第1回定例会一般質問 2021.2.15

杉並区のHPVワクチンに関する情報提供のあり方について

私はHPVクチンの重篤な副反応で多岐にわたる症状に苦しんでいるという女子中学生の保護者から連絡を受け、2013年の予算特別委員会でこの問題を取り上げました。その中学生は2011年10月12歳のときに区内医療機関でワクチン接種を受け、直後から具合が悪くなり、翌日から入院となりその間に様々な症状が出て10日目にはほぼ寝たきりの状態になりました。診察した医師からもHPVワクチン接種による副反応被害であることの診断書を得ていました。保護者からの話を聞き、また医療機関から厚労省への報告の症状の多さを見て信じられない思いでした。報告には、多すぎるので全部は読みませんが、四肢痛、末梢性浮腫、感覚鈍麻、注射による四肢の運動低下、発熱、皮膚変色、疼痛、注射部位刺激感、ワクチンを接種した腕の広汎性腫脹、歩行障害、多汗症、注射部位疼痛、注射部位腫脹、異痛症、浮腫、複視、等とありました。自分の名前がわからなくなるほどの記憶障害、1から10まで数えられない計算障害、手足が勝手に激しく動く不随意運動などの状況にあることをうかがい、それを議会で共有しました。その時のやり取りが新聞などのメディアで報道され、ワクチンによる副反応の被害が初めて明らかになりました。そして全国から同じ症状に苦しむ人の声が届き、2013年3月25日、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が立ち上がることとなり、杉並の被害者家族が代表になりました。ですから、私にとっても杉並区にとってもHPVワクチンの薬害というものは特別にリアルで2度と同じ被害を起こしたくないという強い思いを共有しているものと認識しています。当時の区の担当者は人事異動によって変わっていますが、保健所は変わらずにこの認識を持ち続けているのか、改めて確認します。

その後2013年4月にHPVワクチンは国の法定接種になりましたが、被害が相次いでいる事実を受け、2か月後の6月14日厚労省は積極的な勧奨を差し控えることを勧告する通知を出しました。そこからHPVワクチンの接種率は1%未満となり、副反応の被害もほとんど出なくなりました。しかし国が緊急対策促進事業として接種を行った2010年から2013年3月まで、そして定期接種になってから積極的な勧奨を控える通知が出されるまでの2か月間の間に接種を受けた(子ども)少女たちには多くの副反応被害が出ました。現在、その被害者130名以上が原告となって国と製薬会社を相手に全国で裁判が行われているのが現状です。私はこの裁判の支援にも関わり、できる限り裁判の傍聴にも行っています。

HPVワクチンの被害は日本だけでなく全世界に広がっており、10か国以上でも裁判が行われている状況があります。そんな中、日本では産婦人科医会や医師会を中心に国会議員などがHPVワクチンの積極的な勧奨再開を強く要請する動きがあります。

そのような動きに押され、昨年7月17日、厚労省は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議にHPVワクチンのリーフレットの改訂案を出し、10月に改訂版のリーフレットが発行されました。私はこの改訂版リーフレットには問題があると考えます。理由は後ほど述べます。

そしてこのリーフレットと共に2020年10月厚労省は「ヒトパピローマウイルス感染症に係る定期接種の対象者等への周知に関する具体的な対応等について」との通知を出し、対象者に個別に情報提供することを各自治体に求めました。

しかし、HPVワクチンの成分が変わったわけではなく、また薬害の治療法が確立したということもありません。このまま接種を勧め、接種者が増えたら同じ被害が出る可能性があります。ここで確認しますが、積極的勧奨が中止されているのは異例の措置であり、その理由が安全性の問題であることは何ら変わらないということを区はどのように認識しているかうかがいます。

厚労省の10月の通知でも、積極的な勧奨にならないように情報提供することを求める内容になっています。この通知と改訂版のリーフレットが届いたのと同時期に、HPVワクチン薬害の裁判を戦っている原告団及び弁護団から各自治体にHPVワクチンに関する要請書が送られたと聞いていますが、区はそれを受け取っているでしょうか。確認します。

この厚労省通知が出されたことを受け、私は担当課長に区がどのように対応するか確認したところ、課長からは「区には重篤な副反応の被害者が出ている状況で慎重に行う。通知ははがきで来年度から出す。今年度は出さない」とお答えいただきました。その話を聞いて私はとりあえず安堵し、あえて議会での質問をする必要はないと判断しました。ところが、2月1日、中学生の保護者である区民から、こんなはがきが来ましたと「HPV感染症予防ワクチン接種のお知らせ」と題するはがきを渡されました。こういうはがきが来たら、副反応のことを知らない保護者は娘に打たせる人もいると思うと心配されていました。そのはがきは12月付で出されたものでした。被害が出ることを懸念し、今年度は出さないと答えていた区が、1か月後にはがきを出したのはどのような経緯からなのかお聞きします。

ここで先ほど述べたHPVワクチン薬害訴訟全国原告団及び弁護団から杉並区にも送られた要請書の内容を紹介します。

まずは薬害被害者の状況を一部抜粋して紹介します。「積極的勧奨差し控えの理由となったHPVワクチンの副反応は、頭痛、全身疼痛(光過敏、音過敏、嗅覚障害)、激しい生理痛、脱力、筋力低下、不随意運動、歩行障害、重度の倦怠感、集中力低下、学習障害、記憶障害、発熱、月経異常、過呼吸、睡眠障害など、全身に及ぶ多様な副反応が一人の患者に重層的に表れるという特徴を有しています。その治療法は確立しておらず、被害者は現在も副反応症状に苦しんでいます。副反応として専門的な治療を行っている医療機関は全国でもわずかであり、そうした医療機関への遠距離入通院は患者に重い負担となっていますし、そもそも適切な治療を受けられていない人も少なくありません。副反応は日常生活や就学に重大な影響を及ぼし、10代前半で接種した被害者の女性たちは通信制高校への転校、進学や将来の目標を断念といった深刻な被害を受けてきました。そして社会に出る年齢となった今、副反応は就労の重大な障害となっています。このような被害者の存在を決して忘れてはなりません。

次にHPVワクチンの危険性についての指摘です。

副作用被害救済制度における、障害年金の対象となる障害、それは日常生活が著しく制限される程度の障害とされますが、その認定数が、他の定期接種ワクチンの死亡及び障害の認定数の約15倍となっており、さらに定期接種になってからの数字で比較するとその頻度は31,8倍になっています。これは厚労省が出した数字をもとに計算されたものです。このデータからも副反応の重篤性とHPVワクチンの高い気危険性は明らかです。このような危険性が新しいリーフレットからは全く読み取れないことが懸念されています。

要請書からの引用はここまでです。

私も接種から何年も経過しているのに、母親が押す車いすに乗った被害者が「お母さんがいなくなって、ずっと探しています」と言っているのを見て胸がつぶれる思いでした。

ここで質問します。区がリーフレットではなくはがきで情報提供をしたのは適切だと考えますが、はがきを選んだ理由をうかがいます。

このリーフレットは先ほど述べたような深刻な副反応の危険性が伝わるものになっていません。また改定前のリーフレットでは明記されていた、国が積極勧奨を差し控えている事実も記載されていません。協力医療機関が設置されているとありますが、実際には被害者が安心して受信できる医療機関は乏しく、差別的な対応をされる例があとをたちません。補償についても、国が副反応の因果関係を明確に認めていない中で、十分に受けられないケースが多く存在しているのが現状です。一方でリーフレットには子宮頸がんの危険性やHPVワクチンの効果が強調されており、積極的に接種を勧める内容となっていると言わざるをえません。このリーフレットが個別送付されるようなことがあれば接種者が増え、新たな副反応被害者が生み出されることが懸念されます。

今後もこのリーフレットを送付しての情報提供は行わないように求めますが区の見解をうかがいます。

次に区内で送付されたはがきに記載された内容についてうかがいます。「HPV感染症~子宮頸がんとHPVワクチン~に関する情報を各HPでご案内しています」との説明があり厚労省のHPと杉並区のHPのQRコードがついています。それぞれのQRコードを読み込むと、杉並区は「HPV(ヒトパピローマウイルス)感染症予防ワクチンと子宮頸がん」というページが出てきます。

杉並区の方では一番初めに平成25年度厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会でHPVワクチンの定期接種を積極的に勧奨すべきではないとされた事実が述べられています。スクロールしていくと厚労省のヒトパピローマウイルス感染症 子宮けいがんとHPVワクチンのページのリンクが出てきます。こちらは適切な情報提供だと思います。

一方厚生労働省HPのQRコードを開くと、ヒトパピローマウイルス感染症の説明として以下の文章が出てきます。「ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性経験のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えています。」そして「HPV感染症を防ぐワクチン(HPVワクチン)は、小学校6年~高校1年相当の女子を対象に、定期接種が行われています。」との文章があり、リーフレットが見られるようになっています。このページにはHPVワクチンの接種勧奨が中止されているとの記載はどこにも出てきません。そしてリーフレットにもその記載はありません。厚労省HPだけを見ると、この接種が現在安全性の問題で積極的におすすめされていないことを知ることができません。これは危険なことだと思います。武蔵野市では対象者にはがきで情報提供を行っていますが、ワクチン接種の積極的勧奨は行っていないことが明記されている市HPのQRコードのみを記載し、それを見た後に厚労省のHPのリンクも見られるようにしています。区も同じ対応をとるべきと考えますが、見解をうかがいます。

今回区はお知らせを対象となる小学6年生から高校1年生の女子に送りました。効果は証明されていない、そして重篤な副反応の頻度が極めて高いワクチンの個別の情報提供は本来行わないのが最善だと考えます。しかしはがきを出すなら、厚労省は積極勧奨にならないように情報提供することを求めているのですから、一人に一回以上出すべきではありません。今後の対応を区はどのように考えているかうかがいます。

区内の被害者は、一番楽しいはずのティーンエイジャー時期に普通の生活を送れず、治療に多くの時間を費やしてきました。副反応を診察できる医療機関に行きつくまでにいくつもの病院をたらいまわしにされ、医師からの精神的なものだとの言葉に傷ついてきました。保護者が被害者の置かれた状況を訴えると、ワクチンを進めようとする(医師)人たちから反ワクチン派として攻撃を受けることも続いています。しかし、当時、被害者や保護者は区を信頼し、そのお知らせに従ってワクチンを接種したのですから、反ワクチン派であるはずがありません。接種から10年がたち、当時中学生だった女性は通信制の大学を卒業されましたが、まだ体調に波があるため就職はできない状況です。このような被害があったことを、区は決して忘れずに今後も真摯に対応することを求め、一般質問を終わります。

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