第1回定例会 一般質問と答弁  2022.2.15  そね文子

Q1-1 国がHPVワクチンの積極勧奨再開を決めたが、区民の健康といのちを守る基礎自治体として、また重篤な被害者が出て長く寄り添ってきた自治体として、二度とこのような被害を出さないという決意をもって対応されることを望むが改めて区長の見解を聞く。

A1-1 区長)区はこれまで区民の命と健康を守ることを第一に施策を進めてきた。HPVワクチン接種に関しても平成25年3月に議会でワクチン接種健康被害症例の指摘を受けた後、同年6月には国に先駆けて独自の救済制度を策定するなど健康被害にあった人への迅速な対応に努めた。また、私自らも健康被害にあった関係者に直接会い話を聞くなど、区として常に区民に寄り添った姿勢を取ってきた。予防接種は基本的に健康な人が免疫をつけるために受けるものであり、健康被害が出ないように可能な限り安全に実施されるべきだと考える。このため予防接種法に基づいた実施方法を遵守することは当然のことながら、ワクチンの有用性と副反応について客観的かつ分かりやすく伝え、対象者が接種するかどうか納得して選択できるよう周知に努めるとともに、万が一健康被害が発生した際には、健康被害にあった人に親身に寄り添い、健康被害救済制度につなげるなど安全かつ適切な実施に努めていく所存だ。

Q1-2 区は一昨年12月に接種対象者の小学6年生から高校1年生までに個別情報提供を行ったが、この時は積極勧奨が控えられていることがよくわかる通知であった。今年度はどのように情報提供したのか。

A1-2 杉並保健所長)接種制度に関する周知については、今年度はホームページに積極的勧奨が差し控えられていること、接種対象年齢の人は希望すれば接しできる旨を周知している。

Q1-3 区はこれまで独自のリーフレットを作成し、保健所に予診票をとりにきた接種希望者にしっかりと副反応のことなどを伝えたのちに予診票を渡していたと認識している。現在はその体制が維持されているのか確認する。また、来年度以降も独自の情報提供を丁寧に行うことを求めるがいかがか。

A1-3 杉並保健所長)現在も予診票を受け取りに来た接種希望者に予診票と併せて区で作成したリーフレットを渡し、効果や副反応、相談窓口などについて説明している。来年度もこの体制を継続し、ワクチンの情報提供に努めていく。

Q1-4 厚労省は自治体宛てに相談支援体制・医療体制等の維持確保について通知を出し、この相談体制の中には学校との連携、学校で被害者が出た場合の学習面での相談支援を行うことも示されているが、学校と連携した相談体制について同のように考えているのか問う。

A1-4 杉並保健所長) 接種後に機能性身体症状などが出現し登校や学習面で影響がみられる際には、学校での学習面での支援や医療機関などへの受信・相談の勧奨など衛生部局と教育部局の連携した対応が必要だと考える。

Q1-5 学校との連携体制が整うまでは早急に接種勧奨をすべきではないと考えるが区の考えはどうか。

A1-5 杉並保健所長) 当区においては日頃より感染対策をはじめとして保健所と教育委員会は連携がとれており、接種勧奨を行える環境であると認識している。

Q1-6 昨年度からワクチンの接種対象者への個別の情報提供が始まり、その後接種者数はどのように変化したのか、実績を問う。

A1-6 杉並保健所長)HPVワクチン接種者数は、個別の情報提供をした令和2年度は376名、ホームページによる情報提供をした令和3年度は12月末時点で895名だ。

Q1-7 副反応報告書についてはどうなっているか、報告数と重篤とされた数について問う。

A1-7 杉並保健所長)HPVワクチン接種が定期接種化された平成25年4月以降、副反応報告書の提出はない。

Q1-8 積極的勧奨が控えられている間にワクチンを受ける機会を逃した人を対象にキャッチアップ接種の対応がとられることになったが、その対象者への情報提供はどのようになるのか。

A1-8 杉並保健所長)キャッチアップ接種対象者への具体的な周知方法については追って国から示される予定である。周知方法が明らかになった際には適切に対応していく。

Q1-9 HPV感染症は性感染症で、性交渉前に打たなければ効果がないとされている。そのことは情報提供されるべきと考えるがいかがか。

A1-9 杉並保健所長)区で作成しているリーフレットにHPVは性交渉によって感染すること、HPV既感染者には有効性が低いことから初回性交渉前に接種することが推奨されていることを掲載している。

Q1-10 子宮頸がん検診の受診率を高めることが重要だが、受診率について直近3年間の数字はどうなっているか。

A1-10 杉並保健所長)子宮頸がん検診の受診率は平成30年度17,1%、令和元年度15,7%、令和2年度13,9%となっている。

Q2-1 厚労省の新型コロナワクチン副反応部会の資料を見ると今すぐ接種を中止すべきではないかと考えるが、この数字を区は把握しどのように考えるのか見解を聞く。

A2-1 新型コロナウイルス対策担当部長)第75回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会の資料及び議事録等の内容については確認しているが、当区を含む個々の副反応疑い報告は国の審議会で評価されており、区が独自に数値を評価し接種の中止を判断するものではないと考える。

Q2-2 ほとんど重症化が見られない子どもにワクチンを打つことで、かえって重症化することがあってはならないと考えるが区の見解を問う。

A2-2 新型コロナウイルス対策担当部長)新型コロナワクチンを接種した人が変異株に感染すると重症化するのではないかとの指摘だが、厚労省はそのような事例の報告は臨床試験でもワクチンの実用化後でも認識されていないと説明している。

Q2-3 国の審査結果、医療費の救済が認定されているのはアナフィキラシーか急性アレルギーのみで、心筋炎が多いと言われているにもかかわらず一切認定されていないが、区はこの結果をどう考えているか問う。

A2-3 新型コロナウイルス対策担当部長)心筋炎が国の制度で救済認定されていないとの指摘だが、予防接種法に基づく国の救済制度の認定に当たっては、予防接種・感染症・医療・法律の専門家で構成される国の審議会において接種との因果関係が判断される。厳正に審査が行われていると認識しており、審査結果について区が独自の判断をするものではないと考える。

Q2-4 治験段階は人体実験中だということを医療従事者から聞いたが、そのような認識でいいか区の見解を問う。

A2-4 新型コロナウイルス対策担当部長)現在ワクチンの安全性や有効性についての治験は終了しており、効果の持続性等を確認するために臨床試験の一部が継続されている。使用されるワクチンはすでに承認されたものであり、接種を受けることで試験に参加するわけではないと認識している。試験は薬事法に基づく医療品の臨床試験の実施の基準(GCP)ルールに従って実施され、人の対しての安全性、有効性を確認するために不可欠なものであり、人体実験との認識はない。

Q2-5 5歳から11歳までの子どもでは感染者が発症する確率に比べ、ワクチン接種の副反応出現率のほうが高い。このことから接種は許されないと考えるが区の見解を問う。

A2-5 新型コロナウイルス対策担当部長)小児用ワクチンの副反応について現時点で得られている情報からは安全性に重大な懸念は認められないと厚労省は判断しており、感染しても症状が出にくくなる効果が期待されることから小児へのワクチン接種が決定されたことであり、予防接種法に従い区は小児へのワクチン接種を実施しいていく。

Q2-6 区内のコロナ感染による重症者は、9歳以下、10代、20代はゼロ、30代が1名となっている、30代の1名は回復したのか。

A2-6 新型コロナウイルス対策担当部長)同患者は感染確認後約1か月で検査陰性になり病状は回復している。

Q2-7 文教委員会で小中学校におけるコロナ感染者数、症状の有無等について人数を示してもらったが現在までの状況を確認したい。

A2-7 新型コロナウイルス対策担当部長)今年に入ってから2月14日までに小学校では1,199人、中学校では234人の感染が確認された。そのうち発熱やのどの痛み等症状のあったものは小学校964人で全体の80.4%、中学校では197人で80,2%だ。なお全体的に症状は軽症で、重症化の報告は受けていない。

Q2-8 昨年10月の決算特別委員会で区内の副反応状況の報告があったが、現在の重篤、死亡例について件数と年齢を問う。

A2-8 新型コロナウイルス対策担当部長)国から都を通じ区に連絡があった予防接種後副反応疑い報告書からの累計で、2月7日現在死亡例は8件、男性が2名で60代90代がそれぞれ1例、女性は6名で70代1例80代3例90代2例となっていて10月からの増はない。また、重い症例は累計18人で男性が8人、10代20代30代40代80代90代で各1例、50代が2例となっている。

女性は10人で20代90代がそれぞれ1例、30代70代がそれぞれ2例、50代が4例で総数では10月の報告から男性が3人、女性が1人の増となっている。

 

Q2-9 現在起こっている深刻な副反応の状況を知らせるとともに、区内の副反応の状況もホームページで公表してほしいがいかがか。

A2-9 新型コロナウイルス対策担当部長)区が独自に評価することのない区内の副反応については公表を行う考えはない。

Q2-10 区からのお知らせに、副反応報告は30,714人、重篤が6,370人、救済の認定を受けた症状はアナフィラキシーと急性アレルギー反応のみ115人で、副反応報告のあった人の約0.4%であることがわかるような記載をしてもらいたいがいかがか。

A2-10 新型コロナウイルス対策担当部長)副反応報告等の件数など国の救済制度に関する情報提供は区のホームページに厚労省のリンクを貼っている。

Q2-11 PCR検査で陽性の人に感染力があるとは言えないのか、との質問に、厚労省がPCR検査の陽性判定はウイルスの感染症の証明ではない、陽性者と感染者は異なる、発症して初めて感染が成立する、と答えた。これはこの通りだと考えていいか、区の見解を問う。

A2-11 新型コロナウイルス対策担当部長)PCR検査は検体中にウイルスの遺伝子の有無を確認する検査で、感染性のある生きたウイルスか感染性のない死んだウイルスかの判別はできない。これによりPCR検査陽性者すべてに感染性があるわけではない。感染の成立とは病原体が体の中に侵入した場合をいう。この際発症し免疫を獲得するという生体反応が生じるが、無症状でも免疫を獲得する場合もある。

無症状のPCR陽性者の感染性については確認されている。検査の限界からすべてのPCR陽性者に感染性があるとは言い切れないが、現在の検査技術上、感度や汎用性の面から感染の有無を調べる方法として基準になるのはPCR検査である。

Q2-12 PCR検査陽性者の中には無症状で他人に感染させない人が大量に含まれており、感染者とは違うということであれば、PCR陽性者を感染者数として毎日発表しているのは過剰に国民を恐れさせている。医療現場がひっ迫する中、また濃厚接触者とされた無症状の検査陽性者が何日も仕事を休み、外出できなくなっていることが無用に社会活動を滞らせていると考えるが区の見解はどうか。

A2-12 新型コロナウイルス対策担当部長)感染対策と社会活動のバランスをとることの重要性は指摘されているところですが、感染対策の面から言えば、無症状のPCR陽性者に対して感染可能期間外出を自粛してもらうことは必要だと考える。

また現状を踏まえた感染対策は効果・効率の面からも肝要だと考える。しかし、新型コロナウイルは変異を繰り返していて今後強毒化する可能性も否定できない。海外ではオミクロン株が変異した複数の変異株が確認されており、現状においては現行の対策を継続することが妥当と考える。

 

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