Q1 今年6月に成立したプラスチック資源循環促進法について、区はこの法律をどのようにとらえているか。
A1 この法律は製品プラスチックを含めたすべてのプラスチックについて設計・製造・販売・提供・排出・回収・リサイクルの各段階において資源循環等の取り組みを促進することによる持続可能な経済の健全な発展を進めることを目的としており、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みにも寄与する点からも意義があるものと認識している。
Q2 プラスチック資源循環促進法では、容器包装プラスチックに加えて製品プラスチックも自治体が回収しリサイクルするとあるが、製品プラスチックは金属や他の素材と一体化しているものが多くリサイクルが難しい。区はこの一括リサイクルにどのように取り組んでいくのか。
現在23区で容器包装プラスチックのリサイクルを行っているのは12区で、11区が可燃ごみとして燃やしている。また全国を見てもリサイクルを行っている自治体は7割程度といわれている。この新法によってすべての自治体が容器包装プラスチックをリサイクルし、さらに製品プラスチックの一括回収が進むのか。
A2 新法では市区町村の一括回収について努力義務として定めており、今後進むべき方向であると認識している。しかしすべての自治体が一括回収に取り組むためにはリサイクルの中間処理や最終処分を担う事業者の確保、プラスチック製品を製造、販売する事業者等でリサイクル費用の一部を負担する仕組みづくり、また各自治体の収集運搬にかかる体制作り等様々な課題があると考える。
そのため、製品プラスチックの資源化についてはまずは収集・運搬や中間処理等の現状を十分に調査したうえで資源化についての取り組みを検討し、可能なところから進めていく。その際は現在小型家電もしくは不燃ごみとして収集している金属と一体化した製品についても検討していく。
Q3 昨年1月に杉並区の容器包装プラスチックを処理する中間処理施設と材料リサイクルされている工場を見学した。中国への輸出ができなくなり国内の処理が追い付かない事、再生される製品のニーズがそれほど多くないことから、リサイクルする総量を減らすことが一番重要であり急務と考えるが、区の見解は?杉並区の環境基本計画の中にも温暖化対策と連動してプラスチック削減の計画を示すことが必要だと考えるがいかがか。
A3 ご指摘の通りバーゼル条約等の制約による急激な輸出環境の変化により国内のプラスチックにかかる資源循環システムについては整備の途上にあるものと思う。プラスチックは製造あるいは焼却の際に、さらには再資源化の際にも多くのCO2を排出するので、地球温暖化対策の観点からごみとして排出される総量を減らすことは重要であり、このことは基本構想審議会等からも意見をもらっている。
またプラスチック削減の推進は、製造業者や小売業者だけでなく、生活習慣の見直し等区民による取り組みも重要で、計画等の策定に当たっては、再資源化の取り組みに加え区として取り組むべき削減に向けた施策についても検討していく。
Q4 これまで容器包装プラスチックのリサイクルは自治体が収集、選別、圧縮、保管、生産者が再商品化を担い経費の負担は自治体が8割、生産者が2割という大変不公平な現状があった。この新法によって負担割合に変化があるのか。
また生産者が責任をもって収集・運搬・選別・保管・再商品化までを行い、その価格は商品に含めることによって受益者である生産者と消費者が負担する、拡大生産者責任が進むのか。
新法には製造事業者や小売事業者が自主回収しリサイクルすることを可能にする措置が盛り込まれた。これは拡大生産者責任の上からも、また上質な高度リサイクルができる点からも歓迎されるべきことだが、具体的に同のように進められるのか。
A4 容器包装リサイクル法では自治体に分別収集、事業者にリサイクルが義務付けられ、現在区が役8割、事業者が2割の負担となっている。
新法では自治体に対し分別収集及び再商品化への努力義務が課され、再商品化は容器包装リサイクル法に定める指定法人に委託し、再商品化計画は国の認定を受けるものとされている。
一方生産者に対しては、環境配慮設計指針を示し、指針に適合した製品を国が認定する仕組みを設けるとともに、製造事業者、販売事業者が製品等を自主回収し再資源化する計画に対し、国が認定した場合には廃棄物処理法の事業者への許可が不要になる制度が規定された。しかし事業者に対しては容器包装リサイクル法のような再資源化の義務付けでないことから、拡大生産者責任を進めるためにも、今後の国の補助制度の整備や事業者の自主的な取り組みを促す仕組みづくりが重要になってくる。今後政令等が示され、自治体の負担割合を含めて法に基づく取り組みの詳細が明らかになってくるものと考える。
Q5 自治体が容器包装プラスチックと合わせて製品プラスチックを回収することになれば全く形態の違う製品プラスチックを中間処理する工場の設備投資は避けられない。このような工場の設備投資のための国からの補助はどうなっているか。
A5 重量があり不純物の増加が想定されるプラスチックの選別・梱包等の中間処理に対応するためには追加の設備投資が必要になるが、現在のところくにからの補助金等は示されていない。
Q6 ゼロエミッション東京戦略で都が行おうとしているプラスチックの削減には、市区町村の取り組みと連動して行い必要があると思うが現在どのような協力体制があるのか。
A6 東京都とは会議体やメール等で必要な情報交換を行っている。区が目指すプラスチック削減は都と方向性を一にしているので、今後取り組みを進める中で都の取り組みを紹介するほか、協力できる事業があれば連携を図っていく。
Q7 区で行われる会議でペットボトル飲料の配布を行わないように求めたところ、各所管に代替えの方法を求めていくということだったが、この取り組みがどの程度進んだのか。
A7 区では各課、職員向けにプラスチック削減の観点から庁内通知やアンケート、庁内ネットワーク等でマイボトルの活用等の周知を図っている。アンケート結果からは新型コロナ感染症防止や衛生上の理由からペットボトルを使用した会議が多くあったことから今後も使用削減にむけ、一層の周知を図っていく。
Q8 冷水器の横にマイボトルへ給水くださいという案内の設置を要望したがどう進められているか。マイボトルへ給水可能な機器の区施設への設置はまだ多く見かけない。今後新しい施設建設等の際には設置を進めてほしい。
A8 現在庁内において、マイボトルへの給水可能な給水器の近辺にマイボトルへの給水勧奨の掲示を貼りだし周知を図っている。マイボトル用給水器については本庁舎への試行的な設置を検討しており、引き続きマイボトルの普及によるプラスチック削減に努めていく。
Q9 区立施設に入っている事業者に使い捨てのストローやその他の製品を出さないように働きかけることについてどのような成果があったのか。自販機の中にペットボトル飲料を入れない自治体や民間施設もある。これについても検討してほしいが区の考えは。
A9 区立施設使用業者や自動販売機設置業者に対してワンウェイプラスチックの使用抑制、ペットボトル飲料を紙や缶飲料に切り替える依頼を行ったところ、カップを紙製にする等可能な範囲で対応している業者やストローの代替品を検討するという事業者もあった。一方で、コロナ禍で営業が厳しい、衛生面の配慮や代替品が見当たらない、缶飲料の開封が困難な障害者の利用があるなどの理由により対応は困難との返答も多くあった。
先般、プラスチックの資源循環の促進等に関する法律が制定されたことから、プラスチック製のストローやスプーンなどは有料化等により削減することが事業者に求められている。
ペットボトルについても製造事業者による取り組み進むことを期待し、区としても事業者に働きかけを行っていく。
Q10 プラスチック問題については清掃の情報紙「ごみパックン」などで分かりやすく取り上げられてきたがこれを目にする区民が少ない。区広報に環境の特集としてプラスチック問題を取り上げてはどうか。
A10 プラスチック問題に関して区ではレジ袋有料化の動きを踏まえたマイバッグ促進や、海洋プラスチックごみ、マイバッグ持参率の高い事業者の周知等、ワンウェイプラスチックの削減を目指して広報している。今後も広報、ホームページ等を通じた周知に努め、全世帯に配布しているごみ収集カレンダーの活用等、区民に届く情報提供に工夫を図っていく。