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決算特別委員会 意見開陳 2024.10.15 そね文子

区議会生活者ネットワークを代表し、2023年度杉並区一般会計歳入歳出決算、並びに特別会計歳入歳出決算について意見を述べます。
2023年度は5月に新型コロナ感染症の危険度が5類に引き下げられ、社会活動についても行動制限がなくなりました。ロシアによるウクライナ侵攻から始まった戦争は1年をこえても収束には至らず、さらに10月にはイスラム組織ハマスがイスラエルを攻撃したことに端を発し、イスラエルがガザ地区に大規模な空爆、地上戦を開始し、その紛争も長期化しています。世界の不安定な情勢に加え、円安が固定化し、エネルギーや食糧等の物価高騰は止まらず、区民の生活を圧迫しました。この年、過去最高に暑かった夏が今年はさらに暑い夏となり、だれもが気候危機を実感しています。1月1日に起きた能登半島の地震は復興に時間がかかり、やっと復旧した一部のインフラが9月の集中豪雨によって被害をこうむる事態になってしまいました。このような地震列島で災害が多発するなかで原発の再稼働、ましてや新増設など絶対にしてはなりません。

経済に目を向けると、国が見込んだGDP成長率、実質1.5%、名目2.1%は、実質1%と下回り、名目は5%と見通しを大幅に上回りました。

区政においては1年前倒しで総合計画・実行計画等の見直しが行われ、今年度改定されました。そして基本構想に基づき事業が進められ、前年度に引き続き物価高騰対策としての支援や、新たな課題や緊急性のある課題に対して8回の補正予算が組まれ、対応がなされました。

全体的な区財政の状況は、経常収支比率が80%をわずかに超えて80.7%となりましたが、公債費負担比率などからも健全であることが確認できました。また基金残高の総額は58億2,653万1千円増で過去最高となり、区債残高についても前年度比6億936万5千円増となりましたが、基金と区債のバランスは健全であると判断しました。

私たち区議会生活者ネットワークは、決算認定に当たり、基本構想に基づく総合計画などが推進され、区民福祉の向上が図られたか、人権が守られる施策が進んだか、また持続可能な地球環境を未来に引き継げるかという視点で検討いたしました。

以下、主な課題について、決算特別委員会の質疑を踏まえて意見を述べます。

まず、防災・防犯についてです。

被害がなければ大きくとり上げられることはありませんが、震度5以上の地震は日本各地で起きています。昨夜も23区で震度3の地震があり、いつ起きてもおかしくない首都直下地震等への備えは区でも様々な分野ですすめられていますが、改めて自助・共助・公助の役割を発信し、地域での訓練を活性化させるなど、区民の防災意識の向上に資する取り組みを強化するよう求めます。また、学校防災井戸の修繕がなされたことは重要ですが、井戸水はいざとなれば沸かして飲料水にせざるを得ない場合も想定し、煮沸では取り除けないPFASなどの汚染について区内の防災井戸の水質調査の必要性を指摘しておきます。

次にまちづくり・地域産業についてです。

阿佐ヶ谷駅北東地区ではこれまでのまちづくりの取り組みを振り返り、今後の進め方を考えるための対話の場として、振り返る会やオープンハウスなどが行われ、これまでの溝を埋める努力がされたことは重要です。都市農業に大きな関心を寄せる私たちとしては、食料の供給はもとより、防災面やヒートアイランド対策など多面的な機能を持つ農地を守るため、農業者への支援や区民への農地の必要性への理解促進に取り組んだことを評価します。今後は農業者と区民の交流促進なども行い、多くの区民と共に農地を残す取り組みが行われることを求めます。

次に環境・みどりについてです。

区長をリーダーとした気候危機対策推進本部が設置され、全庁的に取り組みが進むことは、長年環境問題に力を入れて取り組んできたものとして歓迎するところです。他会派の質疑から区役所内で行われる会議でペットボトル飲料を控える取り組みが進んでいることがわかり、それを求めてきた立場として評価します。区民にも理解を広げながら継続していくことを要望します。太陽光発電が広く認知されていることに対して、省エネ対策として優れて有効な太陽熱利用については理解が広がっていないのは残念です。お湯をたくさん使う高齢者施設など効果が高い施設での利用が広がるよう、情報提供に力を入れることを要望します。

次に健康・医療についてです。

新型コロナワクチン接種では、国内で大変な被害が発生し、それに問題意識を持った医療機関や自治体が、市民に対して情報提供を行うようになってきています。ワクチンのデメリットの情報をホームページにわかりやすく掲載し、真に区民が選べるように提示することを要望いたします。HPVワクチンを男子にも助成することを求める質疑が行われました。しかし、効果が期待できるとされる肛門がんの内の扁平上皮癌は非常にまれながんであり、好発年齢は60歳以上、罹患率は100万人に2人という低さであり、予防接種を行う意味があるとは考えられません。また男子の接種によって、女子の子宮頸がんや異形成を防ぐことができたという医学的根拠(エビデンス)はありません。2024年3月14日に行われた厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会の資料「HPVワクチンの男性接種の費用対効果」では、HPVワクチン男性接種について、費用対効果が無いとしています。このことから東京都が税金を投入して補助を行うことは税金の無駄づかいであり、区が男性接種への助成を行っていないことは極めてまっとうな判断で、その姿勢を継続することを求めます。

次に福祉・地域共生についてです。

当該年度4月に「性の多様性が尊重される地域社会を実現するための取組の推進に関する条例」が施行され、「杉並区パートナーシップ制度」が開始されたことや性的マイノリティ専門相談も開始され、誰もが自分らしく安心して暮らせる地域共生社会がさらに進んだことは評価できます。今後は、パートナーシップ制度に事実婚カップルも対象に含めることが必要です。

また、高齢者の在宅生活を支えるしくみについては、独居や高齢者のみ世帯などの増加に伴い、公的な制度だけでは支えきれないことは明らかです。地域でのインフォーマルな取組に光を当て、それを担う地域住民の自発的な活動を区がしっかり支えていくことが必要です。

次に子どもについてです。

私どもが長きに渡り切望してきた子どもの権利条例の制定に向けて動き出したことは大変喜ばしいことです。様々な子どもの声を引き出し、積み上げながら議論が進められてきた「子どもの権利擁護に関する審議会答申」を受け、条例制定を確実に実現させていきたいと思います。また、「子どもの居場所づくり基本方針」の議論がすすみ、今議会に素案が示されました。現在残る児童館が存置され、今後も複合施設を前提としつつも中学校区に1館を整備していくこと、また、中高校生機能優先館の整備強化が示されたことは重要です。より多くの区民や子どもの声を反映させ、子どもの最善の利益が保障される居場所の実現に期待します。

次に学びについてです

インクルーシブ教育を進めるために、学校に作業療法士が入り、障害がある子が教室で過ごしやすくするための先生への支援などについて、これまでも求め、区は事例を研究するとしてきました。全国でも沖縄県や岐阜県飛騨市での取り組み、また岡山県は学童での取り組みが進んでいます。先進事例を研究し、モデル的に導入することを求めます。

当該年度不登校児童生徒の数は1105人と過去最多、前年度比216名増と急増しています。不登校対策として、教室に入りにくい子どものために、すべての小学校に校内別室指導の居場所が設置されました。しっかり予算を付けて、常時開催すること、そこで子どもを見守る人に対し研修を行うよう求めます。また、学校で不登校の子どもの保護者同士がつながり、必要な情報を得られ取り組みを求めます。

校庭を芝生化したところの年間の維持費がトータルで5900万円余かかっていることが明らかになりました。かねてから、芝生の養生期間に校庭を使えない問題やさらに膨大な予算がかかることから見直しを検討するよう求めます。一方人工芝は、海洋汚染になるマイクロプラスチックとなっているなど、課題が多いことから、更新時期には見直すことを求めておきます。

質疑の中でトース土工法について紹介しましたが、常に新しく有効な工法について研究し、取り組みを進めるよう求めます。

次に協働についてです。

公民連携プラットフォームの運用にWebサイトを活用し、様々な、地域活動の発信や交流会がもたれ、住民自治を進める取組みのネットワーク化が進むことに期待します。また協働推進基本方針に基づき、様々な切り口による取組が常に区民が主役で進められるよう求めます。

次に施設マネジメント計画についてです。

当該年度に施設再編整備の取組に対する検証結果が取りまとめられました。これまでの計画の進め方を再考し、計画策定段階から対話を通じて施設利用者や地域住民、運営事業者等の多様な主体と共に考えていくとして、名称も新たな「施設マネジメント計画」が策定されたことは重要です。施設にかかわる人たちが対立ではなく、共に同じ方向を向いて取り組んでいくことを望みます。

次に物価高騰対策についてです。

原油価格や物価高騰等に対して当初見込んだ約8億円に加え、地方創生臨時交付金などを活用し、住民税非課税世帯等物価高騰対策支援給付金の支給等を目的とした補正予算を計6回編成し、区民の暮らしに寄り添った対応がなされたことを評価します。

最後に会計年度任用職員についてです。この間、処遇については一定の改善がなされた点は評価します。今年6月には人事院が非正規公務員の公募試験をせずに再度の採用ができる回数の制限を撤廃すると各省庁に通知しました。このように国に大きな変化があったのは雇用年数の制限に課題があったからであり、区には欠かせない非常勤職員が安心して働ける環境になるよう、区も雇用年限を撤廃するよう求めます。

以上、評価と課題について意見・要望を付して、認定第1号2023年度一般会計決算、認定第2号国民健康保険事業会計、認定第3号介護保険事業会計、認定第4号後期高齢者医療事業会計について認定いたします。

結びにあたり、資料作成にあたられた職員の皆さま、公正公平な議会運営に努められた正副委員長にお礼を申し上げ、区議会生活者ネットワークの意見といたします。

 

第3回定例会一般質問と答弁 2024.9.12 そね文子

Q1 今定例会で「ジェンダー平等に関する審議会」の設置が提案され、条例制定などを視野に審議がされることが示された。区が本気でジェンダー平等社会実現を決意したことだと大きな期待を持って受け止めたが、区の認識と決意を伺う。

A1区長)杉並区では「男女共同参画社会を目指す杉並区行動計画」を平成7年に策定し、平成9年には「杉並区男女共同参画都市宣言」を発して、以降の約30年間行動計画を改定しながら男女共同参画社会の実現に向けた取り組みを推進してきました。この間社会全体としての男女共同参画のありようも大きく変化してきたと考える。2015年の国連サミットで採択されたSDGsのゴールではひとりひとりの人間が、性別にかかわらず平等に責任や権利や機会を分かち合い、あらゆる物事を一緒に決めることができる「ジェンダー平等の達成」が目標に掲げられ、女性男性多様な性も含めて男女共同参画の取り組み範囲は広がってきている。区でも昨年いわゆる「性の多様性条例」を制定し、パートナーシップ制度の運用を開始するなど、男女共同参画の取り組み範囲は「男女」という言葉を超えて広がっている。一方、今年実施した「男女共同参画に関する意識と生活実態調査」の結果においては「社会通念や慣習・しきたりの中で女性と男性が平等になっている」と答えた人が10%しかいないことなど、区のジェンダー平等が実現しているとは言い難い実態がある。先の定例会では「ジェンダー平等に関する新たな視点を示す必要がある」との意見もあった。これらを踏まえ、さらなる推進に一歩を踏み出す機運が醸成されたととらえて、これまでの取り組みを発展させ、「ジェンダー平等が実現した社会」の未来像を描き出すためにも専門的な知見を持つ審議会を設置すべきとの考えに至った。

Q2 施設再編の中で、より駅に近く集いやすい場所に男女平等センターの場所を確保することが必須だと考えるが区の見解は。

A2 区民生活部長)昨年度の男女平等センターの情報資料・交流コーナーの利用者は約2600人であり、地域団体との協同事業の成果もあり令和3年度との比較では1064人増となっている。現在の場所でも工夫と努力により利用者を増やすことはある程度可能と考える。一方駅に近いより利便性の高き場所にあるメリットも理解できるが、施設の移転については区全体の計画の中で考える。

Q3 困難な問題を抱える女性への支援に関する女性支援新法が本年4月から施行された。法に掲げられた理念を、区はどのように取り入れ生かしていこうとするか問う。

A3 保健福祉部長)この法律が制定された背景として、生活困窮、性犯罪被害、孤独、孤立など女性の抱える課題が多様化、複雑化する中で、女性支援の制度的根拠を補導処分、保護更生を目的とする売春防止法に置くことに限界が生じたことにある。新たな法の目的・基本理念には、女性の福祉、人権の尊重や擁護、男女平等が明確に打ち出されており、区もこの人権保障の理念に沿って、当事者の意思を尊重し寄り添った支援の実施や、女性の福祉・男女平等にかかわる関係機関による包括的な支援につなげていく考えだ。

Q4女性支援新法によって自治体の責任も明確化され、基本計画を策定することが努力義務とされた。区では基本計画策定についてどのように取り組むのか。

A4 保健福祉部長)区では困難な問題を抱える女性への相談支援体制の強化に優先的に取り組むこととし、基本計画の策定については今年度中に設置を予定している「(仮称)地域福祉施策推進連絡会」での議論のほか、「(仮称)ジェンダー平等に関する審議会」が設置された場合にはそこでの議論も踏まえ検討していく。

Q5 区ではこれまでも福祉事務所に婦人相談員を置いて対応してきたが、法施行後は名称が女性相談支援員に改められる。その相談員の専門性やスキルを担保するために何をしているのか問う。相談員に求められるのは専門性、相談者との関係性や継続性は大事であることから、配置や異動には配慮が必要と考えるが、どのような体制をとるのか聞く。

A5 (保健福祉部長)女性相談支援員の専門性やスキルを高値ることは重要であり、生活、医療、子育てなどの様々な相談に対応するため都が主催する研修に参加しスキルの向上に努めるなど研鑽を積んでいる。また、母子相談および女性相談を専門に行う職員を福祉事務所各所に配置し、異動者については経験などを考慮している。相談者との関係性や継続性は大事であり、この間各支援者が相談内容と結果を面接記録表に作成し所内すべての支援者で共有している。これは支援員の知識や経験の一助となり、異動による影響を最小限にとどめることにつながっている。

Q6 地方公共団体は支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関、民間団体、その他の関係者により構成される支援調整会議を組織するように努めるとある。会議では情報交換、支援内容に関する協議を行うとされるが、具体的にどのように組織するのか。また会議には当事者の意見が反映されることが必要だがどのようになっているか。

A6 (保健福祉部長)この支援調整会議は個別ケースの支援について協議する会議体ほか、地域における対象者の実態や地域資源の把握、支援体制の検討・評価を行う会議体であること、設置に当たっては既存の会議体を活用できることとなっている。これらを踏まえ、個別ケースについては福祉事務所がこれまで実施している支援検討会議を充実させ、区と民間を含む関係者が支援方針を協議・決定する際に可能な場合には当事者の参画を得るなど、本人の意向を尊重した支援につなげていくための会議体とすることとした。また、地域の支援体制の検討については、学識経験者や地域活動団体を構成員に、地域福祉に関する意見交換を目的とした会議体を新たに設置する。困難な問題を抱える女性の支援についても議論のテーマとし、必要に応じて民間支援団体の参加を求めていく。

Q7 家でDVや虐待があり居場所のない子どもたちがいることを認識し、区ではその支援としてイブニングステイ事業を始めた。あらためてこの事業の目的と進捗状況を問う。

A7 (子ども家庭部長)子ども家庭支援センターが支援している中高生世代の要保護・要支援児童の中には食事が十分に用意されない子や、保護者からの暴言や高い要求に心身ともに疲弊している状況にある子が少なくありません。こうした子どもたちが放課後の時間を安心して過ごし、食事の提供ほか必要に応じて子どもからの相談を受けられる環境を整備するため子どもイブニングステイ事業を開始することとした。今月、公募型プロポーザル方式により選定した民間事業者と委託契約を結びました。今後は様々な背景を持つ子どもへの職員の対応力を高め、子どもが安心して過ごせる居場所にするため、事業者には区が実施する児童虐待対応や子どもの権利擁護に関する研修を受講してもらい施設の改修などの準備をすすめ、来年の1月から運営を開始する。

Q8 義務教育を終える前に生徒全員がデートDVについて知ることが必要だと考え、中学校全校でデートDVの講座を行うことを求めてきた。徐々に進んではいるが取り組みを加速してほしい。教育委員会の考えを伺う。

A8 (教育政策担当部長)デートDVの講座については区長部局で実施しており教育委員会では校長会での周知などに協力してきた。区立中学では「いのちの安全教育」の中で多くの学校がデートDVを取り上げているので引き続き取り組むよう学校を支援していく。

Q9 人権教育として包括的性教育についても助産婦などの専門人材を活用することをさらに進めてほしいがいかがか。

A9(教育政策担当部長)児童生徒の学習については各学校で検討し、必要な内容を専門とする外部人材に協力してもらっている。性に関する指導についても、令和5年度は産婦人科医、助産婦、保健師、大学教員等の外部講師を依頼している学校が12校あった。今後も各学校で外部人材を活用した授業が行えるよう支援していく。

Q10 性暴力やハラスメントが起こりそうなとき、また起こっている場面で、加害者の注意をそらしたり、痴漢を駅員に通報したり、被害者に声をかけたりして被害を防ぐ行動をアクティブ・バイスタンダー(「行動する傍観者」)というが、このようなことを学ぶ機会を作ることに取り組んでもらいたい。区の見解を伺う。

A10(区民生活部長)男女共同参画の分野では、性暴力やハラスメントの防止に関する様々な啓発講座を実施している。今月23日に区役所で実施するハラスメント対策の講座の趣旨は「誰もが被害者にも加害者にもなりうるハラスメント」への理解促進です。重要なテーマの一つと考えているので降雨後も啓発講座の中で取り上げていく。

第3回定例会一般質問 2024.9.12 奥田雅子

区議会生活者ネットワークの奥田雅子です。

「高齢者の在宅生活を支える取組について」質問します。

今年度から杉並区高齢者施策推進計画と共に、そこに包含される第9期介護保険事業計画がスタートしました。杉並区の高齢化率は21%前後を推移していますが、65歳以上の高齢者人口は今後、年々増えると推計されています。高齢者施策推進計画によれば2023年1月1日現在、65歳以上高齢者120,191人のうち高齢者単身世帯は43,444人で高齢者人口の36.1%、高齢夫婦のみ世帯も21,061世帯で35%となっています。また、2040年には単身世帯で約59,000人、高齢夫婦のみ世帯は約57,000人に増加すると見込まれています。そして、約7割の人が在宅生活を送っており、今後、住み慣れた自宅で高齢者の暮らしをどのように支えていくのかが最大の課題だと感じています。

そんな中、今年度からの介護報酬改定では全体では1.59%+になったものの、こと訪問介護の基本報酬はマイナス2.0~2.3%となり、衝撃が走りました。訪問介護事業が黒字だからという理由で、十分な処遇改善加算を付けたから実質アップだと厚労省は説明しました。しかし、処遇改善加算は文字通り、職員の給料アップに対して使うためのお金であり、事業所に直接プラスにはなりません。事業所の経常経費や経営を支えるのは基本報酬であるはずです。しかも、たとえ処遇改善加算をしっかり得たとしてもアップにはならないという試算も出ています。訪問介護で黒字になっている多くはサービス付き高齢者住宅などに併設する訪問介護事業所で、同一建物の中をぐるぐる回れば効率的で一日に多く回れるという利点があります。一方、地域の中を自転車で10分20分と時間をかけて一軒一軒回る事業所は往復の移動時間は事業所負担になるなど、まったく事情は違ってきます。それを同じ枠組みで設定すること自体に無理があると感じています。

コロナ禍で介護の現場は疲弊しきったところに追い打ちをかけるような報酬改定は直ちに撤回すべきだと考えます。でなければ、地域に根差し、コロナ禍で不安や恐怖を覚えながらも、介護を必要としている高齢者のもとに通い続けた比較的小規模な事業所が倒産・撤退を余儀なくされているのではないかととても心配です。国は事業所の大規模化を狙っているようですが、ケア労働は効率で計ってはいけない分野だと思います。ただでさえ、介護従事者の不足が2040年には57万人、東京でいえば約7万6千人不足すると厚労省は推計しているにも関わらず、この改悪はどう考えても納得のいくものではありません。介護従事者が不足すれば、再び家族介護へと回帰していくことは必至で、この間取り組んできたケアラー支援の観点からも看過できない問題です。この危機的状況において、今後増え続ける高齢者が住み慣れた自宅で生活を成り立たせていくためにはどのようなサポートが必要かといった観点から質問していきます。

・先ず、この報酬改定について区はどのような認識を持っているのか伺います。

・昨年の第4回定例会の一般質問でも高齢者施策推進計画について取り上げ、その中では訪問介護事業所の閉鎖、倒産は新規開設の数を上回っていました。2023年度の閉鎖倒産数と開設数、2024年度8月までの状況について伺います。

・杉並区では必要なヘルパー数を何人と想定しているのか、その数字に見合った体制が図られているのか確認します。

現在、訪問介護事業に特化した調査を事業所にご協力いただいて実施しています。戻ってきた回答では、どこも人員不足が課題として挙げられ、依頼を断っている実情がうかがえ、経営的にも厳しい状況が見られました。ケアをやりがいのある仕事として選んでも、賃金が低いために少しでも良い条件の事業所に移り変わる現象も起きており、ホームヘルパーの仕事は継続しても、一つの事業所にいるのは5年未満が44.1%と半数近いという数字もあります。事業所側から見れば雇用の不安定化、厳しい経営状況につながっていることが推察されます。

・区では今後の在宅ケアを持続可能なものにしていくためには訪問介護現場の状況を把握しなければ適正な施策を展開していけないと思います。区内140以上ある訪問介護事業所の実態把握が必要だと考えますが、悉皆調査は行っているのか確認します。

・居宅介護支援事業所についても1点伺います。

利用者の状況を把握し、その人にあったプランを作成するのは主にケアマネジャーの仕事ですが、先も触れたように訪問介護事業所から断られるケースも増え、そのために代替事業所探しなどの負担が増えているのではないかと推察しています。居宅介護支援事業所の閉鎖が増えており、ケアマネ不足によりケアマネを複数から選べないと言った問題も生じているとの声も聞こえますが、区はその実態をどのように把握していますか、お聞きします。

次に、介護予防・日常生活支援総合事業(以下総合事業)について特に訪問事業について伺います。総合事業は2015年の介護保険法改正を受けて2017年より杉並区としてのサービスが開始しました。

・この総合事業については各自治体の裁量や工夫がされていると思いますが、杉並区として、この総合事業をどのような考えで進めているのか伺います。

・介護予防・生活支援サービス事業の中で、介護予防訪問事業と自立支援訪問事業があり、利用実績もだいぶ開きがありますが、その二つの事業の違いや特徴について伺います。

・この間、この総合事業を行ってきて、どのような効果が得られたのか、この事業の成果と課題について伺います。

・総合事業に限らず、介護全般で言えることだと思いますが、生活援助を丁寧に行うことは、その人のQOLを維持し、できるだけ機能低下を遅らせるという点でもとても重要なサービスだと考えています。しかし、働く側からすると、生活援助は掃除・洗濯・買い物・調理などハードワークであり、その利用者の状態の小さな変化にも対応していくなどのスキルも必要とされますが、報酬は身体介護よりずっと低く設定されています。大手の事業所は生活援助はやらないところが多く、その分、小規模にしわ寄せがきているという話も聞きます。このような実情に対する区の認識を伺います。

私は地域の中でちょっとした困りごとをお手伝いするお互い様のたすけあいの活動に参加していますが、介護保険のサービスだけではそのお年寄りの暮らしが成り立っていないケースを多く見ています。介護保険制度が在宅支援を保障するものになっていないのです。私たちのように介護保険では使えない隙間のサポートがなかったら、このお年寄りたちはどうされるのだろうと思います。特に高齢夫婦のみ世帯やひとり暮らしの人は80歳を超えたあたりから日常的な暮らしのサポートが必要になります。認知症を発症していればなおのこと、放っておけない人が地域の中にはたくさん存在していることを認識する必要があります。要介護認定率も80歳を超えるこの時期を境に一気に増えていくこと、その数値が前年よりも増えていることが今年度版の「すぎなみの介護保険」からもわかります。経済的に余裕のある世帯であれば自費のサービスと組み合わせて生活を成り立たせることはできるかもしれません。しかし、そうでなければひとりの人の暮らしをを支えることが容易ではないということを実感しています。私たちのもとにはケア24から紹介されて相談が来るケースが多く、専門的な資格がなくてもできるサポートであれば、ほとんど断ることなく、それも早いときは30分後には依頼主に到着するなど、ケア24や利用者から頼りにされる存在となっています。しかし、いずれ限界は来ると考えており、私たちのようなボランタリーベースの取組が地域の中にいくつもあるのが良いのか、それとも別のしくみが必要なのか、住民を巻き込んだ議論をすることがそろそろ必要ではないかと考えています。

・地域の中に気軽に立ち寄れて、「ちょっと困っているんだけどどうしたらいい?」といったようなやり取りができる居場所の存在は重要です。地域の人と歌を歌ったり、おしゃべりしたり、会食したりするなどのサロン活動は孤立を防ぎ、お互いに気にし合う関係を身近につくる場でもあります。また、外出できない人には簡単なお手伝いをしに出向くなど、その人の暮らしの支えの一助となる取組みに対して、区はどのように認識していますか、見解を伺います。

・区では生活支援体制整備事業の実施ということで第1層・第2層協議体が連携して住民主体の生活支援サービスや通いの場などの支え合いによる活動の開発、担い手の養成、多様な活動主体間の交流等を進めるとありますが、この認識は地域の現場で理解され、共有されているのでしょうか? 支え合い活動の開発や担い手の養成を実際に達成できている第2層協議体はあるのでしょうか伺います。

・また、地域住民による身の回りのお手伝いなどの生活を支援するサービスを行っている団体について、区はその活動内容を把握しているかどうか伺う。

・生活支援体制整備事業の中で地域でのささえあいの活動をしている団体やグループと具体的なしくみづくりについて意見交換する場も必要だと考えますが、区の見解を伺います。

次に、認知症支援策について伺います。

超高齢社会は認知症社会であると言っても過言ではありません。要介護者の要因は認知症が第1位に上がり、介護保険利用者全体の約8割は何らかの認知症があるそうです。しかし、認知症の人にとって一番見守りが必要な初期・中期に相応しいサービスがないという問題があります。介護保険の要介護認定は身体介護重視で認知症に対応できていないという指摘を昨年の一般質問でもさせていただき、高齢者担当部長からの答弁は「超高齢社会に向けては国を挙げて様々論点を整理の上、今後の各種制度等のあり方を議論、検討していくべきものと考えている。その意味で、認知症基本法の施行が大きな契機になることを期待しているところ。区としても新たに策定する高齢者施策推進計画に基づく取組を着実に推進していくことが重要だと考えている」とのことでした。

認知症基本法ができたことで、認知症に対する社会の意識がこれまでのネガティブからポジティブに変わっていくことは歓迎するものです。しかし、高齢者施策推進計画に内包された認知症施策推進計画からはいまひとつ具体的な認知症本人への支援の在り方が見えてこないと感じています。特に新たな取組はないように見受けられ、これまでの実績を見ても対応しきれているとはいいがたい状態だと感じています。

今回、認知症介護研究・研修東京センターの助言により認知症高齢者数の推計値が示されましたが、あくまで推計であり、具体的にどのようにして認知症の人とつながれるのか、医療機関との連携や介護事業所、ケア24、商店などとの連携が重要だと思います。

・区は認知症やその疑いがある家族を支えている世帯について、どのようなことを契機に把握するのか伺う。

・10月5日に区主催の「オレンジ・ランプ」の上映会があります。若年性認知症の方の実話に基づく映画で、この間、別の住民団体が2回区内で上映会を行い、いずれも大きな反響がありました。私も参加しましたが認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子さんが監修されており、上映会後に永田さんからコメントも頂きました。映画の中に登場するヘルプカードについては多くの観客が関心を示し、どこへ行けばヘルプカードはもらえるのかと何人もの人から聞かれたと主催者から聞きました。「助けて」と口で言えなくてもカードを示すことで伝えられる、認知症の人はさりげなく自らカミングアウトできる、そんなヘルプカードを自分の地域でも拡げていきたいという要望が出ていると聞いています。例えば「なみすけ」入の区独自のヘルプカードを作成して、認知症の人に留まらず、外出を促すツールとしてキャンペーンする等、普及してはいかがかと考えます。95%の人は助けを求められれば助ける、ところがそれに反して5%の人しか助けを求めない、求めることができないと聞いたことがあります。「助けて」と口に出して言うのはとても勇気がいることで、このギャップを埋めるツールがヘルプカードです。誰もが助け、助けられる、優しいまち杉並にしていきたいと思います。この度の区の認知症理解の普及啓発月間のチラシのテーマは『「わたしは認知症です」とあんしんして言えるすぎなみに』となっています。同感いたします。ヘルプカード普及についての区の見解を伺います。

・厚労省も推進しているピアサポーターによる本人支援について調べる中、「公益社団法人 認知症の人と家族の会」による2024年3月「認知症診断直後からの本人やその家族へのピアサポート活動について」の実態調査事業報告書を目にする機会がありました。この場合のピアサポートとは、認知症になった本人が他の認知症の人の話を聞き、お互いの体験を共有することで支え合う取り組みです。認知症と診断されてから実際の支援につながるまで、支援のない診断後の期間の平均が約1年1ヵ月というデータがあるそうですが、この時間を日本認知症本人ワーキンググループ代表の藤田和子さんは「空白の時間」と表現しました。素早くピアサポートの場である「集いの場」につながることは、同じ立場の人や支援者などに出会い認知症と向き合う前向きな気持ちになれるとの声も報告書には綴られています。それにはさまざまなピアサポート活動を地域の中につくること、医療機関などが診断と同時にピアサポート活動情報を本人に提供し、さらには情報提供だけでなく、一緒にそこに同行してくれるサポーターの存在も肝になるということで、ピアサポーター養成講座も必要です。杉並区で言えばチームオレンジがそういう場としてさらにブラッシュアップしていけたらよいのではないかと思いますが、改めてピアサポートという視点からの取組を確認していくことも必要ではないかと考えていますがいかがか見解を伺います。

・認知症介護研究・研修東京センターと協定を結んでいる杉並区だからこそ、このピアサポート活動などの事例を参考にしつつ、国の議論に先んじて、地域資源をネットワークし、認知症の方ひとり一人の顔の見える支援体制を構築してほしいと考えますが、区の見解を伺います。

・独居でも認知症になっても住み慣れた自宅で最期まで暮らすことができることを当たり前の社会にしたいとの思いは多くの人が抱いていることだと思いますし、私もその一人です。しかし、今の超高齢社会に制度が追いついておらず、このままでは、特に低所得の高齢者のみ世帯やひとり世帯の人たちを置き去りにしてしまうのではないかと危惧します。区が掲げている保健福祉分野全体を貫く5つの基本理念「人間性の尊重、自立の促進、予防の重視、支え合いの醸成、孤立の防止」を絵に描いた餅にしないために、区や事業者、介護・医療機関、区民が一緒に取り組んでいかなくてはならない課題だと考えています。最後にこの介護の危機をどう乗り越えていくのか、区の考えを伺って、私の一般質問を終わります。

第3回定例会一般質問 そね文子 2024.9.12

区議会生活者ネットワークのそね文子です。

「ジェンダー平等実現に向けた取り組みについて」一般質問します。

2024年、世界経済フォーラムが毎年発表しているジェンダーギャップ指数が、日本は146か国中118位と前年より少し改善したものの、相変わらずG7の中では最下位、東アジアの中でも中国や韓国よりも低くなっており、ジェンダー不平等が固定化しているという、残念な状況です。

ジェンダー平等とは、ここであえて言うまでもなく性別に関係なくすべての人々の平等な権利を認めることで、その中にはもちろん男性の権利も含まれています。

しかし現在の日本はこの順位が物語る通り、ジェンダー不平等で性差別的な社会構造にあると言え、そのギャップを埋めるにはあらゆる分野にわたる取り組みとそれを担保する法的なしくみが必要です。生活者ネットワークはかねてよりこのジェンダー平等社会を実現するためのジェンダー主流化を主要政策に掲げてきました。

日本で男女格差をもたらしている源流は、男尊女卑の思想とそれに支えられた「家」制度の下で、歴史的につくられた「男らしさ・女らしさ」を押しつけるジェンダー規範と、それを反映した制度・政策が営々と続けられてきたことにあります。日本の政府は、社会福祉の担い手として家族、特に女性を活用する「日本型福祉社会」を構想し、それを下支えする専業主婦の身分の安定化のために、国民年金においては妻を第3号被保険者とする優遇政策や、所得税における配偶者控除を新設するなどの税制上の優遇措置を行ってきました。このような政策によって、女性は経済的自立を阻まれ、家庭で暴力にさらされても男性から逃れられない、そして男性もその弱みに付け込んで暴力を繰り返すという負のスパイラルをつくり出すという悲劇も生んできました。男は仕事、女は家庭という性別役割分業の意識は長年に渡って内在化され、現在に至るまで存在し続けています。これは人権の侵害であるということを教育の力によって学ぶことでそれを意識化し、変革していくことも必要です。このような共通認識にたち、以下、質問を進めたいと思います。

今述べたような社会にあって、ジェンダー平等を実現するためには、あらゆる政策、事業、組織運営のすべてのプロセスにおいて、ジェンダーの視点に立った対応を行う、ジェンダー主流化の取り組みが求められています。

1.今定例会で「(仮称)ジェンダー平等に関する審議会」の設置が提案され、条例制定などを視野に審議がされることが示されました。これは今述べたような認識にたって、区が本気でジェンダー平等社会の実現を決意したことだと大きな期待を持って受け止めましたが、まず初めに区の認識と決意をうかがいます。

2.ジェンダー平等実現のためには、その認識を広く区民に広げるための拠点となる施設を持つことが必要です。現在の杉並区男女平等推進センターは1997年、荻窪の児童青少年センター「ゆう杉並」と同じ建物の中に設置されて27年になりますが、区民に認知されている割合は2021年の男女共同参画に関する意識と生活実態調査報告書によれば21%で多くの区民がその存在を認識していない状況です。杉並女性団体連絡会は男女平等推進センターをジェンダー平等と多様性実現のための拠点施設として、次のように要望しています。

すなわち、団体育成・グループ作り、ネットワークづくり、地域団体への働きかけ、区民リーダー育成、世界の女性との交流と連帯、居場所づくりを行える出会いと交流の場となること、各種講座・セミナー・実習・研修・講演会などを行う学習の場、資料の収集と提供などを行う情報収集と発信の場、支援の場、相談の場、調査研究の場となることで、いずれも重要で必要な取り組みです。そのための拠点としては現在の立地は便利な場所とは言えず、今後の施設再編の中で、より駅に近く人が集いやすい場所の確保を求めており、それは必須だと考えますが、区の見解をうかがいます。

いま、少子高齢・低成長時代にあって女性の貧困が社会課題となるなか、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が2024年4月から施行されました。以下、女性支援新法と言います。それまでの女性支援が、非行女性の保護更生という差別的な売春防止法を根拠にDV被害者保護等の支援という形で行われていたことからの大きな転換と言えます。困難な問題を抱える女性の福祉の増進を図り、人権が尊重され女性が安心して、自立して暮らせる社会の実現に寄与するもので、基本理念には男女平等の実現に資すると掲げられています。

私はこの夏、困難を抱える女性の支援のために神戸でオープンした「六甲ウイメンズハウス」の視察に参加しました。長年DV被害女性と子どもへの支援に取り組んできた「認定NPO法人女性と子ども支援センターウイメンズネット・こうべ」(以下ウイメンズネットとします)が、今年6月に開設した住まいですが、ここで、この開設に至るまでの活動についてお話をうかがい、困難を抱える女性への支援として、住まいを用意することがいかに重要か、改めて認識する機会となりました。

また先日は世田谷生活者ネットワークが主催した「女性支援新法のよりよい運用を考える世田谷区民集会」に参加し、城西国際大学福祉総合学部教授の掘千鶴子さんの講演と、一般社団法人Colaboの仁藤夢乃さん、DPI女性障害者ネットワークの村田恵子さん、移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長の山岸素子さん、NPO法人レインボーコミュニティcollabo代表理事の鳩貝啓美さんなど、日ごろから困難な状況にある女性の支援に取り組む団体の方々のお話を聞くことができ、女性支援新法の意義と自治体に託された役割について考える機会となりました。杉並区で女性支援新法が活かされ、困難な状況にある女性の支援が充実されることを願って、以下うかがいます。

3.まず初めに法に掲げられた理念をどのように杉並区として取り入れ活かしていこうとするかについて伺います。

この法は売春防止法体制を脱却し社会福祉に関する法律として位置づけられ、基本理念は「保護更生」から人権尊重・人権擁護、自己決定の尊重へと変わり、困難な問題を抱える女性に対する支援、女性福祉の根拠法として女性福祉を確立するためのものです。また関係機関及び民間団体との協働により、早期からの切れ目のない支援を行うこと、男女平等の実現を目指すことが示されました。

4.これによって自治体の責任も明確化され、基本計画を策定することが努力義務とされましたが、杉並区では基本計画策定については今後どのように取り組んでいくのか考えを伺います。

5.区でもこれまで福祉事務所に婦人相談員を置いて対応してきましたが、その名称は女性相談支援員に改められます。その人たちの専門性やスキルを担保するためには正規職員とすることが求められていますが、どうなっているかうかがいます。相談員に求められるものは何よりも専門性、相談者との関係性や継続性が大事になることから、配置や異動については配慮が必要と考えますが、どのような体制をとろうとしているか区の見解を伺います。

6.次に支援調整会議についてです。地方公共団体は、支援を適切かつ円滑に行うため、関係機関、民間団体、その他の関係者により構成される会議を組織するよう努め、会議では必要な情報交換、支援内容に関する協議を行うとされていますが、具体的にどのように行おうとしているのか。また、会議には当事者の意見が反映されることも必要だと考えますが、どのようになっているかうかがいます。

視察にうかがったウイメンズネットは設立当初、女性たちが集まって自分たちの色々なことをなんでも安心して話せる場所をつくろうと仲間で話し合い、「女たちの家」を開いたとのことです。そこで電話相談を受けると電話が鳴りやまなかった。私には帰る家がない。家ですごい暴力を受けているなど、6割が夫の暴力の相談だった。安心して相談するためには安心して住める家がなければ、と考えたそうです。これを裏付けるデータとして、内閣府男女共同参画局が行った2023年度の男女間における暴力に関する調査結果でも25.7%の女性が夫からの暴力を経験し、その内の4割が何度も受けたという結果です。

六甲ウイメンズハウスに入居する女性は、自立の意思がある、DV被害者とその子ども、児童養護施設を出た直後の人、外国人、留学生、学生、など様々な困難を抱えた人を対象としています。ハウスの中にはロビー、キッズスペース、コミュニティカフェなどのパブリックエリアがあり、居住者専用のエリアにも学習スペースが設けられていました。幼い子どもを抱え孤立していた母親たちは、キッズスペースで子どもを見ながら同じ境遇の人たちやスタッフと言葉を交わし、仲間を得て本当に喜び、安心することで自分らしさを取り戻していくそうです。入居期限は学生が4年、それ以外の人は3年で、次の住まいに移るステップハウスとなっています。

杉並区では、相談を受けた被害者の支援の際に、一時保護施設やステップハウスなどを運営する民間団体と連携協力することがあると思いますが、営利を目的としない施設運営は経済的にとても厳しい現状があります。区が有効な補助を行ってくださることを要望します。

一般社団法人Colaboでは、困難を抱える若年女性の支援をおこなっています。家でDVや虐待があり、居場所がない子どもたちが新宿歌舞伎町のトー横に集まり、特に若い女性たちが性的搾取、性被害に遭っています。場所的に近い杉並区からも通っている子いてもおかしくありません。Colaboでは新宿にバスを改装した居場所となるカフェを開き、そこで女性たちは無料で食事や飲み物をとることができ、Wi-Fiを使いスマホの充電をし、必要な物品やコスメ、コンドームなどの提供を受けています。夜の街で女性に声をかけてくるのは性搾取を目的とした者、買春者、宿や食事の提供と引き換えに体の関係を求める大人などで、少女たちは危険に取り込まれています。多くの少女が、これまで信用できる大人に出会ったことがなく、一日を生きるのに精いっぱいで自分の困りごとに気づいていなかったり、あきらめ感が強かったり、自暴自棄になっていたり、自分が悪いと思っていたりして、相談や支援につながりにくい現状があります。このような少女たちに対し、コラボの支援を受けたメンバーが「声掛けチーム」としてアウトリーチを担い、「少し前の自分たちと同じような状況にいる子たちに、Colaboにつながってほしい、下心のある大人についていかなくても力になってくれるところがあると知ってほしい」と活動しているそうです。一緒にご飯を食べようと声をかけ、日常を共にすることでお互いを知り、関係性をつくるところから始める伴走支援は本当に必要な活動だと頭がさがる思いです。

7.杉並区でも、このような子どもたちがいることを認識し、その支援として、イブニングステイ事業を今年度から始めたことと思いますが、あらためてこの事業の目的と進捗状況をうかがいます。

8.女性支援新法には教育・啓発について、教育機関との連携も示されており、自己がかけがえのない個人であることについての意識の涵養が謳われています。

これまでも生活者ネットワークは義務教育を終える前に全員がデートDVについて知ることが必要だと考え、中学校全校でのデートDVの講座を行うことを求めてきました。徐々に進んでいますが、もともとの目標が低すぎると思います。取り組みを加速していただきたいと思いますが、教育委員会の考えを伺います。

9.また私たちは性に関する犯罪や搾取、人権侵害が多発する背景には日本の性教育の貧困さがあると考えており、人権教育としての包括的性教育が不可欠であることをこれまで主張してきました。同じことを助産師の方たちも指摘しておられ、包括的性教育を推進するためにもっと自分たちを使ってほしいと提案されています。助産師などの専門人材を活用することをさらに進めてほしいと思いますが、見解をうかがいます。

10.ジェンダー平等についてはすべての区民に理解を広げることが必要です

世田谷区の男女共同参画センターでは「ジェンダー平等実現のためにぼくたちにできること」として男性向けの連続講座がスタートし、1回目はアクティブ・バイスタンダーについてでした。行動する傍観者という直訳ですが、性暴力やハラスメントが起こりそうな時、また起こっている場面に出くわしたときに、加害者の注意をそらしたり、痴漢の場合には駅員に通報したり、被害者に声をかけたりして被害を防ぐ行動をとれる人を増やすものです。杉並区でもこのようなことを学ぶ機会をつくることに取り組んでいただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。

ここでDV加害者更生プログラムについてもひと言述べたいと思います。海外ではDV被害女性が保護されることと同時に、加害者が逮捕された後、更生プログラムを受けることが義務付けられています。このようなプログラムは、実は日本でも行われていますが実践例が少ないのが現状です。DV被害を受けた女性のうち離婚するのは約1割でそれ以外の多くが、子どものことを考えて、または経済不安など様々な理由から、そのまま配偶者のもと留まるという結果があります。加害者更生プログラムは必要不可欠なものだと考えますが、残念ながら日本では普及が進んでいません。

内閣府男女共同参画局では加害者プログラムを、配偶者からの暴力防止に向けた重要な施策であり被害者支援につながるとして推進を掲げ、都道府県などにも取り組むことを推奨しています。東京都でも今年度、加害者更生プログラムを行う団体への補助の公募を行い、4つの団体に補助を行ったことを確認しました。加害者更生プログラムを実施しているNPO法人女性・人権支援センターステップ代表の栗原佳代美さんに話を伺ったところ、加害者は変われる、それは社会からDVをなくすことの有効な手段で、児相、自治体の相談窓口の相談員など多くの人に知ってほしいということでした。ぜひ、杉並区でも今後の取り組みに向けて、学ぶことから始めていただくことを最後に要望いたします。

今回、この質問に取り組んだことで、私自身に内在化したジェンダーや、女性として経験してきた不平等を改めて認識する機会となり、障がいがある人、性的マイノリティ、外国籍の人など困難を抱える人たちの課題も共有しながら、誰にとっても生きやすいジェンダー平等社会を目指すことの意義を再認識することとなりました。今後も継続してこのテーマに取り組んでいくことを申しあげ質問を終わります。

第2回定例会一般質問と答弁 2024.6.5 そね文子

新型コロナワクチンの副反応被害の事実に基づく検証について

Q1.新型コロナワクチンの国の副反応疑い報告について、全件数、重篤の件数、死亡者数について問う。

A1.(杉並保健所長)4月15日発表の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会検討部会の資料によると医療機関からの副反応疑い報告件数は36,876件、うち重篤8,932件、死亡1,646件。製造販売業者からの報告件数は28,289件、うち重篤は記載なし、死亡は2,114件となっている。

Q2.すべてのワクチンの47年間の救済が認められた数が3,636件でそのうち死亡は158件、それに比べて新型コロナワクチン副反応で救済が認められた数が7,354件、そのうち死亡は593件である。たった3年間で認定数は2倍、死亡は約4倍になっている。この事実について区の見解を問う。

A2.(杉並保健所長)新型コロナワクチンはその他すべての定期予防接種の回数に比べ、当区の令和4年度の実績で見ても約2.6倍と多いことや、これまでの定期接種と異なり、6か月以上のすべての年齢層が対象であったことなどが関係している可能性があると考える。

Q3.新型コロナワクチンの区内の副反応疑い件数、重篤の件数、死亡者数を問う。また予算特別委員会で確認した数から増えていればその数を聞く。

A3.(杉並保健所長)5月31日時点の区民の副反応疑い件数は全体で85件、うち重篤は29件、死亡は8件でした。予算特別委員会で報告した2月13日時点より全体で2件増加し、重篤、死亡者は増えていない。

Q4.区は2024年5月「杉並新型コロナ感染症対応記録」を発行したが、この記録の概要、工夫した点、今後これをどのように生かしていくのか考えを問う。

A4.(杉並保健所長)この記録は国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認された令和2年1月から、コロナが5類感染症に移行した令和5年5月までの間の区に、都、区における感染者の動向やコロナ対策に関する取り組みなどをまとめたもので、時系列に記載することでその水位が把握できるよう工夫した。今後新たな感染症等の対応を行う際には、この記録を参考に迅速な意思決定や対応を図っていく。

Q5.区の感染症対応記録にはワクチン副反応被害のこと、救済制度所の申告件数、認定数も掲載してほしかった。報告書はWEB発行なので、改めて副反応のページ追加してもらいたい。

A5.(杉並保健所長)本報告者は5月8日に新型コロナウイルス感染症の位置づけが2類相当から5類になる約3年半の感染状況に応じた区の取り組みについて、感染症予防対策、地域協体制の強化、ワクチン接種体制整備など分野ごとにまとめたものだ。これらの取り組みの結果や効果については言及していないので、接種後の副反応についても掲載する予定はない。

Q6.区で救済制度の申請を人の具体的な症状はどうだったか。

A6. (杉並保健所長)じんましん、アナフィラキシー、肩関節周囲炎、発熱、急性心筋宴などである。

Q7.ワクチン接種が始まった後の第5派から大きな感染の山が見られ、接種が進むほどに感染が広がったことは事実と考えるが区の見解は。

A7. (杉並保健所長)ウィルスが感染性の高い株に変異したことが大きな要因と考える。

Q8.厚労省に報告されている約2.200名の死亡という大きな被害が出ている。この重大な被害を出しているワクチン接種をいったん中止し、検証することが必要だと考えるが区の見解を問う。

A8. (杉並保健所長)ワクチン接種については国が判断すべきことであり、有効性、安全性についても国の責任で検証されるべき事項であると考える。

Q9.2月16日の国会で原口一博議員が新型コロナワクチンに感染、重篤化予防効果はあるのか質問し、厚労省は現在調べているところだと答弁している。区はこれをどのように受け止めるか。新型インフルエンザ等対策推進会議の意見に対する見解も併せて問う。

A9. (杉並保健所長)先に答弁した通り、推進会議の意見を含めワクチンの有効性、安全性については国の責任において検証されるべき事項であると考える。

Q10.平常時にワクチンの治験環境の整備・拡充・数万人単位の大規模臨床試験が必要、薬事認証プロセスの迅速化と基準整備との記載がある。現在日本の製薬会社の工場が次々と建てられ、薬事承認が迅速化され、国民が安全性未確認のワクチン漬けにされていくことを危惧するが区の見解は。

A10. (杉並保健所長)ワクチンの薬事認証は医薬品医療機器等法に基づき実施されており、治験被験者の人権の保護は確保されている。今回の新型コロナの対応を踏まえ、さらに有効な感染症対策を行うため、より迅速に承認を行う制度として緊急承認制度が創設されましたが、ワクチンの治験環境整備等については国の責任において実施されるべき事項である。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画について

Q11.新型インフルエンザ等対策政府行動計画の情報提供・共有・リスクコミュニケーションを見ると、平常時から国が都道府県及び市区町村の福祉部門や教育委員会などと連携して、感染症や公衆衛生について情報提供・共有を行う。また学校教育の現場をはじめ、子どもに対するわかりやすい情報提供・共有を行うとしている。これは自治事務への指示に当たり、自治の侵害ではないか。子どもたちの間により強い同調圧力を生むことを危惧するがいかがか。

A11. (教育委員会事務局次長)当該計画における情報提供等は、これまでと同様に国と地方自治体が連携し感染症に関する情報を共有するものであり、学校現場などに対する国からの指示には当たらないと考える。

Q12. 5月13日の参議院行政監視委員会での議員の質疑の中で、ワクチン担当大臣の「ワクチンにより亡くなった人は誰もいない」との発言が取り上げられ、多くの人が予防接種健康被害救済制度に申請しておりワクチンに起因して亡くなった人がいるのは事実だと述べた。後から振り返ると大臣が誤情報を流していたことになり、多くの国民がこのことを知ることからパブコメに多くの意見が寄せられたと考えるが区の見解を問う。

A12.(危機管理室長)パブリックコメントには約19万件の意見が寄せられたと聞いており、国民の関心が高かったことがうかがえますが、意見の内容は明らかになっておらず、件数が多かった具体的な理由について見解を述べることは困難である。

Q13. 初期時に「偏見・差別などの偽・誤情報への対策として、国はSNS等のプラットホーム事業者が行う取り組みに対して必要な要請や協力等を行う」とある。これは発信されている情報を消すということで、政府に都合が悪い事実が消され、必要な情報が得られなくなること、また政府に都合の悪い発言を恣意的に取り締まることに法的根拠を与えることになると危惧するが区の見解は。

A13. (危機管理室長)不適切で誤った情報が流布されることで国民生活に混乱が生じることのないよう、国が適切に対処することは人権を守る上でも極めて重要だ。しかしこれが恣意的に運用されることはあってはならず、この点を踏まえ国には国民の理解が得られるよう、その時点で得られた科学的知見に基づく確かな情報をいち早く正確に提供することに努めてもらいたいと考える。

Q14. 地方自治法の改正と呼応するように、国が自治体に指示を出し、言論を封殺し、新薬開発のためのモルモットにするような計画に、多くの国民が危機感を持ち連休中にもかかわらず多くのパブリックコメントを寄せた。区としても区民の命を守る立場でこの行動計画に対して他の自治体の首長とタッグを組んで計画改定の見直しを求めてほしいが区の見解は。

A14. (危機管理室長)国に対して行動計画改定の見直しを求めることについては現時点では考えていない。パブリックコメントを踏まえた国の計画改定の動きを注視していく。

多文化共生の推進について

Q15.「多文化共生基本方針」について策定にいたった背景と目的を確認したい。

A15. (文化・スポーツ担当部長)国は、外国人住民の増加や多国籍化などの社会経済環境の変化に対応するため、令和2年に「地域における多文化共生推進プラン」を改訂し、地方公共団体に多文化共生の取り組みを推進するよう求めている。区としてはこれまでもすぎなみ交流協会と連携して外国人相談窓口の設置、子ども日本語教室の実施など外国人支援に取り組んできたが、こうした取り組みをさらに推進し、マイノリティである外国人等を含め誰もがいきいきと暮らし地域社会が活性化できるよう、国の動向も踏まえ区の基本的な考え方tp取り組みの方向性を示す「杉並区多文化共生基本方針」を策定することとした。

Q16.方針策定のために設置した多文化共生推進懇談会に、より広く区民の意見を取り入れるためには公募区民をいれたほうがよかったとかんがえるが、今回そうしなかったのはなぜか。また今後どのように区民の意見を聴こうとしているのか。

A16.  (文化・スポーツ担当部長)同懇談会は在住外国人支援や多文化共生しゃかいについて専門的な見地や当事者の視点から意見や助言を聞く場として設置した。そのため多文化共生等に知見のある学識経験者をはじめ、当事者である在住外国人、地域の事情に明るい町会連合会から推薦された区民等の校正となった。一方広く区民の意見を聞くために、無作為抽出による4千人へのアンケートや多文化共生の推進のとり組む団体へのヒアリングに加え、パブリックコメントとは別に方針案を策定する前段階で広報等を通じて意見を募集する。こうして集まった意見を踏まえて、文化・交流課が主体となり多文化共生基本方針を策定していくが、そのプロセスにおいては組織横断的に会議を開催するなど全庁で共有を図っていく。また人権擁護に取り組む関係各課の連絡会議や子どもの居場所づくりを検討する会議の場も通じて多くの部署と連携していく。

Q.17  5月25日に実施した「聴っくオフ・ミーティング」には区長も参加したとのことだが、どのような人が参加し、どのような話し合いが行われたのか、基本方針を策定するに当たっての区民の声を聞く機会として捉えられているのか、区長の感想と併せて問う。

A.17 (区長)ミーティング参加者は無作為抽出した区民と広報すぎなみを見て応募した人、区内在住の外国人です。ディスカッションでは、外国人から日本で暮らしていくには「こころ」「言葉」「制度」の3つの壁が存在するという話があり、日本人、外国人が地域で共にいきいきと暮らしていくためにはどうしたら良いかアイデアを出し合いました。参加者からは「食をテーマに、誰でも立ち寄れるダイニングを作ったらどうか」「私たちは無意識に偏見を持っていることを常に意識したい」という意見があった。今回のミーティングでいただいた意見は方針の策定に生かしていく。感想だが、私自身が外国で苦労して暮らしてきたことを思い出した。外国人が日本語でワークショップに参加するのがどれだけ大変なことかよくわかります。外国に暮らす中で、その社会が私のことを歓迎していると感じられたときは本当に嬉しかったことも思い出しました。この取り組みを進めていく中では日本人がやさしい日本語を書いたり話したりする練習も必要だと思いました。マイノリティである外国人と地域社会のみなさんと一緒に、人権の尊重を前提に誰もがいきいきと暮らせる杉並をめざして多文化共生の取り組みを進めていく思いを強くした。

Q18. 区では子どもの権利擁護に関して取り組みを進めているところだが、子ども日本語教室においても子どもの権利に沿った運営がなされていくべきと考える。また子どもの権利については子どもが学ぶことはもちろん、そこに関わる大人が学ぶことは更に重要である。子ども日本語教室の運営にかかわる大人が子どもの権利について学習する機会を持つことが必要と考えるが、区の見解は。

A18.(文化・スポーツ担当部長)子どもがかかわる教室である以上、当然ながら子どもの権利に沿った運営となるよう取り組んでいく所存であり、教室に関わる大人が子どもの権利について学習する機会をつくっていく。

Q19. 子ども日本後教室に通う子どもの保護者を対象として相談会が始まっているが、どのような相談があるのか、そこから見えてきた外国人のニーズはどのようなものか。

A19. (文化・スポーツ担当部長)子ども日本語教室では、月に2回保護者を対象に相談会を開催している。相談会では、「子どもが何を勉強しているのかわからない」「学校の手紙が読めない」という困りごとや、「ボランティアや他の保護者と話せてよかった」という交流を求めるこえがあがっており、在住外国人が気軽に相談できる場や交流できる場を欲していることがわかった。

Q20.多文化キッズサロンの場所探しに力を入れていると思うが進捗状況はいかがか。多文化キッズサロンでは、学習支援・相談・交流・居場所などがあげられているが、現在子ども日本語教室で学習支援を行っているボランティアは交流を担う協働のパートナーになると考えるが区の見解は。

A20. (文化・スポーツ担当部長)多文化キッズサロンの実施場所については、施設マネジメント部門とも情報を共有し、民間施設を含め候補地の検討を進めている。子ども日本語教室の運営を支えるボランティアは、日本語の学習支援にとどまらず、区内大学と連携して日本の季節や伝統を学べる行事を企画するなど、地域との交流にも大きな役割を担ってもらっているので、多文化キッズサロンにおいても強力なパートナーになり得ると認識している。

Q21. 外国にルーツのある外国籍や日本語のコミュニケーションが難しい日本国籍の子どもの小中学校の在籍数、国籍などを確認したい。またその子どもが在籍している学校の数を問う。

A21. (教育政策担当部長)外国籍の子どもは本年5月1日現在、区立小学校40校に261名が在籍している。国籍は中国136名、ネパール52名、ベトナム13名その他60名である。区立中学校21校に72名が在籍し、中国26名、ネパール24名、韓国5名その他17名である。外国から帰国し日本語指導が必要な日本国籍の子どもは区立小学校に8名、区立中学校に4名在籍している。

Q22. 子どもへのさまざまな支援が必要だが、どのようなメニューがあるのか。

A22. (教育政策担当部長)支援の方法としては、指導者が学校を訪問して一人当たり120時間実施する日本語指導がある。また、小中学校それぞれの希望者を対象とした子ども日本語教室がある。さらに外国籍の新入生の保護者に対し、入学前に日本語に加え中国語、ハングル、英語、ネパール語で作成した就学手続きの案内を送るとともに、就学先不明の外国籍の子どもの保護者に就学先調査と就学方法の周知を行い、外国籍の児童生徒の就学機会の確保を図っている。その他学校からの申請により、教育委員会からAI翻訳機の貸し出しも行っている。

Q23. 杉並区交流協会に通訳ボランティアを依頼する場合は誰が派遣を頼むのか。通訳ボランティア派遣の周知が必要ではないか。

A23. (教育政策担当部長)学校から交流協会には管理職が依頼する。本制度の周知については交流協会とも連携し、校長会や副校長会などで情報を伝えていきたい。

Q24. 通訳ボランティアの費用は気兼ねなく使えるように確保されているのか。費用の確保、どこからそれを支出するのかを明確化しどの学校でも使いやすくする環境整備が必要だがいかがか。

A24. (教育政策担当部長)保護者面談等で通訳ボランティアの派遣実績があるが、各学校が自校に配当されている学校サポータ予算で対応している。学校サポータ―予算は本来地域の人々が技能や知識、経験を生かしてキャリア教育や防災教育など、子どもたちの学びを豊かに展開することを目的にしているため、今後通訳ボランティアの費用確保を含め必要なときにボランティアが派遣できるように関係課で協議していく。

Q25.保護者に日本の学校を説明することが必要だと考える。多言語でそれを説明する冊子などがあればいいが、区の見解は。

A25. (教育政策担当部長)東京都教育委員会が作成した、日本の学校で楽しく学ぶためのデジタル資料がある。小中学校での授業や日常生活の様子、持ち物や日本の学校の習慣などが動画で紹介され、オンラインで視聴できる。英語、中国語を含め5か国の言語で作成され、日本語の字幕を表示する機能もある。このデジタル資料を活用したい。

Q26. 高校受験や進学に当たって外国ルーツの子どもの支援を行っているボランティアの手の届かないところはどうなっているか。十分なサポート体制をつくってほしいと考える。また、高校受験と進学について多言語で冊子を作り、制度や手続きがわかる情報提供をしてほしいがいかがか。

A26. (教育政策担当部長)進学指導を行うのは学級担任など学校教員の役割だ。日本語指導を必要とする子どもは年々増加しており、日本語指導や子ども日本語教室の指導者と連携しながら情報提供を進めていく。さらに都立高校への入学を希望する子どもたちには、英語、中国語、韓国語、朝鮮語で作られた冊子があり各学校を通して配布している。加えて、先に述べた東京都のデジタル資料には高等学校版もあり、中学生の進学指導も目的の一つとしているので活用していく。

Q27.日本語の取り出し授業の指導者は退職した先生が支援を行うことが多いと聞いたが、日本語教育についてはどうなのか。研修の機会が必要ではないかと考えるが区の見解は。

A27. (教育政策担当部長)令和3年度から大学教授や区の子ども日本語支援総括コーディネーター等の専門家を講師として、年1回指導者向けの研修を実施している。引き続き指導力向上を図るため、学校の長期休業中を中心に研修を実施していく。

Q28. 保育園でも通訳ボランティアが必要になることがあると考えるが実績がない。どのように対処されているのか。外国ルーツの保護者が困っていることはないか。調査と制度の周知が必要だと思うがいかがか。

A28.(子ども家庭部長)保育園での保護者対応ですが、日本語がわからない保護者に対しては入園のしおりや園だよりをひらがなやローマ字で表記したり、漢字にルビを振ったりするなどの対応をしている。保護者が入園の説明等を聞く際には、日本語がわかる家族や知人と一緒に来るほか、いわゆる翻訳アプリを使用するケースが多くなっている。私立保育園においても同じ対応を行っていると聞いている。これまで入園の説明等において言葉が通じないことで困ったという声はあがっていないが、保護者が安心して子どもを保育園に預けられるよう各家庭の事情等を聞きながら対応を行っていく。なお、保育園への調査と通訳ボランティアの周知については保育所等との連絡会を通じて行っていく。

 

第2回定例会議一般質問と答弁 2024 6.5 奥田雅子

 

指定管理者制度の検証および今後の方向性について

Q1.「指定管理者制度の検証報告書」では、財政負担についてはスポーツ施設で11,3%、図書館で29,6%の経費削減となったとあるが、その要因はどこにあると認識しているか伺う。

A1.(区政イノベーション担当部長)スポーツ施設においては、指定管理者制度の導入により複数施設を一体的に管理することで、人員配置や物品の一括購入等による運営の効率化が図れたこと、図書館の場合は、施設の繁閑に合わせた柔軟な人員配置を行えたことによる人件費等の経費削減が主な理由である。

Q2.集会施設は逆に6%増となり、それは大規模改修や機能の追加など、制度導入前と条件が違うことが理由となっているが、大規模改修や機能追加の何が増加の要因になったのか、指定管理にしなかった場合と比較するとどうだったのか伺う。

A2.(区政イノベーション担当部長)集会施設の場合、大規模改修に合わせて共有スペースにカフェを設置したり、動線をスムースにするための諸室の配置変更を行うなど、指定管理者制度導入前後で施設の設備面が大きく変わり、維持管理費が増えたことが経費微増の主な理由となる。また、委託業務の時には含まれていなかった建物修繕の際の立ち合い業務などが、指定管理業務には含まれていることも、経費微増の原因として挙げられる。

Q3.従事者に対しては「総合的に働きやすい」と回答したのは79,3%だったが、20,7%の人はそうは回答していない。その2割の声をどのように把握しているのか伺う。

A3.(区政イノベーション担当部長)働きにくいと回答した方の多くが、人間関係に課題があると感じていることを把握している。

Q4.正社員以外の従事者に無期労働契約への転換を42,9%の指定管理者が促しているということは分かったが、区はこの数字をどう捉えたのか伺う。

A4.(区政イノベーション担当部長)正社員以外の従事者に無期労働契約への転換を42,9%の指定管理者が促しているという結果については、想定よりは多かったとはいえ、すべての対象者に当該制度が周知され、希望する働き方ができるよう、引き続き指定管理者に働きかけていくことが必要であると考えている。

Q5.昨年7月8日に指定管理者制度をテーマに行った「聴っくオフミーティング」では、どのような意見やアイデアが出され、今回の検証にどのように反映されたのか伺う。

A5.(区政イノベーション担当部長)より多くの人が施設利用につながるよう、区民参加型イベントを実施することや、利用者の声を運営に生かすため、利用者との定期的なミーティングの場を設けてはどうかなどの提案があった。また、各施設で魅力的な取組を行っているにもかかわらず、情報がなかなか届いていないといった声もあり、こうした声を受けて、「ガイドライン」に、指定管理者が、より多くの区民にサービスを知り、利用してもらうための取組を工夫して行うよう記載していく。

Q6.「従事者がスキルを伸ばし、やりがいを持ち、働きやすいと感じる職場とするための取組に伴うコストについて配慮する」については、どう配慮するのか。また、どのような働き方であろうと賃金がきちんと支払われる人件費の積算が必要であり、そのためには、正規・非常勤・パートの配置方針やどの賃金を目安に決めるのかなどを明確にする必要があると考えるかどうか。区の見解を伺う。

A6.(区政イノベーション担当部長)従事者のスキルを伸ばし、やりがいを持ち、働きやすいと感じる職場とするための取組は極めて重要であるため、今般策定する「施設運営パートナーズ制度導入・運用ガイドライン」に、人件費の積算に当たっては、公契約条例に基づく労働報酬下限額以上の賃金が支払われるようにすること、指定管理業務に必要な経費には、指定管理者が行う人材育成に係る経費を含むことを盛り込んでいく。

Q7.報告書では公の施設を民間に委ねたとしても、区が施設設置者としての責任を果たす必要があることに改めて触れている。当たり前のことだが、その意識が薄いと感じることもあった。区職員が施設運営の経験や提供するサービスに関する知識をつけていくには現場を持つことが必要。直営の施設を確保することが職責を果たすために重要と考えるが、区はどのような施設を想定して直営を残していくと考えているのか伺う。

A7(区政イノベーション担当部長)昨年度に実施した指定管理者制度の検証に基づき、今般、指定管理者制度の導入・運用に関して方針とガイドラインを策定し、本定例会の総務財政委員会に報告する予定だ。この中に、既に盛り込んでいるものもあるが、従事者の労働環境をより改善するための取組や、区として蓄積すべきノウハウなどの面で、今後更に検討を深めなければならない課題が残っていると受け止めている。そのため、今年度から設置した「区政イノベーション本部」の下に検討グループを設け、これらの課題について検討し、今年度末を目途に、ガイドラインのブラッシュアップを図っていきたいと考えている。

Q8.指定管理期間の設定について、報告書にある指定管理者の創意工夫や専門性をさらに発揮できることや初期投資の回収期間を考慮することに加え、例えば社会福祉施設や保育施設などは、利用者と施設職員との継続的な信頼関係が特に必要と認められるため5年以上の期間とする場合も想定できる。そのため5年を超える場合も含め、指定管理期間の考え方を明確にしておく必要があると考えるが区の見解はいかがか伺う。

A8.(区政イノベーション担当部長)施設の特性に応じた指定管理期間の設定についてもその中で検討していく。

Q9.報告書では地域との連携情報公開、環境問題への対処や男女共同参画社会の実現が取り上げられているが、マイノリティの方への配慮や様々な障がいのバリアフリーを忘れてはならない。以前にも全盲の方と共に地域区民センターのバリアチェックをし、課題を質問に取り上げたこともあったが、ハード面だけでなくソフトで解決できることもあるため、従事者の研修も必要である。区がどういう施設づくりをしていきたいのかのビジョンを明確にし、一緒に実現していくパートナーを選ぶという姿勢が重要だと考えるがいかがか伺う。

A9.(区長)議員ご指摘のように、事業者には区がどういう施設づくりをしたいかというビジョンを共有し、ともにそれを実現していくという姿勢を持ってもらうことが大切であるため、相手方となる事業者を「パートナー」と呼ばせていただくこととした。今後は、それぞれの業務の特性に応じて、区職員のサービスに関する経験や知識を蓄積できる直営、指定管理、業務委託等の適切な運営方法を選択していくことが重要であり、そのため、直営以外の運営方法を選択する場合の基本的な考え方を示してまいりたいと考えている。

Q10.モニタリングの充実について、一緒に実現していくパートナーとして課題を共有するためのモニタリングであってほしいと思う。様々な視点から行ったモニタリングの結果をもとに、議論する場として外部委員を含む評価委員会を設けることも必要だと考えるが区の見解を伺う。

A10.(区政イノベーション担当部長)モニタリングの実施方法等についても、「区政イノベーション本部」の下の検討グループで検討していく。

Q11.公共の再生を政策の中心に掲げる岸本区長は、この指定管理者制度に対して、検証の結果を受けて改めてどのように捉えたのか伺う。

A11.(区長)今回の指定管理者制度検証により、概ね区民満足度の高いサービスが提供されていることを確認できた。指定管理者制度は、事業者等の専門性を生かし、地域に根ざした良質なサービスが提供でき、安定的な雇用の確保を図るための一つの有効な手法と考えているが、一方で、不安定な雇用形態にある従事者が多い等の課題もあると認識している。

地方自治法改正について

Q12.今回、国が地方自治体に対して補充的な指示が必要であるとした主な理由として、新型コロナ感染症のまん延時に従来の法制で想定されていない事態が相次いだことや自治体からの情報が迅速に提供されなかったこと、国から大量に発出された通知に現場が対応できなかったことなどを挙げており、国が直接関与できればうまく行ったかのような印象操作がされている。区の受け止めを伺う。

A12.(政策経営部長)先の第33次地方制度調査会答申では、「補充的指示」を必要とする背景として、「コロナ禍において感染動向等が地方自治体から国に対して迅速に提供されなかった」旨や、「国から地方自治体へ大量に発出した通知に現場が対応できなかった」旨が述べられているが、これらは、例えば「国が各自治体の状況を把握せずに提出を求めたため、求めた数値が保健所等での集計方法に合致していなかった」ことや、「事前の協議が十分でない状況で通知を発出したため、コロナ対応に追われていた保健所において国からの通知に対応しえなかった」ことなど、様々な理由が考えられ、国に指示権があるだけで解決し得る問題ではなかったと考える。

Q13.個別法を根拠としない特例として、国会も通さず、閣議決定で決める「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」時に国の自治体への直接関与を認めることは地方自治体の本旨に矛盾するものと考える。個別法を改正すれば済むことであり、「補充的指示」などと地方分権の根拠を揺るがすことを軽々に論じてほしくないと思うが、区の認識を伺う。

A13.(政策経営部長)過去に起こった震災や新型コロナにおける教訓は、各個別法の改正によって対応し得るものであり、今後の想定されていない事態において、一般法である地方自治法において、一律に国が地方自治体へ、国会の承認も経ずに「補充的指示」を発することは、国と地方の対等・協力の関係を損ないかねないと危惧するところだ。

Q14.自治体は国の下請け機関ではないと強く主張すべきだと思うが、区の認識はいかがか。

Q16.今回の地方自治法改正案に対して、庁内ではどのような議論がされたのか。杉並区として何らかのアクションを起こすべきだと考えるがいかがか。

A14.16(政策経営部長)区では、当該答申が出された昨年末以降、国の動向を注視していたが、答申を受けた法律案は、危惧するところを拭いきれない内容であったため、区としても考えを表明することについて検討に入った。区においては、東日本大震災の際、国に先んじて災害時相互協定を締結していた自治体と連携して迅速かつ的確な支援をし、その成果を踏まえて結成した「自治体スクラム支援会議」の取組があるので、支援会議を構成する自治体に声明の発出について声かけすることとしたものである。結果的にすべての構成自治体と共に声明を発することができ、また、総務省へ要請書も提出することができた。このことは、杉並区が単独で行った場合に比べ、より意義があり、かつ高い発信効果が得られたものと考えている。

Q15.改正案では、地域住民の生活サービスに資する活動を行う団体を首長が指定できるとし、支援や調整の規定を整備するとしていることは問題である。地域で活動する市民団体との連携・協議は、自治体が自治体議会を含めて市民と共に議論する課題であり、法律で規定すべきではないと考える。また、特定の団体を恣意的に優遇することも可能となり得ると危惧するが、区はどのように考えるか見解を伺う。

A15.(区政イノベーション担当部長)改正案の冒頭の条文には、「市町村は、地域の多様な主体の自主性を尊重しつつ、これらの主体と協力して、住民の福祉の増進を効率的かつ効果的に図らなければならない」とあるが、法改正によらずとも、区としてはこれまでもそのような協働の取組を進めてきた。法改正による当該制度は、各地方自治体の判断により条例によって導入を図るものとされており、今後、仮に法改正がなされた場合には、国からさらに詳細な内容が示されることと思うので、これを精査し、慎重に導入の必要性等について検討していく考えだ。なお、恣意的な運用については、法に基づくか否かを問わずあってはならないことであり、現状の取組においても運用の明確化や透明性の確保等により防止に努めている。

第2回定例会一般質問 2024.6.5 そね文子

区議会生活者ネットワークとして

1.新型コロナワクチンの副反応被害の事実に基づく検証について

2.新型インフルエンザ等対策政府行動計画について

3.多文化共生について質問します。

新型コロナワクチンの副反応被害の事実に基づく検証について

新型コロナウイルス感染症が日本で初めて確認されたのが2020年1月でした。この感染予防にと2021年2月から、まずは医療従事者に新型コロナ感染症に対応するワクチン接種が始まりました。私はこの新しいタイプのmRNAワクチン接種については関心をもって、度々質問に取り上げてきました。ワクチン接種を先行して行った海外の国々では、ワクチンが感染予防にならないということに気づき、4回までで接種を終わらせる中、日本だけがワクチン接種を継続し、世界で唯一7回まで接種を進めました。2023年、新型コロナウィルス感染症が感染症法上の季節性インフルエンザ相当にあたる5類に引き下げられ、2024年3月末で全額公費によるワクチン接種は終了しました。今後は秋冬期に自治体の定期接種が開始されますが、対象は65歳以上と60~64歳で特定の疾患がある人に限られ、その他は任意接種となりました。この間に新型コロナワクチンによる健康被害が広がっていたのは前代未聞のことでしたが、この副反応被害について大手メディアで取り上げられることはほとんどなく、いまだにワクチンの副反応と気付かずに原因不明の体調不良に苦しむ方、持病が悪化するかたなどがいることを懸念しています。しっかりと事実に元づく検証をすることが必要だと考え以下、質問いたします。

先ずは新型コロナワクチンの国の副反応うたがい報告について、全件数、重篤の件数、死亡者数について確認します。

新型コロナを除く全てのワクチンの47年間の、救済が認められた数が3636件でその内死亡は158件ですが、それに比べて新型コロナワクチン副反応で救済が認められた数は最新の5月21日付で7354件、その内死亡は593件です。たったの3年ですべてのワクチンの救済認定数の2倍、死亡にいたっては約4倍の数になっていて、どれだけこのワクチンで大変なことが起こっているかがわかるのではないでしょうか。この事実について、区はどう考えているかうかがいます。

新型コロナ感染が始まってから、杉並区でも様々な対応が行われ、このほど区はそれを取りまとめ2024年5月付けで「杉並区新型コロナウイルス感染症対応記録」を発行しました。224ページにわたり2020年1月に新型コロナ感染が日本で確認されてから、2023年5月に新型コロナ感染症が感染症法上の「5類相当」へ引き下げられるまでの約3年半にわたる対応の記録を、今後の感染症等の危機対応の充実を図るためにまとめたとされています。私も見せていただき、国や都の動き、区の各部署の取り組みが詳細に報告されている大変な力作で、これをまとめられたことは重要なことだと思いました。この記録の概要、工夫した点、今後これをどのように生かしていくのか、考えをうかがいます。

私はHPVワクチンの副反応被害者に深く関わり、実際に被害者を治療している医師の話を聞いてきました。HPVワクチンが遺伝子組み換えの技術を使った新しいタイプのワクチンで、多くの被害を生み出したことから、この新型コロナワクチンも同じように新しい技術を使った遺伝子ワクチンやmRNAワクチンということで、接種が始まった当初から、副反応被害に懸念を持ち、継続して区内の状況について確認してきました。まず、区内の状況、副反応疑いの報告件数、その内重篤の件数、その内死亡件数について確認します。また、予算特別委員会で確認した数は83件でしたが、それから増えたところがあればうかがいます。

区が取りまとめた感染症対応記録には、ワクチのン副反応被害のこと、救済制度やその申請件数、認定数も掲載していただきたいと思いました。それも区が今後参考にするべき大切な情報ではないでしょうか。区はこれまでも私の質問に対し予算特別委員会で次のように答弁されています。

「副反応疑い報告ではワクチンとの関係があるか、偶発的なもの、他の原因によるものかがわからない事例も数多く報告され、こうした事例を含めて報告のあった事例を国が公表しています。日常生活の中では様々な事象が発生しています。接種の後に生じた事象も、それだけでは因果関係があるかどうかわからないことに注意が必要であるため、同じような事例の頻度や自然発生と比べて多いかどうか、諸外国における同様の評価の状況などを参考にしながら、国が評価するものと考えております。区が独自に評価することのない区内副反応数については、区として公表する考えはございません」

このように見解を示されました。しかし、ほとんどの報告は接種を受けてから数日以内に起こった事象について、医師が副反応を疑うと認めたもの、また製薬会社からの報告です。よく聞く話ですが接種後に体調を崩し、副反応ではないかと思って接種をおこなった医師に話しても、そんなことはないと報告するのを拒否されるケースです。そのような医師が多い中で、それでも副反応を疑わざるを得ないケースを報告しているという現実があり、この報告数は氷山の一角ともいえると思います。また特に製薬会社は、できれば副反応があると認めたくないけれど認めざるを得ないものについて報告している状況は容易に想像がつきます。そのように考えた時に、いろいろなケースがあり、国が判断するものだから区は知らないという考えで区民に知らせないことは納得できるものではありません。この副反応被害は区民として知る必要がある情報だと考えます。報告書はWEB発行なので、あらためて副反応のページを追加していただきたいと思いますが、区の考えをうかがいます。

区は副反応被害救済制度の申請を受け付ける窓口になっているので、そこで面談した人たちの具体的な被害状況を把握していることと思います。どのような症状で申請が行われているのか、具体的な症状をうかがいます。

さて、報告書の6ページに杉並区内の2020年1月から2023年5月までの感染者の推移の表が示されています。(掲示)これを見るとワクチン接種が始まる前、感染者の数はほとんど問題とはいえない数だったと思います。2021年5月のワクチン接種が始まった後の第5波から、大きな感染の山が見られます。最終的に2023年3月末までに区内では延べ約50万回の接種が行われましたが、ワクチン接種が進むほどに感染が広がったことはこの表から読み取れる事実だと思いますが、この点について区はどのように考えるかうかがいます。

3年がたち、国の状況、区の状況共に実際に打った結果が出ています。2024年2月16日の衆議院財務金融委員会ではある(原口一博)議員が新型コロナワクチンについて、ワクチンに感染・重症化予防効果はあるのか、と質問したところ、これに対して、厚労省が現在調べているところだと答えています。厚労省に報告されているだけで約2200名の死亡という大変な被害が出ているのは事実です。先ずはこの重大な被害を出していることが疑われるワクチンをいったん中止し、しっかりと検証することが必要だと考えます。区の見解をうかがって次の質問に移ります。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画について

新型インフルエンザ等特別措置法を根拠に設置された新型インフルエンザ等対策推進会議において、2023年12月に「新型インフルエンザ等対策政府行動計画(以下行動計画)の改定にむけた意見」が取りまとめられました。そして行動計画の改定案が4月27日から5月7日まで、パブリックコメントにかけられ、ゴールデンウィークの大型連休を含む期間であったにも関わらず、19万件以上の意見があつまりました。国民に強い関心があったことがわかります。私も学習会などに参加し、この行動計画に疑問を抱いたので、以下質問いたします。

行動計画の改定に向けた意見には日本の新型コロナの「感染者数・死亡者数ともに他の主要先進国と比べて低水準」と述べられ新型コロナ対応での経験は、目的を果たしたと評価すると書かれていることに大変違和感をおぼえました。また新たな技術の活用として、mRNAワクチンの重症化予防効果により、対策に当たって大きな役割が果たされたとの記述もありますが、先に紹介した2月16日の原口一博議員の答弁にワクチンの効果を調べているところという厚労省の答えと矛盾します。しかし、国は感染予防効果が無いことがわかった後に、私たち国民に対し重症化予防のためにワクチンを打つようにと接種をすすめ、区も国のこの姿勢に従って重症化予防のためにワクチンを打つようにとずっと促してきたのではなかったか。改めて、この2月16日の答弁を区はどのように受け止めるか、推進会議の意見に対する見解と合わせて伺います。

この行動計画の第3部は新型インフルエンザ等対策の13の対策項目の具体的な取り組みについて準備期、初動期、対応期に分けて書かれています。準備期というのは平常時のことを指しています。

その項目の中で特に問題と考える、「情報提供・共有、リスクコミュニケーション」についてうかがいます。

まず平常時ですが、国が都道府県及び市町村の福祉部門や教育委員会などと連携して感染症や公衆衛生対策について丁寧に情報提供・共有を行う。また学校教育の現場を始めこどもに対するわかりやすい情報提供・共有を行うとの記載があります。これは自治事務への支持にあたり、自治権の侵害ではないでしょうか。また子どもたちの間により強い同調圧力を生むことを(大変)危惧しますが、区の見解をうかがいます。

同じく平常時の偽・誤情報に関する啓発の部分を見ると、国は感染症危機下において、偽・誤情報の流布、さらにSNS等によって増幅されるインフォでミックの問題が生じ得るとし、ワクチン接種や治療薬・治療法に関する科学的根拠が不確かな情報等、偽・誤情報の拡散状況のモニタリングを行うとしているが、これは監視に当たると思います。国が科学的知見等に基づいた情報を国民が入手できるように対処するとしていますが、今回の新型コロナ感染対応を考えたときに、後から振り返って国の情報が科学的根拠に基づいた正しい情報だったとは言えないと思います。5月13日の参議院行政監視委員会では、やながせ裕文議員が行動計画に対する質疑で、河野ワクチン担当大臣の「このワクチンにより亡くなった人は誰もいない」と言った発言を取り上げ、結果として多くの人が予防接種健康被害救済制度に申請しており、このワクチンを起因として亡くなった方がいることは事実だと述べました。これは大臣が誤情報を流していたということになるのではないでしょうか。多くの国民がこのことを知っているため、パブコメに多くの意見が寄せられたのだと考えるものですが、区の見解を伺います。

次の、初動期には「偏見・差別などや偽・誤情報への対策として、国はSNS等のプラットフォーム事業者が行う取り組みに対して必要な要請や協力等を行うとありますが、これは消すという意味にとれるのではないでしょうか。都合の悪い事実が消され、必要な情報を得られなくなること、政府に都合が悪い発言を恣意的に取り締まることに法的根拠を与えることになることを危惧しますが、区の見解をうかがいます。

また特に問題と考えているのが「ワクチン」の項目についてです。そこには平常時にワクチンの治験環境の整備・拡充とあり、数万人単位の大規模臨床試験が必要と記載されています。事実岸田首相は2月の所信表明演説で日本を治験しやすい国にすると述べています。そして薬事承認プロセスの迅速化と基準整備との記載もあります。現在日本に製薬会社の工場が次々に建てられて、日本人で治験が行われ、薬事承認を迅速化して、国民が、安全性が確認できていないワクチン漬けにされることを大変危惧するものですが、区の見解をうかがいます。

先ほど奥田議員が質問した地方自治法の改正と同様に、国が自治体に支持を出し、うむを言わさず国民を新薬開発のための実験台にするような計画に危機感を持つ国民は決して少なくありません。区としても区民の命を守る立場で、この行動計画に対しても他自治体の首長とタッグを組んで、国に計画改定の見直しを求めていただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。

多文化共生の推進について

日本は超少子高齢社会の進展による人手不足で、製造業や建設業、農業に漁業、介護の分野など多くの分野で、今や外国籍の人たちの力を借りなければ社会が成り立たない状況にあります。しかし国は単純労働で外国人は導入しないという建前を崩さず、開発途上国等への技術移転の協力として技能実習制度を利用し、外国人を安価な労働力として利用しながら、転籍を認めず、人権も労働法も無視するあり方に多くの課題が指摘されています。その課題解決のため新たな育成就労制度が創設されることが最近はニュースになったところです。このような状況下で、区内における在住外国人の数はこれからも増えていくことは明らかであり、基礎自治体である区が外国人の方たちとの共生社会を創ることは不可欠です。杉並区が、在住外国人を地域社会の一員として、安心して生活ができるよう、杉並区交流協会と連携して在住外国人支援事業を実施し「多文化共生基本方針」の策定に取り組むことを評価しています。私もより良い多文化共生社会の実現を願って質問いたします。

まずは、「多文化共生基本方針」について、これを策定するに至った背景と目的を確認します。

区は方針策定のために多文化共生推進懇談会を設置し4月23日には第一回目の懇談会が開催されました。懇談会委員の名簿を見ると公募の区民が入っていません。より広く区民の意見を取り入れるためには公募区民を入れた方がよかったのではないかと思いますが、今回それを入れなかったのはなぜか、今後どのように広く区民の声を聞こうとしているのかうかがいます。

懇談会事務局を見ると区民生活部の文化交流課だけが担っています。外国人と接する部署は多く、保健センターや保育園を所管する子ども家庭部や教育委員会なども入っていることが必要だったのではないかと思いますが、どのようにそこからの声を聞き連携をとっていこうとするのか、考えをうかがいます。

5月25日に聴っくオフ・ミーティングで「多文化共生ってなに? 外国人から見る杉並を話し合おう!」が2回にわたって行われましたが、どのような方が参加したのか、区長も参加されていますが、どのような意見があって、どのような感想をもたれたかお聞かせください。

この聴っくオフ・ミーティングが基本方針を策定するにあたっての、区民の声を聴く機会の一つとして捉えられているのかについても確認します。

次にボランティアの子ども日本語教室についてうかがいます。

外国にルーツのある子どもたちは慣れ親しんだ親せきや友達と離れ、ほとんどが親の都合で日本にやってきます。納得がいかないまま、言葉も通じない、友達もいない環境に置かれるため、手厚いケアが必要です。区では子どもの権利擁護に関する審議会が最終段階に入っているところですが、審議会を進めるにあたって、子ども日本語教室に在籍する子どもたちの意見も丁寧に聴き取られていました。ボランティアの日本語教室でも子どもの権利の理念に沿った運営がされるべきだと考えますが、区の見解をうかがいます。

子どもの権利については、子どもが学ぶことはもちろんですが、そこに関わる大人が学ぶことはさらに重要だと考えます。子ども日本語教室に関わる大人が子どもの権利に関する学習の機会を持つことが必要だと考えますが、区の見解をうかがいます。

子ども日本語教室に通う子どもの保護者の会が始まっていると聞いていますが、どのような話が出ているのか。そこから見えてきた外国人のニーズはどのようなものかうかがいます。

次に多文化キッズサロンについてうかがいます。子どもの成長は早く、大人と比べて一日は大変貴重です。特に中高生になってから来日した子どもたちは日本の同級生となじむことが難しく、同じ立場にある者同士で安心して集まり、過ごす場所が求められています。区でも場所探しに力を入れていることと思いますが、進捗状況はいかがでしょうか、うかがいます。

多文化キッズサロンの取り組みとして、学習支援、相談、交流、居場所などがあげられています。これまでも紹介してきましたが、現在、ボランティア子ども日本語教室で学習支援を行っているボランティアの方たちは、海外にいた方、他の場所で日本語支援に取り組んでいる方などそれぞれが経験豊富で子どもたちの支援に情熱を持った方々で、交流の部分を担う協働のパートナーになると考えますが、区の見解をうかがいます。

次に学校の外国ルーツの子どもへの対応についてうかがいます。

子どもたちが一日も早く学校になれ、友達をつくり、安心して楽しく過ごせることを願います。まず、外国にルーツのある子どもの小中学校それぞれの在籍数、国籍など概要を確認します。またその子どもが在籍している学校の数を小中学校別に教えてください。

子どもへの様々な支援が必要になりますが、どのようなメニューがあるのでしょうか。うかがいます。

⑬ 杉並区交流協会では通訳ボランティアを派遣する制度があります。保護者が、日本語ができないこともあるかと思います。学校の面談などで活用されている事例もありますが、その場合は誰が派遣を頼むことになっているのかうかがいます。

通訳ボランティア派遣の実績を見ると、7校が複数回利用していて、内容は進路についての3者面談や保護者面談となっています。学校や子どもの数から考えると非常に少ないと思います。学校への制度の周知が必要ではないでしょうか、うかがいます。

また通訳ボランティアの費用は使いたいと思ったときに気兼ねなく使えるように確保されているのでしょうか。費用の確保とどこから出すかを明確化し、どの学校でも使いやすくする環境整備が必要だと考えますが、区の見解をうかがいます。

さて、日本の小学校は入学前にすべての持ち物に名前を付ける、毎日宿題が出て、保護者が子どもの宿題を確認したり丸つけがあったり、外国人から見た時に独特のことがあると思います。外国人の目から見た日本の学校について、保護者に説明があると良いと思います。多言語でそれを説明する冊子などがあればよいと思いますが、区の見解をうかがいます。

日本語の支援が必要な子どもには最大で120時間まで、日本語の取り出し授業が行われています。そこに関わる方から、退職された先生が支援を行っていることが多いと聞きましたが、日本語教育についてはあまりご存じないようです。研修の機会が必要ではないかと考えますが、研修はどのように行われているのか。十分な研修を行っていただきたいが、区の見解をうかがいます。

高校受験や進学にあたって、また合格した後の手続きについても支援が必要なことは容易に想像がつきます。外国ルーツの子どもの支援を行っている方から、先生のサポートが充分ではなく、ボランティアが支援を行っていると伺いました。ではボランティアの方の手が届かないところはどうなっているのでしょうか。充分なサポート体制をつくっていただきたいと思いますがいかがかうかがいます。

また高校受験と進学について多言語での冊子を作り情報提供を行い、制度や手続きがわかるものがあると良いと思いますが、いかがか見解をうかがいます。

さて、話を通訳ボランティアに戻しますが、保育園でも通訳が必要になることがあると考えますが、交流協会では実績がありませんでした。そこではどのように対処されているのでしょうか。外国ルーツの子どもの保護者が困っていることはないでしょうか。調査、そして制度の周知が必要ではないかと思いますが、考えをうかがいます。

第1回定例会一般質問と答弁 2024.2.16 そね文子

共生社会をつくるためのインクルーシブ保育・教育について

Q1 善福寺でインクルーシブ保育を実践している認可外保育施設は地域の宝である。区の職員も視察に行っていると聞いたが、この施設を区はどのように認識しているか。

A1 子ども家庭部長)当該施設は障がいの有無に関わらず誰でもが集える居場所であることに加え、保護者の急な用事にも対応するなど、インクルーシブな取り組みと子育て支援を実践する好事例であり、関係者の努力に敬意を表したい。

Q2 この保育施設では障がい児、医療的ケア児を含めた一時預かりを実施しているが、区からの補助がないため、利用者は自費で通うしかない現状で、運営事業者は厳しい経営状況にある。横浜市では、認可外保育施設の一時預かりに対して国の交付金を活用した補助を実施している。区においても同様の補助制度ができないか。

A2 子ども家庭部長)現在区では認可外保育施設が実施する一時預かり事業への運営補助の仕組みはないが、子育て応援券事業と保育の必要性の認定を受けた子どもを対象とした保育料補助制度を設けている。

提案のあった補助制度の創設については、横浜市や他自治体の事例を情報収集するとともに、地域の子育て支援や障がい児支援を含め、インクルーシブな居場所など複合的な視点から、事業者とも意見交換を継続しつつ組織横断的な課題整理が必要な段階である。

Q3 国の補助金を活用して一定程度の補助が出たとしても、当該施設では医療的ケアの子どもには作業療法士と看護師の専門職が2人も付けていることから、受け入れには大きな経費がかかる。当該施設を支援するためにも、区が来年度試行的に実施予定の「子ども誰でも通園制度」や新たに実施する「多様な他社との関わりの機会創出事業」の実施対象施設に加えてもらいたいがいかがか。

A3 子ども家庭部長)「子ども誰でも通園制度」や「多様な他社との関わりの機会創出事業」の実施対象施設については、6年度の試行実施では本格実施を想定した保育環境に関する検証を行うことから、認可基準を満たしている保育事業、一時預かり事業をすでに実施している認可保育所、小規模保育事業所を予定している。

Q4共生社会を創っていこうという先駆的な取り組みを区が決意をもって支援し、都や国にこのような事業者を支援する制度を作るように提案していくことが、日本にとっての利益につながることであり、それを強く求めたいが区の見解は。

A4区長)さまざまな状況の子どもの支援を行う施設の取り組みについて改めて学んだ。区内にこのような施設があることは貴重であると認識している。事業所を支援する制度をつくるよう、区が国や都に求めていくべきとの提案があったが、国や都の補助を含めまずは他自治体の取り組み事例を参考に研究していきたい。

共生社会の実現のためには障がいの有無にかかわらず、個々の多様性を受け止め、誰一人取り残さないという包括的な体制作りが必要であるとの認識から、子ども、障がい者、高齢者等すべての分野において取り組みを進めてきた。今後こうした取り組みの一層の充実を図るためには、地域の民間事業者や子育てをはじめとする様々な支援を行う団体等と目指す姿を共有し手を取り合って進めていくことが中である。このように取り組むことで、基本構想に掲げる「すべての人が認め合い、支え、支えられながら共生するまち」の実現に向けて進んでいく。

Q5 国立市では障がいの有無にかかわらず、就学通知書を原則居住地に基づき定められた学校を指定し送付することになったが、杉並区でも同様の取り組みができないか。そうすることにより障がいのある子も地域の学校に行けるというメッセージを示すことができる。

A5 教育委員会事務局次長)

就学通知の送付については就学相談の継続中に当該校以外の通知が届くと、保護者が混乱することから、すべての新就学児に一斉に通知することは難しい。

Q6 知的障がいのある子どもが通常学級に在籍する場合、学習権を保障するために個別指導計画をつくり、それぞれの子どもに合った学びが提供されることが必要だがそれはどのように行われているのか。

A6 教育委員会事務局次長)個別指導計画は学校が保護者と協働して作成するもので、一人ひとりの教育的ニーズに対応した指導目標や指導内容、方法等について共有している。学校では子どもに合った学びを提供するため、短期目標と長期目標を設定し、必ず振り返りを行う。その際個別指導計画を在籍学級の担任だけでなく、関係教職員が情報共有することで組織的な支援体制のもとで指導を行うよう努めている。特に新就学児については校長が事前に本人や保護者と面談を行ったうえで、入学式の練習への参加や教室での座席配置を確認し計画作成に活用している。

Q7 学びを保障するためには学習支援教員や通常学級支援員等の研修を行い適切に指導ができるようにすることが必要だ。また、大人がいなくても障がいのある子を自然と気にかけ支えられるように、周りの子どもを育てることも必要だ。子どもは同じ場所で共に育つことで自然に障がいのある子のことを理解し、配慮できるようになる力をもっていてそれを妨げない大人の研修も必要だと考える。

A7 教育委員会事務局次長)教育委員会では教職員や通常学級支援員に対し、特別支援に係る知識の習得、安全管理等についての研修を行っている。具体的には子どもが一人でできることは見守り、難しくてもできるだけ自分の力で行えるよう支援するときの対応方法や子どもの相互理解や思いやりの気持ちをどのように育むかなどについての研修である。このように子どもの経験や自立、支えあいの機会を妨げない支援のあり方を身につけられるよう努めている。

Q8 通常学級支援員等は子どもを支える大切な存在だが、子どもを支援するための校内の会議に参加していないと聞いた。会議は放課後4時以降に行われることが多いが、支援員の勤務時間は午後3時までとなっていて会議に参加するときは無給になるという。子どもと直接接している支援員が会議に出席するのは必須であり、改善すべきと思うがいかがか。

A8 教育委員会事務局次長)通常学級支援員の校内委員会への参加については、校長が必要に応じて出席を求めるものであり、出席しない場合でも会議記録を共有したりコーディネーターを介して情報共有をしたりなどの工夫により連携に努めている。

 

Q9 杉並区では発達に課題がある子どものために、学校に来て子どもの環境を改善する手伝いを保護者が要請すれば、臨床心理士がケアの方法を先生に伝え、その費用は区が負担する学齢期発達支援事業の学校連携という仕組みがある。学校ではどのくらいこの仕組みが活用されているのか。もし使われていない場合は学校が保護者にこの仕組みを周知し、子どもの環境の改善を図ることを積極的に進めてもらいたいがいかがか。それがひいてはすべての子どもにとって居心地のいい教室づくりにつなが雨と思う。

A9 保健福祉部長)区は学齢期発達支援事業として、小学1年から3年生までの児童を対象に、発達支援を促すための個別指導を実施している。個別指導に加えて、学齢期発達支援所が保護者の求めに応じて臨床心理士等を学校に派遣し、学校の先生に対してケアの方法を伝える学校連携を実施していて、利用者の3割がこの仕組みを活用している。

学校連携の保護者への周知については、毎年小学校の校長会を通じて事業内容の説明やチラシの配布を行っているが、保護者の中には学校連携の利用より個別指導を希望する人もいる。今後は引き続き学校連携の周知に努めるとともに、学校連携を希望しない保護者に対して、子どもの特徴や支援方法等を先生たちと共有するよう事業者を通じて促すなど、子どもたちにとって居心地の良い教室となるよう取り組んでいく。

Q10 杉並区ではすべての学校に特別支援学級を配置し、そこを解体して教師が複数で教室運営を行い、障がいのある子を支援するという形が将来的に目指す形ではないかと考えるが区の見解は。

A10 教育委員会事務局次長)特別支援学級の今後のあり方についてですが、障がいのある子どもとない子どもができるだけ同じ場で学ぶことは大切だ。それぞれの子どもが授業内容を理解し、学習活動に参加しているじかんあ、達成感をもちながら充実した時間をすごしつつ生きる力を身に付けていくことができるかどうかが義務教育においてもっとも本質的な視点であると考える。こうした考えに基づき、杉並区においては児童、生徒の障がいの状況に応じたきめ細かい指導の充実を図るため特別支援学級は継続していくが、国や都および他自治体の動向に引き続き注視していく。

Q11 現在特別支援学級がある学校ではどのくらいの頻度で共同学習を行っているか。

A11 教育委員会事務局次長)交流及び共同学習については、特別支援学級と通常の学級の担任等が定期的に情報交換を行いながら年間計画に基づき行っている。取り組みの内容はさまざまであるが教科等の授業における共同学習や委員会活動への参加、行事への参加などがある。

Q12大きな災害が起こって地域の体育館に避難するとき、周りに知り合いがいない障がい者家族は子どもが声を出したりじっとしていられないことから、避難所に行くことをあきらめざるを得ない状況がある。一方、地域の学校に通っていたから災害時にみんなが思い出してくれたということもある。学校で共に学び、子どもたちがその子を知っていれば避難所に行ける。こういうことからもインクルーシブ教育の必要性を認識したが区教委の見解を問う。

A12 教育委員会事務局次長)特別な支援を必要とする児童、生徒の避難については、災害時においても普段から訪れる場所であることや日ごろから顔を合わせる友達がいるなど、できる限り日常に近い環境を整えることが重要だ。こうしたことから都立を含む特別支店学校に在籍する児童、生徒の復籍交流は有効な取り組みであると認識している。

Q13 済美養護学校のノウハウをぜひ他の学校に広げてほしい。済美養護学校は特別支援教育推進計画でもセンター校の役割を担っていることが示されているが、どのような取り組みが行われ、どのようなノウハウが他の学校に提供され、研修などに生かされているのか伺う。

A13 教育委員会事務局次長)済美養護学校は区内特別支援教育のセンター校として、小中学校からの要請により教員が相談に応じ助言を行ったり、研修で講師を務めたりしている。今年度は「子どもたちが出合いたい教師になるための実践力の磨き方」をテーマに研修を行った。こうした取り組みを小中学校に広げるため、済美養護学校と小中学校全校の特別支援教育コーディネーターの定期的な研修会を通じて子どもの将来の自立を見据えた関わり方などの共有に努めている。

 

第1回定例会一般質問 2024.2.16奥田雅子

質問に入る前に、今年元日に発生した能登半島地震から1か月半が経過しましたが、未だ不自由を強いられている被災者の方々、大切なご家族やご友人をなくされた方々にお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。

1.「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

2.羽毛製品の資源循環について

一般質問します。

「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

杉並区のみどりの基本計画は1994年の都市緑地保全法の改正に基づき、1999年に最初に策定されました。その後2005年、2010年と改定が重ねられ、現在、3度目のみどりの基本計画の改定の議論が進められています。現基本構想の「みどり豊かな住まいのみやこ」にあるように、「みどり」は杉並を象徴するキーワードの一つとなっています。改めて「みどり」は私たちの暮らしに何をもたらしてくれるか、そのために必要なことは何かについて区の考えを確認していきたいと思います。

私が住む上井草地域は比較的みどりが多く残っており、環八から住宅地に入ると夏は気温が1~2℃下がり、早稲田通りを南側から北側に渡ってくると空気が違うと言う方がいて、みどりって大事だなぁと実感しています。しかし、この20年間で早稲田通り沿いの生産緑地はほぼ消滅してしまい、住宅地内にあった緑地も戸建て住宅や高齢者施設にどんどん変わっています。相続税を払うためにやむなく売らざるを得ない状況もよく耳にします。

今あるみどりをいかに残し、どう増やしていくのか、気候危機が深刻化する昨今はますます重要なテーマになっています。

第1回のみどりの基本計画検討委員会(以下検討委員会といいます)の議事録の中で、中杉通のけやきは地元の人が買って植栽し、落ち葉の要望も(多分、苦情ということだと思います)当時は1件もなかったのは地元が誇りを持っていたからだとありました。私は40年ほど前に初めて中杉通りに来た時のけやき並木に感動したことが忘れられません。なので、今もけやきの状況が気になってしまいます。みどりは私たちの生活に様々な効果をもたらしてくれるため、みどりを残していきたい、増やしていきたい立場から質問していきます。

①まず、最初にみどりの基本計画を策定した1999年当時から今日に至るまで、杉並のみどりの状況はどのような変化をたどってきたのか伺います。

②杉並区みどりの条例ではみどりを「樹木その他の植物並びに動植物の生息又は生育の基盤である土及び水等の要素と一体となって自然環境を形成している土地」と定義していますが、具体的にどういうことか。杉並区が捉える「みどり」に対する考えを伺います。

③現在、3度目のみどりの基本計画改定検討が進められていますが、区は計画づくりの段階から区民とともに策定していくと表明しています。まさに、みどりの基本計画のようなものは長期的スパンの視点を持って、子どもから高齢者など様々な立場の区民参加のもとで策定するにふさわしいものだと考えます。昨年12月には「杉並のみどりをどう守る?どう創る?」というテーマで聴っくオフミーティングが開催されました。様々な意見が出ていたのはHPの報告で見ましたが、区が区民の意見を聴くというだけではなく、策定に至る過程で区民が議論に参加することも大事だと思います。検討委員会には公募区民が2名入っていますが、区民意見の反映をするには少ないのではないか。区民参加のあり方としてどのようにすすめて行く考えなのか。スケジュール、体制、手法含め確認します。

④また、検討委員会の事務局が土木担当部長を筆頭にみどり施策担当課長、みどり公園課で、都市整備部だけで固められていることが気になりました。今では、「みどり」というテーマには欠かせないグリーンインフラですが、検討委員会でもグリーンインフラとは、自然の機能を活かして地域の社会課題である教育、福祉、医療、観光、生物多様性、生態系保全を解決していくという考えだという指摘があり、私もまったく同感です。私がイメージする「みどり」もあらゆる部門と関係する分野だと思っており、環境や福祉、防災、教育、産業等、分野横断的な議論が必要だと考えます。区は基本構想に掲げた「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けて、このみどり基本計画はとても重要な計画だと言っている訳ですが、どのような庁内検討体制となっているのか確認します。

⑤現在のみどりの基本計画は2010(平成22)年に改定され、今日までの約14年間で社会状況も気候変動もまちの風景も大きく様変わりしたのではないでしょうか。今回の改定では未来を担う子どもをはじめ、区民が主役となる計画に改定するとあります。前回改定から14年開いた理由含め、この間の取組をどう総括し、次につなげる課題について区の考えを伺います。

杉並区には善福寺川、妙正寺川、神田川と3本の川が流れていますが、水とみどりは切っても切れない存在であり、そこに棲む生物も同じ土俵で議論されなければならないと考えます。私は、この間、生物多様性やあまみずの貯留、利活用、グリーンインフラについて度々質問にも取り上げてきました。2021年6月に英国で開催されたG7サミット、さらには2022年12月の生物多様性条約COP15で新たな生物多様性の世界目標「30by30」が確認されました。「30by30」とは2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようという目標です。私は昨年の第1回定例会の代表質問でもその世界的目標の中で杉並区としても足元の生物多様性の保全の考え方を明確にしておく必要があると訴え、みどりの基本計画改定を機に改めて生物多様性地域戦略の策定を求めました。これに対し区長からは「他自治体では生物の生息場所の保全、創出および管理に関する緑の基本計画に生物多様性地域戦略を包含して策定している例があり、杉並区でも自然環境調査を実施していることから生物多様性の視点に重きを置いてみどりの基本計画の改定作業に取り組む」と答弁がありました。

その後、昨年の10月には都立善福寺公園内にある区立遅野井川親水施設が都内の区立施設として初の自然共生サイトに認定がされました。この自然共生サイトは「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られる区域」を国が認定するもので、「30by30」の目標達成を目指します。自然共生に認定がされると国立公園のような保護地域以外でも「事業者・民間・地方公共団体等による様々な取組みによって生物多様性の保全が図られている区域」という意味の国際データベースOECM(other effective area-based conservation measures)に登録がされます。

遅野井川親水施設は利用者も多く、丁寧な管理によって子どもたちの自然体験の場としても有効な環境になっています。私は2022年11月に開催された善福寺川フォーラム2022で、遅野井川親水施設をさらに善福寺公園の下池につなげたいという市民の思いに触れ、水質の改善や水量確保など今も課題となっていることを共有しました。遅野井川親水施設をつくる過程において、2018年の予算特別委員会でも上池の水質改善のためにかいぼりを東京都に要望してほしいと求めたことがありました。当時の区長からは「東京都の公園だけど調整をしながら、どういうことができるか検討していきたい」との答弁を頂きましたが、その後、特にそのような動きは確認できていません。しかし、市民団体はその後も継続してどうしたら遅野井川の環境をよりよいものにできるか、延伸が図れるかを一生懸命考えています。

⑥将来的には、遅野井川の延伸を展望しつつ、現在の課題である水質や水量の問題を解決することから着手することが必要だと考えます。グリーンインフラによって周辺環境がどう変化するのか、それを見える化することも必要であり、そのためには現在の状況把握をすることが重要です。区はグリーンインフラを進めるための検討を2024年度に予算化しました。その検討の中で善福寺公園上池周辺のグリーンインフラ整備によって上池の浄化と水量の確保について検証する取り組みを一つのモデルとして位置づけてはどうかと考えますがいかがか。

⑦杉並区には遅野井川親水施設以外でも自然共生サイトになり得る場所があるのではないでしょうか。継続的に実施している自然環境調査や河川生物調査などの結果も重要なテータとして蓄積されていますが、それらのデータが上手く活用されていないようにも感じています。オープンデータ化し、様々なところで活用できれば、新たな発見や自然共生サイトも増えるのではないかと考えます。もっと積極的に杉並の良さを発信していくためのデータの有効活用について区の見解を伺います。

⑧今、善福寺川の洪水対策として東京都が施工する善福寺川上流調節池整備で地域住民が揺れています。みどり豊かな生活環境が変わってしまうことへの不安や口惜しさは良く理解できます。洪水対策が不要と思っている住民はいないと思いますが、その対策の中身についてはもっと地域住民の声が反映されるプロセスが必要だったと思います。東京都市計画河川第8号善福寺川の変更に関する小池都知事から岸本区長への意見照会について、今年1月26日付で岸本区長からの回答の中に様々な要望が付記されました。これについては、引き続き、東京都との調整に尽力していただくことを強く要望しますがいかがか、区の見解を最後にお聞きし、次のテーマに移ります。

羽毛製品の資源循環について

羽毛製品、つまり、ダウンジャケットや羽毛ふとんは軽くて暖かく、多くの方に重宝がられているアイテムとなっています。しかし、ダウンに使われる羽毛は水鳥のムネの柔らかい部分で1羽の水鳥からはたったの10gしかとれません。現在ダウンは食用の水鳥の副産物としてしか利用ができないため、新毛として手に入れるためにはダウンジャケットで10羽、羽毛ふとんで100羽の水鳥を食べなくてはならない計算になります。食用水鳥は世界全体の約75%を中国で消費し、残りの25%は西欧や日本で消費されています。しかし、世界的に食用水鳥の飼育日数を短くした安価な肉が求められる流れの中で、羽毛の採取量やダウンの比重、品質の低下を招いていることや中国でのダウン製品の需要の高まり、さらには鳥インフルエンザの影響もあり、今後、良質な新毛は手に入らなくなると言われており、リサイクルシフトが必然となっています。ダウンは実はとても丈夫で一生ものとも言われおり、新毛よりむしろリサイクル羽毛の方が品質が良いとさえ言われています。

私が運営に関わっているチャリティショップでは不要になったダウンジャケットや羽毛ふとんを回収し、三重県伊勢市の羽毛精製加工を行う事業者に送っています。先日、そのリサイクル工場を視察し、ダウンのリサイクル事情についても学んできました。そこでのヒントをもとに質問します。

①区は循環型社会を目指して、資源化の推進をすすめていますが、昨年10月から粗大ごみとして回収してきた羽毛ふとんをリサイクルする取組みが行われています。羽毛ふとんをリサイクルすることになった経緯について伺います。

②昨年10月から回収を始めて、まだ間もないと思いますが、どのくらいの羽毛ふとんが回収されたのか。また、広報はどのように行ったのか、伺います。

③回収された羽毛ふとんが、その先、どのように循環のサイクルにのっているのかを区は把握していますか。把握していれば、その内容を教えてください。

④視察した先では、国内の寝具メーカーやアパレルメーカーなどと共に羽毛資源の循環に取組むために、2015年4月に発足させた一般社団法人Green Down projectについて話を聴いてきました。また、地域内の企業や団体、チャリティショップや障がい者福祉施設等を回収拠点にして羽毛の回収活動を連携して行うハートステーションプロジェクトという仕組みもあります。これらの情報について区は把握していますか。

⑤区が集めているのは羽毛ふとんだけと伺いました。ダウンジャケットなどは衣類などの古布として出されていると思われますが、その後の行方が分かりません。資源として活かしていくには別に回収するしくみが必要であり、そのために地域内回収拠点ができればふとん以外のダウン製品の回収も広げることができると考えます。皆さんが着ているダウンジャケットのタグを見ていただくとダウン90%、フェザー10%などというような表示があると思います。ダウン50%以上であればリサイクルに回すことができるということですので、おおよそのものは対象になるのではないかと思います。循環型の社会を築くのであれば、羽毛の回収対象を広げることも今後の検討課題としてほしいと考えますがいかがか、見解をお聞きします。

⑥今後、ダウンのリサイクルはますます当たり前になっていくと思われます。ショップ店頭で回収し始めているところもありますが、ダウンは健康にも環境にも優しく、繰り返し使うことで未来に渡って持続可能な資源となります。また、リサイクルの過程において障がい者の雇用も生み出したり、社協と連携することで赤い羽根募金を生み出すUMOUプロジェクトというものもあり、先ほどのグリーンダウンプロジェクトやハートステーションプロジェクトも含め参考となる取組が既にあります。区民や地域の事業者や団体を巻き込んで「みんなでダウンリサイクルに取り組もう!」というムーブメントを区が仕掛けてはどうかと考えますがいかがか、最後に区の見解を伺って、私の一般質問を終わります。

第4回定例会一般質問と答弁 奥田雅子 2023.11.20

1.高齢者施策推進計画について

Q1】高齢者施策推進計画は計画期間を2024~2026年度とする「高齢者保健福祉計画」と「介護保険事業計画」、「認知症施策推進計画」の3つの計画から成っていると理解している。「認知症施策計画」は今回新たな計画として出てきたようだがその経緯について確認する。

今年度第2回介護保険運営委協議会に出されたたたき台を見ると、計画の体系として「活力ある高齢社会と地域共生のまちの実現」を目標に5つの取り組み方針が掲げられている。その計画体系と指標のそれぞれの主な取り組みを見ると分野をまたがるものがあるが、庁内連携はどのように図っていくのか。また地域包括支援センターが抱える課題など、現場の声を吸い上げて今後の取り組みに反映してほしいがいかがか。

A1高齢者担当部長】本計画の位置付けは、これまで一体的に策定していた高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画に、従来の保健福祉計画に掲げていた高齢者分野の取り組みを加えるほか、本年6月に制定された認知症基本法第13条の規定に基づく認知症施策推進計画を包含し、高齢者分野の総合的な計画としていく考えだ。

また計画の推進に当たっての分野をまたがる取り組みについては、庁内組織として設置する「杉並区保健福祉施策推進連絡会議」において、定期的な進行管理を行う中で関連する組織間の連携強化を図っていく。加えてケア24などの現場の意見、要望についても適宜情報共有しながら課題解決につなげていく。

Q2】65歳以上で介護保険の認定を受けている人は全体の2割強と認識しているが、そのほかの8割弱の区民がどのような介護予防、フレイル予防を行っているか区として把握しているか。一般的に後期高齢者といわれる75歳を境に心身の機能が低下し、これまで行ってきた予防活動ができず閉じこもりがちになる高齢者が増加するといわれるが杉並区の現状はどうか。後期高齢者の介護予防は歩いて行ける範囲または送迎があることが望まれているが区はどのように認識しているか。

A2高齢者担当部長】区が実施する介護予防普及啓発事業や高齢者グループ等が行う地域介護予防活動支援事業への参加のほか、公立・民間のスポーツ施設を利用するなど、一人ひとりがさまざまな形で心身の健康維持、増進を図っている。この点については次回の高齢者実態調査で適切な設問を検討していく。また、75歳を超えると閉じこもり傾向が強まることについては高齢者実態調査結果でも認められていて、後期高齢者が介護予防・フレイル予防の活動に参加しやすい環境づくりは大切な視点と考える。

Q3】高齢者の見守り体制充実施策は、安心おたっしゃ訪問や高齢者緊急通報システム、高齢者安心コール、徘徊高齢者探索システム、高齢者の虐待通報窓口等が行われているがこれらの利用者数を問う。

A3高齢者担当部長】令和4年度、安心おたっしゃ訪問は8,800人、高齢者緊急通報システム設置台数が1,290、高齢者安心コール延べ架電回数が6,500回、徘徊高齢者探索システム利用が75人、高齢者の虐待相談件数が2,900となっている。更なる高齢化の進展に伴い、一人暮らし高齢者や高齢者のみ世帯の増加が見込まれるので、見守り、支援体制の充実図っていく必要がある。

Q4】高齢者が個人情報がナンバリングされたキーホルダーのプレートを持っていて、裏にはケア24の電話番号が記載されている。これは東ブロックのケア24地域で取り組んでいる活動と聞いた。区として把握しているか。ケア24の認知度は年々進んでいるが、まだ知らない区民も多い。このキーホルダーを活用して「65歳になったらケア24にキーホルダーをもらいに行こう」「地域包括支援センターのことを知ってもらおう」という区全体の仕組みにして言ってはどうか。

A4高齢者担当部長】このキーホルダーは6所のケア24運営法人が独自に行っている取り組みで、登録した65歳以上の高齢者が外出先で救急搬送された際に医療機関等からの紹介に対して個人情報の提供を行うものであり、区全体の仕組みとすることは難しい。

 

Q5】地域包括ケアの推進では、ケア24の事業改善と質の向上のために、毎年全校区統一評価指標にプラスして杉並区評価指標による評価と実地指導を行っているが、地域包括支援センターの役割についてどのような点に重きを置いて評価・点検しているのか。

A5高齢者担当部長】ケア24の事業評価については全国統一評価指標に加え、学識経験者等の助言を得ながら①組織運営体制 ②総合相談支援 ③権利擁護 ④包括的、継続的ケアマネジメント支援 ⓹地域ケア会議 ⑥介護予防ケアマネジメント・介護予防支援 ⑦事業間連携 の7項目を重点的に評価し、その都度改善を要する事項について指導を行いその結果報告を受けている。

Q6】ケア24は常に評価される立場にあるが、日ごろの業務の中で感じる課題や、区の地域包括ケアシステムの方向性について話し合う場はあるのか。

A6高齢者担当部長】年8回程度開催するセンター長会において各ケア24の状況を共有するほか、個別ケースの支援や地域づくり等に関する課題について意見交換を行っている。

また、ケア24に配置している地域包括ケア推進員の連絡会も年6回程度開催し、各地域を横断した地域づくりの推進に生かしている。

 

Q7】地域包括ケア推進の今後の課題は、2025年問題、2040年問題があり、区内20か所のケア24に配置した地域包括ケア推進員を核にして、地域ケア会議等を通じた在宅医療・介護の連携強化と地域の支えあいによる生活支援体制の充実等により地域包括ケアシステムの推進・強化を図ると総括している。地域ケア会議、地域ケア推進会議さらに生活支援体制整備事業の第2層協議体の関係および具体的な活動例を示せ。

A7高齢者担当部長】地域ケア会議は8050問題や単身認知症高齢者の個別ケースの支援のあり方を中心にケア24と関係機関で協議している。こうした地域ケア会議の個別課題については地域ケア推進会議で共有していて、その結果チームオレンジの発足や活動促進につながっている。また、現在57組織に拡大している生活支援体制整備事業の第2層協議体は、地域における身近な生活上の課題を共有し共に解決策を企画実施している。具体例としてケア24下井草地区で高齢者の休憩場所として事業敷地内の「いぐさの赤い椅子」の設置などがある。

Q8】認知症施策推進計画はこの高齢者施策推進計画の中でどのように位置づけられているのか。本年2定の一般質問の答弁では、認知症介護研究・研修東京センターとの協定により高齢者施策推進計画の策定に専門的な助言を得るとのことだったが具体的にどのような助言を受けたのか。認知症しさくにおいてこれまでと変わる部分はあるか。

A8高齢者担当部長】このたび策定した高齢者施策推進計画においては、取り組み方針のひとつである「地域包括ケアシステムの推進・強化と認知症施策の推進」に掲げた2事業、11の取り組みに認知症施策を盛り込んだ。

認知症研究・研修東京センターからの助言は地域包括システムと認知症施策は一体的に推進すべきであること、これからの認知症施策は新しい認知症観をすべての人と共有し、認知症本人や家族の意見を聞きながら総合的な施策を推進する基盤となる認知症基本法の規定に沿って具現化することである。これらは先に述べた取り組み方針、事業・取り組み内容に反映しており、これらが変更した内容である。また計画に掲載した今後の認知症高齢者数の推計も、同センターの助言を踏まえて新たに行ったものである。なお、これらの詳細は本定例会期中の保健福祉委員会で報告したい。

Q9】介護認定に至るまでに時間がかかるとの指摘がある。法の規定では申請に対する処分は30日以内にしなければならないが、特別な理由がある場合には30日以内に処理見込み期間とその理由を通知し延期ができる。認定期間が30日を超えるケースの数とその割合を尋ねる。またこの弊害をどのように考えているか。

A9高齢者担当部長】本年3月末をもって国がコロナ禍のために通知した要介護認定の期間延長措置を廃止したことに伴い、4月以降の認定申請件数が大幅に増加している。新たな調査委託や区の人員体制を拡充して対応してきたが、4月から10月末までの申請から認定に至るまでの平均は49.8日で、法に定められた30日を超えるケースの割合は95.8%だった。

こうした状況は他区もほぼ同様であると承知するが、介護度や本人の状況に応じた適切なサービス提供ができない恐れがあるほか、暫定サービスプランを作成する必要があるなどの影響が懸念される。状況の改善に積極的に取り組んでいく。

Q10】訪問介護、デイサービス、ショートステイ等、使いたいサービスがかのうな介護サービスが充足していたのか。ケアマネやヘルパ―不足がいわれる中、この不足の原因をどう分析するか。

A10高齢者担当部長】第8期介護保険事業計画期間である令和3年度以降現在までは介護サービスは計画値を下回る実績ですが、これはコロナ禍の影響があると捉えている。また介護人材の不足により介護施設の定員数を利用できていない状況にあることも認識している。

Q11】コロナ禍での介護事業所への支援は十分だったか。訪問・通所介護事業所の閉鎖・倒産数と新規開設数を問う。要支援・要介護の賃金格差のために大規模事業所は要支援の依頼を受けず、小規模事業所に依頼が増え経営を圧迫していないか。また、国の施策の方向が地域に根差した小規模事業者を閉鎖に追い込むとの指摘もあるが、区の見解は。

A11高齢者担当部長】閉鎖・倒産した訪問・通所介護事業所は令和2年度が15所、3年度が15所、4年度が17所であり、新規開設は令和2年度が12所、3年度が7所、4年度は16所である。

また、大規模事業所が要支援の利用を受けないため、小規模事業所にその影響が及ぶとの指摘だが、そのような実態があるとの声は寄せられていない。指摘されたことは介護保険制度の根本にかかわる問題であり、国が介護報酬を含めた制度のあり方を一層実情に応じたものにするよう必要な見直し、改善を図るべきものと考える。

Q12】要支援の認定は回復する可能性があることから自立支援を原則にしているが、何年も続けて要支援の場合はもはや要支援ではないのではないか。訪問・通所サービスでは実質要介護と変わらない支援を総合事業として行っていることは課題と考えるが区の認識を問う。

A12高齢者担当部長】要支援認定者に対する訪問・通所サービスについての指摘については、総合事業をめぐる論点の一つであると考えている。

Q13】区の特養の整備状況は第8期の目標は達成していて、2026年度までは緊急性の高い待機者は発生しないという見込みであるが、特養の申し込み状況を見れば一定の数がある。

その中で緊急性のあるなしを誰がどのように判断しているのか、その分析の上での見込みとなっているのか。また人材の確保ができず稼働していないベッドがあると聞くが、区内特養の入所率の状況を確認したい。

A13高齢者担当部長】緊急性の高い入所待機者数は、区が行う第1次評価で優先度が高いと判断された者の割合と、早期入所を希望した者の割合を乗じて算出しており、現時点において令和8年度まではこの人数よりも入所受け入れ者数のほうが上回ると見込んでいる。また、区内の特養の入所率は本年9月末現在で95%である。

Q14】最近有料老人ホームの建設が増えている。有料老人ホームには介護付き・住宅型・健康型の3パターンがあると認識しているが、現在の区内の有料老人ホームの数と種類の割合はどうなっているか。また、特定施設入居者生活介護の保険給付費のここ5年の傾向を問う。

A14高齢者担当部長】現在53所ある有料老人ホームの類型別内訳は介護付きが47所で89%、住宅型が6所で11%、健康型はない。また特定施設入居者生活介護の保険給付金は平成30年度が62億円、令和4年度が64億円と微増傾向で推移している。

Q15】介護従事者の処遇改善について、11月10日に閣議決定した補正予算案に緊急対策として介護職等の賃金を月6千円引き上げる措置がとられたとあるが、根本の解決には程遠い状況だ。区は介護従事者への処遇改善に何らかの手立てを検討すべきではないか。

A15高齢者担当部長】介護従事者の処遇改善については現在国が検討しているところであり、その状況を注視している。区としては実行計画改定案で介護人材の定着・育成支援策として、令和6年から主任ケアマネージャーおよびケアマネージャーの法定研修等助成を開始する。

Q16】介護保険は個人加入の保険であるのに、特養のホテルコストは家族の資産が勘案されたり、同居家族がいると生活援助は認められず、介護離職やヤングケアラー、ダブるケアを誘発する要因になる。2022年の就業構造基本調査では介護離職者は年間10万人を超え、働いている18人に1人は介護者だ。経産省では2030年には家族の介護をする人の4割がビジネスケアラーになると試算し、労働生産性の低下などに伴う経済損失額は9兆円に上るとしている。家族の状況を十分に考慮して生活援助の量も決めるべきだと考えるが、区ではこのような同居家族がビジネスケアラーの場合どのような対応がされているか。

A16高齢者担当部長】基本的にはケアマネージャーと介護サービスの提供者と家族を交えたサービス担当者会議で十分なアセスメントの下、支援内容を決めていくことが大切である。なお、ビジネスケアラー支援については、現在国において検討会を開催し、企業における経営と介護の両立支援の取り組みを促すガイドラインの策定に取り組んでいるのでその動向を見守っていく。

Q17】介護保険制度には改善点がいろいろあるが、例えば通院介助の場合、介護保険でできるのは診察券を出すところまでとなっている。それ以降は病院側の対応という整理なのだろうが、病院側で十分な対応ができない場合も多く、そのため自費でサービスを使うことになり病院通いの多い高齢者にとって負担になっている。渋谷区では院内介助も介護保険でできるようになったと聞くが杉並区の見解は。

A17高齢者担当部長】渋谷区では要支援の人の外出介助や要支援・要介護の人の院内付き添い介護保険外の独自サービスとして実施しているとのことなので、今後その実施状況を調査する。

Q18】現在国で進めている介護保険制度の改正案について、利用料負担の2割への拡大、福祉用具のレンタルから買い取りへの変更、介護施設に介護ロボットの導入などがあるが、これらの点について区の見解は。

A18高齢者担当部長】現在国において検討中であり現時点では詳細が明らかになっていないのでお答えできない。

Q19】高額介護サービス費について、上限額を超えた分は申請によって減額される。杉並区の還付までの手続きはどうなっているか。

A19高齢者担当部長】すべての該当者には返信用封筒と共に区から申請書を送付している。申請手続き完了後は、高額顔後サービス費が発生するたびに登録の口座に自動的に振り込んでいる。この間の実績ではほぼ100%の人が申請手続きを行っている。

Q20】2022年度介護保険給付費準備基金が53億4349万余あるが、この基金の目的と適正な額の考え方を確認する。

A20高齢者担当部長】この基金は第1号被保険者の保険料の剰余分を積み立て、介護保険事業の財政運営を安定化させるために活用する目的で設置していて、保険者である区市町審がその実情に応じて積み立て及び活用を図るものだ。

Q21】超高齢社会は認知症社会だといっても過言ではない。2025年には高齢者の20.6%が認知症でありその割合が増えていくことは必至である。介護保険制度は身体介護モデルのままで、認知症や独居に対応した制度になっていないことが問題で、抜本的な改革がない限り私たちの暮らしが成り立たない。区として相当の危機感を持って取り組んでもらいたいが見解を問う。

A21高齢者担当部長】超高齢社会に向けて国を挙げて様々な論点を整理の上、今後の各種制度等のあり方を議論・検討していくべきと考える。その意味で認知症基本法の施行が大きな契機になることを期待している。区としても新たに策定する高齢者施策推進計画に基づく取り組みを着実に進めたい。

Q22】さらに進む超高齢化に伴い、保険料や利用料の区民負担は増えるが、サービスは縮減され、介護従事者の処遇も十分ではなく、それによる人材不足と課題ばかり目に付くが、どうすれば安心して暮らせる社会、安心して死ねる社会になるのか。区民と共に考えていかなくてはならないテーマだ。第9期では団塊の世代が75歳以上になる2025年を迎えることになるが、様々な課題を次期計画にどう生かしていくのか区の見解を問う。

A22高齢者担当部長】第9期計画期間の中間年である令和7年度は団塊の世代が75歳以上になることを踏まえ、保険者である区は各年度における介護サービス量を適切に見込むとともにそれに応じたサービスの供給体制を整えることが重要である。そうした観点に立って、計画案ではこれまでの実績や今後の高齢者人口の推移を考慮して計画の内容の精査に努めている。今後区議会の意見やパブリックコメントでの区民意見を踏まえ修正を行い、区民に適切な介護サービスを提供できるよう計画をまとめていく。

加えて第9期計画における介護保険料をどのように設定するかも大きな課題である。現下の社会経済情勢から、介護保険給付費準備基金を有効に活用し、可能な限り保険料の上昇を抑制するように所管に指示したところだ。今後国が示す介護報酬改定を踏まえて十分検討し、来年の第1回区議会定例会に条例改正案を提案したい。

2.香害について

Q23】昨年の決算特別委員会で質問した際には、化学物質過敏症を含む「香害」の相談は消費者センターや区政相談室、環境課に寄せられていて、保健センターでは香害の項目がないため件数を把握していないとのことであったが、その後の相談については同じ対応なのか確認したい。根幹の相談件数の推移としてはどのような傾向があるか。決特では他部署にわたる問題であり、実態を把握するためにも相談窓口の連携および取りまとめをする部署を明確にするよう求めたが検討はされたのか確認する。現在、配慮をよびかけるポスターが掲示されている場所について問う。

A23区民生活部長】「香害」に関する相談窓口ですが、消費者センター、区政相談室、環境課および保健センターで受け付けている。相談件数は令和2年度15件、3年度12件、4年度19件と推移している。相談窓口の連携と取りまとめ部署については、相談内容が商品に関することや臭い、健康に関することなど多岐にわたることから、取りまとめ部署を設けるよりも、それぞれの窓口で相談を受け付け、内容に応じて他の窓口を案内するなど連携した対応を図ることとした。

消費者庁など5省庁連名の啓発ポスターは本庁舎7階、消費者センター、保健所、保健センター5所に掲示している。

Q24】2020年にそね文子が学校現場の香りの害に対する認識や対策についてのアンケート結果をもとに一般質問した。香害が原因で長時間教室にいられない生徒からの相談があり、

学校から保護者に困っている生徒がいることや使ってほしい製品情報を提供し協力を呼び掛ける対応もあった。学校では香害や化学物質過敏症などの相談はあるか。またその場合はどのように対応するのか。

A24教育次長】各学校への香害を含む化学物質過敏症に関する相談では、柔軟剤の香りによる体調づりょうの相談があった。学校は学校医や学校薬剤師から医学的見地に基づく助言を受け、個別に適切な対応を行うほか、香り付き製品の使用にあたっては週に配慮するよう周知を行っている。

Q25】保育園の保育士が子どものまとっている香りで体調をこわして保育に関われなくなったという事例を聞いている。保育現場でそのような事例があるか、区は把握しているか。

A25子ども家庭部長】保育施設への巡回訪問や保育施設からの相談では香害の報告は受けていない。本年7月に各保育施設に「香りへの配慮に関する啓発ポスター」の掲示を依頼し周知を図っている。