第1回定例会一般質問と答弁 2024.2.16 奥田雅子

「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

Q1 みどり基本計画を策定した1999年から今日に至るまで、杉並のみどりの状況はどのような変化をたどってきたのかを問う。

A1 土木担当部長)5年ごとに行っているみどりの実態調査結果での比較だが、1997年の緑被率は17.59%だった。2022年は21.99%となっていて4.4ポイント増加している。増加の主な要因としては新たに公園を整備したことなどによる樹木被覆率が468haから620haと約150ha増えたことによる。一方まとまったみどりである屋敷林や農地などの緑地は600haから570haと減少している。

Q2 杉並区みどりの条例では、みどりを「樹木その他の植物並びに動植物の生息または生育の基盤である土及び水等の要素と一体となって自然環境を形成している土地」と定義しているが、具体的にどういうことか。杉並区が捉える「みどり」に対する考えを伺う。

A2 土木担当部長)「みどり」とは人や生き物の命、暮らしを支えるものと認識している。具体的には樹木、草花、屋敷林などの樹林地、区民農園などの農地、公園や緑地、河川など、動植物の生育基盤となっているところと捉えている。杉並の原風景といえる屋敷林や農地を守りながら公有地、私有地を問わず新たなみどりを増やし育て、さらにはみどりが持つ機能を活用するグリーンインフラの取り組みを強化してみどり豊かな杉並区を実現していく。

Q3 現在3度目のみどりの基本計画改定検討が進められているが、区は計画づくりの段階から区民と共に策定していくと表明している。検討委員会には公募区民が2人入っているが区民意見を反映するには少ない。区民参加をどのように進めていくのか、スケジュール、体制、手法を含め確認する。

A3 土木担当部長)検討委員会について、公募の区民委員は2名であるが、その他に区民委員として保護樹林と農地の所有者、農業委員会の人、都立農芸高校の人がいる。実際に樹木の維持管理や農業に携わっている区民に委員になってもらうことで、様々な立場からの意見を反映できると考えている。また今回の改定では計画素案の策定段階から区民意見の反映に努めており、幅広く区民の声を聴取し区民と共に作る計画としたいと考えている。2月現在までに、小学生、高校生に対するアンケート、オープンハウスやWebアンケートによる意見聴取を7回行っている。また昨年12月に聴っくオフミーティングを開催し区民意見の聴取を行った。

スケジュールについては、現在実施しているWebアンケートの意見募集を3月まで行い、5回目の検討委員会を同じく3月に開催する。区民の意見を踏まえ、計画案の策定を進め、7月にはパブリックコメントによる意見聴取を行ったうえで必要な修正を行い、11月の策定をめざしている。

Q4 検討委員会の事務局が土木担当部長を筆頭にみどり施策担当課長、みどり公園課で、都市整備部だけで固められていることが気になる。「みどり」はあらゆる部門と関係する分野であり、環境や福祉、防災、教育、産業等分野横断的な議論が必要だと考える。区は基本構想に掲げた「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けてこのみどり基本計画がとても重要な計画だと述べているが、どのような庁内検討体制になっているのか。

A4 土木担当部長)検討委員会は土木担当部長をはじめとする都市整備部所管課長のほか、企画、産業振興センター、環境、温暖化対策担当、教育委員会の関係課長をメンバーとする幹事会を設置しており、産業、まちづくり、土木、環境、教育と幅広く分野横断的な体制をとっている。また、必要に応じて関係する職員を参加させ、柔軟な体制のもとで検討を進めている。

Q5 現在のみどりの基本計画は2010年に改定されたが、それから14年間で社会状況も気候変動もまちの風景も大きく様変わりしたのではないか。今回の改定は未来を担う子どもをはじめ、区民が主役となる計画にするとある。前回改定から14年が開いた理由を含め、この間の取り組みをどう総括し次につなげるのか区の考えを問う。

A5 区長)前回の改定から14年の間隔があいた理由の質問があった。計画では目標の中間年次2018年に検証を考えていたが、2018年以降、基本構想、総合計画、実行計画、まちづくり基本方針など上位計画の動きがあったこと、5年ごとに行っているみどりの実態調査を2022年に予定していたことなどを踏まえ今回の改定のタイミングとなった。

これまでの取り組みの総括だが、現行のみどりの基本計画ではみどりを守る、創る、育てるなどの基本方針を定め、保護指定や緑化助成、みどりの講座などの事業を展開してきた。しかし杉並の原風景といえる屋敷林や農地などのまとまったみどりは減少している。屋敷林や農地については近隣住民から落ち葉や日照、土ぼこりなどの苦情があったこと、所有者の維持管理における人的、経済的な負担が大きいことが要因だと考えている。みどり豊かな環境は世代を超えて多くの区民のよりどころであると強く感じており、屋敷林や農地の存亡を所有者のみに任せるのではなく、それらを守り新たなるみどりを創る当事者を増やすことが重要だと考える。ともすれば他人任せであったみどりに対する区民の意識の変容が重要であり、それこそが課題であると考える。

都市の課題解決の手段であるグリーンインフラとしてみどりの持つ生物の生息、生育の場の提供、気温上昇や雨水流失の抑制などの機能が注目されるようになり、みどりに対する区民の関心は高まってきている。このような背景のもと、行政の役割に加え区民が主役となり、みどりを守り、増やし、育てることを区民一人ひとりが自分事として実践できることに重きを置き、区民の声を聞きながら計画の改定に取り組む。

Q6 都立善福寺公園内にある区立遅野井川親水施設は、将来的に遅野井川の延伸を展望しつつ現在の課題である水質や水量の問題を解決することから着手することだと考える。グリーンインフラによって周辺環境がどう変化するのか、それを見える化することも必要であり、そのためには現在の状況把握をすることが重要である。区はグリーンインフラを進めるための検討を2024年度予算化した。その検討の中で善福寺公園上池周辺のグリーンインフラ整備によって上池の浄化と水量の確保について検証する取り組みを一つのモデルとして位置づけてはどうか。

A6 土木担当部長)2024度予算に計上した雨水流失抑制対策強化のうち、グリーンインフラに関する予算では、グリーンインフラの推進に必要な区民への周知や共に考える場を設けるとともに、そこで出たアイデアなどについて学識経験者の知見も取り入れながら検討を進め、具体的なグリーンインフラの取り組みにつなげていくための経費を計上した。

遅野井川の延伸の課題でもある善福寺公園上池の浄化や水量確保については指摘されたように上池周辺地域をモデルとして位置づけ、グリーンインフラ整備による検証も有効であると認識している。そのためには現状把握が必要であり、これまで実施してきた雨水流失抑制対策の実施箇所やみどりの分布状況など関連するデータを整理し、その情報を区民と共有することが重要であり次年度から取り組んでいく。

Q7 杉並区には遅野井川親水施設以外でも自然共生サイトになり得る場所があるのではないか。また、自然環境調査や河川生物調査などを継続的に行っているが、それらのデータがうまく活用されていないように感じている。オープンデータ化し、様々なところで活用されれば新たな発見や自然共生サイトも増えるのではないか。もっと積極的に杉並の良さを発信していくためのデータの活用について区の見解を問う。

A7 土木担当部長)自然共生サイトは国が認定する「民間の取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域」のことで、改定中のみどりの基本計画でも自然共生サイトの拡充を目指し場所の選定を検討していく考えだ。区内において遅野井川以外でも自然共生サイトになり得る場所としては区立公園をはじめさまざま考えられる。

データの活用について、これまで蓄積された自然環境調査や河川生物調査の調査結果は公表しているが、調査結果のデータを加工、編集などの二次的利用可能な形式によりオープンデータ化していくことで有効活用が図られるよう検討していく。

Q8 今、善福寺川上流調整池整備で地域住民が揺れている。みどり豊かな生活環境が変わってしまうことの不安や口惜しさは理解できる。洪水対策がふぃようと思っている住民は一人もいないと思うが、その対策の中身についてはもっと地域住民の声が反映されるプロセスが必要だった。今年1月26日付で岸本区長から小池都知事あてに出された東京都都市計画河川第8善福寺川の変更についての都市計画案の回答に付した様々な要望については、引き続き東京都との調整に尽力してもらうことを強く希望するが区の見解を問う。

A8 土木担当部長)善福寺川上流調整池整備については、昨年8月に都が実施した都市計画変更素案の説明会以降、区民から様々な意見や要望が寄せられている。区としては住民からの声をしっかりと受け止め、昨年12月14日付で都に対して、地域住民への説明や情報の開示などを求める要望をした。その後1月20日に都主催の説明会が開催され、区も参加して住民への説明に努めた。

また、都の都市計画案に関する意見照会の回答についてはすでに区のホームページに公表しているが、本都市計画の計画にあたり、周知が十分でないとの住民意見に十分留意し都知事として判断してほしいこと、都市計画決定された場合には工事の影響を最小限にするよう検討を行うとともに、各地域の合意形成に努め地域住民に寄り添った対応を行うことなどを求めた。引き続き都との調整に取り組み、あわせて総合的な治水対策のひとつであるグリーンインフラの推進についても、都と連携、協力し地域住民の協力を得ながら進めていく。

羽毛製品の資源循環について

Q9 区は循環型社会を目指して資源化の推進をすすめているが、昨年10月から粗大ごみとして回収した羽毛ふとんをリサイクルする取り組みが行われている。羽毛ふとんをリサイクルすることになった経緯を伺う。

A9 環境部長)羽毛ふとんのリサイクルは実行計画に定める資源化事業の推進の一環として検討を開始した。昨年度末に先行実施している近隣区を視察し、羽毛が再利用可能な貴重な資源であることを確認、再商品化事業者の視察、粗大ごみ中継所運営委事業者との調整準備を進めた。昨年10月から試行として再資源化を開始し、本年1月末までに粗大ごみとして出された羽毛ふとん515枚を回収し入札で決定した再商品事業者に57万円余で売却した。売却先では自社工程で羽毛を取り出し、洗浄、精製して羽毛原料として再生するほか、羽毛ふとん等に再生、販売し国内で循環利用している。

今年度は試行として開始したところで、区民に新たな分別を求めるものではないことから広報は行っていないが、今後は本格実施として区民に理解、協力を得られるよう周知を進める。

Q10 国内の寝具メーカーやアパレルメーカーと共に羽毛資源の循環に取り組む一般社団法人Green  Down Project、地域内の企業や団体、チャリティショップや障がい者福祉施設等を回収拠点にして羽毛の回収を連携して行うハートステーションプロジェクトという仕組みがあるが、これらの情報を区は把握しているか。

A10 環境部長)民間連携による取り組みについては、羽毛を中心としたリサイクル活動を通じて、羽毛製品の回収や羽毛の取り出しを担う障がい者福祉施設、店頭回収に取り組む民間事業者、再商品化事業者が連携して地域における資源循環の仕組みを作り上げ、障がい者福祉施設の支援にも役立つなど優れた取り組みであると認識している。

Q11 ダウンジャケットなどの衣類は古布として出され、その後の行方がわからない。資源として生かしていくには別に回収する仕組みが必要であり、地域内回収拠点ができればダウン製品の回収も広げることができる。羽毛の回収対象を広げることも今後の検討課題としてほしいがいかがか。

ダウンは健康にも環境にも優しく、繰り返し使うことで未来にわたって持続可能な資源になる。またリサイクルの過程で障がい者の雇用を生み出したり、社協と連携して赤い羽根募金を生み出すUmouプロジェクト、Green Down Project、ハートステーションプロジェックなど参考となる取り組みがある。

区民や地域の事業者や団体を巻き込んで「みんなでダウンリサイクルに取り組もう」というムーブメントを区が仕掛けてはどうか。

A11 環境部長)羽毛ふとん以外の資源化については再商品事業者からは採算性の点で難しいと聞いているが、民間各団体の中には全国規模で連携を進め、区内にダウンジャケットや寝袋を含む回収拠点を持つ団体もある。今後回収拠点の拡充や区として支援できること等について団体と意見交換を行い、区の取り組みとあわせて羽毛資源化に関する周知を行い区民の関心を高めていきたい。

 

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