Q1-1-1,2,3,4)〇パリ協定から3年経ち、世界の動き、国の動きに対して杉並区はどのような認識を持っているのか。
〇杉並区環境基本計画の基本目標Ⅰの「低炭素・循環型のまちをつくる」の目標値である、エネルギー消費量や再生可能エネルギー等の目標に対する進捗状況はどうなっているか。
〇来年は環境基本計画の策定年度にあたる。この新たな計画の中で、長期目標に2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを設定し、長期目標達成のための中間目標を定める必要があると思うがいかがか。
〇パリ協定は平均気温上昇を産業革命以前に比べて2°C以内に保ち、1.5°Cに抑える努力をすることなどが目標である。こらからの10年がもっとも大事だとの認識を持って、早く手を打つための目標を設定する必要があると思うが区の考えを問う。
A1-1-1,2,3,4 区長)地球温暖化が進展すると気象災害のリスクは高まると予想される。しかし、社会、経済活動の進展は人間活動の増大につながり、結果として地球環境に大きな負荷をかけ、気候変動等の環境問題として顕在化して私たちの生活に影響を及ぼしている。この間、世界各地において気象災害が発生しており、わが国でも平成30年の西日本豪雨や昨年の台風15号、19号など気候変動の影響が否定できない深刻な気象災害が発生していることから、パリ協定が掲げる世界的な取り組みの必要性が私たちに突きつけられていると感じている。
このような気候変動という課題に対し、次世代が豊かに暮らしていける社会を実現するためにも、基礎自治体である杉並区として、しっかり取り組むことが重要と考えている。こうした考えのもと、この間区立学校等の太陽光発電機器や蓄電池の設置、低炭素化推進機器の導入助成など、温暖化対策を進めてきた。これらの取り組みにより、区内の電力消費量に対する再生可能エネルギー及び家庭燃料電池の発電量の割合は、平成22年度の0.2%から令和元年度は1.6%と着実に上昇するとともに、エネルギー消費量においては、平成22年度比12%削減の目標に対し令和元年度で約15%削減となり、すでに目標を達成している。
これらの取り組みの基盤となる環境基本計画については、令和3年度が秋期となることから、新たな基本構想策定に向けた議論を踏まえながら、令和4年度を始期とする新たな計画として策定する予定だ。気温上昇を2℃以内に抑えるというパリ協定の長期目標から考えれば、今後10年の取り組みは重要である。そのため、計画策定に当たってはこれまでの取り組みを評価・検証するとともに、パリ協定が目指す長期的な目標に留意し、今後の10年を見据えて区として目指すべき目標の設定や新たな取り組みについて検討していく。
Q1-1-5)〇環境基本計画に書かれている地域エネルギービジョンについて今後のCO2削減を強化していくために長期的な目標・ビジョンを明確にして取り組む必要がある。環境基本計画の外に出し、中長期のエネルギービジョンや温室効果ガス削減計画を策定して取り組むことが求められるが区の見解は。
A1-1-5 環境部長)区のエネルギー政策については、現環境基本計画において、環境保全や地球温暖化対策と密接な関係にあることから、今後は環境基本計画kの一部に位置付けて取り組むこととしている。エネルギー政策については、新たな環境基本計画においても重要な要素であると考えるので、どのように整理していくか、策定に向けた作業の中で検討していく。
Q1-1-6) 東京都は「ゼロエミッション東京戦略」を策定した。杉並区もこれと整合を図り、目標を定め環境基本計画策定の際には表記してほしいがいかがか。
A1-1-6 環境部長)区の計画策定に当たり国や都の計画と一定の整合性を図る必要があると考える。都のゼロエミッション東京戦略は市部を含む都全体を対象とした取り組みであることから、これを踏まえ表記などは検討していく。
Q1-1-7)温室効果ガスの排出量のうち、自動車からのCO2排出量が大きな割合を占めることから、区は庁有車に電気自動車など次世代自動車の導入を検討するとしてきたが、進捗状況はいかがか。
A1-1-7 総務部長)公用車の入れ替えの際に、次世代自動車の車種と価格を踏まえて導入の検討を行っており、これまでに職員用貸し出し車や地域安全パトロール車の一部をハイブリット車とした。今後はCO2排出量が少ないクリーンディーゼル車や、急速充電が可能で、災害時に非常電源として利用できる電気自動車の採用についても検討していく。一方で、現在保有している天然ガス車については燃料の補給場所が少ないなどの課題があることから入れ替え後の導入は見送っている。
Q1-1-8) 電気自動車普及のための充電設備を増やすことが必要である。区では助成を行っているが、これにより設置された充電設備の種類と数を問う。
A1-1-8 環境部長)電気自動車充電設備助成については平成28年度から実施しているが、本年8月末時点までの申請件数は累計31件である。いずれも急速充電器ではなく、3件は車から家庭への給電が可能なV2H機器である。
Q1-2-1)原発事故あるいは電力自由化から、新電力会社と契約する自治体が増えているが、当区本庁舎の電力調達は東京電力と随意契約しているがその理由は。
A1-2-1 総務部長)区は災害時に本庁舎が停電した場合に備え、非常用発電機を設置しているが、変電所やケーブル線そのものにトラブルが生じる場合にも備える必要がある。そのため本庁舎の電力供給は、東京電力と2系統の異なる回線で受電できる契約を結び、本線が故障した場合は予備線に切り替えることにより停電時間を極力短時間にするようにしている。
一方平時においては、東京ガスと契約し都市ガスをエネルギー源とするガス・コジェネレーションシステムにより自家発電を行い、本庁舎の使用電力の2割を供給するとともに、発電時の排熱を冷暖房利用することによりエネルギーの省力化を図っている。これらの契約には専門的な知識・技術が求められることからいずれも随意契約としている。
Q1-2-2)〇区では「電力調達に係る環境配慮方針」を定めているが、今後10年間でCO2を半減させていくためにこの基準を引き上げるように見直すべきと考えるが、区の見解は。
〇再生可能エネルギーの調達を進めるためにつながりのある他自治体との連携も視野に入れる必要がある。交流自治体で生産される再生可能エネルギーを購入している区もあり、当区でも検討すべきと考えるがいかがか。
〇自治体は主体的に温暖化対策・エネルギーシフトに取り組むべきである。電力調達は自治体のエネルギー政策や気候変動政策と密接にかかわるので、環境政策の一環として取り組む必要があり、担当部署が連携、関与していくことが望ましいがいかがか。
A1-2-2 環境部長)温暖化対策の取り組みを推進するうえで、環境に配慮して電力を調達することは重要である。そのため区立施設の電力については、施設の規模や用途、災害対応等を勘案し、検討を行ったうえで調達を行っている。電力調達契約評価基準の引き上げについては、国は再生エネルギーの主力電源化を目指していることから、「二酸化炭素排出係数、環境への負荷の低減に関する取り組み状況に関する条件例」の得点例についても、これを踏まえて見直していると認識している。基準の改定に当たっては、当面国が示す例を参考にするが、他自治体の実態も注視しながら研究していく。
また、他自治体が実施している交流自治体からの再生可能エネルギー購入事例は承知している。その実施に向けては相手自治体のエネルギー政策を踏まえた交渉や調達コスト等かだいもあることから今後研究していく。区立施設の電力調達は、区のエネルギー施策や気候変動対策とも関連することから、環境部門所管との連携を一層深めていく。
Q2-1) 柔軟剤の香りなどで健康を害する人がいるが、区はどのように認識しているか。
A2-1 杉並保健所長)柔軟剤や洗剤の香りで体調が悪くなり、辛い思いをしている人が近年増加傾向にあると、国民生活センターの相談内容などから認識している。
Q2-2,3) 〇香りによる健康被害について周知するポスターやパンフレット等を作成して区役所や区立施設で周知してはどうか。
〇特に子どもを香りや化学物質から守るために、保育園や幼稚園、児童館や子育てプラザでのポスター掲示やパンフレット配布を行ってはどうか。
A2-2,3 杉並保健所長)香りや匂いの感じ方には個人差があり、強い匂いへの不快感、化学物質への反応などによる体調不良の病態や発症の仕組みなどには未解明な部分が多い。こうしたことから、ポスターやパンフレットで一様に説明することが難しく、保健センターでは相談の中で個々の状況に応じた対処方法の理解促進に努めている。
また、消費者センターのホームページでは、商品トラブルで寄せられた柔軟剤等の香りに関する相談事例等を紹介している。今後、関係所管で情報共有と連携を図りながら、効果的な周知方法に関して研究していく。
Q2-4,5,6)〇教育委員会の香害への認識を問う。
〇教育委員化には子どもにも分かりやすいパンフレットを作り、学校で配布し授業でも取り上げてほしいがいかがか。
〇匂いで学校に来られない子どもがいることを受け止め、学校で使用するワックスや洗剤、手洗い石けんの見直しを行った事例を他の学校に知らせ、化学物質過敏症の予防となるような指針を作ってほしいがいかがか。
A2-4,5,6 教育次長)香害については、柔軟剤や消臭・除菌剤の人工的な香りに含まれる化学物質により、めまいや吐き気、頭痛などの症状を誘発するものとされ、その反応には個人差が大きいとされている。
学校での取り組みは、校医や学校薬剤師からの医学的見地に基づいた助言を踏まえ、各学校において必要に応じて対応している。香りによる健康上の問題や化学物質過敏症の予防となる指針の策定については、今後も国などから示される情報を収集し、学校現場からの報告などを踏まえて対応を研究していく。
Q2-7) 化学物質過敏症は花粉症と同じように、これまで何ともなかった人が、その人の許容量を超えた化学物質に暴露することによって突然発症する病気です。誰もが発症しうるものということを周知し、すでに化学物質過敏症を発症している生徒が責められ、いじめにあわないような教育的配慮をおこなうことが必要であるがいかがか。
A2-7 教育政策担当部長)化学物質過敏症に悩む児童生徒をはじめ、さまざまな病気を抱える児童生徒が偏見やいじめにあわないよう、病気への理解や配慮、いじめ防止等の指導が必要である。各学校で引き続き、児童生徒の状況に応じた対応と、安全・安心な学校生活が送れるような配慮を進めていく。
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