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第1回定例会代表質問  2012.2.15 小松久子

「生活者ネット・みどりの未来」を代表して、「平成24年度予算の編成方針とその概要」について質問をいたします。

 日本がかつて経験したことのない、大地震と津波に加えて原子力発電所の爆発事故という二重・三重の打撃を受けて、もうすぐ1年になろうとしています。

 昨年、区議会第1回定例会の最終日、暫時休憩中に突然あの地震が起こり、しばらくして会派控室のテレビ画面に映し出されたのは、黒い巨大な舌のような津波が田畑や街並みを舐めるようにさらっていく映像でした。まち全体ががれきと化し、死者・行方不明者は19千人に上っています。その後の、日本中が深い喪失感に覆われ、原発事故の恐怖にふるえるだけだった段階はひとまず超えはしましたが、あの日から社会のありようが変わったと感じている人は少なくありません。

 東京都副知事の猪瀬直樹氏は「災害の後」すなわち「災後」という言葉を提唱しています。「これからは『戦後何年』ではなく『災後何年』と意識的に言うべきである。そうすることでこの国は変わる」と記しており、なるほどと思います。政治家、ジャーナリスト、作家、音楽家、あらゆる表現者、宗教者、教育者…などすべての職種、階層の人びとがこの状況を受け止め、自己に引き寄せて思索を巡らせ、あるいは考察しています。

 そして原発を巡っては、安全神話が完膚なきまでに崩壊したいまもなお推進策を脱却しようとしない政府の姿勢に、国民は不信の念を募らせています。そのうえ、沖縄の米軍基地問題や八ッ場ダム建設、官僚の天下り、子ども手当、ワーキングプア対策などの公約違反は、政権交代に期待した国民の失望をこの1年でさらに大きくしてしまいました。

 経済評論家の内橋克人氏は、「現在台頭しているのは、強い力を持つ者による『上からの革命』を渇望する空気」であると、いまの状況に警鐘を鳴らしています。しかしそのあとで、歴史上「上からの革命」がよい結果をもたらしたことはなく、現在必要なのは「政治不信」を乗り越えた、草の根の力の結集ではないか、と述べています。市民の力を束ねることが希望につながる、という考え方に共感します。

 それでは本題に入ります。一部、他会派の質問と重複するものもありますが、重ねてのご答弁をお願いいたします。まず大震災に関連して、被災地支援、復興支援についてうかがいます。

 区長は、大震災を経た今ほど基礎自治体の役割が問われているときはない、として、基礎自治体の重要性に対する認識を新たにされたことを述べておられます。改めて、区長の考える基礎自治体の使命と役割とは何か、最初におうかがいします。

 2点目です。区長は、被災した南相馬市を支援する関係自治体の構成による「自治体スクラム支援会議」を立ち上げ、自治体間の連携によるスクラム支援に率先して取り組んでこられました。その経験から、現行の制度やしくみにおける問題を国への要請につなげておられます。その後の改善に向けた国の動きはいかがでしょうか。

 3点目。さらに、今後、被災地支援、復興支援として区が優先的に取り組むべき課題は何と考えておられるのか。

 そして4点目は、人的支援についてです。被災地の行政事務などについての支援を、当区の職員を派遣することで行ってこられたことを評価しています。人材支援は、今後も形を変えて続けていくことが望まれます。またその経験が今後の相互交流や杉並区にとっても生かされるよう、一連の活動について一度総括されてはいかがでしょうか。おうかがいします。

 続けて、隣接自治体との連携についても、ここでおたずねします。武蔵野市とは先ごろ災害相互援助協定を結んで新たな取り組みが始まっています。区長は隣接自治体との連携を図る、とされていますが、災害に限らず、他の隣接自治体である練馬、三鷹、世田谷、渋谷、中野ともさまざまな連携協力するしくみをつくるということでしょうか。うかがいます。

 災害対策として、区立小中学校周辺の不燃化促進のための建て替え助成を打ち出されました。地震の際に想定される火災への思い切った対応策として注目されます。併せて木造密集地域対策についても言及しておられますが、具体的にはどのようなことか、お示しください。

 ただ、助成があるからといってすぐに不燃化の申請があるとは限らず、区からの働きかけも必要と考えます。難しい問題ですが、まちの不燃化をどのように進めていかれるのか、うかがいます。

 今回の災害では岩手県大槌町で首長と、町役場の職員の4分の1が死亡または行方不明となりました。職員が急激に減ってしまうと、行政事務の処理が滞るだけでなくさまざま支障がおきることが想像されますが、自治体のリーダーが亡くなるとその地域の復興に大きな遅れが生じることは、17年前の阪神淡路大震災でも指摘されていました。

 自治体の首長や職員には生き延びていただかなくてはなりません。区長も、ここにおられる理事者のみなさまも、ご自身の生き延び対策について、ぜひ真剣に考えていただきたいことを、この際申し上げておきます。

 さて、今般示されている予算の考え方の根幹は、申すまでもなく今議会に諮られている基本構想と総合計画です。一昨年12月に基本構想審議会が設置されて区長の諮問を受け、以来1年強の議論をへて今回の議案に至っているわけですが、私も委員の一人としてこの間参加できたことは、得難い経験でした。基本構想の内容については、特別委員会が設置されますので具体的な議論はそちらでと思いますが、この策定のプロセスについて確認しておきたいと思います。

 基本構想審議会答申(素案)と総合計画(素案)のパブリックコメントがほぼ同時期に行われました。総合計画は10年後のビジョンを描く基本構想にもとづいて策定される「行政の計画」であるのに、ほとんど同時進行という形になったのは、パブコメの時期になって区民を混乱させたことは否定できません。区民にとっては、同じようなことが書かれた基本構想と総合計画は、ただでさえその違いがわかりにくいうえに、基本構想が未確定であり未答申のうちに行政計画が示されたことは、私自身審議会のメンバーでありながら、区民に納得できるように説明することが困難でした。

 そもそもこのスケジュールの立て方自体に無理があったのではないでしょうか。ほぼ同時並行で進めなければならなかったのはなぜか。いま一度うかがっておきます。

 昨年第1回定例会の一般質問において、私は基本構想づくりの過程で、市民参加の新しい手法として、ドイツの「プラーヌンクスツェレ」という、住民基本台帳からの無作為抽出による市民討議を実施することを提案いたしましたところ、6月にさっそくその手法を採り入れていただき区民意見交換会が開催されました。

 「プラ―ヌンクスツェレ」の日本版ともいえる市民討議会は、まんべんなく多世代の参加が期待できること、少人数グループで討議することにより合意形成しやすいことなどに利点があり、他の自治体でも導入が拡がっています。当区では初めての試みでしたが、この手法を採用したことにより、区民の関心や参加の意思を引き出した、など得たものは多く、このような方式を今後も取り入れていくべきと思います。

 ただ、それが基本構想にどのように反映されたか、という視点からの検証が必要だと考えます。活動団体からの意見募集もされ多くの団体意見が寄せられましたが、これも構想への反映がされたのかどうか。ひとつには審議会において検討するだけの十分な時間がなかったと思いますが、意見を寄せた団体になんらかの返事を返すなど対応すべきではないでしょうか。これらのことをふくめて、区長の認識とお考えをうかがいます。

 基本構想審議会での議論で私がとくに印象に残っているのは、「多心型まちづくり」という言葉です。審議会では、この言葉が頻繁に使われ、区長の予算編成方針にも記載されていますが、具体的なイメージはどのようなものでしょうか。また他の都市の例など、見本とする事例があればお示しください。

 まちづくりに関連してあと2点ほど、うかがいます。

 荻窪駅周辺のまちづくりについては、区長の公約でもあり並々ならぬ意欲をもっておられることは存じておりますし、また区民にとっても注目度の高いテーマです。地元の協議会設置を考えておられるようですが、それもさることながら、区内最大の交通結節点ともなれば、地元以外も含めた区民の声が反映されるようなしかけがほしいところです。

 先ほども述べた、住民基本台帳からの無作為抽出による区民の参加で討議する市民討議の手法をここで採り入れることを検討されてはいかがでしょうか。おうかがいします。

 人口減少が確実に迫っている状況にあって、税収が増えることを前提に今後の社会を想定するのは現実的ではありません。基本構想で言われている「よりいっそう質の高い住宅都市」として発展していくことは、たいへん困難な舵取りが必要となります。区長として、覚悟のほどをうかがいたいと思います。また「質の高い住宅都市」とはどのようなまちなのか、見解をおうかがいします。

 基本構想審議会では、「協働」の考え方について一定の整理がされたと考えています。それを受け、区長も協働推進の基本方針を定めるとおっしゃっています。協働のあり方について、「区と区民の対等なパートナー関係が築けているか」という視点からこれまでの区の取組みを総括し、原点からとらえ直すことが必要と考えますが、いかがでしょうか。区長の認識をうかがいます。

 ここで、減税基金制度の廃止について述べておきます。そもそもこの制度は、将来の減税のために予算を切り詰めるという設計に無理がありました。廃止議案についての議論は別途、委員会の場でされるものと思いますが、廃止は歓迎するところです。ここでは、手続きの進め方について、減税基金条例にそって行われたのか、確認したいと思います。また、今後の廃止に向けたスケジュールをうかがいます。

 ところで、入札に総合評価方式を導入することや公契約条例の策定を含めて、契約制度のあり方の見直しをこれまで再三求めてきました。ようやく区は庁内に契約制度検討委員会を設置し、昨年12月に報告書を提出されました。この内容で十分とは思いませんが、一歩前進と受け止めています。報告書に対する区長の評価はいかがでしょうか。また、この検討結果をどのように施策化するのでしょうか。

 うかがって、自治と分権という観点から、以下、何点か質問いたします。

 まず、都区制度に関連してうかがいます。区長は、都政に長くかかわった経験から、都と区の関係がどうあったらよいとお考えでしょうか。区の自治権拡大の進み方はいまひとつと感じていますが、区長は自治権の拡大が進まないことについてどのような見解を持っておられるのか、うかがいます。

 併せて、「大阪都構想」について区長はどのような見解をおもちか、お聞かせください。

 都区の事務事業見直しについて、区長は具体化に向けた協議が必要な時期にきているとして、児童相談所を例に挙げておられます。児童相談所の区への移管は時間の問題であり、具体化が待たれます。

 昨年明るみに出た、杉並区内の養育家庭に里子として委託された3歳の女の子の死亡事件は、暴行による疑いがもたれています。日常的な虐待が背景にあったことも疑われていますが、区は関与の枠から外れており、死を未然に防ぐことができませんでした。

 東京都児童福祉審議会において事例検討がされ、このほど出された報告書では、今後の改善策として養育家族への地域のフォローが求められています。地域に暮らす子どもの命と権利が第一優先として守られるために区の積極的関与が必要であり、児童相談所の機能を区が担うことを具体的に検討すべきではないのか。お考えをうかがいます。

 子どもの話題が出たところで、民主党政権の子ども・子育て新システムに関連しての質問です。私は子ども・子育て新システムには期待する部分もあり、その進捗に注目してきました。先ごろようやく最終案が公表されましたが、財源としての税制改革をはじめ、前提となる基盤整備はいまだ不十分な状況です。区長は子ども・子育て新システムについてどのような見解をお持ちか、おうかがいします。

 なお、今回あらたに「(仮称)次世代育成基金」創設を予定されています。この提案に至った経緯とその意図は何か、うかがっておきます。

 「(仮称)次世代育成基金」の背景には子どもをとりまく貧困問題がある、ということだと思います。じっさい、就学援助を受けている子どもの割合は小学生の20%、中学生の30%にのぼります。親の貧困ということです。当区でも貧困が拡がっていることは生活保護費の増大からも明らかですが、受給者ではない勤労者の中にも実質的には貧困状態にある区民は少なくありません。当区における貧困問題についての区長の現状認識と解決策について、見解をうかがいます。

 高齢者施策については、ここでは1点だけおたずねします。南伊豆健康学園廃止後の跡地に特別養護老人ホームを建設する方向で検討がされていましたが、法の壁により実現困難となっている旨の区長の執筆記事が昨年10月の東京新聞に掲載され、心配する区民の声も聞くところです。この間の経緯と、今後の見通しについて、うかがいます。

 南伊豆健康学園が、健康に問題のある子どもや不登校の子どもへの対応など、福祉的な場として果たしてきた役割を、これまでと違う形で担う取り組みが提案されていることを評価したいと思います。これが十分に機能するためには、杉並区が積極的にすすめてきた、教育と福祉の連携をさらに深めていくことが求められると考えますが、いかがでしょうか。区の見解をうかがいます。

 つづいて、保育施策に関連して2点ほどお聞きします。まず待機児問題についてです。毎年推移する待機児に対し今回は家庭福祉員等の大幅増とのことですが、これまで、その都度緊急的に対応してきている感があります。保育サービスはいろいろある中から保護者のニーズによって選ぶことができれば望ましいわけです。国の子ども・子育て新システムの動向を当然視野に入れながら、長期的な見通しをもつべきではないのでしょうか。これが1点目。

 そして2点目です。認可外保育所の中にも良質の保育が行われている施設があります。いわゆるベビーホテルと呼ばれる、子どもの利益よりも営利目的でしかも劣悪な保育環境にあるような保育所とは違って、東京都の認可外保育施設指導監督基準を満たす事業所のことです。このような施設に対しては、区が定期的に事業評価を行うことを前提に、認可保育所と同等の補助対象としてもよいのではないかと思います。いかがでしょうか、おうかがいします。

 発達障がい児への対応についてです。早期からの特別な支援が求められる発達障がい児を、早い時期に見つけ出し専門機関につなげるしかけができないものかと思い、毎年要望を出してきました。「あそびのグループ」はそのような取り組みとして期待するところです。どのように進めようとされているのか、スケジュールを含め具体策をお示しください。

 基本構想審議会では、子育てや教育に関する部会において、「子どもの成長と学びへの切れ目のない支援」あるいは「学びの連続性を重視」というように、「切れ目のない」「連続性」というキーワードが繰り返し語られたことが印象に残っています。障がいや発達障がいなど、特別な支援を必要とする子どもたちにとっては、よりいっそう重要な意味をもつ視点だと思います。その意味で、早期からの支援につなげる「あそびのグループ」と同様に、学齢期を終えた後の特別な支援ができるような体制もまた、求められていることを指摘しておきます。

 学校教育に関しては、ここでは学校司書について、1点だけの質問にとどめておきます。学校司書の全校配置がついに実現しようとしていることに、素直に感慨をおぼえます。以前より指摘してきたことですが、司書を受け入れる学校への支援や司書同士のネットワークづくりなど、本格的な体制整備に力を尽くしていただきたいと考えます。区のお考えはいかがか、おたずねします。

 司書が存在することで学校図書館が魅力的な「居場所」としての面を見せ始めたのと同様に、中央図書館でも、あかちゃんと母親の、また不登校の子の「特別な場所」として新しい発想による取り組みが展開されることは、楽しみです。これからさらに、市民のアイデアも採り入れて図書館の潜在的魅力が開発され育てられていくことを期待します。

 文化・芸術振興について調査・審議する機関の設置を考えておられるとのことです。ここで思い出すのは、基本構想づくりに向けて出された区民意見や団体意見の中にも文化・芸術に関するものが見られたことです。それらも参考にすべきと考えます。いかがでしょうか、うかがいます。

 交流自治体円卓会議についても、1点おたずねします。すべての交流自治体の関係者が一堂に会した円卓会議の開催をお考えのようですが、市民レベルでもそれぞれの自治体の住民同士が訪問しあう、とくに杉並区民が地方都市を訪れて農業体験ができるようなしかけができないか、と前区長にも申し上げました。進めておられるともうかがいましたが、区長のお考えはいかがでしょうか、おうかがいします。

 特別会計に関しては、このたび「中小企業勤労福祉事業会計」を新設されるとうかがいました。その経緯について、確認したいと思います。お示しください。

 地域エネルギービジョンを策定されるとのことです。これに関しては、ぜひともうかがっておきたいことがあります。福島原発事故以来、「脱原発」は大多数の区民の共通認識であり、区長もわが会派の質問に答えて「再生可能エネルギ―の普及拡大を図り可能な限り原発を抑制していくべき」と、明確に脱原発の意思を表明されています。

 カタログハウス創業者の斎藤駿(すすむ)氏は「企業も一つの人格」と述べ、「社会的責任として脱原発か、要原発か、分からないのか、きちんと意思表示すべきです」と訴えています。これに倣えば自治体も当然一つの人格です。地球温暖化対策と併せ「脱石油」かつ「脱原発」をしっかりと打ち出すべきと考えます。区長の見解はいかがか、お聞かせください。

 杉並区の意思が「脱原発」であれば、区が電気を購入する際は「原発でつくった電気は選ばない」、つまり、東京電力以外の電気事業者から購入すべきではないでしょうか。まして、東電は4月から大口契約者向けの電気料金値上げを発表しています。

 まさにいま、隣の世田谷区や足立区をはじめ、電気事業者を入札によって決めようとする自治体が相次いでおり、自治体の「脱東電依存」が今後さらに拡がっていくことはまちがいありません。このような状況について区長のご意見をうかがいたいと思います。また杉並区でも検討すべきではないのか、あらためてうかがいます。

 福島第一原発の事故を受けて、「脱原発」を求める市民の思いがインターネットを通してつながり、この1年間で自然発生的に多くのデモ行動を生んできています。杉並においても、昨年、高円寺の名を全国的に有名にした若者中心のデモ行進が行われ、近々区民主体のデモが実施されようと企画されています。これは日本だけのことではありません。昨年春のエジプトの民主化運動がその先駆けとなり、ニューヨークの反格差デモに連なる、世界的な潮流と言うことができます。このような大きな動きについて、区長はどのような感想をお持ちでしょうか。おたずねします。

 いま、直接民主主義のひとつの実践として、原発稼働の是非を問う住民投票の実施を求める市民の動きが、世論をつくりつつあります。東京における「原発都民投票」実現のための条例制定を求める直接請求に必要な署名を集める活動が、この間に選挙が行われた小金井、府中、八王子の各市と三宅村を除いて29日までで終了し、目標とした30万筆を超える状況といわれています。

 生活者ネットワークもみどりの未来も、志を同じくする一市民としてこの活動に参加してきましたが、このような市民の活動は貴重なものであり、その結果が尊重されるべきであることは言うまでもありません。またそのような市民活動そのものは大いに推進されるべきと考えます。いかがでしょうか、区長の見解をお聞きします。

 直接請求の手続きは、署名時期が後れた先ほどの地域で締め切られた後、東京全体の署名簿を都選挙管理委員会に提出し、最終的に都知事に提出されるのは5月下旬とみられています。それから20日以内に知事は意見書を付けて議会に諮らなければなりません。報道によれば、石原知事は住民投票の実施条例を「作れるわけがないし作るつもりもない」と述べていますが、条例制定の可否を決めるのは都議会であって知事ではありません。

 また、直接請求は自治法に基づいて行っているものですから、「条例を作れるはずがない」という発言は、主権者である都民を見下しているだけでなく、失礼ながら制度をご存じないと思わざるをえません。私たち「生活者ネット・みどりの未来」は、「だいじなことをみんなで決める」ことの実現のために、知事の暴言にひるむことなく、市民とともに最後まで力を尽くしてまいりたいと思います。

 このことを最後に述べまして、「生活者ネット・みどりの未来」の代表質問を終わります。

小松久子 一般質問と答弁  2011.11.21

「こころの健康について」

【Q】 ● 精神疾患が五疾病のひとつになると、都の次期医療計画にも位置付けられることになる。地域医療として精神疾患への取り組みを位置付ける、また保健福祉計画への反映など、区の取り組みも求められると思うがいかがか。

【A】  さる7月6日の第19回社会保障審議会・医療部会は、医療計画に記載すべき疾病として精神疾患を加える方針を打ち出した。従来「がん・心疾患・脳卒中・糖尿病」の4疾病に精神疾患が加わる場合の影響は、東京都が策定する医療計画に明示され、それらに対応した医療連携体制が構築されることで、広範かつ継続的な医療が提供できるようになる。区の保健福祉計画への反映には、現在まだ不確定な要素も多いことから、国や都の動向を十分注視していく。 

【Q】 ● 区が行っているゲートキーパー養成講座の趣旨とプログラムはどのようなものか。

            また、成果はいかがか、伺う。

【A】  この講座は、直接窓口で区民から様々な相談を受ける、区やケア24、社会福祉協議会の職員等が、自殺予防に対する理解を深め、自殺のサインに早期に気づいて、適切な支援を行うことを目的とするもので、職員の資質の向上や関係機関の連携の強化が図られている。過去3年間で6回の講座を開催し、東京都中部総合精神保健福祉センターの精神科医師等を講師に迎え、相談の進め方など実践に即した研修を行い、延べ約350名が受講した。また、来年2月には、民生委員も含めた講座も予定している。

【Q】 ● 区は都のアウトリーチ事業を積極的に活用しているが、精神疾患があっても地域で安定して生活するために、区としてのアウトリーチの取り組みが求められる。相談支援事業所がイニシアティブをとるなど、アウトリーチの手法を使った取り組みを展開してはいかがか。

【A】   保健センターでは、未受診、治療中断などの相談ケースのうち、特に困難なものについて、アウトリーチ事業を今年度から本格実施している。今後の事業の成果等を検証しながら、対象者の選定や効果的な実施方法、保健センターと相談支援事業所の役割分担等について、検討していく。

【Q】  ● 区では、都と連携して退院促進に取り組んでいる。杉並区の地域移行の実績、計画と比較しての達成状況を伺う。

【A】   精神科病院からの退院促進の実績は、平成21年度3人、平成22年度1人である。障害福祉計画の目標数値は、両年度とも10人で、困難さが現れた数値である。

 

【Q】  ● 自立支援法改正により、来年4月から地域移行・地域定着支援事業に対する個別給付化が予定されている。これにより、どのような活用ができ、何が期待できるのか伺う。

【A】   厚生労働省から、未だ詳細が示されていないが、これにより、さまざまな事業主体が、地域定着支援事業に取り組めるだろうと期待している。

 

【Q】  ● 精神障がい者の家族から、病状が急変した場合の緊急対応ができるしくみが求められている。緊急受診ができる施設の確保など、救急体制について地域のネットワークを使った仕組みが必要と考えるがいかがか。

【A】   東京都では「精神科夜間休日診療事業」として、区部を3ブロックに分割し医療機関を設定している。夜間休日に緊急の対応が必要な場合は、東京都保健医療情報センターを経由して情報が医療機関など適切な機関に伝達され、必要に応じて診察が受けられる体制が整備されているが、それでも対応困難な事例が少なくないのが現状だ。今後も都と区の役割分担をふまえ、適切に対応していく。

【Q】  ● オブリガードでは、精神障がいの当事者が相談対応を担っているが、カウンセラーの人材としても本人のリカバリーのうえでも効果的と考える。意識的に人材と養成して活動をさらに推進すべきではないか。

【A】   ピアカウンセラーの養成講座には、平成21年度10名、平成22年度11名が参加し、ピア相談員、グループカウンセリング、外部講師などで活動していただいている。今後も、継続して人材の養成と活動を進めていく。

【Q】  ● 精神疾患の家族会や当事者の会は他の障害団体と同様に高齢化等の問題を抱えている。区は活動を支援すべきと考えるがいかがか。

【A】   区では、家族会に対して、リーフレットの展示等への協力や、新たな患者が出た場合に家族会を紹介する等の支援を行っている。また、当事者の会には保健センターを会場として提供し、保健師が参加して助言等を行っている。

【Q】  ● 障がい者の地域生活に関する調査では、精神障がい者の就労状況は、作業所、授産施設での仕事が過半数を占め、就労してもパート・アルバイトが多い。また、就労の継続に必要なこととして「定着支援など就労支援機関による支援」と「いつでも相談できる人や場所」が多く挙げられている。このような状況についての区の見解はいかがか。区として、精神障がい者の就労に向けてどのような取り組みがされているか伺う。

【A】   杉並区雇用支援事業団では、当事者への就労支援のほか、事業所・企業に働きかけ、障害者雇用の促進に取り組んでいる。昨年度就労者62人のうち、精神障害者は24人と伸びてきている。また、就労が継続できるよう、就職後の定着支援と相談の充実を図っているところで、今後とも、杉並区雇用支援事業団と連携して、障害者の就労に努めていく。

【Q】  ● 偏見をなくしていくには可能な限り若いうちから精神疾患を知り理解することが重要であり学校教育で実施すべきと考えるが、見解をうかがう。

【A】   小・中学校での精神疾患等への理解を深める学習は、児童・生徒の発達段階や学級の状況等を十分に考慮した上で進める必要がある。各学校において、偏見や差別のない社会、学校の実現に向けては、児童・生徒の人権意識を高める指導の充実を図っていく。

【Q】  ● 地域の精神保健福祉をすすめるため、保健師の人的充実など保健所の機能強化が必要と考えるがいかがか。

【A】   近年、複雑かつ困難な事例が増加しており、保健師の業務量は増大傾向にある。今後も区では業務の見直し、効率的な執行体制の確立、資質向上に努めていく。

【Q】  ● こころの病気についての理解を深める啓発事業を積極的に進めるべきだが、いかがか。

【A】   保健所・保健センターでは精神保健福祉の正しい知識の普及・啓発のため、区民および関係機関を対象とした「精神保健学級」の実施や「広報すぎなみ」への啓発記事の掲載などを行っている。更にうつ病対策としては、春・秋の自殺予防月間を中心に普及啓発をすすめており、街頭キャンペーン、講演会、映画の上映などを行っている。今後も積極的に普及啓発事業を推進していく。

第4回定例会一般質問   2011.11.21 小松 久子

こころの健康について

私は、生活者ネット・みどりの未来の一員として、「こころの健康について」質問いたします。こころの健康、すなわち精神疾患の問題についてです。ここでの精神疾患とは、統合失調症を中心に、そううつ病をふくむ気分障がい、神経性障害、アルツハイマー病などのほか、発達障がい、うつ病もふくめて考えることとします。正確には「脳の健康」「脳の病気」というべきなのかもしれませんが、ここでは「こころの健康」「こころの病気」という言葉で論じてまいりたいと思います。

 

国の社会保障審議会医療部会において、今年7月、これまで医療計画に記載する疾病として位置づけてきた「4疾病」に、新たに精神疾患を加えて「5疾病」とすることが合意され、その後の手続きが進められています。先週の1116日に開かれた厚生労働省の「医療計画の見直し等に関する検討会」では、次期医療計画に盛り込む指針が議論され、精神疾患の医療計画について「住み慣れた身近な地域で、福祉や介護、就労支援など、さまざまなサービスとも協働しながら、必要な医療が受けられる体制」という方向性や、うつ病と認知症に重点を置く方針が示されました。

 

精神疾患が5疾病のひとつに加わると、2014年度に策定される東京都の次期医療計画に位置づけられることになります。医療に関する事業は区の範疇ではないので、精神疾患についての取り組みとしては、区では保健福祉事業において「心の健康づくり」としてうつ病対策、精神疾患の知識の普及啓発、心の健康相談、地域支援ネットワークなどに取り組んでおられます。

 

ただ、昨年春に出された「杉並区における地域医療体制に関する調査検討委員会報告書」の中では、現在までの4疾病すなわち「悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、糖尿病」と高血圧症について検討されていますが、精神医療については触れられていません。

 

区内の対象者数は、精神障害者保健福祉手帳の所持者だけを見ても、今年331日現在、1級が180人、21,134人、3809人、合計2,123人とのことです。実際の数はこれより多いことは確実ですから、精神疾患の「施設から地域へ」という流れのなかで地域医療における取り組みは重要であるはずです。

 

地域医療として精神疾患への取り組みを位置づける、また保健福祉計画への反映など、区としての取り組みも求められるのではないでしょうか。最初の質問として、見解をうかがいます。

 

こころの病気について考えるとき、いま日本で深刻な社会問題となっている自殺の増加と「うつ病」との関連に目を向けなければなりません。

 

日本の自殺者の年間31千人は、糖尿病による死者14千人と比べて倍以上です。東京都のデータでみると、2010年の自殺者2,814人は交通事故死215人の実に13倍にもあたります。東京の10代、20代、30代の死因の第1位、40代の死因の第2位、50代、60代の4位が自死によるものです。そして、社会保障審議会医療部会の議論では「自殺の9割に、何らかの精神疾患に罹患していた可能性」との指摘がありました。

 

このような状況にあって、区が自殺予防対策に積極的に取り組んでおられることは認識しています。職員などを対象に開催されているゲートキーパー養成研修もそのひとつといえます。

 

東京都が発行する冊子「東京こころといのちのゲートキーパー手帳」によれば、「自殺対策におけるゲートキーパーとは、『地域や職場、教育、その他さまざまな分野において、身近な人の自殺のサインに気づき、その人の話を受け止め、必要に応じて専門相談機関へつなぐ、などの役割が期待される人』のこと」と定義されています。要は、死にたいと思っている人に思いとどまらせる人のことです。

 

役所の相談窓口担当者や民生委員、学校の教師など人と接する立場の人が、危険エリアの一歩手前での「いのちの門番」、すなわちゲートキーパーとして「気づき、受け止め、つなぐ」力量とスキルを習得できるよう、この研修は続けてほしい取り組みです。区が実施した研修の趣旨とプログラムはどのようなものだったのでしょうか。また成果はいかがだったのか、二つ目の質問としてうかがいます。

 

東京都の調査によれば、自殺した人のおよそ7割は直前に何らかの「サイン」を発していたものの、その家族の多くは「当時は自殺のサインと思わなかった」と答えています。「いのちの門番」がさまざまな場面で必要とされるゆえんです。

 

こころの病気を引き起こすきっかけや原因、またそれによって生じる問題は、多岐にわたります。虐待、いじめ、ドメスティックバイオレンス、家庭内暴力などは被害者にも加害者にもなっている実態がありますし、不登校、ひきこもりや過労、就労困難、貧困、薬物やアルコール依存、多重債務、ごみ屋敷、ホームレスなどの背景に精神疾患が存在していることは珍しくありません。いずれも重い社会問題であり、しかも重層化することで解決困難に陥りやすい問題です。しかし早い段階で手当できれば、これらの問題は軽症ですむ可能性があるのです。

 

一昨年、都内のあるNPOが、統合失調症などの精神疾患をもつ障がい者の家族を対象に調査を行い、1,485人から回答を得ました。これによれば、本人の異変に気づいてから精神科治療に結びつくまでに3年以上かかった人が12%、1年から2年が24%となっています。つまり3分の1以上の人は治療につながるまで1年以上かかっていることになります。

 

半数近くが20歳までの間に最初の異変があり、24歳までに発症した人は75%に上るという調査結果からこの病気の特徴が見えますが、若い世代であればなおさら、早く適切な治療を受けることが重要です。病状が最初にあらわれたときの医師に認識がなければ見逃されてしまいがちなことが、精神科の治療につながるまでに1年以上かかった人が36%、という数字に表れています。精神科以外の一般診療科での診察時に精神疾患が見逃されることのないよう、精神科医と一般診療科医との連携が求められます。

 

それでは以下、7項目にわたって質問いたします。

 

1点目、精神疾患にかかわるアウトリーチに関連しておたずねします。

 

アウトリーチとは「手を差し伸べる」という意味で、保健福祉分野におけるアウトリーチは、地域への出張サービス、訪問支援などのことをいいます。新生児訪問や訪問育児サポート事業などの赤ちゃん対象から、在宅で介護を受ける高齢者対象まで、アウトリーチの手法は医療、保健、福祉のさまざまな場面で実践されており、さらに広がることが望ましい手法です。

 

とくに精神疾患に関しては、外出が難しい罹患者は少なくないので、専門家や支援者が当事者のもとへ出向いていくことが必要です。医師、保健師、福祉職など多職種によるアウトリーチが制度として機能することは、精神障がい者が「施設から地域へ」の流れにそって、地域で安定して生活を送り、また就労して社会で生活していけるようになるために欠かせない条件です。

 

東京都立中部総合精神保健福祉センターは、精神保健福祉法にもとづく施設として杉並区をふくめた都内10区を管轄しています。都立松沢病院の地続きにあるこのセンターに先日うかがい、杉並区が精神保健福祉のさまざまな事業に、ここと連携しながら前向きに取り組んでこられたことをお聞きしました。ここでは、医療、保健、福祉など多職種の専門家チームによるアウトリーチ支援事業を、昨年度のモデル実施をへて、今年4月より本格実施しています。

 

区は、医療を中断してしまったなど、地域生活を続けるうえで困難が生じているような事例に対し、このアウトリーチ支援事業を積極的に活用しておられます。しかし、今後はより身近な地域での、一人ひとりの症状に合わせて包括的な支援を行うアウトリーチの取り組みが求められます。

 

いま、ACT、アクトというアウトリーチのプログラムが、精神保健医療福祉分野で知られるようになっています。「アサーティブ・コミュニティ・トリートメント」の略で、日本語では「包括型地域生活支援プログラム」と訳されています。症状が重く地域生活が困難な当事者に対し、看護師、作業療法士、精神保健福祉士、就労支援の専門家、医師などがチームを組み、生活の場に出向いて24時間365日体制で支援のサービスを提供するプログラムです。日本では千葉県市川市で2003年に初めて開始され、いま全国の10地域で実施されていますが、今後この実践がさらに多くの地域へと広がるよう、期待しています。

 

この夢はもちつつ、区の施策を考えるとき、たとえば相談支援事業所がイニシアティブをとるなどして、アウトリーチのしくみを使った取り組みを展開してはいかがかと思います。お答えください。

 

さて、そもそもなぜアウトリーチかといえば、その前提は20049月、厚生労働省の精神保健福祉対策本部が発表した「精神保健医療福祉の改革ビジョン」において、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本方針が示されたことによります。精神保健福祉はこのときを起点として大きく転換し、「施設から地域へ」の方針を実現していくための基盤整備が進んでいます。

 

「社会的入院」を解消して地域に帰ろうという、精神科病院からの退院促進事業も、そのような方針にそって杉並区の障害福祉計画に数値目標を定め、進められています。区内に精神科病床のない杉並区ですが、都と連携して退院促進に取り組んでおられます。当区への地域移行の実績と、区の障害福祉計画と比較して達成状況はいかがか、併せてうかがいます。

 

来年4月からは自立支援法改正により、地域移行・地域定着支援事業に対する個別給付化が予定されています。これによりどのような活用ができ、何が期待できるのか、関連してうかがいます。

 

地域移行・地域定着ということは課題の解決を入院に頼らない、ということです。再入院を防ぎ地域で解決を図る、といっても病状が急変した場合の緊急対応のしくみがなければ、それは不可能です。精神障がい者の家族から、そのようなしくみが求められています。24時間かけられる電話や、緊急受診できる施設の確保など、救急体制について、地域のネットワークを使ったしくみづくりが必要と考えますがいかがでしょうか。うかがいます。

 

つづいて2点目はピアサポート、すなわち精神障がいのある当事者が行う相談などの支援活動についての質問です。杉並区地域生活支援センター「オブリガード」では、有償ボランティアとして精神障がいをもつ当事者が相談対応を担っています。カウンセラーの人材としても本人のリカバリーのうえでも効果的と考えます。意識的に人材を養成して活動をさらに推進すべきではないかと考えます。いかがか、お答えください。

 

3点目、家族に対する支援についてです。家族介護の問題については以前より、高齢者や認知症をはじめとして在宅で介護を担う家族への支援を訴えておりますが、精神疾患についても同様です。この病気は思春期を中心としてその前後に発症することが多いため、親や家族には心身ともに受け入れることが難しい場面が多く発生します。家族として病気について学び、互いに理解し合い孤立することを避ける、という意味で、家族同士の交流や情報交換は重要です。

 

当区では精神障がい者の家族会が活発に活動し、先ほど述べたピアカウンセリングとはまた違った、家族による家族のための相談活動などもされていますが、他の障がい者団体同様、高齢化などさまざまな問題を抱えておられます。区はこのような活動が継続していけるよう支援すべきと思いますがいかがか、うかがいます。

 

4点目は就労についてです。昨年度、障害福祉計画の基礎調査として、障がい者の地域生活に関する調査を実施されています。それによれば、精神障がい者の就労状況は、作業所、授産施設での仕事が過半数を占め、勤めるにしてもパート・アルバイトが23%であり、常勤は11%に過ぎません。また就労生活を継続させるために必要なこととして「仕事の定着支援や職場調整などの就労支援機関による支援」と「いつでも相談できる人や場所」が多く挙げられています。

 

このような状況に対する区の見解はいかがでしょうか。区としては精神障がい者の就労に向けてどのような取り組みがされているのか、おうかがいします。

 

こころの病気をもつ人の就労や地域での生活をしにくくさせている原因として、いまだに根強い差別と偏見の存在を否定できません。

 

そこで5点目は、学校におけるこころの健康教育についてです。偏見をなくしていくには、可能な限り若いうちからこころの病気について知り、理解することが重要です。近年、精神科医療の現場でうつ病の低年齢化が指摘されているように、小学生で精神疾患を発症するケースも珍しいことではありません。

 

先にご紹介した都内のNPOの調査を再び引用しますと、「家族が病気になる前に精神疾患について学ぶ機会がありましたか」という問いに対し「なかった」との回答は87%、また「家族や本人が学校教育のなかで精神疾患について学ぶ機会があったら、病気になったときの初期の対応が違っていたと思いますか」という問いに対して「はい」と答えた人も87%、いずれも圧倒的多数でした。これを貴重な問題提起と受けとめるべきと思います。

 

中学生向け学年ごとに理解ができるよう工夫されたプログラムもあります。ぜひ学校教育のなかで積極的に取り組んでいただきたいと考えます。見解をうかがいます。

 

6点目は保健所の機能強化についてです。地域の精神保健福祉をすすめるには、精神医療の質の充実もですが、地域へ出ていく保健師の人的充実が欠かせないと、今回つくづく思いました。人の配置を含めて、保健所行政の機能強化が必要と考えますがいかがでしょうか。お答えください。

 

そして最後、7点目は地域における啓発についてです。こころの病気についての誤解をなくして正しく知り、病気にかかった人を排除せず広く受け入れる風土をつくること、そのためには理解を深める啓発事業を積極的にすすめるべきです。いかがか、見解をお示しください。

 

ちょうど1年前の、区議会第4回定例会の一般質問で私は「成年後見制度」について質問した際、精神障がい者には必ず「保護者」をつけて一生監視され続けなければならない、という「保護者制度」の根底にある差別と偏見について指摘しました。内閣府障がい者制度改革推進会議で、この精神障がい者の保護者制度については抜本的に見直す方針が出されているので、廃止は時間の問題だとは思います。

 

また、この病気にかかわる人たちからは「昔より状況はよくなった」「いまは薬がよくなったから」という話を聞きます。いまはずっといい、世の中も変わってきた、医療も進歩した、という言葉はしかし、昔がひどすぎたのだということではないのでしょうか。「社会的入院」という聞こえのいい言葉こそ使われても、その本質は封建時代と変わらない状況がついこの前まで続いていたのが、こころの病気を取り巻く現実です。「地域へ」と言いながらその「地域」に病気を受け入れる土壌がないなら、本人にとっても家族にとっても残酷すぎます。

 

しかしいま、国を動かしてこころの健康推進をはかろうという運動が全国で立ち上がっています。重要疾病への位置づけが進む動きと併せて、その運動が、国民病とまで呼ばれるようになった「こころの病気」を克服する大きな前進となるよう願いつつ、私の質問を終わります。

第4回定例会一般質問   2011.11.21 市橋 綾子

自転車のまちづくりについて          

私は生活者ネット・みどりの未来の一員としまして、「自転車のまちづくりについて」質問します。

 

私は「自動車優先社会から歩行者優先、自転車のまちづくりへ」を政策に掲げ、実現に向けて活動しています。今年の第一回定例会でも今回と同じタイトルで、主に行政の計画について質問しました。今回は、311日の震災以降自転車利用が増えていること、また先日、警察庁が自転車走行について悪質で危険な運転の取り締まりを強化するよう全国の警察に指示を出したということもあり、この時期をとらえて交通安全と自転車駐車場問題の視点から5つの項目に分けて質問します。

 

1つ目として杉並区交通安全計画について2点伺います。

杉並区交通安全計画は区長を会長とする杉並区交通安全協議会が交通事故死傷者を絶滅させることを主眼に、1971年から5年を一区切りとして策定しているもので、今回の第9次計画で40年目を迎えました。近く、第9次の計画が策定されますが、1点目の質問として、第8次計画の成果と、第9次計画の特徴は何かうかがいます。

 

2点目。第9次計画案では4年間で死亡者数がゼロ、事故発生数1,900件以下にするという数値目標が立てられています。この数値目標を達成させるためには、策定中の基本構想および総合計画に第9次計画が反映されるものと考えますが、どのように位置付けられるのか伺います。

 

2つ目。交通安全教育について伺います。

1025日、警察庁から全国の警察本部に「自転車は車両であるということを徹底する」との通達が出されました。これは「車道を通行する自転車」と「歩道を通行する歩行者」の双方の安全を確保するものであり、悪質で危険な運転に対して街頭取締りを強化していくとの姿勢は、当然のことと受け止めています。事故を起こさない、また事故に合わないようにすることが第一であり、そのためには交通ルールとマナーの習得が必要であることが過去40年間、交通安全計画のなかで言われ続けてきました。交通切符を切られて「交通反則行為を知らなかった」とならないよう、区はこれまでの交通ルールとマナーの周知方法から脱却した交通安全の教育改革とも言うべき抜本的な施策が必要と考えます。そこで6点伺います。

 

 

1点目。警察は悪質で危険な自転車走行については交通切符を切るなど、取締りを強化するとしていますが、交通切符とはどういうもので、切符を切られる対象者はどういう人か、また、現在の取締り状況はどのようになっているか伺います。

 

2点目。区は小学生、中学生、高齢者に向けて交通安全教室などを行っておられますが、今後は携帯電話やヘッドホーン、傘差し運転などが増える高校生、成人に向けた交通安全教育にも力を入れるべきと考えます。区のお考えをお聞かせください。

 

3点目。子どもは首が座ったころから母親、父親がこぐ自転車に乗っています。子どもにとって交通ルールのお手本は保護者です。小中学校の子どもたちへの交通安全教育に加えて、就学前の子どもを持つ保護者に対しても交通安全教育が必要と考えます。現状はどうなっていますでしょうか。また、今後について区のお考えを伺います。

 

4点目。子どもたちは56歳からひとりで自転車に乗れるようになります。早い時期に、「自転車安全利用五則」を通して命を大事にすることを教える必要があると考えます。自転車安全五則とは、1.自転車は車道が原則 2.車道は左側を通行、3.歩道は歩行者優先で、4.安全ルールを守る、5.子どもはヘルメットを着用、の5つですが、特に「自転車は車であること」「歩行者が優先であること」を子どもが見てすぐわかるようなポスターにして、子どもの目に触れやすい教室内や廊下、職員室の前、保健室、トイレなどに貼り、低学年の時期に教える必要があると考えますがいかがでしょうか、お考えを伺います。

 

5点目。区は区内の自転車を使用する事業者に対して、自転車の安全利用の研修を行っておられますが、この取組みをもっと拡大したらいかがでしょうか。本庁職員の皆さんが自転車に乗って移動されているのをよく目にします。本庁職員の方に向けても、また区の関連施設、出先機関などでも自転車を多く使用する方に対して研修を広げてはいかがでしょうか。伺います。

 

6点目です。東日本大震災以降自転車利用が増えています。区内の幹線道路、五日市街道で月1回、自転車の走行総数と車道走行数を定点調査している方がいらっしゃいます。朝の7時から8時の1時間で見てみますと、311日の震災前の走行数が100台程度だったのが震災直後314日には243台、4418台、5423台、6472台とふえ、それ以降コンスタントに400台以上を保っている数字を見ても、震災前の3倍から4倍に増加していること、そしてその数の6割強の自転車が歩道を走っていることがわかりました。歩行者の安全確保は喫緊の課題となっているところに、今回の警察の通達がありました。今後、自転車の車道通行が増えてくることが予想されることから、自動車の運転者はこれまで以上に車道を走る自転車に対して注意が必要です。現在、区は3台の広報車に、自転車の安全走行を呼び掛ける看板を付けて町なかを走らせていますが、この看板に、例えば「車道の左側に自転車が走っています。巻き込み注意」などを書いて自動車の運転者に対し、自転車の走行への配慮を促したらいかがでしょうか、お答えください。

 

3つ目として自転車安全走行について2点伺います。

警察庁の昨年の統計では、交通事故自体は減っているものの、自転車が関係する事故が増えている実態があります。全国の交通事故のうち、自転車が関係した事故は151626件、そのうちの84%が自動車との事故になっていること。また、歩行者との事故は自転車事故全体の1.8% 2760件ですが、そのうちの40%にあたる1039件が都内で起きていることが報告されています。

1点目として杉並区の自転車が関係する事故の数字はどうなっているでしょうか。それは都内の他の自治体と比較して特徴があるのかどうか、あわせて伺います。

 

2点目。私は自転車が安全に走るためには自転車走行レーンがぜひ整備されるべきと考えています。このたびの警察庁の通達によれば、自転車走行環境の整備のなかで、「自転車走行レーンの設置が望まれる」と書かれています。このことに対して区のお考えを伺います。

 

4つ目にTSマーク保険についてうかがいます。

区は交通ルールのパンフレットの見開き2ページを使って、自転車保険であるTSマーク保険の加入を呼び掛けておられます。自転車と歩行者との事故が増えていることから自転車側に高額な賠償請求がされる事例も聞いておりますので、自転車保険への加入を呼びかけることは必要なことと思います。しかし、現実にはこのTSマーク保険は一般的に知られていないうえ、今年私が自転車を新しく購入した際に経験したのですが、自転車商の方もいま一つ積極的にTSマークをつけるという姿勢になっていないように感じました。そこで伺います。このTSマーク保険の引き受け団体はどういった団体で、保険の内容はどのようになっているのでしょうか。また、TSマーク保険を区が勧めていくのであればもっと加入を拡げる必要があると考えますが区のお考えを併せてお聞きします。

最後5つ目として商店街の自転車駐車場、いわゆる駐輪場対策について2点伺います。

1点目。駅前の放置自転車は区の努力で減少している一方で、商店街での買い物客対象の駐輪場設置が進まないことが、自転車等駐車対策協議会でも懸案事項になっていますし自転車利用総合計画でも指摘されています。設置が進まない理由を区としてどう捉えておられるのか伺います。

 

2点目。自転車を商店街近くに停めておけないから少し離れていても駐輪場がある大型店舗に買い物に行くと言う人も少なくありません。先日、サイクリングのまちおこしを始めている埼玉県ときがわ町の例を聞きました。なかなかお客さんが商店街に留まってくれず素通りされてしまってお金が地域に落ちない、と悩んだ末に自転車問題の専門家のアドバイスによって、飲食店前に駐輪場を整備したら、食事に立ち寄る自転車愛好家が増え、地域にお金が落ちるようになったという話を聞きました。どこの商店街にも当てはまるものではないかもしれませんが、商店街の活性化につながる対策の1つとして、駐輪場の設置は大きな要素だと思います。商店街の駐輪場は、商店街が自らの力で設置すべきものと考えますが、商店街の規模も大小さまざまあるわけで、自前でできる商店街ばかりではないでしょう。商店街任せでは難しいという点も否めません。商店街に来るお客さんの交通手段を調査し、買物の金額との関連を見ながら、ニーズがどの程度、どの部分にあるかを探り当てていけばそこに駐輪場はできると専門家は言っています。協議会を立ち上げて、商店街にもっとお客さんを呼ぶ、売り上げを上げるにはどうしたらいいか、という議論から始める必要があると考えます。また、商店街の中にある大型店舗やチェーン展開している店への協力依頼は不可欠ですし、商店街を利用する人たちの問題でもあることから、その地域の町会・自治会と組んでまちぐるみで考えることが必要ではないでしょうか。そこでうかがいます。商店街が駐輪場設置に向けて取り組みを始められるよう、区として、さまざまな調査活動、場所の選定、駐輪場の運営方法などに関して後押しできることはないでしょうか、お答えください。

 

最後に2009年の道路交通法規則の一部改正で、子ども2人乗せ自転車が解禁になってから丸2年が過ぎました。街なかではチャイルドシートに子どもを乗せて元気よく走っている若いお母さん、お父さんの姿をよく見かけます。このチャイルドラック搭載自転車は子どもが自分で自転車に乗れるまでの期間、つまり5年程度の期間の使用になります。そのためレンタル方式を導入している自治体もありますが、当区ではレンタル方式をとりませんでした。この自転車はラックが重いうえ、子どもをガードするようにできているので大きく場所をとります。子どもが自分で自転車に乗れるようになると、自転車からラックを取り外す人、自転車ごと手放す人が出てくることが予想されます。ネットオークションや知り合いに譲れる人は問題ないですが、粗大ごみとして自転車やラックを処分する人も相当数出てくることになり廃棄物が増えることが考えられます。例えばシルバー人材センターでラックやラック付き自転車のリユース事業に取り組むとか、それらを自転車商に持ち込めば再販できるようなしくみがあれば、廃棄物にならずにすみます。今後の対策が求められるところです。以上、チャイルドラックおよびラック付き自転車のリユースについて問題提起をさせていただきまして、私の質問を終わります。

第3回定例会 決算特別委員会意見 2011.10.6

                                                         生活者ネット・みどりの未来 小松久子

意見開陳に先立ち、930日、関まさお議員の、思いもかけない突然の、そして早すぎたご逝去に接しまして、生活者ネット・みどりの未来を代表して心からお悔やみを申し上げ、謹んで故人のご冥福をお祈りいたします。

 

それでは、決算特別委員会に付託された2010年度杉並区一般会計歳入歳出決算および各特別会計歳入歳出決算について意見を申し述べます。

 

当該年度は、山田宏・前区長が任期を11カ月残して区政を途中で投げ出し、参議院選挙と同日で区長選挙が行われた結果、田中良区長が誕生するという、大きな転換の年でした。しかも、年度末のことし第1回定例会最終日だった311日におきた、未曾有の大震災と原発事故により、これまでの区政について、また私たちのくらしの全般について、あらゆる面から見直しを迫られるという、思わぬ展開となりました。

 

この間の我が国の経済状況を見てみますと、今年春先までは、円高やデフレ傾向が企業収益を圧迫するとともに、雇用状況も悪化傾向にあったものの、政府の景気対策や中国を中心とするアジア圏経済の回復などにより、生産や輸出には好転が見られました。しかし、春先以降は、ギリシャの財政赤字に端を発した世界的な通貨危機、米国経済の低迷、長引く円高、大幅な株価の低迷に加え、東日本大震災の被災などの影響から、いま現在、先行きの景気減速が懸念されるところです。

 

それは、杉並区においても、当該年度の特別区民税と国民健康保険などの収入未済が、一般会計と特別会計を合わせて110億円を超える、という状況からも見てとれます。生活保護などの扶助費の増大にも、それは表れています。

 

「経常収支比率が80%を超えたというマイナス要因はあるが健全な財政である」と言いきってしまうより、区の財政状況は、特別区民税の大幅な減収を基金の取り崩しや起債によりなんとかしのいだ、と見るほうが適切でしょう。

 

限られた時間ではありましたが委員会での質疑をとおし、また、いただいた資料をもとに施策の執行状況について調査を行った結果、私たち会派での賛否の判断は分かれました。一般会計ならびにすべての会計決算案に対し小松久子、市橋綾子、そね文子は認定すべきものと判断しましたが、奥山たえこ、すぐろ奈緒は、前山田区政のもとでの当該年度予算に反対とした経緯もあり、老人保健医療会計をのぞく各会計決算について不認定といたします。

 

以下、決算審査の締めくくりに当たり、時間の制約により述べられなかったことや、再確認をお願いしたいことなど、何点か絞って述べさせていただきます。

 

まず、減税基金条例についてです。他の委員の質疑の中で、減税基金条例を廃止する議案を来年第1回定例会で提案、という方針が、副区長より唐突に示されました。田中区長が、前区長の最後の置き土産ともいうべき「減税自治体構想」について、就任早々より退けようとされていることは感じとれましたし、もともと、願望にもとづく実現の疑わしいストーリーでした。条例の廃案自体はきわめて納得できる話です。ただ、この廃止に向けての手続きについては、条例違反の疑いがあることを指摘しておかなければなりません。

 

減税基金条例第2条には「区長は、基本方針を策定し、またはこれを変更しようとするときは、あらかじめ杉並区減税基金委員会に報告しなければならない」と定められています。委員会はこれまでに3回開かれ、今年は111日と74日に開かれていますが、条例の廃止ともなれば基本方針の重大な変更ですから、「あらかじめ減税基金委員会に報告」がされなければならないはずです。ところが会議録を見る限り、そのような報告がされた形跡はありません。

 

また減税基金条例には、昨年3月、区議会第1回定例会本会議において可決成立した際、議員提案による付帯決議が加えられた経緯があり、そこには「基本方針の策定、変更にあたっては、あらかじめ区民および区議会の意見を聞くこと」という記載もされています。しかし、区民および区議会の意見が聞かれたこともありませんでした。

 

「意見を聞くこと」と「報告」のいずれもなしに基本方針の変更とスケジュールが示されたことを、どう考えればよいのでしょうか。区には早急に説明を求めるものです。また減税基金委員会に対して、条例廃止の方針について報告する義務があります。

 

さて、当該年度は行財政改革「スマートすぎなみ計画」終了の年でした。ここで掲げられた、「協働化率6割」という「6割ありき」の目標設定に違和感を抱き続けた者として、これからは民託や指定管理と「協働」を分けていこうと考え直されたことに安どしています。ただ「協働と行革を一体化して総合計画を策定する」と言われたことについては、「協働」の価値がまたまた見えにくくなってしまうのでは、と危惧しています。そのようなことにならないように、繰り返しになりますが、NPOなどの活動の現場にいる人や区民を交えて「参画と協働」をきちんと議論する場を設けるよう、ぜひご検討ください。

 

質疑をとおして、公共調達のあり方の見直しが必要であることを指摘いたしました。たとえば、山田区政時代の工事の入札について、電子入札制度を利用しているにも関わらず、落札者のプロフィールや落札時期に鑑みると、予定価格とその落札率があまりにも不自然なケースがありました。議決事件の要件にわずか10万円弱下回ったこのケースは、議会報告もされないため、議会は気がつかないことになりかねません。いま区長は変わりましたが、今後は、例えば決算審議の資料として契約台帳を、しかも電子データにしたものを議会全体に提示するということが必要だと考えます。

 

入札では、学校等の工事案件の多くにほぼ100%の落札率が続く一方で、区民生活の最も近くにある地域区民センターの入札において数十の事業者が、落札めざしてしのぎをけずり、事業者は無理してでも落とす。落札率は80%程度。その経済的しわ寄せが、従業員にかぶせられ、現場は混乱、官製ワーキングプアを再生産する。そして区民サービスにも影響が及ぶ。このような状況を、いったい誰が喜ぶというのでしょうか。

 

ここで、当区における地域区民センター設置の目的と役割を原点に戻って確認し、どのような公共調達が望ましいのか考えてみてください。最低制限価格のあり方を見直そうと当局も努力されているのは承知していますが、ここに「生活賃金を保障する」という考え方を付加していくこと。そして、社会的価値の実現などいわゆる政策入札に切り替える、または仕様書や参加資格を改善することで、自治体の有する社会的責任CSR(コーポレイト・ソーシャル・レスポンスビリティー)の実現に努めてください。

 

随意契約のあり方にも問題があります。今のような情報化の時代に、「このウェブサイトはどこそこの事業者しか運営ができない」と堂々と理由に挙げて随契するという特別待遇はもはや通用しない、と認識しなければなりません。最初に依頼した事業者に、ずっとすがりきっている、このようなスキームを許しているありようについて、再考を求めるものです。次の予算に向けて、改善に取り組んでください。

 

報酬のあり方については、区長が変わった後も、改善が見られませんでした。行政委員の報酬だけでなく、校医、そして後で述べます園医などの専門非常勤職員の報酬についても、勤務実態に比して著しく不合理だと思える金額が散見されます。生活苦のため税金を納められない区民が増える中にあって、本当にこの支給額や方法でよいのか、市民目線に立ちかえって見直していただくことを求めます。  

 

さて、商店街振興策の問題として、空き店舗について採り上げ、地域の資源として社会貢献にも活用できるようなしくみを、と申しました。商店街振興策としてはこれまで、切り札となるような施策が見つからないまま、イベントに助成する元気出せ商店街事業やなみすけ商品券など、相当な額を投入してこられましたが、その成果が見えないなかで登場した長寿応援ポイント制度は、元気な高齢者施策というだけでない効果が期待されたのではないでしょうか。

 

長寿応援ポイント制度は開始から2年経過しましたが、決算審査では施策の実態を把握できるデータが存在していないことが分かりました。そのため、施策の必要性の有無や改善点を判断することができませんでした。対象者には、区民の税金を使って商品券を交付しているのですから、「なんとなく成果が出ている気がする」という感覚的な評価では困ります。客観的かつ詳細な運営状況を明らかにすべきであり、そのための調査・分析を行うことを求めます。

 

昨年、区内で里子として育てられていた3歳の女の子が家の中で死亡した事件が、里親の虐待による可能性のあることが今年になって判明しました。虐待がもし事実なら、なぜこの事件は防げなかったのか、という思いで質疑をいたしました。里親制度が東京都のしくみであることは承知しています。けれども子どもは地域の子であり、区が関わっていれば、里親への支援や里子に対する見守りがあれば子どもは死なずにすんだのでは、とどうしても思ってしまいます。まして、児童相談所の機能は区に移管される方向性が、すでに示されています。里親制度は難しい課題を抱えた制度ですが、子どもの最善の利益のために、この社会に必要な、そしてもっと広げていきたい制度です。国が人的配置などの支援策を打ち出したことは朗報ですが、区は、今回の事件を区の問題としてとらえ、2度とこのようなことが起きないよう、子育て家庭に対するサポート体制を見直していただきたいと思います。

 

認可保育園の園医さんについて質問しました。法で定められている年2回以上の健診に対し、区から直接、園医側に費用が支払われている保育施設と、委託運営費に算入して間接的に支払われている保育施設があります。質疑の中で、委託の保育施設が支払っている健診費用がいくらか、区が把握しておられないことが明らかになりました。小規模な保育室の場合、委託運営費に占める健診費の割合が多くなっている現状があり、現場では保育の質を下げない懸命な努力がされています。委託運営費を上げるか、委託運営費の中から健診費用として区が見込んでいる額を抜き出し、家庭福祉員の場合と同じように健診費用を区が支払う形態にすべきと考えます。検討を期待します。

 

つづいてごみ問題です。可燃ごみ減量の目標達成が難しい状況で、目標値をゆるめることにするとの答弁がありましたが、ちょっと待っていただきたい。可燃ごみを減らすには、その40%を占める生ごみを減らすことがどうしても必要で、その努力をしないで安易に目標値を下げることには疑義があります。委員会で提案してきたことを実験するなどして、生ごみの減量に本気で取り組んでいただきたい、と強く要望いたします。

 

放射能対策については、誰もが初めて直面する問題で、区は迷いながらも区民の不安を受け止め、意見を採り入れて、放射線量計測や説明会、また給食食材の計測等、取り組んでこられたことを評価しています。今後もホットスポットの除染作業などが加わってくると思われ、放射能対策は、正解がない中で長期に向き合わなければならない問題です。

 

そのようななか、区が、学校での放射能の教育について理解を示してくださったことに、力を得た思いです。区民を、放射能の問題を一緒に考えるパートナーとして、信頼関係を築きながら対策に取り組んでいただきたいと思います。

 

教育に関連して、消費者教育についても述べておきたいと思います。食育についての実績を拝見しますと、食と農業のかかわりについてはよく捉えられていると思うのですが、消費者として食のことを考える学習はされているのだろうか、と疑問に思いました。農業の学習や食育で、国産のもの、産直のものを選ぶ意味を学ぶのはフードマイレージの学習ですが、それが消費行動につながらなければ環境配慮にはなりません。

 

「協働」についての質疑で「いい民間を育てるのは行政の役割」と申し上げましたが、じつは行政の役割以上に「消費者の役割」だと考えます。その意味で「いい消費者」、つまり「考えて、行動する消費者」を育てることは、ぜひ教育で取り組んでほしい大事なテーマだと思います。お金の使い方、管理のしかた、一人ひとりがお金を使うことが社会とどのようにつながっているか、またお金の使い方で社会をどう動かしていけるか、などの教育に意識的に取り組んでくださることを期待しています。

 

エコスクールについてです。当区では、小中学校の改築、改修にあたり、環境負荷、エネルギー消費の低減を目的としたエコスクール化を進めてきましたが、対象となる小中学校5校全校において、改築の後、電気使用量がかえって大幅に増加していることが明らかになりました。エアコンの使用だけでは説明のつかない、大量のエネルギー消費となっています。到底「エコスクール」とは言えない状況です。今後の小中学校の改築にあたっては、エコスクール化の目的、目標を再確認し、設計の段階から抜本的に見直しを図るべきと考えます。既存の5校については、施設の運営や維持管理の中で、いかにエネルギー消費を抑えるか、その取り組みについて至急検討されることを求めます。

 

私たちは、政策決定・意思決定の場に女性が参加することが必要だと考えています。防災対策についても例外ではありません。決算審議では触れませんでしたが、資料請求で「震災救援所運営連絡会会長の性別と委員数とその性別」を伺ったところ、運営連絡会委員の男女比は1:1と同数でしたが、45か所の震災救援所のうち女性の会長はたったの1か所でした。震災救援所の責任者は高齢の方が担っている場合が多く、万一の時は不安という声が上がっています。運営連絡会の会長を2名、男女一人ずつとすべきと考えます。また、3月の震災を受け、各震災救援所の運営マニュアルを早急に見直すよう、働きかけを願うものです。

 

住民自治について一言申し上げます。「放射第5号線の岩崎橋付近の道路構造を平面とする」旨の説明会がありました。これは、都が設置した「放射第5号線事業推進のための検討協議会」が2年4カ月かけて作成した「一部トンネル案」とする提言を、同じ東京都が切り捨てたものです。これまで検討協議会の中で違う意見を1つ1つ積み上げて合意を見つけながらつくり上げた成果が、ものの見事にこわされた形です。杉並区の住民自治が踏みにじられた重大な問題だと言わざるを得ません。質疑の中で、区としても東京都に対し、何度も一部トンネル案を尊重するよう機会を捉えて求めて来られたことがわかりました。だからそこ、都が示す納得いかない理由での平面整備を杉並区は断固として東京都に抗議すべきです。

 

決算審議をとおして、「住民のご意見をお聞きしながら」というフレーズが区側の答弁で、幾度となく繰り返されました。しかしお聞きしてそれをどう生かすのか、の道筋が見えません。基本構想策定にむけて行われた区民意見交換会でも同じことが言えます。市民討議会方式の討論会自体は評価できる試みですが、参加者の意見をまとめた報告書の冊子は、基本構想策定過程でどう扱われているのか。どう生かしていくかの道筋がありません。

 

これまで区はまちづくりに区民が参加する方法を少しずつではありますが取り入れ、「どうせ意見を言ったって区が好きにやるのだから」という初期の時代から、「ともにまちをつくっていこう」という参加型市民が増えてきた矢先にこれでは、行政との信頼関係はゼロ、参加意欲を失墜させるものです。

 

住民自治は、市民がつくる提案を区の計画や条例に生かす道筋が必要です。そのためにはさまざまな場面での合意形成のしくみを整備していかねばなりません。地域のことは地域が決める、大事なことは市民が決める、そういうまちづくりのしくみをつくっていくことが、住民自治を進める基盤になります。

 

エネルギーの問題も、自治の問題としてとらえることが必要です。原発は安全でもなければコストが安くもない、ひとたび事故がおきれば温暖化防止どころか膨大な量の処分不能な核のごみを生み出し続ける、巨大モンスターです。原発に依存する社会に未来はありません。国の脱原発政策の一進一退に惑わされることなく、杉並区は脱石油・脱原発に向けてしっかりと目標を定め、地域エネルギー政策を推し進めていくべきです。

 

最後になりましたが、決算審査にあたり資料の調整に尽力くださった職員のみなさまには、この場をお借りしてお礼申し上げます。今後の政策提言に生かしてまいります。

 

以上をもって、生活者ネット・みどりの未来の意見といたします。

第3回定例会一般質問  2011.9.12 そね文子

私は生活者ネット・みどりの未来の一員として、子育て応援券について、子どもの給食の放射能対策について、以上2点、質問いたします。

《子育て応援券について》

子育て応援券事業は、育ての不安感や負担感を解消し、親の子育て力を高める」「子育てを応援するまちをつくり、地域の子育て力を高める」という目的を掲げ、20076月に始まりました。時保育、子育て講座、親子参加行事などの有料の子育て支援サービスに利用できる券(チケット)を、就学前の子どもがいる家庭に交付し、サービスの利用を促すものです。生活者ネットワークはこの制度が、その目的にそった効果的な事業に育つことを願って、これまでもさまざまな提案をしてきました。

 

当初は区内在住の0歳から2歳までは6万円分、3歳から未就学の5までの子どもに3万円分の応援券が無償配布されました。その後2010年に子ども手当が導入されたのを受け、同年10月からは、3000円で1万円分の券が購入できる、つまり7,000円のおまけがつくという制度に変更されました。併せて、試行としてサービスを利用するきっかけにと、出生時に申請した人に応援券10,000円分が無償配布されています。

 

20114月に区は子育て応援券に関する意識と利用状況の実態などを把握するため、その利用者3000人と出生時無償応援券の対象者200人を対象にアンケート調査を実施しました。

先ごろ私どもも報告書をいただきましたが、利用者820人と出生時無償応援券対象者61人からの回答があり、また同時期に実施した870の応援券登録事業者へのアンケートには529事業者からの回答があった、と書かれていました。これらの調査結果から、以下、○点質問をします。

 

まず、区はこのアンケート結果全体を通してどのような感想をもたれたのでしょうか、またこれまで実施されてきた応援券事業の成果をどうとらえておられるのか、伺います。

 

利用者アンケートでは85.6%の利用者が「地域の様々な人と関わったり、外出のきっかけになっている」と答え「子育てに疲れたり、悩んだときの支援として役に立っていると思いますか」の設問に対し「思う・やや思う」と87.6%の利用者が答えています。目的と照らし合わせて効果が出ているものと理解しますが区の認識はいかがでしょうか。

 

子育て応援券は昨年11月の事業仕分けの対象になり、廃止を含めた抜本的な見直しが必要という評価を受けました。しかし、719日に行われた子育て応援券推進懇談会を傍聴したところでは、今後も継続して行くことが前提で議論がされていました。区では今後、子育て応援券を継続なさるのか、継続されるのであればどのような形で継続されるのか伺います。

子育て応援券の申し込みは年3回締め切りがあり、その都度、購入金額の上限が設定されています。無償だった時には1度申請すれば、年度初めに一括で応援券が届いていました。子ども手当と連動しているからですが、1回に入金される子ども手当の金額で十分払える額なのですから一括購入もできればありがたいという声を聞きます。また申し込んでから券が手元に届くまでに、長いときは半年待たなければならないことも改善の余地があると思います。手続きを簡素化し使い勝手を良くする工夫はできないのでしょうか。うかがいます。

 

出生時に申請した人に無償配布されている10,000円分の応援券は、今年9月までの試行とされています。しかし、最初の敷居を低くし応援券に触れるために、このサービスはぜひ続けていただきたいと考えます。試行ではなく本格実施すべきと思いますがいかがでしょうか。

 

この無償応援券は先ほども述べたように、出産直後に申し込みをすると、3ヶ月から7ヵ月後に受け取ることになります。核家族化が進み、出産を身近に感じることがない環境で育った多くの女性にとって、出産は遠い出来事となりました。お産をして自宅に戻った直後の一番大変な時期にヘルパーに来てもらってサポートを受けたり、母乳相談や育児相談に利用したりするためには、応援券を手にするのが3か月から7か月たってからでは遅いと考えます。先の利用者アンケートでも「産後で慌しく、体調を崩していたりで申し込みそびれてしまった」という意見があり、一番使いたいときに使えなかった不便さを訴えていました。よい制度であるのに使えないのではとても残念です。

 

また、妊娠中から地域の妊婦や母親と知り合い、情報交換の場に参加して、子育て応援券の利用についても情報を得たりすることができたら、それは産後の大変な時期を乗り切る大きな助けになる、という話を聞いています。とくに第1子を出産予定の妊婦にとっては、出産前から支援サービスが利用できれば、出産に備える心の準備の助けになりどんなに心強いことかと思います。第1子のときには、例えば母子手帳と一緒に無償応援券を配布することはできないでしょうか。区の考えをうかがいます。

 

サービス提供事業者の登録状況の推移を見ると、子育て応援券事業が始まった2007年には登録事業者が429であったものが今年4月末現在では870と倍以上に増えています。その内訳で、特に任意団体と個人の事業者が倍以上に増えていることに注目しています。これは親自身の中からサービス提供者になる人たちが現れるなどして、区民主体の多様な子育て活動が広がったと考えられるのではないでしょうか。

 

そう考えるのは、私の友人が子育て応援券の制度があることで事業を始め、それを見た人たちが自分たちでも何か始める、という形で子育て支援の輪が広がっていく現場を、私自身が利用者として実際に見てきたからです。そして、子どもを持つ母親が「自分にとってあったらいい」と考えて企画した子育て講座、例えば子どものアレルギーにも対応した食事作りの講座、予防接種を様々な視点からとらえ考えるための講座、子どもと母親を育てる絵本の講座とその後の参加者同士の意見交換と交流などに私も参加し、そこで知り合った友人や得た情報が自分の子育ての大きな支えになるという経験をしてきました。

 

子育て中の当事者が事業を起こし応援券事業者になる、そういう事業者が増えるということは「子育てを応援するまちをつくり、地域の子育て力を高める」という応援券事業の目的に沿うものだと考えます。区の認識はいかがでしょうか、うかがいます。

 

推進懇談会でも指摘されていましたが、応援券が音楽教室や英語教室などの習い事に使われるケースがあって、本来の目的からしても税金の使いみちとしても疑問の残ることも認識しています。そういうケースに関しては、目的と趣旨をいま一度確認して精査することも必要だと思います。また、つねに公平な目で応援券事業を評価するしくみは必要でしょうし、そうすることで区民の理解や信頼も得ることができます。この事業が杉並の子育て力を押し上げるしくみとして大きく育って行くことを応援したいと考えています。続いて、2番目の項目、子どもの給食の放射能対策について質問いたします。

 

《子どもの給食の放射能対策について》

311日の福島原発事故から11日で半年が経過しましたが、未だに収束の見通しが立っていません。823日、衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会の質問に、政府は福島原発から出た放射性セシウム137は広島の原爆の168個分という報告をしました。東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授の研究では、放射能の1年後の残存量が原爆は1000分の1に減るが、原発は10分の1にしかならないとされています。杉並区議会では、第2回定例会において全会一致で「福島県及びその他地域のこどもに対する放射線被曝量『年間1ミリシーベルト』基準の遵守を求める意見書」を採択し、政府に提出しました。でも未だに、福島県では1ミリシーベルトどころか5ミリシーベルトを超える高線量地域に子どもたちが住み続けさせられています。

 

1986年に過去最悪と言われた原発事故を起こしたチェルノブイリでは、事故3年後に年間5ミリシーベルトを超える地域には人が住んではいけないとされ、人は強制移住させられました。そのような状況下に、いま日本の子どもが置かれています。

 

私は先日、『チェルノブイリ・ハート』というドキュメンタリー映画を観ました。映画の中で、原発から80Kmから100Km離れた地域の産婦人科医の話では、事故後16年を経て、健常に生まれてくる赤ちゃんは15から20%しかいないと言っています。ベラルーシでは原発事故後、障がいを持って生まれてくる子どもが明らかに多いのにも関わらず、放射能との因果関係は証明されないということで、統計にはなにも出てこないということす。

 

現長野県松本市長の菅谷昭さんは、医師としてチェルノブイリで被災地の子ども達の小児甲状腺がんの外科治療を中心に5年半の医療支援活動を行ってきた方です。その菅谷市長が、内部被曝の恐ろしさを「放射能は体に入ってからでは遅い」ということで、子どもの給食に使用する食材の放射能ゼロを目指す方針をとり、放射性物質が検出された地域の食材使用の制限をしています。

 

さて、これまで杉並区が区民の強い要望を受けて、すべての小中学校、保育園、幼稚園、子供園、公園で放射線の計測を実施されたこと、また第2回定例会で要望した放射線の説明会を4回、シンポジウムを1回開催されたことを評価しています。説明会の開催時間が平日の昼間で、出にくいという意見を受けて、区は一昨日、910日土曜日に追加開催されました。10日の説明会では、以前とは違って質疑に1時間半をあて、区民からの意見を真摯に受け止めてくださったと評価するものです。しかし、730日に開かれたシンポジウムには私も定員いっぱいで入場できず、あとからホームページでシンポジウムの動画を見ました。率直に申し上げて、杉並区が顧問にお願いした加藤和明氏と国立がん研究センターの津金昌一郎氏の、心配しすぎることの弊害が大きいという発言に区民は、上から安心を押し付けられたような思いを抱いたのでは、という感想をもちました。また、会場との質疑応答が紙に書かれたものを通してだったことは残念でした。シンポジウムは私たちがこれから放射能とどう向き合っていくのか、放射線の被ばくからどうやって子どもを守るのか、参加者とパネリストが一緒に対話をしながら考える場であってほしいと願うものです。

 

生活者ネット・みどりの未来は、他の会派にも呼びかけて、放射線説明会とシンポジウムの追加開催に加えて、シンポジウムの進行にあたって「区民の立場に立って伝える」コーディネーターの設置などを求める要請を行いました。ぜひ検討をお願いいたします。

 

小金井市では、チェルノブイリで原発事故が起こった後、市民からの陳情で放射能測定器を購入し、それを市民団体の連絡会が共同で管理、使用し、維持費は市が負担するという、市民との協働のしくみを取り入れてきました。杉並区でも区と区民が協力して除染活動をするなど、信頼関係を築きつつ共に放射能対策に取り組むことを望むものです。

 

放射線の説明会では、これから大量にでる放射線が高いと思われる落ち葉をどうずるか、実際に見つかったホットスポットの除染をどうするか等について話がでました。そして学校の給食の放射能汚染対策について多くの参加者から質問がありましたが、これから、この杉並区で問題になるのは食べ物を通して放射性物質を体内に取り込んでしまう内部被曝の問題です。

 

今定例会では、「ゲルマニウム半導体検知器」の購入にかかる経費が補正予算に計上される予定です。いま実施されている空間線量の測定と結果の公表は安心と信頼につながりましたが、今回予定しているのは水、食品、土壌の放射線を計測できる、非常に精度の高い機器ということで、大いに評価するものです。この件に関連して、以下、質問いたします。

 

1点目です。区はこれまで一貫して食品の放射能検査をする予定はないと言ってこられました。しかし今回購入を決断されたのはどのような判断によるものだったのか、おうかがいします。

 

次に、2点目としてその検知器について、具体的にどのようなものかうかがいます。性能、機械の特徴、耐久性、メンテナンスの必要性など、お示しください。またどこに設置し、誰がどのように扱うことになるのか、質問いたします。

 

この検知器は受注を受けて作られるもので、設置までに時間がかかると聞いています。実際の設置時期はいつになるのか、3点目としてうかがいます。

 

4点目です。消費者庁が自治体向けに放射能検査機器の貸し出しをすることになり、独立行政法人国民生活センターを通して10月から行なうと発表しました。区は承知しておられるでしょうか。機器設置までの間、区内での放射線計測のため、貸し出しの申し込みをする予定があるか、うかがいます。

 

5点目です。新しく導入する検知器を使って食材の放射線量を計る場合、検査には時間がかかるため、1日3検体までしか計れないと聞いています。けれど区民から要望が殺到することもふくめ、検体は無限に出てくる可能性があります。検査の進め方について方針あるいは計画を立てる必要があると思います。どのような計測の方針を立て検査を進める予定でしょうか。

 

うかがって、子どもの給食に関連して質問いたします。以下、学校給食と併せて保育園等の給食も対象として前提にあることを予め申し述べておきます。

 

さて、放射能汚染された稲わらを食べた疑いのある牛肉が、杉並区でも学校給食で使われたことが報告されました。このことからもわかるように、今の国の検査体制では、流通している食材を使用するというだけでは安心は保障されません。保護者から特に心配の声の多かった牛乳については区が販売業者に要請し、9月の学校給食に間に合うように自主検査をすることになったとのことですが、その経過報告や検査結果について、ぜひ公表していただけるよう求めます。

 

秋からは主食の米が徐々に新米に切り替わるため、放射能汚染が心配されます。主食である米の放射能対策を優先的に計測するべきと考えます。区の見解はいかがかうかがいます。

 

一回の食事で大きな割合を占める米が、ほかの食材と同じく放射性セシウム500bqという基準値であることが保護者の不安を大きくしています。放射線量の低い地域のコメを使ってほしいと望む保護者を責めることはできないと思います。機器が据えられて放射線量計測を区が行えるようになるまでの措置として、文部科学省が発表した土壌の放射能汚染地図を参考に、子どもの給食に汚染が少ない地域の米を仕入れていただくことは可能でしょうか。区の考えを伺います。

 

杉並区は、衛生試験所を自前で持っている数少ない自治体のひとつとして、試験所という資源を有効に活用し、検査で得られた情報は他自治体とも共有すべきと考えます。検査データの公表は不可欠と考えますがいかがか、おうかがいします。

 

ところで、財団法人食品流通構造改善促進機構(以下、食流機構とします)という団体があるのをご存知でしょうか。農林水産省のもとに設立された公益法人で、食品の放射能検査データをサイト上で検索可能な形で公表しています。厚生労働省が公表した『食品中の放射性物質の検査結果について』をデータベースに、逐次情報は追加されています。私は偶然このサイトを見つけ、団体に直接電話してそのサイトのしくみについて詳しく聞きました。

 

もし杉並区が食品の放射線検査を行った結果を東京都に報告すると、そこから厚生労働省にそのデータが送られ、厚労省から食流機構に食品の検査結果が送られます。食流機構では例えば東京都杉並区産のジャガイモの検査結果をデータベースに蓄積し、ジャガイモと検索すればこれまで計測されたジャガイモの検査結果が〇〇県○○市ではどうだったという数値が一覧表で見られるという仕組みです。これは今食材の放射能汚染を心配する者にとって一番欲しい仕組みだと考えます。放射能の汚染は、岩手県の一部より福島県の一部の方が線量の低い地域もあるように、斑に分布しています。このような検査結果を知らされないがために、一部の地域で汚染が確認されると、その県全体の産物を買い控えるのが風評被害です。風評被害を防ぐため、有効なデータベースとするための情報提供のために、杉並区の給食食材の産地を市レベルまで明らかにすることを事業者に要請し、放射線の検査結果を公表されることを強く望みます。

 

そして、生活者ネットワークが議会質問でもとり上げてきた食品の表示制度と併せて、食品の産地公表のあり方を見直し、野菜やコメがどこの市区町村でとれたものなのかがわかる仕組作りを国が危機感を持って早急に進めることを、区からも要望していただけるよう、要望いたします。

 

また、先の第2回定例会でも質問として取り上げましたが、放射能の説明会だけでなく、現在保健所が取り組んでおられる「食に関する意見交換会」のような場で、食をめぐる放射能汚染問題もとりあげていただきたいと思います。放射能をテーマとした保護者、学校関係者、栄養士、給食調理員、食材の生産者など、給食に係る全ての人がそれぞれの立場から意見を述べ、情報交換できる場が必要です。現場に携わる方には、様々な立場の方の考えや状況を理解したうえで、出来る限り子どもを守るための給食の実現に努力されることを要望するものです。

 

では、最後の質問です。これから支出することになる検知器導入の費用や、区のこれまでの計測にかかった費用はすべて福島第一原発の事故のために発生したもので、区民の貴重な税金が使われています。これらの費用は、原因を作った東京電力及びそれを推進してきた国に請求すべきと考えますがいかがか、うかがいます。

 

原発推進のための情報操作、情報統制、情報隠しが次々に明らかにされてきました。福島第一原発の事故は当初、津波で電源が失われ冷却機能を失ったためとされていましたが、ある原発設計者の話では、津波ではなく地震で圧力容器そのものが破損した可能性が高いこと、しかしそれを確かめる手段もないということでした。野田新総理は原発廃止を40年後とし、それまではしっかり安全を確保して原発を再開するとしていますが、この地震大国で安全を確保することはそもそも無理です。

 

今夏、東京電力管内で稼動していた原発が2基であった8月9日、東京電力は200万キロワットを東北電力に融通すると発表しました。7月下旬に東北地方で大雨のため水力発電所が甚大な被害を受け停止を余儀なくされ、8月に入り管内の気温上昇で冷房使用が増え電力需給がひっ迫したという理由でした。200万キロワットとはちょうど原発2基分の発電量ではなかったでしょうか。電力は夏のピーク時に合わせてつくられるとされていますが、明らかに夏のピーク時も原発なしで十分にやっていけることが証明された出来事でした。

 

これまで私たちが追い求めていた豊かさとは何だったのか、改めて問い直したい思いです。リモコンを押せば直ぐにテレビがつくこと、ボタンを押せばすぐに熱いお湯がでること、リモコンがついた家電が増え、ちょっとした便利さのための待機電力に原発4基分の電気が使われています。これが本当に必要なのか、福島の故郷を奪われた人や、外遊びができなくなってしまった子ども達の立場で考えたいと思います。電力使用制限令が解除になったからと言って元に戻す必要はないと考えます。経済的な豊かさのために命を縮める人、永遠に故郷を失う人、労働で被爆する人がいる。それを幸せな社会とは呼べません。放射能汚染の根本原因を取り除き、子どもたちに安心して食べ物を与えられる、生活の基本的なことが保障された社会を次の世代に渡すために、行政と区民がともに脱原発を強く進めましょうと申し上げ、私の質問を終わります。

 

第3回定例会一般質問  2011.9.12 市橋綾子

男女平等の推進について              

 

私は、生活者ネット・みどりの未来の一員として、「男女平等の推進」について質問します。

 

311日に起きた東日本大震災がもたらした被害は、多くの人の命を奪い、生き残った方たちの生活すべてが破壊されるという甚大なものでした。津波と原発事故により、震災のあった日から長い人で半年以上も避難所での生活を強いられているという現実のなか、あらためて避難所運営やボランティア支援のあり方が問い直されています。私ども生活者ネットワークでは、「内閣府中央防災会議専門調査委員」でもあるNPO法人イコールネット仙台 代表理事の宗片恵美子さんをお招きして被災者支援の学習会を開き、お話をうかがいました。

 

災害発生直後の避難所では、食糧など緊急課題への対応が最優先になるのは当然ですが、それでも先送りできない女性特有の問題が生じます。昨年2月の第一回定例会での一般質問でも申しましたが、今回も避難所では女性への性暴力やDV被害をはじめとする女性ならではの悩み、例えば避難所では着替えもままならず、毛布にくるまっての着替え、人の目の多い避難所で若い母親が被災のストレスに加え、授乳や子どもの夜泣きに気兼ねをするといった新たなストレスなどは無視されてしまうことなどが報告されていました。

 

こういう状況は被災者自身からはなかなか語られないためときに行政は「声がないのでニーズがない」とすることがあります。性暴力は重大な犯罪ですが、被害届を出さなければ犯罪として扱われず闇に葬られています。避難所生活が長引くにつれ、こうしたきめ細かなニーズを拾うことができる人材が求められます。私は、かねてから「防災計画の策定に女性の参画が必要」「震災救援所運営責任者に女性も位置づけるよう女性のリーダーの育成を」「震災救援所の運営責任者への支援」などを提案してきましたが、この学習会に参加して、避難所運営責任者に女性を置く必要性をあらためて確認しました。

 

さて、2008年、我が国の災害対策の根幹をなす防災分野の最上位計画である「防災基本計画」が修正されました。それまで「女性の参画」とだけしか書かれてこなかった箇所に、「男女双方の視点に配慮した防災を進めるため、防災に関する政策・方針決定過程および防災の現場における女性の参画を拡大し、男女共同参画の視点を取り入れた防災体制を確立する必要がある」、また、「地方公共団体は、避難場所における生活環境に注意を払い、常に良好なものとなるよう努めるものとする。また、避難の長期化等必要に応じてプライバシーの確保、男女のニーズの違い等男女双方の視点等に配慮するものとする」という記述が加えられました。それから3年が経過しましたが、区の防災体制は男女双方の視点を取り入れたものになっているのだろうか。「男女共同参画都市宣言」を掲げた杉並区なのにどうして地域防災計画を決める31人の防災委員のほとんどが男性なのか、と探っていくうちに、防災に限らず区が行う施策に男女共同参画の理念が浸透しきれてないのでは、という思いが湧いてきました。そこで今回、防災の視点をからめながら男女平等の推進について5つの柱をたてて質問をいたします。

 

まず4点伺います。

1点目。「男女共同参画社会」とはどういう社会を指すのでしょうか、区の認識を伺います。2点目。杉並の「男女平等推進センター」は「男女平等」が使われています。しかし、当区の施策では「男女共同参画」が使われています。本質的には「男女平等」だと思うところですが、男女平等と男女共同参画の違いは何か、をお示しください。3点目。1997年に「杉並区男女共同参画都市宣言」を行った背景と、この宣言をつくることで何をめざしたのでしょうか。伺います。4点目。これまで当区が進めてこられた男女共同参画事業の評価、そして課題はなにかお示しください。

 

次に2つ目の柱、国の第3次男女共同参画基本計画との関連で2点伺います。

昨年12月、国は第3次男女共同参画基本計画を策定しました。この基本計画は男性と女性が対等なパートナーとして社会に参画することをめざした法律「男女共同参画基本法」に基づき策定されたもので、2000年に最初の基本計画が策定されて以来、5年ごとに評価・総括をし、今回第3次の基本計画となっています。毎回、「政策・方針決定過程への女性の参画の拡大」を筆頭に、「社会制度・慣行の見直し」「意識改革、雇用等の機会均等」など、重点分野が示されていますが、今回、これらに加えて「男性、子どもにとっての男女共同参画」「貧困など生活上の困難に直面する男女への支援」「地域、防災・環境その他の分野における男女共同参画の推進」「科学技術・学術分野における男女共同参画」「高齢者・障がい者・外国人等が安心して暮らせる環境の整備」の5分野が挙げられました。

 

そこで1点目の質問です。今回、国が新たに提示した重点分野は、杉並区にとっても重要な課題と考えます。区として、これらをどう捉えておられるのでしょうか。また、今後どのように施策に反映させていかれるのでしょうか、お示しください。

2点目です。国は毎年、男女共同参画社会白書を発行していますが、2004年に起きた中越地震以降毎年、「新たな取組を必要とする分野」として「防災」が挙げられてきました。しかし、当区の男女共同参画行動計画にはこれまで「防災」に関しては入れられてきませんでした。なぜ入っていないのでしょうかお答えください。

 

今回の震災で、被災地の女性たちは、家財道具がヘドロをかぶり、足の踏み場のない我が家を見て、目の前の出来事を信じたくないという思いで、家に入るどころか、近づくこともしない状況にありました。やっとの思いで家の中に入ったとしても体が動きません。なんとかしなくちゃ、わたしがなんとかしなくちゃ、でも頭も体も動かない。当然だと思います。その女性たちが避難所で炊事を任され、朝5時に起きて夜まで100食を3回つくり続けているのです。3か月も4か月も、そしていま半年が経ち、すっかり疲弊しきっています。地震でやっとの思いで助かった人たちが避難所生活の中で亡くなることがこれまでの震災でも報告されていますが、亡くなる方のうち女性の数が男性よりも多いということがこれまでも報告されています。

 

また避難所の責任者の多くは男性で、女性たちが声を出しにくい事柄だったり、あるいはやっとの思いで申し出たとしても要望がなかなか伝わりにくい、理解されないという事例を多く聞いています。私もボランティアで被災地を2回訪ね、ヘドロで汚れた食器や炊事道具を洗い、瓦礫撤去後の川の清掃、草刈りをしてきました。被災地では当時水が出なかったため、私たちがタンクに入れて持って行った水で下洗いしかできませんでしたが、それでも被災した女性たちは片づけの目途が立ったと言って、ほっとした表情を浮かべていました。真に必要な支援によって、被災した女性たちは次に向かって歩き出すことができるのですが、自ら「自分の家のあと片付けをしてほしい」と言えない状況があるのです。

 

そういう女性への支援が必要であるにもかかわらず、避難所の男性責任者から「女性支援のためのボランティア」への理解がなかなか得られず、「なぜ女性に限っての支援なんだ。だめだ」と拒絶され、理解を得るまで説明と説得に長い時間を費やしたこと、このような避難所は1つや2つではない、ということが、日本弁護士連合会主催のシンポジウムでも語られていました。男性からの声だけではなく、女性からの声も届きやすいしくみをもった避難所づくりが必要なのです。これでこそ男女平等の推進ではないでしょうか。

 

特に杉並区の人口は女性の方が2万人も多いのです。これから高齢化が進むにつれ、女性の割合はもっと高くなっていくはずです。防災を考えるとき、そのことを前提とすることが必要ではないでしょうか。避難所の責任者に女性を入れることをはじめとして防災施策に女性の視点を入れるよう担当課としても声をあげていただきたいと、あらためて要望します。

 

3つ目の柱として男女平等推進センターについてうかがいます。

先日、横浜市男女共同参画推進センターが防災ガイド「わたしの防災力ノート」を作成したことを知り、お話を伺ってきました。センターが多くのNPOをはじめとする市民グループ、企業、行政の参加で、女性の視点を生かした「わたしの防災力ノート」をつくり、地域の町会・自治会の集まり、防災訓練、消防団や地域の防災員の集いなどに向けて、これまで2000人の男女に出前学習会を行っています。

横浜市に3館ある男女共同参画推進センターは、それぞれが担当課と月1回の連絡会議を持ちながら、地域のネットワークづくりや男女共同参画の積極的推進を促す事業を進めています。キーワードは「地域」。女性の視点で自分が住むまちのリスクを点検するなど、まちづくりへの参加も視野に入れた事業を行っています。お話のなかで、男女共同参画は地域づくり、まちづくり、仲間づくりです、とおっしゃっていたのが印象的で、杉並の男女平等推進センターの建設に向けた講演会で、国立女性教育会館の館長をされていた志熊敦子さんが「センターができたら地域の掘り起こしをするのが一番大事」とおっしゃっていたことを思い出しました。

 

すでに横浜市では国の第3次基本計画に基づいた行動計画を策定済みということもありますが、センターの機能が当区と全然違いました。横浜市のセンターは公益財団法人男女共同参画推進協会が指定管理者として運営を担い、講座・セミナーの企画、NPOや市民グループ、企業、学校、行政機関等との協働事業、情報収集と提供、広報、調査研究・事業開発、その他は当区と同じように相談事業と施設管理運営事業を行っています。

男女共同参画の課題解決につながる講座・セミナーが多彩なプログラムで展開されていました。

当区はどうでしょうか。「男女平等推進センター」は1997年に児童青少年センターと併設でオープンしました。2007年からは相談事業をNPOに、受付、図書類の管理と貸出、会議室の貸出業務を株式会社に委託しています。

このたび出された国の第3次基本計画では「男女共同参画センター・女性センター等の機能の充実・強化」が掲げられていますが、当区のセンターは果たして「機能」を果たしていると言えるのでしょうか。残念ながら単に入れ物として存在しているようにしか見えません。

 

そこで3点おたずねします。

1点目。男女共同参画を推進するうえで、当区のセンターはどういう位置付けにあるのでしょうか、うかがいます。2点目。区とセンターは一体となって、地域のネットワークづくりや男女共同参画の積極的推進を促す情報発信を行っていくことが重要だと考えますが区のお考えをうかがいます。その場合、センターのあり方についての見直しが必要と考えますがいかがでしょうか。お答えください。3点目。センターの立地についてうかがいます。センターは、徒歩ですと丸ノ内線南阿佐ヶ谷駅から15分、JR荻窪駅から20分の住宅街の中にあり、高齢者や障がい者、お勤め帰りの方、ベビーカーを押す人にとって、立ち寄りやすい場所にあるとは言えません。よりアクセスの良い場所への移転を求める声を私どもに頂いています。センター機能の充実・強化が求められるなか、だれもが立ち寄れるセンターにする工夫が必要だと考えますが、区としての見解を伺います。

 

4つ目の柱、「男女共同参画をめざす杉並区行動計画」について2点うかがいます。

当区の行動計画は、今年331日までを計画期間としていましたが、その後改定されないまま半年が経過しました。男女共同参画社会の実現に向けて、次の行動計画を早急に策定すべきと考えますが、策定の予定はどのようになっているのでしょうか。うかがいます。2点目です。行動計画を着実に推進していくためには目標の数値化が必要と考えます。当区では、保育所数や高齢者施設の定員数、各種審議会等の女性委員の比率などは数値で目標設定されていますが、これに加えて男女共同参画に向けて「めざす姿」を打ち出し、それに向けた具体的な、例えばワークライフバランスに取り組んでいる企業の割合や男性育児休業取得率など、目標数値を示すことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。また、目標達成に向けて進行管理と評価が重要になってきますが、現在の進捗状況調査報告書では「何なにを行った」しか見えてきません。実施したことが目標に照らしてどうだったのか、という評価が必要と考えますがいかがでしょうか。お答えください。

 

今回取り上げた男女平等というテーマは新鮮味がなく使い古された感がありますが、今回取り上げた避難所で女性が置かれた状況を見ても、「子育て・介護」の現状から見ても、相変わらず女性が抱える問題であり、いまだに不平等な状態にあるのが現実です。「男女平等」は意識して取り組まねばならない重要なポイントです。

 

そこで今回の質問の最後に、現在策定中の新基本構想に関連してうかがいます。

前に述べましたように、男女平等は、私たちの暮らしに密接な子育て、介護、防災、まちづくり、教育、環境、くらしなどあらゆる所管との連携や全庁的な体制が必要であり、男女共同参画推進の担当所管だけでは進みません。いま、区では新基本構想策定作業が行われていますが、男女共同参画というテーマが議論されることが少なかったように思います。基本構想、また、総合計画の策定にあたっては「男女平等」を意識的にしっかり盛り込んで施策化するべきと考えますが、区としてのお考えはいかがでしょうか。お考えを伺って質問を終わります。

 

第2回定例会小松久子の質問と答弁 2011.6.15

<新基本構想について>

【Q】 ● 6月4日に開催された区民意見交換会の開催の目的、またこの手法を使った経緯を伺う。

    

【A】  区民と共有する目標となる、新たな基本構想づくりには、多様な区民の意見を聴きながら進めることが何よりも重要です。そうした考えに立ち、昨年11月には区民アンケートを実施し、約5千人という、これまでにない多くの方々からご回答をいただきました。しかし、回答者の約7割が60代以上で、基本構想審議会でも、若い世代の声をさらに聴取すべきとの意見があり、これを踏まえて、本年2月に転入・転出者に対する追加アンケートを行い、30代以下が約8割を占める約1千人の方から回答をいただいています。

     こうした取組に加え、今回は、住民基本台帳から無作為抽出した区民が少人数での討議を行うという、区民参加の新しい手法を区として初めて採り入れ、意見交換会を実施しました。

     意見交換会では、若い方から年配の方まで、バランスのとれた区民の方々による自由闊達な討議が行われ、建設的で多様な意見が出されたところです。改めて杉並区民の意識の高さ、区政に対する大きな期待と熱い思いを感じ取ることがきました。また、参加したほぼ全員の方から、今回の試みを高く評価する意見が寄せられており、有意義な取組だったと思います。

  

【Q】 ● 参加者の人数や、属性、年代などの状況、実施の概要を伺う。

  
実施してみての区の感想はいかがか。成果と課題は。また参加者からどのような意見がだされたのか。

  
各グループから出された意見を基本構想にどのように生かすのか。

  
この手法は、今度の区政の課題について、区民意見を聴取する場合にも使えるのではないか。今後、実施する

意向はあるか。

  
問題は、出された意見をどのように生かすかということである。区の考えを伺う。

  
昨年秋の区民アンケートやこのたび募集した団体意見、審議会での議論など、さまざまな意見が寄せられているが、どのように生かしていくのか伺う。

  
区民の基本構想に寄せる意見は多様で、それらすべてを反映させるのは不可能であるが、今後策定する分野ごとの計画に反映するのは可能と考えるがいかがか。

  
基本構想づくりのための、子ども・若者の意見聴取をどのように実施する考えなのか伺う。

 

【A】  無作為で抽出した区民1,000人のうち77人の参加があり、内訳は女性が29人、男性が48人で10代から70代まで、全体としてバランスのとれた構成でした。

当日は、参加者が4、5人の班に分かれ、まちづくり、環境、健康、子育て、そして教育などのテーマを討議し、その結果を発表しました。進行は、参加者の自主性を基本に進め、また、3つのテーマごとに班のメンバーを入れ替えて行いました。

 実施後の感想、成果と課題ですが、若い世代から高齢者まで多様な視点からの活発な討議が行われたこと、また、参加者のほぼ全員から意見交換会を通じて区政への関心がより高まったとの意見が寄せられていることなどから、初期の目的は十分達成することができたと思います。その一方で、もう少し討議の時間をとれなかったのか、などについて工夫・改善すべき点もあったと考えています。

 今回の試みは大変意義あるものであったと考えています。今後、どういう場面で採り入れていくか、検討していきたいと思います。

     次に、今回の意見を新たな基本構想づくりにどう活かしていくかですが、その都度、基本構想審議会に報告し、審議の参考にしており、審議会での活発な議論につながっています。なお、意見交換会は、別途、報告書を取りまとめ、公表していきます。

     また、これらの意見は、庁内でしっかりと共有し、今後の様々な計画策定の参考にしていきます。

     子ども・若者の意見聴取は、基本構想審議会の進捗状況等を見ながら考えていきます。

<新しい公共支援事業について>


【Q】 ● 内閣府が推進する「新しい公共支援事業」のため、2年間の時限事業費として、都に5億7400万円が交付された。区は、この事業をどのようにとらえ、どのように進めていくのか。今後のスケジュールと区の考えを伺う。

    
都の意向では、提案されている4つの事業のうち、「新しい公共の場づくりのためのモデル事業」がメインになるという。この事業の概要について、事例を挙げて説明いただきたい。

    
新しい公共支援事業は、区の「協働」に対する認識が問われるものと考える。この事業の実践を通して、区とNPO等との対等な関係を築くことが望ましいと考えるが、区の見解を伺う。

    
この事業の推進は、区政全体にわたる政策的な課題でもあり、政策経営部企画課が所管するべきものと考えるが、いかがか。

    
昨年秋の区民アンケートで、「協働の地域社会づくり」に「参加したい」と答えた人が8割を超えた。区民のこのような意見を生かすために、区としての積極的な取り組みが望まれるが、区の見解を伺う。

 

【A】  「新しい公共支援事業」は国が2年間の時限措置として、NPO等の活動基盤整備などの支援等を行うことにより、新しい公共の担い手となるNPO等の自立的活動を後押しするとともに、NPO等が地方公共団体と協働して取り組むことを支援するものです。

     「新しい公共の場づくりのためのモデル事業」の概要は、多様な担い手が協働して自らの地域の課題解決

に当たる仕組みで、NPO等と地方公共団体が協働する取組を施行する事業です。東京都から示された事例では、町会・自治会、NPO等との協働による、高齢者の見守り・お助け事業や地域の相談所設置事業などがあります。

     また、本事業の実践を通してのNPO等と行政との関係は、相互の立場や特性を認め合い、積極的に連携・協働して地域の課題を解決していくものとされています。

     次に、この事業への区の取組ですが、事業は東京都を通じて行われる予定で、現在、実施要綱やスケジュールは示されていません。具体的な取組については、都から事業の要綱等が示される中で、検討していきます。

 

【Q】 ● 以前の議会で、区の「新しい公共」と円卓会議の「新しい公共」は同様のものと答弁されたが、区長の公約に「杉並版『新しい公共』の発想で区民のみなさまとの協働計画を策定」とある。「杉並版『新しい公共』」とは何か。また、その協働計画と策定のスケジュールを伺う。

 

【A】    「杉並版『新しい公共』」ですが、今後、ますます多様化し増大する区民ニーズに行政だけで対応することは困難であり、区民と団体、そして事業者との協働によって担っていく分野が拡がっていくと思います。こうした中で、この間の区民アンケートなどでも示されている杉並区民の高い参加意向を背景に、区民、団体、事業者が主体的に関わり、皆で支え合う豊かな地域社会を築くことであると考えます。

こうした考え方に基づく区民等との協働は、今後ますます大切になり、新たな基本構想の実現にとって欠かせない

課題と認識しています。この点については、現在、基本構想審議会の調整部会でも議論しており、その内容を踏まえ、区民等との協働に関する取組について、今後、検討していきます。

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第2回定例会市橋綾子の質問と答弁 2011.6.15

原子力災害対策について

【Q】 ● 地域防災計画の修正版はいつ出るのか。また、大災害の経験を反映して見直す修正版は今後どういったスケジュールと手順で行われるのか。区として見直しに盛り込まねばならないものは何だとお考えか伺う。

  
防災計画に原子力災害対策の記述を入れる必要があると考えるがいかがか。

  
杉並区国民保護計画には、今回の原発事故のような大規模災害に対する記述がない。見直しが必要と考えるが、区の考えを伺う。

 

【A】   地域防災計画の平成23年修正は、先般、531日に開催した防災会議で決定しましたので、7月中に製本・配布する予定ですが、今年1月の段階での各防災関係機関の修正案に基づいての計画ですので、311日の東日本大震災を踏まえての修正とはなっていません。

     東日本大震災を踏まえての修正は、平成24年修正に反映したいと考えており、スケジュールとしては、平成23年修正同様、9月頃から各防災関係機関が修正作業を始め、翌年1月頃から区が都と修正案の協議を行い、5月の防災会議決定を経て、7月に製本・配布する予定です。

     修正に際し盛り込む内容については、今回の震災では、東北地方の沿岸部は甚大な被害を受け、津波に対する想定の見直しなど様々な論点もあるかと思います。今後、計画の実効性を高めていく検討が必要と考えています。

     いずれにしても、ご指摘の原子力災害対策も含め、都の地域防災計画との整合性も図っていく必要があるので、都の動向も注視した上で検討していきます。

     最後に、国民保護計画は、法に基づき、武力攻撃事態及び武力攻撃予測事態に備えて策定しているものですので、見直すことにはなりません。

 

 

【Q】 ● 今後、区は基本的方向として、低炭素社会、脱原発社会をめざすべきと考えるが、区の認識を伺う。

  
今回の原発事故を受け、エネルギー政策の見直しが求められている。区はエネルギーの地産地消を進めるべきと考えるが、区の認識はいかがか。

 

【A】  この度の原子力発電所の事故を契機に、再生可能エネルギーの重要性は、従前にも増して大きくなっています。今後のエネルギー政策は、当面、既存の原子力発電施設の安全対策に万全を期すとともに、省エネの視点から暮らしや企業活動のあり方を見直しつつ、再生可能エネルギーの割合を高め、可能な限り原子力発電を抑制していくことが重要です。従って、区でもこうした観点から、再生可能エネルギーの普及・拡大を図り、今後、総合計画等の策定を機に必要な検討を進めていきます。

省エネ・エネルギー政策について

【Q】 ● 311日以降、区においてどのような節電の取組みをしているのか、本庁舎では、どのくらいの節電になっている

のか、伺う。

 

【A】  大震災直後は区内での計画停電の実施が取り上げられ、区民に節電を呼び掛けるとともに、区立施設内の消灯や施設の開設時間の短縮などを緊急対策として実施しました。また、この夏の電力危機に向けては、区施設のピーク時の使用最大電力の20%削減を目標として取り組み、総使用電力量の削減にも最大限努めていきます。

     次に、本庁舎における節電実績は、今年と昨年の5月を比べてみると、ピーク時の使用最大電力で9.4%の削減、また使用電力量では12.1%の削減です。空調未使用時期ですが、対策の効果が着実に表れていると考えます。

 

 

【Q】 ● 地球温暖化対策の推進に関する法律で、都道府県、政令指定都市等に義務づけている区域施策編を区でも策定すべきと考えるが、いかがか。

  
太陽光発電機器設置の助成をするだけでなく、区が効果の分析や確認を行うとともに、設置している区民を集めた情報交換や交流の場を設けることが、導入促進に必要と考えるが、いかがか。

  
区内で使用される電力量のうち、何%を再生可能エネルギーで賄うか、新しいエネルギービジョンを示すべきと考えるがいかがか。

 

【A】   法律で定める地域省エネ計画は、今後、総合計画等との整合性を図りつつ、従前と同様に「省エネビジョン」として策定に向けた検討を進め、その中で、ご指摘の再生可能エネルギーの導入目標なども定めていきたいと思います。

     また、太陽光発電機器の導入促進は、設置による節電効果等を分析し、情報発信していくとともに、学識経験者や事業者、利用者の意見も参考に、効果的な普及促進に努めていきます。


 

第2回定例会曽根文子の質問と答弁 2011.6.15



【Q】 ● 区が放射線を測定することにした目的を伺う。また、この間の区民からどのような声が寄せられていたか伺う。

    
放射線計測について補正予算で経費として927万5千円が計上されているが、その内訳とともに、どこをいつまで計測する予定か具体的に示されたい。

    
区民の不安解消には、測定データに加えて放射線を理解する学習会や情報交換の場を設けることが必要と考えるが、区の考えはいかがか。

    
区民が放射線を正しく理解するためホームページの充実が必要です。区の取り組み予定を伺う。

    
子どもを放射能から守るため区は最大限の努力をすべきと考えます。区の決意を伺う。

 

【A】   はじめに、測定実施の目的と区民の声ですが、小さな子供をお持ちの保護者などから、区内の大気や学校の校庭・プール、公園の砂場などの放射線量を測定してほしいという要望がありました。区では、こうした声を受け、放射線問題の対応は広域的な調査と対応が必要と考え、区長会が都に広域的な対応をするよう緊急要請を求めてきましたが、なかなか動きが見られないので、区民の安全安心を確保することを目的に区独自に測定することにしました。

     次に、補正予算の内訳と測定の場所・期間ですが、区内の大気や運動場・砂場の土壌、プールの水について、区内を東西南北に区切り、それぞれから1か所ずつ計4か所を、月1回ずつ継続的に測定する費用を計上しています。また、場所については、運動場は小中学校・保育園から4か所、砂場は保育園・公園から4か所、プールは小中学校から4か所と和田堀公園プールを加えた計5か所、大気は当面、運動場と砂場の土壌測定に合わせその空中線量を測定します。期間は来年3月まで、プールは9月までです。

     今後、区では測定結果が出次第、順次、公表していきますので、その結果を見ながら、学習会や情報交換の場の設定を考えていきます。

     ホームページの充実は、区として測定結果を評価するにあたり専門家から指導をいただきますので、それをふまえ分かりやすい内容としていきます。

     最後に、区民の安全・安心を確保するために最大限努力していくことは当然とことと考えています。

 

【Q】 ● 測定結果について、評価を行い公表するとしているが、どのような専門家が評価を行うのか。また、庁内の対応体制について伺う。

    
今回は検査等を外部に委託しているが、原発事故は収束の見通しが立たず、長期にわたって放射能と付き合うことになると予想される中、長期的な視野に立って取り組むことが必要と考えるが、今後、どのように取り組むか、伺う。

 

【A】  今回の放射線量測定については、子供をお持ちの保護者の方などからの切実な心配をふまえて、区として独自に実施します。測定結果の公表は、その数値の意味する評価を、信頼できる専門家からの指導を受けて、区民の皆さまにできるだけ分かりやすくお知らせしたいと思います。その専門家は、大学共同利用機関法人「高エネルギー加速器研究機構」の名誉教授であり、NPO法人放射線安全フォーラムの理事長、加藤和明先生にお引き受けいただきました。加藤先生は、国の放射線審議会の委員をされていたなど、放射線の専門家として長年活躍されており、既に本区のプール水の測定結果公表にも、ご指導いただいています。

     また、庁内体制ですが、危機管理対策会議のもとに、杉並保健所長を部会長として関係部課長で構成する「放射線量測定等対策部会」を設置し、横断的体制を整えたところです。

     原発問題の解決の見通しがつかない中にあって、今後については予断を許しませんが、周辺状況を見定めつつ適切に対応していきます。      

 

【Q】 ● 学校や保育園の給食に使用する食材について、放射能に関わる安全確保のためどのような取組みを

     されているのか伺う。

 

【A】   給食の食材については、国の基準に基づき安全が確認され市場に流通しているものを使用してお

り、給食における安全性は確保されていると考えます。

 

【Q】 ● 学校給食を食育の機会として区が積極的に取り組んでこられたことを評価しています。いま直面し

ている放射能汚染の問題についても、食の問題のひとつとして子どもも考えることが必要です。区の

見解をうかがいます。

 

【A】 現在、各学校では、給食の時間や各教科等において、食に関する指導内容の充実を図るなど、児童

 生徒の発達段階を踏まえた食育が進められています。 

今後、各学校において行われている食育の指導を一層充実させていくことで、放射線を含め、食品の品

質及び安全性について正しい情報に基づき、自ら判断できる力を身に付けることができると思います。