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第3回定例会一般質問と答弁 2021.11.16奥田雅子

Q1 生物多様性に関わる国や都の改定議論のポイントはどのようなところにあると考えているか、区の認識を伺う。

A1(環境部長)国では我が国の生物多様性と生態系が人口減少や気候変動により大きな影響を受けることになるとの長期的視点と、短期的にも新型コロナウイルス感染症による社会・経済の変容、気候変動対策の加速度的な強化が進むとの認識が示された。その上で、生物多様性により得られる様々な恩恵を利用できる取り組みの強化という視点、人口減少や気候変動等の対応に、生物多様性への対応を関連させ、社会・経済のあり方を変えるとする視点、自然に配慮したライフスタイルへの変革にも繋げるといった視点から議論されたものと認識している。

都の戦略改定においても、人と自然の関係の希薄化や自然の価値などに対する認識不足を要因とする課題を整理した上で、国の議論の視点を踏まえた将来像の考え方が検討されているものと認識している。

Q2 新たな実行計画のみどりの質を高める項目の中で2024年度にみどりの基本計画の改定が予定されているが、この基本計画には施策11のグリーンインフラを活用した都市環境の整備の全体にわたる事業が盛り込まれると考えてよいか。

A2(土木担当部長)改定を予定しているみどりの基本計画は「みどり豊かな 住まいのみやこ」を実現するための部門計画として関連する計画と整合を図り、みどりに関する施策を推進するためのものである。幅広い視点から様々な事業を体系化していくが、実行計画案の「施策11グリーンインフラを活用した都市環境の形成」に含まれる事業については、みどりの基本計画の骨格をなすものと考えている。

Q3 自然環境調査報告書や、河川生物調査報告書にあるデータや分析、今後の取り組みの提言をどのように施策に生かしていくのか問う。

A3(環境部長)報告書では生物の生育拠点の保全や、外来種の拡大防止、保全活動を支える区民の育成と普及啓発等が今後の取り組みへの提言として示されている。区ではこれを踏まえ、生物多様性に配慮した公園整備や、外来種への対応等環境保全の取り組みのほか、データを活用した区民向けの講座の実施等による人材育成などに生かしているところだ。引き続きより多くの区民に関心や理解を深めてもらえるよう、提案等を施策に生かす工夫に努めていく。

Q4 区は2008年より「善福寺川水鳥の棲む水辺創出事業」に取り組み、2009年11月に同事業の基本方針、2014年2月に行動方針を策定している。この事業の目的について確認する。「行動方針」とはどういう位置づけにあるのか。「行動方針」を立てて8年を迎えようとしているが、その達成度合いと今後どのような道筋があるのか伺う。

A4(土木担当部長)本事業の目的だが、善福寺川において水鳥に着目し、区民とともに多様な動植物が生息・生育・繁殖できる潤いと安らぎのある水辺環境を再生・創出することを目的とする。次に行動方針について、事業のコンセプトである「区民がつくる、カワセミの棲む自然豊かな水辺」を実現させる具体的な取り組みを定めており、環境基本計画など関連する計画と整合を図りつつ、善福寺川「水鳥の棲む水辺」創出事業基本方針のもとに位置付けたものだ。達成度については、定量的に表すことが難しい項目もあるが、シンポジウムや水鳥一斉調査の開催、区民活動への支援、ハード面では雨水浸透ます設置、遅野井川親水施設の整備を進めてきた。

引き続き都の河川整備に伴う親水施設等の整備、合流式下水道の改善などを進めるとともに、関係機関や区民と連携・協力して本方針に定める「潤いと安らぎのある水辺環境の再生・創出」に取り組んでいく。

Q5 区は遅野井川親水施設づくりをどのように評価し、今後の行動方針にどう生かしていくのか。

A5(土木担当部長)本施設は井荻小学校の子どもたちが、学校の中を流れる善福寺川に関心を持ち、清掃活動など様々な活動を行い、もっと親しみやすい水辺を作りたいとの強い思いがあったからこそ実現した事業だ。施設の構想や設計の段階から地域の人々に参加してもらい、完成後も管理の一部を地域の団体に協力してもらうことで、地域により親しまれ、愛される施設になったもので成功事例の一つと考えている。

今後も行動方針に定める取り組みを進める中でこのような貴重な経験を活かし、区内を流れる川に関する区民の関心を高め、区民と行政が協働して多様な動植物が生息・生育・繁殖できる環境づくりに努めていく。

Q6 区・区民、さらに事業者も含め、共通の認識を持ち、ともに課題解決に取り組む意味でも、目的や目標設定を明確にした生物多様性地域戦略の策定はとても意義のあることだが、区は策定についてどのように考えているのか。

区としても他自治体の地域戦略を参考にしながら、杉並区のイメージを作っているのではないかと思うがどうか。

生物多様性地域戦略の策定には、様々な分野に携わる人々及び区民からの意見やアイデアが出せる機会を確保することが必要と考える。そして生物多様性の保全が自分にとって必要なことと理解する人が増えれば、生きた地域戦略になると思うがいかがか。また、区としては専門家の力を借りながら全庁的な議論を進めていくことが必要だと考えるが、区の見解は。

A6(環境部長)生物多様性への対応は基本構想審議会からも意見をもらっていて、取り組むべき重要な課題と認識している。戦略の策定に当たっては。自然環境やみどりの保全にとどまらず、幅広い視点からのアプローチが必要であると考えており、今後他自治体の取り組み等も参考としながら多角的な視点から研究していく。また、研究・検討に当たっては区民や専門家の意見も募っていく考えだ。

第4回定例会一般質問 2021.11.16 奥田雅子

いのち・平和クラブの一員として、生物多様性の観点からまちをつくる取組みについて質問します。

杉並区がこれまで、環境分野に限らず行政の各分野において生物多様性に配慮した取り組みをすすめてこられたことは承知しているところです。それは望ましいあり方である一方、地球規模で俯瞰したときの多様な生物が生息することの意義や価値、またそれが私たちの暮らしにどうつながっているのか、大きな絵として全体像が見えてこないもどかしさも感じています。このたび「みどり豊かな住まいのみやこ」を掲げた新基本構想が策定されたのを機に、杉並区が改めて生物多様性に光を当てていただきたいとの思いから質問します。

生物多様性の保全について国際条約が 締結された1993年、日本もこれを批准し、国が最初に生物多様性国家戦略を策定したのが1995年。それから四半世紀が経過しましたが、地球規模ですすむ生物多様性と生態系の劣化は日本も例外なくレッドリストに掲載される絶滅危惧種も増え続けています。

この原因として、開発など人間活動による危機、里山などの手入れ不足による自然の質の低下、外来種の持ち込みによる生態系のかく乱、地球環境の変化があると言われています。これらは、SDGsの持続可能な開発目標とも重なります。SDGs17の目標の15番目には陸の豊かさも守ろうがあり、陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転並びに生物多様性損失の阻止をはかるとされており、生物多様性の保全の必要性はもはや疑う余地がありません。

国の生物多様性国家戦略はこれまで4回の見直しが行われました。そして2020年1月から2021年6月までの全9回にわたり次期生物多様性国家戦略研究会が開催され、2021年7月30日、目指すべき2050年の自然共生社会の姿と2030年までに取り組むべき事項について整理した提言として報告書がまとめられました。

この報告書では生物多様性条約の戦略計画に掲げられた2050年「自然との共生」ビジョンの達成に向けた道筋として、①点目に生存基盤となる多様で健全な生態系を保全・再生し、②点目に自然を活用した解決策や生態系を基盤とするアプローチの考え方を社会的課題への対処に全体的に取り入れながら自然の恵みを持続可能な形で積極的に活用すること、さらに③点目に生物多様性を主流化し、社会・経済・暮らしのあり方を自然共生に向けた社会変革が必要となるという3つのポイントが掲げられています。

 

一方、東京都も生物多様性地域戦略の位置づけとなっている「緑施策の新展開~生物多様性の保全に向けた基本戦略~」の改定に向けて2019年12月から検討会が開催されており、今年8月には都民、企業、市民団体、大学、関係自治体などからの意見募集にあたり、東京都における生物多様性の現状と課題、目指すべき将来像案などを整理したゼロドラフトを作成しています。

  • これらの生物多様性に関わる国や東京都の改定議論のポイントはどのようなところにあると考えているか、区の認識を伺います。
  • 杉並区の新たな実行計画のみどりの質を高める項目の中で2024年度にみどりの基本計画の改定が予定されていますが、この基本計画には施策11のグリーンインフラを活用した都市環境の整備の全体にわたる事業が盛り込まれると考えてよいのか伺います。
  • 杉並区では自然環境調査を定期的に行っており、1985年に第1次調査が開始されて以降、現在第6次調査まで行われています。専門家からは日本で一番長く調査をしている自治体だと評価されており、毎回発行される報告書からは、多くの動植物の存在や変遷が分かる貴重なデータを知ることができ、また、それ以前の1982年から河川の生物調査も定期的に行われており、今年の3月には第8次河川生物調査報告書が発行されています。いずれも、市街化がすすんだ杉並区にあって、一定の自然環境が残されていることを裏付けるものでありますが、なかなか、区民からは見えづらく、自分の住むまちの自然環境がどのような状況にあるのか、その価値が実感できないのは残念なことだと思っています。区は、これらのデータや分析、今後の取組みの提言をどのように施策に生かしているのか伺います。
  • 区は2008年より「善福寺川『水鳥の棲む水辺』創出事業」に取組み、2009年11月に同事業の基本方針、2014年2月に同行動方針を策定しています。この事業の目的について確認します。
  • あまり耳慣れない「行動方針」ですが、その「行動方針」というものはどういう位置づけにあるものなのか、「行動方針」を立てて8年を迎えようとしていますが、その達成度合いと今後、どのような道筋があるのか伺っておきます。

この「善福寺川『水鳥の棲む水辺』創出事業」につながる取組みとして、2018年7月に完成した遅野井川親水施設があります。この親水施設が誕生したきっかけは2014年7月に井荻小の5・6年生が区長のもとに訪れ、善福寺川の清掃活動を通して、もっと川をきれいにして、親しみやすい水辺をつくりたいという思いを伝えたことでした。当時は「みんなの夢水路」と言われていましたが、子どもを含む地域住民等が設計・整備に参画し、完成後も市民による管理がされ、大勢に親しまれる水辺環境の創出が実現しました。そして、単に、設計や整備に提案するだけでなく、埋土種子の採取や小学生による種苗植え付けなども行い、約40種類の地域性種苗等により遺伝的な地域生態系環境の再生に挑戦したことが素晴らしく、生物多様性地域戦略の実践の一つとして語れる事例だと思っています。

  • 区はこの遅野井川親水施設づくりをどのように評価し、今後の行動方針にどう活かしていくのか考えを伺います。

この間、私は生物多様性地域戦略の策定について質問に取り上げてきましたが、2017年第1回定例会の一般質問をした時は策定した自治体は6区5市でした。それが、今年7月には12区14市と多くの自治体がこの間、策定を行っているようです。計画の形態は生物多様性地域戦略として個別に計画している自治体、環境基本計画や緑の基本計画の中に包含している自治体と様々でありますが、地球環境の危機的状況に対して計画の重要性から、杉並区も策定に着手すべきであると考えています。基本構想の議論の中でも生物多様性地域戦略の策定についての意見があり、提言書にもそのことが掲載されていると認識しています。

私が、生物多様性の保全が何より重要と思うのは、人間社会の基盤は自然環境であり、その上に経済や文化がのっているという認識があるからです。私たちの暮らしが自然環境に密接にかかわり、生き物や自然の恵みから私たちの命は守られているといっても過言ではありません。生物多様性によって得られる自然の恵みを専門用語では生態系サービスといい、4つのサービスに分けられています。1つは供給サービスというもので食料、水、燃料、木材、医薬品、衣類など私たちの衣食住に必要なものを供給する役割、2つ目は調整サービスといって、大気や水をきれいにし、気候を調整し、自然災害を防ぐ役割、3つ目は文化的サービスで野外レクリエーションや行楽、俳句を詠むなどの人間生活を豊かにする役割、そして、最後の4つ目は基盤サービスで植物の光合成、昆虫や微生物が土をつくる土壌形成、水循環など、先に挙げた1から3のサービスの基盤となるものだということです。生態系を無視した開発や経済活動、人間の生活様式が今、迫っている気候危機の問題やプラスチック海洋汚染の問題、新型コロナウイルス感染症の発生にもつながっています。常に生態系のことを前提に物事をすすめていく重要性を改めてこのことからも認識するところです。また、生物多様性を環境という一面だけでとらえることは不十分であり、まちづくり、都市整備や産業振興、文化交流など全庁的にこの問題に取り組んでいくことが必要だと思います。

生物多様性について学習するたびに、その思いは強くなり、基本構想並の議論が必要だと思うようになりました。

今年のすぎなみエコ路地フェスタのトークショーで、東京大学総合研究博物館の須田真一さんによる「風景が変わると生き物はどうかわるのか」というテーマで生物多様性に関するお話を聞きました。石神井公園での研究についてのお話でしたが、種の多様性を支えるのは生態系と風景・景観の広がりをなすランドスケープの多様性であるということで、種多様性の高かった時代と低下した時代の関係を把握することは生物多様性保全・再生にとって有益な情報となるということでした。そういう意味では杉並区が持つ長年にわたる調査データの蓄積はとても重要な情報資源になると理解しました。

また、人は暮らしが安定しないと環境に目が向かないとの指摘は、先日の選挙で関心のある政策を聞いた世論調査で環境と答えた人が悲しいほどに少なかったこととつながりました。地球環境がちょっと怪しくなってきたと感じていても、日々の目の前の課題が優先され、環境問題は後回しになっているということなのでしょうか。環境問題はひとり頑張っても成果につながらないため、どう取り組んでよいのかわかりにくいという面もあるかもしれません。しかし、今、若者が環境問題に敏感になっているのは、自分たちの将来が危ういということに気付いたからであり、地球温暖化による気温上昇や干ばつ、自然災害が身近な問題となり、食料生産の危機が略奪や紛争を起こし、海面上昇で住む場所を追われる、得体のしれないウイルスが発生するなど、これまで映画の世界のようなことが現実になりつつあります。そのような問題に対して、私たち大人も危機感をもって、きちんと向き合わなければならないと思います。

そこで伺います。

  • 区・区民、さらには事業者も含め、共通の認識を持ち、共に課題解決に取り組む意味でも、目的や目標設定を明確にした生物多様性地域戦略の策定はとても意義あることだと思いますが、区は策定についてどのように考えているのかお聞きします。

須田真一さんから、目黒区の生物多様性地域戦略が参考になると聞き、調べてみました。2014年3月の策定ですが、その策定過程がとても丁寧だと感じました。2年近くかけて専門家をはじめ、区民、商店街関係者、小学校長、環境活動団体など、その地域の特性をとらえたメンバーによる策定検討委員会で策定していて、策定過程で小学生を含む様々な区民イベントをはさみながら、計画づくりへの参加を保障し、中間まとめや素案に対する区民意見募集も2度にわたり行われていました。寄せられた意見数も中間まとめに422人620件、48団体83件、素案では94人162件、17団体23件が寄せられており、区民の関心が向けられていることがうかがえました。また、短期目標に対する指標評価もわかりやすい形で公表されているなど、参考にしたい取組が多くありました。

杉並区にも様々な切り口で活動している環境団体が多く存在しているので、その方々の経験や知識を活かすこともできるのではないかと考えています。

  • 今や、目黒区以外にもいろいろな自治体が策定をしており、区としても他自治体の地域戦略を参考にしながら、杉並区のイメージをつくっているのではないかと思いますがどうでしょうか。
  • 新たな基本構想で掲げた「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現は、生物多様性の主流化を進めていくこととつなげていくべきだと考えています。区としての生物多様性地域戦略の策定をする場合には、区民が自分事としてとらえられるようになることが重要であり、そのためには様々な分野に携わる方々の意見やアイデア、そこに暮らす多様な区民の意見を出せる機会を確保することが必要だと考えています。そして、生物多様性の保全が自分にとって必要なことと理解する人が増えれば、生きた地域戦略になると思いますがいかがでしょうか。また、区としても専門家の力を借りながら全庁的な議論を進めていくことが必要だと考えますが区の見解を伺い、私の質問を終わります。

プラスチック削減とゼロカーボンを同時に目指す ~一般質問と答弁

Q1 今年6月に成立したプラスチック資源循環促進法について、区はこの法律をどのようにとらえているか。

A1 この法律は製品プラスチックを含めたすべてのプラスチックについて設計・製造・販売・提供・排出・回収・リサイクルの各段階において資源循環等の取り組みを促進することによる持続可能な経済の健全な発展を進めることを目的としており、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みにも寄与する点からも意義があるものと認識している。

Q2 プラスチック資源循環促進法では、容器包装プラスチックに加えて製品プラスチックも自治体が回収しリサイクルするとあるが、製品プラスチックは金属や他の素材と一体化しているものが多くリサイクルが難しい。区はこの一括リサイクルにどのように取り組んでいくのか。

現在23区で容器包装プラスチックのリサイクルを行っているのは12区で、11区が可燃ごみとして燃やしている。また全国を見てもリサイクルを行っている自治体は7割程度といわれている。この新法によってすべての自治体が容器包装プラスチックをリサイクルし、さらに製品プラスチックの一括回収が進むのか。

A2  新法では市区町村の一括回収について努力義務として定めており、今後進むべき方向であると認識している。しかしすべての自治体が一括回収に取り組むためにはリサイクルの中間処理や最終処分を担う事業者の確保、プラスチック製品を製造、販売する事業者等でリサイクル費用の一部を負担する仕組みづくり、また各自治体の収集運搬にかかる体制作り等様々な課題があると考える。

そのため、製品プラスチックの資源化についてはまずは収集・運搬や中間処理等の現状を十分に調査したうえで資源化についての取り組みを検討し、可能なところから進めていく。その際は現在小型家電もしくは不燃ごみとして収集している金属と一体化した製品についても検討していく。

Q3 昨年1月に杉並区の容器包装プラスチックを処理する中間処理施設と材料リサイクルされている工場を見学した。中国への輸出ができなくなり国内の処理が追い付かない事、再生される製品のニーズがそれほど多くないことから、リサイクルする総量を減らすことが一番重要であり急務と考えるが、区の見解は?杉並区の環境基本計画の中にも温暖化対策と連動してプラスチック削減の計画を示すことが必要だと考えるがいかがか。

A3 ご指摘の通りバーゼル条約等の制約による急激な輸出環境の変化により国内のプラスチックにかかる資源循環システムについては整備の途上にあるものと思う。プラスチックは製造あるいは焼却の際に、さらには再資源化の際にも多くのCO2を排出するので、地球温暖化対策の観点からごみとして排出される総量を減らすことは重要であり、このことは基本構想審議会等からも意見をもらっている。

またプラスチック削減の推進は、製造業者や小売業者だけでなく、生活習慣の見直し等区民による取り組みも重要で、計画等の策定に当たっては、再資源化の取り組みに加え区として取り組むべき削減に向けた施策についても検討していく。

Q4 これまで容器包装プラスチックのリサイクルは自治体が収集、選別、圧縮、保管、生産者が再商品化を担い経費の負担は自治体が8割、生産者が2割という大変不公平な現状があった。この新法によって負担割合に変化があるのか。

また生産者が責任をもって収集・運搬・選別・保管・再商品化までを行い、その価格は商品に含めることによって受益者である生産者と消費者が負担する、拡大生産者責任が進むのか。

新法には製造事業者や小売事業者が自主回収しリサイクルすることを可能にする措置が盛り込まれた。これは拡大生産者責任の上からも、また上質な高度リサイクルができる点からも歓迎されるべきことだが、具体的に同のように進められるのか。

A4 容器包装リサイクル法では自治体に分別収集、事業者にリサイクルが義務付けられ、現在区が役8割、事業者が2割の負担となっている。

新法では自治体に対し分別収集及び再商品化への努力義務が課され、再商品化は容器包装リサイクル法に定める指定法人に委託し、再商品化計画は国の認定を受けるものとされている。

一方生産者に対しては、環境配慮設計指針を示し、指針に適合した製品を国が認定する仕組みを設けるとともに、製造事業者、販売事業者が製品等を自主回収し再資源化する計画に対し、国が認定した場合には廃棄物処理法の事業者への許可が不要になる制度が規定された。しかし事業者に対しては容器包装リサイクル法のような再資源化の義務付けでないことから、拡大生産者責任を進めるためにも、今後の国の補助制度の整備や事業者の自主的な取り組みを促す仕組みづくりが重要になってくる。今後政令等が示され、自治体の負担割合を含めて法に基づく取り組みの詳細が明らかになってくるものと考える。

Q5 自治体が容器包装プラスチックと合わせて製品プラスチックを回収することになれば全く形態の違う製品プラスチックを中間処理する工場の設備投資は避けられない。このような工場の設備投資のための国からの補助はどうなっているか。

A5 重量があり不純物の増加が想定されるプラスチックの選別・梱包等の中間処理に対応するためには追加の設備投資が必要になるが、現在のところくにからの補助金等は示されていない。

Q6 ゼロエミッション東京戦略で都が行おうとしているプラスチックの削減には、市区町村の取り組みと連動して行い必要があると思うが現在どのような協力体制があるのか。

A6 東京都とは会議体やメール等で必要な情報交換を行っている。区が目指すプラスチック削減は都と方向性を一にしているので、今後取り組みを進める中で都の取り組みを紹介するほか、協力できる事業があれば連携を図っていく。

Q7 区で行われる会議でペットボトル飲料の配布を行わないように求めたところ、各所管に代替えの方法を求めていくということだったが、この取り組みがどの程度進んだのか。

A7 区では各課、職員向けにプラスチック削減の観点から庁内通知やアンケート、庁内ネットワーク等でマイボトルの活用等の周知を図っている。アンケート結果からは新型コロナ感染症防止や衛生上の理由からペットボトルを使用した会議が多くあったことから今後も使用削減にむけ、一層の周知を図っていく。

Q8 冷水器の横にマイボトルへ給水くださいという案内の設置を要望したがどう進められているか。マイボトルへ給水可能な機器の区施設への設置はまだ多く見かけない。今後新しい施設建設等の際には設置を進めてほしい。

A8 現在庁内において、マイボトルへの給水可能な給水器の近辺にマイボトルへの給水勧奨の掲示を貼りだし周知を図っている。マイボトル用給水器については本庁舎への試行的な設置を検討しており、引き続きマイボトルの普及によるプラスチック削減に努めていく。

Q9 区立施設に入っている事業者に使い捨てのストローやその他の製品を出さないように働きかけることについてどのような成果があったのか。自販機の中にペットボトル飲料を入れない自治体や民間施設もある。これについても検討してほしいが区の考えは。

A9 区立施設使用業者や自動販売機設置業者に対してワンウェイプラスチックの使用抑制、ペットボトル飲料を紙や缶飲料に切り替える依頼を行ったところ、カップを紙製にする等可能な範囲で対応している業者やストローの代替品を検討するという事業者もあった。一方で、コロナ禍で営業が厳しい、衛生面の配慮や代替品が見当たらない、缶飲料の開封が困難な障害者の利用があるなどの理由により対応は困難との返答も多くあった。

先般、プラスチックの資源循環の促進等に関する法律が制定されたことから、プラスチック製のストローやスプーンなどは有料化等により削減することが事業者に求められている。

ペットボトルについても製造事業者による取り組み進むことを期待し、区としても事業者に働きかけを行っていく。

Q10 プラスチック問題については清掃の情報紙「ごみパックン」などで分かりやすく取り上げられてきたがこれを目にする区民が少ない。区広報に環境の特集としてプラスチック問題を取り上げてはどうか。

A10 プラスチック問題に関して区ではレジ袋有料化の動きを踏まえたマイバッグ促進や、海洋プラスチックごみ、マイバッグ持参率の高い事業者の周知等、ワンウェイプラスチックの削減を目指して広報している。今後も広報、ホームページ等を通じた周知に努め、全世帯に配布しているごみ収集カレンダーの活用等、区民に届く情報提供に工夫を図っていく。

第3回定例会一般質問 2021.9.13 そね文子

杉並区のプラスチック削減とゼロカーボンを同時に目指す取り組みについて

いのち・平和クラブの一員として、杉並区のプラスチック削減とゼロカーボンを同時に目指す取り組みについて一般質問いたします。

国内では今年もまた7月8月と立て続けに記録的な大雨によって全国で土砂災害など大きな被害が出ました。世界に目を向けると、カナダ西部で49度以上を記録し、もともと涼しい国でエアコンがないため4日間で233人が亡くなったとのこと、ヨーロッパでの豪雨や山火事、アメリカでもカリフォルニアの山火事やニューヨークでの大水害など気候危機がもたらす被害の件数は増加の一途をたどっています。国連の気候変動に関する政府間パネルIPCCは今年8月の報告で、人間活動の温暖化への影響は疑う余地がないと断定しました。

菅首相が掲げた2050年にカーボンゼロを目指すためには、プラスチック削減も同時に目指さなければならないと考えます。なぜなら、石油から生成されるプラスチックは生産、消費、廃棄に伴い大量のCO2を排出するからです。日本は一人当たりの容器包装プラスチックの廃棄量がアメリカに次いで世界第2位であることから国際的な責任も問われています。

一方で世界的にこの問題に取り組まなければならない大きな理由となったのは、プラスチックによる海洋汚染問題です。世界経済フォーラムは2050年には海を漂うプラスチックが重量換算で海の魚の量を上回ると予測しました。漁業の網にからまって命を落とす生物たち、ストローが鼻に突き刺さった亀、大量のプラスチックを飲み込んで命を落としたクジラや海鳥の映像を多くの人が目にしていると思います。またプラスチックにはさまざまな化学物質が添加されており、それを飲み込んだ生物への影響、その魚を食べる人間への影響も懸念されています。

このような背景があり、日本は2019年6月に開催されたG20大阪サミットで、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加の汚染をゼロにすることを目指す「大阪ブルーオーシャンビジョン」を提案し、21年現在は87の国と地域がこれを共有しています。日本でもプラスチック資源循環戦略に基づき、ようやく2020年7月からレジ袋が有料化されました。

そして、今年2021年6月、プラスチックに係る資源循環促進等に関する法律(以下、プラスチック資源循環促進法)が成立しました。プラスチックを減らすための決意を示すこととして、またプラスチック製品の設計から廃棄物処理まで、ライフサイクル全般を対象とした法律ができたことを歓迎したいと思います。しかし、重要かつ押さえておかなくてはならないポイントはプラスチックの抜本的な発生抑制やリユースの推進による総量の大幅削減をどう具体化するかです。

昨年1月私は杉並区の容器包装プラスチックが処理されている中間処理施設とマテリアルリサイクルされている千葉県富津市の工場を見学させていただきました。その工場は無人でプラスチックの素材を光により選別できる最新の機械が導入されていて、24時間フル稼働で処理が行われていました。そして工場の外の敷地には中間処理・圧縮され運び込まれたプラスチックの塊が大量に山積みにされ、長い期間が経過しているのが見てとれました。工場の方の話でも中国への輸出ができなくなり国内の処理が追いつかないこと、これ以上の受け入れは難しいということでした。ここで材料に再生されるプラスチックは強度が弱いため、純度の高いバージンプラスチックと混ぜられ、工場などで荷物を載せるのに使うパレットが作られていました。それ以外はペレットにして、道路のタイルや公園で使われる擬木などに加工される原料として販売しているということでしたが、このような製品のニーズはそれほど多くはありません。プラスチックのリサイクルは限界にあることを実感した視察となりました。

今年度、杉並区では新基本構想が策定され、環境基本計画の改定もあります。国の法整備と並行し、区でも大きな動きがある中で、今後の取り組みを、決意を持って進めていただきたいという思いから、以下質問いたします。

  • 先ずはプラスチック資源循環促進法についてです。この法律によって、今までは可燃ごみとして出されていた製品プラスチックをリサイクルに回す大きな意義は、プラスチックを燃やしてCO2を出さないことだと考えます。プラスチックを燃やして燃料にし、発電を行うなどのサーマルリサイクルは、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルに比べてCO2削減効果は1/3以下です。そもそもサーマルリサイクルは海外ではリサイクルとは認められていません。区でもプラスチックは燃やさない、サーマルリサイクルはリサイクルではないという意思を示していただきたいと思いますが、区はこの法律の意義をどのようにとらえているかうかがいます。
  • この新法には容器包装プラスチックに加えて、バケツやクリアファイルなどの製品プラスチックも自治体で回収しリサイクルをするとあります。しかし製品プラスチックは、例えばはさみやボールペンなどのように金属や他の素材と一体化しているものが多く、リサイクルが難しくなります。区はこの一括リサイクルにどのように取り組んでいこうとしているのか、考えを伺います。
  • 先に述べたプラスチックの国内処理には工場の限界、使う先がそれほどないこと、燃料として燃やされていることなど、多くの問題をはらんでいます。リサイクルする総量を減らすことが一番重要であり急務と考えますが、区の見解をうかがいます。ここで東京都と民間企業のLoop Japanが取り組んだ一つの事例を紹介したいと思います。それは東京都の丸の内エリアや六本木エリアの特定オフィスの社員限定でリユース可能な弁当容器で弁当を販売し、空き容器を回収洗浄した後再利用するというものです。これは毎日大量に消費されている弁当容器を劇的に減らす画期的なアイディアであり、この費用は事業者と消費者が分担することになり、税金を投入することがありません。現在区役所内で販売している弁当で同様の取り組みができないかと思います。このLoop Japanに問い合わせたところ、前向きに検討できればと言っていました。今後このような検討も進めていただけるよう要望いたします。
  • 現在23区で容リプラのリサイクルを行っているのは12区で、11区が可燃ごみとして燃やしている現状があります。また日本全国を見てもリサイクルを行っている自治体の数は7割程度と言われています。この新法によって、すべての自治体が容器包装プラスチックをリサイクルし、さらに製品プラスチックの一括回収が進むのでしょうか、うかがいます。日本が2050年のカーボンニュートラルを目指すのであれば、すべての自治体がこれに取り組むことが必要です。
  • これまで、溶リプラのリサイクルの役割分担は、自治体が収集、選別、圧縮、保管、生産者が再商品化を担い、経費の負担は自治体が約8割、生産者が約2割という、公的負担に極端に偏った現状がありました。この新法によって負担割合に変化があるのかうかがいます。また、区も私たち市民団体も長年主張してきた、生産者が責任を持って収集運搬選別保管、再商品化までを行い、その価格は商品に含めることによって受益者である生産者と消費者が負担する拡大生産者責任が進むのかどうかもうかがいます。
  • 自治体が容リプラと合わせて製品プラを回収することになれば、容器包装とはまったく形態の違う製品プラを中間処理する工場の設備投資は避けてと通れません。このような工場への設備投資のための国からの補助はどのようになっているのかうかがいます。
  • 新法には製造事業者や小売事業者が自主回収しリサイクルすることを可能とする措置が盛り込まれました。これは拡大生産者責任の上からも、また上質な高度リサイクルができる点からも歓迎されるべきことですが、具体的にはどのように進められるのでしょうか。うかがいます。

8. 次に区の計画へプラスチック削減の取り組みについてどのように記載するかについて質問します。

今、まさに新たな基本構想の答申が区長に提出される段階に来ています。この基本構想策定を受けて、区の環境基本計画の改定が行われる予定です。基本構想審議会に委員として参加させていただきましたが、環境分野では気候危機を回避するための温暖化防止対策が大きく打ち出されていました。プラスチックの問題も気候危機同様に世界的に大きな課題であり、CO2削減のためにも取り組まなければならないことです。東京都のゼロエミッション東京戦略では温暖化対策にはエネルギーと資源の脱炭素化の両方が必要と明記され、プラスチック削減プログラムが示されています。杉並区の環境基本計画の中にも温暖化対策と連動してプラスチック削減の計画を示すことが必要だと考えますが、区の見解をうかがいます。

9. 東京都のゼロエミッション東京戦略と都内自治体との連携についても伺います。都が行おうとしているプラスチックの削減には、区市町村の取り組みと連動して行う必要があると思うのですが、現在どのような協力体制があるのかうかがいます。

10.次に具体的にプラスチックを減らす取り組みについて伺いたいと思います。これについては何度も質問に取り上げて、ご答弁もいただいているところですので、その進捗状況について伺いたいと思います。直近で2019年9月にプラスチック削減によって海洋汚染を防ぐ取り組みについて質問しました。

そこで区の関係で行われる会議でペットボトル飲料の配布を行わないでほしいと求めたところ、各所管に代替えの方法を求めていくということでした。この取り組みがどの程度進んだのでしょうか、うかがいます。今はプラスチックを減らすことに取り組まなければならないことは多くの区民が認識しているので、会議参加者の理解は非常に得やすいと思います。会議の案内に「プラスチック削減のため、飲み物が必要な方はご持参ください」と一言入れれば、理解協力が得られると思いますので、ぜひ検討をお願いします。

11.既存の冷水器の横に、マイボトルへ給水くださいという案内を設置していただきたいと申し上げ、まずは、冷水器の横にマイボトルへの給水が可能である旨の表示を含め、より多くの区民にご利用いただけるよう工夫するとお答えいただいていますが、その取り組みがどのように進められたのかうかがいます。

12.マイボトルへ給水できる機器の設置については、ウェルファーム杉並や西永福にできた複合施設に設置され、対応がとられていることに感謝いたしますが、まだ設置個所は少ない状況です。今後も新しい施設建設等の際には設置を進めていただきたいと考えますが、区の見解をうかがいます。

13.次に区立施設に入っている事業者に使い捨てのストローやその他の製品を出さないように働きかける点についても前向きな答弁をいただいていたところですが、どのような話し合いが行われ、どのような成果があったのか伺います。新法ではスプーンなどの使い捨てプラスチック製品12品目を多量に提供する企業に削減対策を義務付ける方針です。区の施設に入っている事業者は義務の対象にはならないと思いますが、プラスチック削減への理解は得やすいと思いますので、さらなる助言や働きかけをしていただくようお願いいたします。

14.区役所本庁舎や区立施設に設置されている自動販売機の中にペットボトルを入れない自治体や民間施設の取り組みもクローズアップされています。区でも検討いただきたいと思いますが、見解をうかがいます。

15.これが最後の質問です。プラスチック問題について、区でも情報紙「ごみパックン」などで分かりやすく取り上げてこられたと承知しています。しかし、これを目にする区民が少ないことが残念です。今区報では人の特集を組まれていますが、折を見て環境関係の特集を取り入れ、プラスチック問題についても取り上げていただければと思いますがいかがでしょうか、うかがいます。

区が旗振り役になって、プラスチックの削減に取り組みましょうと表明することが区民の活動を後押しし、力強い支援になります。これまでも提案した講師の講演会などを開催していただき感謝しています。環境問題に無関係でいられる人は一人もいません。より多くの人々に理解や関心を広げるための区の役割は大きいと思います。プラスチック削減の必要性を知れば、協力の輪は広がると思います。区内には情熱を持ってプラスチック削減、気候危機対策などの環境問題に取り組む多くの区民がいます。この危機を乗り越えるためには区民参加が不可欠ですから、多くの区民と協力し活動を広げていただきたいと思います。私も一緒に取り組むことを申しあげ一般質問を終わります。

第2回定例会一般質問 質問と答弁 2021.6.2 奥田雅子

ひとり親支援について

Q.1-①昨年度、ひとり親家庭実態調査が実施された。前回の実態調査報告書では、調査結果のまとめの中で今後の課題についての記載があった。どのような課題があり、それは解決されたのか伺う。また、今回の実態調査では、コロナ禍の状況にあって、5年前の調査との違いが見えてきたのではないかと思う。区はこの調査により、どのようなことを新たな課題として認識したのか伺う。

A.1-①まず、2015年度に実施した実態調査で出された課題だが、住まいの確保や就労支援・子どもの学習支援の充実のほか、離婚後の支援である養育費確保や面会交流への理解促進などがあり、これらの課題に対しては、現在も引き続き取り組みをすすめている。また、新型コロナウイルス感染症の影響については、今回の実態調査からは顕著な傾向は見受けられなかったが、報道等により、ひとり親家庭が影響を受けていることを認識している。今回の調査における新たな課題については、前回同様、ひとり親家庭が抱える課題としては、経済的なものが多く、その要因の一つとなるのが、養育費の不払いであり、その対策として今年度より養育費確保支援事業を開始している。また、子育てや家事に困難を感じている父子家庭の割合が増えており、母子家庭に加え、こうした父子家庭も相談しやすくなるような工夫をしていく必要があると考えている。(子ども家庭部長)

Q.1-②国の子育て世帯生活支援特別給付金の支給が始まっているが、ひとり親家庭を対象とした給付金の支給件数を確認する。

 

A.1-②本給付金の対象はひとり親世帯とそれ以外の住民税非課税の子育て世帯とに分かれるが、質問のひとり親世帯の直近の支給実績は2021年4月分の児童扶養手当受給者1501世帯、児童数は2058名となっている。(子ども家庭部長)

Q.1-③本来使える制度やサービスが使えていない人がいないようにしなければならないが、ひとり親への情報提供はどのように行っているのか伺う。

A.1-③区では、ひとり親家庭に対する支援サービスの内容をまとめた「ひとり親家庭のしおり」を作成しており、ひとり親の方が利用される相談や戸籍の届け出を行う区の窓口のほか、区内の医療機関や就労支援センター、くらしのサポートステーションなどで配布している。また、区の広報やホームページのほか、東京都のひとり親家庭向けポータルサイトなどにも必要な情報を掲載し、広く周知することに努めている。(子ども家庭部長)

Q.1-④相談に訪れた方にとっては、その家庭にあった制度やサービスをカスタマイズしてもらえるような寄り添い型の相談ができると心強いと考えるが、現状どのように対応しているのか確認する。

A.1-④ひとり親家庭の相談は、ひとり親になった事由一つをとっても、離別・未婚・死別と背景が異なり、さらに子どもの年齢や経済状況・生活状況も様々である。そうしたご本人やご家族の状況を、ひとり親家庭支援担当の相談員が丁寧に聞き取りながら支援し、必要に応じて手続きの同行なども行っており、今後も相談者の気持ちに寄り添いながら、共に考え必要な支援を提供していく。(子ども家庭部長)

Q.1-⑤今年度から開始された養育費確保支援事業は、離婚相手との取り決めがあっても養育費が支払われない場合のひとり親家庭の救済制度だが、区は周知方法含めどのようにすすめようとしているのか伺う。

A.1-⑤本事業の周知については、事業を開始した4月1日の広報及びホームページによる周知に加え、チラシを作成し、区窓口のほか公正証書を作成する公証役場、民間のひとり親家庭支援団体、養育費に関する相談を受ける東京都のひとり親家庭支援センターや養育費相談支援センターにも送付し、周知の協力をお願いした。これまでのところ申請の実績はないが、引き続き周知に努め養育費の確保につなげていく。(子ども家庭部長)

Q.1-⑥相談したいことが明確ではなく、相談先を選ぶことが難しい方も多いと思う。区が発行する「ひとり親家庭のしおり」の最初に、ここにさえ相談すれば、その先を導いてくれるという案内が書いてあるとよいと思うがいかがか。

A.1-⑥このしおりでは「各種相談」というページに相談機関ごとに相談内容等を記載しているが、ご指摘の通り、何を相談したらよいのか整理できない方もいらっしゃると思うので、そうした方も相談できる窓口がわかるよう、次回作成する時には工夫していく。(子ども家庭部長)

Q.1-⑦ひとり親家庭への聞き取りと同時に、地域で支援活動を行っている団体や個人からも現場が持つ情報や抱える課題について共有する機会が必要であると考えるが、区の見解を伺う。

A.1-⑦ひとり親家庭が抱える悩みや課題については、日々の窓口や電話での相談のほか、「ひとり親家庭実態調査」を通して定期的に把握しているところではあるが、地域で実際に支援に携わっている方々からのご意見は貴重であると考えているため、そのご意見もしっかりと受け止めながら実態の把握に努めていく。(子ども家庭部長)

ヤングケアラー支援について

Q.2-①厚生労働省の調査で対象となった杉並区内の中学校はあったのか。また、今回の調査を区はどのように受け止めたか。

A.2-①厚生労働省が実施した調査には本区の区立中学校も調査対象校として抽出されていた。教育委員会としては全国の中学校2年生の5.7%が世話をする家族がいるという結果から、ヤングケアラーが一定数いることが分かった。(教育政策担当部長)

Q.2-②ヤングケアラーの問題は家族の問題とせず、社会全体の問題として取り組むことが重要と考えるが、そもそも自分がヤングケアラーだと自覚していることもが少ない実態がある。誰かが気づいて声をかけ、支援につなげることが重要だと考えるが、区ではどのように実態を把握し対応しているのか確認する。

A.2-②ヤングケアラーの実態把握と対応については、学校等で支援が必要な子どもを把握した場合、子ども家庭支援センターと情報共有を図り、双方で連携して見守り支援を行っている。その上で、子ども家庭支援センターのケースワーカーが家庭を訪問するなどして子どもやその家族の相談支援を行うとともに、家庭の状況に応じて必要なサービス等につなげている。(子ども家庭部長)

Q.2-③子どもに関わる全ての職員がヤングケアラーの実態について認識し、理解することが早期発見、早期解決には欠かせないと考えるが、福祉や教育分野での研修にヤングケアラーの視点が盛り込まれているか確認する。

A.2-③子どもに関わる大人がヤングケアラーへの理解を深め、支援の必要な児童・生徒を早期発見し、関係機関と適切な連携を図る必要があることから、子ども家庭支援センターで実施している要保護児童対策地域協議会の構成員向け研修やスクールカウンセラー連絡会でヤングケアラーを取り上げ、周知に努めている。加えて今年度は管理職や養護教諭、生活指導主任等を対象にヤングケアラーの理解、他機関との連携方法等の研修を行っていく。(教育政策担当部長)

 

Q.2-④本年5月、厚生労働省と文部科学省のプロジェクトチームによる報告書がまとめられた。その検討内容を確認する。また、区は、その報告書をどのように受け止めたか伺う。

A.2-④このプロジェクトチームは支援を必要としているヤングケアラーを早期に発見し、必要な支援につなげるための方策を検討するために設置されたものである。まとめられた報告書には、福祉・介護・医療・教育等の関係機関や支援団体等がしっかりと連携し、ヤングケアラーの早期発見・支援につなげるための取組みが記載されており、今後の施策を展開するにあたり、参考とすべき内容が含まれているものと受け止めている。(子ども家庭部長)

Q.2-⑤子ども家庭支援センターのリーフレットやゆうラインの案内で、具体的な相談内容に家族のケアを担っている子ども(ヤングケアラー)の相談といった項目を足す工夫があっても良いと思うが区の見解を伺う。

A.2-⑤子ども家庭支援センターのリーフレット等への具体的な相談内容の記載については、ヤングケアラーが相談につながることは重要であると考えているため、より子どもにわかりやすい表現で案内するなどの工夫をしていく。(子ども家庭部長)

Q.2-⑥この間ひとつの家庭が複合的かつ複雑な問題を抱えるケースが増えており、区でも在宅医療・生活支援センターを中心により横連携の支援体制を強化しているが、ヤングケアラーの問題についても改めて意識を高めていくことが必要だと考える。子どもの未来を奪うヤングケアラーの問題に対し区の考えを伺う。

A.2-⑥ヤングケアラーは子どもでありながら、本来大人が担う家事や家族の世話などを介護者として日常的に行っている。そのため、睡眠不足や疲労から勉強する時間がとれず、学力の低下や欠席の増加など学業への影響が懸念される。また、自由時間が少ないため部活動に参加できない、友人と遊ぶ時間がとれないことから、孤立や精神的な不安定さを招くなど、成長していく上での影響も危惧される。こうしたことから、家族へのケアに係る負担を軽減または解消することが必要だが、ヤングケアラーの問題は家庭内のデリケートな問題であることから、本人が家族の状況を知られたくない、本人に自覚がないなどの状況により、潜在化しやすくなってしまうという難しさをもっていると認識している。

そのため、ヤングケアラーについての認知度を高め、子どもに関わる教育等の関係機関や地域が、子どもの発するサインに気づき、早期に発見することが非常に重要である。また、周りの気づきだけでなく、ヤングケアラー自身が相談できるようにすることも重要であり、子どもの声を受け止める体制や子どもの声を代弁するしくみの構築についても大切であると考えている。

全ての子どもがその家庭環境に左右されることなく、将来の選択ができるよう、地域全体で子どもを見守る環境を整え、必要な支援につなげることで、子どもたちの未来への歩みをしっかりと支えていく。(区長)