です。預けあいや子育て支援事業立ち上げを促し、さらに区はそれを支援すべきと思います。いかがでしょうか。

 

杉並で実施されてきた子育てネットワーク事業は、地域で子どもにかかわる施設や関連団体などがネットワークするしくみです。これまでの活動を区はどのように評価なさるか、おうかがいします。

 

「子ども・子育て行動計画」は、「杉並区子ども・子育て将来構想」実現のための課題別計画とされていますから、「子育て」よりも「子ども」を先に置いた「将来構想」とした、その理念が反映されていなければなりません。現在の「計画」は多分に「子育て」部分に手厚く、「子ども自身の育ちを支援する」という側面が弱いと感じます。見直しにあたっては「一人ひとりの子どもを尊重し可能性を広げる」「虐待などの権利侵害から子どもたちを守る」目標に対する施策をぜひ打ち出していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

 

当区では虐待防止の意味から、子ども家庭支援センターを調整機関として、要保護児童対策地域協議会が設置されていますが、今後さらなる強化が必要です。区の見解をうかがいます。

 

子どもを主と考えれば、待機児をゼロにするための規制緩和や保育環境の悪化など、福祉が低下されてはなりません。子どもの最善の利益が優先されなければならないと考えます。区の考えはいかがか、おうかがいします。

 

さて、計画の見直しにあたり区は保護者と子ども、2種類の調査を実施されました。質問の最後に、この調査に関連してうかがいます。

 

保護者の調査報告書を拝見して感じたのは、数値が実態を正確に映し出すとは限らないのではないか、ということです。従ってその結果分析には、ときに専門的知見による考察が求められます。子ども対象の調査も行われたようですが、このような点に考慮する必要があると思います。お考えをうかがいます。

 

4年前の区の調査では、子どもの自己肯定感について86.2%の小・中・高校生が「自分が認められていると感じる」という結果が出ています。しかし一方東京都が06年に実施した「思春期の心理と行動に関する意識調査」においては、まったく別の結果が報告されています。都立高校生と都内公立中学生を対象に実施したものですが、「不安・抑うつ感が高く、自己肯定感が低い」という結果で、ちなみに他の自治体調査でも、自己肯定感の低さが表われています。杉並区の子どもが特別とは考えにくく、設問の方法によるものと思われます。実態を正しくとらえない限り、「構想」でうたわれているような、「一人ひとりの子どもを一人の人間として尊重する」施策を打ち出すことはできません。

 

生活者ネットワークは、4年前の調査のときにも「子どもの実感調査」が必要だと述べました。今後実施される調査において、設問のしかたなど精査し、子どもたちのリアルな実態があぶりだされるよう、また子ども自身の実感が大人である私たちに理解できるよう、工夫されるべきと考えます。見解を最後にうかがい、「杉並区子ども・子育て将来構想」で描かれた将来像「子どもたちが自らの可能性を広げ、存分にその力を発揮していけるまち」の実現を願って、私の質問を終ります。

ネットすぎなみ67号

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区議会第2回定例会一般質問全文

080616 小松久子

 

私は、区議会生活者ネットワークの一員として、学校図書館の充実について、廃プラスチックの資源化について、みどりの確保について、以上3点、質問いたします。

 

 学校図書館の充実について 

OECD経済協力開発機構が2006年に行った国際的な学習到達度調査の結果が昨年12月に発表され、日本の高校1年生の科学的リテラシー、読解力、数学的リテラシーのいずれも低下していることが大きく報道されました。低下とはいっても、あくまで国際的な比較評価ですが、特に読解力の低下の著しいことが日本の子どもの読書離れと関連しているのでは、ということは容易に推測されるところです。

 

そうしたなか、2007年の小学生の読書量が4年前と比較して3.5倍、中学生は2.3倍へと飛躍的に伸ばした宇都宮市の取組みを、地方紙の記事で読みました。宇都宮の子どもたちがなぜそんなに本を読むようになったのか、市教育委員会は「図書館司書を06年から全小中学校に配置し、読書活動の充実が図られた」と分析している、と記事にあります。2年間で大きな成果を挙げたことになります。

 

さて、杉並区は「教育は百年の計」として教育立区を掲げ、意欲的な取り組みが広く内外に伝えられています。またブックスタート事業を全国に先がけて立ち上げるなど、子どもの読書推進に力を入れてこられたことは一定の評価に値するものと思います。しかし、こと学校図書館の充実に関しては、残念ながら後れをとっていると申し上げなければなりません。杉並の学校図書館が単に「本がある部屋」、図書「室」であって、オープンスペース形式の新築校を別にして多くの場合「ふだん鍵のかかっている、だれもいない部屋」になってしまっているのは、たいへん残念であり、杉並の子どもたちにとって不幸なことです。

 

では、学校図書館は本来どうあったらよいのか、ということになりますが、今回私が質問にとりあげたのは、この6月は杉並区こども読書月間でもあり、学校図書館における司書の重要性を、ぜひとも区に受け止めていただきたい、と考えたからです。

 

私は数年前、区内のある小学校の図書館でボランティア活動をしている女性から、「学校に図書館がなくてはならないものであるように、図書館には司書がなくてはならないのに、杉並区ではそのことが認識されていない」という訴えを聞きました。その人は学校司書の資格をもち、当時地域で子どもと本を結びつける文庫活動にかかわりながら、学校での子どもと本の出合いをたすけ、また本を通した子どもの学びを支援したいと図書館活動に取り組んでいたのですが、そのような図書館司書という役割の重要性が学校側には認識されておらず、一ボランティアに過ぎないその人は、本の並び替えと整理、貸し出し・返却の受付担当を超えるような仕事には手をつけられず、意欲も情熱も空回りするばかり・・・と徒労感を訴えていました。

 

その後も私たちのもとには学校に司書の配置を求める声が届けられ、生活者ネットワークとしては、区内各校に専任司書を配置するよう、毎年区に予算要望してきましたが、一向にかなえられていません。

 

区の実施計画には学校図書館のITシステムの整備・運用が載っていますが、それを動かす「人」の配置がイメージされていないと感じます。先ごろ改定された教育ビジョン推進計画でも、事前に募集された区民意見に「専任司書の配置を」という要望が4件出されていましたが、地域の人材活用という形でしか反映されていません。

 

すべての子どもにとって、本と出合い、本に親しみながら成長することがその育ちを豊かなものにする、ということに異論を唱える人はいないと思います。読書は子どもの知的成長、心の成長に欠かせないものです。昨年改定された「杉並区子ども読書活動推進計画」では、「学校においては、幼稚園から高校生までの各段階に応じ、あらゆる場面で子どもが自主的に読書活動に取り組めるよう、読書の楽しさを実感させ、読書習慣を身に付けさせるとともに、文字・活字文化振興法の趣旨を踏まえ、子どもたちの言語力をはぐくんでいくため、学校図書館の充実に取り組みます」と述べられています。

 

学校図書館は、第一に子どもが確実に本と出合える身近な場所であり、子どもにとって心躍る場所でなければなりません。学校図書館は、本を整備して子どもの読書指導を行うだけでなく、学習全般を総合的に支えるなどの役割も担っていると考えますが、区の認識はいかがか。また教育課程の中に学校図書館はどのように位置づけられているか、まずこの2点をうかがいます。

 

また、先に述べた「子ども読書活動推進計画」において、区は学校図書館の充実を重点施策に挙げておられます。具体的には何を課題とし、どう充実させようとしておられるのか。おうかがいします。

 

97年改定の学校図書館法では12学級以上の規模の学校には司書教諭を配置することとされました。

当区では12学級未満の学校にもすでに配置されているとのことですが、この司書教諭について、3点おたずねします。1点目。その役割と、現在の設置状況はいかがか、うかがいます。

 

2点目。当区では図書担当教諭を各校で選任していると聞いています。その役割はどのようなものでしょうか。司書教諭と図書担当教諭のちがい、両者の関係と役割分担についておたずねします。

 

司書教諭が必要とされる本来の目的があるにもかかわらず、実際にはその業務にあてるだけの時間軽減などの配慮がなく、先生たちは教務の忙しさのためにその役割が果たせていない現実があります。図書館に常駐の担当者がいないため、昼休みでさえ鍵がかかっている学校が少なくない状態だということも聞きます。このような状況を区は把握しておられるでしょうか。そしてそれをどうお考えになるか、3つ目としてうかがいます。

 

後ほど述べるように、一部の学校では司書の資格を持つボランティアが奮闘ていますが、待遇は不安定で個人の熱意に負っている状況です。校長の裁量により報酬を得てはいるものの、その校長が転任すればいつ状況が変わるとも限りません。学校司書と司書教諭は異なり、司書教諭には一教員としての任務があるので、専門職としての司書の役割を担うことは無理なのです。本来は両方とも配置されることが望ましいのですが、人事権を持つ東京都は専任司書を配置する考えがありません。そのこと自体は問題ですが、教育立区をめざす杉並として、区独自で司書配置に関する何らかの改善策に取り組むべきだと思います。見解はいかがでしょうか。

 

杉並の公立図書館には必ず司書が常駐しているのに、学校には専任の司書が配置されていません。先週6月13日付けの朝日新聞でも報道されましたが、「学校図書館を考える全国連絡会」という市民団体が昨年、都内の公立小中学校における学校司書など図書館指導員の配置状況について調査したところ、07年5月現在、23区中9区、30市町村中19市町で何らかの形で専任の指導員が配置されていました。非常勤職員、臨時職員、有償ボランティアなど、いずれも雇用形態は不安定で正規の職員はひとりもいませんが、専任の専門家が各校にひとりいる、ということの意味は大です。

 

ところでこのときの調査では杉並はゼロとされましたが、実は、有償ボランティアの形で司書の有資格者が、学校図書館を本来あるべき充実した場にしようと貢献している学校が杉並区にもあります。しかしそのことが他の学校に共有され広がっていかないのはどうしたことでしょうか。「区内の全校に専任・専門・正規の司書配置を」という要望に対し、一度に無理でも、数年かけて設置していく、現在ボランティアで活動している人の中から有資格者を専任に位置づける、司書の有資格者で学校図書館の改善に力を貸してくれる人を広く区民から募る、などできることから取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。区の見解をうかがいます。

 

ボランティアの活用は、杉並に限らず、いま学校でさかんに進められています。図書ボランティアとして本の整理や読み聞かせ活動に手を挙げる人は多く、ボランティア活動に関心のある多くの人にとって図書館の仕事は意義のあることと受け止められているのだと思います。そしてそういう人たちが現実に学校図書館の運営を支える力になっていることは確かです。けれども志のあるボランティアだけでは、学校図書館が本来の目的にそって有効に機能していくことはむずかしいといわなければなりません。ボランティアの活動がいかされるよう、その人たちをまとめ、専門的知見から指示を出し、仕事をコーディネートする責任者が必要であり、その意味でも司書は必要と考えます。見解をうかがいます。

 

本の廃棄・選定にも、司書は力を発揮します。図書館における図書の充実度は、購入にかける金額や本の冊数など「量」はもちろんですが、それ以上に、どんな本をどのような基準でおくのかという「質」でこそ量られるのではないでしょうか。子どもにとって、また先生たちにとって必要な本を常に配備するには司書としての専門知識が必要です。セピア色に変色した大昔のカビ臭い文学全集や、資料としてはすでに使えなくなった百科事典が貴重なスペースをふさいでいるのを見るのはつらいものです。調べ学習の支援にあたっては、常に新しい情報を積極的に取り入れて本の選定にあたることが求められ、そのさい子どもの教育課程、学校の教育方針を理解していることが前提になります。ということは、司書は他の先生たちと同じように、「職員会議に出られる」位置づけであるべきなのです。これは、後で述べるように都内のどこでも実現していませんが、たいへん重要なポイントであるということだけはここで強調しておきます。

 

さて、区の実施計画、教育ビジョンの学校IT化推進計画に沿って、図書館のITシステム構築に向けパソコンの全校設置が進められています。その整備状況についての質問です。データ入力やバーコードを貼る作業の進捗状況、活用状況が、学校間で相当異なっていると耳にします。ボランティアが多く作業にあたったようですが、図書の専門家でも責任者でもないため現場で混乱が生じ、学校によってはさまざまな不具合を抱えたまま、使われていないとも聞きます。地域図書館や他校の図書館とのラインはつながっているのか、日常的に活用されているのか、各校の状況を区は把握しておられるでしょうか。IT化を進めるうえでも、図書館が機能を発揮するには「人」が必要と考えますが、区の見解をうかがいます。

 

学校図書館と地域図書館のよりいっそうの連携も望まれます。杉並にはいま、中央図書館と昨年開館した今川図書館を含め14の区立図書館があり、授業で使用する本の団体貸し出しや調べ学習への対応、教員への資料の提供など、学校との連携が図られています。しかし中央図書館には、各校の抱える課題に対し、図書館施策を総合的に統括し補完する機関として、適切な支援がさらに求められるところです。中央図書館施策の中には学校支援担当が置かれています。ここでの役割は何でしょうか。これまで述べてきたような問題の解決に力を発揮していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。おたずねします。

 

IT化の進む現代に欠かせない教育として、情報リテラシーに関して質問します。先ほど冒頭で、OECDの調査結果から科学的リテラシー、数学的リテラシーという言葉がでてきました。リテラシーとは文字の読み書き能力のことをいい、読書はその能力を磨き高める効果をもたらします。情報が洪水のようにあふれ、自分の頭でものを考えずにすんでしまいがちな現代社会にあって、膨大な情報を分析し自分に合うように使いこなす能力、すなわち「情報リテラシー」をはぐくむ教育が欠かせないものとなります。情報を読み解いて判断し、取捨選択し活用する能力を養うことは、子どものうちから始める必要があり、学校図書館で血の通った図書教育が行われていれば、その実践が期待できると考えます。区の見解をおうかがいします。

 

この項の最後に、つい先日ある人からいただいたお便りをご紹介します。その人も区立学校の図書館でボランティアをしてこられました。こう書かれています。「私は3年間ボランティアで学校司書を務め、たいへんやりがいのある仕事だと感じました。この3月で退きましたが、それはボランティアの立場の限界を感じたからです。良書をそろえて子どもたちに手渡すという仕事に本気で取り組みたいと考えた時、職員室で発言の機会もなく、児童の名簿も手にすることのできない身で、空回りしていく自分にもどかしい思いがしました。とりわけ、図書予算を有効に活用するには、もうすこし意見を述べたいと思いました」。子どもとコミュニケーションをとりながらの学校図書館の仕事が、時間の切り売り感覚では務まらない、奥の深いものなのだと教えられます。また不安定な形での登用がその人の能力を十分に生かせていない歯がゆさを感じます。

 

しかしお便りには続きがあります。「ボランティアとしては力を尽くしたと思っています。いつか、チャンスがあったらまた学校司書として勤めたいと思っています。」と締めくくられます。資格も能力も熱意もある人たちのエネルギーを投入するに足る学校図書館、そして何より、子どもたちにとっての豊かな教育に資する学校図書館の構築に、区が最大限ご尽力くださることを期待して、次の質問に移ります。

 

 廃プラスチックの資源化について 

増え続けるプラスチックごみの処理について、生活者ネットワークは「焼却は資源として循環させる方策が十分尽くされたうえでの最終選択とすべき」と考え、資源化なき安易な焼却に対しては警鐘を鳴らしてきました。杉並区が、いわゆる「杉並病」という負の経験を教訓としてリサイクルに真摯に向き合い、23区の中でも先進的に取り組んでこられたことには、敬意を表するものです。そこを出発点として、区における廃プラの今後のあり方を考えていきたいと思います。

 

4月1日より容器包装プラスチックを除く廃プラスチックの分別変更による「サーマルリサイクル」本格実施が始まりました。2か月経過したところですが、本格実施前と比較してごみ量はどう変化したか、またその変化を区としてはどのように分析・評価しておられるか。この2点をまずうかがいます。

 

集積所のようすを見ると、プラスチックが相変わらず不燃ごみとして出され、資源ごみか可燃ごみのいずれかへと分別変更になったことをまだ理解していない世帯が相当数あるのでは、と思われます。区民の周知状況について、区はどのようにとらえておられるでしょうか。分別変更に対する苦情や問い合わせ等はきているのでしょうか。あわせておたずねします。

 

これまでのところ、おおむね区民は区のリサイクル推進方針に賛同し、分別変更に理解を示していると思います。区は昨年来、事前準備として相当数の地域説明会を開催してこられましたが、地域の団体や市民グループも自主的に学習会をもつなどしてきました。そのような学習会に私も何度か参加しました。容器包装プラの分別は、私の住んでいる今川地区では7年前から区のモデル実験地域に指定されて経験を重ねてきていますが、区内3分の2のエリアではこの4月から分別するようになったばかりなので、まだ悩みながら試行錯誤中のようです。容器包装プラと製品プラの区別がわからなかったり、可燃か不燃かで迷ったりするケースは多くあります。

 

たとえば化粧品のコンパクトケース。プラマークがついているけれど鏡が貼ってある場合がよくあります。鏡はプラではないからどうするのか。このままで資源ごみに出したらどうなるのか。鏡をはがさなくてはいけないのか。それとも不燃ごみに出した方がいいのか。

 

またクリーニング屋で入れてくれるポリ袋はなぜプラマークがないのか。マークがなくても資源として出していいのか。マークがなければいけないなら、それはなぜなのか。あるいは、汚れたポリ袋はなぜ可燃ごみに出すのか。

 

ごみの分別の話はどこでも盛り上がるのですが、でも区民が一番知りたいのは、「なぜ」の部分です。「なぜそうなのか」根拠を理解して自分で判断したい、と考えるのは当然だと思います。これからは容器包装リサイクル法と容器包装リサイクル協会のことやリサイクルの仕組みについて、さらに、資源化された後の行方についても、区は区民に対し、もっと伝える努力をしていかなければならないと思います。そして焼却するプラを減らし資源化できるプラを適切に分別して、資源としての質を高めていく必要があります。このような周知・啓発について、区はどのようにすすめていこうとしておられるのか、うかがいます。

 

先ごろ、生活者ネットワークと連携する市民グループが、新たに廃プラの今後を考える市民団体「23区プラスチック懇談会」を発足させました。その第1回目の集会に先立ち、生活者ネットワークは23区のプラスチック資源化状況と経費負担について調査し、すべての区より回答を得ました。杉並区では容器包装プラの収集・運搬・処理に8億2500万円かかっており、清掃事業費全体に占める割合が8.7%と23区中で比較的高い値になっています。プラの資源化は必要なことですが、このように経費負担が区の財政に重くのしかかっていることは問題でもあります。プラごみそのものの発生が抑えられれば、経費は削減できるわけですし、本来プラ資源化の経費は生産者の責任において負担されるべきです。3Rの最初のR、リデュース、すなわち発生抑制と、生産者責任の追及がさらに求められるところです。区としての取組みが必要ではないでしょうか、おうかがいします。

 

また、プラスチックをできるだけ燃やさずに資源化していこうというとき、できる限り均一な、質のよい資源を収集することが必要と思いますがいかがでしょうか。うかがいます。

 

最終処分場の寿命はあと30年といわれてきましたが、50年と訂正されました。ますます、今すぐ焼却しなければならない必然性があるのかと疑問がふくらみます。また、ごみが減っているのに清掃一部事務組合の分担金が増えていることをほとんどの区民は知りませんし、まして、なぜそうなのか知る由もないでしょう。一組は23区民に対して説明責任を果たすべきです。今後家庭ごみの有料化の検討が始まるようですが、ごみ処理経費として一組にはすでに区の会計から分担金を支払っていること、そのうえで区民にさらなる負担を求めるものであることについて、区民が理解していることが前提となるべきでしょう。しかし区民の理解度は低いと思います。区としても、区民に対し、一組についての周知を図る必要があるのではないでしょうか、うかがいます。

 

さて、去る3月14日、特別区長会は、可燃ごみを自区内で処理しきれない区が、公平性を図るため他区のごみを引き受けている区に対し1トンあたり1,500円の負担金を支払うことで合意に達しました。「ごみ戦争決着」として新聞等でも報道されました。最大の受け入れ区となる江東区には他の区より合計2億5000万円が支払われる計算になりますが、お金で決着がつけられることに納得がいかない江東区民も多いと聞きます。江東区とかつてごみ戦争を経験し、お金ではない形での決着に至った杉並区としては、今回の区長会決定をどのように評価なさるのでしょうか。見解をうかがいます。

 

ところで、ごみ問題の情報誌『月刊廃棄物』の今年1月号に、プラスチック容器包装のリサイクルに取り組む首長として山田区長へのインタビュー記事が掲載されました。この項目の最後に、この記事に関連して質問いたします。

 

区長は、「収集から処理まで一本の線でつながっていることを考えると、隣り合う区やごみ政策の方向性が歩み寄れる区が協定を結んで、処理施設を役割分担していく方法もある。清掃工場を持っている区が先頭に立てば、『燃やすごみを減らす』という意向が反映できる。」と述べておられ、共感するものです。

 

ごみ減量と資源化に積極的に取り組み、かつ自区内に清掃工場を持つ杉並区こそ、まさに先頭に立って他区に呼びかけていくべきではないのでしょうか。あるいは、杉並と同様に容リ法に基づく廃プラ資源化に取り組む千代田、中央、新宿、葛飾、江戸川や、10月から全区展開を実施する練馬、中野などと連携した動きを作っていくことも可能ではないのでしょうか。

 

さらに区長は、「資源化を進めることで区民の手間や、分別収集の費用をかけている以上、その見返りとして不要になった工場を減らさなければならない。焼却施設が減り、埋め立てごみも減り、負担も経るという将来の利益を、分別収集にかかる費用に還元するのがふさわしい。そうしたしくみができれば、リサイクルはさらにすすむだろう。」とつづけ、焼却施設縮小論に言及されています。

 

杉並清掃工場の建て替えを控えて検討に入ろうというこの時期に、ある意味、大胆とも、また勇気ある発言とも取れますが、共感できるものがあります。これらの発言について、あらためて区長ご自身からお考えをうかがいたいと思います。いかがでしょうか。

 

生活者ネットワークは、プラスチックは「埋め立て不適」であるだけでなく「焼却不適」でもあると考えています。できるだけ燃やさず、生産者の責任において資源化されるようなしくみがつくられるよう、市民発の提案活動をさらに広げていきたいと思います。

 

 みどりの確保について 

2007年度版「みどりの実態調査」報告書が先ごろ出されました。緑被率は前回5年前の調査時に20.9%だったものが今回21.8%になり、わずか1ポイント弱ですが上昇しています。これを区の緑化政策の成果と考え評価したいと思います。ですが内訳を見ますと、草地、農地、屋上緑化が若干増えているものの、樹木被覆地が減少しています。報告書では、この減少の主な理由は、屋敷林をはじめとした住宅地内の樹木被覆地の減少によるもの、とあります。草地や農地は比較的短期間で生成することができるのに対し、屋敷林は数十年から百年の年月をかけて出来上がるものですから、ひとたびそれがなくなれば、復元させるには同じだけの時間がかかるか、もしくはもう復元できないということであり、単にみどりの消失と言う以上の、重い意味があります。

 

屋敷林が消失するのは、ほぼ100%、その土地が個人所有のもので相続が発生した場合といってよいでしょう。今の法制度の下では、相続税を支払うために屋敷林を含む土地を売却せざるを得ず、その土地にマンションや戸建の住宅を建てるため樹木が伐採される、という問題が繰り返されています。現にいま西荻地域で起きている、1本のケヤキの木をめぐる問題は、まさにそのような例にあたります。

 

先の報告書には、区の貴重木は46本指定とされていますが、そのうちの1本はすでに指定解除され、いま存続の危機にあります。この問題について、他の議員からも質問が出されましたが、生活者ネットワークとして、みどりを確実に担保することは重要と思い、一部繰り返しになりますが質問いたします。

 

2000年に貴重木に指定された西荻北のケヤキは、相続税の問題からその土地の所有者が最近変わり、伐採の可能性が出てきました。これを危惧し「切らないで」という声が広がり、存続を望む内容の署名が、2か月の間に8000筆以上集まったのは、この木がいかに地域の人たちから愛されてきたかを物語っています。

 

樹齢200年におよぶと言われる株立ちの巨樹は西荻地域のランドマークとされ、最近ではそのブロッコリーを拡大したような形から「トトロの樹」というニックネームで呼ばれています。株立ちというのは、根本から何本もの幹を立ち上がらせた樹形だそうです。

 

ここで、質問いたします。みどりの確保という視点から、区は「貴重木」の意味をどうとらえておられるでしょうか。また、すでに貴重木の指定が解除されはしましたが、西荻北のケヤキの価値をどのように評価しておられるか。うかがいます。

 

先日、8648筆の署名が地域の人々から区長に提出された場に、私も他会派の議員の方たちとともに同席いたしました。現在の所有者にはこれまで切らずに待っていただいているようですが、1本の木に対して多くの住民や議会からも党派を超えて存続の希望が出されたことを区はしっかりと受け止め、所有者にはたらきかけていただきたいと思います。そして「みどりの都市」を掲げて緑化の推進に取り組んでこられた杉並区は、この「トトロの樹」を保全するために、あらゆる可能性を追求していただきたい、その覚悟のほどをうかがって、私の質問を終わります。

第2回定例会 一般質問 小松久子  2008 6/16

〔学校図書館の充実について〕

【Q】 ● 学校図書館は本を整理して子どもの読書指導を行うだけでなく、学習全般を総合的に支えるなどの役割を担っていると考えるが、区の認識はいかがか。

    ● 教育課程の中に学校図書館はどのように位置付けられているのか。

        
「子どもの読書活動推進計画」において、学校図書館の充実を重点課題としているが、具体的には何を課題とし、どう充実させていくのか。

        
情報を読み解いて判断し、取捨選択し活用する能力を養うことは、子どものころから始める必要があり、このためには、学校図書館で血の通った図書教育が必要であると考えるが、見解を伺う。

【A】  学校図書館は、学校の教育課程の展開に寄与すること、児童・生徒の健全な教養を育成する事を目的として設置しているものです。

     教育委員会では、学校図書館が、この役割を適切に果たせるよう、様々な価値観や豊かな想像力を涵養する読書活動推進の場として、また、調べ学習における問題解決能力や資料活動能力等の付与にみられるよう、各教科、領域、総合的な学習の時間等における児童・生徒の主体的、意欲的な学習活動充実の場として活用されるようその充実に努めているところです。

     次に、子ども読書活動推進計画において学校図書館の充実を重点課題とした理由ですが、各学校間の取り組みに差があり、必ずしも全ての学校で、ただ今述べた役割が期待通りの成果を挙げていない現状を踏まえ、各学校がその実情に応じ、子どもの読書活動の推進、教育課程での効果的活用ができるよう、計画的な図書の購入など適正な蔵書管理、「学習・資料センター」に向けた取り組み、学校図書館システムの導入、地域の人材を活用した運営充実に取り組むものとしたものです。

     最後に、学校図書館での血の通った図書教育の必要性ですが、ご指摘のとおり、情報を読み解いて判断する力、情報を取捨選択し活用する力を養うことは、子どもたちの教育に欠かせないものです。学校図書館を活用した教育課程の展開に当っては、この点にも十分留意し、図書教育の充実を進めていきます。

 

【Q】 ● 司書教諭の役割と現在の設置状況はいかがか。

        
杉並区では、図書担当教諭を各校に配置していると聞くが、その役割はどのようなものか。司書教諭と図書担当教諭の違い、両者の関係と役割分担について伺う。

【A】  司書教諭は学校図書館法により、12学級以上の学校に置くことが定められており、本区では小学校全校に、中学校は数校を除いてほとんどの学校に配置しています。司書教諭の業務は、学校図書館での図書の選定・収集・整理・管理などです。また、司書教諭とは別に各学校の実情に応じ、図書を担当する教諭を置き、司書教諭のもと補佐的な業務を担っています。

 

【Q】 ● 図書館に常駐の担当者がいないために、昼休みでさえ鍵がかかっている学校図書館があると聞く。このような現状を区は把握しているか。

        
教育立区をめざす杉並区として、専任司書の配置について、区独自で何らかの改善策に取組むべきと考えるが、見解はいかがか。

        
図書ボランティアの活動が生かされるよう、ボランティアをまとめ、専門的見地から指示を出し、仕事をコーディネートする責任者が必要であり、その意味でも専任司書を配置すべきと考えるが、見解を伺う。

        
現在ボランティアで活動している人の中から有資格者を専任司書として雇用したり、司書の有資格者で学校図書館の改善に力を貸してくれる人を広く区民から募るなど、できることから取組むべきと考えるが、区の見解を伺う。

【A】  専任司書の配置について区独自に改善策に取り組むべきとの指摘ですが、区では、司書教諭、図書担当教諭のもと、地域住民等のボランティアとともにその運営の充実に取り組んでいるところです。今のところ、学校図書館に専任司書を配置する考えはありませんが、司書有資格者も含め幅広く人材を募り、ボランティアの活用を図っていきます。

     次に、図書ボランティアの活動が生かされるよう、専門的立場からコーディネートをする責任者が必要ではとのことですが、その役割は、基本的には司書教諭等が果たすべきものと考えます。その役割を支えるボランティアの育成、活用にも努めていきます。

     なお、図書館が昼休みに開館していない学校が一部ありますが、早急に改善を図ります。

   

【Q】 ● 図書館システムでは、地域図書館や他校の図書館とのラインはつながっているのか。システムは日常的に活用されているのか。IT化を進める上でも図書館が機能するためには、人が必要と考えるが、区の見解はいかがか。

 

【A】  ネットワーク化についてですが、現在、地域図書館と各学校間のシステムは接続されていませんが、学校関係者および区立図書館職員で構成する「学校図書館連絡会」において、ネットワーク化に向け、検討を進めているところです。

     学校図書館システムは、子どもたちが本に親しみやすいよう、書名や作者をはじめキーワードによる検索も簡単な操作で行うことができ、多くの学校で活用されています。IT化は、図書館運営の効率化に資するものと考えます。

 

【Q】 ● 中央図書館施策の中に、学区支援担当が置かれている。この役割は何か。これまで述べてきた問題の解決に力を発揮していただきたいが、いかがか。

【A】  学校支援担当は、学校図書館や教師など学校への総合的な支援を行うために、平成19年度に新たに設置したものです。現在、選書や蔵書管理への相談・助言など学校図書館への運営支援、調べ学習に対応した図書資料の整備貸出しなど資料提供の充実、ブックトークなど児童生徒への読書活動支援に取り組んでいるところです。

     ご指摘の学校図書館の運営上の課題についても、学校図書館への運営支援の中で、運営の中心となっている司書教諭、ボランティアを対象に情報提供、研修、講演会を実施することとしています。今後も引き続き、学校図書館の運営を支える人材の資質向上に向け、図書館の専門性を生かし、必要な支援に取り組んでいきます。

 

〔廃プラスチックの資源化について〕

【Q】 ● 「サーマルリサイクル」の本格実施が始まった。ごみ量はどう変化し、区はどのように分析・評価しているか。

【A】  本年4月からサーマルリサイクルの導入を含め、分別方法を変更していますが、4月の平均日量の比較では、可燃ごみは前年比で11%の増、同様に不燃ごみは、78%の減です。また、プラスチック製容器包装、ペットボトルの資源回収につきましても、収集エリアを区内全域に拡大したことにより回収量が大幅に増加しています。

     今後、ごみ量の推移を見守る必要があるとともに、分別や周知の不徹底など、課題も少なくありませんが、一定の収集実績により、資源化を一層推進し、資源循環型の地域社会を実現していくための第一歩を踏み出すことができたと考えています。

 

【Q】 ● 分別変更をまだ理解していない世帯が相当数あるのではと思われるが、区民の周知状況について区はどのようにとらえているか。

        
容器包装プラと製品プラの区別がわからなかったり、可燃か不燃かで迷ったりする場合は多い。複合素材や汚れのついたものの分別基準はどのようなものか。

        
リサイクルの仕組みや、資源化された後の行方についても、区はもっと伝える努力をしていかなければならない。このような周知・啓発について、区はどのように進めていこうとしているのか。

【A】  区民への周知状況ですが、ご指摘の通り、分別方法や収集曜日の変更などについて、区民周知が十分とは言えない実態もありますので、区民の方々の声を踏まえ、今後一層、丁寧な対応を図っていきます。

     次に、分別基準についてですが、プラスチック製容器包装は、識別表示の「プラ」マークにより分別をお願いします。

    食品残渣等について、容易に付着物を除去できないものは可燃ごみに、またプラスチックと金属をいった複合素材の製品など、焼却不適物がある場合には、不燃ごみに分別をお願いしていますが、分別方法については、今後、チラシの配布など、区民の方が判断しやすいよう必要な工夫をしていきます。

     最後に、リサイクル周知については、区民の皆様のご理解をいただき一層の分別、資源化を促進するため、リサイクルの実態や環境面での効果などについて、広報などで積極的に区民の皆さんにお知らせしていきたいと思います。

 

【Q】 ● プラごみが減れば経費は削減できる。また、本来プラ資源化の経費は生産者が負担すべきである。発生抑制と、生産者責任の追及がさらに求められる。区としての取り組みが必要ではないか。

【A】  ごみ減量を進めるうえで、ごみの発生抑制は、重要かつ基本的な事項です。

     現在、プラスチック製容器包装のリサイクルでは、最も財政負担と手間の大きい収集・選別・圧縮・梱包・保管を自治体が担っているので、生産者責任として、製品の材質・成分の表示、廃棄後の引き取りやリサイクルの実施、経費負担など、生産者責任の拡大・強化について、今後とも国等へ働きかけていきたいと思います。

 

【Q】 ● 良質な資源を収集することが必要と思うがいかがか。

【A】  資源の選別作業における残渣量が多くなれば、作業時間やコスト、品質などに大きな影響を与えることになります。

    そこで、資源回収の実態を踏まえ、可能な限り質の高い資源回収が実施できるよう、分別方法の徹底など、区民への周知に努めていきたいと思います。

 

【Q】 ● 一組は市民に対して説明責任を果たすべき。今後、家庭ごみの有料化の検討が始まるようだが、一組に支払っている分担金について区民が理解していることが前提となる。区としても一組について周知を図る必要があるのではないか。

【A】  区としても、東京二十三区清掃一部事務組合が区民や区に対して説明責任を果たし、透明性の高い運営をするよう、引き続き求めていきます。

    また、分担金の仕組みや金額等についても、区民の方々に理解してもらえるよう、積極的にお知らせしていきたいと思います。

 

【Q】 ● 清掃負担の公平性を図るため他区のごみを引き受けている区に対し負担金を支払うことで合意した。今回の区長会の決定を区はどのように評価するか。

【A】  負担の公平の問題については、清掃工場がある区とない区の平準化を図るため、一定の処理基準量との乖離が解消されるまでの間、金銭による調整措置を例外的、限定的に導入する仕組みです。

     負担の公平化については、様々な意見がある中、清掃工場の設置区における負担を緩和する必要があるという共通認識の下で議論が行われ、解決に向けた合意がされたと認識しています。

 

【Q】 ● 区長はインダビューで共同の処理施設や焼却施設縮小の言及されている。これらの区長の発言について改めて考えをうかがいたい。

【A】  ごみ処理政策が各区の実情により対応が異なることは、やむを得ないと考えますが、今後、資源化を推進していくためには、コストや業務効率の面から、地理的条件や基本的な処理方針などで同一歩調を取れる区があれば、共同でごみ処理を行うことも合理的な課題解決の方法と考えます。

     また、清掃工場の建替えにあたっては、安定的な処理を前提に、ごみ量の減に応じて施設規模の適正化を図ることが必要と考えています。

 

〔みどりの確保について〕

【Q】 ● みどりの確保という視点から、「貴重木」の意味をどうとらえているのか。また、すでに指定は解除されたが、西荻北のケヤキの価値をどのように評価しているのか伺う。

        
この木の保存に対して多くの住民や議会からも存続の希望がだされていることを区はしっかりと受け止め、みどりの確保のために最大限の力を尽くしていただきたいが、お考えを伺う。

【A】  何十年という歳月を経て育った巨樹は、区民共有の財産として次世代に残すために所有者と協力して保全していく必要があると考えます。

     西荻北のケヤキは、美しく豊かな自然樹形を持ち、また、区内で1番大きな株立ちの樹木で、杉並区の貴重な財産であると評価しています。

     多くの区民からの要望を受け、区としても、ケヤキの保全については最大限の努力をしていきます。

     当該地は、現在、事業用地であることから、誠意を尽くして所有者と折衝し、樹木を保全する方策を探っていきたいと思います。

ネットすぎなみ66号

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ネットすぎなみ65号

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予算特別委員会 意見開陳 2008 3/13

区議会生活者ネットワーク 小松久子

 

 

私は、区議会生活者ネットワークとして、予算特別委員会に付託された2008年度杉並区一般会計予算案、各特別会計予算案、関連諸議案、ならびに副区長定数の改正条例案と関連する補正予算案について、いずれも賛成の立場から意見を申し述べます。

 

2007年は、小泉、安倍から福田政権へと引き継がれた改革路線により産み出された格差社会が深刻さを増すなかで、耐震設計、年金問題、薬害肝炎問題、食や建築建材などの相次ぐ偽装が発覚し、国民のくらしを無視した問題が数えきれないほど噴出した年でした。
生活設計の見通しが立たない将来への不安は募るばかりで、7月の参議院選挙では、いまの政治を変えたいという民意が多数であることが示されました。



原油の高騰や米国におけるトウモロコシなど穀物系のバイオエネルギーへの転換が、 食品や生活必需品の値上げに跳ね返る事態も起きており、
日々の生活に及ぼす影響は計りしれません。 2008年は、年頭から日本の株価が大きく下落しました。サブプライムローンに発した世界金融市場の混乱、石油価格の高騰、ドル安に伴う円高が原因だといわれます。

 

そのような状況にあって、当区においては財政健全化に向け区債残高を着実に減らすなど、手堅く取り組んでこられたこと、また財政情報のわかりやすい公表に努め、改善を重ねておられることは、一定の評価に値するものと考えます。

 

今般提案された一般会計当初予算は、区民所得の減や税制改正等による減収は見込まれるものの、納税義務者数の増加により区税収入が増えるという見込みのうえに算定され、1,500億円の大台を超えた昨年度よりさらに32億円多い予算規模となっています。審査の結果、昨年11月に改定された実施計画にもとづき、おおむね適切な予算配分がなされているものと判断しています。

 

特別会計では、後期高齢者医療制度がこの4月1日より開始されることに伴い、大きな組み換えがされています。医療制度改革によって創設された後期高齢者医療制度は、増え続ける高齢者医療費の抑制が目的で導入されたものであり、検討された当初から指摘されてきた、さまざまな課題が山積したままでの出発となりました。なかでももっとも危惧されるのは、これが高齢者の生活を圧迫することになるのではないか、という点です。おかしなたとえになりますが、もしいまのお年寄りたちが若くて元気なら、一致団結してデモ隊を組み、厚労省前で座り込みをしても不思議ではない、それほど過酷な制度だと思います。

 

しかし国全体で医療崩壊が言われるいま、将来の医療制度を見据えて、この新たな制度に積極的な意味を見出す以外に方策が見つかりません。そして後期高齢者医療広域連合の議会に議席をもつ杉並区は、高齢者の生活実態をとらえ、よりよい制度に向けて強く働きかける義務があります。私たちも、実際に運用されていくなかで、今後改善のための提案をしていきたいと思っております。

 

さて、今回2人目の副区長設置が提案されました。みどり、水辺、景観、福祉、防災などの課題を考えた時に、その重要性は認識しておりますが、本来は現有の組織体制で解決すべきと考えます。また先日の質問では、分権一括法にのっとり対峙すべき、との正論を述べました。しかし、区長が「新たな課題がこれから出てくるのに対し、機敏に迅速に責任をもった全権として副区長を置く」と答弁されたこと、現実に課題が目の前にあるときに、時期を逃さず国や都と渡り合っていく人が必要なことは理解します。生活者ネットとしても、まちづくりは重要な政策項目でもあり、その役割を明確にしてくださることを条件に、議案に賛同するものです。

 

以下、委員会の審査で言及できなかった諸問題や再度強調しておきたい事柄について、項目を絞って意見を申し述べます。

 

先日の会派の一般質問では、食の安全への取り組みとして、前向きなご答弁をいただいたところです。加えて、学校給食に疑わしい冷凍食品が使われていないのはもちろんのこと、ごく一部の冷凍野菜以外すべて、国産の食材により手作りされていることが、問題発覚後直ちにホームページ上で公表されたことは、区民にとって頼もしい限りです。安全面だけでなく食育の観点からも、学校給食の食材には、今後も国産食材の使用を徹底していただくことを求めます。

 

また私の一般質問でとりあげた自治基本条例を引き合いにしつつ、自治とは何か、市民参加とは何か、という命題について質問いたしました。アンケートや意見提出、公募委員という従来の手法は、公平・公正な市民参加と呼ぶには限界を感じています。「プラーヌンクスツェレ」というドイツ発の手法に言及しましたが、自治を高めるための市民参加のあり方について、さまざまな方面から再度考察すべき時期に来ていると感じています。ご検討くださるようお願いいたします。

 

委員会での議論において、「五つ星の区役所サービス」というキーワードが幾度となく飛び交いました。そのなかのご答弁にあった、「区役所はサービス業」という文言が印象に残っています。「区役所はサービス業」というのは、一面、確かにそのとおりかもしれません。けれども区民がサービスをただ受けるだけお客様扱いされるだけの存在でないことは、申し上げておきたいと思います。

 

過剰なサービスは不要です。サービスは本当に必要な人に提供されるべきです。不本意な社会保障制度を補うための施策、障がい者が地域で就労し自立して生活できるようなしくみ、働くお母さんが安心して子どもを預けられるように保育施設の拡充、このような施策を充実させずして土日開庁はいりません。3年間で見直されることが適当と考えます。  

 

環境問題に関連して、申し上げます。

 

まず、ごみ問題です。23区が一斉に廃プラスチック焼却に突入する2008年度は、清掃行政のみならず住民すべてにとって、転換の年となります。先日、区長がパネリストの一人として出席された、市民団体による廃プラの焼却を考える集会に参加しました。区内で開かれたこともあって、当区の環境清掃事業、清掃工場関係者も多数おられるなか、会場の参加者から廃プラ焼却への懸念、疑問に加えて、容器包装プラの資源化に取り組む杉並の姿勢を評価する意見が口々に語られました。

 

多大な経費を投じて全区展開する廃プラの資源化です。職員定数が減るなかで、収集・運搬作業の人員体制はとれるのでしょうか。無理な職員配置が作業の停滞や事故につながることのないよう、十全の配慮をお願いいたします。

 

ところで世田谷清掃工場のガス化溶融炉は、昨年7月に完成していながら、試運転の段階で不調をきたし、いまだ本格稼動にいたっていません。焼却に頼ることはやはり誤りであると思わずにいられません。焼却主義からの脱却をめざすべきだといま改めて確信しています。

 

地球温暖化防止に向け、当区では地域省エネルギービジョンを策定し、家庭での省エネ作戦として、再生可能エネルギーの利用を呼びかけています。住宅用太陽光発電機器設置助成を行っており、区はさらに増設をめざしておられますが、設置する側には経済的課題もあり設置を断念する人も多いと聞いています。

 

そんなおり、去る2月、東京都が「太陽エネルギー利用拡大会議」における検討の最終取りまとめを発表し、太陽エネルギーを家庭部門対策の主要な柱として位置づけました。太陽エネルギーといえば、すぐに太陽光発電パネルを思い浮かべますが、ここでは太陽光発電と並んで太陽熱利用が謳われています。太陽光発電と太陽熱利用機器とでは、CO2削減率は2対10という大差で太陽熱利用の方に軍配が上がっています。このことはあまり知られていませんが、コストが3分の1以下ですみますし、太陽光発電機器の設置を断念した人に、ぜひ太陽熱利用を勧めていかれるよう求めます。

 

つづいてレジ袋有料化に向けてひとこと。本条例は、本来レジ袋の使用が減っていくことが目的ですから、レジ袋が有料になって収益金が出るということはやがてはなくなるべきことでしょうが、現実すぐにはそうならないことが考えられます。そう仮定しての話ですが、条例では、収益が出た場合には地域の環境活動への寄付が示唆されています。収益金の有効な使いみちを事業者自らが選択できるよう、環境団体などの情報を伝えるなどし、しくみづくりを望みます。

 

善福寺川「水鳥の棲む水辺」事業に期待するところです。水鳥の棲む水辺は、餌になる生き物がいること、ねぐらとなる木々があること、川、池、農地、住宅、公園、人と鳥が共存できる周辺地域のまちづくりが必要となってきます。一本の川、地点だけを見るのではなく、神田川水系全体を知り、その中の1つの河川として善福寺川、そしてその周辺をデザインしていくことが望まれます。これまでも述べておりますように、善福寺川は都市河川の特徴である合流式下水道問題を抱えています。生活者ネットワークの提案で東京都が2006年度予算に計上した、環八から上流域の一時雨水貯留管工事の早期着工が待たれます。区としても強力に促していただきたい。この下水問題解決なくして水鳥の棲む水辺は成しえないと考えます。

 

また、(現在行われている)地下水のボーリング調査の結果を待つものではありますが、湧水復活に向けて雨水浸透施設設置の推進、グリーンベルトの拡大、市民参加による生き物調査などを考えますと、庁内の横断的連携が必要で、やはり「水の総合計画」が必要になってくるものと考えます。杉並区民の宝である善福寺川を市民と共に「水鳥の棲む水辺」にしていきたいと期待するものです。

 

職員の健康診断に関連して一点、申し上げます。骨粗しょう症対策についてです。節目健診として30、40、50、55歳で骨密度測定を実施していますが、55歳の人で2人に1人は骨密度が低く、保健指導を受けています。30歳の人でも3人に1人、平均すると4人に1人が保健指導を受けていることになります。骨粗しょう症は予防が大事です。測定は5年、10年間隔になっていますから、保健指導を測定者全員が受けられないものでしょうか。ご検討ください。

 

昨年6月に始まった子育て応援券システムについて、「一時保育を予約しておいて簡単にキャンセルする、そのため本当に必要な人がサービスを受けられない」という声や、「金券」として安易に使われる、といって利用者のモラル観の欠如だと嘆く声も聞こえてきますが、私は、これで直ちに若い母親たちを非難することは避けたいと思います。

 

なぜなら、子育て応援券制度の本来の目的、「子どもの最善の利益」をうたったポリシーが事業者向け「ガイドライン」には定められていますが、利用者に向けて積極的に語られているようには見えないからです。いまのままでは単なる金券ととられてもやむをえないと思います。ガイドブックや子育てサイト上などで利用者向けにもポリシーを明示し、他の世代からも広く理解を得てあたたかく見守られるようなシステムに育てていくべきと思います。

 

また、地域の子育て力を高める意味から、小規模な応援券サービス提供事業者への支援をお願いしました。事務作業やクレーム対応など、会社組織や大規模な事業所にとっては取るに足らないことが、小さなNPOや個人にとっては大きな負担となり、ファミリーサポート事業者として自宅での託児を受けていた人が、応援券事業者から降りてしまったケースもあると聞きます。

 

バウチャーだからと市場原理に委ねて小規模事業者が淘汰されていくとすれば、地域の子育て力の芽をつぶしてしまうことになります。「すぎなみ地域大学」卒業生が事業を始めるなど、新しい市民力が育ちつつあるとき、区には小規模事業者に対しネットワーク化を呼びかける、またそのサポートをするなど、支援をしていただくことを重ねて要望いたします。

 

この問題は、行政サービス民間事業化提案制度における、大規模事業者と小規模NPOとの関係で起きている問題と本質的には同じものといえます。市場原理主義や表面的なニーズだけに着目していると、大事なものを失うことになりはしないか、という問題意識はつねにもち続けていきたいと思います。

 

以上、さまざま述べてまいりましたことは、当会派からの要望として、今後のご検討に生かしていただくことを願いまして、区議会生活者ネットワークの意見開陳を終わります。

 

第1回定例会 一般質問  市橋綾子

            2008 2/19

 

【Q】食の安全を脅かす一連の事件を契機に国や都も消費者行政の一元化など生活者、消費者重視の方向性が打ち出されている。食の安全をめぐる国、都の動きを区としてどう捉えているのか。

今回のような命に関わる事件が起きた場合、区はどのように対応し、情報はどのように流れるのか。関連部署への伝達方法と区民、事業者への伝達方法、また、情報弱者への対応はいかがか。

【A】今回の事件を受け、国は消費者行政推進会議の設置を前倒しして消費者行政の一元化の検討を進め、都も食中毒専用のネットワーク構築を目指すなど消費者重視の姿勢を打ち出していることは、食の安全を確保する上でも重要なことと受け止めている。

 区は、今回の事件では区民の安全を第一に考え、直ちに区ホームページで注意喚起するとともに、各所管を通じて関係施設に通知した。また、情報機器を使わない区民のために、今回は直近の広報や事業者向けチラシでも周知したが、今後の周知方法については検討する必要があると考えている。

 なお、区民から保健所への問い合わせが少なかったとの指摘があったが、今後食中毒などの際に気軽に相談できる窓口として「食の安全110番」といった区民に分かりやすい名称を用いて周知していきたい。

 

【Q】食品表示偽装問題における区の取り組みが見えないという声が寄せられているが、区としてどのような取り組みがなされたのか。

【A】区では、監視指導計画の基本方針の一つに食品表示の適正化を掲げており、重点的に監視指導を行なっている。昨年1月には、区内菓子製造業の一斉監視指導をおこない、77軒の立入調査を行なった。また、6月の食肉偽装問題の際には、食肉の消費期限や原産地表示等の確認に重点を置いて監視指導を行なうとともに、給食納入業者を中心に収去検査を行なっている。また、事業者講習会や定例意見交換会においても、適正表示の周知を図っている。

 

【Q】冷凍餃子の被害者の多くは、保健所ではなく、製造者・販売者に問合せをしたと聞いているが、保健所が普段から区民と関わる場を広げ、身近な存在となることが重要と考えるがいかがか。

【A】保健所の事業内容が区民に周知され、気軽に相談できることが重要と考え、メタボリックシンドローム対策としてのウエストサイズ物語キャンペーンや健康都市杉並を目指すファロ開催など様々な事業を行なっている。食品衛生に関しても、一般区民対象の街頭相談会や食の安全を考える討論会等を開催するとともに消費者・事業者との定例意見交換会、消費者センターの事業や母子検診の機会を捉え、食品衛生知識の普及に努めている。

 

【Q】区民からの問合せ、区内での被害状況等どのような影響があったのか。

【A】区民からは、広く輸入食品の安全性に関する相談等も含めこれまでに43件の相談・苦情が寄せられた。内、5件7名で当該製品による健康被害の届出があったが、いずれも有機リン中毒が疑われる事例ではなかった。

 

【Q】保健所に違反食品や苦情食品等が持ち込まれた場合、再発防止に向けどのような対策がとられるのか。

【A】区は、被害を訴える区民に真摯に対応し、慎重に事実確認を行い、必要に応じて、現場調査や区衛生試験所等検査機関による検査を行なっている。

 また、持ち込まれた食品の製造・販売過程を調査し、原因を究明し、再発防止に向けた改善指導を行なっている。なお、調査が他自治体に及ぶ場合は、調査依頼を行なうなど連携を図りながら必要な対応を行なっている。

 

【Q】毎年区は、食品衛生監視指導計画を策定しているが、その評価と公表はどのようにされているのか、また、計画にあるリスクコミュニケーションは、どのように実施されているのか。

【A】計画は、食品衛生法に基づき案の段階での公表と意見募集が義務付けられている。また、計画に基づく実施結果は、翌年6月頃に公表している。お尋ねのリスクコミュニケーションは、食品危害に関する正確な情報を関係者が信頼関係の中で共有し、お互いに意思疎通を図っていくことだが、現在、隔月で実施している定例意見交換会の他、食の安全に関する討論会、消費者センター事業への参加、母子検診での衛生講話など様々な機会を通じて、消費者、事業者等と意見・情報の交換を行い、それぞれの取り組みに反映させているところである。

 

【Q】食品がいつ、どこで、誰によって、どのように作られたのかという情報が必要であることが、この事件でも明らかになった。トレーサビリティ(生産履歴情報)が保障されるような指導を食品衛生監視指導計画に盛り込むことが必要と考えるがいかがか。

【A】食品の原産地や製造場所などが正しく表示され、万が一の場合、製造者や販売者の責任を問えるようにすることは、区民が安全安心な食品を選択する上で重要。監視指導計画においても、食品表示の適正化を基本方針の一つに掲げ、食品製造業者および販売業者に対し、製造基準等とともに、適正な表示の遵守を指導する。

 

【Q】食品の安全情報を消費者に伝えていくことが重要と考えるが、保健所と消費者センターは、どのように連携していくのか。

【A】食品の衛生監視を担う保健所と消費者の総合的な相談窓口である消費者センターとの連携は、区民の食の安全を図る上で大変重要である。現在も、それぞれが実施する区民対象の事業に際しては相互に職員が出向き、区民への情報提供や意見交換を行なうなどして活発に交流を図っている。また、3月には、食の安全・安心セミナーを協働で開催する予定である。「食の安全110番」の運営に当たっても、保健所と消費者センターとが十分に連携して対応していきたいと考える。

 

【Q】どういう食べ物を選ぶのか、ということは「食育」が重要になってくる。食育推進計画を策定予定と聞くが、食育は、栄養指導やバランスのよい食生活に止まらずフードマイレージから見えてきた環境問題、農業問題、消費者問題でもあり、これらの視点を盛り込むべきと考えるがいかがか。

【A】健全な食生活を実践することができる人間を育てる「食育」の推進には食がもたらす環境への問題、食糧の需給に関わる農業問題や食の選択に関わる消費者の問題も重要な視点である。

 平成21年度策定予定の食育推進計画には、これらの視点も盛り込み、食生活の実態や課題を十分に把握した上で、杉並らしい食育推進計画となるよう十分な検討を行なっていく。

 

【Q】平成9年に杉並保健所と5つの保健センターの体制になったが、そのねらい、機能、役割分担はどのようにされているか伺う。

【A】少子高齢化の進展など、社会環境が大きく変化したことから、国は戦後制定された保健所法を根本的に改正し、平成6年、新たに地域保健法を施行した。本法の目的は、保健所を専門技術的拠点、保健センターを地域の健康づくりの拠点として市町村に設置することで、住民ニーズに応えようという趣旨である。杉並区は、保健所設置自治体であるため、保健所と保健センターを一体的に運営し、地域保健の強化を図ることとした。具体的には、3つの保健所を1ヵ所に統合し、保健所と保険相談所を5つの保健センターとし、区の健康づくりの拠点として整備し、今に至っている。

 

【Q】高齢者の健康維持・介護予防は大きい課題であり、高齢者の健康維持活動を企画するゆうゆう館も出現してきている。こうしたゆうゆう館の健康づくり事業と保険センターの連携を図ることは有効だと考えるがいかがか。

【A】ゆうゆう館の健康づくり事業には、現在でも、保険センターの専門職員が講師として参画するなどゆうゆう館との連携を図っている。

 これまで保健センターで実施してきた健康づくり事業のノウハウをゆうゆう館での事業に活かし、地域での健康づくりを推進していくためにも、ゆうゆう館との一層の連携を図っていく必要があると考えている。

 

【Q】健康づくり推進員制度の役割・選出方法・人数、今後期待されることについて伺う。

【A】推進員は、町会・自治会からの推薦と公募から構成され、現在186名の推進員が活動している。

 健康づくり推進員は、地域における健康づくりのリーダーとして、地域住民へ健康情報の提供、健康なまちづくりに向けての学習会や地域団体との交流会の開催、健康づくり地区会活動の企画運営等の活動を行なっている。

 なお、現制度発足後、相当年度が経過し、周辺状況の変化もあるため、推進員組織の構成や役割などを抜本的に見直し、地域のニーズに的確に応えられ、かつ、成果の上がる制度となるよう、現在、鋭意検討を進めている。

 

【Q】保険センターの調理実習・講堂などは一般に貸し出されていないが、その理由はなぜか。健康づくりに励む地域団体に開放すべきと考えるが、いかがか。

【A】これらの施設はその設置目的に沿った使用を前提にしており、目的外利用施設とは規定していなかった。しかし、地域で健康づくりを始めようとする様々な団体の活動の場の確保が課題となっている。こうしたことから、今後は健康づくりなどを目的に地域で活動する団体などの施設の使用については施設の利用状況などを踏まえながら、弾力的に対応できるよう検討していく。

 

第1回定例会 一般質問  小松久子

2008 2/19

区長の予算編成方針について

(1)  
自治の確立について

【Q1】東京自治制度懇談会と特別区制度調査会から相反する報告が出されたが、どう受け止めているのか、また、都区の望ましいあり方についてどう考えるのか、区長の見解を伺う。

【A1】先般、都の自治制度懇談会から東京都を大都市経営の主体として明確化すべきとの報告が、また、特別区制度調査会からは「都の区」の制度廃止と「基礎自治体連合」の創設を内容とする報告が出た。それぞれが描く将来の自治の方向性は、全く異なる内容であると認識している。

 このような状況を打開していくためには、都と特別区の双方が「何のための都区制度改革なのか」という原点に立って、同じ土俵で今後の大都市東京と特別区のあり方を論ずることが必要ではないかと考える。その上で、都が抱え込んできた様々な事務については、住民に身近な特別区が優先して担うことを基本に都区の役割分担を見直し、杉並を含む大都市東京の区域にふさわしい、新たな自治の仕組み確立していく必要があると考える。

 

【Q2】減税自治体構想は都市制度の進展により30~40年後に区がどうなっているかに大きく左右される。自治体としての基盤があっての減税構想なのではないか。

【A2】たとえ都区制度が将来どのようになろうとも、将来を見通し、税収の増減に左右されない強固な自治基盤を確立し、安定的な財政運営を行なっていくという減税自治体構想の理念は、これからの時代の自治体運営において、ますます必要性を帯びてくるものと考えている。

 

【Q3】○自治体基本条例施行後5年間の成果について伺う。

付帯決議には見直し時期が明示されていないが、今回見直す理由は何か。条例の内容を書き換える必要があると考えているのか、また、具体的にどこを見直そうとしているのか伺う。

見直しに当たっては、区民参加による総括が必要と考えるが、どのように見直しを行なうのは伺う。また、見直しのスケジュールはいかがか。

案が出来上がってからパブコメで意見を募集するのではなく、議論のプロセスに区民が参加できるような仕組みが必要と考えるが、議論の場を設けてはいかがか。

【A3】条例施行後5年間の成果について、区民の視点に立って仕事に取組もうとする職員の意識改革が進み、地域のボランティア活動やNPOの活動が活発化し、協働の分野への区民の参加が広まるなど、杉並らしい自治が芽生え育ちつつあると考えている。しかし、条例で謳われている自治の理念等がどこまで広く区民に共有化されているかどうかというと、まだ十分とは言えないと受け止めている。

 条例を見直す理由については、条例制定時に、条例施行後一定期間の施行状況等を踏まえた、検証と見直しに関する付帯決議が行なわれており、その検証のうえに見直しを行なうものである。

 見直しに当たっては、改正行政手続法などの法改正等への対応とともに、条例の精神を広く区民のものにし、条例を発展させる方向での改善や充実に努めていく。時期については、今後、議会とも必要な協議等を行ないながら、条例改正等に向けた手続きを進めていきたいと考える。

 

【Q4】町会・自治会と商店街が連携して地域の発展について検討する懇談会は、どのようなことを検討するのか。また、その目的は何か。

【A4】この懇談会は、後背地に住宅地を抱える商店街とそれを取り巻く町会や学校が有機的な連携を図り、地域を活性化していくために、「地域と商店外の協働」、「地域貢献型の会社設立」、「街の駅の活用」、「地場産業の育成」、「逸品運動の展開」などをキーワードとして検討していく予定である。

 

【Q5】かつて地域区民センター運営協議会を地域内分権の拠点とする構想が語られていた。今後、運協を核とする分権構想を再び検討する必要があると思うがいかがか。

【A5】現在、教育分野における地域内分権のモデル事業として、学校を核とした地区教育委員会の設置に向けた取り組みを行っているところである。地域活動の拠点として整備した地域区民センターの役割については、現在の取り組みの推移を見ながら検討していきたい。

 

(2)  
協働のあり方について

【Q6】21世紀ビジョンや協働推進条例にある、協働の定義を改めて確認したい。

【A6】自治基本条例において「地域社会の課題の解決を図るため、それぞれの自覚と責任の下に、その立場や特性を尊重し、協力して取組むことをいう。」と定義している。

 

【Q7】「協働ガイドライン」の協働の概念と民営化・指定管理・業務委託とは異なるものではないのか。あらためて「協働」及び「協働事業」の定義について伺う。また現在、「協働事業」に該当する事業はいくつあるのか。

【A7】スマートすぎなみ計画に基づく協働や民営化・民間委託は、NPOや地域の団体、さらに民間事業者などが、区の事業を担っていくパートナーという考え方に基づいている。指定管理や業務委託という形態であっても、そのプロセスにおいて協働の概念を共有することで、協働事業となりうるものと考えている。

「協働事業」については、19年度ではゆうゆう館協働事業や地域大学での講座運営など、様々な事業を展開している。

 

【Q8】「協働ガイドライン」で締結することになっている「協定書」の締結は徹底されているのか。

【A8】「協働ガイドライン」では、協定書を結ぶことを基本としているが、これは、協働事業を進めるに当たって、役割の分担や責任の所在などを十分に協議していくことの重要性に基づくものである。従って、協議した内容を仕様書としてまとめる場合など、必ずしも協定書が必要とされるものではない。

 

【Q9】協働事業提案制度は、行政サービス民間事業化提案制度とは趣旨が異なると思うが、区の見解を問う。

【A9】「協働事業提案制度」は、NPOや市民活動団体が、自ら企画した事業を区に提案するのに対し、「行政サービス民間事業化制度」は、NPOのほか民間企業や任意団体などが、区の既定事業を対象に民間事業化を提案するという点で異なるものである。

 

【Q10】○協働事業提案制度は、本年度で終了するが、提案者、行政双方に課題をかかえたままの終了となってしまうのではないか。

○協働事業提案制度の3年間の総括は、行政だけでなく、NPO等事業者側も含めて行い、民間事業化提案制度との関係も整理すべきと考えるが、その予定はあるのか。

【A10】協働事業提案制度は3年間のモデル事業として実施してきたものだが、すでに多くにの団体が主体的な活動をしている中では、その役割は一つの区切りの段階にきていると考えている。民間事業化提案制度において、こうしたNPOや種々の団体、さらに民間事業者を含めた幅広い立場の方々が創意ある発想で公共サービスを担って頂きたいと考えている。

 

【Q11】市民が事業化する公共サービスが、行政と対等の立場で共存し、新しい公共を創造する一端を担うことが本物の自治モデルと呼ぶにふさわしいと考えるが、区はこれをどのように進めていくのか。

【A11】区民自身が暮らしやすいまちをつくっていくためには、区民自らがNPO等を立ち上げ、公共サービスを主体的に担うことは大切なことである。そのために、区は、すぎなみ地域大学やNPO支援センターを設立しているところである。

 

(3)  
教育基本条例について

【Q12】「有識者から広く意見」というが、どんな人物を想定しているのか。意見聴取の場を制定するのか。従来のように案文ができあがってからパブコメをかけるのでは区民の賛同が得られないと思うが、どう進めるのか。

意見を聞いた結果、「条例は不要」となればつくらないという決断があって良いと思うが、見解は。

【A12】有識者の選定や意見聴取の方法については、現在検討中である。パブコメについては、条例案として作成したものを示すのが基本と考えている。

 条例制定については、必要な取り組みと考え、広く意見を聞きながら総意としてまとめるよう努力をしていく。

 

1.和田中の「私塾との連携」について

【Q13】地域本部の活動に区は助成金を出している、金額は。区と地域本部のかかわりは。区はどのように指導していくのか。

地域がやることであれば今後他の学校でも私塾との連携はありうるのか。

学校運営協議会ではどのような議論がされたのか。

【A13】まず、財政支援についてだが、教育委員会は、活動計画書等を確認した上で毎年度運営費として50万円を限度に支給している。

 学校支援本部は学校との間で協定を結び、校長の承認のもと様々な学校支援活動を行なう。教育委員会は、実績報告書により学校支援本部の活動を確認し、必要な助言を行なう。

 他の学校支援本部でも私塾との連携については、学校支援本部で議論され、実施に関して校長の承認があれば、和田中以外の学校支援本部でもこのような連携はありえると考える。

 最後に和田中の学校運営協議会での議論だが、11月の学校運営協議会において地域本部によるこのような事業について意見交換が行なわれたと聞いている。

 

Q14】なぜサピックスか。公平を期して入札など複数の塾から選ぶべきではなかったか。公平性に問題はないのか。

サピックスと覚書を交わしたというが、法的拘束力、契約期間、責任者は。3月までを試行期間としているが、3月末で終了ということがあり得るか。

テレビ報道で生徒の顔が映っていたが、個人が特定できないよう配慮されるべきではなかったのか。

夜スペは公教育の場に機会の不均等と分断を持ち込むことになってしまっている。区の認識は。

【A14】提携先の選定に係る公平性については、今回のような提案が他にはない中で、地域本務が提案内容を検討し、当該の私塾と連携にしたという経緯なので、やむをえないものと受け止めている。

 覚書については、地域本部の事務局長を責任者として結んでおり、契約として法的な効力がある。契約期間は、試行期間である今年331日までとされており、4月以降については試行を踏まえ、改めて覚書を結ぶこととされている。

 テレビ報道については、それぞれの報道機関の責任で保護者等の了解を得て放映しているものと理解している。

 和田中地域本部ではこれまで、土曜日学校を中心に、さまざまな補習活動などを実施し、約6割の生徒が参加している。今回の取り組みは、そうした実績のうえに新たな学習機会を設けるものであり、事業の全体を見て、評価していただきたい。

 

【Q15】○公教育が生徒一人ひとりの能力を活かせないでいることの問題が指摘されているが、区の認識は。○受験技術の獲得に力を入れるより、人格の形成をめざすことが目的であるはず。公教育はどうあったらよいのか、これを機会に議論を深めることが必要ではないか。

【A15】社会環境の変化の中で、公立学校が以前に比べさまざまな課題を背負い、そのことが少なからず生徒の指導に影響していると認識している。こうした状況を踏まえ、教員の指導体制を量と質の両面から強化する一方、学校支援本部の設置等、地域の力に支えられた学校づくりに努めている。

 公教育のあり方について、一人ひとりが個性や能力を発揮し、生き生きと活躍することができるよう、必要な生きる基礎を培い、基本的な資質を養うことが、公教育の役割であると考える。そうした役割を果たしていくには、社会の変化に柔軟に対応し、さまざまな試行や創意工夫、改善を進めることが必要であり、前向きな考えを出し合いながら合意形成を図ることは有意義なことと考えている。