第3回定例会 岸本聡子新区長の所信表明に対する代表質問と答弁 2022.9.14奥田雅子

Q1 庁内各部からのレクチャーや関係機関との面談などを通して、これまで知りえなかった課題を知ることができたとあるが、区長就任前と就任後の気持ちの変化はあったか。岸本区長にとってはゼロベースからの出発であり、改めて区政運営に対する覚悟について伺う。

A1(区長)就任後各部からの重要課題に関する説明や現場の視察、ステークホルダーとの面談などを通して新たに課題を認識し、またこれまでの認識をさらに深めてきた。そうした課題に対して、職員が使命感を持って取り組みを進めていることも知り、こんご職員と共に対話を重ねながら組織一丸となって区政を前進させていきたいと決意を新たにした。

Q2 「さとこビジョン」について、現在の計画と矛盾したり衝突したりする場合には今後どのように進めていくのかの具体的な提案が職員からあったということだが、特にどのような部分が矛盾、衝突の恐れがあるのか伺う。また今後、どのように進めていくのか確認する。

A2(区長)各部とのミーティングの中では、職員から『さとこビジョン』に掲げた具体的な公約ごとに、その実現に向けた課題を整理してもらった。その中には、すでに計画化している内容を検証することが必要なものや、制度上すぐに実現が難しいものなどがあることがわかった。今後はそれぞれの優先順位や緊急性、実現可能性、さらには期待される効果などを見極めながら各公約の実現に向けて順次取り組みを進めていく。

Q3 30か所を超える区立施設やまちづくりの現場に出向き状況認識を深めたとあるが、区長が印象に残った場所や取り組みに感想を伺うとともに、これまでの認識が変わったものはあるか伺う。

A3(区長)今般30か所を超える場所を視察し、自らの目で見て職員や利用者の話を聞いた。その中で児童青少年センターでは中・高生が「中・高校生運営委員会」を組織し、施設運営のルールづくりに主体的に参加していることなどを知り、大変すばらしいと感じ強く印象に残った。またゆうゆう方南館では、運営事業者が学校・児童館などと交流や事業を展開しており、各施設が連携した理想的な取り組みだと感じた。

Q4 区長は杉並区の憲法ともいえる自治基本条例に則った区政運営として、区民の区政への参画と協働、区民が区政の情報を知る権利を特に尊重したいと掲げている。例えばどのような場面、取り組みをイメージしているのか問う。

A4(区長)特定の取り組みや場面に限らず、区政に関するあらゆる分野や場面において、区からわかりやすい情報発信が活発に行われ、区民と行政の間で情報共有が十分に図られることが何より重要と思う。それがまさしく、自治基本条例にうたわれている区政情報を知る権利の保障と、区民参画と協働を進めていくための前提条件なのではないかと感じる。

Q5 プロフィールや「私がつかんだ コモンと民主主義」の中で、あまり聞きなれないキーワード「ミュニシパリズム」があるが、どういう運動論か、またこの「ミュニシパリズム」を区長はどのように区政に取り入れていくのか伺う。

A5(区長)英語で地方自治体を意味する「municipality」からきているミュニシパリズムは、市民の政治参加について、選挙による間接民主主義だけに限定せず、地域に根付いた自治や合意形成、さらに直接的な政治参加を重視するという考え方だ。このミュニシパリズムという考え方は現在の区政の文脈にあてはめてみると、たとえば再生可能エネルギーや食糧の地産地消、区民の直接的な政治参加、公共サービスの運営方法の見直し、区政の透明性の確保と説明責任の強化などの多くの課題につながるので、さまざまな可能性を探っていくことができると考える。

Q6 「区民のための区政を行う」のは至極当然のことであるが、その実現のための方法がとても重要だと考える。区民はさまざまな思想、考え、要求を持っておりまさに対話と協力が鍵になるが言うは易しである。本気でやるとなれば時間とエネルギーのいる取り組みとなる。後段の主要政策の分野でも触れられているが、特にどのような部分で区長の思いを実現させたいと考えているのかを問う。

A6(区長)区民との対話を大切にしたいということを所信表明の中でも強調したが、中でも反対の意見がとりわけ強く、意見が二分されている分野、例を挙げれば施設再編整備計画や都市計画道路の取り組みについて、対話と協力による課題解決を進めていきたい。いずれの取り組みにおいても、意見の相違が一朝一夕にすべて調和するのは難しいかもしれない。しかし私はさまざまな意見に丁寧に耳を傾けること、とりわけ私と意見を異にする区民の声や思いをより意識的に、直接聴くことが必要だと考える。私だけでなく、区役所全体にそうした姿勢を根付かせることを通じて、対話による相互理解を前に進め、真の区民のための区政実現に向け進んでいきたいと思う。

Q7 7月に策定した環境基本計画で2030年までに温室効果ガス排出量を2000年度比で50%削減するカーボンハーフという目標が設定されたことを高く評価し、目標達成のためには社会、経済、都市計画、土地利用、産業構造の変革が迫られているという区長の認識を確認したい。この課題に対応するために先進自治体の調査や、区内事業者や研究者と連携して技術を開発するチームを構築するとの思いに期待するが、具体的に考えていることがあるか伺う。

A7(区長)世界的に重要な課題である気候変動問題については、これまで以上に他自治体、海外の動向を注視しながら、区ならではの野心的な取り組みが必要だ。そのためには専門家の意見を聞きつつ、事業者や研究者の協力を得て新たな技術を取り入れた取り組みなどを組織横断的に調査、検討していくことが重要だ。具体的な検討は今後進めていくが、職員の潜在的な力が発揮できるよう体制づくりをしていきたい。

Q8 暮らしの安全を守り、原発によらない脱炭素を進めるためには、本庁舎をはじめ区立施設における再生可能エネルギーの導入をさらに拡大していくことが必要だが区長の考えを問う。

A8(区長)区では私の就任前の昨年度から、区役所本庁舎において使用する電力の一部を水力発電由来の再生可能エネルギーに切り替えたほか、今年度は二酸化炭素を排出しない非化石電源の環境的な価値を証書にした非化石証書を購入し、再生可能エネルギーの導入比率を高めていくこととしている。

今後も区内最大の事業者である区役所として本庁舎における再生可能エネルギーの更なる導入を進めるとともに、他の区立施設においても導入の可能性について調査研究を行いゼロカーボンシティの実現に向けて全力で取り組んでいく。

Q9 地域のネットワークは長い経過の中で作られ、勝手に出来上がるものではないと感じており、地域にある大小さまざまな団体や組織、人を目的意識的につなぐ装置が必要だと考える。何のためにつながるのか、さまざまな課題解決を行うことのできる態勢をどのように構築していくのか問う。

A9(区長)さまざまな地域課題を解決するためには、地域の中で活動する多様な主体の連携が欠かせないものと強く思う。多様な主体がそれぞれの強みを生かして連携することで地域課題の解決につながりそれにより地域のネットワークの連携が強化されると考える。地域のネットワークの強化の取り組みとして、現在構築に向けて検討している公民連携プラットホームがある。このプラットホームは地域の主体が出会い、地域課題の解決に向けた取り組みに結び付ける場にしていきたい。こうした取り組みは全国に例がない新しい試みだが、私自身大きな可能性を感じている。プラットホームへの参加が想定される地域団体やNPO、区内事業者や大学などに意見を聞きながら、あらゆる主体が参加でき、それぞれの強みが生かされ、活発な交流が生まれる仕組みとなるよう検討している。皆さんからの意見を制度に反映させ、みんなで作るこのプラットホームを地域のネットワークを強化するための重要なツールとしていく。

Q10 区長は総合計画・実行計画については異論があるということなのか、確認したい。今年度は区長の公約に照らして具体的にどのように変えようとしているのか。さらに公約の実現を念頭に置き、2024年度の見直しを1年前倒しにして来年度行うということだが、どこを実現しようとしているのかを問う。

A10(区長)現在の計画は社会経済環境の激しい変化を的確に反映するために、元々毎年度修正を行うこととしている。今回はそれに加え、私の公約との関連で速やかに修正する必要がある内容を反映するための部分修正を行いたいと考える。具体的な修正内容については現在精査を始めているので、内容が固まり次第議会に示し区民意見も聞いていく。また、公約との関連でこれまでの取り組みのうちいくつかの計画事業について、検証作業を始める。その検証作業で得た結果についても、計画に反映できるよう、本来令和6年度に行うとしていた計画の全面改正・見直しを1年前倒しして来年度実施していきたい。

Q11 日本一の情報公開を目指しての日本一とは、現在の日本一に自治体をどこと考えているのか。参考自治体があれば示せ。区長の考える区政情報とは具体的にどのような情報を、どのような形で

どの範囲までを公開していくのか。情報公開手続きをしなくても区が積極的に公開することを示しているのか、行政情報の公開できる判断基準について確認したい。区政情報は区民のものであるという視点は現在の区条例からはうかがえない。この点を明示する必要があると思うが、条例改正を視野に入れていると受け止めていいのか、またそれはいつ頃と考えているのかも確認する。特別職である区長には守秘義務は課されていない。区長が知りえた情報もすべて区民に公正に知らされるものと受け止めていいか。

A11(区長)日本一の情報公開について、2012年の市民団体による調査によると、さいたま市や川崎市などが高い評価を得ている。現在適切な指標がないことから、他自治体との比較は困難だが、さまざまな自治体の取り組みを参考にしながら情報公開ナンバーワンを目指していく。情報公開請求をしなくても区民が求めるさまざまな情報が公表されている状態が理想であると考える。情報公開条例の改正は現時点では想定していないが、公表できる情報は積極的にオープンにすればするほど区政情報の区民との共有が進んでいくのでこのことを区民に実感してもらえるように取り組んでいく。私自らが長として知り得た情報についても公表できる情報はできるだけ知らせて区民と共有する。しかし区政運営に支障をきたすものなどもあるので、情報発信の時期や方法等についてはその都度慎重に検討する必要がある。

Q12 区長の行動記録の公表について、首長がどういう団体や人物と会っているのか区民の注目度は高く、行動記録の公開を求める情報公開請求は少なくない。区長はいつ・どこで・誰とあったかの記録はすべて公表している。この点は区長就任の7月11日からすでに「区長の日程表」で公開されているがその基準について確認する。区長の行動記録の公表について基本的に賛同するが、面談する人が公表されることを望まない場合や相手との関係で公表できないものはないのか確認する。

A12(区長)行動記録の公表については原則すべて公開としているので、それ以上詳細な基準は設けていない。また面会を希望する人々には面会記録を公表すること、公開を望まない場合は面会を断ることを事前に伝えている。現在のところ公開を望まないという申し出はない。

Q13首長は首都直下型地震など不測の事態に備え、常に居場所などが情報として管理されている。首長の公務と政務、私的な時間と範囲の境界を堂のように区別する考えか。

A13(区長)公務と政務、私人の範囲の境界ですが、区長であっても公務時間外の私的行動は私人のものとして区別されるべきと考える。一方で公務から離れた時であっても区民の代表として社会的・道義的責任が問われることがあると理解している。

Q14 「区民参加型予算」の導入にふれているが現在ある協働提案制度とは異なるものなのか。区長が考える「区民参加型予算」とはどのようなものか、具体的なイメージを問う。

A14(区長)区民参加型予算は予算編成に区民の声を直接反映しようとするもので、区民が予算の一部の使い道を提案し、その決定においても区民の参加で行うものであり、区民の区政への参加促進につながるものだと考える。協働提案制度は地域活動団体が事業を提案し区が事業採択を行うものだ。なお具体的な実施方法はこれから検討していく。

Q15 最小の経費で最大の効果のための方策に民間委託を検証していくことなどを例に出しておりその考えには賛同するが、それ以外の方策としてどのようなことを考えているか。

A16(区長)最小の経費で最大の効果を挙げることは地方自治法や自治基本条例にも定める区が事務を遂行する際の基本原則だ。一方で最小の経費を目指すあまり区民サービスが低下するようでは本末転倒であり、コスト意識を持ち経費を抑えることはもとよりその実施効果を区民目線でしっかりと検証することが重要だ。指定管理制度や民間委託等の検証を実施するほか、費用対効果の視点から業務改善を行うためのしくみである行政評価制度についてその見直しに向けた検討を進めていく。また業務量に見合った適正な職員を配置したうえで、すべての職員が最大限の力を発揮することが、最小の費用で最大の効果を挙げることにつながるので、そのためにもあらゆるハラスメントを無くし、ストレスがなく風通しの良い誰もが働きやすい職場づくりに取り組む。

Q17 「多様性を杉並区の豊かさと力」について、国籍や性別、障がい、LGBTQsなどに関連するものと連想するが、区長はここで「公共の再生」やさまざまな仕事に従事する人々の働きやすい環境や処遇改善について「多様性」という表現を使ったと理解した。ここでいう「公共の再生」とは具体的にどのようにしたいのか確認する。

A17(区長)小さな政府を志向する延長線上で業務委託の推進や職員の退職不補充が行われ、非正規雇用が拡大し、またコスト削減のために労働者の権利が犠牲になることが世界的な傾向となっている。こうした状況において、複雑化・多様化する区民ニーズに応えていくためには公共の再生が必要と考える。まずは公共の担い手であるすべての区民や、地域とつながりがあるNPO、地元企業などと対等なパートナーシップを築くとともに、労働者の権利擁護に向き合うことを公共の再生の第一歩として取り組んでいきたい。

Q18 区長はランチミーティングを主催し意見交換をする場所をつくることや会計年度職員も含むなど重要な構想がある。人選や規模をどのように考えているのか。無作為に区長が選ぶのか、職員団体を考えているのか。今年度中につき2回、合計16回主催するとあるがそれは勤務時間なのか。職員にはそれ以外の1時間または45分の休憩時間を与えるのか。他の職員に負担を強いることがないようにすることが必要だがその点はどのようにするのか。会計年度任用職員の処遇改善を積極的に取り組むとの区長の姿勢は同感だが具体的にどのようなことを考えているのか。

A18(区長)職員とのランチミーティングは、各部が1名ずつ希望者を募っていて1回の参加者は8名だ。昼休み時間に実施する場合は、他の職員に負担が生じないよう配慮したうえで別途1時間の休憩時間を付与する。また、会計年度任用職員の処遇改善については、これまでも勤務条件の改善が適宜行われてきたと聞いているが、今後当事者との対話などを通じて状況を把握し更なる改善につながるよう具体策を検討していく。

Q19 子どもの権利条例の制定にあたり、子どもたち自らが権利について話し合う場には児童館の中高生委員会など主体的に活動する子どもたちをぜひ巻き込んでほしい。一方で大人も含めて子どもの権利を理解していくことも必要であり、子どもも大人も同じテーブルで話し合う場も必要ではないか。

A19(区長)大人も含めたすべての人が「子どもの権利」を理解することは大変重要である。条例制定に向けた取り組みの詳細については今後議論を深めていくが、他自治体においては審議会委員が直接子どもたちの声に耳を傾け、意見交換をする場を設定している事例もあり検討していく。

Q20 今年度、区では横断的にヤングケアラー対策に力を入れて取り組んでいる。ぜひその取り組みを前に進めるよう後押しを期待するが、改めて区長のヤングケアラーに対する思いを確認する。

A20(区長)ヤングケアラーについて、未来を担う子どもたちが家族の介護などで疲弊し生活や学業に影響が出ている状況はすぐにでも改善していかなければならない。学校、子ども家庭支援センター、高齢者部門、障害者部門による組織横断的な検討を進める中で、ヤングケアラーの事態を把握する調査を行い、行政や地域が早期にその存在に気づき背負っているケアが長期化しないよう必要な支援につなげる取り組みを検討していく。

Q21 この間の保育需要に対する区の保育施設の整備で民設民営化に多くを依存してきた状況は国や東京都の財政負担の影響もあり、大きくは国の政策誘導も一因だと考えている。それにより民間の認可保育所の数は充足してきたものの、一方の課題として区では保育の質の向上に取り組んできたと認識している。区長は保育のあり方についてどのように考えるか。今後の財政負担などをどう整理して進めていくのか。すでに民営化が計画され「保育施設利用のご案内」に示されている保育園について区長の考えを確認したい。

A21(区長)前区政においては認可保育所を核とした保育施設の整備を精力的に進めることにより5年連続で待機児童ゼロを実現した。それとともに中核園の取り組みで区内保育施設の地域連携・情報共有や、区立園長経験者の巡回訪問などにより保育の質の確保・向上にも取り組んできたと認識している。今後は保育需要の増加が鈍化しつつある状況を踏まえ、保育施設の新規開設は歳児別・地域別の保育需要を精査し適切に判断していく。一方で保育室・定期利用施設の段階的な縮小・廃止等により保育関連経費増の抑制にも努める。民営化の実施を知らせている保育園については、保護者や地域から民営化の取り組みへの理解、協力を得たうえで計画通りに進めていくが、令和7年以降の保育園の民営化については、区立園が中核園や障害児の受け入れなどの重要な役割を担っていることから今年度中に考え方を示す。

Q22 他の自治体の事例を参考により良いパートナーシップ制度を創設することに期待するが区長の考えを問う。

A22(区長)パートナーシップ制度の創設にあたっては、大きく次の3点を基本的な考え方としていきたい。1つ目は制度の安定性や周知等の効果が期待できる条例を根拠規定とし、区議会の議決を得て創設すること。2つ目は婚姻制度を利用できないまたは利用しづらい事実婚も含めたパートナー関係にある二人が幅広く利用できる制度とし、多様性を認め合う地域社会づくりに寄与するものとすること。3つ目は制度内容等の検討にあたっては先行自治体の実例を参考にしつつ区内の当事者団体に意見を聞きながら進めることだ。これらの基本的な考え方に基づき今年度内の条例化を目指して取り組んでいく。

Q23 移動手段について、移動困難者や交通の空白地域の課題に対してはどのように取り組むのか。

A23(区長)運転免許返納者の増加等を見ると誰一人取り残さない移動手段の確保には早期に取り組む必要があると認識している。また鉄道駅やバス停から一定の距離がある交通空白地域の解消も重要な課題であると捉えている。地域交通のマスタープランである杉並区地域公共交通計画の策定に取り組んでいるが、この計画の中でグリーンモビリティ等の新たな移動サービスの拡充により区民の異動の選択肢を増やすなど、課題解決に向けた効果的な施策を打っていく。

Q24 学童クラブ待機児童の解消を行うためにはどのような対策が必要と考えているか。また施設再編整備計画の進め方の検討とは具体的にどのようにするのか確認する。

A24(区長)区ではこの間、小学校内や小学校近接地への学童クラブ整備、児童館諸室の転用などにより受け入れ枠の拡大を図ってきたが、今後の学童クラブ整備については児童館再編整備の方向性も含めて、子どもたちの居場所を検討する中で適切な方策を進めていく。学童クラブ需要増加への対応は喫緊の課題であるため、この方策が定まるまでの間は、これまで同様さまざまな手法により受け入れ枠の拡大を図っていく。なお施設再編整備計画の今後の進め方については、施設利用者をはじめ、幅広い区民や現場の声を丁寧に聞いていくことが重要であり、具体的な手法について検討を進めている。

Q25 区長は既存施設の耐震性能を建物の軽量化や耐震補強によって現行法レベルまで向上させることができ、既存構造躯体の約80%を再利用し、建て替えの60%~70%のコストでできるという手法を示している。杉並区が現在示す区立施設長寿命化方針と比較して何がどのように違うのか問う。

A25(区長)再生建築は既存構造躯体の約80%を再利用しながら、建て替えの約60%~70%のコストでデザインの転換や断熱性の向上、設備一新を行う建築手法だ。この手法はこれまで区が取り組んできた長寿化改修に加えて、外壁の撤去・新設なども行うので断熱性能の向上によるCO2の縮減なども期待できる。このように再生建築は老朽化した建物を再生・長寿化していくものであり、基本的な考え方は施設を可能な限り長寿命化させていく区立施設長寿命化方針と軌を一にすると考える。

Q26 聴っくオフ・ミーティングの第1回は「杉並らしい子どもの居場所づくり」をテーマに開催したと認識するが応募及び参加の状況、話し合われ内容について問うとともに、手ごたえについて区長の件を問う。また今後のテーマが決まっていれば聞きたい。

A26(区長)参加者については従来の無作為抽出で選出された区民から募ることに加え、広報やホームページで18歳以上の区民から広く希望者を募った。67通の申し込みがあり、その中から20名に参加してもらった。当日は最初に子ども・子育てプラザ天沼の見学と児童青少年課によるこれまでの取り組みの説明を行い、その後参加者それぞれが子どもにとって望ましいと考える居場所についてグループ単位及び全体で意見交換を行った。手ごたえについては、さまざまな年代やいろいろな立場の人から幅広い意見を聞くことができ新しい気づきがあった。大変有意義であった。次回のテーマについては、今後アンケートなどにより区民が話し合いたいテーマの把握に努めその意向を踏まえて決定していく。

Q27 区長は「阿佐谷北東地区まちづくりは防災性・安全性の向上など地域の課題解決のために推進している重要な事業」として「一定程度理解する」と述べているが、地域の課題では小児科をはじめとする多くの診療科を有する河北総合病院というかけがいのない存在があり、この地での建て替えができなければ区外へ移る恐れもある。この点に関する区長の見解を問う。病院側と意見交換を行い進め方について検討するというのは計画の変更を求めることか、計画はすでに始まっているが具体的に説明せよ。

A27(区長)阿佐谷北東地区の総合病院は区の地域医療を担っており、この間のコロナ禍においても最前線に立ち尽力してくれた重要な医療機関であると認識し区民にとって必要不可欠であると考える。病院の建て替えについては一部始まっているが、今後は課題と考えているゼロカーボンや情報発信についての進め方などについて協力が得られるよう病院側と対話を行っていく。

Q28 都市計画道路について区長は進行中の事業をどのように変えようと考えているのか問う。なお補助227号線は沿線商店街や高円寺地域との具体的な話し合いがまだなく、補助132号線とは全く異なる。区が再開発を進めているとの情報が選挙の中でされてきたが区長の判断を問う。

A28(区長)すでに事業着手している都市計画道路補助132号線や補助221号線については進行中の事業自体を変えようということではなくなるべく多くのまちの人々と対話を通じて議論を深めていきたいと考える。補助227号線については区施工の優先整備路線となっているが、現時点では事業化の目途もたっておらず、また高円寺北口の再開発計画もないと認識している。

Q29 施設使用料の見直しに関しては「周辺区との均衡も必要」としているがこれまでの施設使用料設定の基準をどう変えていくのか確認する。

A29(区長)施設使用料については、前回施設を利用する人と利用しない人との負担の公平性や受益者負担の適正化という観点から見直しを行ったと聞いている。「区民が気軽にいつでも使える」という考え方に立ち、これまでの見直しの経緯や内容等を踏まえて検討していく。その際は周辺区との均衡等も参考にする。

Q30 市民政策研究所について、独自にシンクタンクを持つ意味について見解を問う。また既に独自のシンクタンクをもっている自治体の例があるのか聞きたい。

A30(区長)市民政策研究所は地域のさまざまな課題の解決を目的として、中長期的な視点から区の未来を切り拓く新しい政策を作り上げていく区独自の研究機関として設置を想定し、意欲のある区民に直接参画してもらう点が大きな特色だ。なお自治体が独自のシンクタンクを持っている例は世田谷区、荒川区、三鷹市などです。

Q31 気候市民会議について、これまでこの問題に関心のなかった人も含め、問題を自分事として考える人を増やす非常に有効な区民参画の取り組みと思うがどのように行うのか。具体的な考えがあれば聞きたい。

A31(区長)気候市民会議は無作為抽出により選出された区民が専門家からの講義、助言等を受けて学習・議論を行い、その結果としてまとまった政策提言を区が施策等に反映していくことを目指している。多くの区民が気候変動問題を自分事として捉え、自らができることなどを議論していく場にしていきたい。

Q32 前区長が示した遊休区有地を活用した太陽光発電事業の調査・研究について、遠隔地にある区有地で発電した再生可能エネルギーの利用は国内外へのメッセージ性が高いと評価し、前に進めようとしているが、具体的にどのようにするのか問う。

A32(区長)遊休区有地について、所管では事業者の聞き取り調査など研究を進めていた。就任後各部からのヒアリングにおいて遊休区有地で発電した電気を本庁舎などの区施設で活用することは、託送方式での発電事業が望ましいとの報告を受けた。この事業についてはエネルギーの地産地消にもつながる意義のあるものとして捉え、今回補正予算を計上し、この事業が実行可能なのか、具体的にどの程度の発電量が得られるか、実効性に係る具体的な調査を行うことにした。今後はその調査結果を踏まえて事業の実施に向けて推進を図っていく。

Q33 住宅政策について、特に住宅確保要配慮者が賃貸住宅に入居しやすくするためには、居住支援とセットで取り組むことが必要であり、居住支援協議会を機能させていくことが重要だ。また区内には狭小住宅が多く存在するが健康で文化的な住生活の観点から課題だと感じている。また、増える空き家の利活用もなかなか進まない。区長は幅広い検討を行っていくとしているが、具体的にどこでどのような検討を行っていくのか。

A33(区長)住宅確保要配慮者については、居住支援協議会と連携してアパートあっせん事業に取り組み、民間賃貸住宅への入居の促進を図ってきた。引き続き福祉部門との連携や居住支援協議会の活動内容の情報発信に努めるとともに居住支援協議会の中で議論を深めていく。また、増える空き家の利活用についてはその対策を空家等対策計画の改定に盛り込むべく、現在空家等対策協議会の中で議論を行っている。対策の一つとして令和6年度から公民のパートナーシップによる空家等利活用相談窓口の開設を目指し、本年8月から検証を行うためのモデル事業に取り組んでいる。

Q34 認知症対策について、現在の区の取り組みで課題だと感じているのはどこか。また認知症介護研究・研修センターとの連携によって認知症ケアについての新たな機軸を築くとしているが具体的にどのようなことを考えているのか問う。

A34(区長)区では介護保険や区独自のさまざまな認知症高齢者対策の事業を実施しているが、社会全体で支えていく仕組みとしてはいまだ十分ではないと感じている。区長選挙期間中に、認知症介護研究・研修センターの人の話を聞く機会があった。その際認知症の人が希望をもって地域で生きることができるさまざまな取り組みの事例を聞き、ぜひ杉並でも実現したいと思った。区長就任後、所管部に対し同センター職員の話を聞き今後の区の認知症高齢者施策に生かすよう指示した。8月に所管部がその職員と会い、希望をもって共に生きる地域社会を目指し、区民にとってわかりやすいビジョンや目標値を示すこと、高齢者本人の意見を聞くこと、身近にあるケア24単位で本人の生活を支えることなどの意見をもらった。今後は同センターと連携し、在宅医療推進連絡協議会認知症対策部会の意見や、現在実施している高齢者実態調査の結果などを踏まえて、認知症ケアの充実の具体策を検討し、来年度改定予定の高齢者保健福祉計画で取り組んでいく。

Q35 障がい者福祉の分野はさまざまな障がい特性がある中でそれぞれ困りごとが違い一律には対応できないという課題があり、当事者の声を聞く姿勢が問われる。ユニバーサルなまちづくりを当たり前にし、地域社会の一員としてその人らしく暮らしていける環境づくりが求められる。庁内横断的なサポート体制の構築が必要と考えるが、障がい者の自立支援や社会参加について区長の考えをもう少し詳しく聞きたい。

A35(区長)年齢や性別、障害の有無などに関わらず、誰もが自分らしく生き生きと暮らせる社会こそがあるべきまちの姿だと考える。これまで区は障害者が身近な施設を安心して利用できるよう区立施設のバリアフリー化を推進するとともに、障害者の社会参加を支える移動支援事業の充実や、住宅確保に配慮を要する障害者の入居支援など、部を超えて関係所管が連携を図りながら障害福祉サービスの充実に取り組んできた。今後は障害者が自分らしく充実した日々を送れるよう、日中の活動場所である通所施設の整備を進めるとともに杉並区障害者雇用支援事業団と連携し、一人ひとりのニーズに沿った就労支援の充実に加え就労の場を拡充していくなど、障害者の地域生活支援を強化していく。こうした取り組みを進めるには障害当事者や障害者団体等との意見交換を十分に行い、障害者の自立支援と社会参加に努めていく。

Q36 公務で他の自治体を訪問したり、国や都との協議で出かける際、また職員と共に動く際に公用車がなければ無駄な時間や非効率的なことがある。公用車は一定の効率性から必要ではないか。

A36 登庁・退庁時は原則として自己所有の自転車を使用し、他自治体等への出張の際は時間管理及び安全上の理由から一般職員が利用している庁有車を使用する。

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