第2回定例会議一般質問と答弁 2024 6.5 奥田雅子

 

指定管理者制度の検証および今後の方向性について

Q1.「指定管理者制度の検証報告書」では、財政負担についてはスポーツ施設で11,3%、図書館で29,6%の経費削減となったとあるが、その要因はどこにあると認識しているか伺う。

A1.(区政イノベーション担当部長)スポーツ施設においては、指定管理者制度の導入により複数施設を一体的に管理することで、人員配置や物品の一括購入等による運営の効率化が図れたこと、図書館の場合は、施設の繁閑に合わせた柔軟な人員配置を行えたことによる人件費等の経費削減が主な理由である。

Q2.集会施設は逆に6%増となり、それは大規模改修や機能の追加など、制度導入前と条件が違うことが理由となっているが、大規模改修や機能追加の何が増加の要因になったのか、指定管理にしなかった場合と比較するとどうだったのか伺う。

A2.(区政イノベーション担当部長)集会施設の場合、大規模改修に合わせて共有スペースにカフェを設置したり、動線をスムースにするための諸室の配置変更を行うなど、指定管理者制度導入前後で施設の設備面が大きく変わり、維持管理費が増えたことが経費微増の主な理由となる。また、委託業務の時には含まれていなかった建物修繕の際の立ち合い業務などが、指定管理業務には含まれていることも、経費微増の原因として挙げられる。

Q3.従事者に対しては「総合的に働きやすい」と回答したのは79,3%だったが、20,7%の人はそうは回答していない。その2割の声をどのように把握しているのか伺う。

A3.(区政イノベーション担当部長)働きにくいと回答した方の多くが、人間関係に課題があると感じていることを把握している。

Q4.正社員以外の従事者に無期労働契約への転換を42,9%の指定管理者が促しているということは分かったが、区はこの数字をどう捉えたのか伺う。

A4.(区政イノベーション担当部長)正社員以外の従事者に無期労働契約への転換を42,9%の指定管理者が促しているという結果については、想定よりは多かったとはいえ、すべての対象者に当該制度が周知され、希望する働き方ができるよう、引き続き指定管理者に働きかけていくことが必要であると考えている。

Q5.昨年7月8日に指定管理者制度をテーマに行った「聴っくオフミーティング」では、どのような意見やアイデアが出され、今回の検証にどのように反映されたのか伺う。

A5.(区政イノベーション担当部長)より多くの人が施設利用につながるよう、区民参加型イベントを実施することや、利用者の声を運営に生かすため、利用者との定期的なミーティングの場を設けてはどうかなどの提案があった。また、各施設で魅力的な取組を行っているにもかかわらず、情報がなかなか届いていないといった声もあり、こうした声を受けて、「ガイドライン」に、指定管理者が、より多くの区民にサービスを知り、利用してもらうための取組を工夫して行うよう記載していく。

Q6.「従事者がスキルを伸ばし、やりがいを持ち、働きやすいと感じる職場とするための取組に伴うコストについて配慮する」については、どう配慮するのか。また、どのような働き方であろうと賃金がきちんと支払われる人件費の積算が必要であり、そのためには、正規・非常勤・パートの配置方針やどの賃金を目安に決めるのかなどを明確にする必要があると考えるかどうか。区の見解を伺う。

A6.(区政イノベーション担当部長)従事者のスキルを伸ばし、やりがいを持ち、働きやすいと感じる職場とするための取組は極めて重要であるため、今般策定する「施設運営パートナーズ制度導入・運用ガイドライン」に、人件費の積算に当たっては、公契約条例に基づく労働報酬下限額以上の賃金が支払われるようにすること、指定管理業務に必要な経費には、指定管理者が行う人材育成に係る経費を含むことを盛り込んでいく。

Q7.報告書では公の施設を民間に委ねたとしても、区が施設設置者としての責任を果たす必要があることに改めて触れている。当たり前のことだが、その意識が薄いと感じることもあった。区職員が施設運営の経験や提供するサービスに関する知識をつけていくには現場を持つことが必要。直営の施設を確保することが職責を果たすために重要と考えるが、区はどのような施設を想定して直営を残していくと考えているのか伺う。

A7(区政イノベーション担当部長)昨年度に実施した指定管理者制度の検証に基づき、今般、指定管理者制度の導入・運用に関して方針とガイドラインを策定し、本定例会の総務財政委員会に報告する予定だ。この中に、既に盛り込んでいるものもあるが、従事者の労働環境をより改善するための取組や、区として蓄積すべきノウハウなどの面で、今後更に検討を深めなければならない課題が残っていると受け止めている。そのため、今年度から設置した「区政イノベーション本部」の下に検討グループを設け、これらの課題について検討し、今年度末を目途に、ガイドラインのブラッシュアップを図っていきたいと考えている。

Q8.指定管理期間の設定について、報告書にある指定管理者の創意工夫や専門性をさらに発揮できることや初期投資の回収期間を考慮することに加え、例えば社会福祉施設や保育施設などは、利用者と施設職員との継続的な信頼関係が特に必要と認められるため5年以上の期間とする場合も想定できる。そのため5年を超える場合も含め、指定管理期間の考え方を明確にしておく必要があると考えるが区の見解はいかがか伺う。

A8.(区政イノベーション担当部長)施設の特性に応じた指定管理期間の設定についてもその中で検討していく。

Q9.報告書では地域との連携情報公開、環境問題への対処や男女共同参画社会の実現が取り上げられているが、マイノリティの方への配慮や様々な障がいのバリアフリーを忘れてはならない。以前にも全盲の方と共に地域区民センターのバリアチェックをし、課題を質問に取り上げたこともあったが、ハード面だけでなくソフトで解決できることもあるため、従事者の研修も必要である。区がどういう施設づくりをしていきたいのかのビジョンを明確にし、一緒に実現していくパートナーを選ぶという姿勢が重要だと考えるがいかがか伺う。

A9.(区長)議員ご指摘のように、事業者には区がどういう施設づくりをしたいかというビジョンを共有し、ともにそれを実現していくという姿勢を持ってもらうことが大切であるため、相手方となる事業者を「パートナー」と呼ばせていただくこととした。今後は、それぞれの業務の特性に応じて、区職員のサービスに関する経験や知識を蓄積できる直営、指定管理、業務委託等の適切な運営方法を選択していくことが重要であり、そのため、直営以外の運営方法を選択する場合の基本的な考え方を示してまいりたいと考えている。

Q10.モニタリングの充実について、一緒に実現していくパートナーとして課題を共有するためのモニタリングであってほしいと思う。様々な視点から行ったモニタリングの結果をもとに、議論する場として外部委員を含む評価委員会を設けることも必要だと考えるが区の見解を伺う。

A10.(区政イノベーション担当部長)モニタリングの実施方法等についても、「区政イノベーション本部」の下の検討グループで検討していく。

Q11.公共の再生を政策の中心に掲げる岸本区長は、この指定管理者制度に対して、検証の結果を受けて改めてどのように捉えたのか伺う。

A11.(区長)今回の指定管理者制度検証により、概ね区民満足度の高いサービスが提供されていることを確認できた。指定管理者制度は、事業者等の専門性を生かし、地域に根ざした良質なサービスが提供でき、安定的な雇用の確保を図るための一つの有効な手法と考えているが、一方で、不安定な雇用形態にある従事者が多い等の課題もあると認識している。

地方自治法改正について

Q12.今回、国が地方自治体に対して補充的な指示が必要であるとした主な理由として、新型コロナ感染症のまん延時に従来の法制で想定されていない事態が相次いだことや自治体からの情報が迅速に提供されなかったこと、国から大量に発出された通知に現場が対応できなかったことなどを挙げており、国が直接関与できればうまく行ったかのような印象操作がされている。区の受け止めを伺う。

A12.(政策経営部長)先の第33次地方制度調査会答申では、「補充的指示」を必要とする背景として、「コロナ禍において感染動向等が地方自治体から国に対して迅速に提供されなかった」旨や、「国から地方自治体へ大量に発出した通知に現場が対応できなかった」旨が述べられているが、これらは、例えば「国が各自治体の状況を把握せずに提出を求めたため、求めた数値が保健所等での集計方法に合致していなかった」ことや、「事前の協議が十分でない状況で通知を発出したため、コロナ対応に追われていた保健所において国からの通知に対応しえなかった」ことなど、様々な理由が考えられ、国に指示権があるだけで解決し得る問題ではなかったと考える。

Q13.個別法を根拠としない特例として、国会も通さず、閣議決定で決める「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」時に国の自治体への直接関与を認めることは地方自治体の本旨に矛盾するものと考える。個別法を改正すれば済むことであり、「補充的指示」などと地方分権の根拠を揺るがすことを軽々に論じてほしくないと思うが、区の認識を伺う。

A13.(政策経営部長)過去に起こった震災や新型コロナにおける教訓は、各個別法の改正によって対応し得るものであり、今後の想定されていない事態において、一般法である地方自治法において、一律に国が地方自治体へ、国会の承認も経ずに「補充的指示」を発することは、国と地方の対等・協力の関係を損ないかねないと危惧するところだ。

Q14.自治体は国の下請け機関ではないと強く主張すべきだと思うが、区の認識はいかがか。

Q16.今回の地方自治法改正案に対して、庁内ではどのような議論がされたのか。杉並区として何らかのアクションを起こすべきだと考えるがいかがか。

A14.16(政策経営部長)区では、当該答申が出された昨年末以降、国の動向を注視していたが、答申を受けた法律案は、危惧するところを拭いきれない内容であったため、区としても考えを表明することについて検討に入った。区においては、東日本大震災の際、国に先んじて災害時相互協定を締結していた自治体と連携して迅速かつ的確な支援をし、その成果を踏まえて結成した「自治体スクラム支援会議」の取組があるので、支援会議を構成する自治体に声明の発出について声かけすることとしたものである。結果的にすべての構成自治体と共に声明を発することができ、また、総務省へ要請書も提出することができた。このことは、杉並区が単独で行った場合に比べ、より意義があり、かつ高い発信効果が得られたものと考えている。

Q15.改正案では、地域住民の生活サービスに資する活動を行う団体を首長が指定できるとし、支援や調整の規定を整備するとしていることは問題である。地域で活動する市民団体との連携・協議は、自治体が自治体議会を含めて市民と共に議論する課題であり、法律で規定すべきではないと考える。また、特定の団体を恣意的に優遇することも可能となり得ると危惧するが、区はどのように考えるか見解を伺う。

A15.(区政イノベーション担当部長)改正案の冒頭の条文には、「市町村は、地域の多様な主体の自主性を尊重しつつ、これらの主体と協力して、住民の福祉の増進を効率的かつ効果的に図らなければならない」とあるが、法改正によらずとも、区としてはこれまでもそのような協働の取組を進めてきた。法改正による当該制度は、各地方自治体の判断により条例によって導入を図るものとされており、今後、仮に法改正がなされた場合には、国からさらに詳細な内容が示されることと思うので、これを精査し、慎重に導入の必要性等について検討していく考えだ。なお、恣意的な運用については、法に基づくか否かを問わずあってはならないことであり、現状の取組においても運用の明確化や透明性の確保等により防止に努めている。

第2回定例会一般質問 2024.6.5 そね文子

区議会生活者ネットワークとして

1.新型コロナワクチンの副反応被害の事実に基づく検証について

2.新型インフルエンザ等対策政府行動計画について

3.多文化共生について質問します。

新型コロナワクチンの副反応被害の事実に基づく検証について

新型コロナウイルス感染症が日本で初めて確認されたのが2020年1月でした。この感染予防にと2021年2月から、まずは医療従事者に新型コロナ感染症に対応するワクチン接種が始まりました。私はこの新しいタイプのmRNAワクチン接種については関心をもって、度々質問に取り上げてきました。ワクチン接種を先行して行った海外の国々では、ワクチンが感染予防にならないということに気づき、4回までで接種を終わらせる中、日本だけがワクチン接種を継続し、世界で唯一7回まで接種を進めました。2023年、新型コロナウィルス感染症が感染症法上の季節性インフルエンザ相当にあたる5類に引き下げられ、2024年3月末で全額公費によるワクチン接種は終了しました。今後は秋冬期に自治体の定期接種が開始されますが、対象は65歳以上と60~64歳で特定の疾患がある人に限られ、その他は任意接種となりました。この間に新型コロナワクチンによる健康被害が広がっていたのは前代未聞のことでしたが、この副反応被害について大手メディアで取り上げられることはほとんどなく、いまだにワクチンの副反応と気付かずに原因不明の体調不良に苦しむ方、持病が悪化するかたなどがいることを懸念しています。しっかりと事実に元づく検証をすることが必要だと考え以下、質問いたします。

先ずは新型コロナワクチンの国の副反応うたがい報告について、全件数、重篤の件数、死亡者数について確認します。

新型コロナを除く全てのワクチンの47年間の、救済が認められた数が3636件でその内死亡は158件ですが、それに比べて新型コロナワクチン副反応で救済が認められた数は最新の5月21日付で7354件、その内死亡は593件です。たったの3年ですべてのワクチンの救済認定数の2倍、死亡にいたっては約4倍の数になっていて、どれだけこのワクチンで大変なことが起こっているかがわかるのではないでしょうか。この事実について、区はどう考えているかうかがいます。

新型コロナ感染が始まってから、杉並区でも様々な対応が行われ、このほど区はそれを取りまとめ2024年5月付けで「杉並区新型コロナウイルス感染症対応記録」を発行しました。224ページにわたり2020年1月に新型コロナ感染が日本で確認されてから、2023年5月に新型コロナ感染症が感染症法上の「5類相当」へ引き下げられるまでの約3年半にわたる対応の記録を、今後の感染症等の危機対応の充実を図るためにまとめたとされています。私も見せていただき、国や都の動き、区の各部署の取り組みが詳細に報告されている大変な力作で、これをまとめられたことは重要なことだと思いました。この記録の概要、工夫した点、今後これをどのように生かしていくのか、考えをうかがいます。

私はHPVワクチンの副反応被害者に深く関わり、実際に被害者を治療している医師の話を聞いてきました。HPVワクチンが遺伝子組み換えの技術を使った新しいタイプのワクチンで、多くの被害を生み出したことから、この新型コロナワクチンも同じように新しい技術を使った遺伝子ワクチンやmRNAワクチンということで、接種が始まった当初から、副反応被害に懸念を持ち、継続して区内の状況について確認してきました。まず、区内の状況、副反応疑いの報告件数、その内重篤の件数、その内死亡件数について確認します。また、予算特別委員会で確認した数は83件でしたが、それから増えたところがあればうかがいます。

区が取りまとめた感染症対応記録には、ワクチのン副反応被害のこと、救済制度やその申請件数、認定数も掲載していただきたいと思いました。それも区が今後参考にするべき大切な情報ではないでしょうか。区はこれまでも私の質問に対し予算特別委員会で次のように答弁されています。

「副反応疑い報告ではワクチンとの関係があるか、偶発的なもの、他の原因によるものかがわからない事例も数多く報告され、こうした事例を含めて報告のあった事例を国が公表しています。日常生活の中では様々な事象が発生しています。接種の後に生じた事象も、それだけでは因果関係があるかどうかわからないことに注意が必要であるため、同じような事例の頻度や自然発生と比べて多いかどうか、諸外国における同様の評価の状況などを参考にしながら、国が評価するものと考えております。区が独自に評価することのない区内副反応数については、区として公表する考えはございません」

このように見解を示されました。しかし、ほとんどの報告は接種を受けてから数日以内に起こった事象について、医師が副反応を疑うと認めたもの、また製薬会社からの報告です。よく聞く話ですが接種後に体調を崩し、副反応ではないかと思って接種をおこなった医師に話しても、そんなことはないと報告するのを拒否されるケースです。そのような医師が多い中で、それでも副反応を疑わざるを得ないケースを報告しているという現実があり、この報告数は氷山の一角ともいえると思います。また特に製薬会社は、できれば副反応があると認めたくないけれど認めざるを得ないものについて報告している状況は容易に想像がつきます。そのように考えた時に、いろいろなケースがあり、国が判断するものだから区は知らないという考えで区民に知らせないことは納得できるものではありません。この副反応被害は区民として知る必要がある情報だと考えます。報告書はWEB発行なので、あらためて副反応のページを追加していただきたいと思いますが、区の考えをうかがいます。

区は副反応被害救済制度の申請を受け付ける窓口になっているので、そこで面談した人たちの具体的な被害状況を把握していることと思います。どのような症状で申請が行われているのか、具体的な症状をうかがいます。

さて、報告書の6ページに杉並区内の2020年1月から2023年5月までの感染者の推移の表が示されています。(掲示)これを見るとワクチン接種が始まる前、感染者の数はほとんど問題とはいえない数だったと思います。2021年5月のワクチン接種が始まった後の第5波から、大きな感染の山が見られます。最終的に2023年3月末までに区内では延べ約50万回の接種が行われましたが、ワクチン接種が進むほどに感染が広がったことはこの表から読み取れる事実だと思いますが、この点について区はどのように考えるかうかがいます。

3年がたち、国の状況、区の状況共に実際に打った結果が出ています。2024年2月16日の衆議院財務金融委員会ではある(原口一博)議員が新型コロナワクチンについて、ワクチンに感染・重症化予防効果はあるのか、と質問したところ、これに対して、厚労省が現在調べているところだと答えています。厚労省に報告されているだけで約2200名の死亡という大変な被害が出ているのは事実です。先ずはこの重大な被害を出していることが疑われるワクチンをいったん中止し、しっかりと検証することが必要だと考えます。区の見解をうかがって次の質問に移ります。

新型インフルエンザ等対策政府行動計画について

新型インフルエンザ等特別措置法を根拠に設置された新型インフルエンザ等対策推進会議において、2023年12月に「新型インフルエンザ等対策政府行動計画(以下行動計画)の改定にむけた意見」が取りまとめられました。そして行動計画の改定案が4月27日から5月7日まで、パブリックコメントにかけられ、ゴールデンウィークの大型連休を含む期間であったにも関わらず、19万件以上の意見があつまりました。国民に強い関心があったことがわかります。私も学習会などに参加し、この行動計画に疑問を抱いたので、以下質問いたします。

行動計画の改定に向けた意見には日本の新型コロナの「感染者数・死亡者数ともに他の主要先進国と比べて低水準」と述べられ新型コロナ対応での経験は、目的を果たしたと評価すると書かれていることに大変違和感をおぼえました。また新たな技術の活用として、mRNAワクチンの重症化予防効果により、対策に当たって大きな役割が果たされたとの記述もありますが、先に紹介した2月16日の原口一博議員の答弁にワクチンの効果を調べているところという厚労省の答えと矛盾します。しかし、国は感染予防効果が無いことがわかった後に、私たち国民に対し重症化予防のためにワクチンを打つようにと接種をすすめ、区も国のこの姿勢に従って重症化予防のためにワクチンを打つようにとずっと促してきたのではなかったか。改めて、この2月16日の答弁を区はどのように受け止めるか、推進会議の意見に対する見解と合わせて伺います。

この行動計画の第3部は新型インフルエンザ等対策の13の対策項目の具体的な取り組みについて準備期、初動期、対応期に分けて書かれています。準備期というのは平常時のことを指しています。

その項目の中で特に問題と考える、「情報提供・共有、リスクコミュニケーション」についてうかがいます。

まず平常時ですが、国が都道府県及び市町村の福祉部門や教育委員会などと連携して感染症や公衆衛生対策について丁寧に情報提供・共有を行う。また学校教育の現場を始めこどもに対するわかりやすい情報提供・共有を行うとの記載があります。これは自治事務への支持にあたり、自治権の侵害ではないでしょうか。また子どもたちの間により強い同調圧力を生むことを(大変)危惧しますが、区の見解をうかがいます。

同じく平常時の偽・誤情報に関する啓発の部分を見ると、国は感染症危機下において、偽・誤情報の流布、さらにSNS等によって増幅されるインフォでミックの問題が生じ得るとし、ワクチン接種や治療薬・治療法に関する科学的根拠が不確かな情報等、偽・誤情報の拡散状況のモニタリングを行うとしているが、これは監視に当たると思います。国が科学的知見等に基づいた情報を国民が入手できるように対処するとしていますが、今回の新型コロナ感染対応を考えたときに、後から振り返って国の情報が科学的根拠に基づいた正しい情報だったとは言えないと思います。5月13日の参議院行政監視委員会では、やながせ裕文議員が行動計画に対する質疑で、河野ワクチン担当大臣の「このワクチンにより亡くなった人は誰もいない」と言った発言を取り上げ、結果として多くの人が予防接種健康被害救済制度に申請しており、このワクチンを起因として亡くなった方がいることは事実だと述べました。これは大臣が誤情報を流していたということになるのではないでしょうか。多くの国民がこのことを知っているため、パブコメに多くの意見が寄せられたのだと考えるものですが、区の見解を伺います。

次の、初動期には「偏見・差別などや偽・誤情報への対策として、国はSNS等のプラットフォーム事業者が行う取り組みに対して必要な要請や協力等を行うとありますが、これは消すという意味にとれるのではないでしょうか。都合の悪い事実が消され、必要な情報を得られなくなること、政府に都合が悪い発言を恣意的に取り締まることに法的根拠を与えることになることを危惧しますが、区の見解をうかがいます。

また特に問題と考えているのが「ワクチン」の項目についてです。そこには平常時にワクチンの治験環境の整備・拡充とあり、数万人単位の大規模臨床試験が必要と記載されています。事実岸田首相は2月の所信表明演説で日本を治験しやすい国にすると述べています。そして薬事承認プロセスの迅速化と基準整備との記載もあります。現在日本に製薬会社の工場が次々に建てられて、日本人で治験が行われ、薬事承認を迅速化して、国民が、安全性が確認できていないワクチン漬けにされることを大変危惧するものですが、区の見解をうかがいます。

先ほど奥田議員が質問した地方自治法の改正と同様に、国が自治体に支持を出し、うむを言わさず国民を新薬開発のための実験台にするような計画に危機感を持つ国民は決して少なくありません。区としても区民の命を守る立場で、この行動計画に対しても他自治体の首長とタッグを組んで、国に計画改定の見直しを求めていただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。

多文化共生の推進について

日本は超少子高齢社会の進展による人手不足で、製造業や建設業、農業に漁業、介護の分野など多くの分野で、今や外国籍の人たちの力を借りなければ社会が成り立たない状況にあります。しかし国は単純労働で外国人は導入しないという建前を崩さず、開発途上国等への技術移転の協力として技能実習制度を利用し、外国人を安価な労働力として利用しながら、転籍を認めず、人権も労働法も無視するあり方に多くの課題が指摘されています。その課題解決のため新たな育成就労制度が創設されることが最近はニュースになったところです。このような状況下で、区内における在住外国人の数はこれからも増えていくことは明らかであり、基礎自治体である区が外国人の方たちとの共生社会を創ることは不可欠です。杉並区が、在住外国人を地域社会の一員として、安心して生活ができるよう、杉並区交流協会と連携して在住外国人支援事業を実施し「多文化共生基本方針」の策定に取り組むことを評価しています。私もより良い多文化共生社会の実現を願って質問いたします。

まずは、「多文化共生基本方針」について、これを策定するに至った背景と目的を確認します。

区は方針策定のために多文化共生推進懇談会を設置し4月23日には第一回目の懇談会が開催されました。懇談会委員の名簿を見ると公募の区民が入っていません。より広く区民の意見を取り入れるためには公募区民を入れた方がよかったのではないかと思いますが、今回それを入れなかったのはなぜか、今後どのように広く区民の声を聞こうとしているのかうかがいます。

懇談会事務局を見ると区民生活部の文化交流課だけが担っています。外国人と接する部署は多く、保健センターや保育園を所管する子ども家庭部や教育委員会なども入っていることが必要だったのではないかと思いますが、どのようにそこからの声を聞き連携をとっていこうとするのか、考えをうかがいます。

5月25日に聴っくオフ・ミーティングで「多文化共生ってなに? 外国人から見る杉並を話し合おう!」が2回にわたって行われましたが、どのような方が参加したのか、区長も参加されていますが、どのような意見があって、どのような感想をもたれたかお聞かせください。

この聴っくオフ・ミーティングが基本方針を策定するにあたっての、区民の声を聴く機会の一つとして捉えられているのかについても確認します。

次にボランティアの子ども日本語教室についてうかがいます。

外国にルーツのある子どもたちは慣れ親しんだ親せきや友達と離れ、ほとんどが親の都合で日本にやってきます。納得がいかないまま、言葉も通じない、友達もいない環境に置かれるため、手厚いケアが必要です。区では子どもの権利擁護に関する審議会が最終段階に入っているところですが、審議会を進めるにあたって、子ども日本語教室に在籍する子どもたちの意見も丁寧に聴き取られていました。ボランティアの日本語教室でも子どもの権利の理念に沿った運営がされるべきだと考えますが、区の見解をうかがいます。

子どもの権利については、子どもが学ぶことはもちろんですが、そこに関わる大人が学ぶことはさらに重要だと考えます。子ども日本語教室に関わる大人が子どもの権利に関する学習の機会を持つことが必要だと考えますが、区の見解をうかがいます。

子ども日本語教室に通う子どもの保護者の会が始まっていると聞いていますが、どのような話が出ているのか。そこから見えてきた外国人のニーズはどのようなものかうかがいます。

次に多文化キッズサロンについてうかがいます。子どもの成長は早く、大人と比べて一日は大変貴重です。特に中高生になってから来日した子どもたちは日本の同級生となじむことが難しく、同じ立場にある者同士で安心して集まり、過ごす場所が求められています。区でも場所探しに力を入れていることと思いますが、進捗状況はいかがでしょうか、うかがいます。

多文化キッズサロンの取り組みとして、学習支援、相談、交流、居場所などがあげられています。これまでも紹介してきましたが、現在、ボランティア子ども日本語教室で学習支援を行っているボランティアの方たちは、海外にいた方、他の場所で日本語支援に取り組んでいる方などそれぞれが経験豊富で子どもたちの支援に情熱を持った方々で、交流の部分を担う協働のパートナーになると考えますが、区の見解をうかがいます。

次に学校の外国ルーツの子どもへの対応についてうかがいます。

子どもたちが一日も早く学校になれ、友達をつくり、安心して楽しく過ごせることを願います。まず、外国にルーツのある子どもの小中学校それぞれの在籍数、国籍など概要を確認します。またその子どもが在籍している学校の数を小中学校別に教えてください。

子どもへの様々な支援が必要になりますが、どのようなメニューがあるのでしょうか。うかがいます。

⑬ 杉並区交流協会では通訳ボランティアを派遣する制度があります。保護者が、日本語ができないこともあるかと思います。学校の面談などで活用されている事例もありますが、その場合は誰が派遣を頼むことになっているのかうかがいます。

通訳ボランティア派遣の実績を見ると、7校が複数回利用していて、内容は進路についての3者面談や保護者面談となっています。学校や子どもの数から考えると非常に少ないと思います。学校への制度の周知が必要ではないでしょうか、うかがいます。

また通訳ボランティアの費用は使いたいと思ったときに気兼ねなく使えるように確保されているのでしょうか。費用の確保とどこから出すかを明確化し、どの学校でも使いやすくする環境整備が必要だと考えますが、区の見解をうかがいます。

さて、日本の小学校は入学前にすべての持ち物に名前を付ける、毎日宿題が出て、保護者が子どもの宿題を確認したり丸つけがあったり、外国人から見た時に独特のことがあると思います。外国人の目から見た日本の学校について、保護者に説明があると良いと思います。多言語でそれを説明する冊子などがあればよいと思いますが、区の見解をうかがいます。

日本語の支援が必要な子どもには最大で120時間まで、日本語の取り出し授業が行われています。そこに関わる方から、退職された先生が支援を行っていることが多いと聞きましたが、日本語教育についてはあまりご存じないようです。研修の機会が必要ではないかと考えますが、研修はどのように行われているのか。十分な研修を行っていただきたいが、区の見解をうかがいます。

高校受験や進学にあたって、また合格した後の手続きについても支援が必要なことは容易に想像がつきます。外国ルーツの子どもの支援を行っている方から、先生のサポートが充分ではなく、ボランティアが支援を行っていると伺いました。ではボランティアの方の手が届かないところはどうなっているのでしょうか。充分なサポート体制をつくっていただきたいと思いますがいかがかうかがいます。

また高校受験と進学について多言語での冊子を作り情報提供を行い、制度や手続きがわかるものがあると良いと思いますが、いかがか見解をうかがいます。

さて、話を通訳ボランティアに戻しますが、保育園でも通訳が必要になることがあると考えますが、交流協会では実績がありませんでした。そこではどのように対処されているのでしょうか。外国ルーツの子どもの保護者が困っていることはないでしょうか。調査、そして制度の周知が必要ではないかと思いますが、考えをうかがいます。

広報紙生活者ネットすぎなみ132号発行 2024.4.15

第1回定例会予算特別委員会意見開陳 2024.3.15そね文子

区議会生活者ネットワークを代表して、2024年度杉並区一般会計予算並びに各特別会計予算及び関連諸議案について意見を述べます。

一昨年2月から始まったロシア・ウクライナ戦争は2年たった現在も出口が見えず、昨年10月からはパレスチナ・イスラエル戦争が始まり、世界では軍事的緊張が高まり、エネルギーの高騰などが市民生活に大きな影響を与えています。

国内に目を向けると、国会議員の裏金問題が明るみに出たにもかかわらず、説明責任を果たさない態度に国民の政治不信は頂点に達しています。誰のための政治なのか、自らの保身と利権にまみれた現政権への国民の批判の声は高まるばかりです。

元日に発生した能登半島地震は新型コロナウイルスの5類移行後初めてのお正月で、家族が集まるおめでたい日が激震と悲しみの空気へと一変しました。石川県志賀町(しかまち)にある志賀原発は稼働停止中だったため大事には至らなかったものの、変圧器などが壊れる被害があり、この地震列島に原発はあってはならないと改めて再認識することとなりました。

格差が拡大し若者が将来に希望を持てない社会は加速度的に少子化を進め、社会保険料の負担増、社会保障への不安、円安にインフレと区民生活に大きな影響を与えています。

こうした先の見えない不安定な社会状況の中、私ども生活者ネットワークは、住民に一番身近な基礎自治体の役割である区民福祉をいかに支え向上させるか、物価上昇に賃上げが追い付かない状況や昨今の気候危機から区民の命と財産を守り、子どもたちが将来に希望を持てる予算となっているか、住民自治の視点が大切にされているかに注目しました。

基本構想に基づく総合計画実行計画が前倒しして改正され、2024年度はそれに基づき編成された予算に対し、区政経営計画書の主要事業の概要に沿って主な課題について、予算特別委員会の質疑を踏まえて以下意見を述べます。

まず初めに、区財政と区政運営についてです。

一般会計は2228億9200万円で、対前年度比121億9200万円、5.8%増となりました。

建設、物流・運送、医療業界における「時間外労働の上限規制」を発端とする2024年問題は特に建設業界における週休2日制の本格導入や円安による輸入資材の高騰が工事費や工事期間に影響を与えること、また、デジタル化推進関連経費の増は注視すべき点です。さらに、ふるさと納税制度や国による税源偏在是正措置の影響による大きな減収が歳入における課題となっています。そんな中、当該年度は1年前倒しで改定した総合計画を踏まえた実行計画1年目であり、参加型予算、気候区民会議、子どもの権利条例制定に向けた動き等、新たな取組に期待するところです。また、重層的・包括的な支援体制強化、防災減災対策、水害対策としてのグリーンインフラの推進は喫緊の課題に対応する施策として評価するものです。

「財政健全化と持続可能な財政運営を確保するための基本的な考え方」が再整理され、財政調整基金の年度末残高をこれまでの350億円から450億円の維持に変更することで、大規模災害や経済事情の著しい変動等による減収への備えを強化したことや老朽化が進んでいる区役所本庁舎の建替えを見据えた(仮称)本庁舎改築基金の早期設置が示され、引き続き健全な財政運営の実現に取り組むよう求めるところです。

第2に、区民生活についてです。

➢防災・減災対策は自助・共助・公助の範囲を明確にすることが必要です。区では備蓄品や防災資機材の充実、震災救援所での安全・安心の避難生活のための対策も進みハード面ではすすんでいますが、一方で防災意識の高揚は様々な角度から働きかけていくことが重要です。近隣との付き合いが希薄化する現代においては、地域のつながりづくりを平時から働きかける仕組みも必要であり、いざという時を念頭においた自助・共助が機能するよう取組を進めることを要望します。

➢農地の多面的な機能には様々ありますが、防災面での役割も大変大きいと考えます。井戸やハウス、生産物、土地活用など、いざという時の農業者との連携協力の可能性を検討していただくよう要望します。また、区内の南側には区民から求められている体験農園がないため、後継者がいない農家から区が圃場を借りて、これまで成田西ふれあい農業公園で8年にわたり農業体験を区民に提供していたNPO法人の経験などを活かし、体験農園の運営委託を検討いただくよう要望します。

➢外国人住民が増える状況の中、2023年1月からボランティアによる子ども日本語教室がスタートしました。2024年度には多文化キッズサロンの開設の検討が計画化され、多様性が受け入れられる多文化共生基本方針をつくることが示されたことを歓迎します。策定に当たっては当事者も含めた懇談の場が持たれることが示されましたが、その場に公募区民を加えること、また、外国人コミュニティに意見を聞きに行くなど多くの声が策定に反映されることを要望します。

➢あらゆる施策にジェンダーの視点を取り入れたジェンダー主流化を意識して進めていただくことを要望します。

➢公民連携プラットホームの活用推進のために2023年度新たに開設されたWEBサイト「すぎなみプラス」は順調な運用がなされ、新たな市民事業の芽も集まってきていると認識しています。市民自らが地域の課題解決に取り組む市民自治の拡大に寄与するものと期待しています。

第3に、保健福祉についてです。

➢災害時要配慮者を支える側の拡大が課題です。個別避難支援プランは作って終わりではなく、プランをもとにした日ごろからの訓練を通して実効性のある地域のたすけあいネットワークづくりを強化するよう求めます。

➢重層的支援体制整備事業が新年度からスタートします。質疑を通して、庁内9課で検討組織を立ち上げて12回の会議の開催を質疑を通して確認し、丁寧に議論が進んでいることがわかりました。区の創意工夫が問われる事業です。地域福祉コーディネーターをはじめ様々な公的機関、民間事業者、地域住民も巻き込みながら、安心のセーフティネットとなるよう取り組んでいただくことを要望します。

➢介護保険事業者支援では主任ケアマネ、ケアマネの研修受講料の助成が予算化されたことは評価できますが、新年度からの介護報酬について全体では1.59%アップすることが決まりましたが、詳細を見ると訪問介護の基本報酬は引き下げられます。高齢になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるためには訪問介護事業所のヘルパーは重要な存在です。現実から乖離した改定は地域に根差した訪問介護事業所を撤退に追い込むのではないかと懸念しています。区としても現実をしっかり見て必要な支援を検討していただくよう要望します。

HPVワクチンの男子への接種について、自治体が補助を出す場合、東京都がその2分の1の補助を出すことになったことから、他自治体でもその動きが加速化しています。しかし、予防効果があるとされる肛門がんは非常にまれながんで出現率は10万人当たり約1名です。それに比べて副反応の出現率は10万人あたり100人であり、明らかにリスクとベネフィットのバランスを欠いています。しかも肛門がんの発症は多くが60代以上であり、10代で接種するワクチンの効果が40年以上続くことはまったく未知です。他自治体が実施するからというのではなく、科学的事実に基づく慎重な判断を求めます。

新型コロナワクチンについては、2023年10月29日までの累計で2170人の副反応疑いによる死亡が報告されています。大変な数であるにも関わらず、それに見合う報道はありません。区内でも副反応疑い報告は83名、その内死亡が8名いるのは事実です。質疑を通して、すでに5類になった後に17歳の子ども2人の副反応報告が増えていることがわかり、深刻な被害が出ていることは明らかです。このような被害状況を区として情報提供することを改めて求めます。

障害者差別解消法の改正によって2024年4月から、民間事業者に対しても、障害者への合理的配慮が義務化されます。その啓発活動を障がい当時者や支援者による「共生社会しかけ隊」が担い、日ごろから関りのある地域の様々な場所に出向き、話し合うことが促進されるために、しかけ隊が活動しやすい環境を整えることを求めます。

 

第4に、子ども家庭支援についてです。

・杉並区子どもの権利擁護に関する審議会がもたれ、様々な背景を持った子どもたちの声をていねいに聴く取り組みが行われています。そのこと自体が子どもの意見表明権を体現していると評価しています。この条例づくりがきっかけとなり、区民の間でも子どもの権利を学ぶ機会が広がっており、杉並らしい条例ができることを期待しています。

➢ライフスタイルや価値観が多様化する中、子どもの過ごし方も様々であり、子どもの居場所も児童館だけでない多様な居場所が必要とされています。2024年度は(仮称)子どもの居場所づくり基本方針が策定されますが、平行して行われる出前児童館や庁舎内の乳幼児親子の居場所の取組みも参考にしながら、当事者である子どもや保護者、地域の方々が共に策定に関われる工夫をお願いします。

保育について、区は2016年5月、保育緊急事態宣言を出し、認可保育園の拡大により、7年連続で待機児ゼロを達成し続けると共に質の確保にも取り組んできました。質疑を通して区立保育園27園の存置を確認しました。また一般質問でも求めたところですが、障害がある子もない子も多様な子どもが共に過ごせるインクルーシブな保育を実践している保育施設の持続可能な運営に向けた区の支援を要望します。

区立児童相談所設置に向けて、人材確保とともに、要支援家庭を対象としたショートステイ事業を始め、養育支援訪問事業、子育て世帯訪問支援事業などの包括的な支援の充実が図られていることを評価しています。新年度には新たに子どもイブニングステイ事業、ふるさと納税を活用した児童養護施設退所者などの自立支援を行うことに期待しています。

第5に、都市整備についてです。

➢善福寺川上流調節池は東京都の事業ではありますが、住民の不安や疑問が払拭されるよう区には心を砕いていただくよう要望するとともに、総合的な治水対策のひとつとしてグリーンインフラの推進を加速していただくことを要望します。

阿佐ヶ谷北東地区のまちづくりについては、いったん立ち止まり8月から振り返る会や様々な対話の場が持たれ、最終的な結論はこれまで通りに進めることが区長から示されましたが、その間、情報公開が進み、これまで事業に疑問を持っていた人たちの意見を区が受け止め、お互いの理解が深まるよう尽力したことは重要です。今後も透明性の高い参加型のプロセスで杉1小の移転改築と跡地活用について進めていただくこと要望します。

➢住まいは人権、どんな状況にあっても安定的な住まいの確保は誰にも等しく保障されなくてはなりません。2024年度には家賃助成制度創設に向けて検討されることは重要です。当事者の声を聴いて制度設計に活かしていただくことを要望します。

第6に、環境施策についてです。

庁内に区長をトップとした気候危機対策推進本部が立ち上がり、部門を超えた連携が図られていることを歓迎します。マイボトル対応の給水器の拡充が行われますが、今後区役所本庁舎の各フロアに設置することも要望します。

容器包装プラスチックと製品プラスチックの一括回収のモデル実施が計画され、その後の本格実施に期待します。

気候区民会議が6回開催されますが、有識者からの知見を参加者だけでなく広く区民と共有し、多くの区民が関心を持って気候危機を自分事としてとらえ、行動に移す区民が増えることを期待しています。

第7に、教育についてです。

すべての人が互いを認め合う共生社会をつくるためには、子どものころから障害のあるなしに関わらず共に学ぶインクルーシブ教育の推進が重要だと考えます。東京都ではこれまで特別支援学校が適当とされた子どもが地域の学校で学ぶことを希望した場合にインクルーシブ教育支援員を配置するための予算案を示しました。これを機に当事者親子がより地域の学校を選びやすくなるための取り組みを進めていただくよう要望します。

不登校児童生徒が過去最多の897人となっています。校内別室居場所や仮想空間で子どもがアバターとして参加するバーチャルラーニングプラットホームのとりくみ、またスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの増員など支援の充実が図られることを評価します。保護者同士の情報交換やピアカウンセリングにもなる親の会を教育委員会が主催することについては引き続き要望いたします。

給食費無償化について、国公私立学校に通う子どもと共に、不登校の子どもに対しても負担軽減を図るために給付を行うことを高く評価します。無償化にあたっても、これまで守ってきたできる限り国産食材を使うこと、遺伝子組み換えやゲノム編集食品をつかわないことを継続するよう要望します。

以上申し上げ、2024年度一般会計予算及び各特別会計予算について賛成いたします。

次に予算関連議案について意見を述べます。

➢議案第14号杉並区介護保険条例の一部を改正する条例については、第9期の介護保険料算定に向けて、低所得者の負担割合の見直し及び高所得者の保険料段階の多段階化がなされ、さらには介護保険給付費準備基金を約32億1200万円取り崩すことにより、据え置きとはならなかったものの、保険料の上昇を基準月額で200円にとどめることができました。また、国の保険料段階2および4~13段階の負担割合よりも区は下回っていることも確認しました。介護が必要となった人にきちんとサービスが届くよう、介護現場への支援とともに取り組んでいただくことを求め議案には賛成します。

その他、9議案にも賛成いたします。

結びに当たり、資料作成に御尽力いただいた職員の皆様に感謝を申し上げ、区議会生活者ネットワークの意見開陳といたします。

第1回定例会一般質問と答弁 2024.2.16 そね文子

共生社会をつくるためのインクルーシブ保育・教育について

Q1 善福寺でインクルーシブ保育を実践している認可外保育施設は地域の宝である。区の職員も視察に行っていると聞いたが、この施設を区はどのように認識しているか。

A1 子ども家庭部長)当該施設は障がいの有無に関わらず誰でもが集える居場所であることに加え、保護者の急な用事にも対応するなど、インクルーシブな取り組みと子育て支援を実践する好事例であり、関係者の努力に敬意を表したい。

Q2 この保育施設では障がい児、医療的ケア児を含めた一時預かりを実施しているが、区からの補助がないため、利用者は自費で通うしかない現状で、運営事業者は厳しい経営状況にある。横浜市では、認可外保育施設の一時預かりに対して国の交付金を活用した補助を実施している。区においても同様の補助制度ができないか。

A2 子ども家庭部長)現在区では認可外保育施設が実施する一時預かり事業への運営補助の仕組みはないが、子育て応援券事業と保育の必要性の認定を受けた子どもを対象とした保育料補助制度を設けている。

提案のあった補助制度の創設については、横浜市や他自治体の事例を情報収集するとともに、地域の子育て支援や障がい児支援を含め、インクルーシブな居場所など複合的な視点から、事業者とも意見交換を継続しつつ組織横断的な課題整理が必要な段階である。

Q3 国の補助金を活用して一定程度の補助が出たとしても、当該施設では医療的ケアの子どもには作業療法士と看護師の専門職が2人も付けていることから、受け入れには大きな経費がかかる。当該施設を支援するためにも、区が来年度試行的に実施予定の「子ども誰でも通園制度」や新たに実施する「多様な他社との関わりの機会創出事業」の実施対象施設に加えてもらいたいがいかがか。

A3 子ども家庭部長)「子ども誰でも通園制度」や「多様な他社との関わりの機会創出事業」の実施対象施設については、6年度の試行実施では本格実施を想定した保育環境に関する検証を行うことから、認可基準を満たしている保育事業、一時預かり事業をすでに実施している認可保育所、小規模保育事業所を予定している。

Q4共生社会を創っていこうという先駆的な取り組みを区が決意をもって支援し、都や国にこのような事業者を支援する制度を作るように提案していくことが、日本にとっての利益につながることであり、それを強く求めたいが区の見解は。

A4区長)さまざまな状況の子どもの支援を行う施設の取り組みについて改めて学んだ。区内にこのような施設があることは貴重であると認識している。事業所を支援する制度をつくるよう、区が国や都に求めていくべきとの提案があったが、国や都の補助を含めまずは他自治体の取り組み事例を参考に研究していきたい。

共生社会の実現のためには障がいの有無にかかわらず、個々の多様性を受け止め、誰一人取り残さないという包括的な体制作りが必要であるとの認識から、子ども、障がい者、高齢者等すべての分野において取り組みを進めてきた。今後こうした取り組みの一層の充実を図るためには、地域の民間事業者や子育てをはじめとする様々な支援を行う団体等と目指す姿を共有し手を取り合って進めていくことが中である。このように取り組むことで、基本構想に掲げる「すべての人が認め合い、支え、支えられながら共生するまち」の実現に向けて進んでいく。

Q5 国立市では障がいの有無にかかわらず、就学通知書を原則居住地に基づき定められた学校を指定し送付することになったが、杉並区でも同様の取り組みができないか。そうすることにより障がいのある子も地域の学校に行けるというメッセージを示すことができる。

A5 教育委員会事務局次長)

就学通知の送付については就学相談の継続中に当該校以外の通知が届くと、保護者が混乱することから、すべての新就学児に一斉に通知することは難しい。

Q6 知的障がいのある子どもが通常学級に在籍する場合、学習権を保障するために個別指導計画をつくり、それぞれの子どもに合った学びが提供されることが必要だがそれはどのように行われているのか。

A6 教育委員会事務局次長)個別指導計画は学校が保護者と協働して作成するもので、一人ひとりの教育的ニーズに対応した指導目標や指導内容、方法等について共有している。学校では子どもに合った学びを提供するため、短期目標と長期目標を設定し、必ず振り返りを行う。その際個別指導計画を在籍学級の担任だけでなく、関係教職員が情報共有することで組織的な支援体制のもとで指導を行うよう努めている。特に新就学児については校長が事前に本人や保護者と面談を行ったうえで、入学式の練習への参加や教室での座席配置を確認し計画作成に活用している。

Q7 学びを保障するためには学習支援教員や通常学級支援員等の研修を行い適切に指導ができるようにすることが必要だ。また、大人がいなくても障がいのある子を自然と気にかけ支えられるように、周りの子どもを育てることも必要だ。子どもは同じ場所で共に育つことで自然に障がいのある子のことを理解し、配慮できるようになる力をもっていてそれを妨げない大人の研修も必要だと考える。

A7 教育委員会事務局次長)教育委員会では教職員や通常学級支援員に対し、特別支援に係る知識の習得、安全管理等についての研修を行っている。具体的には子どもが一人でできることは見守り、難しくてもできるだけ自分の力で行えるよう支援するときの対応方法や子どもの相互理解や思いやりの気持ちをどのように育むかなどについての研修である。このように子どもの経験や自立、支えあいの機会を妨げない支援のあり方を身につけられるよう努めている。

Q8 通常学級支援員等は子どもを支える大切な存在だが、子どもを支援するための校内の会議に参加していないと聞いた。会議は放課後4時以降に行われることが多いが、支援員の勤務時間は午後3時までとなっていて会議に参加するときは無給になるという。子どもと直接接している支援員が会議に出席するのは必須であり、改善すべきと思うがいかがか。

A8 教育委員会事務局次長)通常学級支援員の校内委員会への参加については、校長が必要に応じて出席を求めるものであり、出席しない場合でも会議記録を共有したりコーディネーターを介して情報共有をしたりなどの工夫により連携に努めている。

 

Q9 杉並区では発達に課題がある子どものために、学校に来て子どもの環境を改善する手伝いを保護者が要請すれば、臨床心理士がケアの方法を先生に伝え、その費用は区が負担する学齢期発達支援事業の学校連携という仕組みがある。学校ではどのくらいこの仕組みが活用されているのか。もし使われていない場合は学校が保護者にこの仕組みを周知し、子どもの環境の改善を図ることを積極的に進めてもらいたいがいかがか。それがひいてはすべての子どもにとって居心地のいい教室づくりにつなが雨と思う。

A9 保健福祉部長)区は学齢期発達支援事業として、小学1年から3年生までの児童を対象に、発達支援を促すための個別指導を実施している。個別指導に加えて、学齢期発達支援所が保護者の求めに応じて臨床心理士等を学校に派遣し、学校の先生に対してケアの方法を伝える学校連携を実施していて、利用者の3割がこの仕組みを活用している。

学校連携の保護者への周知については、毎年小学校の校長会を通じて事業内容の説明やチラシの配布を行っているが、保護者の中には学校連携の利用より個別指導を希望する人もいる。今後は引き続き学校連携の周知に努めるとともに、学校連携を希望しない保護者に対して、子どもの特徴や支援方法等を先生たちと共有するよう事業者を通じて促すなど、子どもたちにとって居心地の良い教室となるよう取り組んでいく。

Q10 杉並区ではすべての学校に特別支援学級を配置し、そこを解体して教師が複数で教室運営を行い、障がいのある子を支援するという形が将来的に目指す形ではないかと考えるが区の見解は。

A10 教育委員会事務局次長)特別支援学級の今後のあり方についてですが、障がいのある子どもとない子どもができるだけ同じ場で学ぶことは大切だ。それぞれの子どもが授業内容を理解し、学習活動に参加しているじかんあ、達成感をもちながら充実した時間をすごしつつ生きる力を身に付けていくことができるかどうかが義務教育においてもっとも本質的な視点であると考える。こうした考えに基づき、杉並区においては児童、生徒の障がいの状況に応じたきめ細かい指導の充実を図るため特別支援学級は継続していくが、国や都および他自治体の動向に引き続き注視していく。

Q11 現在特別支援学級がある学校ではどのくらいの頻度で共同学習を行っているか。

A11 教育委員会事務局次長)交流及び共同学習については、特別支援学級と通常の学級の担任等が定期的に情報交換を行いながら年間計画に基づき行っている。取り組みの内容はさまざまであるが教科等の授業における共同学習や委員会活動への参加、行事への参加などがある。

Q12大きな災害が起こって地域の体育館に避難するとき、周りに知り合いがいない障がい者家族は子どもが声を出したりじっとしていられないことから、避難所に行くことをあきらめざるを得ない状況がある。一方、地域の学校に通っていたから災害時にみんなが思い出してくれたということもある。学校で共に学び、子どもたちがその子を知っていれば避難所に行ける。こういうことからもインクルーシブ教育の必要性を認識したが区教委の見解を問う。

A12 教育委員会事務局次長)特別な支援を必要とする児童、生徒の避難については、災害時においても普段から訪れる場所であることや日ごろから顔を合わせる友達がいるなど、できる限り日常に近い環境を整えることが重要だ。こうしたことから都立を含む特別支店学校に在籍する児童、生徒の復籍交流は有効な取り組みであると認識している。

Q13 済美養護学校のノウハウをぜひ他の学校に広げてほしい。済美養護学校は特別支援教育推進計画でもセンター校の役割を担っていることが示されているが、どのような取り組みが行われ、どのようなノウハウが他の学校に提供され、研修などに生かされているのか伺う。

A13 教育委員会事務局次長)済美養護学校は区内特別支援教育のセンター校として、小中学校からの要請により教員が相談に応じ助言を行ったり、研修で講師を務めたりしている。今年度は「子どもたちが出合いたい教師になるための実践力の磨き方」をテーマに研修を行った。こうした取り組みを小中学校に広げるため、済美養護学校と小中学校全校の特別支援教育コーディネーターの定期的な研修会を通じて子どもの将来の自立を見据えた関わり方などの共有に努めている。

 

第1回定例会一般質問と答弁 2024.2.16 奥田雅子

「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

Q1 みどり基本計画を策定した1999年から今日に至るまで、杉並のみどりの状況はどのような変化をたどってきたのかを問う。

A1 土木担当部長)5年ごとに行っているみどりの実態調査結果での比較だが、1997年の緑被率は17.59%だった。2022年は21.99%となっていて4.4ポイント増加している。増加の主な要因としては新たに公園を整備したことなどによる樹木被覆率が468haから620haと約150ha増えたことによる。一方まとまったみどりである屋敷林や農地などの緑地は600haから570haと減少している。

Q2 杉並区みどりの条例では、みどりを「樹木その他の植物並びに動植物の生息または生育の基盤である土及び水等の要素と一体となって自然環境を形成している土地」と定義しているが、具体的にどういうことか。杉並区が捉える「みどり」に対する考えを伺う。

A2 土木担当部長)「みどり」とは人や生き物の命、暮らしを支えるものと認識している。具体的には樹木、草花、屋敷林などの樹林地、区民農園などの農地、公園や緑地、河川など、動植物の生育基盤となっているところと捉えている。杉並の原風景といえる屋敷林や農地を守りながら公有地、私有地を問わず新たなみどりを増やし育て、さらにはみどりが持つ機能を活用するグリーンインフラの取り組みを強化してみどり豊かな杉並区を実現していく。

Q3 現在3度目のみどりの基本計画改定検討が進められているが、区は計画づくりの段階から区民と共に策定していくと表明している。検討委員会には公募区民が2人入っているが区民意見を反映するには少ない。区民参加をどのように進めていくのか、スケジュール、体制、手法を含め確認する。

A3 土木担当部長)検討委員会について、公募の区民委員は2名であるが、その他に区民委員として保護樹林と農地の所有者、農業委員会の人、都立農芸高校の人がいる。実際に樹木の維持管理や農業に携わっている区民に委員になってもらうことで、様々な立場からの意見を反映できると考えている。また今回の改定では計画素案の策定段階から区民意見の反映に努めており、幅広く区民の声を聴取し区民と共に作る計画としたいと考えている。2月現在までに、小学生、高校生に対するアンケート、オープンハウスやWebアンケートによる意見聴取を7回行っている。また昨年12月に聴っくオフミーティングを開催し区民意見の聴取を行った。

スケジュールについては、現在実施しているWebアンケートの意見募集を3月まで行い、5回目の検討委員会を同じく3月に開催する。区民の意見を踏まえ、計画案の策定を進め、7月にはパブリックコメントによる意見聴取を行ったうえで必要な修正を行い、11月の策定をめざしている。

Q4 検討委員会の事務局が土木担当部長を筆頭にみどり施策担当課長、みどり公園課で、都市整備部だけで固められていることが気になる。「みどり」はあらゆる部門と関係する分野であり、環境や福祉、防災、教育、産業等分野横断的な議論が必要だと考える。区は基本構想に掲げた「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けてこのみどり基本計画がとても重要な計画だと述べているが、どのような庁内検討体制になっているのか。

A4 土木担当部長)検討委員会は土木担当部長をはじめとする都市整備部所管課長のほか、企画、産業振興センター、環境、温暖化対策担当、教育委員会の関係課長をメンバーとする幹事会を設置しており、産業、まちづくり、土木、環境、教育と幅広く分野横断的な体制をとっている。また、必要に応じて関係する職員を参加させ、柔軟な体制のもとで検討を進めている。

Q5 現在のみどりの基本計画は2010年に改定されたが、それから14年間で社会状況も気候変動もまちの風景も大きく様変わりしたのではないか。今回の改定は未来を担う子どもをはじめ、区民が主役となる計画にするとある。前回改定から14年が開いた理由を含め、この間の取り組みをどう総括し次につなげるのか区の考えを問う。

A5 区長)前回の改定から14年の間隔があいた理由の質問があった。計画では目標の中間年次2018年に検証を考えていたが、2018年以降、基本構想、総合計画、実行計画、まちづくり基本方針など上位計画の動きがあったこと、5年ごとに行っているみどりの実態調査を2022年に予定していたことなどを踏まえ今回の改定のタイミングとなった。

これまでの取り組みの総括だが、現行のみどりの基本計画ではみどりを守る、創る、育てるなどの基本方針を定め、保護指定や緑化助成、みどりの講座などの事業を展開してきた。しかし杉並の原風景といえる屋敷林や農地などのまとまったみどりは減少している。屋敷林や農地については近隣住民から落ち葉や日照、土ぼこりなどの苦情があったこと、所有者の維持管理における人的、経済的な負担が大きいことが要因だと考えている。みどり豊かな環境は世代を超えて多くの区民のよりどころであると強く感じており、屋敷林や農地の存亡を所有者のみに任せるのではなく、それらを守り新たなるみどりを創る当事者を増やすことが重要だと考える。ともすれば他人任せであったみどりに対する区民の意識の変容が重要であり、それこそが課題であると考える。

都市の課題解決の手段であるグリーンインフラとしてみどりの持つ生物の生息、生育の場の提供、気温上昇や雨水流失の抑制などの機能が注目されるようになり、みどりに対する区民の関心は高まってきている。このような背景のもと、行政の役割に加え区民が主役となり、みどりを守り、増やし、育てることを区民一人ひとりが自分事として実践できることに重きを置き、区民の声を聞きながら計画の改定に取り組む。

Q6 都立善福寺公園内にある区立遅野井川親水施設は、将来的に遅野井川の延伸を展望しつつ現在の課題である水質や水量の問題を解決することから着手することだと考える。グリーンインフラによって周辺環境がどう変化するのか、それを見える化することも必要であり、そのためには現在の状況把握をすることが重要である。区はグリーンインフラを進めるための検討を2024年度予算化した。その検討の中で善福寺公園上池周辺のグリーンインフラ整備によって上池の浄化と水量の確保について検証する取り組みを一つのモデルとして位置づけてはどうか。

A6 土木担当部長)2024度予算に計上した雨水流失抑制対策強化のうち、グリーンインフラに関する予算では、グリーンインフラの推進に必要な区民への周知や共に考える場を設けるとともに、そこで出たアイデアなどについて学識経験者の知見も取り入れながら検討を進め、具体的なグリーンインフラの取り組みにつなげていくための経費を計上した。

遅野井川の延伸の課題でもある善福寺公園上池の浄化や水量確保については指摘されたように上池周辺地域をモデルとして位置づけ、グリーンインフラ整備による検証も有効であると認識している。そのためには現状把握が必要であり、これまで実施してきた雨水流失抑制対策の実施箇所やみどりの分布状況など関連するデータを整理し、その情報を区民と共有することが重要であり次年度から取り組んでいく。

Q7 杉並区には遅野井川親水施設以外でも自然共生サイトになり得る場所があるのではないか。また、自然環境調査や河川生物調査などを継続的に行っているが、それらのデータがうまく活用されていないように感じている。オープンデータ化し、様々なところで活用されれば新たな発見や自然共生サイトも増えるのではないか。もっと積極的に杉並の良さを発信していくためのデータの活用について区の見解を問う。

A7 土木担当部長)自然共生サイトは国が認定する「民間の取り組みによって生物多様性の保全が図られている区域」のことで、改定中のみどりの基本計画でも自然共生サイトの拡充を目指し場所の選定を検討していく考えだ。区内において遅野井川以外でも自然共生サイトになり得る場所としては区立公園をはじめさまざま考えられる。

データの活用について、これまで蓄積された自然環境調査や河川生物調査の調査結果は公表しているが、調査結果のデータを加工、編集などの二次的利用可能な形式によりオープンデータ化していくことで有効活用が図られるよう検討していく。

Q8 今、善福寺川上流調整池整備で地域住民が揺れている。みどり豊かな生活環境が変わってしまうことの不安や口惜しさは理解できる。洪水対策がふぃようと思っている住民は一人もいないと思うが、その対策の中身についてはもっと地域住民の声が反映されるプロセスが必要だった。今年1月26日付で岸本区長から小池都知事あてに出された東京都都市計画河川第8善福寺川の変更についての都市計画案の回答に付した様々な要望については、引き続き東京都との調整に尽力してもらうことを強く希望するが区の見解を問う。

A8 土木担当部長)善福寺川上流調整池整備については、昨年8月に都が実施した都市計画変更素案の説明会以降、区民から様々な意見や要望が寄せられている。区としては住民からの声をしっかりと受け止め、昨年12月14日付で都に対して、地域住民への説明や情報の開示などを求める要望をした。その後1月20日に都主催の説明会が開催され、区も参加して住民への説明に努めた。

また、都の都市計画案に関する意見照会の回答についてはすでに区のホームページに公表しているが、本都市計画の計画にあたり、周知が十分でないとの住民意見に十分留意し都知事として判断してほしいこと、都市計画決定された場合には工事の影響を最小限にするよう検討を行うとともに、各地域の合意形成に努め地域住民に寄り添った対応を行うことなどを求めた。引き続き都との調整に取り組み、あわせて総合的な治水対策のひとつであるグリーンインフラの推進についても、都と連携、協力し地域住民の協力を得ながら進めていく。

羽毛製品の資源循環について

Q9 区は循環型社会を目指して資源化の推進をすすめているが、昨年10月から粗大ごみとして回収した羽毛ふとんをリサイクルする取り組みが行われている。羽毛ふとんをリサイクルすることになった経緯を伺う。

A9 環境部長)羽毛ふとんのリサイクルは実行計画に定める資源化事業の推進の一環として検討を開始した。昨年度末に先行実施している近隣区を視察し、羽毛が再利用可能な貴重な資源であることを確認、再商品化事業者の視察、粗大ごみ中継所運営委事業者との調整準備を進めた。昨年10月から試行として再資源化を開始し、本年1月末までに粗大ごみとして出された羽毛ふとん515枚を回収し入札で決定した再商品事業者に57万円余で売却した。売却先では自社工程で羽毛を取り出し、洗浄、精製して羽毛原料として再生するほか、羽毛ふとん等に再生、販売し国内で循環利用している。

今年度は試行として開始したところで、区民に新たな分別を求めるものではないことから広報は行っていないが、今後は本格実施として区民に理解、協力を得られるよう周知を進める。

Q10 国内の寝具メーカーやアパレルメーカーと共に羽毛資源の循環に取り組む一般社団法人Green  Down Project、地域内の企業や団体、チャリティショップや障がい者福祉施設等を回収拠点にして羽毛の回収を連携して行うハートステーションプロジェクトという仕組みがあるが、これらの情報を区は把握しているか。

A10 環境部長)民間連携による取り組みについては、羽毛を中心としたリサイクル活動を通じて、羽毛製品の回収や羽毛の取り出しを担う障がい者福祉施設、店頭回収に取り組む民間事業者、再商品化事業者が連携して地域における資源循環の仕組みを作り上げ、障がい者福祉施設の支援にも役立つなど優れた取り組みであると認識している。

Q11 ダウンジャケットなどの衣類は古布として出され、その後の行方がわからない。資源として生かしていくには別に回収する仕組みが必要であり、地域内回収拠点ができればダウン製品の回収も広げることができる。羽毛の回収対象を広げることも今後の検討課題としてほしいがいかがか。

ダウンは健康にも環境にも優しく、繰り返し使うことで未来にわたって持続可能な資源になる。またリサイクルの過程で障がい者の雇用を生み出したり、社協と連携して赤い羽根募金を生み出すUmouプロジェクト、Green Down Project、ハートステーションプロジェックなど参考となる取り組みがある。

区民や地域の事業者や団体を巻き込んで「みんなでダウンリサイクルに取り組もう」というムーブメントを区が仕掛けてはどうか。

A11 環境部長)羽毛ふとん以外の資源化については再商品事業者からは採算性の点で難しいと聞いているが、民間各団体の中には全国規模で連携を進め、区内にダウンジャケットや寝袋を含む回収拠点を持つ団体もある。今後回収拠点の拡充や区として支援できること等について団体と意見交換を行い、区の取り組みとあわせて羽毛資源化に関する周知を行い区民の関心を高めていきたい。

 

第1回定例会一般質問 2024.2.16 そね文子

私は区議会生活者ネットワークとして、共生社会をつくるためのインクルーシブ保育・教育について一般質問いたします。

日本は2014年に障害者権利条約を批准し、障がいがある人も無い人も互いを認め合い、それぞれがその持てる力を活かし、共に生きる共生社会を創ることを標ぼうしています。

しかし、2022年9月に障害者権利条約に照らして、国連の権利委員会から日本政府に出された勧告には、精神科病院での無期限の入院の禁止や施設から地域生活への移行を目指す法的な枠組みづくりの他、障がいのある子と無い子が共に学ぶインクルーシブ教育の確立のため、すべての障害のある生徒が個別支援を受けられるよう計画を立てるといった対応をとる必要があると指摘されています。権利委員会が「分離教育は分離した社会を生む」「インクルーシブ教育は共に生きる社会の礎である」としていることはもっともだと考えます。

すべての人が互いを認め合う共生社会は誰にとってもやさしく生きやすい社会です。そのような社会をつくるためには、子どものころから障害がある子も無い子も共に過ごすことが必要だと考え、インクルーシブな保育と教育について質問いたします。

まずは保育についてです。区立保育園や認可保育園では障害のある子どもを受け入れているところも多く、そのような環境がおおむね確保されていると認識しています。ここで取り上げたいのは、医療的ケア児を含む障害のある子もない子も、また不登校の子どもも受け入れる形で一時預かりを行っている認可外保育施設についてです。そこでは子どもの発達について学ぶ保護者向けの学習会も行っており、その考え方にもとづいて行う保育の現場と学習会を両方見せていただきました。木をふんだんに使い家庭的な保育が行えるよう特別に設計を依頼して建てられた施設は、子どもが入って落ち着くための押し入れのような隙間があったり、随所に工夫が凝らされていました。少し長くなりますが、そこで行われていた保育の様子と体験させてもらったことをお話したいと思います。

伺った日は医療的ケアが必要な子どもが来ていて、看護師と作業療法士2人が担当されていました。そのほかには一時預かりで2歳までの子どもが数人、その日は学校に行かずにここに来た小学生も一緒に、善福寺公園に行って過ごしました。医療的ケア児のA君はアリを捕まえたくて看護師さんが虫かごを持ち、作業療法士さんがAくんを抱っこして公園に行きました。私はA君にありを見つけてあげたくて探しましたが、見つからず、でも落ち葉を掻きわけてダンゴムシを見つけて、手のひらにのせてA君の目の前に持っていきました。しばらく見ていると丸まっていたダンゴムシが体を伸ばし、仰向けになってなんとかひっくり返ろうと足をバタバタし出しました。誰かが手のひらに一緒にのせてくれたミミズも急にねずみ花火のようにくるくる手の上で飛び跳ね始めました。言葉を話さないAくんが、それを食い入るように見ているので、「持って帰る?」と聞くと、虫かごを指さして意思を示してくれました。Aくんがすごい集中力でその場を楽しんでいることが私にも感じられ、言葉は無くても一緒にいれば気持ちが通じることを体験させてもらいました。でも、考えてみれば子育てでは、話ができない子どもの思いをくみとり、その子の考えていることがわかるというのは多くの方が経験していることだと思いました。ましてやAくんと一緒に過ごす、まだ言葉が発達していない子どもたちは、まるごとAくんを認め思いを感じ取っているのではないでしょうか。

Aくんを抱えて作業療法士さんが階段を下りているとき、階段の下で他の子どもがまるでAくんを下から支えるように手を広げて待っている場面が見られました。Aくんがいることが他の子どもの成長や優しさを引き出すこのような場面はインクルーシブな保育だからこそ出会えるものだとのお話に強く心を動かされました。

この保育施設が行うインクルーシブ保育についての説明には、心と体が育つ外遊びを中心としたプログラムが実施されていること、個々の発達段階にあわせ、遊びから生きる力である非認知能力を育むこと、多様性を大切に、自己肯定感を育むこと、体験や対話から学ぶことを大切にする保育が行われているとあります。

先にも述べましたが、この事業者は親支援にも力を入れていて、発達支援アドバイザーによる親向けの学習会も積極的に行っています。子どもの困った行動は発達の過程で必要なことであり、その意味を理解することで親の情緒が安定し、子どもは安心して遊びの中から成長していける、という保育の理念を保護者と共有し親も子も支援していることに深く共感しました。

またこの事業者は、善福寺プレーパークの事務局も担っていて、広く地域に貢献していることも、覚えておきたい点です。

杉並区の担当課長も何度もこの場所を訪れていると聞きましたが、まず初めに、ここをどのように評価しているでか、伺います。

この保育を体験された保護者、近隣の方たち、ここを訪れた行政職員や一般の人たち皆がここのすばらしさを理解されていくということですが、杉並区には認可外保育施設の一時預かりに補助が出る仕組みがなく、また他のところに行けば無料で支援が受けられる障害のある子どもたちも、ここには自費で通うしかない現状があります。先ほど述べたように、少人数であっても乳幼児には大人が十分つかなければ外遊びを大切にした丁寧な保育をすることはできません。経営的に大変厳しい状況にあることは想像に難くないと思います。

区の職員の方たちは、国の制度の児童発達支援事業所になれば補助金が出ることなどの助言をされているということですが、一時預かりを必要とするいろんな子どもたちがインクルーシブで育ちあうことに大きな意味があるのに、補助を受けるために障害がある子と障害のない子が行政の縦割りに合わせて分けられることになればせっかくの宝をなくすことになってしまいます。

ここで横浜市の事例を紹介したいと思います。あるNPO法人が運営する認可外保育施設では保護者の要請に応じて障害がある子もない子も一時預かりを行っており、その実績から地域に必要な事業であるとして市に要望を行い、補助金が出るようになった話を伺いました。このNPO法人が事業を始めたきっかけは杉並区のひととき保育を視察したことだったそうで、杉並区でもぜひ補助をつけてもらってと話してくれました。横浜市に問い合わせたところ、国の子ども子育て支援交付金を活用して補助を出しているということです。年間に延べ9万人が利用していて、預ける人の負担は1時間300円とのことでした。このような制度を杉並区でもつくることはできないでしょうか、伺います。

国の交付金を利用して一定程度は補助がでたとしても、医療的ケアが必要な子どもには作業療法士と看護師のような専門職が2人も付くことから、受け入れにはそれ以上の大きな経費がかかりますから、安定してこの形態で保育を行っていくにはさらなる援助が必要です。

国は「こども誰でも通園制度」をつくることを表明し、それに応じて区でも来年度から始めようとしています。この施設を来年度試行的に実施する予定である「こども誰でも通園制度」や東京都が新たに実施する「多様な他者とのかかわりの機会の創出事業」の実施対象に加えていただきたいと思いますが、区の見解をうかがいます。

共生社会を創っていこうという先駆的な取り組みを、区が決意をもって支援し、都や国にこのような事業者を支援する制度をつくるよう提案していくことが、日本にとっての利益につながることであり、それを強く求めたいと思いますが、区の見解をうかがいます。

次にインクルーシブな教育についてうかがいます。

杉並区基本構想の3つの基本理念の一つに、「認め合い 支え合う」と掲げ、その中では「様々な価値観を互いに認め合い、支え―支えられる地域社会をつくっていくことにより、地域で暮らす人たちが、誰一人として差別されず、取り残されない社会にしていきます。『人生100年時代』を見据え、すべての区民が自らの人生を豊かに生きていくことが出来る社会を築いていきます」とうたわれています。

そのような社会を築くためには地域で顔の見える関係をつくることが必須だと考えます。障がいのある子どもが安心して地域の学校に通い、区がその子に合った学びを保障することは、杉並区特別支援教育推進計画の中にも、「すべての区立学校が合理的配慮を必要な子どもへ提供できることを目指します」と明記されています。

障がいのある子どもが安心して地域の学校を選んでいいと思える仕組みが必要だと思います。国立市では就学通知書を原則、学区の学校で障害の有無にかかわらず全員に送付することになりましたが、杉並区でも同様の取り組みができないでしょうか。このことにより、障がいのある子も地域の学校に行けるというメッセージを区が示すことができると考えますが、区の考えをうかがいます。

知的障害のある子どもが通常学級に在籍する場合、学習権を保障するためには個別指導計画をつくり、それぞれの子どもにあった学びが提供されることが必要ですが、それはどのように行われているのでしょうか。うかがいます。

その学びを保障するためには学習支援教員や通常学級支援員、介助員ボランティアの方たちの研修を行い適切に指導ができるようにすることが必要だと考えます。また周りの子どもを、大人がいなくても障害のある子のことを自然に気にかけ、支えられるようにはぐくむことも必要です。子どもは同じ場所で共に育つことで、自然に障害のある子のことを理解し、配慮出来るようになる力を持っていて、それをじゃましない大人のあり方を学ぶ研修も必要だと考えますが、それがどのように行われているかうかがいます。

通常学級支援員や介助員ボランティアは障がいのある子どもの学校生活を支える大切な存在ですが、その方たちから子どもを支援するための校内の会議に参加していないと聞きました。会議は放課後4時以降に行われることが多いのですが、支援員の方たちの勤務時間は午後3時までとなっており、会議に参加したいときは無給になるそうです。子どもと直接せっしている支援員が会議にでることは必要ではないでしょうか、見解をうかがいます。

⑤これまでも作業療法士が教室に入り、じっとしていられない子の様子を見て、その子が落ちつく方法を先生に伝え、先生がその方法を取り入れることで、その子は教室にいやすくなるということを度々議会で取り上げてきました。杉並区では発達に課題がある子どものために、学校に来て子どもの環境を改善する手伝いをしてほしいと保護者が要請すれば、作業療法士ではないが、臨床心理士の方などが来てくれてケアの方法を先生に伝え、その費用は杉並区が払うという学齢期発達支援事業の学校連携という仕組みがあります。学校ではどのくらいこの仕組みが活用されているでしょうか。もし使われていない場合は、学校が保護者にこの仕組みを周知し、子どもの環境の改善を図ることも積極的に勧めていただきたいと思います。それがひいてはすべての子どもにとって居心地のいい教室づくりにつながると思いますが、区の考えをうかがいます。

「みんなの学校」というドキュメンタリー映画の上映会が杉並区でも頻繁に開催されていましたが、この映画の舞台となった大阪市にある公立小学校では、特別支援学級を解体し、障害のある子も通常学級に席を置き、教室に先生が複数体制で入ることで、障害のある子も地域の学校に通う、フルインクルーシブに近い環境をつくっています。このように杉並区でもすべての学校に特別支援学級を配置することにして教師を加配し、実際にはそこを解体して教師が複数で教室運営を行い、通常学級にいる障がいのある子の支援をするという形をとることが将来的に目指す形ではないかと考えますが、区の見解をうかがいます。

現在、特別支援学級がある学校では、どれぐらいの頻度で共同学習などを行っているかうかがいます。これも顔の見える関係を築くのに重要なことと考えます。

⑦先日、東京生活者ネットワークで、障害者権利条約における障害児者の権利の展開や日本におけるインクルーシブ教育実現に取り組んでいる東洋大学客員研究員の一木玲子さんを招き「フルインクルーシブ教育へのロードマップ」をテーマとした学習会を行いました。そこで一木さんが言っていたのは、大きな災害が起こって地域の体育館に避難をするとき、その回りに知り合いがいない障害者家族は子どもが声を出してしまったり、じっとしていられないことから避難所へ行くことをあきらめざるを得ない状況があることをうかがいました。一方地域の学校に通っていたから災害時に「歩けない○○ちゃんを助けに行こう」と皆が思い出したという話もしてくれました。学校で共に学び、子どもたちがその子を知っていれば、避難所にいけます。こういうことからも、インクルーシブ教育の必要性を認識したところですが、区教委の考えを伺います。

先日済美養護学校を視察させていただきました。そこでは一人一人に対応した学習が行われ、校舎の廊下のいたるところに大きな絵本が置かれていて、子どもたちが好きに手に取れるようになっていました。廊下の壁には子どもたちの作品が飾られ、楽しい雰囲気に満ちていました。「自他を認め、社会の中で生きる力と生きる喜びを育む」という教育目標をかかげ、毎日通いたくなる学校を目指しているという校長先生の話を伺い、それが実現されているところに感銘を受けました。不登校の子どもが900人もいる杉並区にあって、ここでの不登校はゼロで、子どもたちが楽しく学べる環境を作っていて、他の学校にもぜひそのノウハウを広げてほしいと思いました。済美養護学校は特別支援教育推進計画でもセンター校の役割を担っていることが示されていますが、どのような取り組みが行われ、どのようなノウハウが他の学校に提供され、研修などに生かされているのか、最後にうかがいます。

区議会の中でも、発達障害を持つ子どもの特別支援学級設置を求める保護者の声を受け、質疑が行われています。今の通常学級で、我が子の自己肯定感が低くなることを心配する保護者の方たちの気持ちは私も理解するところです。しかし、私が目指すべきと述べているインクルーシブ教育は、同じ教室の中にいながら、それぞれの特性に合わせた教育が行われること、互いの違いを認め合うことを目指すものです。私はインクルーシブ教育をもっとすすめるべきと考えていますがセイビ養護で行われている取り組みを否定するわけではありません。むしろこのような教育が全ての学校で実践されればどんなにいいか、そうすれば養護学校は必要なくなるのではと考えます。済美養護の教育がすべての学校にひろがるときは杉並でインクルーシブ教育が実現したときだと思います。それはすべての子どもにとって心地よい、不登校の子どもも発生しにくい、やさしい教室です。そのことを申し添え、私の一般質問を終わります。

 

第1回定例会一般質問 2024.2.16奥田雅子

質問に入る前に、今年元日に発生した能登半島地震から1か月半が経過しましたが、未だ不自由を強いられている被災者の方々、大切なご家族やご友人をなくされた方々にお見舞い申し上げるとともに、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたします。

1.「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

2.羽毛製品の資源循環について

一般質問します。

「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けたみどり政策について

杉並区のみどりの基本計画は1994年の都市緑地保全法の改正に基づき、1999年に最初に策定されました。その後2005年、2010年と改定が重ねられ、現在、3度目のみどりの基本計画の改定の議論が進められています。現基本構想の「みどり豊かな住まいのみやこ」にあるように、「みどり」は杉並を象徴するキーワードの一つとなっています。改めて「みどり」は私たちの暮らしに何をもたらしてくれるか、そのために必要なことは何かについて区の考えを確認していきたいと思います。

私が住む上井草地域は比較的みどりが多く残っており、環八から住宅地に入ると夏は気温が1~2℃下がり、早稲田通りを南側から北側に渡ってくると空気が違うと言う方がいて、みどりって大事だなぁと実感しています。しかし、この20年間で早稲田通り沿いの生産緑地はほぼ消滅してしまい、住宅地内にあった緑地も戸建て住宅や高齢者施設にどんどん変わっています。相続税を払うためにやむなく売らざるを得ない状況もよく耳にします。

今あるみどりをいかに残し、どう増やしていくのか、気候危機が深刻化する昨今はますます重要なテーマになっています。

第1回のみどりの基本計画検討委員会(以下検討委員会といいます)の議事録の中で、中杉通のけやきは地元の人が買って植栽し、落ち葉の要望も(多分、苦情ということだと思います)当時は1件もなかったのは地元が誇りを持っていたからだとありました。私は40年ほど前に初めて中杉通りに来た時のけやき並木に感動したことが忘れられません。なので、今もけやきの状況が気になってしまいます。みどりは私たちの生活に様々な効果をもたらしてくれるため、みどりを残していきたい、増やしていきたい立場から質問していきます。

①まず、最初にみどりの基本計画を策定した1999年当時から今日に至るまで、杉並のみどりの状況はどのような変化をたどってきたのか伺います。

②杉並区みどりの条例ではみどりを「樹木その他の植物並びに動植物の生息又は生育の基盤である土及び水等の要素と一体となって自然環境を形成している土地」と定義していますが、具体的にどういうことか。杉並区が捉える「みどり」に対する考えを伺います。

③現在、3度目のみどりの基本計画改定検討が進められていますが、区は計画づくりの段階から区民とともに策定していくと表明しています。まさに、みどりの基本計画のようなものは長期的スパンの視点を持って、子どもから高齢者など様々な立場の区民参加のもとで策定するにふさわしいものだと考えます。昨年12月には「杉並のみどりをどう守る?どう創る?」というテーマで聴っくオフミーティングが開催されました。様々な意見が出ていたのはHPの報告で見ましたが、区が区民の意見を聴くというだけではなく、策定に至る過程で区民が議論に参加することも大事だと思います。検討委員会には公募区民が2名入っていますが、区民意見の反映をするには少ないのではないか。区民参加のあり方としてどのようにすすめて行く考えなのか。スケジュール、体制、手法含め確認します。

④また、検討委員会の事務局が土木担当部長を筆頭にみどり施策担当課長、みどり公園課で、都市整備部だけで固められていることが気になりました。今では、「みどり」というテーマには欠かせないグリーンインフラですが、検討委員会でもグリーンインフラとは、自然の機能を活かして地域の社会課題である教育、福祉、医療、観光、生物多様性、生態系保全を解決していくという考えだという指摘があり、私もまったく同感です。私がイメージする「みどり」もあらゆる部門と関係する分野だと思っており、環境や福祉、防災、教育、産業等、分野横断的な議論が必要だと考えます。区は基本構想に掲げた「みどり豊かな住まいのみやこ」の実現に向けて、このみどり基本計画はとても重要な計画だと言っている訳ですが、どのような庁内検討体制となっているのか確認します。

⑤現在のみどりの基本計画は2010(平成22)年に改定され、今日までの約14年間で社会状況も気候変動もまちの風景も大きく様変わりしたのではないでしょうか。今回の改定では未来を担う子どもをはじめ、区民が主役となる計画に改定するとあります。前回改定から14年開いた理由含め、この間の取組をどう総括し、次につなげる課題について区の考えを伺います。

杉並区には善福寺川、妙正寺川、神田川と3本の川が流れていますが、水とみどりは切っても切れない存在であり、そこに棲む生物も同じ土俵で議論されなければならないと考えます。私は、この間、生物多様性やあまみずの貯留、利活用、グリーンインフラについて度々質問にも取り上げてきました。2021年6月に英国で開催されたG7サミット、さらには2022年12月の生物多様性条約COP15で新たな生物多様性の世界目標「30by30」が確認されました。「30by30」とは2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようという目標です。私は昨年の第1回定例会の代表質問でもその世界的目標の中で杉並区としても足元の生物多様性の保全の考え方を明確にしておく必要があると訴え、みどりの基本計画改定を機に改めて生物多様性地域戦略の策定を求めました。これに対し区長からは「他自治体では生物の生息場所の保全、創出および管理に関する緑の基本計画に生物多様性地域戦略を包含して策定している例があり、杉並区でも自然環境調査を実施していることから生物多様性の視点に重きを置いてみどりの基本計画の改定作業に取り組む」と答弁がありました。

その後、昨年の10月には都立善福寺公園内にある区立遅野井川親水施設が都内の区立施設として初の自然共生サイトに認定がされました。この自然共生サイトは「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られる区域」を国が認定するもので、「30by30」の目標達成を目指します。自然共生に認定がされると国立公園のような保護地域以外でも「事業者・民間・地方公共団体等による様々な取組みによって生物多様性の保全が図られている区域」という意味の国際データベースOECM(other effective area-based conservation measures)に登録がされます。

遅野井川親水施設は利用者も多く、丁寧な管理によって子どもたちの自然体験の場としても有効な環境になっています。私は2022年11月に開催された善福寺川フォーラム2022で、遅野井川親水施設をさらに善福寺公園の下池につなげたいという市民の思いに触れ、水質の改善や水量確保など今も課題となっていることを共有しました。遅野井川親水施設をつくる過程において、2018年の予算特別委員会でも上池の水質改善のためにかいぼりを東京都に要望してほしいと求めたことがありました。当時の区長からは「東京都の公園だけど調整をしながら、どういうことができるか検討していきたい」との答弁を頂きましたが、その後、特にそのような動きは確認できていません。しかし、市民団体はその後も継続してどうしたら遅野井川の環境をよりよいものにできるか、延伸が図れるかを一生懸命考えています。

⑥将来的には、遅野井川の延伸を展望しつつ、現在の課題である水質や水量の問題を解決することから着手することが必要だと考えます。グリーンインフラによって周辺環境がどう変化するのか、それを見える化することも必要であり、そのためには現在の状況把握をすることが重要です。区はグリーンインフラを進めるための検討を2024年度に予算化しました。その検討の中で善福寺公園上池周辺のグリーンインフラ整備によって上池の浄化と水量の確保について検証する取り組みを一つのモデルとして位置づけてはどうかと考えますがいかがか。

⑦杉並区には遅野井川親水施設以外でも自然共生サイトになり得る場所があるのではないでしょうか。継続的に実施している自然環境調査や河川生物調査などの結果も重要なテータとして蓄積されていますが、それらのデータが上手く活用されていないようにも感じています。オープンデータ化し、様々なところで活用できれば、新たな発見や自然共生サイトも増えるのではないかと考えます。もっと積極的に杉並の良さを発信していくためのデータの有効活用について区の見解を伺います。

⑧今、善福寺川の洪水対策として東京都が施工する善福寺川上流調節池整備で地域住民が揺れています。みどり豊かな生活環境が変わってしまうことへの不安や口惜しさは良く理解できます。洪水対策が不要と思っている住民はいないと思いますが、その対策の中身についてはもっと地域住民の声が反映されるプロセスが必要だったと思います。東京都市計画河川第8号善福寺川の変更に関する小池都知事から岸本区長への意見照会について、今年1月26日付で岸本区長からの回答の中に様々な要望が付記されました。これについては、引き続き、東京都との調整に尽力していただくことを強く要望しますがいかがか、区の見解を最後にお聞きし、次のテーマに移ります。

羽毛製品の資源循環について

羽毛製品、つまり、ダウンジャケットや羽毛ふとんは軽くて暖かく、多くの方に重宝がられているアイテムとなっています。しかし、ダウンに使われる羽毛は水鳥のムネの柔らかい部分で1羽の水鳥からはたったの10gしかとれません。現在ダウンは食用の水鳥の副産物としてしか利用ができないため、新毛として手に入れるためにはダウンジャケットで10羽、羽毛ふとんで100羽の水鳥を食べなくてはならない計算になります。食用水鳥は世界全体の約75%を中国で消費し、残りの25%は西欧や日本で消費されています。しかし、世界的に食用水鳥の飼育日数を短くした安価な肉が求められる流れの中で、羽毛の採取量やダウンの比重、品質の低下を招いていることや中国でのダウン製品の需要の高まり、さらには鳥インフルエンザの影響もあり、今後、良質な新毛は手に入らなくなると言われており、リサイクルシフトが必然となっています。ダウンは実はとても丈夫で一生ものとも言われおり、新毛よりむしろリサイクル羽毛の方が品質が良いとさえ言われています。

私が運営に関わっているチャリティショップでは不要になったダウンジャケットや羽毛ふとんを回収し、三重県伊勢市の羽毛精製加工を行う事業者に送っています。先日、そのリサイクル工場を視察し、ダウンのリサイクル事情についても学んできました。そこでのヒントをもとに質問します。

①区は循環型社会を目指して、資源化の推進をすすめていますが、昨年10月から粗大ごみとして回収してきた羽毛ふとんをリサイクルする取組みが行われています。羽毛ふとんをリサイクルすることになった経緯について伺います。

②昨年10月から回収を始めて、まだ間もないと思いますが、どのくらいの羽毛ふとんが回収されたのか。また、広報はどのように行ったのか、伺います。

③回収された羽毛ふとんが、その先、どのように循環のサイクルにのっているのかを区は把握していますか。把握していれば、その内容を教えてください。

④視察した先では、国内の寝具メーカーやアパレルメーカーなどと共に羽毛資源の循環に取組むために、2015年4月に発足させた一般社団法人Green Down projectについて話を聴いてきました。また、地域内の企業や団体、チャリティショップや障がい者福祉施設等を回収拠点にして羽毛の回収活動を連携して行うハートステーションプロジェクトという仕組みもあります。これらの情報について区は把握していますか。

⑤区が集めているのは羽毛ふとんだけと伺いました。ダウンジャケットなどは衣類などの古布として出されていると思われますが、その後の行方が分かりません。資源として活かしていくには別に回収するしくみが必要であり、そのために地域内回収拠点ができればふとん以外のダウン製品の回収も広げることができると考えます。皆さんが着ているダウンジャケットのタグを見ていただくとダウン90%、フェザー10%などというような表示があると思います。ダウン50%以上であればリサイクルに回すことができるということですので、おおよそのものは対象になるのではないかと思います。循環型の社会を築くのであれば、羽毛の回収対象を広げることも今後の検討課題としてほしいと考えますがいかがか、見解をお聞きします。

⑥今後、ダウンのリサイクルはますます当たり前になっていくと思われます。ショップ店頭で回収し始めているところもありますが、ダウンは健康にも環境にも優しく、繰り返し使うことで未来に渡って持続可能な資源となります。また、リサイクルの過程において障がい者の雇用も生み出したり、社協と連携することで赤い羽根募金を生み出すUMOUプロジェクトというものもあり、先ほどのグリーンダウンプロジェクトやハートステーションプロジェクトも含め参考となる取組が既にあります。区民や地域の事業者や団体を巻き込んで「みんなでダウンリサイクルに取り組もう!」というムーブメントを区が仕掛けてはどうかと考えますがいかがか、最後に区の見解を伺って、私の一般質問を終わります。

広報紙 生活者ネットすぎなみ131号を発行しました 2024.1.10

広報紙 生活者ネットすぎなみ130号を発行しました 2023.11.15