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第4回定例会一般質問と答弁 そね文子 2023.11.20

HPV(子宮頸がん)ワクチンを男子に接種することの疑問について

Q1】HPVワクチン、ガーダシルは、2020年12月に、効能・効果に前躯病変を含む肛門がん及び男性の尖圭コンジローマが追加され、男性への接種が可能となりました。自治体の中には、任意接種のガーダシルの男性への接種費用について助成するところが出てきており、中野区でも今年8月から男子接種への助成をスタートさせました。

肛門がんは極めてまれながんで、すべての悪性腫瘍の中で0.1%程度とされ、罹患者の報告では男性10万人当たり約1人である。尖圭コンジローマは自然治癒が多い良性の病変で治療法もあると認識しているが、区はこれらのことをどうとらえているか。

HPVワクチンのリスクについては、知覚、運動、自律神経、認知機能に関する症状など、多岐にわたる多様な症状が一人の人に重層的に表れるという深刻な副反応が生じている。男子に接種した場合にも同様の副反応が生じることが確認されており、男子への接種が広がれば同様の被害が拡大する恐れがあると考えるが区の認識は。

肛門がんと尖圭コンジローマの予防のために、深刻な副反応のあるHPVワクチンを接種することはリスクとベネフィットのバランスを著しく欠いていると考える。また男子へのHPVワクチン接種を推奨する理由として、性交によって女性がHPVに感染することを防ぎ、間接的に女性の子宮頸がんを防ぐことが挙げられているが、男子へのHPVワクチン接種が女性の子宮頸がんを減少させることを示すデータやエビデンスはないと認識するが、区の認識は。

都知事は「男女が接種することで集団免疫効果を期待できる」と述べ、東京都は男子接種への助成を令和6年度予算要求したが、集団免疫効果の根拠はなくベネフィットを大きく上回るリスクがあるので、杉並区では男子接種を行わないように求めるが区の見解は。

 

A1杉並保健所長】肛門がんにかかる男性の割合は極めて少ないと認識している。尖圭コンジローマは再発が多く本人が治癒してもパートナーがHPVウィルスを保持している限り高頻度に再感染することに加え、一部は悪性化することから予防は重要であると考える。

男子へのHPVワクチン接種に対するリスクはワクチンの添付文書によれば、主な副反応として疼痛が57.2%、腫脹が11.3%と一定のリスクがあることが示されている。またこれらの副反応以外にも有症状の場合は医療機関が厚生労働大臣に報告し、国において安全性に係る定期的な評価が実施されている。

HPVワクチンによる肛門がんと尖圭コンジローマの予防については、ワクチンの添付文書によると肛門がんの前駆症状の予防効果は77.5%、尖圭コンジローマの予防効果は89.3%となっていて、これらの効能により国が薬事承認したと認識している。また、間接的に女子の子宮頸がんを減少させることについては、HPVが性的接触により感染すること、子宮頸がんの95%はHPVの感染が原因であることから、男子へのHPVワクチンの接種により男子のHPV感染が減少すれば女子の感染も減少し、子宮頸がんは減少すると考えられる。実際男女ともに接種を行っている国では子宮頸がんの罹患者数は減少しており、2013年から女性に加え男性の定期接種を始めたオーストラリアでは、子宮頸がんにかかる割合が2020年に10万人当たり5.6人と、日本の15.2人に比べ低くなっている。男子への接種については国による科学的知見の収集状況や議論を把握していくとともに、都が予定している助成事業の情報や宅の動向を注視し慎重に検討していく。

外国にルーツのある子どもの支援について

Q2】杉並区では区と交流協会、教育委員会の3者が協力して日本語を母語としない子どもの日本語の学習を支援するという目的で、ボランティアの日本語教室が設置された。このように3者が協力して教室の運営が行われているケースについて高い評価があった。

杉並区総合計画・実行計画改正案で示された多文化キッズサロンについて、3年かけて設置検討を行うのではなく、もっと早く設置できないか。区立施設だけでなく民間施設の活用も視野に入れて検討できないか。

A2文化・スポーツ担当部長】多文化キッズサロンは今年1月から実施している区内在住の帰国・外国人児童生徒のための日本語教室に加え、相談・交流の機能を有し保護者等が日常生活における困りごとを相談でき、地域の人とつながることのできる施設です。この施設のあり方を含め、区における多文化共生の方向性については在住外国人を含めた区民等と議論したうえで、次年度以降策定する「杉並区多文化共生基本方針」で定めていきたい。

その中で重要となる本件施設では、学習・相談・交流を包括的に行うことから、一定程度の広さが必要であることが場所を確保するうえで課題となっている。民間施設の活用との提案についても運営経費や施設の規模が課題になると考えるが、様々な観点から検討を進め、早期の設置を目指す。

Q3】子ども日本語教室において、交流協会や教育委員会職員、コーディネーター、ボランティアが意見交換する場を作り、活動をより充実させるべきと考えるが区の見解は。

ボランティアと子ども、保護者を交えて行う季節の行事や交流事業については、ボランティア同士の交流を促すことで自由な発想やスピード感のある取り組みが生まれると思うが、区の見解は。

A3文化・スポーツ担当部長】子ども日本語教室で学習支援を担うボランティア養成講座はこの間2回開催し、定員25名のところ120人を超える応募があり、自身の経験を外国籍の子どもたちのために生かしたいと思う区民が多くいることを改めて認識した。こうした熱意あるボランティア同士の交流促進やコーディネーターおよび区職員との意見交換の必要性は区としても認識している。教室終了後や定期的な全体会等を開催し、ボランティア同士の交流を図りその中での新たな気づきや魅力的なアイデアを、子ども日本語教室の発展に生かしていきたい。

 

Q4】多文化キッズサロンの設置を待たず、子ども日本語教室において、親同士やボランティアと親との交流・相談の機会を作っていくことを提案するが、区の見解は。

A4文化・スポーツ担当部長】これまで子ども日本語教室では交流事業として交流自治体である山梨県忍野村へのトウモロコシ収穫体験や、区内の大学と連携し保護者を交えての交流会を実施してきた。また相談事業としては子どもの送迎に来た保護者からの日常生活や学校生活に関する相談にコーディネーターが対応している。12月からは高円寺教室の空きスペースを活用し、保護者同士が交流できる環境づくりに取り組む。

Q5】外国人家庭の就学援助の情報提供について、対象となるであろう家庭が就学援助を知らず、経済的な理由から修学旅行に参加できなかったことがあった。今後、卒業アルバムや入学準備金、スキー移動教室の代金が発生するので、就学援助を保護者が認識できるよう伝えてほしい。教育委員会の見解を問う。

就学援助の手紙は日本語、英語、ネパール語が用意されているが、申請書は日本語のみで、学校によっては日本語の手紙しか配られていないことがわかった。今後は確実に適切な言語の手紙が届けられるよう見直してもらいたい。また、在籍者が多い中国語、韓国語、ベトナム語などの言語も必要であり申請書も各言語で用意することを要望するがいかがか。

さらに多言語による説明の動画を作成し周知するなどの工夫もしてもらいたいが考えを問う。

A5教育次長】就学援助については年度初めに学校を通じて全家庭に案内文と申請書を配布して、申請の有無を確認していて、外国人家庭に対しては外国語版の案内文で制度を周知しているが、改めて全小中学校に再周知を依頼した。

外国語版の案内文は現在英語とネパール語のみですが、令和6年度からは在籍者が多い中国語、韓国語、ベトナム語を加えるとともに、申請書の記入例もそれぞれの言語のものを作成し母国語での周知ができるようにする。   また、今後外国語の案内文の工夫や、動画を含む様々な周知方法について検討を行い、外国人家庭にわかりやすく制度を伝えられるように努める。

Q6】外国人向けの都立高校の入試について、学校それぞれで対応するよりも教育委員会が通訳を入れた相談・説明会を行うのが有効と考えるがいかがか。また、それを録画して見られるようにすれば参加できなかった子どもや保護者も見ることができるが見解を問う。

さらに、外国籍の子どもの学習支援や入学支援を行っている団体の声を聞き取り、交流協会とも協力してより良い方法を考えてほしいがいかがか。

都立高校の入試については教育委員会がわかりやすい資料を用意し、各学校に配るなどの工夫が必要と考えるがそれはどのように行われているのか。

A6教育政策担当部長】東京都教育委員会では毎年12月の日曜日に2回、多くの通訳者が同席して外国人生徒対象の入試相談会を開催している。外国人生徒対象の入試制度は、受験者の応募資格の確認が複雑であり、多くの言語の通訳者を必要とする。区教育委員会ではこの相談会について学校からの周知に加え、日本語指導受講者や子ども日本語教室参加者に周知している。相談の中で受験者の個人情報を扱うことから録画は難しいと考える。

また、教育委員会では毎年11月の進路指導主任会において外国人生徒対象の入試について説明している。今後も東京都の資料を活用し内容を伝えるとともに、各学校で3学年の教員を中心に共有するよう働きかける。なお、外国籍の子どもを支援する団体の情報は交流協会と共有していく。

第4回定例会一般質問 そね文子 2023.11.20

私は区議会生活者ネットワークとして、1.HPV(子宮頸がん)ワクチンを男子に接種することの疑問について、2.外国にルーツのある子どもの支援について一般質問いたします。

まず最初にHPV(子宮頸がん)ワクチンを男子に接種することの疑問についてうかがいます。

第2回定例会でもこのテーマを取り上げましたが、小池東京都知事が都議会で男子へのHPVワクチン接種について「国の検討状況を総合的に勘案し、区市町村への支援について検討していく」と述べたこと、先日公表された東京都の各局からの予算要求にHPVワクチン男性接種補助事業が挙げられたこと、先日の決算特別委員会で他の委員から杉並区の医師会が男子接種への助成を強く要請しているとの話があったことから、HPVワクチンの副反応被害者を長年見てきたものとして強い危機感を持ち、また今回も取り上げます。

先日は杉並区で接種を受けて、被害で苦しんでいるこれまで取り上げてきた方とはまた別の当事者に初めてお会いしました。その方は接種を受けた後に他県に引っ越しをされましたが、今は大学に通うために近隣県に住まれていて、杉並区に救済の申請を求めている方です。この方は後から思えば一回目接種後から体調不良は出ていたけれど、ワクチンのための不調とは気づかず3回目まで接種し、その直後から様々な症状が出て寝込む状態になりました。高校に進学するも持続する体の痛みや激しい頭痛、倦怠感、睡眠障害、月経異常、胃痛、嘔吐、下痢、など消化器症状も加わり多臓器に渡る多様な症状が重層化し登校できない日が続いたそうです。ワクチン接種による体調不良ということを訴え、高校を5年間かけて卒業し、今は大学に進学して一人暮らしを始めました。今でも大学からの帰り道がわからなくなり、スマホの地図を見て帰宅する、体調不良にはお風呂で温めることが有効なことから入っていたが、あるときお風呂で意識喪失が起きて、その後は命の危険があるためお風呂に入れなくなったなどの話を伺いました。杖をついてゆっくり歩く姿に接し、治療のために1週間に一度は1時間以上かけて通院し、一人暮らしをして、やっと大学に通われる生活はどんなに大変かと思いました。この方は国民年金の障害年金は受けられましたが、医薬品などの健康被害救済などを行う独立行政法人医薬品医療機器総合機構の障害認定が下りないため、区が自治体の総合賠償責任保険の申請ができず救済されていません。

全国では被害当事者の女性117名による製薬企業と国を相手とした薬害の裁判が行われていますが、海外では接種を受けた男性も同じように裁判を行っている事例があります。私はできる限り裁判の傍聴に行っていますが、多くの女性がワクチン接種によって人生を奪われていることに接し、このような被害者を出したくないという思いで質問させていただきます。

HPVワクチン、ガーダシルは、2020年12月に、効能・効果に前躯病変を含む肛門がん及び男性の尖圭コンジローマが追加され、男性への接種が可能となりました。自治体の中には、任意接種のガーダシルの男性への接種費用について助成するところが出てきており、中野区でも今年8月から男子接種への助成をスタートさせてしまいました。

①まず効果効能について追加された、肛門がんと尖圭コンジローマについてです。肛門がんはきわめて稀ながんで、すべての悪性腫瘍の中で1%程度とされ、2019年全国がん登録り患数の報告では男性10万人あたり約一人です。尖圭コンジローマは生殖器とその周辺に発症するイボですが、自然治癒が多い良性の病変であり、治療法もあると認識していますが、区はこれらのことをどのようにとらえているかうかがいます。

②一方で女子への接種で示されているHPVワクチンのリスクについて見てみると、知覚に関する症状として頭、腰、関節などの痛み、感覚鈍麻、しびれ、光過敏など、運動に関する症状として脱力、歩行困難、不随意運動等、自律神経などに関する症状として倦怠感、めまい、吐き気、睡眠障害、月経異常など、認知機能に関する症状として記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力低下など、多岐にわたる多様な症状が一人の人に重層的に表れるという深刻な副反応が生じています。厚生労働省のリーフレットによれば2価と4価のHPVワクチンの重篤副反応疑い報告は接種者1万人あたり5人であり、この発生頻度は他の定期接種ワクチン副反応の平均値に比べ約8倍という高さです。また副作用被害救済制度において障害認定等を受けた人は、他の定期接種ワクチンの平均の約20倍です。HPVワクチンを男子に接種した場合にも同様の副反応が生じることが海外では確認されており、日本において男子への接種が広がれば同様の被害が拡大する恐れがあることは明らかだと考えますが、区の認識をうかがいます。

③極めてまれな肛門がんとイボができる性感染症である尖圭コンジローマの予防のために、このような深刻な副反応が報告されているHPVワクチンを接種することはリスクとベネフィットのバランスを著しく欠いていると考えますが、区の認識をうかがいます。

④男子へのHPVワクチン接種を推奨する理由として、性交によって女性がHPVに感染することを防ぎ、間接的に女性の子宮頸がんを防ぐことも挙げられています。しかし男子へのHPVワクチン接種が間接的に女子の子宮頸がんを減少させることを示す実証データやエビデンスなどはないと認識しています。区の認識をうかがいます。

そもそも、男子に認可されたHPVワクチンは従来型のガーダシルで現在ほとんどの女子が接種しているのは新しいタイプのシルガード9です。HPVというのはヒトパピローマウイルスのことで、ごくありふれたウイルスです。200種類ほどあり、性感染症を起こしますがそのほとんどが自然に治癒します。そのウイルスの中でも発がんリスクが高い型が15種類あると言われ、そのうちの4つの型に対応しているのが男子に認可された古いタイプのガーダシルで、現在ほとんどの女子が受けているのは9つの型に対応した新しいシルガード9です。今年8月から男子の接種への助成制度を始めた中野区議会で議事録を見ると、ワクチンの供給について確認する質問に、保健予防課長が国のワクチン分科会での話を引用し、女性は今後9価ワクチンに流れる可能性が高いから、4価ワクチンは空くから、そこに男子を入れたいという考え方だったのではと答えているのです。グローバル企業である製薬会社の在庫処分に日本の男子が付き合わされ、リスクを負うことの理不尽さを、ぜひ認識していただきたいと思います。

さらにこのワクチンが不要と考える理由は、ガーダシルの添付文書の「効能又は効果に関連する注意」という項目に「肛門がん(扁平上皮癌)又はそれらの前区病変等の予防効果は確認されていない、本剤の予防効果の持続期間は確立していない」と書かれている点です。これが製薬会社の公式見解です。極めてまれな肛門がんが出る年齢が60代以降ということを考えると、12歳から16歳の男子に接種することがどれだけ不要なことかがわかると思います。

⓹この項の最後の質問です。最初に述べましたが、HPVワクチン接種の男子への助成にたいして、東京都の担当局が予算要求をしたことが公表されました。このワクチンはベネフィットを大きく上回るリスクがあるため、杉並区としては男子接種への助成を行はないよう求めますが、区の見解をうかがいます。

私が、これまで見てきた副反応の被害者が置かれるあまりにも理不尽で困難な状況について述べたいと思います。まず、厚労省の審議会では、副反応検討部会の構成委員のほとんどがワクチンを推進する立場の人たちで、採決が行われる際には製薬企業から講演料や執筆料をもらっているという理由で多くが採決への参加資格がないと発表されていたこと、資料に他のワクチンですが接種の翌日に何人かのゼロ歳児が亡くなっている報告があっても、それを問題ないとして会議が淡々と進められていることに心底驚きました。HPVワクチン接種後に10代の女の子が、母親を認識できなくなる、一日に100回以上意識喪失する、その状況が人によっては10年たっても改善されない、そんなことが起きているのに、副反応検討部会では注射の痛みが引き起こした心身の反応と結論づける。今はこれらの被害は機能性身体症状という言葉で結論づけられています。被害者や親にとってその結論は辛い身体症状をまるで精神的なものに位置づけ矮小化するようなもので、決して受け入れられません。被害にあって、治療を受けようとしてもちゃんと診てくれる病院がなく、病院を20件以上まわり、精神的なものだとか詐病とか言われる。被害者が救済を受けるためには自ら被害を証明しなければならない、そのために様々な手続きを行い、さらに裁判で7年以上を費やし、いまだに先が見えない、そんな状況に置かれるのです。それを見てきた者として、これからも事実を伝え続けることを申し上げ次の質問にうつります。

外国にルーツのある子どもの支援についてうかがいます。

日本は超少子高齢社会の進展によって、特に建設や介護、農業分野での人手不足は深刻さを増し、今や外国籍の人たちの力も借りなければ社会が成り立たない状況にあります。2019年4月には入管法が改正され、在留資格「特定技能」が新設されるなどの背景もあり、区内における在住外国人の数はこれからも増えていくことは明らかです。このような中で、外国人を同じ地域に暮らす仲間として友好な関係を築き、異文化の交流によって新たな文化が創造され、誰にとっても生きやすい共生社会を創っていくことが求められています。区内の小中学校に通う外国にルーツのある子どもの数も増加する中、杉並区では区と交流協会、教育委員会の3者が協力して日本語を母語としない子どもの日本語の学習を支援するという目的で、ボランティアの日本語教室が設置されました。先日コーディネーターの先生に話を伺う機会があり、多くの現場を見ている先生が、このように3者が協力して教室の運営が行われているケースは初めてだが、教育委員会と連携することで子どもの学校での様子がわかったり、学校で配慮してほしいことを伝えられるなど連携が取れるという利点があり、すばらしいという言葉を聞いてうれしく思いました。私も外国人を同じ地域で暮らす仲間として理解し、交流することで豊かな社会を創っていきたいと願って質問いたします。

①先ず初めに先日改定案が示された、杉並区総合計画、実行計画に多文化共生の推進が掲げられ、子ども日本語教室等の在住外国人支援事業の充実発展とともに、早期設置に向けて検討するとされた多文化キッズサロンについてうかがいます。これは日本語を母語としない子どもが安心して立ち寄ることができる地域の居場所で、学習や相談、地域の人や同じ境遇の仲間との交流を通して支援を行うことを目的とした東京都の補助事業で、立ち上げのために3千万円、運営費に1千万円が拠出されるものと認識しています。これまで私が求めてきた、取り組みであり、ぜひ進めていただきたいと考えています。計画案では3年をかけて設置検討を行うとされていますが、もっと早くすることはできないでしょうか。一番の課題は場所だと思いますが、区立施設だけでなく民間の施設も視野に入れて検討を進めてほしいと思いますがいかがでしょうか、うかがいます。

②さて、すでにボランティアによる子ども日本語教室はスタートして1年がたとうとするところで、多くの子どもたちが通い、私もそこでボランティアをさせていただいています。この教室立ち上げのためにボランティア養成講座が行われましたが、そこで出会った方たちは志が高く、熱意があり様々な経験をお持ちの方々です。その方たちの力を学習支援だけでなく、交流やそこから発展する相談にも生かしていただけたら、大きな力になると思います。交流協会や教育委員会の事業に携わる職員、コーディネーターの先生とボランティアがもっと意見交換をする場をつくり、この日本語教室の活動をより充実したものにしていただきたいと考えますが、見解をうかがいます。

③多文化キッズサロンで目的とされている交流と相談についても、場所の確保を待たずにできることから始めることを提案したいと思います。以前も紹介させていただきました文京区での事例ですが、ボランティアによる子ども対象の日本語教室には保護者も通ってきて、子どもが勉強している間にボランティアと話をし、学校からの配布物の説明をしてもらったり、ちょっとした困りごとの相談ができるようになっているということでした。日本に半年しか滞在しない子どもが来た時には、ボランティアのネットワークでランドセルや制服が集められ、提供したこともあり学習支援だけでなく柔軟な支援が行われていたということです。日本の学校の習慣や体操服をどこで買うかなど、日本人のボランティアにとっては子育ての経験が生かせる場になっている。そして外国籍の親同士の交流やボランティアと親が交流することによって相談機能も備えた場になっているという話でした。今の杉並区の子ども日本語教室で、そのままそれができるとは思いませんが、時間や場所を別にとって、親同士の交流やボランティアと親が交流する機会はつくれると思います。それを提案したいと思いますが、見解をうかがいます。

④時間や場所を別にとってのボランティアと子ども、保護者も交えた交流で、例えば季節の行事、お正月やひな祭り、ホームビジットで日本人の家庭に行ってみる体験、制服や学用品などの交換会やバザーなど、様々な活動が考えられると思います。このような活動をするにあたっては、ボランティア同士の交流を促進することで自由な発想でスピード感のある取り組みがうまれるのではないかとも思います。そのようなこともご検討いただきたいと考えますが、見解をうかがいます。

⓹ここからは外国人の家庭への就学援助の情報提供についてうかがいます。長年杉並区で外国にルーツのある子どもたちの学習支援をしている団体の方から、経済的な理由で、中には就学旅行に参加出来ない子どもがいるという話を聞きました。その方に就学援助制度のことを話すと、ご存じなく、対象となるであろういくつかの家庭が就学援助を知らず、経済的な理由から修学旅行に参加できなかった子どもがいたことがわかりました。どの子にとっても修学旅行や移動教室は子ども同士の仲を深め、日本文化に触れること、修学旅行自体も日本文化であり、外国にルーツのある子どもにとっては本当に貴重な機会だと思います。10月から給食は無償化になりましたが、小学6年生は卒業アルバムや中学入学にあたっての入学準備金、中学2年生はスキーの移動教室、中学3年生は卒業アルバムの代金が発生しますので、ぜひ今すぐに就学援助を保護者が認識できるように改めて伝えていただきたいと思いますが、教育委員会の見解をうかがいます。

⑥就学援助のお知らせは年度初めに配られ、すべての家庭が申請書類を提出する仕組みになっています。外国人の家庭へ知らせる方法を確認したところ、就学援助の説明の手紙は日本語、英語、ネパール語が用意されていますが、申請書は日本語のみという状況です。そして、外国人の家庭が知らなかった原因は、学校によっては日本語の手紙しか配られていなかったことだと確認しています。今後は確実に適切な言語の手紙が家庭に届けられるよう仕組みを見直していただきたいと思います。また、一番在籍者数が多い中国語、その他韓国語、ベトナム語などの言語も必要だと考えます。また説明の紙だけでなく申請書の用紙も必要な言語で用意していただくことを要望しますが、見解をうかがいます。

⑦さらに、今はすぐに動画の作成ができる環境があるのですから、多言語による説明の動画を作成し、それを周知するなどの工夫も行っていただきたいと思いますが、考えをうかがいます。

⑧ここで外国人の子どもの高校入試についても取り上げます。都立高校の入試には外国籍の方向けの特別枠、いわゆる「在京枠」と日本語指導を必要とする生徒の特別措置枠が設けられていて、応募資格を満たせば受験することができます。その特別な入試制度については、子どもにも保護者にも丁寧な説明が必要となりますが、教師が理解していない現状があり、しっかりと説明が行われていないことがあるとの話を聞きました。この入試について、学校それぞれに対応を求めるよりは、教育委員会がまとめて通訳も入れた相談・説明会を行うのが有効と考えますがいかがでしょうか。またそれを録画して見られるようにすれば、参加できなかった子どもや保護者も見ることができると思います。現在は無料で子どもの学習支援を行っている団体が、外国籍の子どもの学習支援や高校入学の支援も行っており、学校から紹介されて来るようになる子どももいるとの話を聞きました。そのように実際に支援を行っている方たちの声を聞き取り、交流協会とも協力してよりよい方法を考えていただきたいと思いますが、見解をうかがいます。

⑨この在京枠の入試について、中学校が知らなくて良いわけはありません。学校でも詳しい資料を準備し、説明できるようにしておくことは必要です。教育委員会でわかりやすい資料を用意し、各学校に配るなどの工夫が必要と思いますが、それはどのようにおこなわれているのでしょうか、うかがいます。

ボランティアによる子ども日本語教室が始まり、そこに関わる人たちが、外国にルーツのある子どもや保護者に出会ったことで、子どもたちに寄り添い、成長を喜び、その人たちの抱える課題に思いを寄せ、それを解決しようと行動することからたくさんの良い変化が生まれていることを実感しています。これまで述べた子どもたちにはこの先ずっと日本で暮らすことになる子どももいます。多様な文化背景を持つ子どもたちがやがては日本社会の担い手として育っていくことは日本社会にとっても利益があることです。今後も杉並区が目指す多文化共生社会を実現するために力を尽くすことを申し上げ、一般質問を終わります。

第3回定例会 決算等別委員会まとめの意見 2023.10.13 奥田雅子

区議会生活者ネットワークを代表し、2022年度杉並区一般会計歳入歳出決算並びに特別会計歳入歳出決算について意見を述べます。

2022年度は長引くコロナ禍に加え、2月のロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響により、エネルギーや食糧等の物価高騰が区民の暮らしに追い打ちをかける状況となりました。国が見込んだGDP成長率実質3.2%程度、名目3.6%程度は実質1.4%、名目2.0%と大きく予想を割り込みました。

2022年度は杉並区にとって、新基本構想がスタートし、6月の区長選挙で初の女性区長が誕生する等、新たな展開が動き出す年となりました。岸本区長就任直後に実行計画等の一部修正が行われましたが、基本構想に基づき、事業はすすめられ、コロナ禍における原油価格や物価高騰への支援等の新たな課題や緊急性のある課題に対して10回の補正予算が組まれ、対応がなされました。

全体的な区財政の状況は経常収支比率が7年ぶりに80%を割る79.8%となったことや公債費負担比率などからも健全であることが確認できました。また、基金と区債についても、不測の事態に備える財政調整基金や区立施設の更新に備える施設整備基金等に着実に積み増しできていること、一方、区債は前年度よりも減少していることも確認しました。私たち区議会生活者ネットワークは決算認定にあたり基本構想に基づく総合計画等が推進され、区民福祉の向上が図られたか、また、持続可能な地球環境を未来に引きつげるかという視点で検討致しました。以下、主な課題について決算特別委員会の質疑を踏まえて意見を述べます。

先ず、防災・防犯です。

災害時における備蓄品の拡充がされ、特に災害時要配慮者や女性への配慮がなされたことは評価できます。一方で地域のたすけあいネットワーク(地域の手)の登録者に対する支援者の体制が十分かどうかの検証が必要です。

次に、まちづくり・地域産業では誰にとっても移動しやすい地域交通環境の整備に向けて新しい移動サービスとして、グリーンスローモビリティと合わせたMaaSの実証実験から政策立案に必要なデータが得られ、「杉並区地域公共交通計画」の策定が行われました。今後の新たな移動手段として高齢者等の社会的弱者にやさしいまちづくりがすすむことに期待します。

次に、環境・みどりについてです。

省エネ対策の「すぎなみエコチャレンジ」の実施や多世代向け環境学習の取組として、地球温暖化や省エネ行動、食品ロスや3Rなどをテーマに環境学習動画をYouTubeで発信したことや「食べ残しゼロ応援店」や「フードシェアリングサービス」など区民や区内事業者を巻き込む仕掛けがなされたことを評価します。

私たちがかねてより省エネ対策として重視しているのは建物の断熱です。燃料費が高騰している今、学校を始めとする区立施設の断熱化を最優先に進めていただきたいと思います。

また、取り組みが進んでいない太陽熱の利用については、区が補助金を出しているお湯を大量に使う高齢者施設などでの利用を呼びかけるなど、普及に取り組むことをこれまでも提案してまいりましたが、改めて要望します。

ペットボトルの利用を減らすため、区立施設を給水スポットにすることを提案し、前向きな姿勢を確認しました。区役所本庁舎、地域区民センターはもとより、図書館など給水機が設置されているすべての施設を給水スポットとして区民に周知する取り組みを進めていただきたいと思います。

これまで区が進めてきたディッシュリユースシステムは2022年3月に終了していましたが、民間との連携により、すぎなみフェスタでのリユース食器導入の取り組みが復活したことを歓迎し評価します。区役所で販売されている弁当等にリユース食器導入を進めていただくことを要望します。

また、みどりの分野においては、緑被率および公園の1人当たり面積が微増ながら減らしていないことは、みどり豊かな住まいのみやこの実現には重要です。一方で、これまで培われてきたみどりが相続や開発などによって失われて行く事態が今後ますます増えていくことが懸念されます。みどりを可能な限り残していくためにできることを地域住民とともに考えていくことが必要です。

次に、健康・医療では地域医療体制の充実に向けて、医療と介護等の関係者による在宅医療地域ケア会議の開催や多職種連携ICTシステムの活用によって、医療と介護の連携が強化されたことは心強いことです。しかし、介護現場のヘルパー不足は深刻です。今後も住み慣れた地域で暮らし続けるためには介護人材の確保を確実にすすめ、さらなる充実を求めます。

ワクチンについては区内には子宮頸がんワクチンの副反応による重篤な被害者が複数名います。その人たちの声を聴かず、救済や治療を置き去りにしたまま、男子の接種にまで助成を行わないよう求めます。また区内の新型コロナワクチンの副反応報告数が81名にも上ること、その中には死亡や重篤なものも多数含まれていることは紛れもない事実です。区民が接種を受けるかどうかの判断をするために、事実をHPで公開し周知することを求めます。

 

次に、福祉・地域共生について

地域福祉コーディネーターの配置を2地区に広げ、アウトリーチによって地域に潜在している課題を掘り起こし、分野を超えて必要な支援や情報とつなぐ取組みはとても重要です。区内全域に地域包括ケアシステムの推進が図られるよう、さらなる地域福祉コーディネータ―の配置を要望します。

長寿応援ポイントの見直しについては、結論はこれからだと承知しましが、制度そのものの廃止はないことが確認できました。今後は課題の解決に向けて、改めて利用者や活動登録団体の意見を聞き取とることを求めておきます。

独居高齢者などの住宅確保要配慮者が確実に賃貸住宅に入居できるよう居住支援協議会の機能を活用し、さらに充実していくよう求めます。

今年の3月にパートナーシップ制度を含む「性の多様性が尊重される地域社会を実現するための取組の推進に関する条例」が制定され、性的マイノリティの方々への差別や偏見を排した地域社会づくりへ前進しました。この条例におけるパートナーシップ制度の対象から残念ながら外れてしまった事実婚カップルに対して、今後、認めていく方向の検討が必要です。

認知症施策では認知症になっても希望をもって住み慣れた地域で暮らし続けられるために、これまでのネガティブな認知症観からポジティブな新しい価値観へと転換していくことの必要性を共有し、高齢者施策の見直しをはかるという区の姿勢が確認できました。

また、高齢障がい者への支援の在り方には課題も多く、その人にとって必要なサービスが受けられる体制づくりが必要です。

次は子どもについてです。区立児童相談所の2026年11月開設に向けて準備がすすめられました。同時に2所目の地域型子ども家庭支援センターが開設され、さらには3所目の開設準備がすすめられ、増える児童虐待相談への体制強化が図られたことは重要です。

また、安心して子どもを産み育てられる環境の充実という点では妊娠期から子育て期までの切れ目のない伴走型相談支援の充実が図られました。子育てに対する不安や孤立感の軽減は虐待防止にもつながります。乳幼児親子が子育て仲間に出会い・交流することでエンパワーできる場や産後ケア事業、子どもショートステイ等、多様な子育て支援事業の充実が図られたことを評価します。今後は持続可能な受け皿の体制を保障していくことが求められています。十分な委託費の検討を要望します。

子どもの居場所づくりではこの間の児童館再編の取組を検証し、今後のより良い子どもの居場所の方向性を検討するにあたっては、なによりも子どもの意見をしっかり聞き取り、大人の都合ではない子どもの最善の利益を第一にすすめるよう求めます。

医療的ケア児の受け入れが保育園や学童クラブ、区立小学校で実現したことはインクルーシブな環境という観点からも重要です。関係各課の連携で包括的な支援体制のさらなる充実を期待します。

次に学びについてです。

当該年度は「杉並区教育ビジョン2022」のスタートの年であり、ビジョンに掲げた「みんなのしあわせを創る杉並の教育」の実現のため「杉並区教育ビジョン2022推進計画」が策定され、取り組みが進められました。教員の働き方改革が課題となっている中、副校長公務支援員の配置、部活動指導員を増員するなどの取り組みを進めたことは重要です。

交流協会と連携し、外国にルーツを持つ子どものための日本語教室をスタートさせたことを評価します。

不登校の子どもが急増する中、今後の校内居場所の全校設置、支援先の情報が掲載された冊子の作成と配布に前向きな意向が示されたことに期待します。これまでも不登校対策として求めてきた区が主催するオープンな親の会の開催、SSW(スクールソーシャルワーカー)の処遇改善と増員を要望いたします。

次に、文化・スポーツについて

コロナ過の影響が長期化する中、文化芸術関係者が活動を継続できるよう、感染症対策を講じて実施する事業に対し、経費の助成を行ったことは重要です。

障害者スポーツネットワークが設置され、多くの障害者が身近な区立体育館で気軽にスポーツを楽しむためのユニバーサルタイムの取り組みを荻窪体育館でスタートさせたことを評価します。今後区内の他の体育館にもこの活動が広がることを期待します。

次に、協働の取組についてです。

少子高齢社会が進行する中、複雑化する地域課題に対して、迅速かつ的確に対応していくことが求められています。私共、生活者ネットワークはこの間、「地域課題の解決には地域住民抜きですすめないで」ということで住民自治を重視した政策を一貫して訴えてきました。そういう意味では区が掲げる「参加と協働による地域づくり」は大いに賛同するものです。これまで行ってきた協働の取組を一層深化しつつ、基本構想で掲げた「新たな協働のかたちをつくる」とする公民連携による地域課題の解決、職員意識の醸成をめざす区の協働推進基本方針を着実に進めていただきたいと思います。

また、岸本区長が大切にしている対話について、岸本区長就任前に区が開催してきた施設再編などに関する説明会での反省も踏まえ、区が住民との対話の機会を増やし、前向きな合意形成を図っていこうとする姿勢は重要です。対話の場では、参加者一人ひとりが尊重され、安心してそれぞれの意見が言えるよう工夫し、その前提となる情報公開の徹底により、区民参加のより良いまちづくりが進むことを期待します。私たちもそのために力を尽くしたいと思います。

次に、デジタル化の推進については

デジタル技術を活用した区民サービスの向上および行政内部のデジタル化による効率化の推進の2つの柱ですすめられています。行政職員の働き方改革の観点からも重要な取組です。一方、区民サービスにおけるデジタル化も時代の流れとともに進めていくことは必要ですが、一方で、デジタルデバイドに配慮した取り組みも必要です。講習等でスキルを身に着けられる場合と違って、障がいによって利用が制限されてしまう方も存在することを忘れることなく、当事者からの声を聴くことも欠かさないよう要望しておきます。

なお、デジタル化が進むことによって個人情報の保護が後退することがないよう進めていただきたいことを申し添えておきます。

最後に、会計年度任用職員について、この間、処遇については一定の改善がなされてきた点は評価します。昨年度、雇用安定性を課題として、雇用年限制度について検討するとのことでしたが、職員の固定化や高齢化、新規雇用の機会抑制を理由に6年の雇用年限撤廃に至らなかったことは残念です。区には欠かせなくなった非常勤職員が安心して生き生きと働ける環境になるよう改善を求めておきます。

以上の理由および要望を付して、認定第1号杉並区一般会計決算、認定第2号杉並区国民健康保険事業会計決算、認定第3号杉並区介護保険事業会計決算、認定第4号杉並区後期高齢者医療事業会計決算を認定いたします。

結びにあたり、資料作成にご尽力いただいた職員の皆様に感謝申し上げ、区議会生活者ネットワークの意見開陳といたします。

第2回定例会 一般質問と答弁 2023.6.2 奥田雅子

認知症の人が暮らしやすい地域づくりについて

【Q1】 〇認知症だから無理と最初から決めつけて、本人の人権が侵害されていないか。医療の前に専門職が人権の視点を持つことが先という基本が全国のトレンドになりつつある。認知症施策の継続、積み上げを担保し、本人のみならず、家族や働く人の人権にも目を向けた条例をつくる自治体も増えてきている。広島県広島市、岩手県矢巾町(やはばちょう)、長野県上田市豊殿(ほうでん)地区や和歌山県御坊市、鳥取県鳥取市、世田谷区などの動きは参考になる。このような認知症施策をめぐる全国の動向に対する区の認識、それらを受けて自治体としての責務をどう受け止めているかうかがう。

〇国の認知症施策大綱でも示しているように、これまでの認知症になったらもうおしまい、といった絶望感から脱却し、これからは発想を変えるべきで、「自分事」、「本人視点」、「可能性重視」、「ともに」、「希望」をキーワードに認知症の新しい常識・文化を醸成することで、本人の存在不安が緩和され、状態が安定し、力を発揮し、支え手としても活躍できるようになる。その結果、家族や社会の負担も軽減していき、一人暮らしでも地域でつながりを持ち自分らしく暮らし続けられるようにしていく時代に突入したという認識を持っているが、このように、認知症観の転換期と言われているが、区の捉えについてうかがう。

〇まずは区役所の中から認知症に対して新しい常識に転換していかなければならないし、それに合わせた制度の見直しも必要ではないか。区の展望をうかがう。

【A1 区長】 国は2019年6月に認知症施策大綱を公表し、その中で、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会をめざすという新しい認知症観を示すとともに、共生と予防を車の両輪として、施策を推進することとしている。また、現在、超党派の議員連盟により、認知症基本法の制定を図る動きもある。こうした動きに前後して、愛知県大府(おおぶ)市を皮切りに、いわゆる認知症条例を制定する自治体が増えていることも承知している。

当区においては、これらの動向を参考に、国の大綱をふまえて、新しい認知症観のもとで大切にすべき認知症本人やその家族の視点を重視しつつ、認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく生活を続けられるよう、区民に身近な基礎自治体として、認知症施策を総合的に推進する責務があると考えている。

こうした認識に立って、今年度中に策定を予定する(仮称)高齢者施策推進計画の中で、2040年問題も視野に入れた施策・事業の見直し等を図り、区を挙げて新しい認知症観に基づいた取り組みをしっかりすすめていく。

【Q2】  今年度、新規事業として「認知症介護研究・研修東京センター」との連携が予算化された。このような認知症の転換期と言われる状況に対応してのことと考えるが、連携の意図、協力内容など具体的にうかがう。

【A2 高齢者担当部長】  本年3月に締結した協定書では、東京センターの実践的な研究等をふまえて、区の認知症施策にかかわる各種事業の充実に向けて連携・協働することとしている。今年度はこの協定に基づき、6月に実施する講演会への講師派遣や(仮称)高齢者施策推進計画の策定にあたっての専門的な助言をいただくことなどを予定している。

【Q3】  区が把握している認知症の人の数と、推計する数はどのくらいか。

【A3 高齢者担当部長】 本年4月時点で区が把握している認知症高齢者数は9,859人で、65歳以上の人口に占める割合は8.21%となる。

今後の推計人数については、認知症介護研究・研修東京センターの助言を得て算出することにしており、その結果を(仮称)高齢者施策推進計画の策定等に行かしていく予定だ。

【Q4】 現在の杉並区高齢者保健福祉計画では、施策1の高齢者の地域包括ケアの推進の中に認知症対策があり、①普及啓発や本人発信の支援 ②認知症の予防 ③認知症の早期発見・早期対応に向けた体制・連携強化 ④介護者の支援の充実 ⑤認知症バリアフリーの推進(共生の仕組みづくり) ⑥若年性認知症の方への支援・社会参加支援の6つの柱が立てられている。この6つの柱にそって施策や事業が展開されているが、次の改定に向けてこの間の取り組みをどのように総括し、今後の取り組みの「方向性をどのように考えているのかうかがう。

【A4 高齢者担当部長】 高齢者保健福祉計画の総括については、今年の夏ごろを目途に行い、それらをもとに、新たに策定する計画の施策体系やその方向性をとりまとめることにしている。

【Q5】 認知症サポーター養成講座は認知症の人とかかわる機会が多いことが想定される小売業・金融機関・公共交通機関・公共施設・消費生活相談・警察などの職員向けに実施する必要がある。区内で実施されている機関はどのようなところかうかがう。

【A5 高齢者担当部長】 認知症サポーター養成講座の受講状況は、事業を開始した2007年以降、一般区民や町会・自治会、民生委員、学校関係に加え、ご指摘にあった金融機関やスーパーマーケット、公共機関にも参加いただいており、今後も各機関等に積極的な受講を促していきたいと考えている。

【Q6】 子どもや学生向けの養成講座の実施や高齢者との交流などを通じて、子ども・若者の認知症の人への理解を深めることも必要だが、学校ではどのように取り組んでいるのかうかがう。

【A6 教育政策担当】  教育委員会では、希望する小学校において、認知症サポーター小学生養成講座を実施している。この講座では、認知症の症状や予防についての話を聞いたり、ロールプレイを通して認知症の方がたに接するときの心構えを学んだりしている。

また、高齢者との交流活動としては、伝承遊びのゲストティーチャーとして学校に招いたり、絵手紙の交換を行ったりしている小学校や中学校もある。

教育委員会では、認知症サポーター養成講座の実施を学校に呼びかけたり、高齢者との交流活動をしている学校の取り組みを他校に紹介したりするなどして、子どもたちの認知症への理解に努めていく。

【Q7】 〇地域の個々の活動を面でとらえネットワーク化する取り組みとして、現在、ケア24を中心に進められている生活支援体制整備事業第2層協議体の活動が、まさに地域の支え合いによる生活支援の体制の具現化であるとして期待している。区はこの第2層協議体を、今後どのように発展させていこうと考えているのか、その展望をうかがう。

〇区は基本構想の基本的理念で「誰一人差別されず、取り残されない社会」をつくるとうたっている。超超高齢社会に向かい、もはや行政だけでは立ち行かない現実があるとき、地域の力を合わせてセーフティネットを張り巡らせていく必要がある。その場合、地域住民の自発的活動が杉並区の支え合いの一員として参画し、その活動が持続発展していくよう区としても何らかの支援が必要だと考える。住民自治への投資と考え、自由度のある予算配分もふくめ、今後検討が必要と考えるが、区の見解をうかがう。

【A7 高齢者担当部長】 生活支援体制整備事業における第2層協議体の今後の展望については、区としてもこの取り組みを通して、住民同士が支え合って地域の生活課題を解決する地域づくりを進めていくことが重要と考えている。今後は、現在の57の協議体ごとの活動はもとより、地域の実情等に応じて複数の協議体による連携した活動を支援したり、これらの実践的な活動を適切に周知して、参加者を広げることにつなげたりしながら、より一層、各協議体の活動を地域にしっかりと根付かせていきたいと考えている。

なお、住民自治へ投資する観点からの予算配分については、この第2層協議体をはじめ、地域住民の自発的活動を助長するための事案はさまざまあるが、引き続き適切な予算措置を図っていく。

【Q8】 区ではもの忘れ予防検診を70歳になる区民を対象に2021年度より実施している。認知症に関する正しい知識の普及啓発を行うとともに、認知症の前段階である軽度認知障害の方を早期に発見し、その後の適切なフォローを行うことで認知症の発症や進行を遅らせることを目的としているとあるが、受診者の数はどのくらいで、フォローの対象となるのは何%くらいか。具体的にどのようなフォローがされているのか。また、この事業の効果をどのように区はとらえているのかうかがう。

【A8 高齢者担当部長】 2022年度は5,080人の対象者に受診を勧奨し、その2.4%にあたる120人が受診した。その結果、フォローの対象者数は受診者の12%となる14人となり、それぞれの状況に応じて専門医療機関等につないでいる。

こうしたもの忘れ予防検診は、認知症の前段階にある方を早期に発見し治療につなげることにより、発症や進行を遅らせることに寄与しているものと受け止めている。

【Q9】 認知症初期集中支援チームについて、現在、何チームあり、具体的にはどのような取組がなされているのかうかがう。

【A9 高齢者担当部長】 現在この認知症初期集中支援チームは、区内を東・西・南に分けた3ブロックごとに各1チームを設置している。各チームは、それぞれ認知症専門医と医療・福祉の専門職で構成されており、ケア24を通じて支援対象とした、認知症が疑われる方の自宅訪問による生活状況や認知機能等の確認を経て、援助方針を決定の上、その方針に基づき、継続的な医療・介護サービスの利用や生活環境の改善に向けた支援等を実施している。

【Q10】 区は、認知症の相談にあたる認知症サポート医やケア24スタッフをはじめとする医療や福祉の専門職に向け「認知症対応サポートブック」を発行している。相談に来た人の不安に対して、最初に「大丈夫!」と言ってあげることで、本人や家族が不安になり隠そうとしたり、孤立してしまうような絶望感を持たなくてもすむような、認知症に対する新しい常識を意識した内容になっているか、うかがう。

【A10 高齢者担当部長】 認知症対応サポートブックは、高齢者の介護・医療に携わる関係者が認知症の早期発見・早期対応につなげることができるよう作成・配布しているものである。現在の内容は新しい認知症観を強く意識した内容とはなっていないので、議員のご指摘は次回の改訂を図る際の参考とさせていただく。

【Q11】 家族や介護者の支援メニューはさまざまあり、どれも必要なサービスだと考えるが、実績を見たとき、必ずしも多いとは言えないものもある。知られていないのか、使い勝手の問題なのか介護当事者も交えた検証が必要ではないか。区の見解をうかがう。

【A11 高齢者担当部長】 現在の家族介護者支援事業としては、「ほっと一息、安心ヘルプ」「緊急ショートステイ」「徘徊高齢者探索システム」などがある。これらの事業については区が3年ごとに行っている高齢者実態調査を通じて、一定のニーズがあることを把握しているが、改めて機会をとらえて介護当事者の意見をうかがい、必要な改善・見直しにつなげてまいりたい。

【Q12】 ケアマネ不足が言われる中、ケアラーアセスメントのような介護者支援もふくめたきめ細やかなケアプランの作成が定着しているのか心配するところだが、現状はどうか、区の認識をうかがう。

【A12 高齢者担当部長】 ケア24などでケアプランを作成する際には、介護者の方の希望や意向を聴いたうえで、きめ細やかな内容となるよう努めていると承知しているが、改めてケア24センター長会などの機会に、そうした対応が徹底されるよう促していく。

【Q13】 もの忘れが気になりだした方向けの「認知症あんしんガイドブック」にはさまざまな情報が盛り込まれており、よくできているとは思うが、当事者目線で点検すると改善の余地もあるように感じる。そのため、ガイドブックの改定の際には認知症本人や家族の声を聴きながら作成に活かしていただきたいが、いかがか。

【A13 高齢者担当部長】 本年3月に改訂した認知症ケアパスは、認知症の本人やその家族の意見も取り入れながら作成しているが、より一層当事者の視点を大切にして、見やすくわかりやすい内容となるよう、今後の改訂の際にも工夫・改善に努めていく。

【Q14】 認知症になっても自分のやりたいことができ、心豊かに安心して社会参加していける環境を整える必要があり、そのためには本人が意見を出せる場への参加は欠かせない。さまざまな場面ごとに課題解決するためのアクションミーティングをしくみづくりが必要だと考えるが、区の見解をうかがう。

【A14 高齢者担当部長】  現在行っている本人やその家族が参加する「認知症カフェ」のように、今後も新しい認知症観に基づく本人参加の取組みを促進することは重要と考えている。こうした認識に立って、今後どのような場面で、いかに進めていくかについて、さまざまな関係者の意見を聴いてまいりたい。

【Q15】 町会・自治会を始め、地域でのささえあいの機運を高めるためには、地域住民の参加も不可欠である。認知症に対する新しい常識に頭を切り替えて、地域社会の認識を変えていく必要があるのではないか。その一つのしかけとして、その地域ごとの高齢化率や認知症の人数等のデータを地域住民と共有し、自分事として考えるきっかけを区として投げかけてみてはどうかと考えるが、区の見解をうかがう。

【A15 高齢者担当部長】 ご指摘のようなデータの共有や意見交換の機会は意義あることと考える。まずは、生活支援体制整備事業における第2層の協議体において、取り組んでみたいと考える。

【Q16】 〇今年度、認知症の本人やその家族のニーズに合わせた支援ができるよう、地域ごとに「チームオレンジ」の育成に予算がついたが、そのチームオレンジの取組みについて、どこに位置づき、構成メンバーは誰で、どのような活動をしているのか、また区としてどのような活動をイメージしているのか具体的にうかがう。

〇現在も高齢者を見守るしくみは民生委員やたすけあいネットワークや成年後見人等あるが、このチームオレンジとはどのようにすみ分け、連携を考えているのかうかがう。また、認知症で一人暮らしが今後増えていく中で、居住支援の充実も課題になっていると考えるが、それぞれの役割の明確化について、区はどのように考えているのかうかがう。

〇今後チームオレンジの数を増やしていく必要がある。どのようにはたらきかけていくのか区の見解をうかがう。

【A16 高齢者担当部長】 現在チームオレンジは8チームが組織されており、ケア24の20カ所すべてに設置するよう、段階的に取り組んでいく予定。各チームは、当該地域に住む認知症サポーターのうち、ステップアップ講座を修了したメンバーで構成し、交流活動やイベントの実施などを通して、認知症本人とその家族を支援している。

こうしたチームオレンジの活動は、民生委員やたすけあいネットワークによる安全・安否確認を主として見守り、成年後見人等による経済面でのサポートを軸とした支援と異なり、協働参画的な性格が強いものと考える。

なお、ご指摘の居住支援をふくめ、さらなる連携をどのように図っていくかは、今後の課題の一つと受けとめており、各機関の関係者と意見交換を進めていく。

【Q17】 認知症介護研究・研修東京センターより、「希望をかなえるヘルプカード」が提唱されている。自分が行きたいところややりたいことを名刺大のカードに書いて持ち歩き、困ったときにそれを見せて支援を求めるためのツールだ。最近では「私は認知症です」というカードを選ぶ人が30%になってきたそうで、本人発信ができる社会に変わりつつあると感じた。区も「助けられ上手になろう」とこの間発信してきており、このヘルプカードもそのツールの一つになり得ると考える。また、認知症になってから使い始めるというより、その前から使い方をイメージしておくことも必要だと考えるため、認知症サポーター養成講座やおたっしゃ訪問、高齢者向けの送付物に同封する等して、区としてもこのヘルプカードの普及を進めてはと考えるがいかがか。

【A17 高齢者担当部長】  認知症介護研究・研修東京センターが提唱するヘルプカードについては、現在ケア24高井戸で試験的に活用しており、今後同センターと連携して、杉並版のヘルプカードの作成に取り組むことにしている。その動きに合わせて、ご指摘のような普及啓発の取組みも考えていく。

【Q18】 高齢者在宅支援課に若年性認知症相談窓口が設置され、認知症支援コーディネーターが相談を受けていると認識している。この間の相談件数はどのようになっているか確認する。また、計画に記載されている、若年性認知症の実態把握とともに切れ目のない支援体制の構築状況についてもうかがう。

【A18 高齢者担当部長】  区は2020年度から若年性認知症相談窓口を設置し、相談件数は2020年度13件、2021年度13件、2022年度5件となっている。

また、若年性認知症の実態把握については、介護保険認定者数の中から対象者の実数を把握しており、ケア24や医療機関からの相談をもとに、月1回、東京都若年性認知症総合相談センターの医師をスーパーバイザーとして招いた個別支援会議を実施し、その結果をふまえて、障害福祉サービスや介護保険サービスにつなげるなど、」切れ目ない支援を図っている。

第2回定例会一般質問と答弁 2023.6.2 そね文子

Q1 区はこれまで被害者に継続して関わってきた経験を踏まえ、決して区内から被害者を出さない決意で事業に取り組んでほしいが区の見解を確認する。

A1(区長)予防接種は基本的に健康な人が免疫をつけるために受けるものであり、健康被害が出ないように可能な限り安全に実施すべきと考える。区はこれまで区民の命と健康を守ることを第一に予防接種事業を進めていて、HPVワクチン接種についても、平成25年3月の区議会においてワクチン接種後の健康被害例の指摘を受けた際も、同年6月に国に先駆けて独自の救済制度を策定するなど健康被害にあった人に寄り添った対応に努めてきた。

引き続き予防接種法に基づいた実施方法を遵守することはもちろん、ワクチンの有用性と副反応について客観的に分かりやすく伝え、接種対象者が納得して接種するかどうかを選択できるよう周知していく。また万が一健康被害が発生した際は、被害にあった人に寄り添い、健康被害救済法制度につなげるなど、安全で適切な実施に努めていく。

Q2 2022年2月一般質問で情報提供の方法についてきいたところ、保健所に予診票を受け取りに来た接種希望者に、予診票と併せて区で作成したリーフレットを渡し効果や副反応、相談窓口についてリーフレットに沿って説明し、22年度以降もこの体制を継続するとの答弁があった。現在もこの体制は維持されているのか。

A2(杉並保健所長)現在は接種対象者に予診票を送付する際、効果や副反応、健康被害救済制度について記載したリーフレットを同封し、正確な情報提供に努めている。

Q3 2023年4月からシルガード9が定期接種に追加された。その際の案内はどうだったか。

A3(杉並保健所長)これまで予診票を送付し3回の接種履歴が確認出きていない人及び新たに予診票を送る人に対して、2023年以降はシルガード9も接種できること、効果、副反応、健康被害救済制度について記載した案内をこの3月に送付した。

Q4 シルガード9は従来のワクチンと比較してさらに重篤な副反応被害の報告頻度がたかくなっていることを、区のホームページにわかりやすく掲載できないか。

A4(杉並保健所長)厚生労働省のHPVワクチンの有用性や副反応など予防接種の情報が掲載されているので、区のホームページにはそのリンクを貼ることで周知を図っている。

Q5 2022年度の区内のワクチン接種者数、副反応報告数、区の相談窓口に寄せられたHPVワクチンに関する相談内容について差支えない範囲で教えてほしい。

A5(杉並保健所長)2022年度の区内のHPVワクチン接種者数は2064人、副反応報告、相談はない。

Q6 副反応に対する優れた専門家医師の経験を区の医師会に情報共有し、医療機関での診察に役立ててほしいが区の見解は。

A6(杉並保健所長)区と医師会は定期的に連絡会を開催して意見交換し、議論を重ねてきている。ワクチンの有用性や副反応についても情報共有を行っていく。

Q7 2022年に接種勧奨が再開されてから一般医療機関から協力医療機関に送られる患者は急増している。副反応被害が増えていることを表していると考えるが区の見解は。

A7(杉並保健所長)接種勧奨が再開され接種者が増えることに伴い、ワクチン接種後に生じた症状を診察する協力医療機関の受信者が増加することは想定の範囲内と考える。

Q8 2022年HPVワクチン接種の勧奨が再開されるにあたり、厚生労働省は学校での相談体制も整えてから行うようにとの通知を出したが、教育委員会では養護教諭への情報提供をしたのか。

A8(教育次長)ワクチン接種後の副反応により児童生徒の投稿や学習面に影響がみられる際には、学習面や受診、相談の体制が必要になることから学校と教育委員会、保健所が連絡を取り合いながら対応するとともに、養護教諭に児童生徒や保護者からの相談に活用できる情報を提供している。また昨年4月の勧奨再開時には、ワクチン接種に関する国の健康相談支援サイト「スマート保健相談室」の周知も行った。

Q9 シルガード9が追加されたことについて養護教諭などの情報提供は、教育委員会で行ったのか。

A9(教育次長)現時点ではシルガード9が追加されたという情報提供は行っていないが、今後必要な情報共有は行っていく。

Q10 被害者が出た他自治体では、裁判を支援する団体が作った厚労省のデータに基づくパンフレットを保健所の窓口や養護教諭に配っているところもある。区でも取り組んでほしい。

A10(杉並保健所長)保健所窓口や養護教諭に配布するパンフレットは、接種対象者が接種するかどうか納得して選択できるよう、メリット、デメリットを正確かつ客観的に示したものが適切であると考えるので配布は考えていない。

Q11 子宮頸がん検診を受けやすくし、受診率を上げることこそ一番に取り組まなければならないことと考えるが区の見解は。

A11(杉並保健所長)子宮頸がんは罹患初期には自覚症状がほとんどなく、自分で気づくことは困難だ。

このため、ワクチン接種に加え、子宮頸がん検診を受けやすい環境を整え受診率を高めることが重要だ。

これまでも新規対象者の20歳の人を対象に無料クーポン券を配布し、各種広報媒体でPRを行ってきた。

また40歳以上の国保特定健診対象者には、申し込み手続き不要の受診券シールを送付している。本年からはこれに加え、国民健康保険加入者の罹患率が急増する30歳代の人にも送付することとし、さらなる受診勧奨に努めている。

Q12 キャッチアップ接種について、ガーダシルとサーバリックスはハイリスクのHPVのうち2つの型を予防するとされているが、すでに感染している人には予防効果はないと明記されている。また、年齢が高くなるほど有効性は下がる。このことはHPなどで情報提供して検診を勧めてほしい。

A12(杉並保健所長)2022年8月にキャッチアップ接種対象者に予診票を送付した際、初回性交渉前の年齢層に接種することが勧奨されていること、20歳以降は定期的に子宮頸がん検診を受けることが重要であることを記載したリーフレットを同封した。今後このリーフレットをHPに掲載するなど、キャッチアップ接種対象者への情報提供に努めていく。

Q13 区は男子への接種を決してすすめるべきでないと考えるが区の見解は。

A13(杉並保健所長)国はHPVワクチンを男子に対しても定期予防接種として位置づけることの是非について、今後検討することとし科学的知見の収集を国立感染症研究所に依頼した。区は国の科学的知見の収集状況や議論を注視していく。

 

第2回定例会一般質問 2023.6.2 そね文子

HPV(子宮けいがん)ワクチン接種について

  • 定期接種にシルガード9が追加されたことの懸念について
  • HPV(子宮けいがん)ワクチンを男子に接種することの疑問について

昨年区長が交代し、また多くの新人議員の皆さんが入られたので、今回は私がHPV(子宮頸がん)ワクチンの副反応被害に継続して取り組むことになったところから話しを始めたいと思います。杉並区内で2011年11月、中学1年生がワクチンを受け、大変重篤な状態になり、中学校にも通えなくなり、高校、大学も通信制に行くなど、人生が大きく変わってしまった、その被害者に会ったことです。その中学生はワクチン接種直後から腕がしびれその被害について2013年3月に議会で行った質問が新聞報道され、全国から同じ状態で苦しむ家族からの声が届き、全国の被害者家族会が立ち上がりました。

さて、2013年6月、このワクチン接種後に副反応被害が相次いでいることを受け、安全性に課題があることから子宮頸がんワクチンは積極的にお勧めしないという措置がとられていましたが、2022年4月から積極的なお勧めが再開されました。また、積極的なお勧めが中止されていた期間に接種を受けそびれた年代の人たちにキャッチアップ接種としてワクチン接種を勧めるための措置もとられることになりました。

〇区は決して区内から被害者を出さない決意で事業に取り組んでいただきたいが、区の見解を確認します。

〇区では重篤な被害者が出て以降、HPVワクチン接種にあたっては慎重な対応と正確な情報提供に努めてこられたと認識している。区は2022年2月に私が一般質問で情報提供の方法について聞いたところ、保健所に予診票を受け取りに来た接種希望者に、予診票と併せて区で作成したリーフレットを渡し、効果や副反応、相談窓口などについてリーフレットに沿って説明しており、22年度以降もこの体制を継続して情報提供に努めるとの答弁があった。現在もこの体制は維持されているのか。

2023年、今年の4月からは新たにHPVワクチン、シルガード9が定期接種として受けられることになりました。しかし、シルガード9の安全性にも疑問があります。

シルガード9とはこれまでのHPVワクチン(ガーダシル)の成分を約2倍に増量したものです。これまでのワクチンは15種類あると言われる発がん型ウイルスのうち2つの型にしか対応していませんでした。それがシルガード9はそれに5つの型をプラスして7つの型に対応するものになっています。そして免疫増強剤の量も2.2倍になっています。

そもそもこれまで接種されてきたHPVワクチンは、その他の定期接種の平均と比べて重篤とされる副反応報告が8.8倍にも上るもので極めて副反応疑いの頻度が高いワクチンです。厚労省の詳細版パンフレットを見ると、従来型のHPVワクチンの重篤副反応疑い報告は接種1万人あたり約5人なのに対して、シルガード9は約7人と明記されています。厚労省もさらに副反応のリスクが高いことを知りながら接種を勧めようとしているのです。ここで質問いたします。

〇2023年4月からシルガード9が定期接種に追加された。その際にお知らせはどの ようにされたのかうかがう。

〇厚労省のホームページやパンフレットは若い女性に子宮頸がんが増えているという事を強調していますが、国立がん研究センターの資料を見てもそのような事実は見て取れません。先ほど述べたようにシルガード9は従来のワクチンと比較してさらに重篤な副反応被害の報告頻度が高くなっていることを、区のHPに分かり易く掲載していただきたいと思いますがいかがでしょうか、うかがいます。

〇2022年度・2023年度の区内のワクチン接種者数、副反応報告数、区の相談窓口に寄せられたHPVワクチンに関する相談数、差し支えない範囲での相談内容についてうかがいます。

〇昨年4月からHPVワクチン接種のお勧めが再開されるにあたり、厚労省は学校での相談体制も整えてから行うようにという通知を出していました。この通知を受けて区教委では養護教諭への情報提供などしていただくと良いと思いましたが、実際はどのような対応がとられたのでしょうかうかがいます。

 

〇シルガード9が追加されたことを受け、養護教諭などへの追加の情報提供が必要だと思いますが、区教委ではどのように取り組まれているのかうかがいます。

〇被害者が出た他自治体では、裁判を支援する団体が作った厚労省のデータに基づくパンフレットを保健所の窓口においてもらっているところもあります。杉並区でも取り組んでほしいと考えますが、いかがかうかがいます。

〇医師会への情報提供についても伺います。

5月18日、HPVワクチン薬害の裁判があり傍聴した。その日は医師で信州大学名 誉教授、専門は神経内科学で多くの神経難病について病態解明、診断基準作成、治療法研究に従事されてきた池田修一医師が専門家としての証人尋問に立たれました。池田医師はこれまで200名以上の副反応被害者を診察してきていますが、このことに関わった経緯は子宮頸がんワクチンの副反応について「ワクチン接種後の神経障害に関する治療法の確立と情報提供についての研究」にとり組んでほしいと厚労省から依頼を受けたことからはじまりました。池田医師がHPVワクチン副反応の特徴としたのが、一人の患者に多様な症状が同時に出現する。時期によって症状の組み合わせが変化するということです。そしてCRPS(複合性局所疼痛症候群)、起立性調節障害、高次脳機能障害の病態を併せ持ったような症候群という結論に達したということです。接種後の病態が共通し、特異性があること、海外の国々においては環境や生活習慣、民族など様々な違いがあってもHPVワクチン接種後の患者に共通の病態が出現していることから心理的要因では説明できない。また信州大学では2013年から積極勧奨が控えられ、接種者が減ると、このような患者も減ったことにも言及されました。そして、厚労省の副反応部会は早い段階で免疫反応の可能性を否定し、接種後の痛みや痛みへの恐怖心が惹起する「心身の反応」と結論付けたことを、とうてい科学的データに基づく議論とは言えないと批判しました。厚労省が「心身の反応」と結論付けたことで多くの患者が2次的被害を被ることになった、そう決められたら一般の医師は、あなたは心身の反応だから精神科に行ってと言いい、被害者は一般の医師の診療を受けられなくなり精神科をたらいまわしにされる結果となりました。患者からの話では、1回目、2回目に接種を受けたときから体調が悪くなったという自覚が本人にはあったのに、医師や保護者にその知識がなく、3回受けないと意味がない、無料で受けられる期間が終わってしまうと言って3回目まで受けさせ、それがさらに被害を悪化させたということでした。

〇このような話は厚労省の医師用のリーフレットにも載っていませんが、多くの患者を診てきた優れた専門家医師の経験を区は医師会に情報共有し、区内医療機関での診察に役立てていただきたいと思いますが区の見解をうかがいます。

〇実際に2022年、積極勧奨が再開されてから、一般医師から協力医療機関に送られる患者の数は急増しています。明らかに副反応被害が増えていることを表していると考えますが、区の見解を伺います。

〇ワクチンを打ってもそれですべての子宮頸がんを防げるわけではないため、検診を受けることが促されています。検診は子宮頸がんを減らすために有効な手段として科学的に証明されています。検診を受けやすくし、その受診 率を上げることこそ一番に取り組まなければならないことだと考えますが、区の見解をうかがいます。また、検診受診率を上げるために産婦人科医ではなく、女性看護師による検診が受けられるようにする工夫などもしていただきたいと思いますが、これから区が具体的に取り組もうとすることがあれば併せてお聞かせいただきたいと思います。

〇最後にキャッチアップ接種についてもうかがいます。○○の情報提供、特化してされるべき、HPに掲載していた だきたいがいかがか。

(2)次に、このHPVワクチンを男子に打とうとすることの疑問について質問します。

隣の中野区では小学6年生から高校1年生の男子のHPVワクチン接種に対し、この8月から全額公費助成を行うことが決まっています。対象となるワクチンは現在男性に対して認可されている4価ワクチンのガーダシルです。

海外では男子への接種を勧めている国がありますが、そこでは女子と同じように被害が出ており、裁判も行われている状況があります。

どうして他の自治体でもほとんど例がないことを中野区が行ったのか疑問に思い議会での審議を見てみました。

そこで保健福祉部長の答弁に目を疑いました。HPV感染は性感染症ですから女子に移さないために男子にも接種を行うという視点からの話ですが、保健予防課長はなぜ区でこの施策を進める必要があるかを問われて、「子宮頸がんの罹患率を年齢別で見ますと、20代から40代の子育て世代に非常に発生率が高い。死亡率も高い。そういう事情があります。中略 単に子宮頸がんを区全体で減らすというだけの考えとゆうよりは、やはりお母さんを守るということ」というふうに述べています。

〇ここで確認したいのですが、20代から40代の罹患率が高いという傾向はあると認識しています。しかし20代から40代の子宮頸がんによる死亡率が高いということについては事実とことなると考えます。国立がん研究センターの統計を見ると、子宮頸がんによる死亡率が高くなるのは50代以降で、8割を占めています。決して20代から40代の死亡率は高くはありません。これは間違った情報を元に施策が進められていることを懸念します。この認識に対する区の見解をうかがいます。

〇さらに中野区での議論を見てみると、ワクチンの供給について確認する質問に保健予防課長が国のワクチン分科会での話を引用し、女性は今後9価ワクチン、これはシルガード9のことですが、それに流れる可能性が高いから、4価ワクチンは空くから、そこに男子を入れたいという考え方だったのではと答えています。これはまるで製薬会社の在庫処分に付き合わされているような話で、このような考えで決して税金を使っていただきたくないと思いました。杉並区では重篤な被害者が出たことから学び、このワクチンの危険性について何度も質疑をし、認識も深まっているかと思います。しかし隣の中野区で、このワクチンを強力に進めたい議員の要望があり、危険性やデメリットを認識しないままに他の議員が賛同し、区が男子への接種を勧める事態に至ったことには危機感を抱きました。杉並区は男子への接種を進めるべきではないと考えますが、区の見解をうかがいます。

 

 

第2回定例会 一般質問 2023.6.2 奥田雅子

認知症の人が暮らしやすい地域づくりについて

目前に迫る超超高齢化社会を見据え、2019年6月に「認知症施策推進大綱」が国の認知症施策推進関係閣僚会議で取りまとめられました。それを受けて、私は折に触れて区の認知症対策について質問に取り上げてきました。

国はその後の議論を経て、今国会で認知症基本法が成立かといった局面を迎えています。

法の趣旨は急速な高齢化に伴い認知症の人が増加している現状に対し、認知症の予防等を推進しながら、認知症の人が尊厳を保持しつつ社会の一員として尊重される共生社会の実現を図るというものです。

区も認知症介護研究・研修東京センター(以下東京センター)との協定をすすめ、認知症対策をより一層充実したものにしていこうと取り組まれていると認識しています。現在、次期高齢者保健福祉計画の改定の議論が進められており、東京センターの助言が計画に活かされていくことを期待しているところです。

そのような中、先日、東京センターの永田久美子さんに現在の全国の動きや変わる認知症観についてお話を伺い、意見交換の場を持ちました。

国の動きとともに、認知症施策をめぐる全国の動向として言えることは、現在、非常に重要な転換期であるということでした。それは認知症観の転換であり、以前にも紹介した「認知症とともに生きる希望宣言」にあるように本人発信、本人参画、認知症バリアフリー、地域共生社会へとこれまでの認知症に対する古い常識を新しい常識に変えていくというものです。どこで暮らしていても人権が守られる生活の保障ができているかという視点から、区の認知症施策について伺っていきます。

Q1. 認知症だから無理と最初から決めつけて、本人の人権が侵害されていないか。医療の前に専門職が人権の視点を持つことが先という基本が全国のトレンドになりつつあります。認知症施策の継続、積み上げを担保し、本人のみならず、家族や働く人の人権にも目を向けた条例をつくる自治体も増えてきています。また、広島県広島市、岩手県矢巾町(やはばちょう)、長野県上田市豊殿(ほうでん)地区や和歌山県御坊市、鳥取県鳥取市、世田谷区などの動きは参考になります。このような認知症施策を巡る全国の動向に対する区の認識、それらを受けて自治体としての責務をどう受け止めているか伺います。

Q2. 国の大綱でも示されているように、これまでの認知症になったらもうおしまいといった絶望感から脱却し、これからは発想を変えるべきです。つまり、「自分事」、「本人視点」、「可能性重視」、「ともに」、「希望」をキーワードに認知症の新しい常識・文化を醸成することで、本人の存在不安が緩和され、状態が安定し、力を発揮し、支え手としても活躍できるようになる。その結果、家族や社会の負担も軽減していき、一人暮らしでも地域でつながりを持ち自分らしく暮らし続けられるようにしていく時代に突入したという認識を私は持ちました。

このように、認知症観の転換期と言われていますが、区の認識はどうか、新しい認知症観について、区の捉えについて伺います。

Q.3 今年度、新規事業として「東京センター」との連携が予算化されました。このような認知症の転換期と言われる状況に対応してのことと考えますが、連携の意図、協定内容など具体的にお示しください。

Q.4 区が把握している認知症の人の数と、推計する数はどのくらいか伺います。

現在の杉並区高齢者保健福祉計画では施策1の高齢者の地域包括ケアの推進の中に高齢者の認知症対策があり、①普及啓発や本人発信の支援②認知症の予防③認知症の早期発見・早期対応に向けた体制・連携強化④介護者の支援の充実⑤認知症バリアフリーの推進(共生の仕組みづくり)⑥若年性認知症の方への支援・社会参加支援の6つの柱が立てられています。

Q5. この6つの柱に沿って、施策や事業が展開されていますが、次の改定に向けてこの間の取組をどのように総括し、今後の取組の方向性はどのように考えているのかお聞きします。

ここからは、先ほど挙げた高齢者保健福祉計画の6つの柱に沿って、区の事業について伺っていきます。 まず、1つ目の柱、「普及啓発や本人発信の支援」について

Q6. 認知症サポーター養成講座は認知症の人と関わる機会が多いことが想定される小売業・金融機関・公共交通機関・公共施設・消費生活相談・警察などの職員向けに実施する必要があります。区内で実施されている機関はどのようなところか、すべて教えてください。

Q7. また、子どもや学生向けの養成講座の実施や高齢者との交流などを通じて、子ども・若者の認知症の人への理解を深めることも必要ですが、学校ではどのように取り組んでいるのか伺います。

2つ目の柱の「予防」について

杉並区には区が主催する認知症予防教室や講演会の開催などの啓発事業の他、地域住民の自発的な活動が沢山あります。運動・スポーツ、学びの場や農作業、地域の居場所でのサロン活動等の高齢者の社会参加の場の提供は、社会的孤立を防ぎ、役割の発揮や高齢者の生きがいにもつながり、なによりも地域活動に参加することが介護や認知症予防になるため、今後、ますます重要になってくると考えます。地域の個々の活動を面でとらえネットワーク化する取組みとして、現在、ケア24を中心に進められている生活支援体制整備事業第2層協議体の活動がまさに地域の支え合いによる生活支援の体制の具現化として私は期待しています、そこが実際に何をするかが重要だと考えています。

Q8. 区はこの第2層協議体を今後、どのように発展させていこうと考えているのか、その展望を伺います。

Q9. 区は基本構想の基本的理念で「誰一人差別されず、取り残されない社会」をつくると謳っています。超超高齢社会に向かい、もはや行政事業だけでは立ち行かない現実がある時、地域の力を合わせてセーフティネットを張り巡らせていく必要があります。その場合、地域住民の自発的活動が杉並区の地域の支え合いの一員として参画し、その活動が持続発展していくよう区としても何等かの支援が必要だと考えています。住民自治への投資と考え、自由度のある予算配分も含め今後、検討が必要だと考えますが、区の見解を伺います。

次に3つ目の柱「認知症の早期発見・早期対応に向けた体制・連携強化」について

Q10. 区ではもの忘れ予防検診を70歳になる区民を対象に2021年度より実施しています。認知症に関する正しい知識の普及啓発を行うとともに、認知症の前段階である軽度認知障害の方を早期に発見し、その後の適切なフォローを行うことで認知症の発症や進行を遅らせることを目的としているとありますが、受診者の数はどのくらいで、フォローの対象となるのは何%くらいか。具体的にどのようなフォローがされるのか。また、この事業の効果をどのように区はとらえているのか伺います。

Q11. 認知症初期集中支援チームについて、現在、何チームあり、どのような取組がなされているのか具体的に説明をお願いします。

Q12. 区は、認知症の相談にあたる認知症サポート医やケア24スタッフをはじめとする医療や福祉の専門職に向け 「認知症対応サポートブック」を発行しています。相談に来た人の不安に対して、最初に「大丈夫!」と言ってあげることで、本人や家族が不安になり隠そうとしたり、孤立してしまうような絶望感を持たなくて済むような、認知症に対する新しい常識を意識した内容になっているか、区の見解を伺います。

次に4つ目の柱「介護者の支援の充実」について

Q13. 家族や介護者の支援メニューは様々あり、どれも必要なサービスだと考えますが、実績を見た時、必ずしも多いとは言えないものもあります。知られていないのか、使い勝手の問題なのか介護当事者も交えた検証が必要ではないでしょうか。区の見解を伺います。

生活者ネットワークではケアラー支援の重要性をこの間の重点政策とし、議会質問でも折々取り上げてきました。ケアラーにとって必要な支援は多様であるため、ひとり一人のニーズを丁寧に聞き取り支援内容を計画するケアラーアセスメントの重要性を訴えた1年前の私の質問では、厚労省が作成した家族介護者支援マニュアルに沿って、ケアラー支援プランを作成しているとの答弁でした。

Q14. ケアマネ不足が言われる中、ケアラーアセスメントのような介護者支援も含めたきめ細やかなケアプランの作成が定着しているのか心配するところですが、現状はどうか、区の認識を伺います。

Q15. もの忘れが気になりだした方向けの「認知症あんしんガイドブック」には様々な情報が盛り込まれており、よくできているとは思いますが、当事者目線で点検すると改善の余地もあるように感じます。そのため、ガイドブックの改定の際には認知症本人や家族の声を聴きながら作成に活かしていただきたいと思いますがどうか、区の見解を伺います。

次に5つ目の柱「認知症バリアフリーの推進(共生のしくみづくり)」について

身体障がい者などに対応したバリアフリー化は一定程度すすみましたが、認知症のバリアフリーは置いて行かれたままになっています。認知症の人にとってのバリアはどんなことかを本人やその家族等から直接声を聴く姿勢が重要だと考えます。買い物や通院、銀行、郵便局、移動、公共施設等生活のあらゆる場面で認知症の人にとってはバリアだらけだという認識を私たちは持つべきです。

昨今、よく聴く事例では、スーパーなどで万引き疑いをかけられ、すぐさま警察沙汰になって家族は見張っておくようにとか施設に入れるようにと警察から言われ、本人も家族も傷ついてしまう。結果、認知症の人は外出を制限されて自由を奪われてしまうということが起きているということです。もちろん自由と安全のバランスの中で対応することが重要でありますが、一方的に認知症本人の気持ちを無視してしまうことは逆効果にもなりかねないため、寄り添える体制が必要となると考えます。

Q16. 認知症になっても自分のやりたいことができ、心豊かに安心して社会参加していける環境を整える必要があり、そのためには本人が意見を出せる場への参加は欠かせません。様々な場面ごとに課題解決するためのアクションミーティングの仕組みづくりが必要だと考えますが、区の見解を伺います。

Q17. 一方、町会・自治会を始め、地域でのささえあいの機運を高めるためには、地域住民の参加も不可欠です。認知症に対する新しい常識に頭を切り替えて、地域社会の認識を変えていく必要があると思っています。その一つのしかけとして、その地域ごとの高齢化率や認知症の人数等のデーターを地域住民と共有し、自分事として考えるきっかけを区として投げかけてみてはどうかと考えますが、区の見解をお聞きします。

Q18. 今年度、認知症の本人やその家族のニーズに合わせた支援ができるよう、地域ごとに「チームオレンジ」の育成に予算がつきましが、そのチームオレンジの取り組み状況について伺います。どこに位置づき、構成メンバーは誰で、どのような活動をしているのか、また、区としてどのような活動をイメージしているのか具体的に伺います。

Q19. 現在も高齢者を見守るしくみは民生委員やたすけあいネットワークや成年後見人等ありますが、このチームオレンジとはどのようにすみ分け、または、連携を考えているのか伺います。また、認知症で一人暮らしが今後増えていく中で、居住支援の充実も課題になっていると考えますが、それぞれの役割の明確化について区はどのように考えているのか見解を伺う。

Q20. また、今後チームオレンジの数を増やしていく必要がありますが、どのようにはたらきかけていくのか伺います。

Q21. 東京センターより、「希望をかなえるヘルプカード」が提唱されています。自分が行きたい所ややりたいことを名刺大のカードに書いて持ち歩き、困った時にそれを見せて支援を求めるためのツールです。最近では「私は認知症です」というカードを選ぶ人が30%になってきたそうで、本人発信ができる社会に変わりつつあると感じました。区も「助けられ上手になろう」とこの間発信してきており、このヘルプカードもそのツールの一つになり得ると考えます。また、認知症になってから使い始めるというより、その前から使い方をイメージしておくことも必要だと考えるため、認知症サポーター養成講座やおたっしゃ訪問、高齢者向けの送付物に同封する等して、区としてもこのヘルプカードの普及をすすめてはどうかと考えますがいかがか伺います。

最後6つ目の柱「若年性認知症の方への支援・社会参加支援」について

Q22. 高齢者在宅支援課に若年性認知症相談窓口が設置され、認知症支援コーディネーターが相談を受けていると認識しています。この間の相談件数はどのようになっているか確認するとともに、計画に記載がある、若年性認知症の実態把握と共に切れ目のない支援体制の構築状況についても伺います。

今回、認知症対策について、認知症の古い常識・文化を新しい常識・文化へと変えていくことが重要であるという視点から縷々質問してきました。古い認知症観のままで悪循環に陥り、苦労している人が非常に多い現状があります。絶望の悪循環から希望の良循環に変えることで互いに楽になる。新しい認知症観を「地域のあたりまえ」に若者や子どもも含め浸透させていく必要があります。普段からのつきあいの中で”変化があっても、これからもよろしくね“と言い合える地域づくりが必要であり、認知症になっても希望をもって住み慣れた地域で暮らし続けられる杉並区にしていきたいと私は思っています。

最後に認知症本人たちが29回も書き直して言葉を紡いだ「認知症と共に生きる希望宣言」の本人たちの思いを紹介します。

私たちは、認知症と共に暮らしています。

日々いろんなことが起き、不安や心配はつきませんが、

色々な可能性があることも見えてきました。

一度きりしかない自分の人生をあきらめないで、

希望をもって自分らしく暮らし続けたい。

次に続く人たちが、暗いトンネルに迷い込まずにもっと楽に、いい人生を送ってほしい。

私たちは、自分たちの体験と意思をもとに

「認知症と共に生きる希望宣言」をします。

この宣言をスタートに、自分も希望をもって暮らしていこうという人、

そしてより良い社会を一緒につくっていこうという

人の輪が広がることを願っています。 と綴っています。

この宣言をきっかけに自らの言葉で体験や希望をリアルに伝え、常識を変える本人が全国で急増中とのことです。認知症を自然体でオープンにできる環境づくりは暮らしやすい地域にもなります。今後の超超高齢社会の進展に伴い、認知症はありふれた状態になり、一人暮らしの認知症も増えていき、今まで体験したことのなり世界が始まっています。

Q23. まずは区役所の中から認知症に対して新しい常識に転換していかなければならないし、それに合わせた制度の見直しも必要になってくるでしょう。最後に区の今後の展望をお聞きし質問を終わります。

第1回定例会 予算特別委員会意見開陳 2023.3.14 そね文子

いのち・平和クラブを代表して、2023年度杉並区一般会計予算並びに各特別会計予算及び関連諸議案について意見を述べます。

昨年2月24日、ロシアによるウクライナ侵攻で始まった戦争は1年たった現在も出口が見えず、世界規模での軍事的緊張、エネルギーの高騰など大きな影響を与えています。

国内に目を向けると、岸田政権は国会の議論を経ずに、原発の60年超え運転延長や建て替え容認の方針に転換し、防衛費を5年間で43兆円とすることを閣議決定しました。こうした国民の声を聴かず、いっそう軍事的緊張を高め、いのちを脅かす姿勢は決して許されず、批判の声も強まっています。

3年以上にわたるコロナ禍は、生活困窮と経済格差の拡大を招き、ウクライナ侵攻や円安が原油や生活必需品の値上げに拍車をかけ、区民生活に大きな影響を与えています。

こうした先の見えない不安定な社会状況の中、私どもいのち・平和クラブは、住民に一番身近な基礎自治体の役割である区民福祉をいかに支え向上させるか、長引くコロナ禍での疲弊や物価上昇、昨今の気候危機から区民の命と財産を守り、子どもたちが将来に希望を持てる予算となっているかに注目しました。

情報公開と対話を重視し、気候危機などの重点課題を区民参加で進めることを表明する岸本新区長の予算案に対し、予算編成方針および区政経営計画書の主要事業の概要に沿って、予算特別委員会の質疑も踏まえ、評価する点および要望する点など、意見を述べます。

第1に、区財政と区政運営についてです。

ウクライナ戦争の長期化によるエネルギー危機、海外景気の下振れや金融資本市場の変動など、今後の不透明な経済状況と、ふるさと納税をはじめとする不合理な制度による歳入減が見込まれる中、特別区特有の待機児童対策などの緊急を要する課題や、首都直下型地震などの大規模災害への備えに多くの財源が必要となっています。これに対応するために財政の健全さを保ち、必要なサービスを継続的に提供できる財政運営が求められています。本予算案は、2022年に始まる総合計画に定めた「財政健全化と持続可能な財政運営を確保するための基本的な考え方」に基づき編成され、安定した区政運営を実現できるものと確認しました。

歳入の款で、2022年度以降の40年間の、区立施設の再編整備計画で、必要な財源が確保できるのかを確認しました。特に向こう10年間は改築時期が集中するために財源確保が厳しい時期となります。中でも多額の経費を要する学校改築にあたり、改築の平準化、長寿命化を図りつつ、日常的に予算の確保、コストの削減に向けた施設維持管理の適正化など、多角的な取り組みが必要とされ、全ての区立施設を総合的にマネジメントすることの必要性が国から示されました。地方自治法で住民の福祉を増進する目的で規定された公共施設は、コストの削減だけを重視した進め方ではその役割を果たせないおそれがあります。財源確保のための不要施設の売却や民間との連携が、住民サービスの削減にならぬよう慎重に進めること、また民営化や指定管理の導入がサービスの質を下げるものにならぬようにしっかり検証することを求めます。

第2に、区民生活についてです。

指定管理者制度について、様々な立場の方にアンケートを行ったことを確認しました。私どもには特に区民センターなどへの指定管理者制度導入により、区民サービスの向上が図られたという声がある一方で、活動場所としての使いにくさ等の声が届いています。区はこうした声を把握していないとのことでしたが、アンケート調査だけでなく、生の声も吸い上げ、検証に活かしていただく様求めておきます。また、アンケートの集計結果をぜひ共有させていただくよう要望します。

震災救援所の居住性確保に向けて、これまで求めてきた段ボールベッドの導入の準備が進んでいることやトイレの配置の考え方が確認できました。段ボールベッドの発災時の調達についても事業者と確認していることがわかりました。今後、震災救援所における配置計画や訓練を通して、非常時においても混乱がないようさらなる準備をすすめていただきたいと思います。また、女性の視点から備蓄品を選定する場合は、多様な世代や立場にも配慮し、幅広く意見を聴くよう求めておきます。

第3に、保健福祉についてです。

一つの家庭で複雑で複合的な生活課題を抱えるケースが増える中、区が縦割りから分野横断的な取組の転換を重視し、在宅医療・生活支援センターを中心に、地域における支え合いのしくみづくりの推進や区民を支える包括的支援体制の強化をすすめて来たことを評価します。家族丸ごとの支援がさらにすすむためには、国がすすめている重層的支援体制整備事業に取り組むことも必要であり、今後に期待します。答弁からも行政が地域住民や社会資源と一体的にすすめていく姿勢が確認できました。住民自治を生み育てる視点、ネットワーク型のまちづくりを意識的にすすめていただくよう要望します。

第4に、子ども家庭支援について。

「子どもの権利に関する条例」の制定に向けては2年間かけて、子どもの意見や思いを丁寧に取り入れていく区の姿勢を確認しました。子どもは権利の主体であり、親の所有物でも付属物でもないことを大人こそが理解しなければなりません。子ども自身が主体的に考え、決定に参画していくことを大人がサポートする体制をしっかりつくって臨んでいただくよう要望します。

また、子どもの貧困やヤングケアラーの実態調査は対策を打つ上で必要不可欠な取組です。全体的な傾向把握だけでなく、個々の実態に即した支援につながるよう、支援団体や当事者からの声も集め必要な支援策をつくっていくことを要望します

第5に、都市整備についてです。

都市整備費の中でこれまで議論があった都市計画道路132号線は、事業認可後も地権者や借家人など沿線住民の理解を得ながら丁寧に進められていることが確認できました。計画では車道幅はそのままで、歩道や自転車レーンの幅を広げ、高齢化と人口減により車が減少する時代の人に優しい道路をめざしていることがわかりました。立ち退きや店舗の移転を迫られる方へは暮らしや事業の継続を可能とする十分な補償を区に求めたところ、対象となった方々から不満は出ていないことも確認しました

事業化が始まった阿佐ヶ谷駅北東地区まちづくりは、区内基幹病院として重要な河北総合病院のたてかえを契機にしたものです。けやき屋敷の地権者が屋敷跡地を病院の建て替え用地として貸すことが区に報告されたことで、病院跡地に杉並第一小学校を建て替えることを申入れ、3者の協議が整いました。耐震性に課題がある河北総合病院は、現在の位置で運営を継続しながらの建て替えは不可能で、場合によっては他の地域に移転する恐れもありました。また年間8000台の救急車両が通過する商店街は道路幅が狭く、危険なことから改善が求められていました。けやき屋敷の貴重な緑と震災時の大切な空地は、地権者の努力だけで維持することは難しく、相続税対策で民間の開発に委ねる恐れもありました。区が介在する地区計画になったことで、より多くの緑を守ることが可能となりました。当初杉並第一小学校は現在の位置に高層化し校舎の屋上を校庭にする案で保護者の了解を得てきました。震災時の避難や救援所としての利用には課題が残り、またけやき屋敷を緊急時の避難場所にしていたことは病院の建て替えで不可能となりました。病院跡地への建て替えで校庭も地上につくられ震災救援所としても機能をはたせることになりました。これまでの質疑で心配していた土壌汚染、浸水対策も十分施されることが確認できています。

133号線は、多くの住宅上に計画され、未だ反対の声が地域の多数をしめていることから、会派としては事業化には反対です。東京都に現状を伝えつつ、区としては住民の立場に立って対応するよう求めます。

下高井戸1丁目は京王線の高架化に伴い、中央高速の高架との谷間になり、騒音や排ガスなどによる環境悪化や、狭隘道路が多く住宅密集地域であることから震災時の危険性が指摘されています。区境の地域では、他区の避難所が至近距離となる場合があり隣接区との連携が不可欠です。防災組織の育成やまちづくりの課題について世田谷区との連携を強めるよう求めます。

第6に、環境施策についてです。

気候変動問題に重点を置き、「(仮称)気候区民会議」での議論を経て、多くの区民参加で取り組みを進めようとする試みに期待をしています。杉並区地球温暖化対策実行計画(案)が出され、2030年の温室効果ガスを2000年比で50%削減するという具体的で高い目標が示されました。これを達成するために特に必要なのが家庭部門でのCO2削減となっています。区には着実に取り組みを進めることを求め、私どもも区民と共にできる限りの努力をしたいと決意を新たにするところです。

第7に、職員についてです。会計年度任用職員は、女性が87%、区内在住者が65%となり、常勤職員と比べても圧倒的に女性、そして区民が多いことがわかりました。2022年度は355名が勤続年数6年をむかえることから、労働施策推進法などに基づきハローワークへの大量解雇の通知義務を負うことを指摘しました。年限撤廃は、こうした煩雑な手続きを避けるためにも不可欠であり、また当事者からも不安が訴えられていることからまったなしです。改めて当事者の立場に立って対策を取るよう強く求めておきます。

第8に、教育についてです。

不登校児童生徒が過去最多の700人を超える状況で、その子ども達がそれぞれの状況に応じた教育の機会を確保できるよう、新たに不登校特例校設置の調査研究及びさざんかステップアップ教室の増設を検討することが示されたのは重要です。保護者同士の情報交換やピアカウンセリングにもなる親の会を教育委員会が主催することを、引き続き要望いたします。

コロナ過での制限の多い生活が子どもたちに与えた影響は計り知れません。質疑で教育委員会のマスク着用に対する今後の考え方を伺いましたが、強い強制力と同調圧力によってマスクを着用してきた子どもたちが、一刻も早く気兼ねなくマスクを外せるよう、それぞれの子どもに配慮しつつ働きかけを行うよう要望します。

以上の理由から、2023年度一般会計予算及び各特別会計予算について賛成いたします。 次に、予算関連議案について意見を述べます。

議案第11号、杉並区職員の特殊勤務手当にかんする条例の一部を改正する条例については、東京都が児童相談所業務の手当額を引き上げたことに伴い、杉並区の児童相談所業務手当を見直すものでありますが、人材確保の点からも重要であり賛成します。

議案第12号、杉並区性の多様性が尊重される地域社会を実現するための取り組みの推進に関する条例についてです。全国255の自治体ですでに条例などが制定されていることが判りました。本条例は、誰もが自分らしく生きることが尊重される社会に向かうためのものです。性的マイノリティの方々への理解が社会全体に広がり、また私たちが享受している当然の権利が、同性婚をはじめとするすべての方々に行きわたることを切に願うものです。

今回「性自認」が、犯罪を誘発するとの意図的で誤った宣伝が行われ、不安と偏見を煽っていることは許されません。議案に反対する唯一の理由である「トランスジェンダーを装った男性による女性への人権侵害」は先行自治体では起こっていないことを確認しました。このように全く別次元の問題を同列に扱い、条例案を攻撃するのはヘイトそのものです。優先すべきは誰一人として性犯罪の被害者にしない社会づくりとそのための法的整備を急ぐことです。また、本条例から事実婚が除外されたことは残念であり、今後の拡充を期待します。

議案第13号、杉並区立コミュニティふらっと条例の一部を改正する条例についてです。本議案は方南集会所だった場所にコミュニティふらっと方南を設置することとその使用料を定めるためのものです。なお、この地域では、児童館と併設になっているゆうゆう方南館が方南小学校の児童数の増加から学童クラブと放課後の居場所事業を行う施設へとなります。そのため、昨年11月8日の住民説明会では、ゆうゆう館や方南集会所を利用する方々から、活動場所の縮小により定期的利用への不安や施設の環境整備に関する意見・要望が出されていました。区にはこれらの要望に最大限応えるための努力を求めて、議案には賛成とします。

 

議案第15号杉並区事務手数料条例及び杉並区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例についてです。これは建築基準法の一部が改正されたことを受け規定の改正を行うものです。また、省令等の一部が改正されたことに伴い建築物エネルギー消費性能向上計画認定申請手数料等を定める必要があるための条例提案であり、必要な改正であることから賛成します。

議案第28号、杉並区国民健康保険条例の一部を改正する条例についてです。コロナ感染症の医療費が国保財政の対象とされたことから、国保事業会計の支出が増大しています。23区は国保料の急激な値上げを避けるための対策を取りながらも、支出が増えたことで保険料の値上げは避けられないものとなりました。国保制度は、支出が増えれば青天井で保険料の値上げとなり、被保険者の暮らしへの影響は大きく、払いたくても払えない人を増やします。皆保険としての国保制度を成り立たせるためには、国の抜本的対策が必要です。今後も区長会として国や都への対策を強く求めるよう要望し賛成とします。

議案第29号、令和5年度杉並区一般会計補正予算第1号は、すべての年齢を対象とする新型コロナワクチン接種の費用が含まれています。質疑で明らかにしましたが、区内では10代までの副反応報告数は5名でその内重篤とされたものが3名にも上ります。一方その年代でのコロナウイルス感染症では重症者はいません。このワクチンは特例承認されたもので、接種が事実上の臨床試験と言えますが、区の状況から見て子どもにとっては明らかにワクチンのデメリットがメリットを上回っています。全国では400以上の自治体が子どもへのワクチン接種券の一斉送付を行わない慎重な対応をとっている中、杉並区はこのような状況であるにも関わらず、子どもへワクチン接種券の一斉送付を行うことは、子どもの命を守る姿勢とは言えず改善を強く求めるものです。よって補正予算に賛成はできません。

そのほか議案第14号、議案第27号、議案第30号には賛成します。

最後に、資料作成に御尽力いただいた職員の皆様に感謝を申し上げ、いのち・平和クラブの意見開陳といたします。

 

第1回定例会代表質問と答弁 奥田雅子2023.2.9

いのち・平和クラブを代表して、2023年度予算編成方針とその概要について質問します。

質問に先立ち、2月6日に発生したトルコ・シリアでの大地震により甚大な被害が広がっていることに対し、多くの犠牲者の冥福を祈るとともに、被災されたすべての人々にお見舞い申し上げ、未だ不明の方々の一刻も早い救出を願う。

さて、岸本区長が杉並区長に就任して、早7か月が経とうとしている。

この間、区長は重視するとした対話と情報公開を実践し、住民説明会や議会でのやり取りなどの空気が変わってきたと多くの方が感じているところではないかと考える。一方、国政に目を転じると、国民にとって重要な政策転換とも言えるにもかかわらず、国民への説明や国会での議論がないままに防衛費増額、「反撃能力」の保有や原発回帰ともとれる新たな原発の建設や老朽原発60年超えの運転期間の延長などが閣議で決められ民主主義と平和を脅かす事態が起こっている。

また、超高齢社会を目前に異次元の少子化対策として子育て予算倍増を打ち出したが、しっかりと子育て世帯の声を反映させた中身を示して、財源を明らかにすべきであり、未だ不透明の状況は問題だ。

これらに限らず、区政で取り組む課題は私たちの暮らしに直結するものばかりである。円安による物価高や、ロシアとウクライナの戦争に起因したエネルギー価格の高騰など、多くの区民の生活は厳しさを増しており、そこへの支援がますます必要となっている。

区長の著書「地域主権という希望」の中で、区長が杉並区の中で取り組もうとしている変革は「公共」の役割と力を取り戻すことであり、地域住民が主体となって、自分たちの税金の使いみちや公共の財産の役立て方を民主的な方法で決めていくことだと述べており、住民自治によるまちづくりが進み、区民の暮らしの安定や区民福祉の向上が実感できる区政運営に期待するところだ。

今回、岸本区長にとって初めての予算編成となるが、順を追って質問していく。

1.予算編成方針とその概要の冒頭に区長が述べている区政運営に対する基本姿勢の6つの柱に沿った振り返りについて伺う。

Q1‐① まず、1つ目の柱として、今年度、総合計画等の一部修正を行った内容を確認するとともにこれに対する区民評価とその総括はどうか、また新年度1年前倒する内容を確認する。

A1-①区長)昨年11月に議会に修正案を示した、実行計画等の一部修正の決定内容については、後日改めて説明するが、計画の一部修正にも関わらず、117件、290項目にわたる区民意見が寄せられ、区民の区政に対する関心の高さを感じたところだ。例えば、施設再編の取組についても、反対の立場からの意見だけでなく、賛成の立場からの意見も複数寄せられ、幅広い区民からの声を吸い上げることができたものと評価している。

来年度行う総合計画等の改定については、施設再編整備計画や指定管理者制度の取組などの検証結果や、この間の社会経済環境の変化等も見定めつつ、計画全体を見直すこととしているが、改定方針やスケジュールの詳細については現在検討中であるため、決まり次第、議会にも報告する予定だ。

Q1‐② 2つ目の柱の情報公開・発信については、区政情報の積極的な公開、提供に努めてきたことは、これまでにはなくより充実したものになったことは評価する。その上で記載以外に新たに情報公開がすすんだことは何か、確認する。

A1-②区長)私は就任以来、「区政の情報は区民のものである」との認識のもと、区政情報の積極的な公開、提供に努めてきた。「まちづくり基本方針骨子案」への意見募集や区民と区長の対話集会である「さとことブレスト」で得た貴重な意見は全文公表した。さらに、区に寄せられた多種多様な意見は、それぞれの意見に込められた思いを正確に伝えることが重要であると考えていることから、パブリックコメントについても原則全文を公表することとした。

また、昨年9月には全職員に向けて、区への情報公開請求にあたっては「情報は原則公開であること」「情報が非公開となる場合は、その理由を厳格に判断すること」などを徹底する旨の通知を発出したところだ。

こうした取り組みを実施することにより、対話と議論のために必要な情報の共有が進み、また、職員の情報公開や情報提供に関する意識が高まってきていることを実感している。引き続き、これらの取組を推進し、区政の透明度向上を図っていく。

Q1‐③ 3つ目の柱の区民参加型予算の導入について、森林環境譲与税基金の使途をテーマとするとある。基金は譲与税の一部だと認識しているが、森林環境譲与税全体の使い道はどのように考えているのか、今回、基金に限定しての取組みとした理由は何か伺う。

A1-③区長)区民参加型予算については、6年度予算案に反映するべく、森林環境譲与税基金の使途をテーマにモデル実施の予定だ。基金の原資である森林環境譲与税については、法に基づき、間伐等の森林の整備に関する施策、人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等に関する施策に充てることとされているので、毎年度の譲与税の使途もその主旨を踏まえ検討をしている。また、区民参加型予算により決定する使途についても、その主旨を踏まえたものになるものと想定しているが、区民の柔軟な発想による提案を期待しているところだ。

また、初めての取組となることから、区民にとってわかりやすいテーマを選択すること、6年度から森林環境税の徴収がスタートするということも踏まえ、今回については森林環境譲与税基金の使途というテーマをあらかじめ設定することとした。

今後は、今般のモデル実施により、課題や問題点を整理したうえで、事業スキームや予算規模等について検討し、本格実施につなげていきたいと考えている。

Q1‐④ 4つ目の柱の効率的な区政運営を進める上での民間委託等の手法の検証では、指定管理事業者やその従事者、利用者へのアンケート実施など検証作業中と聞く。その検証項目は対象によって異なるがどのようなものか、また検証にあたっては専門性が求められると思うが、どのような職員や専門家が担うのか、確認したい。

A1-④区長)今回の検証においては、運営に係る現状等を正確に把握するために、様々な立場の人から幅広く丁寧に聴取している。指定管理者に対しては、サービス内容や運営状況などについて、現場で働く従事者には、就労実態や仕事のやりがいなどについて調査している。また、利用者には施設の満足度等を尋ねるとともに、無作為抽出の区民アンケートでは施設を利用しない区民も対象として、サービスに対する意見を聴取しており、これらを取りまとめ、制度導入前に想定していた効果等を検証し、今後の制度導入に際しての留意点などを含めた活用方法などを検討していく。また、検証作業は業務内容を熟知している指定管理者制度の業務担当課のほか、制度を取りまとめている企画部門の職員を中心に進めている。なお、有識者については、より効果的にかつ客観的な検証となるよう助言をもらうことを考えており、公共政策等に精通した人に、現在、個別に打診しているところだ。

Q1‐⑤ また、施設再編整備の検証作業については、何をどのように、誰が検証しているのか。来年度も継続する方針でその結果は今後の総合計画等改定にいかすとあり、検証作業における情報公開も必要と考えるが、どのようにするのか伺う。

A1-⓹区長)まず、検証の内容だが、施設再編整備に係る総論や様々な区民意見がある児童館・ゆうゆう館・地域コミュニティ施設の再編整備を対象に、これまでの取組を調査・分析し、今後の方向性を検討していく。また、全庁的な視点から組織横断的に検証を行うため、区政経営改革推進本部の下に検証部会を設置し、検証作業に取り組むとともに、有識者からの意見聴取も実施していく。

次に、検証作業における情報公開だが、検証にあたっては適宜、議会へ報告を行いながら進めていくとともに、区公式ホームページを活用し、アンケート結果のほか、施設利用者や運営事業者との意見交換で寄せられた意見など、検証の内容を区民にわかりやすく伝えていく。

Q1‐⑥ 1980年代前後に次々と建てられた公共施設が老朽化し、今後一斉に建て替えを迎えるという自治体が抱える課題に対応する「施設再編整備計画」の必要性についての区長の見解を改めて問う。

A1-⑥区長)区立施設再編整備計画は多くの区立施設が次々と更新時期を迎える中で、少子高齢化の進展や将来的な人口減少など時代とともに変化する区民ニーズに的確に応えるとともに、将来にわたって持続可能な行財政運営を行っていくために策定された計画であると認識しており、こうした課題には区として、しっかりと対応していく必要があると考えている。

一方で、具体的な再編整備の手法や進め方等については、様々な意見があるため、これまでの取組を検証し、今後の方向性を決定していきたいと考えている。

 

Q1‐⑦ 5つ目の柱の風通しのよい職場づくりでは、「ナミー‘S café」について、これまで14回の開催でたくさんの気づきがあったとされているが、具体的に聞きたい。またハラスメントに関する職員アンケートの結果を区長はどのように受け止めたのか。回答率が職層ごとに出ていないため、それぞれの職層ごとの回答率を聞くとともに、管理職や係長級職員の中にも規定の存在やハラスメントの定義などを知らないと答えた職員もおり、今後、宣言と同時に日々の業務の中で常に意識化することが大切だと考えるがいかがか。

A1-⑦区長)まず、「ナミー‘s café」で多くの職員と話をする中で、総じて職員は自らの担当業務に問題意識を持ち日々努力していること、一方で、こうしたらもっと効率的、効果的に仕事ができると思っていても言い出す機会がなく、胸の内に抱えてしまっている職員が少なからずいることがわかった。具体的には区は民間と比較するとデジタル化の遅れやテレワークの仕組みも不十分である、会計年度任用職員の中に報酬や雇用期間の改善を願う声があることなどを認識することができた。

次に、ハラスメントに関する職員アンケートについての質問だが、アンケート結果の受け止めについては、ハラスメント行為を受けたことがあるという回答が400件を超えていたことは想像以上であり、この状況を絶対に見過ごしてはならない、根絶に向けた具体的な取組を速やかに実施していかなければならないと決意を新たにし、ハラスメントゼロ宣言を行ったところだ。

今後は、指摘のあった職員への意識啓発や相談体制の充実のほか、外部専門家による管理職を中心とした研修やゼロ宣言の効果を計るアンケートの実施などをしていく考えだ。

最後に、職層ごとのアンケートの回答率ですが、管理職が約65%、係長級が約60%、主任・一般職員が約47%、会計年度任用職員が約36%となっている。

Q1‐⑧ 6つ目の柱の議会との自由闊達で生産的な議論について聞く。区長公約の中には、議会で必要性を議論し決定されたこと、また既に実施されつつあることに反対するものがあった。また、今後の取り組みについては、公約の中で実現が難しい課題は先送りし、多くが2023年度の検討課題とされたが、議会は幅広い様々な区民の意見を反映する場でもあるため、区長からの議会への提案に至るまでの経過で、議会との意見交換が必要と考えるが見解を問う。

A1-⑧区長)区政運営において、対話を重視するという考えは、議会との関係においても変わりはない。政策形成のプロセスにおいて、議会に対しても積極的に情報を提供し、議論をする機会の確保に努めていきたいと考えている。また、他の会派にも答弁したように、自由闊達な議論とは双方向なものだと思っているので、例えば気候変動と地域経済や学校給食といった分野横断的な今日的な課題について、議員からも是非、条例の提案も含め様々な政策提言をもらいたい。

 

2.次に、区長が今後の区政運営における課題と捉えていることについていくつか伺う。

Q2‐① <地域を巻き込んだ政策決定プロセスづくり>では、「計画説明型」から「対話協調型」の行政という点は、同じような考えで区に提案してきた者として歓迎するものだ。反対や対立からは次なる策は見いだせないと考える。今後は子どもはもちろん、様々な立場の当事者の声を区長が直に聴く機会も増やしてほしいし、計画策定段階から区民を巻き込んでいくことは区政に対する当事者性が生まれ、結果的に計画への理解が進むと考えるがどうか。

A2-①区長)「対話から始まるみんなの杉並」をスローガンに区長に就任した私にとって、様々な当事者の声を私自身が直接聞く機会をたくさん作ることは、最優先で取り組むべき大切な仕事の一つだと思い、できるだけ多くそうした機会を設けているところだ。対話の場を通じて聞いてきた区民の声は私にとっても、区政にとっても宝物であり、ご指摘のあった子どもたちの声も含めて、引き続き直接対話する機会を多くつくっていきたいと考えている。

私は、区民の声を聴く際には、そのタイミングもとても大事だと思っている。これまでのように、計画や政策が決まった後に説明会を開くというような流れではなく、それらを策定する段階から、区民ニーズを吸い上げるための対話や意見交換を何らかの形で行っていくことが対話を大切にする区政の姿だと思う。基本構想の中に「わたくしたち自身が自分たちのまちを自らの手で紡ぎ出していくこと、それが杉並区のさらなる前進につながっていきます」という文章がある。まさに、区民自身が当事者として区政に係り、区とともに区政を前進させていく地域社会の姿を目指して、今後とも努力を続けていきたい。

Q2‐② <気候変動対策を通じて地域を豊かにする>ことについては、ゼロカーボンと「気候正義」の実現に向けた区長の意気込みが感じられ、具体策のイメージもあるということがわかった。仮称)気候区民会議の早期開催に期待しするが、区内には様々な角度から環境問題に取り組む団体も多く、それらの団体との情報交換や意見交換の場を積極的に持ってほしいと考えるがいかが。

A2-②区長)区はこれまでも環境活動推進センターに登録する環境団体と情報交換や意見交換等を行ってきている。今後、気候変動対策を着実に推進していくためには、環境団体はもとより、様々な分野の団体との意見交換等を行うことは、区民に広く啓発を図っていくために欠かせない重要な取組となるため、積極的に取り組んでいく。

Q2‐③ また、仮称)気候区民会議では様々な有識者を招いた有意義な講義が多数行われると思うが、多くの区民が聞けるよう、オンラインでの配信についての検討をしてほしいと考えるが、いかがか。

A2-③区長)仮称)気候区民会議では若者から高齢者まで幅広い世代の参加のもと、気候正義などをテーマに若い世代を含む有識者の講演会や学習会などを検討している。

なお、これらの講演会の内容をより多くの区民へ伝えることは環境配慮行動の普及・啓発を図る上で大変重要で、オンラインも含めた効果的な周知方法等を検討していく。

Q2‐④ <職員の働く環境を変革し、新たな区政課題にも活路を開く>では、全ての職員との対話も重視することが、お互いの信頼関係の構築にもつながるものと期待している。職員からの700件以上の提案・意見はどのような内容だったのか。主なものや区長が印象に残ったものを紹介してほしい。

A2-④区長)働き方の改革やデジタル化の推進に関する意見が多く、例えば、資料作成や会議の見直しのほか、各種計画の策定や改定作業などの負担軽減を求める意見などがあった。今後はこの内容を整理した上で職員と共有し、可能なものから具体的な改善等につなげていきたいと考える。

Q2‐⑤ また、会計年度任用職員については、経験を有し専門的な分野も担う重要なポストであるにも関わらず、年限制度により不安定な雇用形態となっていることに我が会派は見直しを求めてきた。会計年度任用職員からの声を聴き、他区の状況など参考にし、検討する段階にあり、新年度にはその結論がでるものと認識しているが、どのようなスケジュールになるのか、年限撤廃に対する区長の考えを改めて伺う。

A2-⓹区長)これにより再度公募にまわることに不安を感じる会計年度任用職員が少なくないことは、当事者である職員と直接対話をする中で把握している。この件も含め、会計年度任用職員の勤務条件の改善に向け、現在の東京都や他区の状況を調査している。この調査結果や常勤職員の勤務条件との比較検証などを踏まえ、職員団体との協議も行いながら令和5年度の秋ごろまでには改善策をまとめ、令和6年度から実施する予定だ。

 

3.次に2023年度予算編成方針の基本的な考え方について3点伺う。

Q3‐① 第1 に掲げた区民のいのちとくらしを守るために必要な予算の計上について、コロナ対策に必要な予算が計上されたが、国が新型コロナウイルス感染症を今春に季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げると表明し、医療費の公費負担を段階的に廃止することやコロナ対応の補助金も廃止されコロナ病床を減らすことも危惧されるが、この点に関する区長の見解を求める。感染は第8波に至り、医療のひっ迫、高齢者施設でのクラスター、過去最高の死亡者数など深刻な事態に、計上された予算で対応できるのか伺う。

A3-①区長)現在流行の中心である新型コロナウイルスのオミクロン株は伝播性が非常に高いものの、発生初期のデルタ株などと比較して重症化率や死亡率が低下している。こうしたことを背景に国は新型コロナ対策の基本的対処方針を廃止する予定だ。

医療費を公費負担とする目的は、私権制限と引き換えに確実な治療を行って、感染拡大を防止することであると考える。国においては国民に急激な負担増が生じないよう、医療費の自己負担分にかかわる一定の公費支援について、3月を目途に具体的な方針を示すとしていて、区としては、その動向を注視している。コロナ病床を含めた医療提供体制の確保については、本来、東京都が担う役割だと考えるが、引き続き区医師会や区内基幹病院と意見交換を行い、区としても現場の実態に即した対策を進めていく。

また、来年度の新型コロナウイルス感染症対策としては、受信・相談センターや自宅療養者健康観察業務委託の費用など、当面必要な項目については計上している。今後の国や都の動向を踏まえ必要に応じて補正予算を編成して対応するなど、引き続き区民のいのちを守るため、コロナ対策に取り組んでいく。

Q3‐② 第2に掲げた、前倒しの計画改定にあたって、その実現に財政調整基金の一部を活用するとあるが、想定される施策とその規模について伺う。

A3-②区長)各計画事業の見直しに際して財政調整基金の必要な残高を維持したうえで、基金の一部を脱炭素の取組など、将来を見据え、区として長期的に取り組むべき課題等の財源として活用することを考えている。長期的に取り組むべき具体的な施策やその規模等については、今後計画の改定に合わせて検討する。

Q3‐③ 第3に掲げた健全な財政運営の維持について、前区長時代に杉並区が基金を貯めすぎているとの一部の批判がありましたが、区の基金の現状と災害対策やコロナ禍の経験、また、健全な財政基盤の確保にとって、基金の一定の積み立ての必要性について区長の見解を伺う。

A3-③区長)財政調整基金については令和4年度の基金残高が約570億円となる見込みですが、大規模災害や経済事情の著しい変動などによる減収への備えとして、積めるときに積み立てておくことが重要だと考えている。一方で、今般のコロナ禍など非常時における局面では、ためらうことなく、区民生活を支える取り組みなどの財源として活用していくものと考えており、今般のコロナ禍への対応については、一定の積み立てがあったからこそ躊躇することなく財源を投入することができたと認識している。

財政調整基金については、安定した区政運営のために極めて重要な財源であると受け止めており、来年度、総合計画の改定の際に、必要額など、その在り方について検討する考えだ。

4.次に主要な施策の概要について伺う。

<みんなでつくる、災害に強く、犯罪を生まないまち>について

Q4‐①‐1必ず来ると言われている首都直下地震に備え、この間もマニュアルの作成や備蓄品の拡充など様々行われてきたと認識しているが、地震でいのちが助かっても、その後の避難所生活などの中で亡くなることがないよう、震災関連死ゼロを目指さなくてはならないと考える。避難所であっても、個々のプライバシーが守られ、段ボールベッドの導入など居住性の確保の観点から備蓄品の見直しも必要だと考えるがいかがか。

A4-①-1区長)私は日本の避難生活の様子をテレビで見た時、プライバシーの問題を含め、避難所の居住性の確保が十分ではないことに大変驚き心配に思った。避難生活におけるストレスは、いわゆる災害関連死にもつながる大きな問題だ。

区ではこれまでも、全震災救援所への要配慮者用テントの配備や感染症予防対策の強化に努めてきたが、私はさらに居住性の向上が必要だと考えている。

段ボールベッドについては、この度、都内の段ボール製造企業から発災時における協力が可能との話があったので、現在、区との災害協定の締結に向けて準備を進めているところだ。

ほかにも、ストレスのない避難所生活を送ることができるように、来年度には防犯ブザーやメイク落としなど、女性の視点も取り入れた備蓄品の導入をすすめていく。

Q4‐②‐1 <多様な魅力と交流が生まれ、にぎわいのある快適なまち>について、会派にふれあい農業公園の農業講座や体験農園を利用している者がいるため、多面的な機能を持つ農地の保全の重要性を強く感じる。援農ボランティアの充実・活性化とあるが、現在あるふれあい農業公園や農福連携農園でのそれぞれのボランティアのしくみも含めて再構築していくということなのか。

A4-②-1区長)現在の成田西ふれあい農業公園のサポーターや農福連携農園の区民ボランティア経験者の活用を含め、援農ボランティアが農業者のニーズに応じて活動するための仕組みとして構築していく。

Q4‐③‐1 <気候危機に立ち向かい、みどりあふれる良好な環境を将来につなぐまち>について、新たな取組としてあげた太陽光発電舗装システムとはどういうもので、その活用により得られる効果はどの程度に試算しているのか、またそのメリットは何か問う。

A4-③-1区長)太陽光発電舗装システムは通路や公園などの舗装面に設置できるもので、上を車が通行しても壊れない強度を持ち、日当たりが良ければ設置場所としての制約がほぼないことが大きな利点だ。また、効果については、設置場所における空間の有効活用や環境配慮行動に関する区民への啓発になることだ。

Q4‐③‐2 「みどりの基本計画」の改定においては、生物多様性地域戦略の必要性を訴えてきましたが、環境基本計画や地球温暖化対策実行計画を優先し、その後での研究ということだった。昨年の12月には生物多様性条約第15回締結国会議が開かれ、2030年までに陸と海の30%以上を保全することが主要な目標の一つとして定められた。杉並区としても足元の生物多様性の保全について考え方を明確にしておく必要がある。中高生環境サミットや水鳥の棲む水辺創出事業シンポジウムでの発表からも、区民による自然環境を守りたいという思いが区長にも伝わったのではないか。みどりの基本計画の改定を機に改めて生物多様性地域戦略の策定を要望するが、区長の見解は。

A4-③-2区長)平成22年に改定したみどりの基本計画の施策の柱の一つである「環境に資するみどりづくりの推進」に基づき、貴重な植物の生息場所の保全や、善福寺川の良好な河川環境の指標となる水鳥に着目した潤いと安らぎのある水辺環境の再生・創出により、生物多様性の向上に資する取り組みをすすめてきた。

他自治体では、生物の生息場所の保全、創出及び管理に関する「緑の基本計画」に「生物多様性地域戦略」を包含して策定している例があり、杉並区でも自然環境調査を実施していることから生物多様性の視点に重きを置いてみどりの基本計画の改定作業に取り組む。

Q4‐③‐3 都市整備部のグリーンインフラの研修会に参加した。阿佐谷北東地区のまちづくりを進める上で、30年後、50年後をどんなまちにしていきたいか、そこにトータルなグリーンインフラを具体化し、そのイメージの共有を区民と共に行うことで一つの成功モデルにしていけると考えますが、区長の見解は。

A4-③-3区長)私も研修会に参加し、グリーンインフラの他自治体の事例をきき、その地域の歴史や文化を踏まえたビジョンを地域の方々と共有すること、地域自らの行動力、そして区長としてのリーダーシップの大切さを深く感じた。

阿佐谷北東地区では、こうした研修会での話や他自治体の事例なども参考にしながら、区民の参加を促し、他の地域のお手本となるよう地域の魅力の向上と持続性のある区民主体のまちづくりに取り組む。

Q4‐③‐4 地球温暖化対策実行計画の策定状況について、いつ公表されるのかスケジュールを確認したい。

A4-③-4区長)本計画には、区民、事業者、区の全域を対象に温室効果ガス排出量削減等を推進する「区域施策編」と、区が事業者として取り組みを推進する「事務事業編」の2編構成で、現在、国の策定マニュアルを踏まえ、総合計画や実行計画、環境基本計画等、関係計画と整合を図りながら策定作業を進めている。

今後、本定例会都市環境委員会に計画案を報告ののち、パブリックコメントで公表し、5月に計画策定を予定している。

Q4‐③‐5 岸田政権は、ウクライナ戦争によるエネルギー危機と脱炭素化を口実に原発推進への大転換を決めた。しかし、原子力がクリーンと言うのは偽りだ。原発には、燃料のウランの採掘、精製、濃縮、加工に大量の化石燃料が必要で、大量のCO2が出ること、原発製造にも大量のCO2が発生する。さらに原発は生み出す熱の3分の2を海に捨てて海を温め温暖化の一因にもなっている。脱原発と再生可能エネルギーの拡大が脱炭素化のとるべき道であると考えるが、区長の見解を求める。

A4-③-5区長)原子力発電は発電電力量当たりのライフサイクル二酸化炭素排出量が再生可能エネルギーと大差ないと言われるが、核廃棄物の最終処分や安全性などに大きな課題がある。

私自身はこれに頼らず、原発に係る人的、経済的、技術的な資源を再生可能エネルギーの拡充に投入し、電力調達の安全性、安定性を高めていくことが重要と考える。

そのため、化石燃料の使用と依存を軽減し、地域分散型の再生可能エネルギーの利用や資源循環を拡大する等の気候変動対策に積極的に取り組むことにより、ゼロカーボンと気候正義の実現に貢献する自治体としてリーダーシップをとり、環境都市を目指していく。

<「人生100年時代」を自分らしく健やかに生きることができるまち>について

Q4‐④‐1新型コロナワクチンの複数回の接種により、免疫力の低下が指摘されている。免疫力が低下することによって、帯状疱疹が増えたと実感する臨床医の話や論文も出ている。そのような点をどう検証され、帯状疱疹ワクチンの任意接種に補助を出そうとするのか考えを伺う。

A4-④-1区長)新型コロナウイルスワクチンの接種と帯状疱疹発症との関連については複数の研究が実施されており、関連ありとするもの、関連なしというもの双方が報告されていることは把握している。例えば、昨年11月に米国医師会から発行された医学雑誌において、約200万人を対象として調査をしたところ、新型コロナウイルスワクチンの接種と帯状疱疹発症との間に関連がないとの報告があった。

帯状疱疹は80歳までに約3人に1人が発症すると推定され、症状の回復後も痛みが長期間継続することがある。帯状疱疹ワクチンは世界60か国以上で使用されており、カナダ、オーストラリア等の国では公的機関等から接種が推奨されている。そのため、区においても、接種を希望する区民への選択肢の提供および、現在の高齢化社会における生活の質の向上の観点から、発症及び重症化予防の効果があるワクチンの接種費用助成を開始することとした。

<すべての人が認め合い、支え・支えられながら共生するまち>について

Q4‐⑤‐1地域福祉分野の取組みとしてこの間、複合化・複雑化した区民の地域生活課題に対応するために、区は在宅医療・生活支援センターの開設や地域福祉コーディネーターの配置、生活支援体制整備事業による第2層協議体の活動の広がりなど、地域包括ケアシステムの実現に向けた取り組みが着実に進んできていることを評価する。これらの取組みをさらにバージョンアップしていくために、国が2021年4月から実施している社会福祉法に基づく「重層的支援体制整備事業」を杉並区も活用していくべきと考えるが、区長の見解を伺う。

A4-⓹-1区長)区はこれまで、在宅医療・生活支援センターを核とした相談支援機関の連携体制や地域包括ケアシステムの構築に向けた様々な取組をすすめてきた。

今後は、複合的な課題を抱えた区民や世帯に寄添った支援をさらに強化するため、対象者の世代や属性を問わない包括的な相談支援体制の構築をすすめる。また、地域で孤立している人に対する社会参加に向けた支援や住民が相互に支えある地域づくり支援なども併せて推進していく考えであり、「重層的支援体制整備事業」の実施に向け、関係組織間で検討をすすめていく。

Q4‐⑤‐2 認知症施策の充実には、区長就任後の命により、認知症介護研究・研修東京センターとの連携の模索がされてきたと理解しているが、来年度策定される高齢者保健福祉計画にどのように反映されるのか、既にイメージがあるか。

A4-⓹-2区長)私は所信表明で全国に3か所しかない認知症介護研究・研修センターが区内にあることは大きなメリットであり、連携を深めることで認知症ケアを向上させたいと述べた。

その後、所管部がセンターから認知症になっても希望を持てる地域社会を目指し、区民に明確なビジョンや目標値を示すこと、高齢者本人の意見を聞くこと、身近なケア24単位で高齢者の生活を支えるなどの意見をもらっている。これからは高齢者保健福祉計画に確実に反映させていきたい。

現在、センターとは定期的に計画、事業への助言や施策の充実などへの協力を得るため、協定の締結に向け調整をしているところだ。

今後もセンターからの助言をもとに、地域共生社会の実現のため、認知症理解への普及啓発や地域での見守りなど、認知症ケアの充実を図り、認知症になっても希望を持ち、一人でも安心して暮らせるような地域のネットワークを拡充していく。

Q4‐⑤‐3 杉並区パートナーシップ制度の条例化については、これまで制度の壁によって強いられてきた、生活上の不便を軽減することはもとより、人権にもかかわる問題であると認識しており、いち早くパートナーシップ条例の創設に取り組んだことを評価するが、4月から制度の運用、並びに4月以降の専門相談を開始するにあたり、職員の研修や相談員の体制などの状況について伺う。

A4-⓹-3区長)まず、職員研修については、来週の13日に我が国で初めてパートナーシップ制度を導入した渋谷区の元担当課長で性的マイノリティ当事者である永田龍太郎氏を講師に招き、多様な性に関する基礎知識や窓口対応における留意点などを講義してもらうこととしており、4月以降も永田氏による講義の動画やオンデマンド配信による講座などにより、区職員及び教職員に対する研修を定期的・継続的に行っていくことを予定している。

また、相談体制についても、これまで男女平等推進センターで実施してきた一般相談に加え、4月から当面は月1回の頻度で、専門の相談員が主に性的マイノリティの人々を対象に性を理由とする差別等に関する電話または面談による相談を実施していく。

Q4‐⑥‐1 <すべての子どもが、自分らしく生きていくことができるまち>について

「子どもの権利に関する条例」の制定に向けた検討においては、子どもから大人まであらゆる世代への理解促進が重要だ。対話やイベントなど、様々な角度から意識啓発を行う取組みをすすめながら策定することが重要だと考えるが、区長の見解は。

⇒A4-⑥-1区長)指摘の通り、区としても、大人も含めたすべての人が子どもの権利を理解することは大変に重要であると考え、すでに条例を制定している他自治体の取組なども参考としながら、審議会での審議と並行して意識啓発を行うための取組もすすめていく。

4‐⑥‐2 子どもの貧困やヤングケアラーの実態把握のための調査については福祉と教育の連携が不可欠だと考えるが、調査対象や調査内容項目について伺う。

A4-⑥-2区長)調査の実施に当たっては、福祉と教育との綿密な連携は不可欠であると考える。

調査対象等については、いずれも実施に向けた検討を進めているところですが、子どもの貧困状態調査については、小学4年生以上の児童・生徒および高校3年生までの保護者を対象に、他自治体との比較検討もできるよう、国が示す調査項目の具体例に区独自の項目を加えていく予定だ。

また、ヤングケアラー実態調査については、区内小中学校の生徒のほか、ケアマネジャーやヘルパー事業所等の関係機関についても対象とする予定だ。

調査項目については、単なる数値の把握ではなく、子どもの状況をしっかりと把握できるものとするため、ヤングケアラー当事者だった人とも意見交換を行いながら、今後、検討をすすめていく。

Q4‐⑥‐3 下高井戸児童館が計画通り子ども・子育てプラザに転換されるが、プラザの柔軟な運用などを図り、計画をより良いものにしていきたいと表明したことは重要だ。子ども・子育てプラザ善福寺の事例のように、子どもや保護者、プラザの利用者、地域住民と共に子どもの居場所について考える場を作っていくことを求めますが、いかがか。

A4-⑥-3区長)下高井戸児童館の再編整備に当たって、利用者や地域住民からの意見を真摯に受け止め、子ども・子育てプラザにおいて小学生の利用拡大を図る試行的取り組みを実施するほか、高井戸第三小学校における日曜日の校庭開放を継続することとした。

子ども・子育てプラザ善福寺をはじめ、区ではこれまでも、利用者からの意見を施設運営に活かしてきたが、私は今回の件を通して、今後も区民との話し合いの中で生まれたアイデアをより効果的に施設運営の改善につなげていくことが重要であると改めて感じた。

こうしたことから、新たに開設する子ども・子育てプラザ下高井戸において、子どもや保護者、地域住民が施設の運営を協議できるような仕組みを検討することとしたもので、この取組の状況を踏まえ、他の子ども・子育てプラザに展開することも検討していく。

Q4‐⑥‐4 保育の質の確保のためには、保育士の処遇改善、保育士配置基準の見直しが必要不可欠だ。保育園において園児が犠牲になる事件や事故がある度にやりきれない気持ちになる。保育士の処遇については宿舎借上げ補助や月9000円の人件費補助は次年度も継続されるのか確認したい。

A4-⑥4保育の質の維持・向上のためには、保育士の処遇改善や保育士配置の充実が欠かせないものと考える。そのため、宿舎借り上げ補助や月約9,000円の処遇改善については次年度も引き続き実施する。

Q4‐⑥‐5 また、安全に保育できる保育士の配置については、先日、区内の私立保育所が基準の2倍の保育士の配置を実現していることがメディアに取り上げられていたが、他の保育所ではできていない特別なことなのか。区としてもこの園の取組みを他の保育所とも共有し、手厚い保育士配置を促すべきと考えますが、区長の認識は。

A4-⑥-5区長)また、保育士配置について、私立保育園の取組については、各種加算金等を有効に活用することにより他園においても実施可能なものであり、加算金等について事業者へ丁寧に案内を行い、区内各園で共有できるようにしていきたいと考えている。さらに、次年度より、保育士配置数や平均保育士経験年数を含む区統一様式による園案内を区公式HPに掲載することとしているので、これも、保育士配置を充実するための一つの動機づけになると考える。

Q4‐⑥‐6 学童クラブの待機児童解消のため、引き続き小学校内等への整備に取り組むとありますが、放課後の居場所はどうなるのか。施設再編整備の中で取り組むことになっていた老朽化した児童館をそのままにできないことなどの課題をどうするのか考えを伺う。

A4-⑥-6区長)この間の児童館再編整備の取組には、区民に様々な意見があることから、区では今後これまでの取組を検証し、より良い子どもの居場所について改めて検討を行うこととしているので、放課後の居場所に対する考え方や、今後一斉に更新時期を迎える児童館施設への対応についても、この検討の中で整理していく。

Q4‐⑦‐1 <共に認めあい、みんなでつくる学びのまち>について

不登校児童生徒が増え続ける中、その支援は喫緊の課題であり、それぞれの状況に応じた教育機会の確保は重要だ。学校や関係機関との連携を推進するとあるが、児童館や子ども・子育てプラザ、民間の地域の居場所などとの連携を望むが、具体的に関係機関とはどのようなところで、どのように連携するのか考えを伺う。

A4-⑦-1教育長)不登校児童生徒への支援は学校への登校のみを目的とせず、一人ひとりの社会的自立を目指すものであるため、個々の要因を把握し、その状況に応じた支援策を講じることが重要だ。

教育委員会ではこれまでも学校、さざんかステップアップ教室、子ども家庭支援センター、医療機関等が連携を進め、幅広い支援を進めてきた。また、児童館等の地域施設は子どもたちが安心して過ごせる居場所となっていることから、スクールソーシャルワーカーが不登校児童生徒へ紹介するなどの連携をしてきた。今後は、一層の情報共有を図り、実情に応じた支援を行っていく。

Q4‐⑦‐2 また不登校児童・生徒に幅広い学びの場の提供に向けて不登校特例校の設置等に関する調査研究を行うとあるが、特例校はどのような規模で考えているのか。参考にしようとする自治体があれば合わせて伺う。

A4-⑦-2教育長)不登校特例校の設置等については、他自治体の設置校に加え、子ども主体の教育活動に取り組んでいる多様な学校を視察する予定だ。あらゆる規模の不登校特例校の設置事例について調査研究を進め、児童生徒の学びの選択肢を広げていく。

 

Q4‐⑧‐1 <文化を育み継承し、スポーツに親しむことのできるまち>について「ユニバーサルタイム」を行ってきた荻窪体育館での実績や反響について伺うとともに、障がい当事者や関連団体などの意見をどのように取り入れているのか伺う。

A4-⑧-1区長)昨年10月に荻窪体育館で初めて実施した本事業には、想定を超えた98名の障害者及びその介助者が参加し、軽い運動・ダンスやウォーキング、ボール遊びなどのプログラムを思い思いに楽しんでもらった。当日は、これらの参加者をサポートするため、理学療法士や看護師、障害者スポーツ指導員の有資格者を含むボランティアなど、35名のスタッフを配置し、特段のけがや事故もなく進めることができた。また、参加者からも「仲間やスタッフとともに楽しいひと時を過ごすことができた」「無理のない体の使い方が理解できた」など総じて肯定的な意見をもらったので、この第1回目となる試行的な取組を円滑に実施することができたと受け止めている。

この事業の企画・検討に当たっては昨年6月に立ち上げた障害者スポーツネットワークの会議において、障害者団体、スポーツ関係団体、東京都障害者スポーツ協会及び行政関係者が一堂に会して、意見交換を積み重ね、障害者のニーズや希望等に応じたプログラムやサポート体制の在り方などを取りまとめてきており、こうしたプロセスをしっかりと経たことが、今回の成果につながったものと考える。当日の様子は1月15日号の広報すぎなみで特集記事を掲載するとともに、区公式ユーチューブチャンネルでも配信しており、区民からのサポーター参加希望や全国的に例がない取り組みとして他自治体からの視察依頼が寄せられている。

これらの状況を踏まえ、引き続き障害者や関係団体の意見・要望をきめ細やかに把握しつつ、今後のより充実したユニバーサルタイムの実施を図っていく。

Q4‐⑧‐2 スポーツ施設の照明機器のLED化はどのくらい進んでいるのか。上井草スポーツセンターや大宮前体育館プール以外ではLED化は済んでいると理解してよいのか。

A4-⑧-2区長)上井草スポーツセンター、区立体育館、ナイター照明設備のある運動場及び温水プールの全10施設のうち、実施済みが5施設で、指摘のあった上井草スポーツセンターと大宮前体育館プール棟は令和5年度中に実施することとしている。残りの高円寺体育館、松の木運動場及び高井戸温水プールについては、令和6年度以降可能な限り速やかにLED化を実施していく。

<物価高騰対策>について

原油価格や物価高騰に対する公衆浴場や区内中小事業者、福祉施設等に対する支援策として継続することは重要だが、手続き等の事務作業が煩雑化しないように、また使い道の柔軟性に配慮した取り組みが必要だと考える。各団体や施設等からの要望を聞き取るなどして、実質的かつ有効に活用されるよう進めるよう求める。

5.次に、2023年度予算の概要について

Q5‐① 一般会計は予算要求額から約30億円が圧縮されました。HPで公開している予算要求の資料のどこが削減されたのか伺う。

A5-①区長)予算の策定については、全事業について必要性や予算の執行実績等を踏まえ、費目ごとに経費の精査を行い、歳出削減に努めている。査定の結果や事情の変化等により予算要求時から金額の増減があるが、削減額の大きな事業としては、感染予防・発生時対策の約6億円、戸籍事務の約4億円、私立認可保育所の約3億4千万円である。

最後に予算編成方針とその概要に記載のなかった点について伺います。

Q6‐① 杉並区版公民連携プラットフォームについて今年の1月15日まで意見募集が行われていましたが、どのような意見がどのくらい寄せられたのか伺う。なかなかイメージしにくい仕組みだと思いますが、プラットフォームの運営には、地域の課題や資源を熟知した人材が必要だと考えるが、誰が担うのか。協働プラザとの関係はどのように整理されるのか確認したい。

A6-①区長)区では令和5年4月の運用開始に向け、誰もが利用しやすいプラットフォームとなるよう、区民等を対象としたWEBアンケートを実施した。その結果53件の回答があり、「地域団体がお互いの現状を知ることが重要である」「団体等が主体的に取り組めるしくみとすべきである」など、様々な意見が寄せられた。これらの意見は、現在進めている利用ルールなどの詳細検討の参考にする。なお、プラットフォームの運営については、現時点においては区が担うこととしている。

また、協働プラザとの関係については、プラットフォームは全国に例のない新しい試みであり、地域団体や個人、民間事業者や大学など、地域の様々な主体が互いの強みを生かしながら連携、協力できる団体を見つけ、地域活動の拡大等に結び付けることができるツールだ。一方、協働プラザは相談業務や各種講座の開催などを通して、地域人材の育成や地域団体の主体的な活動を支援するための拠点となる。

今後は、それぞれが連携・協力しながら役割を果たすことで、地域の活性化につながる協働の取組をさらに推進していく。

るる質問してまいりましたが、区長が最後にで述べている通り、対話を通して行政の取組みを一方通行にせず、区民とともにつくる区政を実現していくことができるとの思いを形にしていくことに期待し、いのち・平和クラブの代表質問を終わります。

 

第4回定例会一般質問と答弁 2022.11.18そね文子

コロナ禍での生活が子どもに与える影響と対策について

【Q1】 区は、子どものコロナ禍での生活をどう捉え、苦しい状況にある子どもたちの支援をどのように行っているのか、うかがう。

【A1 (区長)】 コロナ禍での子どもたちは、自粛生活や生活様式の変化の中で、家庭での生活を窮屈に感じていたり、学校で思いどおりの活動ができないことでストレスを感じていたりするほか、保護者がコロナ感染の不安から、保育園や学校の登園・登校を制限することもあるなど、コロナ前とは大きく異なる環境で生活している状況にあると考えている。

区では、苦しい状況にある子どもたちへの支援として、子どもと家庭の総合相談窓口「ゆうライン」で、悩みや不安を抱えている子どもたちの相談を受け付けるほか、児童精神科医による「子どものこころの相談」の実施、また、関係機関から情報提供があった子どもについては、要保護・要支援児童として継続的な支援をしているが、決して十分ではないと認識している。

今後は、苦しい状況にある子どもたちが、より相談しやすい環境を整備することや、家にも学校にも居場所のない子どもが、安心して自分の時間を過ごすことのできる環境の提供、また、ヤングケアラーのように、姿が見えにくく苦しい状況にある子どもの発見の感度を高めていくなど、子どもへの支援策の充実を図ることが非常に重要であると考えている。

【Q2】 マスク着用に対する教育委員会の考え方をうかがう。

また、区の作成したガイドラインにあるマスク着用の考え方について、学校や保護者に周知することが必要だと思うが、どのように行われているか。HPに掲載されている教育長からのメッセージを保護者に出すなど、より積極的な対応を求めるが、教育委員会の考え方をうかがう。

【A2 (教育長)】 教育委員会では、区立学校における感染症対策に関する考え方や、感染者が出た場合の具体的な対応方法を共通認識するために、「杉並区学校感染症対策と学校運営に関するガイドライン」を策定し、これに沿って、教育活動を極力止めることなく、学校運営が円滑に進むよう取り組んできた。

マスク着用の取り扱いもこの中で定めており、国からの通知に基づき必要な改定も行っている。現在は、屋外において人との距離が確保できる場合など、具体的には登下校や体育の授業などの場面ではマスクを着用する必要はないことを定め、これを適正に運用していくことが必要であると考えている。

特に夏の時期は、熱中症などを発生させないよう、ガイドラインに沿って、マスクを外す指導をためらわずに行うよう、学校に働きかけた。ただし、さまざまな理由によりマスクを外すことのできない児童生徒に対しては、適切な配慮と対応を行うよう指導している。

今後もさまざまな機会を捉え、適切なマスク着用の取り扱いについて、児童生徒、保護者や学校に対し、周知を進めていく。

【Q3】 政府が5月に示したマスク着用の判断基準が書かれたポスターは厚労省のHPからダウンロードできるので、これを区立施設に掲示するなど広く周知する等、区民への周知について区の考えをうかがう。

【A3 (杉並保健所長)】 新型コロナウイルス感染症の基本的な対策として、マスクの着用は極めて重要であり、会話をする際などにはマスクを着用していただくよう区民にお願いしている。一方、マスク着用が長期化する中で表情が見えにくくなることによる影響を懸念する声があり、国において本年5月にマスク着用についての考え方が明確化された。

現在、区教育委員会のHPにおいて、子どものマスク着用についてのポスターを掲載しているが、今後、区のHPにおいても、大人向けの屋外・屋内でのマスク着用についてのポスターを掲載するなど、マスク着用の考え方について、関連する各部署と連携して区民への周知に努めていく。

【Q4】 国立市のある学校で、みんなの顔が見えるよう椅子を輪に並べ、話はせずにマスクをとるニコニコタイムを設けている。小学校1年生などの入学直後にこのような時間を設けてはいかがか。マスクを外しやすくするひとつのステップとして、校長会などで情報提供していただきたいと思うが、考えをうかがう。

椅子を輪にして座ったときに、少しのお話ができること、そのようなことをぜひ試みてほしいと思うがいかがか。

マスクを着けることが当たり前となり、今やマスクをとるのが恥ずかしいと感じるようになってしまった子どもの状況には配慮しつつ、教育委員会にはぜひコロナ前の日常を取り戻すため、先頭に立って子どもや保護者に働きかけてほしいと思うが、考えをうかがう。

【A4 (教育政策担当部長)】 コロナ禍によりマスクを着用することは日常となっているが、円滑なコミュニケーションを図るためには、相手の顔を見ながらやりとりすることが大切と考える。そのためには、感染の状況やさまざまな考え方はあるものの、学校では、ガイドラインに基づいて可能な場面でマスクを外すよう指導することが必要だ。

議員ご指摘の取り組みついては、たとえば、体育の授業でマスクを外し、互いの動きのよさを声に出して伝え合ったり、励まし合ったりする活動を通して、広げていく。

また、顔を見られることが恥ずかしいという理由や、感染に対する不安からマスクを外せない子どももいる。教育委員会としては、そうした子どもたちの気もちによりそい、スクールカウンセラーをはじめとする心理職の支援等を活用しながら、マスクを外すことについての理解・啓発に努めていく。

【Q5】 区教委における黙食についての考え方をうかがう。

給食の時間に子どもがしゃべっただけで厳しく注意を受ける状況が3年間も続き、注意を受けた子どもだけでなく、すべての子どもが閉塞感を感じることは想像に難くない。一刻も早く黙食をやめていただきたいと思うが、考えをうかがう。

【A5 (教育次長)】 食事中の会話については、完全に禁止するものではないが、各学校の教室内での児童生徒の座席間隔は約60㎝と十分な身体的的距離が保てない環境となっている。このため、マスクを外した状態での会話による飛沫感染を防止する観点から、区のガイドラインでは、給食の際は児童生徒が対面する喫食形式を避け、食事中は会話を控えること、食後はすぐにマスクを着用することとしている。そして、各学校においては、このガイドラインを踏まえ、感染状況に応じて、児童生徒に対し必要な指導を行うこととなる。

教育委員会としては、このガイドラインの内容は、児童生徒本人に限らず、その家族への感染を避ける目的もあることから、新型コロナウイルス感染者数が増加しつつあり、季節性インフルエンザとの同時流行も見据えた対応が求められる状況下においては、現在の方針を継続することで、学校における感染拡大を防止し、学校教育活動の継続に努めていく必要があると考えている。

不登校の子どもの支援について

【Q6】 昨年度の区立小中学校における不登校児童生徒数と、全校児童生徒に占める割合をうかがう。

区では、その増加の原因をどのように分析しているかうかがう。

【A6 (教育政策担当部長)】 昨年度の本区の不登校児童性数は、小学生267名、中学生437名、合わせて704名となっており、全児童生徒の2.51%となっている。

不登校児童生徒数が増加している背景には、コロナ禍による学校での教育活動が制限されたこと、友人や仲間との関わりが不足したこと、学びの選択肢が広がったこと等、多様な要因があると認識している。

【Q7】 すべての保護者に、不登校は誰にでも起こりうること、もしそうなったときに相談できる窓口などについて周知してほしいとの要望がある。区教委の見解をうかがう。

すべての教員が不登校に関する知識を学ぶ必要があると考えるが、研修などは行われているのか、行われているのならどのような内容かうかがう。

世田谷区では、不登校、行き渋りの対応についての冊子が作られ、HPでも見られるようになっている。このような冊子を杉並区でも作り、先生や保護者に渡せれば、大きな助けになる。作成を検討してほしいが、考えをうかがう。

【A7 (教育政策担当部長)】 不登校は問題行動ではなく、児童生徒が置かれた状況や環境によってどの子もなり得るということを、今後いっそう理解啓発していくことが重要と認識している。

教育委員会では、HPにおける相談窓口の紹介や、区教育相談パンフレットの配布等を行っているが、周知の方法については今後も工夫していく。

また、教職員の研修としては、職種や経験年次に応じて、不登校児童生徒が生じない魅力ある学校づくりについてや、区内関係機関との連携のしかたなどのテーマを設定して、不登校への理解を深めている。

さらに、児童生徒の不登校状態への理解に関する冊子については、世田谷区作成の冊子や東京都作成の『児童生徒を支援するためのガイドブック』などを参考に、今後、作成に向けて検討していく。

【Q8】 不登校の子どもが急増する状況で、すべての学校で別室登校を認めることを徹底してほしいと考えるが、教育委員会ではどのように取り組もうとしているのかうかがう。

【A8 (教育政策担当部長)】 不登校児童生徒が増加する中で、別室での登校も含めて、児童生徒一人ひとりの思いや状況をていねいに確認しながら対応すべきものと認識している。

不登校児童生徒の居場所づくりに向けて、地域人材と連携した取り組みや、教職員による組織的な取組等を進めているが、学校では人的な課題や場所の確保に関する課題等もある。さまざまな学校の状況に応じながら、改めてすべての学校へ周知していく。